説明

デジタル放送受信システム

【課題】高解像度ディスプレイを搭載する1セグ携帯受信機において、自宅のデジタル放送受信機の出力を表示する。
【解決手段】1セグ携帯受信機において、TV視聴モードを開始すると、無線送受信部で自宅のデジタル放送受信機とのネットワーク接続を確認し、接続する。さらに、受信したい映像サイズ、フォーマット、音声フォーマット、現在視聴中のコンテンツと特定できる情報を送信し、映像の転送を要求し、携帯電話機での視聴スタイルである横方向視聴(全画面視聴)あるいは縦方向視聴(映像プラスデータ)によって表示する。なお、該ネットワーク上にデジタル放送受信機が見つからない場合や、見つかったがそのチューナーは現在別に使用されている場合は、1セグで視聴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送受信技術に関し、特に、デジタル放送受信システム、携帯端末装置、及び、デジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタルテレビ放送は、(1)アナログ放送に比べて高品質な映像や音声、(2)マルチパスに強いOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を採用しておりゴーストに強い、(3)データの送受信が容易で双方向性を持たせることができる、などの特長があり、据え置きテレビ向けのハイビジョン放送・データ放送サービスが実施されている。
【0003】
地上デジタルテレビ放送では、その伝送規格から移動受信機向け放送サービスも可能となっており、携帯受信機向けの放送サービス(いわゆる1セグ放送)も開始されている。
【0004】
日本の地上デジタルテレビ放送では、テレビジョン放送と音声放送の共通性を考慮してISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial)方式が採用されている。ISDB−T方式では、固定受信向け番組と移動受信向け番組などが混在する編成を可能にするため、周波数分割による階層伝送を行っている。即ち、1つのチャンネル(5.6MHzの帯域)を13個のセグメントに分割することで、複数の放送サービスを同時に行うことができる。13セグメントのうち、中央の1セグメントは、各種の制御信号、データ放送用の信号、移動向け受信番組用の映像/音声信号等の伝送に使用される。他の12セグメントは、移動受信向け番組用の映像/音声信号等の伝送に使用される。移動受信機向け放送サービスは、13セグメントのうちの中央に配置された1つのセグメントを使って行われ、固定受信向け放送サービスは、13セグメントの全てを使用して行われている。
【0005】
1セグとは、地上デジタル放送の電波を利用して、携帯端末向けに番組(簡易動画)を放送する仕組みを指す。1セグ放送は、強階層を使った簡易動画放送のことを指す。地上デジタル放送はUHF帯域の電波を使用しており、6MHzを1つのチャンネルとして割り当てられている。これを13のセグメントに分割して放送を行う。このうちの携帯向けの強階層に割り当てられている「1つのセグメント」を使用して放送を行うことから「1セグ放送」と呼ばれている。
【0006】
1セグに関連する技術に関しても様々な提案がなされている。例えば、特許文献1では、家庭で12セグを受信し、1セグに符号化し直して端末へ送信する技術が、特許文献2では、携帯端末で1セグデータを視聴する技術が、特許文献3では、13セグで受信しているうちの1セグ部分のTSを家庭内で配信する技術であって、地デジチューナー搭載機器と直接無線通信して1セグデータを受信する点、複数の地デジ機器と接続する時は無線通信の感度の高いものを選択する点が記載されている。また、パーソナルコンピュータ(PC)や携帯端末向けに無線LAN経由で番組を配信したり、アナログデータ、VGAなどのサイズ対応する製品として、ロケーションフリー(登録商標)などの商品も販売されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005-197829号公報、「データ受信装置、及び携帯端末装置」:
【特許文献2】特開2005-204064号公報、「番組録画装置、携帯端末装置、及びプログラム」
【特許文献3】特開2006-165934号公報、「デジタル放送システム、携帯端末、及び、デジタル放送受信装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1は、12セグ信号を受信し1セグ形式へ変換してから表示するため、表示の高画質化に関するメリットはない。上記特許文献2では、携帯端末で視聴するのはあくまで1セグデータであるため、表示は1セグの受信に基づく品質となる。すなわち、録画コンテンツにおいて、携帯端末で視聴するときには1セグ録画データを携帯に送信する形式であり、得られるのはQVGAである。特許文献3も、1セグデータを配信するため、1セグデータ以上の表示品質にはならない。すなわち、1セグTSの家庭内での再配信を行うため、得られるデータはQVGAである点は従来と同様である。ロケーションフリーも、1セグのデータ放送が楽しめるわけではない。
【0009】
携帯端末のディスプレイとしてはVGAサイズのものなども出始めているが、携帯端末向け放送の1セグ放送は映像のサイズがQVGAであるため、VGAの液晶表示装置で、ドット・バイ・ドット(Dot by Dot)で視聴すると画面が余ってしまい、全画面表示を行うと映像が拡大されるため荒い映像となるという問題がある。また、家庭内では1セグの電波を受信しにくいため、安定した映像音声を得にくいという問題がある。
【0010】
本発明は、高解像度ディスプレイを搭載している1セグ受信機における表示品質を向上させることを目的とする。あわせて、データ放送も楽しめるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、家庭内の地デジチューナー搭載機器で12セグを受信し、VGAサイズにスケーリングして携帯電話機に配信する。携帯電話機において、その1セグ受信のデータ放送とあわせて表示部に表示する。
【0012】
すなわち、本発明の一観点によれば、デジタル放送に基づく表示を行う表示部と、移動体受信装置向けの第1のデジタル放送信号を受信する第1の受信部と、前記第1のデジタル放送信号と対応し、より高品質な放送信号を受信可能なデジタル放送受信装置から通信により第2のデジタル放送信号を受信する第2の受信部と、前記第1のデジタル放送信号と前記第2のデジタル放送信号とに基づいて前記表示部への表示制御を行う表示制御部と、を有する携帯端末装置が提供される。前記第2の受信部を介して、前記デジタル放送受信装置に対して前記第2のデジタル放送信号の表示特性に関する要求を行うことが好ましい。前記要求として、前記表示部の表示性能に適した高品質な映像を表示可能なデジタル放送信号の送信要求を行うことが好ましい。
