説明

デシカント換気扇

【課題】少エネルギー消費で、熱交換換気運転時の結露の防止を効果的に行うことが可能なデシカント空調機の提供。
【解決手段】排気風路3、給気風路4、排気送風機13、給気送風機14、顕熱交換器、デシカントロータ6及び加熱器を具備する潜熱交換ユニット、並びに除湿運転モード又は保湿運転モードと熱交換換気運転モードと切り換運転制御が可能な制御部20を備えたデシカント空調機1において、外気の温湿度を検出する外気温湿度検出手段と、内気の温湿度を検出する内気温湿度検出手段とを備え、顕熱交換器を顕熱ロータ5とし、制御部20は、換気運転モードにおいて、外気及び内気の温湿度が所定の結露注意条件を満たした場合に、顕熱ロータ5を間歇運転させる結露防止運転モードの運転制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デシカントロータを潜熱交換器として備え、全熱交換を伴う換気空調を行うデシカント換気扇に関し、特に、空調機内の風路の結露を効果的に防止することが可能な防露技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デシカント換気扇とは、給気風路、排気風路、及び両風路に跨設され、シリカゲルやゼオライト粉末等の乾燥剤(デシカント(desiccant))が担持されたデシカントロータ(潜熱ロータ)を備え、このデシカントロータに水分を吸着又は脱離させることで両風路間の湿分交換を行って除湿や加湿を行う吸着方式の空調機である。通常のデシカント換気扇は、ケーシング、ケーシングの内部に設けられた給気風路及び排気風路、給気風路と排気風路とに跨って回転自在に設けられた厚円板状のデシカントロータ、給気風路及び/又は排気風路のデシカントロータ近傍に設置されたヒータ、及び給気風路と排気風路との顕熱交換を行う顕熱交換器を備えている。顕熱交換器としては、クロスフロー式多層熱交換器(特許文献1,2参照)や顕熱ロータ式熱交換器(特許文献3,4参照)が使用される。
【0003】
図8は、特許文献1に記載のデシカント換気扇の構成を表す図である。図8のデシカント換気扇101では、顕熱交換器112としてクロスフロー式の熱交換器が使用されている。図8において、デシカント換気扇101は、外気空間の外気(OA)を第2の送風機110により給気通風路Aに吸入する。吸入された外気(OA)は、給気通風路Aに沿って、顕熱交換器112、再生加熱器113、潜熱ロータ115、第2の送風機110の順に通過して、給気(SA)として空調空間に供給される。その一方、デシカント換気扇101は、空調空間の還気(RA)を、排気送風機111により排気通風路Bに吸入する。吸入された還気(RA)は、排気通風路Bに沿って、パージ加熱器114、潜熱ロータ115、顕熱交換器112、排気送風機111の順に通過して、排気(EA)として外気空間に排出される。顕熱交換器112において、排出される還気(RA)の熱は供給される外気(OA)に熱交換される。また、潜熱ロータ115において、排出される還気(RA)と供給される外気(OA)との間で湿気及び潜熱の交換が行われる。
【0004】
空調空間の暖房時に空調空間の潜熱を回収する保湿運転においては、パージ加熱器114は停止し、再生加熱器113は給熱される。この場合、還気(RA)が潜熱ロータ115を通過する際に、還気(RA)に含まれる水分が潜熱ロータ115に吸着される。潜熱ロータ115は回転しており、還気(RA)中の水分が吸着した部分は、潜熱ロータ115の回転により給気通風路Aへ移動する。給気通風路Aでは、再生加熱器113により加熱された外気(OA)が潜熱ロータ115を通過するため、潜熱ロータ115に吸着された水分は脱離し、再び空調空間に戻される。尚、潜熱ロータ115に水分が吸着する際に発生する吸着熱及び還気(RA)が有する顕熱は、顕熱交換器112において外気(OA)に回収され、再び空調空間に戻される。
【0005】
空調空間の冷房時に空調空間の除湿を行う除湿運転においては、再生加熱器113は停止し、パージ加熱器114は給熱される。この場合、外気(OA)が潜熱ロータ115を通過する際に、外気(OA)に含まれる水分が潜熱ロータ115に吸着され除湿される。水分が吸着した部分は、潜熱ロータ115の回転により排気通風路Bへ移動する。排気通風路Bでは、パージ加熱器114により加熱された還気(RA)が潜熱ロータ115を通過するため、潜熱ロータ115に吸着された水分は脱離し、外気空間に排出される。
尚、排気通風路Bへ吸入された還気(RA)の有する顕熱は、顕熱交換器112において外気(OA)に回収され、外気空間に排出される。
【0006】
また、デシカント換気扇101においては、保湿運転及び除湿運転以外に、潜熱ロータ115及び再生加熱器113を停止し第1及び第2の送風機110,111のみを作動し、加湿や除湿を行うことなく空調空間内の空気と外気空間の空気との交換を行う換気運転も行われる。この場合、夏期において湿度の高い高温の外気(OA)が顕熱交換器112に流入した場合に、冷房された空調空間からの還気(RA)により外気(OA)が露点温度以下まで冷却されて顕熱交換器112付近の排気通風路B内に結露が生じることがある。また、冬季において湿度の高い還気(RA)が顕熱交換器112に流入した場合に、低温の外気(OA)によって還気(RA)が露点温度以下まで冷却されて顕熱交換器112付近の給気通風路A内に結露が生じることがあり、微小なホコリの付着、カビの発生等の不具合がある。
【0007】
そこで、特許文献1,2においては、内気温湿度センサ116や外気温湿度センサ117により還気(RA)や外気(OA)の温度と湿度を検出し、換気運転の状態で、外気の露点温度Tdewoutから還気温度Tinを引いた差温又は還気の露点温度Tdewinから外気温度Toutを引いた差温が所定の閾値を越えた場合、第2の送風機110を停止して排気送風機111のみを作動させる排気運転、又は第1及び第2の送風機110,111を作動させ、潜熱ロータ115及びパージ加熱器114を作働させるパージ運転の何れかを実行させる制御を行うようにし、顕熱交換器112付近における結露を防止している。
【0008】
図9は、特許文献3(図8)に記載のデシカント換気扇の構成を表す図である。図9のデシカント換気扇101では、顕熱交換器112として顕熱ロータ(112a,112b)が使用されている。保湿運転、除湿運転、換気運転については、上記図8のデシカント換気扇と同様である。
【0009】
また、特許文献4には、デシカント換気扇の換気運転時における機内の結露を防止する技術として、「室外空気を除湿するための除湿ユニットと、室内空気と除湿ユニットを通過した室外空気との熱交換を行う顕熱交換器とを備え、除湿換気運転モードと、上記除湿ユニットが停止した換気運転モードとの切換えが可能な調湿換気装置であって、一定の条件下(例えば、夏期の高温高湿状態)における換気運転モードにおいては、上記除湿ユニットを運転する調湿換気装置」が記載されている。このデシカント換気扇では、顕熱交換直後の空気の相対湿度が飽和状態に達する可能性がある条件において、除湿ユニット(デシカントロータ(吸放湿部材)と再生加熱器(再生用加熱手段))を運転することによって相対湿度を低下させ、顕熱交換後の給気通路等での結露の発生を防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−151460号公報
