デジタル信号記録再生装置及びデジタル信号再生方法
【課題】 デジタル放送のプログラムをデジタルVTRで複数個連続して再生し、デジタル放送の受信・復調装置に入力して復号化する際に、プログラムの変化を示す情報を付加する。
【解決手段】 信号処理マイコン8はデマルチプレクサ12から送られてくる再生VAUXデータ中に記録開始位置(REC START) や記録終了位置(REC END) を示すデータを検出したときに、デジタルインタフェース16に知らせる。デジタルインタフェース16は、デマルチプレクサ12から送られてくるビデオデータを入れるアイソクロナスパケットのヘッダにプログラムの変化を識別する不連続フラグを立てる。
【解決手段】 信号処理マイコン8はデマルチプレクサ12から送られてくる再生VAUXデータ中に記録開始位置(REC START) や記録終了位置(REC END) を示すデータを検出したときに、デジタルインタフェース16に知らせる。デジタルインタフェース16は、デマルチプレクサ12から送られてくるビデオデータを入れるアイソクロナスパケットのヘッダにプログラムの変化を識別する不連続フラグを立てる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MPEG(Moving Picture Image Coding Experts Group)等の高能率符号化技術を応用して符号化されたビデオ信号及びオーディオ信号を記録再生する装置及び再生する方法に関し、詳細には再生プログラムの不連続や変速再生モードであることを示す識別信号を付加する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、米国や欧州諸国において、MPEG等の高能率符号化技術を応用して、ビデオ信号及びオーディオ信号を符号化し、通信衛星等を介して伝送し、受信側においてこれを復調するようにしたシステムが普及しつつある。
【0003】
これらのシステムでは、受信側に専用の受信・復調装置が必要となる。この受信・復調装置においては、複数チャンネルのデータが多重化されたトランスポートストリームから所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択する部分と、所望のチャンネルのトランスポートストリームから所望のプログラムのビデオデータとオーディオデータを分離する部分と、分離したビデオデータ及びオーディオデータを復号化する部分とを備えている。
【0004】
また、このシステムでは、受信・復調装置において、前述した所望のチャンネルのトランスポートストリームの受信や所望のプログラムのビデオデータ及びオーディオデータの分離ができるようにするために、多重化されたトランスポートストリーム中にPSI(Program Spesific Information:プログラム仕様情報)やEPG(Electronic Program Guide:電子番組ガイド)あるいはSI(Service Information:サービス情報)を付加している。
【0005】
従来技術として、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】特開平4−278741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ビデオ信号及びオーディオ信号を符号化して記録/再生するビデオテープレコーダ(以下DVTRという)が商品化されている。そして、このようなDVTRに前述したデジタル放送のビデオデータ及びオーディオデータを復号化せずに記録/再生することが考えられている(久保田 幸雄 編著「図解 デジタルビデオ読本」,pp.140−152,(株)オーム社,平成7年8月25日)。
【0008】
本発明は、前記のようなDVCRがデジタル放送のプログラムを複数個連続して再生し、これを前述した受信・復調装置に入力して復号化する際に、プログラムの変化時における復号化動作を迅速に行なえるようにしたデジタル信号記録再生装置及びデジタル信号再生方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記のようなDVCRの変速再生時の出力を前述した受信・復調装置に入力して復号化する際に、ビデオデータ及びオーディオデータの復号出力が途切れないようにしたデジタル信号記録再生装置及びデジタル信号再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明に係るデジタル信号記録再生装置は、所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を入出力する第1の手段と、第1の手段から送られてくるデジタル信号を記録媒体に記録する第2の手段と、記録媒体に記録されているデジタル信号を再生して第1の手段へ送る第3の手段と、第3の手段から再生されるデジタル信号におけるプログラムの変化を検出する第4の手段とを備え、第4の手段がプログラムの変化を検出したときに、第1の手段から出力するデジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係るデジタル信号再生方法は、所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を記録媒体から再生して外部へ出力する際に、再生中のデジタル信号のプログラムが変化したときに、このデジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするものである。
【0012】
前記本発明に係るデジタル信号記録再生装置及びデジタル信号再生方法において、変速再生時には、さらに第2の識別信号を付加してもよい。
【0013】
本発明によれば、第4の手段は、第3の手段から再生されるデジタル信号におけるプログラムの変化を検出したときに、第1の手段から出力するデジタル信号に第1の識別情報を付加する。
【発明の効果】
【0014】
本発明による再生データを受信・復調装置に入力して復号する際に、プログラムの変化時における復号化動作を迅速に行える。また、変速再生の出力を受信・復調装置に入力して復号化する際に、ビデオデータ及びオーディオデータの復号出力が途切れないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明に係るデジタル信号記録再生装置が再生したMPEGのデジタル信号を受けて復号化するように構成した受信・復調装置について説明する。
【0017】
図4はこの受信・復調装置の構成を示すブロック図である。この受信・復調装置はIRD(Integrated Receiver Decoder)と呼ばれる。
【0018】
この受信・復調装置は、ダウンコンバータ(図示せず)から送られてくるRF信号を入力し、所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択するフロントエンド21と、フロントエンド21で選択したトランスポートストリームから所望のプログラムのMPEGビデオデータとMPEGオーディオデータと付加情報を分離するデマルチプレクサ22と、デマルチプレクサ22を通して入出力するデータを一時的に蓄積するバッファメモリ23とを備えている。
【0019】
また、この受信・復調装置は、デマルチプレクサ22で分離したビデオデータを復号化するMPEGビデオデコーダ24と、デマルチプレクサ22で分離したオーディオデータを復号化するMPEGオーディオデコーダ25と、MPEGビデオデコーダ24で復号化したビデオ信号をNTSC方式のビデオ信号に変換するNTSCエンコーダ26と、NTSCエンコーダ26の出力をアナログ化するD/Aコンバータ27と、MPEGオーディオデコーダ25の出力をアナログ化するD/Aコンバータ28とを備えている。MPEGビデオデコーダ24にはビデオデータを一時的に蓄積するバッファメモリ24aが、またMPEGオーディオデコーダ25には、オーディオデータを一時的に蓄積するバッファメモリ25aが設けられている。
【0020】
さらに、この受信・復調装置は、装置全体の動作を制御するマイクロコンピュータ(以下マイコンという)29と、フロントパネル30と、デマルチプレクサ22で分離したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報を外部へ送信し、また外部から受信したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報をデマルチプレクサ22へ送るデジタルインタフェース31を備えている。
【0021】
フロントエンド21は、チューナとQPSK復調器とエラー訂正回路とから構成されており、多重化されている複数チャンネルのトランスポートストリームから、ユーザーがフロントパネル30で指定した所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択してQPSK復調し、さらにエラーの検出・訂正を行う。
【0022】