【0013】
また、デジタル放送に基づく表示を行う表示部と、1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信部と、地上デジタル放送信号を受信可能な地上デジタル放送受信装置から通信により前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を受信する第2の受信部と、前記1セグのデジタル放送信号と前記地上デジタル放送信号とに基づいて前記表示部への表示に関する制御を行う表示制御部と、を有する携帯端末装置が提供される。
【0014】
12セグの地上デジタル放送に基づく映像音声信号を、12セグの地上デジタル放送を受信することができるデジタル放送受信機から、1セグを受信できる携帯端末装置に転送することにより、屋内において移動しながらでも高画質の地上デジタル放送を、携帯端末装置を用いて視聴することができる。ここで、携帯端末装置の表示部におけるディスプレイサイズ、もしくは、表示モード(表示サイズ)に最適なサイズでデジタル放送受信装置から放送信号を配信するようにするため、表示部が高画質ディスプレイであればそれを生かして高品質で綺麗に視聴することができる。また、携帯端末装置側において取得した1セグのデータ放送も同時に楽しむことができる。1セグのデータ受信は、基本的にデータ放送のためだけであるため、不要な受信を減らすことができる。例えば、全画面モードでは受信しないようにすることもできる。この場合、1セグと同様の番組であることを事前に確認することもできる。確認方法としては、放送のTSに含まれるEITやNITを比較したり、番組のタイトル情報をテキストで送信して受信機で同時刻のタイトルの番組をサーチしたりする方法が挙げられる。すなわち、番組を特定できる番組情報を携帯から送信することで可能となる。
【0015】
より具体的には、家庭内の地デジチューナー搭載機器で12セグを受信し、VGAサイズにスケーリングして携帯端末装置に配信する。携帯端末装置の1セグ受信のデータ放送とあわせて表示するように表示制御する。
【0016】
本発明の他の観点によれば、地上デジタル放送信号を受信する地上デジタル放送受信部と、1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信部を備えた携帯端末装置との間の通信を行う通信部と、前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を前記地上デジタル放送受信部により受信し、前記通信部を介して前記携帯端末装置に対して送信することを特徴とする地上デジタル放送受信装置が提供される。前記携帯端末装置から前記通信部を介して要求された表示特性に基づいて、前記地上デジタル放送受信部において受信した地上デジタル放送信号に基づく映像を変換する映像変換部を有することが好ましい。
【0017】
また、デジタル放送に基づく表示を行う表示部と、1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信部と、地上デジタル放送信号を受信可能な地上デジタル放送受信装置から通信により前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を受信する第2の受信部と、前記1セグのデジタル放送信号と前記地上デジタル放送信号とに基づいて前記表示部への表示制御を行う表示制御部と、を有する携帯端末装置と;地上デジタル放送信号を受信する地上デジタル放送受信部と、前記携帯端末装置との間の通信を行う通信部と、を有し、前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を前記地上デジタル放送受信部により受信し、前記通信部を介して前記携帯端末装置に対して送信することを特徴とする地上デジタル放送受信装置と;を含むデジタル放送受信システムであっても良い。前記携帯端末装置は、インターネットと接続可能な第1の通信インターフェイス部を有しており、前記地上デジタル放送受信装置の前記通信部は、インターネット経由で前記携帯端末装置と通信することを特徴とする。前記第1の通信インターフェイス部は、前記インターネットと無線LAN装置により無線接続されていても良い。
【0018】
本発明の別の観点によれば、携帯端末装置を用いたデジタル放送の表示制御方法であって、1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信ステップと、地上デジタル放送信号を受信可能な地上デジタル放送受信装置から通信により前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を受信する第2の受信ステップと、を有し、前記1セグのデジタル放送信号と前記地上デジタル放送信号とに基づいて表示部への表示に関する制御を行うことを特徴とする表示制御方法が提供される。
【0019】
また、地上デジタル放送受信装置を用いたデジタル放送の送受信方法であって、1セグのデジタル放送信号を受信する携帯端末装置から該1セグのデジタル放送信号に対応する地上デジタル放送信号を受信する受信ステップと、受信した前記地上デジタル放送信号を、前記携帯端末装置からの要求に応じて変換するステップと、変換した前記地上デジタル放送信号を前記携帯端末装置に送信するステップと、を有することを特徴とする送受信方法が提供される。
【0020】
本発明は、上記ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム、このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であっても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、携帯端末装置のディスプレイサイズもしくは表示モード(表示サイズ)に最適なサイズで配信するようにすることができる。従って、高画質ディスプレイであればそれを生かして綺麗に視聴することができる。この際、1セグのデータ放送も同時に楽しむことも可能である。1セグの受信はデータ放送のためだけに用いる場合に、不要な受信を減らすことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書において、デジタル放送受信装置は、液晶テレビなどのデジタル放送テレビジョン受信装置、ハードディスクレコーダなどの記録再生装置、などを含む。また、携帯端末装置は、携帯電話機、携帯音楽プレーヤ、携帯型ゲーム機、リモコン装置などを含む。
【0023】