【特許文献2】特開2008−151458号公報
【特許文献3】特開2004−278904号公報
【特許文献4】特願2002−317990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1,2,4のデシカント換気扇は、換気運転の状態において、外気又は室内空気の温湿度が、顕熱交換後の給気通路等の結露条件となるような条件となった場合、デシカントロータ(吸放湿部材)と再生加熱器(再生用加熱手段)を運転することによって顕熱交換後の給気通路等の湿度を低下させることにより結露を防止する手段を採用している。
【0012】
しかしながら、これらの手法では、デシカントロータの吸着水分を脱離させるために再生加熱器(再生用加熱手段)を運転する必要があるため、その加熱のための消費エネルギーが大きくなり、省エネルギー性に欠けるという問題があった。
【0013】
また、上記従来のデシカント換気扇は、換気運転中に結露条件となると、デシカントロータ(吸放湿部材)と再生加熱器(再生用加熱手段)が起動して除湿運転又は保湿運転の状態となる。従って、使用者が換気を行いたいにも関わらず、防露のためだけに除湿又は保湿が実行されることがあり、使用者の意図しない動作がなされることがあるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、従来よりも少ないエネルギー消費量で、夏期における換気運転時、特に熱交換換気運転(顕熱交換のみを行う換気運転)時における結露、特にデシカントロータ周辺の結露の防止を効果的に行うことが可能なデシカント換気扇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るデシカント換気扇の第1の構成は、空調空間の内気を外気空間へ排気する排気風路と、
外気空間の外気を空調空間へ給気する給気風路と、
前記排気風路内の空気を排気方向に吸気する排気送風機と、
前記給気風路内の空気を給気方向に吸気する給気送風機と、
前記排気風路及び前記給気風路の間で顕熱交換を行う顕熱交換器と、
前記排気風路及び前記給気風路の間に介設されたデシカントロータと、前記排気風路内及び/又は前記給気風路内の前記デシカントロータの上流側に配設された加熱器とを備え、前記排気風路と給気風路との間で潜熱交換を行う潜熱交換ユニットと、
運転モードとして、少なくとも、内気及び外気の給排気と内気と外気の全熱交換をともに行う除湿運転モード又は保湿運転モードと、内気と外気の潜熱交換を行うことなく顕熱交換のみを行い前記排気送風機及び前記給気送風機を作動させる熱交換換気運転モードとを有し、各運転モードを切り換えて運転制御が可能な制御部と、を備えたデシカント換気扇において、
前記給気風路に流入する空気の温湿度を検出する外気温湿度検出手段と、
前記排気風路に流入する空気の温湿度を検出する内気温湿度検出手段と、を備え、
前記顕熱交換器は、前記排気風路及び前記給気風路の間に介設された伝熱体のロータが回転することによって前記排気風路と給気風路との間で顕熱交換を行う顕熱ロータであり、
前記制御部は、前記熱交換換気運転モードにおいて、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度が所定の結露注意条件を満たした場合に、前記顕熱ロータを間歇運転させる結露防止運転モードの運転制御を行うことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、熱交換換気運転モードにおいて、外気及び内気の温湿度が結露注意条件を満たした場合には、顕熱ロータを間歇運転することで、顕熱ロータ下流側の給気風路の温度が上昇するため、結露が生じることが防止される。また、従来のように「潜熱交換ユニット」を起動せず「顕熱ロータ」を間歇運転するため、加熱器を加熱する必要がない。従って、従来よりも少ないエネルギー消費量で、熱交換換気運転時における結露の防止を効果的に行うことが可能となる。
【0017】
ここで、「所定の結露注意条件」とは、外気と内気の温湿度に対して予め設定された防露運転を開始する温湿度条件であり、外気と内気の温湿度から求まる結露領域から結露が生じる可能性がある一定の余裕幅をもたせた温湿度領域が設定される。また、顕熱ロータの「間歇運転」とは、顕熱ロータを停止と駆動を交互に切り替えながら運転することをいう。例えば、顕熱ロータを2〜60分間駆動した後に2〜10分間停止することを繰り返すような運転である。
【0018】
本発明に係るデシカント換気扇の第2の構成は、前記第1の構成において、前記制御部は、前記結露防止運転モードにおいて、外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が小さいほど、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が大きいほど、前記顕熱ロータの停止時間が長くなるように、前記顕熱ロータを間歇運転させる運転制御を行うことを特徴とする。
【0019】
この構成により、給気露点温度と内気の温度との差が小さいほど又は給気相対湿度RHSAの値が大きくなるほど顕熱ロータの停止時間を長くすることで、顕熱ロータ停止期間における顕熱ロータ下流側の給気風路の温度上昇量が大きくなるため、給気の相対湿度の上昇を抑えることができる。従って、熱交換換気運転時における結露の防止をより効果的に行うことが可能となる。
【0020】
本発明に係るデシカント換気扇の第3の構成は、前記第1又は2の構成において、前記制御部は、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度に基づき、外気の温度が所定の値(具体的には、例えば、30℃)を上回った場合又は外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Td(0<Td)以下となった場合、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が所定の閾値湿度RHdを超えた場合に、前記結露注意条件が満たされたと判定して前記結露防止運転モードの運転制御を開始し、外気の温度が所定の値(具体的には、例えば、30℃)を下回った場合又は外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Tc(≧Td)以上となった場合、又は前記給気相対湿度RHSA及び前記排気相対湿度RHEAが所定の閾値湿度RHc(≦RHd)を下回ったときに前記結露防止運転モードの運転制御を解除することを特徴とする。
【0021】
この構成により、給気露点温度と内気の温度との差が閾値温度Td(0<Td)以下となった場合又は給気相対湿度RHSAの値が閾値湿度RHdを超えたときには顕熱ロータを間歇運転させることで、熱交換換気運転時における結露の防止をより効果的に行うことが可能となる。
【0022】
ここで、「閾値温度Td」,「閾値湿度RHd」とは、結露の発生が予測される露点温度との差温,相対湿度の閾値をいい、使用状況に応じて適宜な値に設定される。
【0023】
