説明

デオキシペガニンの経口製剤およびそれらの使用

活性成分であるデオキシペガニンおよび/またはデオキシペガニン誘導体を含有する、経口的に投与されるフィルム型医薬は、前記活性成分の経粘膜的投与のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デオキシペガニン(deoxypeganine)またはその塩および誘導体を投与するための、経口フィルム型医薬製剤に関し、疾患または症状を処置するための前記医薬の使用に関する。
【0002】
デオキシペガニン(1,2,3,9-テトラヒドロピロロ [2,1-b]キナゾリン; 実験式(empirical formula) C11H12N2)は、ハマビシ科(Zygophyllaceae)の植物中に存在しており、薬理学的性質に基づき、デオキシペガニンは、可逆的にコリンエステラーゼ阻害剤に作用する群に含まれる。それはまた、モノアミノオキシダーゼ阻害剤としても作用する。デオキシペガニン(デオキシバシシンとも呼ばれる)は、治療目的のための医薬として考慮され、例えば、薬物中毒および薬物依存を処置するため(DE-A 199 06 978)、ニコチン依存(DE-A 199 06 979)およびアルコール依存(DE-A 199 06 974)を治療するため、精神科または脳の病理学的な兆候を処置するため(DE-A 101 19 863)、アルツハイマー認知症(DE-A 199 06 975)、臨床的うつ病(DE-A 101 63 667)または統合失調症(EP-B 0 584 285)を治療するため、有機リン酸系コリンエステラーゼ阻害薬による中毒を予防するため(DE-A 199 24 951)、または慢性疲労症候群を処置するため (US 5 312 817)である。
【0003】
デオキシペガニンは、好ましくは、シリアのヘンルーダ(Syrian rue)(Peganum harmala)からの単離または化学合成(例えば、SARGAZAKOV et al.; Khim. Prir. Soedin. 4 (1990), 506-507; MORRIS et al.; J. Amer. Chem. Soc. 57 (1935), 951-954)により得られる。デオキシペガニンは、文献、特に特許明細書から薬学業界では知られている。
【0004】
デオキシペガニンの経口投与のために、タブレット、カプセル、懸濁液または溶液などの通常の投与形態を用いることは、主に腸からデオキシペガニンが吸収され、したがって“初回通過”代謝の影響を受けやすい限りにおいて不利益である。加えて、前記の投与形態の使用は不可能であるか、または患者が飲み込む際の苦痛に悩むか、もしくは患者がそのような医薬を飲み込むのを拒む場合に限り条件付で可能である。
【0005】
したがって、経皮治療システム(TTS)によりデオキシペガニンを投与することが提案されてきた(DE-C 199 06 977)。ここで、治療上効果のある血漿中濃度が、かなり遅延してはじめて達成されることが不利益である。しかしながら、多くの場合、作用の開始ができるだけ速く起こることが不可欠である。
したがって、本発明の目的は、最初に示した病気および症状を処置するのに好適であるが、既知の投与形態、とりわけタブレットの前記不利益をできるだけ回避した、デオキシペガニン(またはその塩もしくは誘導体)を投与するための投与形態を提供することである。
【0006】
驚くべきことに、これらの目的は、フィルム型医薬により、およびそのような医薬を請求項16〜24に記載した病気および症状を処置するために用いることにより達成されることが判明した。
【0007】
経口フィルム型医薬(“ウエハー”とも呼ぶ)は、驚くべきことに、口腔粘膜の領域におけるデオキシペガニン(およびその塩または誘導体)の経粘膜的吸収を可能とする。フィルム型医薬は、好ましくは、頬側または舌下に適用される。本発明の製剤は、初回通過代謝を大幅に回避し、迅速な作用の開始(約5秒〜10分)を可能とする。本発明の医薬は口腔に適用され、唾液の作用の結果としてフィルム型製剤から活性物質が放出された後に、口腔粘膜を経由して吸収される。本発明は、粘膜接着フィルム型製剤をも含み、それは口腔粘膜に適用され、少なくとも一時的にはそこに接着して残る。さらにこの場合、活性物質の輸送は、適用部位の粘膜領域を介して直接的に起こり、ここでフィルム型製剤は口腔粘膜と直接接触している。
【0008】
経口、とりわけ頬側または舌下での投与が好ましいが、本発明は、ヒトまたは動物の体の他の粘膜表面(例えば、直腸、膣または鼻腔)への適用を意図する投与形態をも包含し、デオキシペガニンの経粘膜的投与を可能とする。
【0009】
タブレットとは異なり、飲み込むのに他の液体を用いる必要がないため、本発明の医薬は、単純で、目立たず、安全な方法で投与できることが有利である。特に、薄い厚さ(例えば、0.1mm未満)のフィルム型製剤が、処置を受ける患者には心地よく感じる。
【0010】
本発明の医薬は、好ましくは、活性物質であるデオキシペガニンを、水溶性で薬学的に許容できる塩の形態で含有し、デオキシペガニン塩酸塩およびデオキシペガニン臭化水素酸塩は特に好ましい。しかしながら、デオキシペガニンは、フリーの塩基の形態でも医薬に含有することができる。さらに本発明は、場合によっては薬学的に許容できる塩の形態での、デオキシペガニン誘導体の使用を提供する。