図5に1チャンネル分のトランスポートストリームの例を示す。この図に示すように、1チャンネルのトランスポートストリームには複数個のプログラム(ここでは、プログラム番号1〜3を図示)が多重化されている。ここで、プログラムとは仮想的な放送チャンネル、日本の現行放送でいえば、例えばNHK衛星第1、NHK衛星第2等の放送サービスのことである。
【0023】
各プログラムのデータは所定の長さ(188バイト)でパケット化されており、その先頭にヘッダを持っている。そして、ヘッダにはデータを識別するためのPID(Packet Identification:パケットID))が付与されている。
【0024】
フロントエンド21で選択された所望のチャンネルのトランスポートストリームから、デマルチプレクサ22を通して付加情報を含むパケットが一旦バッファメモリ23に書き込まれる。そして、ここから所望のプログラムのMPEGビデオデータとMPEGオーディオデータを認識して分離し、そのビデオデータをMPEGビデオデコーダ24へ、オーディオデータをMPEGオーディオデコーダ25へ送る。図9においては、プログラム番号2のビデオデータとオーディオデータを分離している。
【0025】
この分離に際しては、パケットに付与されているPID(パケットID)を見る。そして、それが所望のプログラムのビデオデータ及びオーディオデータを識別するPIDであれば、それぞれMPEGビデオデコーダ24とMPEGオーディオデコーダ25へ送る。図9においては、プログラム番号2のビデオデータに付与されているPIDは“xx”であり、オーディオデータに付与されているPIDは“yy”である。なお、受信・復調装置においてプログラム番号とPIDとの対応関係を知る方法については、後述する。
【0026】
MPEGビデオデコーダ24へ送られたビデオデータは、バッファメモリ24aに記憶され、適宜読み出されて復号化される。復号化されたビテオデータはNTSCエンコーダ25によりNTSC方式のビデオ信号に変換され、D/Aコンバータ26によりアナログビデオ信号に変換された後、外部のモニタ装置(図示せず)へ供給される。また、MPEGオーディオデコーダ25へ送られたオーディオデータは、バッファメモリ25aに記憶され、適宜読み出されて復号化される。復号化されたオーディオデータは、D/Aコンバータ28によりアナログオーディオ信号に変換された後、モニタ装置等のスピーカー(図示せず)へ供給される。
【0027】
以上のようにして、デジタル放送のビデオ信号及びオーディオ信号を受信し復号化してモニタ装置に表示することができる。
【0028】
次に付加情報について説明する。前述したように、多重化されたビットストリーム中にはPSI(プログラム仕様情報)やEPG(電子番組ガイド)あるいはSI(サービス情報)が付加されている。ここでは、MPEGで規定されているPSIと欧州のデジタル放送であるDVB(Digital Video Broadcasting)システムで規定されているSIについて説明する。
【0029】
(1):PAT(Programme Association Table)
このテーブルはMPEGで規定されており、PID(パケットID)は0である。そして、主な内容は、後述するNITのPIDと、PMTのPIDの記述である。
【0030】
(2):PMT(Programme Map Table)
このテーブルもMPEGで規定されており、PIDは前述したPATにより決められている。主な内容は、プログラム番号とPIDとの対応の記述と、ECM(番組に付随するスクランブルデータ)のPIDの記述である。
【0031】
(3):CAT(Conditional Access Table)
このテーブルもMPEGで規定されており、PIDは1である。そして、主な内容は、EMM(顧客向けのスクランブル情報)の記述である。
【0032】
(4):NIT(Network Information Table)
PIDは0010である。そして、主な内容はネットワーク名(衛星名、地上波送信所等)の記述と、その各トランスポートストリーム(物理チャンネル)に関する変調方式や周波数の記述である。
【0033】
以下のテーブルはDVBで規定されている。
【0034】
(5):BAT(Bouquet Association Table)
PIDは0011である。そして、主な内容は、ブーケ(Bouquet:番組供給者)の名称と仕向国の記述、及びトランスポートストリーム(物理チャンネル)に関するサービスの内容とCASS(Conditional Access Service System)方式の記述である。
【0035】
(6):SDT(Service Description Table)
PIDは0011である。そして、主な内容は、トランスポートストリーム(物理チャンネル)に関し、そこに含まれるサービスIDとそのブーケの名称等の記述である。ここで、サービスIDとは、NHK衛星第1、NHK衛星第2等の放送チャンネルのことである。すなわち、MPEGで規定されているブログラム番号と同じである。
【0036】
(7):EIT(Event Information Table)
PIDは0012である。そして、主な内容は、イベントIDとその開始時刻、放送時間、番組内容等の記述である。そして、このイベントID毎にトランスポートストリームIDとサービスIDが記述されている。ここで、イベントとは、例えば「7時のニュース(12月1日放送分)」等の番組のことである。
【0037】
(8):TDT(Time and Data Table)
PIDは0010である。そして、主な内容は、世界標準時の情報の記述である。このTDTを用いて装置内の時計(図示せず)の時刻合わせを行える。
【0038】
(9):RST(Running Status Table)
PIDは0013である。そして、主な内容は、イベントの実行状況の記述である。すなわち、あるイベントの開始前、実行中、終了等の記述をする。
【0039】
次に受信・復調装置におけるマイコン29が以上説明したPSIとSIをどのように処理するかについて説明する。
【0040】
まず、受信・復調装置においては、各ネットワークの方式に合わせて、定数等の設定を行う。この情報はNITに記述されているので、各トランスポートストリームに対し変調方式、周波数、ビットレート、誤り訂正方式等が得られる。設定後、これらの情報はマイコン29のEEPROM(図示せず)に格納する。
【0041】
次に、EITを用いてイベントの検索を行う。各放送イベントには固有のイベントIDが付与され、EITに放送番組の名称や内容が開始時刻と共に記述され、イベント毎にそのトランスポートストリームIDとサービスIDが記述されている。そこで、EITからトランスポートストリームIDを判別し、NITで得たトランスポートストリームの定数を用いて受信・復調装置を設定し、所望のチャンネルのトランスポートストリーム選択する。
【0042】
以上フロントエンド21において所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択する際の処理を説明した。次にデマルチプレクサ22の出力をMPEGビデオデコーダ24及びMPEGオーディオデコーダ25へ送る際のマイコン29の処理について説明する。
【0043】
図6にデマルチプレクサ22へ入力されるトランスポートストリームの1例とその中のPAT及びPMTの内容を示す。また、図7はバッファメモリ23の内部構成例を示す。そして、図8はこの処理の流れを示す図である。ここでは、プログラム番号1の放送を選択したものとして説明する。
【0044】
まず図8のステップS1に示すように、フロントエンド21の出力をデマルチプレクサ22を通してバッファメモリ23に書き込む。バッファメモリ23は、図7に示すようにデータ毎に格納エリア23A〜23Cが定められているので、それぞれのエリアに書き込む。
【0045】
次にステップS2に示すように、バッファメモリ23の付加情報エリア23Cに書き込んだ付加情報の中からPATを探す。この処理はPIDが0のパケットを探せばよい。図6(2)に示すように、PATにはプログラム毎のPMTのPID(ここでは、PMT1のPIDを“cc”、PMT2のPIDを“dd”とした)が記述されている。
【0046】
そこで、次にPIDが“cc”のパケットを探す。これによりプログラム番号1に対応するPMT1を検出することができる。図6(3)に示すように、PMT1にはプログラム番号1の、MPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及びECMのPIDが記述されている。
【0047】
したがって、プログラム番号1の放送を見る場合には、バッファメモリ23のMPEGビデオデータエリア23AからPIDが“aa”のパケットを読み出し、デマルチプレクサ22を通してMPEGビデオデコーダ24へ送り、MPEGオーディオデータエリア23BからPIDが“ab”のパケットを読み出し、デマルチプレクサ22を通してMPEGオーディオデコーダ25へ送る。図5に示したように、このときヘッダを除いたデータだけを送る。また、PIDが“xx”のパケットに記述されているECM情報を用いてスクランブルをデコードする。
【0048】
