説明

ディスプレイ表面材

【課題】
コンピュータ、ワープロ等のもの代表例とする各種のディスプレイあるいはタッチパネルに好適に使用できる表面材、総称してディスプレイ表面材に関し、防眩効果があって、黒みを帯びており、しかも汚れを拭き取り易いディスプレイ表面材を提供すること目的とする。
【解決手段】
ディスプレイ表面材であって、基板上に黒色の球状微粒子を分散した塗料層を設けたことを特徴とするディスプレイ表面材とする。さらに、前記球状微粒子は、合成樹脂からなるディスプレイ表面材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンピュータ、ワープロ等のもの代表例とする各種のディスプレイあるいはタッチパネルに好適に使用できる表面材、総称してディスプレイ表面材に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、ワープロ等のディスプレイ、タッチパネルに使用するディスプレイ表面材の中には、基板としての透明なガラスやプラスチックの板あるいはフィルムの表面に、防眩処理を施されているものがある。
この防眩処理は通常、耐摩性を有する塗料にフィラーとして無機化合物系の微粒子を分散させ、この塗料を塗布し、乾燥又は硬化させることで層(塗膜)を設け、この無機化合物系の微粒子によって防眩効果を発現させている。
【0003】
ところが、この無機化合物系の微粒子は通常、角張った不定形の無色のシリカが使用されている。そして前記塗膜の表面から、シリカがあたかも頭を出したように突出した状態になっている。この為に、防眩効果はあるが、微粒子が無色の為塗膜の表面が白っぽくなってしまい、ディスプレイに使用した場合には、画像のしまりが無くなる。
また、シリカが塗膜の表面から頭を出しており且つ角張っていることにより、指紋等の汚れを拭き取りにくくなっている。また、拭き取りに使う布の種類によっては、シリカがヤスリの働きをして布を削ってしまい、ディスプレイの表面を汚してしまうことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の様な状況に鑑みなされたもので、防眩効果があって、黒みを帯びており、しかも汚れを拭き取り易いディスプレイ表面材を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明が提供する手段とは、まず請求項1に示すように、ディスプレイ表面材であって、基板上に黒色の球状微粒子を分散した塗料層を設けたことを特徴としたディスプレイ表面材である。
【0006】
また、好ましくは請求項2に示すように、請求項1のディスプレイ表面材を基本としており、前記球状微粒子に合成樹脂を用いていることを特徴とするものである。
【0007】
また、好ましくは請求項3に示すように、請求項1又は2のディスプレイ表面材を基本としており、前記合成樹脂からなる球状微粒子の合成樹脂は、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、あるいはフッ素樹脂のうちのいずれかが使われていることを特徴とするものである。
【0008】
そしてまた、好ましくは請求項4に示すように、請求項1乃至3のディスプレイ表面材を基本としており、前記球状微粒子の平均粒径が塗料層の厚みの0.1〜2倍であり、該球状微粒子の一部が塗料層の表面から突出していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、球状微粒子が黒色であることから、防眩効果があって、表面が黒っぽくなり、しかもコントラストを得られ、また微粒子が球形であることから、指紋等の汚れを簡単に拭き取ることが出来、かつ拭き取りに使う布がひっかかることもなく、ディスプレイ等の表面を汚してしまうことがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、防眩効果があって、表面が黒みを帯びている。
又、表面の汚れを簡単に拭き取れる。拭き取りに使う布にひっかかることがなく、ディスプレイ等の表面を汚してしまうことがない。
その結果、本発明はコンピュータ、ワープロ等のディスプレイ、タッチパネルに使用するディスプレイ表面材として優れた実用上の効果を発揮し、防眩効果があって、黒みを帯びており、しかも汚れを拭き取り易いディスプレイ表面材を提供することが出来たといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に関わる黒色の球状微粒子について、球状とは、真球か、あるいはまたは丸みを帯びたほぼ球状のものであることことを指す。
【0012】
球状微粒子は合成樹脂からなり、合成樹脂の中でもベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、あるいはフッ素樹脂のうちのいずれかを用いるのが好適である。
【0013】
球状微粒子を分散した塗料層は、球状微粒子の頭が塗料層の表面から飛び出していることが、防眩効果から好ましい。この為、球状微粒子の平均粒径は、塗料層の厚みの0.1〜2倍の範囲のものが好ましい。これが1倍を越えて2倍以下の範囲では、必然的に塗膜の表面から球状微粒子の頭が飛び出すことになる。また、これが0.1〜1倍の範囲では、球状微粒子の比重がハードコート液の比重より軽ければ、球状微粒子が液の表面に浮くことになり、頭を出さすことができ、この点を考慮して材料を選ぶと良い。又、球状微粒子が空孔を有するものであれば、空孔内に空気を内在させて塗布する事ができ、表面に浮くことになる。
尚、もしこれが2倍を越えると、汚れの拭き取り性が低下する。また塗料の塗布適性が悪くなり、綺麗に塗布できない。また、これが0.1倍を下回ると防眩効果がなくなる。
【0014】
黒色とは、合成樹脂からなる微粒子には、樹脂そのものが黒みを帯びているものものもあるが、必要なら染料や顔料で着色しておくと良い。
【0015】
塗料は、通常の耐摩性を有したものでよく、シリコーン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系熱硬化、あるいは光硬化系のものを使用する。特に制約されるものではない。
通常は、厚みは1〜20μm程度である。塗工する基材及び要求される表面物性によって、上記材料を中心に材料を選ぶ。
【0016】
ディスプレイ表面材は、透明なフィルムに黒色の球状微粒子を分散した塗料層を設けて、ディスプレイの透明なガラスやプラスチックの板に貼り付けて使うこともできる。
【実施例】
【0017】
以下では実施例を挙げて、図面を参照しつつ本発明をより詳細に説明する。
<実施例1>
図1のように、基材2として偏光フィルムを使用し、この偏光フィルムの表面に、UV硬化アクリル系樹脂液に、黒色の球状微粒子4としてベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物(平均粒径が2μm)を分散させた、下記の処方の塗料を、塗布してUV硬化させて、膜厚5μの塗料層3を設けて、液晶ディスプレイに貼り付けて使用する為のディスプレイ表面材1を作った。
[塗料処方]
UV硬化アクリル系樹脂液・・・・・・・・・・100重量部
ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物・・・・1重量部
【0018】
<比較例>
比較例として、従来のディスプレイ表面材5を作製した。
図2のように、基材2として偏光フィルムを使用し、この偏光フィルムの表面に、UV硬化アクリル系樹脂液に、角張った不定形微粒子6として不定形シリカ(平均粒径が1.8μm、富士シリシア化学(株)製、商品名がサイリシア350)を分散させた、下記の処方の塗料を、塗布してUV硬化させて、膜厚5μの塗料層3を設けたものである。
[塗料処方]
UV硬化アクリル系樹脂液・・・・・・・・・・100重量部
不定形シリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5重量部
【0019】
上記の実施例のディスプレイ表面材1と比較例の従来のディスプレイ表面材5とを物性評価し、下記の表1に示す如き結果が得られた。
【0020】