本発明によるデジタル放送受信システムでは、家庭内の地デジチューナー搭載機器で12セグ放送を受信し、無線LANなどを利用して携帯端末に受信したデータを配信する。この際、配信するデータは1セグ形式にするのではなく、携帯端末のディスプレイサイズに適したサイズに変換処理して配信する。この際、携帯端末においては、1セグのデータ放送と組み合わせて表示させることもできる。ユーザにとっては無線LANなどを介して12セグ放送が配信されていることを意識する必要がないが、表示は高品質になっている。データ放送に関しては、VGA液晶の表示装置を有している場合には2倍のサイズに拡大して表示し、1セグと同様の視聴感覚とするのが好ましい。全画面表示の場合と縦表示の場合に応じて、配信される映像サイズを変更するようリクエストする。
【0024】
このモードにすると、データ放送の受信回数を減らすように設定しても良い。或いは、親機で1セグのデータも見ており、更新のタイミングを教えてくれるようにしても良い。もちろんユーザのデータ放送操作アクションには反応するようにするのが好ましい。
【0025】
以下、本発明の実施の形態によるデジタル放送受信システムについて図面を参照しながら説明を行う。
【0026】
図1は、本実施の形態によるデジタル放送受信システムの一構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態によるデジタル放送受信機Aは、建物(例えば、家庭)Hの屋内に設置されるのが一般的である。固定のUHFアンテナ3は、建物Hの屋上などに設置され、図示しない地上デジタルテレビ放送局で製作され、テレビ塔1から送信される放送波L1を受信するようになっている。固定UHFアンテナ3を介して受信した地上デジタルテレビ放送波L1の信号は、例えば有線L2によりデジタル放送受信機7に送られる。デジタル放送受信機7は、固定UHFアンテナ3が受信したデジタル放送波L1の信号から、ユーザにより選局されたチャンネルの地上デジタルテレビ放送を抽出し、これを復調しデコードした結果として得られた映像信号をテレビ5に送る。ユーザは、テレビ5により、地上デジタルテレビ放送の番組を視聴することが可能である。
【0027】
携帯電話機15などの携帯端末は、表示部21と操作部23の他に、UHFアンテナ17と携帯用受信機とを有しており、携帯受信機向けの地上デジタルテレビ放送波L4を受信し、地上デジタルテレビ放送の番組を再生することが可能である。加えて、携帯電話機15は、デジタル放送受信機7のインターフェイス(例えば無線LANの親機)11から無線により転送された映像音声信号L3を受信する無線LANの子機を有しており、子機が受信した信号をデコードし、デコードした結果として得られた映像を、表示部21に表示させることができるように構成されている。この構成により、ユーザは、固定UHFアンテナ3からデジタル放送受信機7を介して得られた地上デジタルテレビ放送番組を、携帯電話機15で視聴することができる。すなわち、本実施の形態によるデジタル放送受信機7と携帯電話機15とは、Bluetoothや無線LANなどによる直接の近距離無線通信やアクセスポイントを経由したネットワーク接続による通信が可能に構成されている。さらに、デジタル放送受信機7は、復調した地上デジタルテレビ放送信号を携帯電話機15の所望するコーデックとサイズとに変換して転送することができるように構成されている。
【0028】
移動体受信機向け放送(1セグ放送)は、一般的な映像サイズがQVGA(320ピクセル×240ピクセル)であるため、携帯電話機15の表示部21の解像度がVGA(640ピクセル×480ピクセル)などで異なる場合に全画面表示にすると、映像が拡大表示されるために映像の品質が悪くなる。また、ビットレートも低いため、VGAなどの高解像度の表示部21を活かした高画質な視聴を行いたいと考えても、1セグデータを拡大した映像では十分な品質の映像は得られない。さらに、携帯電話機15で12セグの地上デジタル放送を受信するように構成すると、その処理量が多いために消費電力が大きくなり、電池で駆動する携帯電話機には不向きである。
【0029】
そこで、上記のように、12セグの地上デジタル放送に基づく映像音声信号を、12セグの地上デジタル放送を受信することができるデジタル放送受信機7から携帯電話機15に転送することで、ユーザは、屋内で移動しながらでも高画質の地上デジタル放送を視聴することができるようになる。
【0030】
図2は、本実施の形態によるデジタル放送受信機7の一構成例を示した機能ブロック図である。本実施の形態によるデジタル放送受信機7は、アンテナ3からの放送を選局するチューナー31、復調部33、TSデマルチプレクサ(図ではTS−Demuxと略記している。)35、MPEG2デコーダ37、無線送受信部51、操作部47、制御部45、変復調部43、変換部41、などを有して構成されている。
【0031】
上記構成において、固定UHFアンテナ3により受信されたRF信号は、チューナー31に入力される。チューナー31では、例えば、操作部47からの入力に応じた選局を行う。すなわち、ユーザが所望するチャンネル(5.6MHzの帯域)を構成する13セグメント分の放送信号(固定受信機向け、及び、移動受信機向けの両方の放送信号)を抽出する。
【0032】
復調部33は、チューナー31で選局された信号に対し、OFDM復調を行う。具体的には、アナログ信号をデジタル信号に変換し、これに対し、FFT処理(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行う。そして復調処理(64QAM(QuadratureAmplitudeModulation)復調など)を行い、誤り訂正を行うことにより、放送局が送り出したTS(Transport Stream)パケット信号を生成する。また、この復調部33は、64QAM方式などで変調された固定受信機向け放送信号と、QPSK(QuadraturePhaseShiftKeying)方式などで変調された移動受信機向け放送信号の両方を復調することが可能である。
【0033】
TSデマルチプレクサ(Demultiplexer:分離回路)は、TSパケットを目的別に分離し、所定の処理を行う。具体的には、まず、TSパケットを映像ストリーム、音声ストリーム、データ放送ストリーム、SI(Service Information:番組配列情報)情報などの目的別のパケット信号に分離する。そして、映像ストリーム、音声ストリームのパケットについては、MPEG2デコーダへ送る。データ放送ストリームのパケットについては、制御部45へ送る。SI情報は、制御部45で処理され、EPG(Electronic Program Guide)や選局処理等に使用される。また、外部(例えば、携帯電話機)からの要請があった場合に、映像ストリーム、音声ストリームのパケットを外部に送信するための信号を生成する変復調部43へ出力することも可能である。
【0034】
MPEG2デコーダ37は、TSデマルチプレクサ35から与えられたデータストリームを受けて、映像信号および音声信号へと変換する。変換して得られた映像信号、音声信号はテレビジョン受信装置(以下、「テレビ」と称する。)5へと送信される。ユーザは、テレビ5により、地上デジタルテレビ放送を視聴することができる。