もしプログラム番号2の放送を見る場合には、同様にしてPIDが“dd”のパケットを探す。このパケットには図6(4)に示すように、プログラム番号2の、ビデオデータ、オーディオデータ、及びECMのPIDが記述されている。そこで、MPEGビデオデータエリア23AからPIDが“ba”のパケットを読み出してMPEGビデオデコーダ24へ送り、MPEGオーディオデータエリア23BからPIDが“bb”のパケットを読み出してMPEGオーディオデコーダ25へ送る。また、PIDが“zz”のパケットに記述されているECM情報を用いてスクランブルをデコードする。
【0049】
以上フロントエンド21から入力されたトランスポートストリームをデコードする通常の処理について説明した。図4の受信・復調装置は、さらにデマルチプレクサ22で分離したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報をデジタルインタフェース31を介して外部の記録再生装置、例えばDVTRへ出力することができる。また、外部の記録再生装置が出力したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報をデジタルインタフェース31を介して受信し、デマルチプレクサ22へ送ることができる。次にこれらの処理について説明する。
【0050】
まずデマルチプレクサ22の出力をデジタルインタフェース31から外部へ送出する際のマイコン29の処理について説明する。この処理の大半は前述した通常の処理と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
【0051】
MPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータはパケットヘッダを付けたままデジタルインタフェース31へ送る。つまり、マイコン29がバッファメモリ23から読み出すときに、ヘッダごと読み出し、デマルチプレクサ22を通してデジタルインタフェース31へ送る。
【0052】
PSI及びSIもヘッダを付けたままデジタルインタフェース31へ送る。ただし、PATは選択したプログラム番号のPMTを指定するPIDだけを残し、他は除去する。例えばプログラム番号1を選択した場合には、PMT1のPID(図6の場合においては“cc”)だけを残し、他は除去する。
【0053】
このようにしてデジタルインタフェース31へ送られたデータは、ここから外部へ送出される。デジタルインタフェース31は、例えばIEEE−1394に準拠したものである。この場合、データをIEEE−1394のアイソクロナスパケットに入れて出力する。デジタルインタフェース31から出力されたアイソクロナスパケットは、外部のDVTRへ送られる。
【0054】
図9に前述したアイソクロナスパケットのフォーマットを示す。タグ(tag)フィールドの2ビットが012 のときに、データフィールドの先頭に2クァドレットのコモンアイソクロナスパケットヘッダー(以下CIPヘッダーという)を挿入する。デジタルビデオ機器やデジタルオーディオ機器等のデジタルオーディオ・ビデオ信号の実時間データを扱う目的のために、tagの値を012 とする。図10はタグ=012 の値をとる場合のCIPヘッダーを示す。また、図11はCIPヘッダーにおけるFMT(フォーマットタイプ)の割り付け例を示す。本実施の形態では、FMT=1000012 でMPEG信号伝送のフォーマットを指定している。そして、図9に示したCIPヘッダー以降のデータブロックにMPEGのデータを入れる。
【0055】
図1は本発明を適用したDVTRの構成を示すブロック図である。このDVTRはアナログビデオ信号を符号化して記録/再生する機能と、外部から入力されるMPEGのデジタル信号を記録/再生する機能とを有する。
【0056】
まずアナログビデオ信号の記録/再生について説明する。このDVTRは、アナログビデオ信号の記録を行うために、ビデオ信号をデジタル化するA/Dコンバータ1と、A/Dコンバータ1の出力に対してDCT(離散コサイン変換)、量子化、可変長符号化等のデータ圧縮符号化処理を施すデータ圧縮符号化回路2と、データ圧縮符号化回路2の出力をフレーム化するフレーミング回路3とを備えている。
【0057】
また、このこのDVTRは、フレーミング回路3の出力と後述する信号処理マイコン8が作成するビデオ補助データ(VAUXデータ)を合成するマルチプレクサ4と、マルチプレクサ4の出力に誤り訂正符号を付加する誤り訂正符号付加回路7と、誤り訂正符号付加回路7の出力に記録変調処理を施すチャネルエンコーダ6とを備えている。
【0058】
さらに、このDVTRは、ユーザー操作等を基にビデオ信号のTVチャンネル、録画日時等の情報信号の生成等を行うモード処理マイコン7と、モード処理マイコン7の出力を基にVAUXデータの作成等を行う信号処理マイコン8とを備えている。ここで、VAUXデータにはTVチャンネル、録画日時、ビデオテープ上の録画開始位置(REC START) や録画終了位置(REC END) 等がある。
【0059】
図2に誤り訂正符号付加回路5から出力されるデータの1トラック分のフォーマットを示す。この図に示すように、ビデオデータ及びVAUXデータは90バイトのブロック単位に形成される。そして、このデータはチャネルエンコーダ6において記録変調処理を受け、記録アンプ(図示せず)により増幅され、磁気ヘッド(図示せず)を用いてビデオテープ(図示せず)に記録される。なお、実際のDVTRでは、ビデオデータ及びVAUXデータと共にオーディオデータやサブコードデータ等がトラック上で時分割されて記録される。
【0060】
以上アナログのビデオ入力信号を符号化して記録することについて説明した。次に、記録されているビデオ信号の再生について説明する。
【0061】
このDVTRは、ビデオテープから再生され、再生アンプ(図示せず)で増幅されたデータの波形等化やデータクロックの再生等を行う再生回路9と、再生回路9の出力データに対して記録復調処理を施すチャネルデコーダ10と、チャネルデコーダ10の出力に対して誤り訂正処理を施す誤り訂正回路11と、誤り訂正回路11の出力からビデオデータとVAUXデータとを分離するデマルチプレクサ12と、このビデオデータのフレームを分解するデフレーミング回路13と、デフレーミング回路13の出力に対して、可変長符号の復号、逆量子化、逆DCT等の処理を施すデータ圧縮復号化回路14と、データ圧縮復号化回路14の出力をアナログ化してアナログビデオ信号に変換するD/Aコンバータ15とを備えている。なお、デマルチプレクサ12で分離されたVAUXデータは信号処理マイコン8へ送られ、ここからモード処理マイコン7へ送られる。
【0062】
次に、外部から入力される符号化されている信号の記録/再生について説明する。このDVTRは、デジタルインタフェース16を備えている。このデジタルインタフェース16は、図4の受信・復調装置におけるデジタルインタフェース31と同様に構成されている。そして、図4のデジタルインタフェース31との間でIEEE−1394のパケットの送受信を行う。
【0063】
次に、デジタルインタフェース16から入力されるMPEGデータを記録する動作を説明する。前述したように,このMPEGデータは、図4の受信・復調装置のデジタルインタフェース31からアイソクロナスパケットに入れて伝送されたものである。
【0064】
まず、デジタルインタフェース16においてアイソクロナスパケットからMPEGのデータ、すなわちMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報が分離される。分離されたデータはスイッチSW1を通ってマルチプレクサ4へ送られ、ここで信号処理マイコン8から出力されたVAUXデータと多重化され、誤り訂正符号付加回路5により、図2のフォーマットに形成される。つまり、MPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報の全てがビデオデータの記録エリアに記録されることになる。誤り訂正符号付加回路5以後の処理については、前述したアナログビデオ入力信号の記録時と同じである。
【0065】
次に、MPEGデータの再生時の処理について説明する。再生時の処理も、再生データをデマルチプレクサ12へ入力するまでは、前述したビデオ信号の再生時と同じである。デマルチプレクサ12に入力された再生データは、ここでMPEGのデータとVAUXデータとに分離される。MPEGのデータはスイッチSW2を通ってデジタルインタフェース16へ送られる。また、VAUXデータは信号処理マイコン8へ送られる。
【0066】
デジタルインタフェース16では、MPEGデータに対して図9及び図10に示したヘッダーを付加し、アイソクロナスパケットとして外部へ出力する。このアイソクロナスパケットは受信・復調装置のデジタルインタフェース31へ入力され、ここで元のMPEGのビデオデータ、MPEGのビデオデータ、及び付加情報が取り出され、デマルチプレクサ22を通ってバッファメモリ23に書き込まれる。
【0067】
バッファメモリ23に書き込まれたMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータの処理は、前述した、フロントエンド21から入力されたトランスポートストリーム中のこれらのデータの処理と同じである。一方、バッファメモリ23に書き込まれたPSI及びSIに対してマイコン29は以下のように処理する。