本発明に係るデシカント換気扇の第4の構成は、前記第3の構成において、前記制御部は、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度が前記結露注意条件を満たした場合において、外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Td2(0<Td2<Td)以下となった場合、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が所定の閾値湿度RHd2(>RHd)を超えたとき、前記顕熱ロータを連続停止させる運転制御を行うことを特徴とする。
【0024】
この構成により、給気露点温度と内気の温度との差が閾値温度Td2(0<Td2<Td)以下となった場合又は給気相対湿度RHSAの値が閾値湿度RHd2(>RHd)を超えたときには顕熱ロータを連続停止することで、熱交換換気運転時における結露の防止をより効果的に行うことが可能となる。
【0025】
本発明に係るデシカント換気扇の第5の構成は、前記第3の構成において、前記制御部は、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度が前記結露注意条件を満たした場合において、外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Td2(0<Td2<Td)以下となった場合、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が所定の閾値湿度RHd2(>RHd)を超えたとき、前記潜熱交換ユニットを起動する運転制御を行うことを特徴とする。
【0026】
この構成により、給気露点温度と内気の温度との差が閾値温度Td2(0<Td2<Td)以下となった場合又は給気相対湿度RHSAの値が閾値湿度RHd2(>RHd)を超えたときには潜熱交換ユニットを起動することで、熱交換換気運転時における結露の防止をより効果的に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、熱交換換気運転モードにおいて、外気及び内気の温湿度が所定の結露注意条件を満たした場合に、前記顕熱ロータを間歇運転させる運転制御を行うように構成したことで、従来よりも少ないエネルギー消費量で、熱交換換気運転時における結露の防止を効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1に係るデシカント換気扇の構成を表すブロック図である。
【図2】結露防止運転モードの説明のための湿り空気線図である。
【図3】本実施例のデシカント換気扇の換気運転時における普通換気モードと熱交換換気モードとの切換動作を表すフローチャートである。
【図4】本実施例のデシカント換気扇が熱交換換気モードに設定された際の結露防止動作を表すフローチャートである。
【図5】給気口4b付近の隔壁2a近傍の排気(EA)、給気(SA)、及び隔壁2aの温度状態を模式的に示した図である。
【図6】本発明の実施例2のデシカント換気扇の熱交換換気モードにおける結露防止動作を表すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例3のデシカント換気扇の熱交換換気モードにおける結露防止動作を表すフローチャートである。
【図8】特許文献1に記載のデシカント換気扇の構成を表す図である。
【図9】特許文献3(図8)に記載のデシカント換気扇の構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0030】
〔1〕装置構成
図1は、本発明の実施例1に係るデシカント換気扇の構成を表すブロック図である。図1において、本実施例のデシカント換気扇1は、筐体2の内部に空調空間の内気を外気空間へ排気する排気風路3と、外気空間の外気を空調空間へ給気する給気風路4を備えている。ここで、「空調空間」とは、室内空間のような空気調和が行われる空間をいう。「外気空間」とは、室外空間のような空調空間内の空気を排出したり空調空間へ空気を取り入れたりする外部の空間をいう。排気風路3は、空調空間側に還気口3a、外気空間側に排気口3bを開口している。また、給気風路4は、外気空間側に外気口4a、空調空間側に給気口4bを開口している。排気風路3と給気風路4は、隔壁2aにより区画されている。
【0031】
また、デシカント換気扇1は、顕熱ロータ5、デシカントロータ6、排気室内側熱交換器7、排気室外側熱交換器8、給気室内側熱交換器9、給気室外側熱交換器10、内気温湿度センサ11、給気温湿度センサ12、排気送風機13、給気送風機14、冷媒循環路15、コンプレッサ16、四方弁17、第1膨張弁18、第2膨張弁19、及び制御部20を備えている。
【0032】
顕熱ロータ5は、アルミ等の伝熱材を、波板を巻回した形状やハニカム状等の通気可能な短円筒形に形成したロータであり、排気風路3と給気風路4とに跨って回転自在に配設されている。顕熱ロータ5は、駆動モータ(図示せず)によって低速で回転駆動される。
【0033】
デシカントロータ6は、高分子系吸湿材(シリカゲルやゼオライトなど)等の吸湿材の微粒子を担持した短円筒形状のロータであり、顕熱ロータ5に対し外気空間側(排気口3b側又は外気口4a側)の排気風路3と給気風路4とに跨って回転自在に配設されている。デシカントロータ6も、駆動モータ(図示せず)によって低速で回転駆動される。
【0034】
排気室内側熱交換器7は、排気風路3内の顕熱ロータ5とデシカントロータ6との間に配設された熱交換器である。排気室外側熱交換器8は、排気風路3内のデシカントロータ6の下流側(排気口3b側)に配設された熱交換器である。給気室内側熱交換器9は、給気風路4内の顕熱ロータ5の下流側(給気口4b側)に配設された熱交換器である。給気室外側熱交換器10は、給気風路4内のデシカントロータ6の上流側(外気口4a側)に配設された熱交換器である。これら排気室内側熱交換器7、排気室外側熱交換器8、給気室内側熱交換器9、給気室外側熱交換器10は、加熱器又は冷却器として機能する。
【0035】
内気温湿度センサ11は、排気風路3内の還気口3a付近に配設された温湿度センサである。給気温湿度センサ12は、給気風路4内の外気口4a付近に配設された温湿度センサである。内気温湿度センサ11,給気温湿度センサ12は、それぞれ、還気(RA)(=内気),外気(OA)の温度及び絶対湿度(又は相対湿度)を検出する。
【0036】
排気送風機13は、排気風路3内の排気口3b付近に設けられた送風機であり、排気風路3内の空気を排気方向(還気口3aから排気口3bへ向かう方向)に起風する。給気送風機14は、給気風路4内の給気口4b付近に設けられた送風機であり、給気風路4内の空気を給気方向(外気口4aから給気口4bへ向かう方向)に起風する。
【0037】
冷媒循環路15は、排気室内側熱交換器7,排気室外側熱交換器8,給気室内側熱交換器9,及び給気室外側熱交換器10において熱交換を行うための冷媒を循環させる管路である。
【0038】
コンプレッサ16は、冷媒循環路15上に配設されており、冷媒循環路15内の冷媒を圧縮する。
【0039】