【0011】
デオキシペガニンおよびその塩は、最初に示した方法の一つにしたがって製造することもできるし、または単離することもでき、または購入することもできる。
好適なデオキシペガニンの誘導体は、例えば、7-ブロモデオキシ-ペガニン (Synthetic Communs. 25(4), 569-572 (1995))、7-ハロ-6-ヒドロキシ-5-メトキシデオキシペガニン(Drug Des. Disc. 14, 1-14 (1996); Halo=Br、Cl、F、またはI)、およびInd. J. Chem. 24B, 789-790 (1985)に記載されたデオキシペガニンの誘導体である。
【0012】
本発明の医薬は、前記の活性物質または活性物質塩の2種または3種以上の組み合わせを任意に含有することができる。他の態様によれば、本発明の医薬は、少なくとも1種の他の活性物質を、上記のものと調整してさらに含有することが提供される。この目的のためには、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の群からの活性物質が特に好適であり、それは、ガランタミン、ピリドスチグミン、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、ならびに前記活性物質の薬学的に許容できる塩を含む。
【0013】
さらに、本発明の医薬は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の群から選択されない、少なくとも1種の活性物質をさらに含有することができ、したがって、例えば、ニコチンの乱用を処置するために用いられるフィルム型製剤は、オピエートアンタゴニストをさらに含有することができる。
【0014】
本発明のフィルム型製剤の全体の活性物質の内容量は、好ましくは、総計で0.5〜40wt%、より好ましくは5〜30wt%である。一つの製剤に含有される活性物質の投与量は、好ましくは1〜500mgの範囲、特に10〜300mgの範囲である。
【0015】
フィルム型医薬は、好ましくは、活性物質貯留層として機能し、活性物質を含有して、唾液の作用により活性物質を放出することができる、少なくとも1つのポリマー含有層を含み、ポリマー含有層のポリマー部は、総計で10〜90%、好ましくは20〜70wt.%、特に好ましくは20〜60wt%である。
【0016】
単純な場合には、本発明の製剤は、一つの活性物質含有層のみからなる。しかしながら、本発明は、少なくとも1つの層は活性物質を含有する2層、3層、または多層構造の態様をも含む。種々の層は、活性物質の内容物(タイプ、濃度)、粘膜接着性質、分解性質、溶解性などの観点から互いに相違することができる。
【0017】
“フィルム型”とは、本発明の医薬が、通常のタブレットとは異なり、薄い厚さで好ましくは曲げられることを意味する。さらに、水分を吸収すると、それらは、一般的に口腔粘膜の不規則な表面形状に適合することができる。活性物質含有フィルムの全体の厚さ(適用前の状態)は、好ましくは、0.05〜3mm、とりわけ好ましくは、0.1〜1mm、とりわけ0.1〜0.5mmである。それぞれの医薬の表面の形状は、円形、楕円形、三角形もしくは四角形、または多角形であることができる。それらの表面積の拡張(extension)は、好ましくは、0.5〜20cm2の範囲、とりわけ1〜10cm2の範囲である。
【0018】
前記ポリマーマトリックスを製造するのに好適なポリマーは、特に以下の群から選択することができる: ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン; ポリビニルアセテート;ポリエチレングリコール;ポリエチレンオキシドポリマー;ポリウレタン;ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート;ポリ(メチルビニルエーテル-無水マレイン酸);セルロースエーテル、特にエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、Na-カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース;セルロースアセテート;デンプンおよびデンプン誘導体などの多糖類;天然ゴム;アルギネート、ペクチン、ゼラチン。前記成分は単独でも組み合わせても用いられる。
【0019】
本発明の医薬は、当業者に既知である1種または2種以上の補助物質をさらに含有することができ、特に以下の群から選択される:乳化剤(例えば、ポリエトキシ化されたソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシ化された脂肪族アルコール、レシチン);可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、および他のポリアルコール、ドデカノール、ウンデカノール、オクタノールなどの高級アルコール;ソルビトール、マンニトール、および他の糖アルコール、デクスパンテノール;トリグリセリド)、充填剤(例えば、高度に分散された二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、チョーク(chalk)、デンプン);着色剤;甘味剤および香味剤;湿潤剤;防腐剤、pH-調整剤、および酸化防止剤;分解剤;粘膜を介して吸収を改善する物質(例えば、脂肪酸および脂肪酸エステル;プロパンジオールなどの多価アルコール; トコフェロール;メントールなどのエーテル油)。