【0068】
PATとPMTはそのまま使用する。前述したように、受信・復調装置から外部のDVTRへデータを出力する際に、PATから選択したプログラム番号のPMTを指定するPIDだけを残し、他は除去しているので、ここで外部のDVTRから入力されたデータ中のPATには入力中のプログラム番号のPMTを指定するPIDだけが記述されている。したがって、PATを見てPMTを探し、そのPMTを見て入力中のプログラムのMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータを読み出すことができる。読み出したMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータは、デマルチプレクサ22を通ってMPEGビデオデコータ24及びMPEGオーディオデコータ25へ送られ、以後フロントエンド21からのこれらのデータと同様に処理される。
【0069】
EITについては、PAT内に記述されているプログラムのアクチュアル(actual)かつプレゼント(present)の情報のみをデコードし、他は無視する。ここで、アクチュアルとは選択したチャンネルのトランスポートストリームであることを意味し、プレゼントとは選択したプログラムが現在放送中であることを意味する。
【0070】
RSTについては、PAT内に記述されているプログラムに関するもののみをデコードし、他は無視する。SDTについては、PAT内に記述されているプログラムのアクチュアルのもののみをデコードし、他は無視する。
【0071】
NITはフロントエンド21における設定に必要であるが、デマルチプレクサ22においては必要ないので無視する。BATについても同様に無視する。
【0072】
TDTについては、外部のDVTRの再生信号を入力する際には、再生信号中のTDTは録画時の時刻を示すものであって、現在の時刻を示すものではないため、このTDTは無視する。これにより、内蔵時計の時刻合わせの際に誤った時間に合わせる事態を避けることができる。
【0073】
さらに、外部のDVTRから複数個のプログラムが連続的に入力される場合について説明する。前述したように、マイコン29はPATを見てPMTを探し、そのPMTを見て外部のDVTRから入力中のプログラムのMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータを読み出す。ところが、外部のDVTRが複数個のプログラムを連続的に出力している際に、マイコン29はプログラムが切り替わった場合には、新たにPATを見てPMTを探し、切り替わったプログラムのMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータを読みだすことができない。また、MPEGビデオデコーダ24及びMPEGオーディオデコーダ25においては、復号化処理に過去のデータを用いているため、プログラムが切り替わったときには、バッファメモリ24a及び25a内に残っている切り替え前のプログラムのデータをクリアしなければ、正しい復号化ができない。
【0074】
同様に、SIについても、トランスポートストリームの異なるプログラムに切り替わった場合には、バッファメモリ23内のSIを書き換えることが必要となる。
【0075】
そこで、本実施の形態では、DVTRが再生しているプログラムが変化したときに、アイソクロナスパケットのヘッダにそれを識別するフラグを設けている。すなわち、図10のFDFのビットb0に不連続フラグを設けている。
【0076】
この不連続フラグは、DVTRの再生信号においてトランスポートストリームが不連続になったときに所定の時間(例、1秒間)“H(ハイ)”レベルにする。具体的には、信号処理マイコン8がデマルチプレクサ12から送られてくる再生VAUXデータ中に記録開始位置(REC START)や記録終了位置(REC END)を示すデータを検出したときに、デジタルインタフェース16に知らせることにより、不連続フラグを“H(ハイ)”レベルにする。
【0077】
そして、受信・復調装置においては、デジタルインタフェース31により、この不連続フラグを検出すると、マイコン29がバッファメモリ23内のSIを書き換えると共に、MPEGビデオデコーダ24及びMPEGオーディオデコーダ25に対して、それぞれのバッファメモリ24a,25aをクリアする指令を与える。
【0078】
また、本実施の形態では、DVTRのモードが停止(STOP)から再生(PB)に変化した時にも、前述した不連続フラグを“H(ハイ)”レベルにする。具体的には、モード処理マイコン7がユーザーのPB操作を検出し、それを信号処理マイコン8へ伝え、信号処理マイコン8がデジタルインタフェース16に指令することで実現する。これにより、DVTRがプログラムの途中から再生した場合等においても、受信・復調装置におけるバッファメモリ24a及び25a内のデータのクリアとバッファメモリ23内のSIの書き換えを実行できるようにしている。
【0079】
さらに、本実施の形態では、FDFのビットb1に変速再生フラグを設けている。これは、DVTRの動作モードがスロー及びキュー/レビューの時に“H(ハイ)”レベルにするフラグである。このような変速再生時には、MPEGのIピクチャーのみが有効データとなるため、バッファメモリ24aがアンダフローし、その結果次のIピクチャーが復号化されるまでMPEGビデオデコーダ24の出力が途切れてしまう。そこで、受信・復調装置では、この変速再生フラグを検出した時には、次のIピクチャーが入力されるまで最後に復号化したIピクチャーをMPEGビデオデコーダ24から出力し続けるように構成している。
【0080】
以上説明したフラグを図3に示す。ここで、NPはノーマルプレイのデータであり、TPはトリックプレイのデータである。また、NP1→NP2はノーマルプレイのプログラムが変化したことを示す。
【0081】
以上詳細に説明したように、本発明の実施の形態による再生データを受信・復調装置に入力して復号する際に、プログラムの変化時における復号化動作を迅速に行える。また、変速再生の出力を受信・復調装置に入力して復号化する際に、ビデオデータ及びオーディオデータの復号出力が途切れないようにすることができる。
【0082】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用したDVTRの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の誤り訂正符号付加回路から出力されるデータの1トラック分のフォーマットを示す図である。
【図3】本発明を適用したDVTRにおけるフラグを示す図である。
【図4】本発明に係るデジタル信号記録再生装置の出力を受けるように構成した受信・復調装置の構成を示すブロック図である。
【図5】1チャンネル分のトランスポートストリームの例を示す図である。
【図6】デマルチプレクサへ入力されるトランスポートストリームの1例とその中のPAT及びPMTの内容を示す図である。
【図7】図4におけるバッファメモリ3の内部構成例を示す図である。
【図8】デマルチプレクサの出力をMPEGビデオデコーダ及びMPEGオーディオデコーダへ送る際のマイコンの処理の流れを示す図である。
【図9】アイソクロナスパケットのフォーマットを示す図である。
【図10】タグ=012 の値をとる場合のCIPヘッダーを示す図である。
【図11】CIPヘッダーにおけるFMTの割り付け例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
5 誤り訂正符号付加回路、 6 チャネルエンコーダ、 7 モード処理マイコン、 8 信号処理マイコン、 9 再生回路、 10 チャネルデコーダ、 11 誤り訂正回路、 16 デジタルインタフェース
【技術分野】
【0001】
本発明は、MPEG(Moving Picture Image Coding Experts Group)等の高能率符号化技術を応用して符号化されたビデオ信号及びオーディオ信号を記録再生する装置及び再生する方法に関し、詳細には再生プログラムの不連続や変速再生モードであることを示す識別信号を付加する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、米国や欧州諸国において、MPEG等の高能率符号化技術を応用して、ビデオ信号及びオーディオ信号を符号化し、通信衛星等を介して伝送し、受信側においてこれを復調するようにしたシステムが普及しつつある。
【0003】
これらのシステムでは、受信側に専用の受信・復調装置が必要となる。この受信・復調装置においては、複数チャンネルのデータが多重化されたトランスポートストリームから所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択する部分と、所望のチャンネルのトランスポートストリームから所望のプログラムのビデオデータとオーディオデータを分離する部分と、分離したビデオデータ及びオーディオデータを復号化する部分とを備えている。