四方弁17は、冷媒循環路15上に配設された電動(又は電磁)4ポート弁であり、弁ポートA,B,C,Dを備えている。弁ポートAは冷媒の流入ポートであり、コンプレッサ16の吐出側に接続されている。弁ポートDは冷媒の流出ポートであり、コンプレッサ16の吸入側に接続されている。弁ポートB,Cは冷媒の流出入ポートであり、弁ポートBは排気室内側熱交換器7に接続され、弁ポートCは給気室内側熱交換器9に接続されている。四方弁17は、弁ポートA,Bが連通し且つ弁ポートD,Cが連通する方向(以下、この四方弁17の連通方向を「冷房方向」という。)と、弁ポートA,Cが連通し且つ弁ポートD,Bが連通する方向(以下、この四方弁17の連通方向を「暖房方向」という。)との2方向の切り換えが可能とされている。
【0040】
第1膨張弁18,第2膨張弁19は、冷媒循環路15上に設けられた膨張弁である。
【0041】
冷媒循環路15は、四方弁17の弁ポートDと弁ポートAをコンプレッサ16を介して接続するとともに、四方弁17の弁ポートBと弁ポートCを接続し、弁ポートBから弁ポートCへの冷媒循環路15上には、排気室内側熱交換器7,排気室外側熱交換器8,第2膨張弁19,給気室外側熱交換器10,第1膨張弁18,給気室内側熱交換器9がこの順番で接続されている。
【0042】
制御部20は、顕熱ロータ5,デシカントロータ6,排気送風機13,給気送風機14,コンプレッサ16,四方弁17,第1膨張弁18及び第2膨張弁19の動作を制御する制御装置である。制御部20には、内気温湿度センサ11及び給気温湿度センサ12により検出される温湿度のデータが入力される。この制御部20は、不揮発性メモリを実装したマイコン等により演算装置により構成される。
【0043】
〔2〕運転状態
以上のように構成された本実施例のデシカント換気扇1について、以下その動作について説明する。
【0044】
【表1】

【0045】
表1は、本実施例のデシカント換気扇1の運転モードを示す表である。デシカント換気扇1は、以下のような6つの運転モードをとる。
【0046】
(1)全停止モード
排気送風機13、給気送風機14、顕熱ロータ5、デシカントロータ6、及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)である。
【0047】
(2)換気運転モード
換気運転モードには、次の「普通換気モード」と「熱交換換気モード」がある。
【0048】
(2−1)普通換気モード
排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、顕熱ロータ5、デシカントロータ6、及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされる。すなわち、普通換気モードでは、デシカント換気扇1は熱交換を行わず、通常の換気扇と同様の動作となる。
【0049】
(2−2)熱交換換気モード
排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、顕熱ロータ5は運転状態(ON)、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされる。すなわち、熱交換換気モードは、デシカント換気扇1は潜熱交換を行わず、顕熱交換のみを行う換気運転となる。
【0050】
(3)除湿運転モード
排気送風機13、給気送風機14、顕熱ロータ5、デシカントロータ6、及びコンプレッサ16はともに運転状態(ON)とされ、四方弁17の連通方向は冷房方向(すなわち、コンプレッサ16の吐出側と排気室内側熱交換器7とが連通し、コンプレッサ16の吸入側と給気室内側熱交換器9とが連通する方向)に設定される。以下、四方弁17が冷房方向に設定された状態で冷媒が循環されるコンプレッサ16の運転モードを「冷房モード」という。冷房モードでは、排気室内側熱交換器7及び排気室外側熱交換器8は高温状態、給気室内側熱交換器9及び給気室外側熱交換器10は低温状態となる。
【0051】
除湿運転モードでは、空調空間は冷房状態にあり空調空間内の空気(内気)は外気よりも温度が低い状態にある。空調空間の内気(還気(RA))は、排気送風機13により排気(EA)として排気風路3内に送気され、まず顕熱ロータ5を通過し、その際に顕熱ロータ5を冷却することによって与熱され温度が上昇する。次いで、排気(EA)は、排気室内側熱交換器7を通過し冷媒循環路15内の冷媒の熱を奪熱し冷媒を冷却し、さらに温度が上昇する。次いで、排気(EA)は、デシカントロータ6を通過してその際にデシカントロータ6に吸着された水分を脱離させデシカントロータ6を脱湿する。このとき、脱離熱によって排気(EA)の温度が若干低下する。次いで、排気(EA)は、排気室外側熱交換器8を通過し冷媒循環路15内の冷媒の熱をさらに奪熱して冷媒を冷却した後、排気口3bから外気空間に排出される。一方、外気空間の外気(OA)は、給気送風機14により給気(SA)として給気風路4内に送気され、まず給気室外側熱交換器10を通過し冷媒循環路15内の冷媒に与熱して冷却される。これにより給気(SA)の相対湿度が上昇する。次いで、給気(SA)は、デシカントロータ6を通過してその際にデシカントロータ6に水分が吸着され脱湿される。このとき、吸着熱により給気(SA)の温度が若干上昇する。次いで、給気(SA)は、顕熱ロータ5を通過し、その際に排気風路3側で冷やされた顕熱ロータ5が回転して給気風路4側に来て冷やされ、給気室内側熱交換器9で冷媒循環路15内の冷媒に与熱してさらに冷却された後、給気口4bから空調空間へ放出される。これにより、換気が行われるとともに、排気(EA)と給気(SA)との間で全熱交換が行われる。
【0052】
(4)保湿運転モード
排気送風機13、給気送風機14、顕熱ロータ5、デシカントロータ6、及びコンプレッサ16はともに運転状態(ON)とされ、四方弁17の連通方向は暖房方向(すなわち、コンプレッサ16の吐出側と給気室内側熱交換器9とが連通し、コンプレッサ16の吸入側と排気室内側熱交換器7とが連通する方向)に設定される。以下、四方弁17が暖房方向に設定された状態で冷媒が循環されるコンプレッサ16の運転モードを「暖房モード」という。暖房モードでは、排気室内側熱交換器7及び排気室外側熱交換器8は低温状態、給気室内側熱交換器9及び給気室外側熱交換器10は高温状態となる。
【0053】
保湿運転モードでは、空調空間は暖房状態にあり空調空間内の空気(内気)は外気よりも温度が高い状態にある。空調空間の内気(還気(RA))は、排気送風機13により排気(EA)として排気風路3内に送気され、まず顕熱ロータ5を通過し、その際に顕熱ロータ5に与熱することによって冷却され温度が下がる。次いで、排気(EA)は、排気室内側熱交換器7を通過し冷媒循環路15内の冷媒に与熱し、さらに温度が下降し相対湿度が上昇する。次いで、排気(EA)は、デシカントロータ6を通過してその際にデシカントロータ6に水分が吸着され脱湿される。次いで、排気(EA)は、排気室外側熱交換器8を通過し冷媒循環路15内の冷媒にさらに与熱した後、排気口3bから外気空間に排出される。一方、外気空間の外気(OA)は、給気送風機14により給気(SA)として給気風路4内に送気され、まず給気室外側熱交換器10を通過し冷媒循環路15内の冷媒により加熱され温度が上昇する。これにより給気(SA)の相対湿度が下降する。次いで、給気(SA)は、デシカントロータ6を通過してその際にデシカントロータ6に吸着された水分を脱離させデシカントロータ6を脱湿する。これにより、給気(SA)の相対湿度は上昇する。次いで、給気(SA)は、顕熱ロータ5を通過し、その際に排気風路3側で温められた顕熱ロータ5が回転して給気風路4側に来て温められ、給気室内側熱交換器9で冷媒循環路15内の冷媒により加熱された後、給気口4bから空調空間へ放出される。これにより、換気が行われるとともに、排気(EA)と給気(SA)との間で全熱交換が行われる。