【0035】
無線送受信部51は、外部に対して無線信号による通信を行う。変復調部43は、無線送受信部51から送信される信号を生成するための変調処理、無線送受信部51が受信した信号の復調処理などを行う。例えば、TSデマルチプレクサ35における分離処理により得られた移動受信機向けのTSパケット信号は、変復調部43により無線伝送に適した信号に変調され、無線送受信部51から携帯電話機などに対して送信することができるようになっている。
【0036】
また、携帯電話機から送信されてきた無線信号は、変復調部43により、制御部45が解読可能な信号に復調処理される。尚、デジタル放送受信機7と携帯電話機との無線通信においては、例えばBluetooth方式などを使用することができる。操作部47は、デジタル放送受信機7の操作ボタン或いはデジタル放送受信機7に付属のリモコン装置などであり、ユーザからの入力を受け付けてデジタル放送受信機7を機能させることができる。
【0037】
次に、復調部33における復調処理により得られる(再生される)TSパケットの構成について説明する。TSパケットは、188バイトの固定長のパケットである。TSパケットは、パケットヘッダ、アダプテーションフィールド、ペイロード(データ部)から構成される。映像信号や音声信号などは、ペイロードに収められて伝送される。アダプテーションフィールドには、PCR(Program Clock Reference)と呼ばれる1つの番組の基準となる時刻情報などが収められている。
【0038】
TSのペイロードには、ストリームに含まれている番組と、その番組の構成を示す情報と、が収められる。これらは、番組配列情報(PSI:Program Specific Information)と呼ばれ、PAT(Program Association Table)、PMT(Prpgram Map Table)、NIT(Network Information Table)、CAT(Conditional Accsess Table)の4種類が規定されている。
【0039】
また、このTSパケット信号には、映像信号、音声信号のパケットの他に、データ放送やEPG(Electronic Program Guide)、選局に必要な情報(SI情報、PSI情報)などが含まれていても良い。
【0040】
MPEG−2システムのTSでは、マルチプログラムの各ES(Elementary Stream、エレメンタリー・ストリーム。オーディオやビデオのデータをMPEG−2で圧縮符号化したデータ)を、それぞれ、PID(Packet IDentifier、パケット識別子)という、TSパケットヘッダの13ビットの識別子で割り振っている。このPIDは、MPEG−2では、0x0010〜0x1FFE(16進数字、10進数では16から8190に相当)の間であれば、各ESをどのPIDにも割り振ることができる。
【0041】
但し、国ごとの放送規格によって、PIDの放送局への割り振り方や、ESの種類による割り振りが決められている。例えば、映像データ、音声データ、PMT、PATのTSパケットに対しては、それぞれ異なるPIDが割り振られている。デジタル放送受信機のTSデマルチプレクサ、或いは、後述する携帯電話機のTSデマルチプレクサは、TSパケットのPIDに基づいて、TSパケットを選択、分類し、それぞれに対して所定の処理を行う。例えば、TSパケットが映像データ、音楽データのパケットであれば、TSパケットをMPEGデコーダへ送信する。
【0042】
携帯電話機からの要求により、MPEG2デコーダでデコードされた映像データや音声データは変換部41に送られ、映像データはH.264に、音声データはMPEG−AACにそれぞれフォーマット変換される。また映像データに関してはもともとの映像が16:9の比率のものであれば横480px・縦270pxに、4:3の比率のものであれば横480px・縦360pxにサイズ変換され(後述する、携帯電話機がデータ放送を共に表示する縦向き視聴の場合)、音声データと共に変復調部43に出力される。変復調部43に出力されたデータは、無線送受信部51から携帯電話機に向けて送信される。以上のようにして、携帯電話機のユーザは、デジタル放送受信装置7が受信した地上デジタル放送の番組を、携帯電話機のディスプレイの解像度と同程度に高画質な映像を携帯電話機により視聴することが可能となる。
【0043】
尚、上記の説明では、映像データをH.264に、音声データはMPEG−AACに変換する例について説明したが、携帯電話機が対応可能なフォーマットであれば別のフォーマットであっても良い。従って、携帯電話機からデータをリクエストされる際に、リクエスト番組や映像のサイズだけではなく、対応可能なフォーマット情報も一緒にデジタル放送受信機に送信し、デジタル放送受信機では携帯電話機から送信されたリクエストの情報に含まれるフォーマットで変換するように構成されていれば良い。また、携帯電話機において対応可能なフォーマットが複数ある場合には、その対応可能フォーマットリストをデジタル放送受信機に送信し、デジタル放送受信機はそのリストの中で対応可能なフォーマットを複数の候補の中から選択するような仕組みを有していても良い。
【0044】
また、携帯電話機がデジタル放送受信機から受信する映像のコーデックは上記のH.264+MPEG−AACに限定されるものではない。例えば、変復調部から復調されたデータは所定のコーデックによりデコード処理され、音声はスピーカーへ、映像はデータ合成部(もしくはデータ放送を合成する必要が無ければ直接表示部)へ送られるようにしても良い。すなわち、1セグ放送は映像がH.264、音声がMPEG−AACであり、デジタル放送受信機から無線電波に乗って送信されるデータが上記コーデックでエンコードされている構成であれば、そのまま映像はH.264デコーダへ、音声はMPEG−AACデコーダへ送られれば良い(図3において「変復調部」から各デコーダへ向かっている矢印参照)。この携帯電話機がMPEG2のデコーダを搭載していれば(図示せず)、MPEG2でエンコードされたデータが送られてきた場合に、変復調部からMPEG2デコーダへ矢印が伸びて、そこからデータ合成部と表示部とへ矢印が進むようにしても良い。
【0045】
そこで、携帯電話機がデコード可能なフォーマット一覧が、番組リクエスト時にデジタル放送受信機に通知されるように構成しても良い。
【0046】
図3は、本実施の形態による携帯電話機の一構成例を示す図である。携帯電話機15は、チューナー61、復調部63、TSデマルチプレクサ65、H.264デコーダ71、表示部21、無線送受信部81、操作部23、制御部83、アンテナ17、MPEG−AACデコーダ67、スピーカー75、変復調部77、などを有して構成されている。
【0047】