【0004】
また、このシステムでは、受信・復調装置において、前述した所望のチャンネルのトランスポートストリームの受信や所望のプログラムのビデオデータ及びオーディオデータの分離ができるようにするために、多重化されたトランスポートストリーム中にPSI(Program Spesific Information:プログラム仕様情報)やEPG(Electronic Program Guide:電子番組ガイド)あるいはSI(Service Information:サービス情報)を付加している。
【0005】
従来技術として、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】特開平4−278741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ビデオ信号及びオーディオ信号を符号化して記録/再生するビデオテープレコーダ(以下DVTRという)が商品化されている。そして、このようなDVTRに前述したデジタル放送のビデオデータ及びオーディオデータを復号化せずに記録/再生することが考えられている(久保田 幸雄 編著「図解 デジタルビデオ読本」,pp.140−152,(株)オーム社,平成7年8月25日)。
【0008】
本発明は、前記のようなDVCRがデジタル放送のプログラムを複数個連続して再生し、これを前述した受信・復調装置に入力して復号化する際に、プログラムの変化時における復号化動作を迅速に行なえるようにしたデジタル信号記録再生装置及びデジタル信号再生方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記のようなDVCRの変速再生時の出力を前述した受信・復調装置に入力して復号化する際に、ビデオデータ及びオーディオデータの復号出力が途切れないようにしたデジタル信号記録再生装置及びデジタル信号再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明に係るデジタル信号記録再生装置は、所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を入出力する第1の手段と、第1の手段から送られてくるデジタル信号を記録媒体に記録する第2の手段と、記録媒体に記録されているデジタル信号を再生して第1の手段へ送る第3の手段と、第3の手段から再生されるデジタル信号におけるプログラムの変化を検出する第4の手段とを備え、第4の手段がプログラムの変化を検出したときに、第1の手段から出力するデジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係るデジタル信号再生方法は、所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を記録媒体から再生して外部へ出力する際に、再生中のデジタル信号のプログラムが変化したときに、このデジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするものである。
【0012】
前記本発明に係るデジタル信号記録再生装置及びデジタル信号再生方法において、変速再生時には、さらに第2の識別信号を付加してもよい。
【0013】
本発明によれば、第4の手段は、第3の手段から再生されるデジタル信号におけるプログラムの変化を検出したときに、第1の手段から出力するデジタル信号に第1の識別情報を付加する。
【発明の効果】
【0014】
本発明による再生データを受信・復調装置に入力して復号する際に、プログラムの変化時における復号化動作を迅速に行える。また、変速再生の出力を受信・復調装置に入力して復号化する際に、ビデオデータ及びオーディオデータの復号出力が途切れないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明に係るデジタル信号記録再生装置が再生したMPEGのデジタル信号を受けて復号化するように構成した受信・復調装置について説明する。
【0017】
図4はこの受信・復調装置の構成を示すブロック図である。この受信・復調装置はIRD(Integrated Receiver Decoder)と呼ばれる。
【0018】
この受信・復調装置は、ダウンコンバータ(図示せず)から送られてくるRF信号を入力し、所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択するフロントエンド21と、フロントエンド21で選択したトランスポートストリームから所望のプログラムのMPEGビデオデータとMPEGオーディオデータと付加情報を分離するデマルチプレクサ22と、デマルチプレクサ22を通して入出力するデータを一時的に蓄積するバッファメモリ23とを備えている。
【0019】
また、この受信・復調装置は、デマルチプレクサ22で分離したビデオデータを復号化するMPEGビデオデコーダ24と、デマルチプレクサ22で分離したオーディオデータを復号化するMPEGオーディオデコーダ25と、MPEGビデオデコーダ24で復号化したビデオ信号をNTSC方式のビデオ信号に変換するNTSCエンコーダ26と、NTSCエンコーダ26の出力をアナログ化するD/Aコンバータ27と、MPEGオーディオデコーダ25の出力をアナログ化するD/Aコンバータ28とを備えている。MPEGビデオデコーダ24にはビデオデータを一時的に蓄積するバッファメモリ24aが、またMPEGオーディオデコーダ25には、オーディオデータを一時的に蓄積するバッファメモリ25aが設けられている。
【0020】
さらに、この受信・復調装置は、装置全体の動作を制御するマイクロコンピュータ(以下マイコンという)29と、フロントパネル30と、デマルチプレクサ22で分離したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報を外部へ送信し、また外部から受信したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報をデマルチプレクサ22へ送るデジタルインタフェース31を備えている。
【0021】
フロントエンド21は、チューナとQPSK復調器とエラー訂正回路とから構成されており、多重化されている複数チャンネルのトランスポートストリームから、ユーザーがフロントパネル30で指定した所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択してQPSK復調し、さらにエラーの検出・訂正を行う。
【0022】
図5に1チャンネル分のトランスポートストリームの例を示す。この図に示すように、1チャンネルのトランスポートストリームには複数個のプログラム(ここでは、プログラム番号1〜3を図示)が多重化されている。ここで、プログラムとは仮想的な放送チャンネル、日本の現行放送でいえば、例えばNHK衛星第1、NHK衛星第2等の放送サービスのことである。
【0023】
各プログラムのデータは所定の長さ(188バイト)でパケット化されており、その先頭にヘッダを持っている。そして、ヘッダにはデータを識別するためのPID(Packet Identification:パケットID))が付与されている。
【0024】
フロントエンド21で選択された所望のチャンネルのトランスポートストリームから、デマルチプレクサ22を通して付加情報を含むパケットが一旦バッファメモリ23に書き込まれる。そして、ここから所望のプログラムのMPEGビデオデータとMPEGオーディオデータを認識して分離し、そのビデオデータをMPEGビデオデコーダ24へ、オーディオデータをMPEGオーディオデコーダ25へ送る。図9においては、プログラム番号2のビデオデータとオーディオデータを分離している。
【0025】
この分離に際しては、パケットに付与されているPID(パケットID)を見る。そして、それが所望のプログラムのビデオデータ及びオーディオデータを識別するPIDであれば、それぞれMPEGビデオデコーダ24とMPEGオーディオデコーダ25へ送る。図9においては、プログラム番号2のビデオデータに付与されているPIDは“xx”であり、オーディオデータに付与されているPIDは“yy”である。なお、受信・復調装置においてプログラム番号とPIDとの対応関係を知る方法については、後述する。
【0026】
MPEGビデオデコーダ24へ送られたビデオデータは、バッファメモリ24aに記憶され、適宜読み出されて復号化される。復号化されたビテオデータはNTSCエンコーダ25によりNTSC方式のビデオ信号に変換され、D/Aコンバータ26によりアナログビデオ信号に変換された後、外部のモニタ装置(図示せず)へ供給される。また、MPEGオーディオデコーダ25へ送られたオーディオデータは、バッファメモリ25aに記憶され、適宜読み出されて復号化される。復号化されたオーディオデータは、D/Aコンバータ28によりアナログオーディオ信号に変換された後、モニタ装置等のスピーカー(図示せず)へ供給される。
【0027】
以上のようにして、デジタル放送のビデオ信号及びオーディオ信号を受信し復号化してモニタ装置に表示することができる。
【0028】