これらの補助物質の重量パーセントは、製剤全体に対して、いずれの場合も総計で60wt%まで、とりわけ5〜40wt%である。その作用が当業者には既知である前記補助物質を加えることにより、膨潤能力、拡散性質、粘膜接着性質、柔軟性、および分解能力などの活性物質含有フィルムの化学的または物理的性質に、影響を与えることが可能である。
【0020】
好ましい態様によれば、フィルム型医薬は、粘膜接着であるか、または少なくとも1種の粘膜接着外面を有し、これらの医薬が口腔粘膜に強固に接着することを可能とする。粘膜接着性質は、粘膜接着層を形成するポリマーのタイプ、およびこれらのポリマーの相対的な分量により、基本的には決定される;さらに、これらの性質は、前記補助物質(例えば、充填剤、可塑剤)により修正することができる。好ましくは、粘膜接着層も活性物質を含有する。粘膜接着層を非粘膜接着層と組み合わせることも有利であり得る。非粘膜接着外面を備えることにより、隣接する粘膜部(例えば舌)への望まない接着を防ぐことができる。
【0021】
粘膜接着層を製造するための好適なポリマーは、以下に示された群から選択することができる:ポリビニルアルコール;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;ポリアクリルアミド;ポリアクリレート;天然ゴム;デンプンおよびデンプン誘導体、プルラン;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ならびに前記ポリマーとの組み合わせ。
さらに粘膜接着性質は、当業者に既知の好適な補助物質で修正することができる。
【0022】
本発明の他の態様によれば、フィルム型医薬が、水性媒体中、とりわけ唾液中で溶解することが提供される。このようにして、活性物質の迅速な放出を達成するこが可能となる。ここで好ましい態様は、溶解が1秒〜5分、とりわけ好ましくは3秒〜30秒で起こるものである。
別の方法として、水性媒体、とりわけ唾液中で、1秒〜5分、とりわけ好ましくは3秒〜30秒で速やかに分解する、迅速に分解する投与形態として、医薬を製剤化することもできる。溶解性または分解性は、口腔内における温度(約35〜40℃)での条件と関連する。
【0023】
好ましい態様によれば、フィルム型医薬は、以下の使用事実により特徴づけられ、それは、含有される活性物質を、口腔内に有効血漿中濃度が達成されるような量で、30分以内、好ましくは15分以内、とりわけ好ましくは5分以内で放出する。
【0024】
フィルム型製剤が長く続く活性物質の放出を可能とする場合には、粘膜接着性で、数時間(例えば、1時間、6時間または12〜24時間)後になって初めて溶解または分解する、溶解または分解が遅いフィルムとして有利に製剤化される。本発明は、上記条件で溶解または分解しないフィルム型医薬をも包含し、この場合、活性物質の放出は、専らフィルムから周囲への活性物質の拡散により起こる。活性物質の放出は、遅延して、好ましくは8時間まで、とりわけ24時間までの期間にわたり起こる。持続作用は、活性物質を粒子内(例えばポリマー粒子)にカプセル化して、その外層が拡散を遅延させることにより、任意に達成することもできる。
【0025】
さらに、特に好ましい態様によれば、少なくとも1種の低分解性または非分解性(または本質的に非溶解性)の層であって、好ましくは粘膜接着層、ならびに少なくとも1種の迅速に分解する、または溶けやすい層を有し、該2種の層が活性物質を含有するフィルム型医薬が提供される。このようにして、活性物質の迅速な初期投与量を、維持投与量に組み合わせることが可能である。
【0026】
前記溶解性または分解性医薬も、すでに述べたように、粘膜接着性質を備えることができる。このようにして、そのような製剤が溶解または分解するまで、口腔内の適用部位に強固に粘着することが達成される。
【0027】
溶解性および分解性は、それぞれの層を形成するポリマーのタイプ、およびこれらのポリマーの相対的な分量により基本的に決定される;加えて、これらの性質は、前記補助物質(例えば、充填剤、可塑剤)により修正することもできる。溶解性または分解性の層も、活性物質を含有することが好ましい。
【0028】
さらなる態様によれば、フィルム型医薬は、水性媒体、特に唾液中でゼラチン化または膨潤することができる。それにより、活性物質の放出の遅延を達成することができる。
【0029】
水溶性(または分解性)フィルム型製剤またはそのような製剤の層を製造するためには、以下の群からのポリマーが特に好適である:ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリアクリレート;デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン;セルロース誘導体(上記参照;とりわけエチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース);ゼラチン、および他のゲル形成タンパク質; 天然ゴム、ペクチン、アルギネート、プルラン、カラギーナン、キサンタン、トラガカント、キトサン、寒天、アガロース。前記物質は、単独でも、または補助物質との組み合わせを含む種々の組み合わせでも用いることができる。さらに、それらは、任意に補助物質をも利用する前記のゼラチン化可能または膨潤化可能なフィルムまたは層を製造するために用いることができる。