アンテナ17は、地上デジタルテレビ放送局から送信されてきた地上デジタルテレビ放送波を受信する。アンテナ17が受信したRF信号は、チューナー61に入力される。チューナー61では、操作部23からの入力に応じた選局を行う。このチューナー61は、ユーザが所望するチャンネル(5.6MHzの帯域)を構成する13セグメントの放送信号のうち、中央に配置された1セグメントの放送信号を抽出する。
【0048】
復調部63は、チューナー61で選局された信号に対し、OFDM復調を行う。具体的には、アナログ信号をデジタル信号に変換し、これに対し、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行い、64QAM方式(などによる)復調を行い、そして誤り訂正を行うことにより、放送局が送り出したTS(Transport Stream)パケット信号を生成する。
【0049】
TSデマルチプレクサ65は、TSパケットを目的別に分離し、所定の処理を行う。例えば、映像に係るパケット信号については、H.264デコーダ71へ送る。音声に係るパケット信号については、MPEG−AACデコーダ67へ送る。データ放送の信号については、制御部83へ送信され、表示用に解析された後に表示部21へ送信される。
【0050】
H.264デコーダ71は、TSデマルチプレクサ65から与えられたデータストリームを受けて、映像信号に変換する。変換して得られた映像信号は表示部21へ送信される。ユーザは、表示部21により、地上デジタルテレビ放送を視聴することができる。
【0051】
MPEG−AACデコーダ67は、TSデマルチプレクサ65から与えられたデータストリームを受けて、音声信号に変換する。変換して得られた音声信号はスピーカー75へ送信される。
【0052】
無線送受信部81は、外部に対して無線信号による通信を行う。変復調部77は、無線送受信部81から送信される信号を生成するための変調や、無線送受信部81が受信した信号の復調などを行う。例えば、無線送受信部81は、デジタル放送受信機から送信されてきた映像音声を含む無線信号を受信し、変復調部77により制御部83が解読可能な信号に復調される。復調された映像音声信号は、映像信号であればH.264デコーダ71に渡され、デコードされた後に表示部21に送信され、また、音声信号であればMEG−AACデコーダ67に渡され、デコードされた後、スピーカー75に送信される。表示部21では、無線送受信部81から得られた映像信号と上記のデータ放送の信号とを、同時に表示する。また、携帯電話機15のユーザにより操作部23から入力された情報は、変復調部77により無線信号に変調されて、無線送受信部81からデジタル放送受信機に送信される。操作部23は、携帯電話機の操作ボタンなどであり、ユーザからの入力を受け付ける。
【0053】
図4は、携帯電話機が1セグを受信した時に、地上波デジタル放送のチューナーを探し、映像リクエストをして表示するまでの処理の流れを示すフローチャート図である。
【0054】
ステップS1において、TV視聴モードを開始すると(携帯電話でTV受信開始:最初の処理)、ステップS2において、無線送受信部でネットワーク接続を確認し、ネットワーク接続が可能であれば(Yes)自宅のデジタル放送受信機と接続する(データの送受信が行える状態、コネクションを張る)。ネットワーク上にデジタル放送受信機が見つからない場合や、見つかったがそのデジタル放送受信機のチューナーは現在別に使用されていて携帯電話機のために使用することが出来ない場合は(ステップS2でNo)、同じく1セグで視聴する(ステップS4)。ここで、デジタル放送受信機と携帯電話機とが直接接続するような接続方法の場合(無線LANでいうアドホック接続)、ネットワークに接続する判定は「接続可能なデジタル放送受信機が存在する」となる。
【0055】
携帯受信端末は、コネクションを張った受信機のチューナーが空いているか確認する(ステップS3)。空いていなかったら(No)「1セグで視聴」する(ステップS5)。アドホック接続の場合、チューナーの空いているデジタル放送受信機がネットワーク上にあるかどうかの判定は「接続したデジタル放送受信機のチューナーが空いている」となる。ここで、チューナーが空いていなくても、携帯電話機のユーザが所望する番組をデジタル放送受信機が受信している場合には、そのチューナーを利用することも可能である。但し、その場合には、携帯電話機ユーザの所望の番組プログラムがチューナーに伝わっていないと判定できないため、その場合はチューナーが空いているかどうか確認する時に所望のプログラム情報も使用して確認すればよい。
【0056】
次いで、ステップS3でYesの場合には、携帯電話機での視聴スタイルが横方向視聴(全画面視聴)であるか縦方向視聴(映像プラスデータ)視聴かの確認をする(全画面視聴であれば画面は横方向視聴で、判定はYesでステップS7へ、Noなら画面は縦方向視聴でステップS11へ進む)。
【0057】
ステップS7、S11において、受信したい映像サイズ、フォーマット、音声フォーマット、現在視聴中のコンテンツと特定できる情報を送信し、映像の転送を要求する。ステップS7の全画面視聴(横方向視聴)の場合、所望するプログラム情報、映像フォーマットとしてH.264、音声フォーマットとしてMPEG−AAC、要求映像サイズとして横640ピクセル、縦480ピクセルを送信し、映像転送要求をする。
【0058】
ステップS11で縦方向視聴(データ放送プラス映像)の場合、所望するプログラム情報、映像フォーマットとしてH.264、音声フォーマットとしてMPEG−AAC、要求映像サイズとして横360ピクセル、縦270ピクセルを送信し、映像転送要求をする。
【0059】
上記は、縦方向横方向共に、映像ソースが4:3の場合を想定した指定となっているが、携帯電話機で映像ソースのアスペクト比(縦横比)がわかっている場合は、受信されるべき映像のサイズで指定しても良い(16:9の放送だとわかっている場合には、全画面視聴で横640ピクセル・縦360ピクセル、縦方向視聴の場合は横480ピクセル・縦270ピクセル)。また、携帯電話機によっては画面の上下にアンテナアイコンや電池アイコンなどを表示する場合もあり、そのアプリケーションによって映像スースの表示部分のサイズは異なってくるため、ここでは上記サイズに限定するものではなく、視聴する画面の方向や視聴方法によって、最終的に映像が表示される領域のサイズが指定されればよい。
【0060】
次いで、ステップS8、ステップS12に進み、デジタル放送受信機から映像音声データが転送され、携帯電話機の無線受信部で受信する。ステップS9、S13で、そのデータを変復調部で認識できるデータに復調され、音声データはMPEG−AACデコーダへ、映像データはH.264デコーダへ送信される。また、1セグを受信して得られた放送用データは制御部で解析され、表示部へ送られる(ステップS14に示すように、1セグデータを受信するのは縦方向視聴の場合のみで良い。)。次いで、ステップS10において、デコードされた音声はスピーカーに送出され、映像とデータ放送とが合わされて表示部に表示される。