【0054】
(5)結露防止運転モード
排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされる。また、顕熱ロータ5は、間歇的にON/OFFが繰り返される。この結露防止運転モードに関しては、以下に詳細に説明する。
【0055】
〔3〕結露防止動作
図2は、結露防止運転モードの説明のための湿り空気線図である。
夏期に空調空間が冷房されている状態において、熱交換換気運転が行われた場合を考える。例えば、空調空間の内気が温度25℃、相対湿度50%であるとし、外気の相対湿度が80%である場合を例にとって考える。この場合、熱交換換気運転(表1の熱交換換気モード)により排気風路3と給気風路4に排気(EA)と給気(SA)を流通させると、給気風路4を流れる給気(SA)は、顕熱ロータ5において奪熱されその下流側(空調空間側)で温度が低下する。その一方で、排気風路3を流れる排気(EA)は、顕熱ロータ5において与熱されその下流側(外気空間側)で温度が上昇する。
【0056】
図2において、外気温度が30℃の場合、還気口3aから排気風路3へ流入する排気(EA)の温湿度はA点で表され、排気口3bから外気空間へ排出される排気(EA)の温湿度はA’点で表される。一方、外気口4aから給気風路4へ流入する給気(SA)の温湿度はB点で表され、給気口4bから空調空間へ放出される給気(SA)の温湿度はC点で表される。排気風路3内の排気(EA)は顕熱ロータ5の下流側で温度が上昇するため、相対湿度は50%から約45%に低下しているのに対し、給気風路4内の給気(SA)は顕熱ロータ5の下流側で温度が下降するため、相対湿度は80%から約90%に上昇しより結露が発生しやすい状態となる。
【0057】
さらに、外気温度が35℃の場合には、排気口3bから外気空間へ排出される排気(EA)の隔壁2a近傍の温湿度はA”点で表され、外気口4aから給気風路4へ流入する給気(SA)の温湿度はB点で表され、給気口4bから空調空間へ放出される給気(SA)の温湿度はD点で表される。この場合、顕熱ロータ5を通過した給気(SA)は、顕熱ロータ5による奪熱により温度が下降して露点(C点)に達しさらに結露を生じながらD点付近まで降温する。
【0058】
そこで、本実施例のデシカント換気扇1では、このような熱交換換気時の結露の発生を防止するために後述するような結露防止の制御が行われる。
【0059】
図3は、本実施例のデシカント換気扇の換気運転時における普通換気モードと熱交換換気モードとの切換動作を表すフローチャートである。換気運転切換に設定された際には、以下のような動作によって、普通換気運転モード又は熱交換換気運転モードのいずれかが選択される。
【0060】
(ステップS01)
デシカント換気扇1が換気運転モードに設定されると、制御部20は、まず運転状態を普通換気運転モードに設定する。すなわち、排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)、顕熱ロータ5、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とする。
【0061】
(ステップS02)
制御部20は、内気温湿度センサ11により検出される還気(RA)の温度TRA及び給気温湿度センサ12により検出される外気(OA)の温度TOAを取得する。
【0062】
(ステップS03)
制御部20は、還気温度TRAと外気温度TOAを比較し、還気温度TRAが外気温度TOA以上であれば普通換気運転モードを維持し、ステップS01に戻る。還気温度TRAが外気温度TOAより低い場合には、次のステップS04に移行する。
【0063】
(ステップS04)
制御部20は、運転状態を熱交換換気運転モードに設定する。すなわち、排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)、顕熱ロータ5は運転状態(ON)、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とし、ステップS02に戻る。
【0064】
図4は、本実施例のデシカント換気扇が熱交換換気モードに設定された際の結露防止動作を表すフローチャートである。上述の通り、熱交換換気モードにおいては、排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、顕熱ロータ5は運転状態(ON)、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされている。尚、デシカント換気扇1の運転が開始されてしばらくは、内気温湿度センサ11及び給気温湿度センサ12の周囲の熱状態が不安定であり、各センサの検出値は信頼できる安定した値ではない。そこで、制御部20は、運転開始時から各センサ周囲の熱状態が十分平衡に達するまでの所定の時間T0(例えば、10分間)が経過するまでは通常の熱交換換気モードの運転を行い、結露防止運転モードへの切り換えは行われない。所定の時間T0が経過すると、制御部20は、各センサの検出値に応じて、次のように熱交換換気モードと結露防止運転モードの切り換えを適宜行う。
【0065】
(ステップS1)
制御部20は、内気温湿度センサ11及び給気温湿度センサ12により、還気(RA)(=内気)の温度TRA及び絶対湿度HRAと外気(OA)の温度TOA及び絶対湿度HOAを検出する。
【0066】
(ステップS2)
制御部20は、還気(RA)の温度TRA及び外気(OA)の絶対湿度HOAから、温度及び絶対湿度が(TRA,HOA)における露点温度TOA(DP)(以下、これを「給気露点温度」と呼ぶ。)を求める。この給気露点温度TOA(DP)の算出は、図2に示したような湿り空気線図の各温度・各絶対湿度に対する露点温度をルックアップテーブルとして制御部20内の不揮発性メモリに予め記憶させておき、このルックアップテーブルを参照して(TRA,HOA)から給気露点温度TOA(DP)を算出するように構成することができる。
【0067】
そして、制御部20は、給気露点温度TOA(DP)から還気温度TRAを引いた差温TOA(DP)−TRAが所定の閾値温度Td(結露注意温度)以下となった場合には「結露注意条件を満たした」と判定してステップS3以下の結露防止運転モードへ移行し、そうでない場合には「結露注意条件を満たしていない」と判定してステップS1へ戻る。
【0068】
ここで、結露注意温度Tdは0より大きい値に設定されるが、通常は2〜5degに設定するのが好ましい。Tdが2degよりも小さいと実際に隔壁2aに結露が発生する場合があり、Tdが5degよりも大きいと頻繁に結露防止運転モードへ切り替わるようになり、好ましくないからである。
【0069】
(ステップS3)