【0030】
他の態様によれば、本発明のフィルム型製剤が、固化した発泡体として存在することが提供される。そのような発泡体は、例えば、DE-A-100 32 456に記載されている。
【0031】
本発明のフィルム型医薬は、例えば、以下の方法を適用することにより、得ることができる:
-ポリマー、活性物質、および可能な補助物質を含有する液体コーティング物質(溶液、分散)を、攪拌および所望により加熱することにより調製する;
-この物質を内部支持体にコーティングし(例えば、ドクターナイフ、ローラー適用、噴霧法または押出法を用いて)、薄膜層を得る;
-乾燥する;
-望ましい表面積および活性物質含有量の投与量に分離する(例えば、切断または押し抜きにより)。
【0032】
例えば、2種または3種以上の層から成るフィルムを得るために、前記したように最初は、第一の層が調製され乾燥される。第二層のためのコーティング物質は、乾燥した層にその後に適用され、乾燥される。
【0033】
本発明のフィルム型医薬は、アセチルコリン欠乏症により引き起こされる、またはそのような欠乏症が引き起こす病気または症状を処置することに対する利益を得るために用いることができる。それらは、さらに内因性のアミン欠乏症が引き起こす、および/またはモノアミノオキシダーゼの阻害により有利に影響され得る病気を処置するのに好適である。フィルム型医薬は、前記した予防対策だけでなく前記の病気および症状を処置するのに特に好適である。
【0034】
本発明のフィルム型製剤は、特に、以下の病気および症状の薬学的治療のために用いることができる。
【0035】
アルツハイマー病(とりわけアルツハイマー認知症); うつ病;慢性疲労症候群、睡眠障害、統合失調症;躁病;パーキンソン病;中枢神経の疾患、特に向精神剤の作用により引き起こされる記憶障害、特にそのような物質の陶酔;神経毒または化学兵器(とりわけ有機リン酸系物質)による中毒;アルコール依存症またはニコチン依存症、他の化学物質の乱用;アルコールに対する欲求を減少させるため、またはニコチンに対する欲求を減少させるための処置。
【0036】
前記の病気の1つに苦しむ、または前記の症状の1つを示す、または他の理由で、中枢神経系に作用するコリン作用性の活性物質の処置を必要とするヒト(または動物)を処置するために、活性物質であるデオキシペガニン(および/または前記塩もしくは誘導体の1種)の治療効果のある投与量を、前記したようにフィルム型医薬の形態で、処置すべきヒト(または動物)に経口投与される。
【0037】
このため、フィルム型製剤は、口腔内(頬側、舌下)に導入され、粘膜接着フィルムの場合、頬粘膜に接着する。口腔粘膜のほかの領域(例えば、口蓋、舌下、歯肉)も適用部位として好適である。必要に応じて例えば、好ましくは1〜6時間の間隔でたびたび適用を繰り返す。デオキシペガニン、場合によっては薬学的に許容できる塩(および/またはデオキシペガニン誘導体)の形態での1日量は、一般的に50〜750mgの範囲である。
【0038】
本発明のフィルム型製剤は、例えば、以下の処方で得るこができる。成分を加熱しながら水中で溶解させ、得られた溶液を平坦で不活性な支持体(磨いたスチールテープ)にコーティングする。乾燥後(約25〜80℃)、支持体から剥離することができる粘膜接着フィルムが得られ、押し抜きにより分離され、それぞれ5cm2の表面単位を得る。
【0039】

Na-カルボキシメチルセルロース 52重量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 17重量%
デオキシペガニン塩酸塩 10重量%
プロパンジオール 5重量%
ポリビニルアルコール 13重量%
メントール 3重量%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質のデオキシペガニン(deoxypeganine)または/およびデオキシペガニン誘導体を含有する、経口的に投与可能なフィルム型医薬。
【請求項2】
デオキシペガニンの薬学的に許容可能な塩、または/およびデオキシペガニン誘導体の許容可能な塩を含有し、塩として、デオキシペガニン塩酸塩およびデオキシペガニン臭化水素塩が好ましいことを特徴とする、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
含有される活性物質の経粘膜的投与、とりわけ口腔投与に好適であることを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬。
【請求項4】
活性物質貯留層として機能し、活性物質を含有する少なくとも1つのポリマー含有層を有する医薬であって、ポリマー部が総計で10〜90%、好ましくは20〜70wt%、特に好ましくは20〜60wt%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の前記医薬。
【請求項5】
2層、3層、または多層構造を有する医薬であって、少なくとも1つの層が、デオキシペガニン、デオキシペガニン誘導体、および前記物質の塩を含む群から選択される活性物質を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の前記医薬。