【0061】
このように、映像とデータ放送とを含む場合(表示部を縦方向にして視聴する場合)に、横480×縦360の映像、或いは、横480×縦270の映像データを受信しておき、データ放送も横480に引き伸ばすことができる。デジタル放送受信機からの高品質の映像データは引き伸ばしても品質を維持できるためそれを携帯電話機の表示画面に表示し、一方、文字放送のテキストデータなどに関しては、携帯電話機の表示画面や表示映像の内容などにマッチングしたフォントを使用することにより、拡大しても綺麗なデータ放送を表示させることができる。
【0062】
より詳細に説明すると、1セグのデータ放送は、横が240pxで表示されることを想定し、データ放送記述言語BML文書で記述されている。また、フォントのサイズもBML文書内で指定されている。例えば、12pxのフォントサイズが指定されている場合、QVGAのディスプレイ縦方向の場合は、20文字1行で表示される。これがVGAのディスプレイで表示される場合には、横方向が480pxになり、そのまま12pxのフォントを使用すると40文字が1行で表示できる。但し、データ放送全体が縦横2倍に拡大されるため、BMLで指定されているフォントをそのまま(12pxのまま)使用すると、BML作成者の意図に反するデザインとなってしまう。
【0063】
また、画像データと同じように12pxのフォントを表示用メモリに展開してから画像同様全体を縦横2倍に広げると、フォントも最終的にはディスプレイ上のドットで表示される。すると、文字の斜め線などにおけるジグザグなどの乱れがそのまま引き伸ばされてしまうという問題がある。そこで、12pxと指定されている時に24pxのフォントを使用すると、12pxのフォントを2倍に引き伸ばす場合と異なり、文字を綺麗に表示させることができる。
【0064】
尚、受信する映像サイズは、元の放送映像のサイズに依存する。このように、画像データなどは引き伸ばし、テキストはそれにマッチしたフォントを使用することで、大きくしても綺麗なデータ放送を得られる。
【0065】
また、ここで、「1セグと同様の番組であるかどうか」の判定方法としては、少なくとも2008年まではサイマル放送で、固定受信と携帯受信との番組は同じであることが義務付けられているため、サイマル放送がなされている環境下においてはチャンネル番号(6ならTBSであるとか8ならフジテレビであるという情報)だけ通知すれば、同じ時間のそのチャンネルの番組を転送すればよい。
【0066】
一方、サイマル放送でない場合や、携帯電話は大阪にあり受信機は東京にあるという場合などは、チャンネル番号だけでは特定できない。それを特定する方法として、放送のTSに含まれるEITやNITを比較したり、番組のタイトル情報をテキストで送信して受信機で同時刻のタイトルの番組をサーチしたりする方法が挙げられる。すなわち、番組を特定できる番組情報を携帯から送信することで可能となる。
【0067】
次に、携帯電話から要求されたデジタル放送受信機が映像データを転送するまでの処理の流れについて図5に示すフローチャート図を参照しながら説明を行う。まず、ステップS21において、デジタル放送受信機が携帯電話機とのネットワーク接続を行う。次いで、ステップS22において、図4における「チューナーの空きがあるかの問い合わせ」に対して回答を行う。このステップを判定処理において、チューナーデバイスに空きがあれば「ある」と回答し、空きがなければ「ない」と回答するように処理しても良い。ステップS23において映像要求があれば、ステップS24に進み、図4のステップS7における映像の転送要求を受信する。次いで、ステップS25において、受信した番組を変換部において、指定されたサイズ、フォーマットに変換する処理を行い、ステップS26において、変復調部において、無線で送信できる形に変調する処理を行い、次いで、ステップS27において、無線送受信部から送信する処理を行う。以上の処理により、デジタル放送受信機が映像データを要求元の携帯電話機に転送することができる。
【0068】
図6は携帯電話機の視聴スタイルが縦方向と横方向とで入れ替わった時の動作のフローチャート図である。
まず、ステップS13において、視聴の変換(縦横視聴変換)が行われると、図4のステップS6の「全画面視聴」であるか否かの判定処理までジャンプし、以下、図4と同様の処理が行われる。
【0069】
以上に説明したように、携帯電話機が1セグ放送を受信すると、地上デジタルチューナーを備えた装置を探して、映像転送をリクエストするように構成することにより、高解像度ディスプレイを搭載している場合でも1セグ受信機における表示品質を向上させることができる。あわせて、データ放送も楽しめるようにすることができる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態によるデジタル放送受信システムについて図面を参照しながら説明を行う。図7は、本実施の形態によるシステムであって、携帯電話機が宅外にある状態で視聴が行われる状況を示すシステム構成例を示す図である。基本的な構成は、図1に示す構成と同様であるが、家庭のデジタル放送受信機7が家庭内のネットワークにより携帯電話機に接続される代わりに、モデム10を経由してインターネット網NTに接続されている。そして、インターネット網NT経由で携帯電話機15と接続されている。携帯電話機15は、宅内のデジタル放送受信機7と直接に無線で接続される代わりに、外の無線LANアンテナ85に接続されており、インターネット網NT経由で自宅のデジタル放送受信機7とコネクションが張られている。この構成によれば、携帯電話機15とデジタル放送受信機7とが離れている状態においても第1の実施の形態と同様に1セグ受信機における表示品質を向上させることができるとともに、データ放送も楽しめるようにすることができるため、利用範囲を広げることができるという利点がある。
【0071】
すなわち、携帯電話機15が無線LANなどにより、自宅のデジタル放送受信機7と接続可能な場合、例えばQVGAの1セグ放送を受信するよりも、自宅のデジタル放送受信機7から送られるVGAのデータに基づく高画質をソースとして表示させることにより、綺麗な画像を見ることができる。この際、屋外でも1セグのデータと自宅から送られてきた映像とを結合して表示することで、ユーザーは1セグのみに基づいて放送を視聴しているという感覚で、ユーザに意識させずに、実際には装置内では自宅から送られてくる高画質映像を提供することができるという利点がある。
【0072】