制御部20は、顕熱ロータ5を停止し、デシカント換気扇1の運転状態を普通換気状態に設定する。すなわち、排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、顕熱ロータ5、デシカントロータ6、及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされる。これにより、顕熱ロータ5による給気(SA)から排気(EA)への熱移動が停止し、顕熱ロータ5よりも下流の給気風路4内の給気(SA)の温度が外気温度TOA付近まで上昇し、顕熱ロータ5から給気口4bにかけての給気風路4内を流れる給気(SA)は結露発生条件から遠ざかる。
【0070】
(ステップS4)
制御部20は、内蔵するタイマをリセット/スタートし、経過時間tの計測を開始する。
【0071】
(ステップS5)
制御部20は、経過時間tが所定の待機時間T1が経過したか否かを判定し、t≧T1となると、顕熱ロータ5から給気口4bにかけての給気風路4内が十分に乾燥したとみなして次のステップS6へ移行する。
【0072】
(ステップS6)
制御部20は、顕熱ロータ5を起動し、デシカント換気扇1の運転状態を熱交換換気状態に戻す。すなわち、排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、顕熱ロータ5は運転状態(ON)、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされる。
【0073】
(ステップS7)
制御部20は、内蔵するタイマをリセット/スタートし、経過時間tの計測を開始する。
【0074】
(ステップS8)
制御部20は、内気温湿度センサ11及び給気温湿度センサ12により、還気(RA)(=内気)の温度TRA及び絶対湿度HRAと外気(OA)の温度TOA及び絶対湿度HOAを検出する。
【0075】
(ステップS9)
制御部20は、還気(RA)の温度TRA及び外気(OA)の絶対湿度HOAから、温度及び絶対湿度が(TRA,HOA)における給気露点温度TOA(DP)を求め、給気露点温度TOA(DP)から還気温度TRAを引いた差温TOA(DP)−TRAが所定の閾値温度Tc(結露注意解除温度)(Tc≧Td)より大きい場合には「結露注意解除条件を満たした」と判定してステップS1の通常の熱交換換気モードへ戻る。そうでない場合には、次のステップS10へ移行する。
【0076】
尚、結露防止運転モードに設定される結露注意温度Tdよりも結露防止運転モードが解除される結露注意解除温度Tcを大きくする(Tc>Tdとする)ことにより、運転状態の遷移にヒステリシスを持たせ、運転モードが頻繁に切り替わることを防止するとともに、結露の防止効果をより高めることができる。
【0077】
(ステップS10)
制御部20は、経過時間tが所定の運転継続時間T2を経過したか否かを判定し、t<T2の場合にはステップS8に戻り、t≧T2になると、上記ステップS3へ移行する。
【0078】
図5は、還気口3a及び給気口4b付近の隔壁2a近傍の排気(EA)、給気(SA)、及び隔壁2aの温度状態を模式的に示した図である。曲線Lは普通換気状態(顕熱ロータ5及びデシカントロータ6が停止した状態)における温度分布状態を表し、Lは熱交換換気状態(顕熱ロータ5が運転されデシカントロータ6が停止した状態)における温度分布状態を表す。夏期の空調空間が冷房されている場合を考え、排気(EA)の温度は給気(SA)の温度よりも低いものとする。隔壁2aの熱伝導率は有限であるため、排気(EA)と給気(SA)の温度差があると管壁内において温度勾配が生じる。また、排気(EA)の温度は、隔壁2aから十分に離れた位置ではほぼ一定値(TEA)であるが、隔壁2aの近傍で対流熱伝導によって図5に示す如く曲線状に上昇する。給気(SA)の温度は、隔壁2aから十分に離れた位置ではほぼ一定値であるが、隔壁2aの近傍で対流熱伝導によって図5に示す如く曲線状に下降する。この排気(EA)の温度と給気(SA)の温度の隔壁2aの近傍における曲がりの大きさは、排気(EA)と給気(SA)の温度差が大きいほど大きくなる。
【0079】
普通換気状態において、隔壁2aから十分に離れた位置における給気(SA)及び排気(EA)の温度をそれぞれTSA1,TEAとし、隔壁2a表面における給気(SA)及び排気(EA)の温度をそれぞれTSA1(s),TEA1(s)とする。また、熱交換換気状態において、隔壁2aから十分に離れた位置における給気(SA)及び排気(EA)の温度をそれぞれTSA2,TEAとし、隔壁2a表面における給気(SA)及び排気(EA)の温度をそれぞれTSA2(s),TEA2(s)とする。還気口3a及び給気口4b付近においては、隔壁2aから十分に離れた位置における排気(EA)の温度は、顕熱ロータ5が運転されているか否かには関係せず一定である。一方、給気(SA)の温度は、顕熱ロータ5が運転されると顕熱ロータ5の奪熱により下降するので、TSA2<TSA1である。
【0080】
普通換気状態においては、給気(SA)から排気(EA)への熱の移動はないため、給気口4b付近での給気(SA)の温度は外気(OA)の温度より稍低い程度である。しかし、熱交換換気状態(顕熱ロータ5が運転された状態)では、顕熱ロータ5によって給気(SA)から排気(EA)へ熱が移動させられるため、給気口4b付近での給気(SA)の温度は低下して還気(RA)の温度より稍高い程度の温度となる。
【0081】
例えば、熱交換換気運転中に外気(OA)が温度35℃、絶対湿度0.029gm Water/gm of Dry Air(図2のB点)、還気(RA)が温度25℃、絶対湿度0.010gm Water/gm of Dry Air(図2のA点)であったとし、給気口4b付近の給気(SA)の温度TSA2が約32℃(図2のC点)付近であったとする。この場合、給気口4b付近の給気(SA)の相対湿度は、図2より、約100%となり、顕熱ロータ5から給気口4bにかけての給気風路4内に結露が生じる。そこで、このような場合、制御部20は、結露防止運転モードに切り替えて顕熱ロータ5を間歇的に停止させ、顕熱ロータ5による給気(SA)からの奪熱を間歇的に停止する。これにより、顕熱ロータ5の停止期間中には給気口4b付近の給気(SA)の温度はTSA2からTSA1に上昇する。例えば、図2のB点付近(温度約33℃)まで上昇する。これにより相対湿度は85%程度に抑えられ、顕熱ロータ5から給気口4bにかけての給気風路4内が乾燥し、結露の発生が抑えられる。
【0082】
以上のように、本実施例のデシカント換気扇1では、熱交換換気運転モードにおいて給気の温湿度と排気の温度が結露発生条件に近づくと、一定の時間(待機時間T1)、顕熱ロータ5を停止して顕熱ロータ5の下流側の給気温度を上昇させる操作を間歇的に繰り返すことにより、顕熱ロータ5から給気口4bにかけての給気風路4内の結露の発生が防止される。また、結露防止のためだけにデシカントロータ6やコンプレッサ16を運転する必要がないため、結露防止のための消費エネルギーを低減することができ、また、使用者が換気を行いたいにも関わらず、防露のためだけに除湿又は保湿が実行されるといったこともない。
【0083】
尚、上述の説明においては、結露防止運転モードにおいて普通換気状態とする待機時間T1及び熱交換換気状態にする運転継続時間T2は固定値としたが、待機時間T1,運転継続時間T2は差温TOA(DP)−TRAの値により変化するように構成してもよい。すなわち、差温TOA(DP)−TRAが大きいほど待機時間T1を短く(又は運転継続時間T2を長く)するように制御してもよい。これにより、内気と外気の温湿度条件が結露が生じやすいほど普通換気状態が長く行われることとなるため、より効果的に顕熱ロータ5から給気口4bにかけての給気風路4内の結露を防止することができる。