次に付加情報について説明する。前述したように、多重化されたビットストリーム中にはPSI(プログラム仕様情報)やEPG(電子番組ガイド)あるいはSI(サービス情報)が付加されている。ここでは、MPEGで規定されているPSIと欧州のデジタル放送であるDVB(Digital Video Broadcasting)システムで規定されているSIについて説明する。
【0029】
(1):PAT(Programme Association Table)
このテーブルはMPEGで規定されており、PID(パケットID)は0である。そして、主な内容は、後述するNITのPIDと、PMTのPIDの記述である。
【0030】
(2):PMT(Programme Map Table)
このテーブルもMPEGで規定されており、PIDは前述したPATにより決められている。主な内容は、プログラム番号とPIDとの対応の記述と、ECM(番組に付随するスクランブルデータ)のPIDの記述である。
【0031】
(3):CAT(Conditional Access Table)
このテーブルもMPEGで規定されており、PIDは1である。そして、主な内容は、EMM(顧客向けのスクランブル情報)の記述である。
【0032】
(4):NIT(Network Information Table)
PIDは0010である。そして、主な内容はネットワーク名(衛星名、地上波送信所等)の記述と、その各トランスポートストリーム(物理チャンネル)に関する変調方式や周波数の記述である。
【0033】
以下のテーブルはDVBで規定されている。
【0034】
(5):BAT(Bouquet Association Table)
PIDは0011である。そして、主な内容は、ブーケ(Bouquet:番組供給者)の名称と仕向国の記述、及びトランスポートストリーム(物理チャンネル)に関するサービスの内容とCASS(Conditional Access Service System)方式の記述である。
【0035】
(6):SDT(Service Description Table)
PIDは0011である。そして、主な内容は、トランスポートストリーム(物理チャンネル)に関し、そこに含まれるサービスIDとそのブーケの名称等の記述である。ここで、サービスIDとは、NHK衛星第1、NHK衛星第2等の放送チャンネルのことである。すなわち、MPEGで規定されているブログラム番号と同じである。
【0036】
(7):EIT(Event Information Table)
PIDは0012である。そして、主な内容は、イベントIDとその開始時刻、放送時間、番組内容等の記述である。そして、このイベントID毎にトランスポートストリームIDとサービスIDが記述されている。ここで、イベントとは、例えば「7時のニュース(12月1日放送分)」等の番組のことである。
【0037】
(8):TDT(Time and Data Table)
PIDは0010である。そして、主な内容は、世界標準時の情報の記述である。このTDTを用いて装置内の時計(図示せず)の時刻合わせを行える。
【0038】
(9):RST(Running Status Table)
PIDは0013である。そして、主な内容は、イベントの実行状況の記述である。すなわち、あるイベントの開始前、実行中、終了等の記述をする。
【0039】
次に受信・復調装置におけるマイコン29が以上説明したPSIとSIをどのように処理するかについて説明する。
【0040】
まず、受信・復調装置においては、各ネットワークの方式に合わせて、定数等の設定を行う。この情報はNITに記述されているので、各トランスポートストリームに対し変調方式、周波数、ビットレート、誤り訂正方式等が得られる。設定後、これらの情報はマイコン29のEEPROM(図示せず)に格納する。
【0041】
次に、EITを用いてイベントの検索を行う。各放送イベントには固有のイベントIDが付与され、EITに放送番組の名称や内容が開始時刻と共に記述され、イベント毎にそのトランスポートストリームIDとサービスIDが記述されている。そこで、EITからトランスポートストリームIDを判別し、NITで得たトランスポートストリームの定数を用いて受信・復調装置を設定し、所望のチャンネルのトランスポートストリーム選択する。
【0042】
以上フロントエンド21において所望のチャンネルのトランスポートストリームを選択する際の処理を説明した。次にデマルチプレクサ22の出力をMPEGビデオデコーダ24及びMPEGオーディオデコーダ25へ送る際のマイコン29の処理について説明する。
【0043】
図6にデマルチプレクサ22へ入力されるトランスポートストリームの1例とその中のPAT及びPMTの内容を示す。また、図7はバッファメモリ23の内部構成例を示す。そして、図8はこの処理の流れを示す図である。ここでは、プログラム番号1の放送を選択したものとして説明する。
【0044】
まず図8のステップS1に示すように、フロントエンド21の出力をデマルチプレクサ22を通してバッファメモリ23に書き込む。バッファメモリ23は、図7に示すようにデータ毎に格納エリア23A〜23Cが定められているので、それぞれのエリアに書き込む。
【0045】
次にステップS2に示すように、バッファメモリ23の付加情報エリア23Cに書き込んだ付加情報の中からPATを探す。この処理はPIDが0のパケットを探せばよい。図6(2)に示すように、PATにはプログラム毎のPMTのPID(ここでは、PMT1のPIDを“cc”、PMT2のPIDを“dd”とした)が記述されている。
【0046】
そこで、次にPIDが“cc”のパケットを探す。これによりプログラム番号1に対応するPMT1を検出することができる。図6(3)に示すように、PMT1にはプログラム番号1の、MPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及びECMのPIDが記述されている。
【0047】
したがって、プログラム番号1の放送を見る場合には、バッファメモリ23のMPEGビデオデータエリア23AからPIDが“aa”のパケットを読み出し、デマルチプレクサ22を通してMPEGビデオデコーダ24へ送り、MPEGオーディオデータエリア23BからPIDが“ab”のパケットを読み出し、デマルチプレクサ22を通してMPEGオーディオデコーダ25へ送る。図5に示したように、このときヘッダを除いたデータだけを送る。また、PIDが“xx”のパケットに記述されているECM情報を用いてスクランブルをデコードする。
【0048】
もしプログラム番号2の放送を見る場合には、同様にしてPIDが“dd”のパケットを探す。このパケットには図6(4)に示すように、プログラム番号2の、ビデオデータ、オーディオデータ、及びECMのPIDが記述されている。そこで、MPEGビデオデータエリア23AからPIDが“ba”のパケットを読み出してMPEGビデオデコーダ24へ送り、MPEGオーディオデータエリア23BからPIDが“bb”のパケットを読み出してMPEGオーディオデコーダ25へ送る。また、PIDが“zz”のパケットに記述されているECM情報を用いてスクランブルをデコードする。
【0049】
以上フロントエンド21から入力されたトランスポートストリームをデコードする通常の処理について説明した。図4の受信・復調装置は、さらにデマルチプレクサ22で分離したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報をデジタルインタフェース31を介して外部の記録再生装置、例えばDVTRへ出力することができる。また、外部の記録再生装置が出力したMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報をデジタルインタフェース31を介して受信し、デマルチプレクサ22へ送ることができる。次にこれらの処理について説明する。
【0050】
まずデマルチプレクサ22の出力をデジタルインタフェース31から外部へ送出する際のマイコン29の処理について説明する。この処理の大半は前述した通常の処理と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
【0051】
MPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータはパケットヘッダを付けたままデジタルインタフェース31へ送る。つまり、マイコン29がバッファメモリ23から読み出すときに、ヘッダごと読み出し、デマルチプレクサ22を通してデジタルインタフェース31へ送る。
【0052】
PSI及びSIもヘッダを付けたままデジタルインタフェース31へ送る。ただし、PATは選択したプログラム番号のPMTを指定するPIDだけを残し、他は除去する。例えばプログラム番号1を選択した場合には、PMT1のPID(図6の場合においては“cc”)だけを残し、他は除去する。
【0053】
このようにしてデジタルインタフェース31へ送られたデータは、ここから外部へ送出される。デジタルインタフェース31は、例えばIEEE−1394に準拠したものである。この場合、データをIEEE−1394のアイソクロナスパケットに入れて出力する。デジタルインタフェース31から出力されたアイソクロナスパケットは、外部のDVTRへ送られる。