次に、本発明の第3の実施の形態によるデジタル放送受信システムについて図8を参照しながら説明を行う。上記第1、第2の実施の形態では、1セグのデータ放送は、あくまで携帯電話15がテレビ塔1から受信することを前提としている例を示した。本実施の形態では、1セグのデータ放送L4も固定受信機であるデジタル放送受信機7から受信するようになっている。すなわち、図8のように、1セグのデータ放送の情報も、デジタル放送受信機7から得られるようにしても良い。この場合、デジタル放送受信機7は13セグのデジタル放送波を受信した後、1セグ部分のデータからデータ放送情報を抜き出し、携帯電話15から要求された映像と共にそのデータ放送の情報を、携帯電話15に送信する。このようにすることで、家Hの中などで携帯電話15の1セグ放送受信が難しいような場合でも、ディスプレイの解像度を最大限に活かした上でデータ放送も楽しむことが可能となる。
【0073】
尚、1セグ放送受信強度が、テレビ塔1からの信号とデジタル放送受信機7からのものでいずれが大きいかを判定し、強度が大きい方から1セグデータを取得するように制御する制御部を携帯電話15に設けておいても良い。
【0074】
以下においては、映像とデータとの構成例について図面を参照しながら説明を行う。図9は、本実施の形態による携帯電話機の映像視聴時の縦向き視聴の場合の映像ソースに基づく表示領域91aと、データ放送や字幕の表示領域91bとが表示部21において表示されている様子の例を示す図である。携帯電話機の表示画面21がVGAである場合を例に説明する。図9(A)に示す例では、表示部21が、横480px、縦640pxであり、映像ソースに基づく表示領域91aは、縦270px、横360pxで、4:3の表示が行われている。
【0075】
一方、図9(B)では、同じVGA(横480px、縦640px)の表示部21において、映像ソースに基づく表示93aが、480px、270pxの16:9の表示であり、その下にデータ放送、字幕の表示93bが480px、370pxで表示されている。
【0076】
図10は、横向き視聴する場合の表示例を示す図である。この場合には、携帯電話機の画面がVGAであり、映像のみを表示させる例を示すものである。図10(A)に示す図では、携帯電話の表示画面21がVGAであり、表示部を横長の向きにした横向き視聴の場合の映像ソース(4:3)に基づく映像表示の様子を示している。横640px、縦480pxの全画面表示を高画質で楽しむことができる。一方、図10(B)に示すように、携帯電話機の画面がVGAの場合であって、横640px、縦480pxの表示画面において、360px×640pxの領域に映像ソース(16:9)に基づく表示97bをさせるようにしても良い。この場合には、表示97bの上下に空白領域97a・97cが配置されるようにしているが、表示領域と空白領域との配置は任意である。図10(B)の場合には、表示すべきデータがないため、空白領域を設けている。もちろん、空白領域に飾りの模様などを表示させても良い。
【0077】
尚、上述した実際の映像サイズや配置の様子は、そのアプリケーションによって異なるものであり、図9、図10に示す表示例はあくまでその1例である。また、これは、携帯受信機の表示画面がVGAである場合を前提としているため、ディスプレイがWVGAなどVGAとは異なる場合には、そのアプリケーションに適した画面構成となるように表示制御され、その画面構成に対応する映像のサイズを携帯電話からの映像等の送信要求時に指定するようにようにすれば良い。より具体的には、映像+データ放送のソースを受信した場合(ディスプレイ縦方向視聴)には、横480×縦360の映像か、横480×縦270の映像を受信し、データ放送も横480に引き伸ばす。すなわち、画像データなどは引き伸ばし、テキストはそれにマッチしたフォントを使用するなどして、表示画面が大きく表示領域自体も大きくできる場合でも、高品質の映像と綺麗なデータ放送表示とを得ることができる。受信する映像サイズは、元の放送映像のサイズの縦横比を反映させる、すなわち、例えば、映像ソースが320×240(4:3)であるか320×180(16:9)であるかのいずれであるかによって、受信する映像サイズを変更するように制御する。
【0078】
映像ソースに基づいて受信する映像サイズを制御する方法としては、例えば、以下のような方法を用いることができる。携帯電話の表示画面がVGAである場合で、1セグ放送で得られている視聴映像のサイズが320×240(4:3)である場合、映像を表示させるエリアサイズは、縦方向視聴(映像+データ放送)の場合には360×270、横方向(全画面)視聴(映像のみ)の場合には640×480となるため、映像の送信要求時(図4のS7もしくはS11)に、そのサイズ情報を使用して要求を行う。同様に1セグ放送で得られている視聴映像のサイズが320×180(16:9)である場合には、縦方向視聴の場合480×270、横方向視聴の場合640×360というサイズ情報を使用して要求を行う。
【0079】
尚、図9(A)において、映像部分のサイズを360×270として例を記載しているが、表示するアプリケーションによっては、横幅に合わせた480×360(4:3)で表示するようにしても良い。
【0080】
1セグ放送の受信はデータ放送を受信するためだけに動作することとなるため、受信を常に行うのではなく、間欠的に行うようにすることが可能なため(データ放送は静的であるため常時更新する必要はない。)、装置の消費電力を抑えることができる。加えて、全画面(映像)表示の時には、横640×縦480の映像か、横640×縦360の映像を受信し、1セグの受信を行わなくても良い。すなわち、データ放送を表示する領域がないため1セグ放送の受信を停止しても良い。このようにすることで、バッテリにより駆動される携帯電話における電力消費を抑制することができる。
【0081】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、携帯端末装置のディスプレイサイズもしくは表示モード(表示サイズ)に最適なサイズで配信するようにすることができる。従って、高画質ディスプレイであればそれを生かして綺麗に視聴することができる。この際、1セグのデータ放送も同時に楽しむことも可能である。1セグの受信はデータ放送のためだけに用いる場合に、不要な受信を減らすことも可能である。
【0082】
例えば、VGAなどの高解像度ディスプレイを搭載している1セグ受信機において、1セグの放送映像サイズQVGAよりも高解像度で、ビットレートも高い高画質で視聴できる。また、データ放送も同時に楽しめる。全画面表示、データ放送+映像の切り替えで常にdot by dotの信号を表示できるため、スケーリングを必要としないため、コストを削減することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、デジタル放送受信システムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるデジタル放送受信システムの一構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態によるデジタル放送受信機の一構成例を示した機能ブロック図である。