【請求項6】
活性物質含有量が、0.5〜40wt%、好ましくは5〜30wt%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬。
【請求項7】
全厚が0.05〜3mm、好ましくは0.1〜1mm、とりわけ好ましくは0.1〜0.5mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬。
【請求項8】
粘膜接着であるか、または少なくとも1種の粘膜接着外面を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の医薬。
【請求項9】
医薬が水性媒体、とりわけ唾液中で溶解可能であり、溶解が1秒〜5分、とりわけ好ましくは3秒〜30秒で起こることが好ましいことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の前記医薬。
【請求項10】
好ましくは1秒〜5分、とりわけ好ましくは3秒〜30秒で、水性媒体、とりわけ唾液中で、速やかに分解することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の医薬。
【請求項11】
水性媒体、とりわけ唾液中でゼラチン化または膨潤することができることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の医薬。
【請求項12】
持続効果を持つか、または好ましくは8時間まで、とりわけ24時間までの期間にわたり、遅延して活性物質を放出することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬。
【請求項13】
迅速に活性物質を放出する少なくとも1種の活性物質含有層、および遅延した活性物質の放出をもたらす少なくとも1種の層を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の医薬。
【請求項14】
デオキシペガニン、デオキシペガニン誘導体、および前記物質の塩を含む群から選択されない薬学的に活性な他の物質を、少なくとも1種さらに含有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の医薬。
【請求項15】
1種または2種以上の補助物質を含有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のフィルム型医薬。
【請求項16】
請求項1および2に記載された活性物質から選択される、中枢神経系に作用する少なくとも1種のコリン作用性活性物質の使用であって、アセチルコリン欠乏症により引き起こされる、またはそのような欠乏症が引き起こす病気または症状を処置するため、および内因性のアミン欠乏症が引き起こす、および/またはモノアミノオキシダーゼの阻害により有利に影響され得る病気を処置するための前記活性物質の経口投与用フィルム型医薬を、製造するための前記使用。
【請求項17】
フィルム型医薬が、請求項1〜15のいずれかに記載の医薬であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
医薬が、アルツハイマー病またはアルツハイマー病により引き起こされる症状を処置するために用いられることを特徴とする、請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
医薬が、うつ病、統合失調症、または躁病疾患の処置のために用いられることを特徴とする、請求項16または17に記載の使用。
【請求項20】
医薬が、慢性疲労症候群または睡眠障害を処置するために用いられることを特徴とする、請求項16または17に記載の使用。
【請求項21】
医薬が、アルコールの乱用またはニコチンの乱用を処置するために用いられることを特徴とする、請求項16または17に記載の使用。
【請求項22】
医薬が、化学物質とりわけ向精神剤の乱用、またはそのような物質への依存症を治療するために用いられることを特徴とする、請求項16または17に記載の使用。
【請求項23】
医薬が、有機リン酸系コリンエステラーゼ阻害剤により引き起こされる中毒を予防処置するために用いられることを特徴とする、請求項16または17に記載の使用。
【請求項24】
医薬が、向精神剤の作用により引き起こされる、中枢神経系の疾患、特に記憶障害の処置のために用いられることを特徴とする、請求項16または17に記載の使用。

【公表番号】特表2007−512270(P2007−512270A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540236(P2006−540236)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012606
【国際公開番号】WO2005/053698
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(502233805)ハーエフ・アールツナイミテルフォルシュング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (6)
【Fターム(参考)】