【0054】
図9に前述したアイソクロナスパケットのフォーマットを示す。タグ(tag)フィールドの2ビットが012 のときに、データフィールドの先頭に2クァドレットのコモンアイソクロナスパケットヘッダー(以下CIPヘッダーという)を挿入する。デジタルビデオ機器やデジタルオーディオ機器等のデジタルオーディオ・ビデオ信号の実時間データを扱う目的のために、tagの値を012 とする。図10はタグ=012 の値をとる場合のCIPヘッダーを示す。また、図11はCIPヘッダーにおけるFMT(フォーマットタイプ)の割り付け例を示す。本実施の形態では、FMT=1000012 でMPEG信号伝送のフォーマットを指定している。そして、図9に示したCIPヘッダー以降のデータブロックにMPEGのデータを入れる。
【0055】
図1は本発明を適用したDVTRの構成を示すブロック図である。このDVTRはアナログビデオ信号を符号化して記録/再生する機能と、外部から入力されるMPEGのデジタル信号を記録/再生する機能とを有する。
【0056】
まずアナログビデオ信号の記録/再生について説明する。このDVTRは、アナログビデオ信号の記録を行うために、ビデオ信号をデジタル化するA/Dコンバータ1と、A/Dコンバータ1の出力に対してDCT(離散コサイン変換)、量子化、可変長符号化等のデータ圧縮符号化処理を施すデータ圧縮符号化回路2と、データ圧縮符号化回路2の出力をフレーム化するフレーミング回路3とを備えている。
【0057】
また、このこのDVTRは、フレーミング回路3の出力と後述する信号処理マイコン8が作成するビデオ補助データ(VAUXデータ)を合成するマルチプレクサ4と、マルチプレクサ4の出力に誤り訂正符号を付加する誤り訂正符号付加回路7と、誤り訂正符号付加回路7の出力に記録変調処理を施すチャネルエンコーダ6とを備えている。
【0058】
さらに、このDVTRは、ユーザー操作等を基にビデオ信号のTVチャンネル、録画日時等の情報信号の生成等を行うモード処理マイコン7と、モード処理マイコン7の出力を基にVAUXデータの作成等を行う信号処理マイコン8とを備えている。ここで、VAUXデータにはTVチャンネル、録画日時、ビデオテープ上の録画開始位置(REC START) や録画終了位置(REC END) 等がある。
【0059】
図2に誤り訂正符号付加回路5から出力されるデータの1トラック分のフォーマットを示す。この図に示すように、ビデオデータ及びVAUXデータは90バイトのブロック単位に形成される。そして、このデータはチャネルエンコーダ6において記録変調処理を受け、記録アンプ(図示せず)により増幅され、磁気ヘッド(図示せず)を用いてビデオテープ(図示せず)に記録される。なお、実際のDVTRでは、ビデオデータ及びVAUXデータと共にオーディオデータやサブコードデータ等がトラック上で時分割されて記録される。
【0060】
以上アナログのビデオ入力信号を符号化して記録することについて説明した。次に、記録されているビデオ信号の再生について説明する。
【0061】
このDVTRは、ビデオテープから再生され、再生アンプ(図示せず)で増幅されたデータの波形等化やデータクロックの再生等を行う再生回路9と、再生回路9の出力データに対して記録復調処理を施すチャネルデコーダ10と、チャネルデコーダ10の出力に対して誤り訂正処理を施す誤り訂正回路11と、誤り訂正回路11の出力からビデオデータとVAUXデータとを分離するデマルチプレクサ12と、このビデオデータのフレームを分解するデフレーミング回路13と、デフレーミング回路13の出力に対して、可変長符号の復号、逆量子化、逆DCT等の処理を施すデータ圧縮復号化回路14と、データ圧縮復号化回路14の出力をアナログ化してアナログビデオ信号に変換するD/Aコンバータ15とを備えている。なお、デマルチプレクサ12で分離されたVAUXデータは信号処理マイコン8へ送られ、ここからモード処理マイコン7へ送られる。
【0062】
次に、外部から入力される符号化されている信号の記録/再生について説明する。このDVTRは、デジタルインタフェース16を備えている。このデジタルインタフェース16は、図4の受信・復調装置におけるデジタルインタフェース31と同様に構成されている。そして、図4のデジタルインタフェース31との間でIEEE−1394のパケットの送受信を行う。
【0063】
次に、デジタルインタフェース16から入力されるMPEGデータを記録する動作を説明する。前述したように,このMPEGデータは、図4の受信・復調装置のデジタルインタフェース31からアイソクロナスパケットに入れて伝送されたものである。
【0064】
まず、デジタルインタフェース16においてアイソクロナスパケットからMPEGのデータ、すなわちMPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報が分離される。分離されたデータはスイッチSW1を通ってマルチプレクサ4へ送られ、ここで信号処理マイコン8から出力されたVAUXデータと多重化され、誤り訂正符号付加回路5により、図2のフォーマットに形成される。つまり、MPEGビデオデータ、MPEGオーディオデータ、及び付加情報の全てがビデオデータの記録エリアに記録されることになる。誤り訂正符号付加回路5以後の処理については、前述したアナログビデオ入力信号の記録時と同じである。
【0065】
次に、MPEGデータの再生時の処理について説明する。再生時の処理も、再生データをデマルチプレクサ12へ入力するまでは、前述したビデオ信号の再生時と同じである。デマルチプレクサ12に入力された再生データは、ここでMPEGのデータとVAUXデータとに分離される。MPEGのデータはスイッチSW2を通ってデジタルインタフェース16へ送られる。また、VAUXデータは信号処理マイコン8へ送られる。
【0066】
デジタルインタフェース16では、MPEGデータに対して図9及び図10に示したヘッダーを付加し、アイソクロナスパケットとして外部へ出力する。このアイソクロナスパケットは受信・復調装置のデジタルインタフェース31へ入力され、ここで元のMPEGのビデオデータ、MPEGのビデオデータ、及び付加情報が取り出され、デマルチプレクサ22を通ってバッファメモリ23に書き込まれる。
【0067】
バッファメモリ23に書き込まれたMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータの処理は、前述した、フロントエンド21から入力されたトランスポートストリーム中のこれらのデータの処理と同じである。一方、バッファメモリ23に書き込まれたPSI及びSIに対してマイコン29は以下のように処理する。
【0068】
PATとPMTはそのまま使用する。前述したように、受信・復調装置から外部のDVTRへデータを出力する際に、PATから選択したプログラム番号のPMTを指定するPIDだけを残し、他は除去しているので、ここで外部のDVTRから入力されたデータ中のPATには入力中のプログラム番号のPMTを指定するPIDだけが記述されている。したがって、PATを見てPMTを探し、そのPMTを見て入力中のプログラムのMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータを読み出すことができる。読み出したMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータは、デマルチプレクサ22を通ってMPEGビデオデコータ24及びMPEGオーディオデコータ25へ送られ、以後フロントエンド21からのこれらのデータと同様に処理される。
【0069】
EITについては、PAT内に記述されているプログラムのアクチュアル(actual)かつプレゼント(present)の情報のみをデコードし、他は無視する。ここで、アクチュアルとは選択したチャンネルのトランスポートストリームであることを意味し、プレゼントとは選択したプログラムが現在放送中であることを意味する。
【0070】
RSTについては、PAT内に記述されているプログラムに関するもののみをデコードし、他は無視する。SDTについては、PAT内に記述されているプログラムのアクチュアルのもののみをデコードし、他は無視する。
【0071】
NITはフロントエンド21における設定に必要であるが、デマルチプレクサ22においては必要ないので無視する。BATについても同様に無視する。
【0072】
TDTについては、外部のDVTRの再生信号を入力する際には、再生信号中のTDTは録画時の時刻を示すものであって、現在の時刻を示すものではないため、このTDTは無視する。これにより、内蔵時計の時刻合わせの際に誤った時間に合わせる事態を避けることができる。
【0073】