【0084】
また、上述の説明においては、ステップS2,S9における「結露注意条件」,「結露注意解除条件」を、「差温TOA(DP)−TRAが結露注意温度Td以下であること」,「差温TOA(DP)−TRAが結露注意温度Tcより大きいこと」としたが、「結露注意条件」,「結露注意解除条件」としては、この条件以外にも、「排気温度TRAと外気絶対湿度HOAから湿り空気線図により求められる給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHd以上であること」,「給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHc以下であること」を結露注意条件,結露注意解除条件としてもよい。
【実施例2】
【0085】
図6は、本発明の実施例2のデシカント換気扇の熱交換換気モードにおける結露防止動作を表すフローチャートである。尚、本実施例のデシカント換気扇のハードウェア構成については、図1と同様である。
【0086】
図6において、図4のフローチャートと同様の動作ステップについては、同符号を付して説明を省略する。本実施例では、ステップS2において制御部20が「結露注意条件を満たした」と判定した場合、次のような制御が行われる点が実施例1と相違している。
【0087】
(ステップS2a)
ステップS2に続いて、制御部20は、給気露点温度TOA(DP)から還気温度TRAを引いた差温TOA(DP)−TRAが所定の閾値温度Td2(0<Td2<Td)(以下「結露警戒温度」という。)以下となった場合には「結露警戒条件を満たした」と判定してステップS3aへ移行し、そうでない場合には「結露警戒条件を満たしていない」と判定してステップS3bへ移行する。
【0088】
(ステップS3a)
制御部20は、顕熱ロータ5及びデシカントロータ6を起動し、四方弁17の連通方向を冷房モードに設定し、コンプレッサ16を起動することにより、デシカント換気扇1の運転状態を除湿運転状態に設定し、ステップS4へ移行する。すなわち、結露警戒条件を満たす場合(例えば、外気の相対湿度が100%に近い場合)には、給気風路4内に結露が生じる可能性が極めて高くなっているため、普通換気運転で給気風路4内を除湿するだけでは結露の防止を十分に行うことができない可能性がある。そこで、そのような場合に限り、デシカントロータ6及びコンプレッサ16を起動して除湿運転を行うことで、給気風路4内の給気(SA)の絶対湿度を低下させ、結露の発生を確実に防止することができる。
【0089】
(ステップS3b)
制御部20は、顕熱ロータ5を停止し、デシカント換気扇1の運転状態を普通換気状態に設定し、ステップS4へ移行する。すなわち、排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、顕熱ロータ5、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされる。これは、実施例1のステップS3と同様である。
【0090】
尚、本実施例においても、待機時間T1及び運転継続時間T2は固定値とせず、待機時間T1,運転継続時間T2は差温TOA(DP)−TRAにより変化するように構成してもよい。すなわち、差温TOA(DP)−TRAが小さいほど待機時間T1を長く(又は運転継続時間T2を短く)するように制御するようにしてもよい。これにより、結露防止運転モードにおいて内気と外気の温湿度条件が結露が生じやすいほど普通換気状態が長く行われるため、より効果的に給気風路4内の結露を防止することができる。
【0091】
また、ステップS2,S9における「結露注意条件」,「結露注意解除条件」としては、上記条件以外にも、「排気温度TRAと外気絶対湿度HOAから湿り空気線図により求められる給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHd以上であること」,「給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHc以下であること」を結露注意条件,結露注意解除条件としてもよい。
【0092】
また、ステップS2aにおける「結露警戒条件」としては、上記条件以外にも、「排気温度TRAと外気絶対湿度HOAから湿り空気線図により求められる給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHd2(>RHd)以上であること」を結露警戒条件としてもよい。
【実施例3】
【0093】
図7は、本発明の実施例3のデシカント換気扇1の熱交換換気モードにおける結露防止動作を表すフローチャートである。尚、本実施例のデシカント換気扇1のハードウェア構成については、図1と同様である。
【0094】
図7において、図6のフローチャートと同様の動作ステップについては、同符号を付して説明を省略する。本実施例では、ステップS2aにおいて制御部20が「結露警戒条件を満たした」と判定した場合、次のような制御が行われる点が実施例2と相違している。
【0095】
(ステップS11)
制御部20は、顕熱ロータ5を停止し、デシカント換気扇1の運転状態を普通換気状態に設定する。すなわち、排気送風機13及び給気送風機14はともに運転状態(ON)とされ、顕熱ロータ5、デシカントロータ6及びコンプレッサ16はともに停止状態(OFF)とされる。これにより、顕熱ロータ5による給気(SA)からの奪熱が停止され、顕熱ロータ5よりも下流の給気風路4内の給気(SA)の温度が外気温度付近まで上昇する。従って、顕熱ロータ5よりも下流の給気風路4内の相対湿度が低下し、結露発生条件から遠ざかる。
【0096】
(ステップS12)
制御部20は、内気温湿度センサ11及び給気温湿度センサ12により、還気(RA)(=内気)の温度TRA及び絶対湿度HRAと外気(OA)の温度TOA及び絶対湿度HOAを検出する。
【0097】
(ステップS13)
制御部20は、還気(RA)の温度TRA及び外気(OA)の絶対湿度HOAから、温度及び絶対湿度が(TRA,HOA)における給気露点温度TOA(DP)を求め、給気露点温度TOA(DP)から還気温度TRAを引いた差温TOA(DP)−TRAが結露警戒解除温度Tc2より小さい場合には「結露警戒解除条件を満たした」と判定してステップS6へ移行し、そうでない場合には、ステップS11へ戻る。
【0098】
以上のように、本実施例のデシカント換気扇1では、制御部20は、熱交換換気モードにおいて内気温湿度センサ11及び給気温湿度センサ12が検出する外気(OA)及び還気(RA)の温湿度が所定の「結露注意条件」を満たした場合においては、顕熱ロータ5を間歇運転させる運転制御を行うとともに、さらに結露が生じる可能性が極めて高い「結露警戒条件」を満たした場合においては、顕熱ロータ5を連続停止させる運転制御を行う。そして、「結露警戒解除条件」を満たせば、再び顕熱ロータ5を間歇運転に戻し、「結露注意解除条件」を満たせば、通常の「熱交換換気運転」に戻す運転制御を行う。これにより、給気風路4内の結露の発生を確実に防止することができる。
【0099】