【表1】

【0021】
ここで、
ヘイズ:ヘイズメーター(日本電色製、SGシグマ90)で測定
グロス:60度反射
鉛筆硬度:JIS鉛筆硬度試験に準じる。 荷重500g
耐スチールウール性:スチールウール#0000、荷重400g/cm2 で、10往復
指紋拭き取り性:指紋を付けて、ポリエステル布で10往復
ベンコット汚染性:ベンコットで10往復(ベンコットが削られることによる汚れ)
電源OFF時のディスプレイ表面:電源を切ったときのディスプレイ表面の目視評価
である。
【0022】
このように、実施例におけるディスプレイ表面材1は、拭き取り性が良く、拭き取る為の布を痛めず、従ってディスプレイ表面を汚すことない。又液晶ワープロに貼り付けてワープロを稼働させ表面を眺めると、表面が黒みを帯びていて、見やすいものであった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1を示すディスプレイ表面材の断面図である。
【図2】本発明の比較例を示す従来のディスプレイ表面材の断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1…ディスプレイ表面材
2…基材
3…塗料層
4…球状微粒子
5…従来のディスプレイ表面材
6…不定形微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ表面材であって、基板上に黒色の球状微粒子を分散した塗料層を設けたことを特徴とするディスプレイ表面材。
【請求項2】
前記球状微粒子は、合成樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ表面材。
【請求項3】
前記合成樹脂からなる球状微粒子の合成樹脂には、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、あるいはフッ素樹脂のうちのいずれかが使われていることを特徴とする請求項1又は2にいずれかに記載のディスプレイ表面材。
【請求項4】
前記球状微粒子は平均粒径が塗料層の厚みの0.1〜2倍であり、該球状微粒子の一部が塗料層の表面から突出していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ表面材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−179019(P2007−179019A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313950(P2006−313950)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【分割の表示】特願平8−298671の分割
【原出願日】平成8年11月11日(1996.11.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】