さらに、外部のDVTRから複数個のプログラムが連続的に入力される場合について説明する。前述したように、マイコン29はPATを見てPMTを探し、そのPMTを見て外部のDVTRから入力中のプログラムのMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータを読み出す。ところが、外部のDVTRが複数個のプログラムを連続的に出力している際に、マイコン29はプログラムが切り替わった場合には、新たにPATを見てPMTを探し、切り替わったプログラムのMPEGビデオデータ及びMPEGオーディオデータを読みだすことができない。また、MPEGビデオデコーダ24及びMPEGオーディオデコーダ25においては、復号化処理に過去のデータを用いているため、プログラムが切り替わったときには、バッファメモリ24a及び25a内に残っている切り替え前のプログラムのデータをクリアしなければ、正しい復号化ができない。
【0074】
同様に、SIについても、トランスポートストリームの異なるプログラムに切り替わった場合には、バッファメモリ23内のSIを書き換えることが必要となる。
【0075】
そこで、本実施の形態では、DVTRが再生しているプログラムが変化したときに、アイソクロナスパケットのヘッダにそれを識別するフラグを設けている。すなわち、図10のFDFのビットb0に不連続フラグを設けている。
【0076】
この不連続フラグは、DVTRの再生信号においてトランスポートストリームが不連続になったときに所定の時間(例、1秒間)“H(ハイ)”レベルにする。具体的には、信号処理マイコン8がデマルチプレクサ12から送られてくる再生VAUXデータ中に記録開始位置(REC START)や記録終了位置(REC END)を示すデータを検出したときに、デジタルインタフェース16に知らせることにより、不連続フラグを“H(ハイ)”レベルにする。
【0077】
そして、受信・復調装置においては、デジタルインタフェース31により、この不連続フラグを検出すると、マイコン29がバッファメモリ23内のSIを書き換えると共に、MPEGビデオデコーダ24及びMPEGオーディオデコーダ25に対して、それぞれのバッファメモリ24a,25aをクリアする指令を与える。
【0078】
また、本実施の形態では、DVTRのモードが停止(STOP)から再生(PB)に変化した時にも、前述した不連続フラグを“H(ハイ)”レベルにする。具体的には、モード処理マイコン7がユーザーのPB操作を検出し、それを信号処理マイコン8へ伝え、信号処理マイコン8がデジタルインタフェース16に指令することで実現する。これにより、DVTRがプログラムの途中から再生した場合等においても、受信・復調装置におけるバッファメモリ24a及び25a内のデータのクリアとバッファメモリ23内のSIの書き換えを実行できるようにしている。
【0079】
さらに、本実施の形態では、FDFのビットb1に変速再生フラグを設けている。これは、DVTRの動作モードがスロー及びキュー/レビューの時に“H(ハイ)”レベルにするフラグである。このような変速再生時には、MPEGのIピクチャーのみが有効データとなるため、バッファメモリ24aがアンダフローし、その結果次のIピクチャーが復号化されるまでMPEGビデオデコーダ24の出力が途切れてしまう。そこで、受信・復調装置では、この変速再生フラグを検出した時には、次のIピクチャーが入力されるまで最後に復号化したIピクチャーをMPEGビデオデコーダ24から出力し続けるように構成している。
【0080】
以上説明したフラグを図3に示す。ここで、NPはノーマルプレイのデータであり、TPはトリックプレイのデータである。また、NP1→NP2はノーマルプレイのプログラムが変化したことを示す。
【0081】
以上詳細に説明したように、本発明の実施の形態による再生データを受信・復調装置に入力して復号する際に、プログラムの変化時における復号化動作を迅速に行える。また、変速再生の出力を受信・復調装置に入力して復号化する際に、ビデオデータ及びオーディオデータの復号出力が途切れないようにすることができる。
【0082】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用したDVTRの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の誤り訂正符号付加回路から出力されるデータの1トラック分のフォーマットを示す図である。
【図3】本発明を適用したDVTRにおけるフラグを示す図である。
【図4】本発明に係るデジタル信号記録再生装置の出力を受けるように構成した受信・復調装置の構成を示すブロック図である。
【図5】1チャンネル分のトランスポートストリームの例を示す図である。
【図6】デマルチプレクサへ入力されるトランスポートストリームの1例とその中のPAT及びPMTの内容を示す図である。
【図7】図4におけるバッファメモリ3の内部構成例を示す図である。
【図8】デマルチプレクサの出力をMPEGビデオデコーダ及びMPEGオーディオデコーダへ送る際のマイコンの処理の流れを示す図である。
【図9】アイソクロナスパケットのフォーマットを示す図である。
【図10】タグ=012 の値をとる場合のCIPヘッダーを示す図である。
【図11】CIPヘッダーにおけるFMTの割り付け例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
5 誤り訂正符号付加回路、 6 チャネルエンコーダ、 7 モード処理マイコン、 8 信号処理マイコン、 9 再生回路、 10 チャネルデコーダ、 11 誤り訂正回路、 16 デジタルインタフェース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を入出力する第1の手段と、前記第1の手段から送られてくる前記デジタル信号を記録媒体に記録する第2の手段と、前記記録媒体に記録されている前記デジタル信号を再生して前記第1の手段へ送る第3の手段と、前記第3の手段から再生されるデジタル信号におけるプログラムの変化を検出する第4の手段とを備え、前記第4の手段が前記プログラムの変化を検出したときに、前記第1の手段から出力するデジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするデジタル信号記録再生装置。
【請求項2】
動作モードを入力する第5の手段をさらに備え、前記第5の手段から変速再生モードが指定されたときに、第1の手段から出力するデジタル信号に第2の識別情報を付加する請求項1記載のデジタル信号記録再生装置。
【請求項3】
所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を記録媒体から再生して外部へ出力する際に、再生中の前記デジタル信号のプログラムが変化したときに、前記デジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするデジタル信号再生方法。
【請求項4】
さらに、変速再生を行っているときに、デジタル信号に第2の識別情報を付加する請求項3記載のデジタル信号再生方法。
【請求項1】
所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を入出力する第1の手段と、前記第1の手段から送られてくる前記デジタル信号を記録媒体に記録する第2の手段と、前記記録媒体に記録されている前記デジタル信号を再生して前記第1の手段へ送る第3の手段と、前記第3の手段から再生されるデジタル信号におけるプログラムの変化を検出する第4の手段とを備え、前記第4の手段が前記プログラムの変化を検出したときに、前記第1の手段から出力するデジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするデジタル信号記録再生装置。
【請求項2】
動作モードを入力する第5の手段をさらに備え、前記第5の手段から変速再生モードが指定されたときに、第1の手段から出力するデジタル信号に第2の識別情報を付加する請求項1記載のデジタル信号記録再生装置。
【請求項3】
所定の符号化方式で符号化されているデジタル信号を記録媒体から再生して外部へ出力する際に、再生中の前記デジタル信号のプログラムが変化したときに、前記デジタル信号に第1の識別情報を付加することを特徴とするデジタル信号再生方法。
【請求項4】
さらに、変速再生を行っているときに、デジタル信号に第2の識別情報を付加する請求項3記載のデジタル信号再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−129502(P2006−129502A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322710(P2005−322710)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【分割の表示】特願平7−352830の分割
【原出願日】平成7年12月28日(1995.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【分割の表示】特願平7−352830の分割
【原出願日】平成7年12月28日(1995.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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