尚、本実施例においても、待機時間T1及び運転継続時間T2は固定値とせず、待機時間T1,運転継続時間T2は差温TOA(DP)−TRAにより変化するように構成してもよい。すなわち、差温TOA(DP)−TRAが小さいほど待機時間T1を長く(又は運転継続時間T2を短く)するように制御するようにしてもよい。これにより、内気と外気の温湿度条件が結露が生じやすいほど普通換気状態が長く行われるため、より効果的に給気風路4内の結露を防止することができる。
【0100】
また、ステップS2,S9における「結露注意条件」,「結露注意解除条件」としては、上記条件以外にも、「還気温度TRAと外気絶対湿度HOAから湿り空気線図により求められる給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHd以上であること」,「給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHc以下であること」を結露注意条件としてもよい。
【0101】
また、ステップS2a,S13における「結露警戒条件」,「結露警戒解除条件」としては、上記条件以外にも、「排気温度TRAと外気絶対湿度HOAから湿り空気線図により求められる給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHd2(>RHd)以上であること」,「給気相対湿度RHSAが所定の閾値RHc2(≦RHd2)以下であること」を結露警戒条件,結露警戒解除条件としてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 デシカント換気扇
2 筐体
2a 隔壁
3 排気風路
3a 還気口
3b 排気口
4 給気風路
4a 外気口
4b 給気口
5 顕熱ロータ(顕熱交換器)
6 デシカントロータ
7 排気室内側熱交換器
8 排気室外側熱交換器
9 給気室内側熱交換器
10 給気室外側熱交換器
11 内気温湿度センサ
12 給気温湿度センサ
13 排気送風機
14 給気送風機
15 冷媒循環路
16 コンプレッサ
17 四方弁
18 第1膨張弁
19 第2膨張弁
20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空間の内気を外気空間へ排気する排気風路と、
外気空間の外気を空調空間へ給気する給気風路と、
前記排気風路内の空気を排気方向に吸気する排気送風機と、
前記給気風路内の空気を給気方向に吸気する給気送風機と、
前記排気風路及び前記給気風路の間で顕熱交換を行う顕熱交換器と、
前記排気風路及び前記給気風路の間に介設されたデシカントロータと、前記排気風路内及び/又は前記給気風路内の前記デシカントロータの上流側に配設された加熱器とを備え、前記排気風路と給気風路との間で潜熱交換を行う潜熱交換ユニットと、
運転モードとして、少なくとも、内気及び外気の給排気と内気と外気の全熱交換をともに行う除湿運転モード又は保湿運転モードと、内気と外気の潜熱交換を行うことなく顕熱交換のみを行い前記排気送風機及び前記給気送風機を作動させる熱交換換気運転モードとを有し、各運転モードを切り換えて運転制御が可能な制御部と、を備えたデシカント換気扇において、
前記給気風路に流入する空気の温湿度を検出する外気温湿度検出手段と、
前記排気風路に流入する空気の温湿度を検出する内気温湿度検出手段と、を備え、
前記顕熱交換器は、前記排気風路及び前記給気風路の間に介設された伝熱体のロータが回転することによって前記排気風路と給気風路との間で顕熱交換を行う顕熱ロータであり、
前記制御部は、前記熱交換換気運転モードにおいて、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度が所定の結露注意条件を満たした場合に、前記顕熱ロータを間歇運転させる結露防止運転モードの運転制御を行うことを特徴とするデシカント換気扇。
【請求項2】
前記制御部は、前記結露防止運転モードにおいて、外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が小さいほど、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が大きいほど、前記顕熱ロータの停止時間が長くなるように、前記顕熱ロータを間歇運転させる運転制御を行うことを特徴とする請求項1記載のデシカント換気扇。
【請求項3】
前記制御部は、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度に基づき、外気の温度が所定の値を上回った場合又は外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Td(0<Td)以下となった場合、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が所定の閾値湿度RHdを超えた場合に、前記結露注意条件が満たされたと判定して前記結露防止運転モードの運転制御を開始し、外気の温度が所定の値を下回った場合又は外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Tc(≧Td)以上となった場合、又は前記給気相対湿度RHSA及び前記排気相対湿度RHEAが所定の閾値湿度RHc(≦RHd)を下回ったときに前記結露防止運転モードの運転制御を解除することを特徴とする請求項1又は2記載のデシカント換気扇。
【請求項4】
前記制御部は、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度が前記結露注意条件を満たした場合において、外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Td2(0<Td2<Td)以下となった場合、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が所定の閾値湿度RHd2(>RHd)を超えたとき、前記顕熱ロータを連続停止させる運転制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のデシカント換気扇。
【請求項5】
前記制御部は、前記外気温湿度検出手段及び前記内気温湿度検出手段が検出する外気及び内気の温湿度が前記結露注意条件を満たした場合において、外気の絶対湿度から求まる給気露点温度と内気の温度との差の値が所定の閾値温度Td2(0<Td2<Td)以下となった場合、又は外気の絶対湿度と内気の温度とから求まる給気相対湿度RHSAの値が所定の閾値湿度RHd2(>RHd)を超えたとき、前記潜熱交換ユニットを起動する運転制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のデシカント換気扇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−47590(P2013−47590A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186208(P2011−186208)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)
【Fターム(参考)】