【図3】本実施の形態による携帯電話機の一構成例を示す図である。
【図4】携帯電話機が1セグを受信した時に、地上波デジタル放送のチューナーを探し、映像リクエストをして表示するまでの処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】携帯電話から要求されたデジタル放送受信機が映像データを転送するまでの処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】携帯電話機の視聴スタイルが縦方向と横方向とで入れ替わった時の動作のフローチャート図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態によるデジタル放送受信システムの一構成例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態によるデジタル放送受信システムの一構成例を示す図である。
【図9】本実施の形態による携帯電話機の映像視聴時の縦向き視聴の場合の映像ソースに基づく表示領域と、データ放送や字幕の表示領域とが表示部において表示されている様子の例を示す図である。
【図10】横向き視聴する場合の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
A…デジタル放送受信機、H…建物、1…テレビ塔、3…UHFアンテナ、5…テレビジョン受信装置、7…デジタル放送受信機、15…携帯電話機、17…UHFアンテナ、21…表示部、23…操作部、31…チューナー、33…復調部、35…TS−DEMUX、37…MPEG2デコーダ、41…変換部、43…変復調部、45…制御部、47…操作部、51…無線送受信部、61…チューナー、63…復調部、65…TS−DEMUX、67…MPEG−ACCデコーダ、71…H.264デコーダ、73…デコーダ、75…スピーカー、77…変復調部、81…無線送受信部、83…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送に基づく表示を行う表示部と、
移動体受信装置向けの第1のデジタル放送信号を受信する第1の受信部と、
前記第1のデジタル放送信号と対応し、より高品質な放送信号を受信可能なデジタル放送受信装置から通信により第2のデジタル放送信号を受信する第2の受信部と、
前記第1のデジタル放送信号と前記第2のデジタル放送信号とに基づいて前記表示部への表示制御を行う表示制御部と
を有する携帯端末装置。
【請求項2】
前記第2の受信部を介して、前記デジタル放送受信装置に対して前記第2のデジタル放送信号の表示特性に関する要求を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記要求として、前記表示部の表示性能に適した高品質な映像を表示可能なデジタル放送信号の送信要求を行うことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
デジタル放送に基づく表示を行う表示部と、
1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信部と、
地上デジタル放送信号を受信可能な地上デジタル放送受信装置から通信により前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を受信する第2の受信部と、
前記1セグのデジタル放送信号と前記地上デジタル放送信号とに基づいて前記表示部への表示制御を行う表示制御部と
を有する携帯端末装置。
【請求項5】
前記地上デジタル放送信号に基づいて映像を表示し、前記1セグのデジタル放送信号に基づいてデータ放送の表示を行うことを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記表示部に全画面表示させる場合には、前記第1の受信部による受信を停止する制御を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記1セグのデジタル放送と前記地上デジタル放送とが同じ番組であるか否かを確認する対応確認部を有することを特徴とする請求項4から6までのいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
地上デジタル放送信号を受信する地上デジタル放送受信部と、
1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信部を備えた携帯端末装置との間の通信を行う通信部と、を有し、
前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を前記地上デジタル放送受信部により受信し、前記携帯端末装置において表示可能なフォーマットに変換した映像を、前記通信部を介して前記携帯端末装置に対して送信することを特徴とする地上デジタル放送受信装置。
【請求項9】
前記携帯端末装置から前記通信部を介して要求された表示特性に基づいて、前記地上デジタル放送受信部において受信した地上デジタル放送信号に基づく映像を変換する映像変換部を有することを特徴とする請求項8に記載の地上デジタル放送受信装置。
【請求項10】
デジタル放送に基づく表示を行う表示部と、1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信部と、地上デジタル放送信号を受信可能な地上デジタル放送受信装置から通信により前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を受信する第2の受信部と、前記1セグのデジタル放送信号と前記地上デジタル放送信号とに基づいて前記表示部への表示に関する制御を行う表示制御部と、を有する携帯端末装置と;
地上デジタル放送信号を受信する地上デジタル放送受信部と、前記携帯端末装置との間の通信を行う通信部と、を有し、前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を前記地上デジタル放送受信部により受信し、前記通信部を介して前記携帯端末装置に対して送信することを特徴とする地上デジタル放送受信装置と;
を含むデジタル放送受信システム。
【請求項11】
前記携帯端末装置は、インターネットと接続可能な第1の通信インターフェイス部を有しており、
前記地上デジタル放送受信装置の前記通信部は、インターネット経由で前記携帯端末装置と通信可能であることを特徴とする請求項10に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項12】
前記第1の通信インターフェイス部は、前記インターネットと無線LAN装置により無線接続されていることを特徴とする請求項11に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項13】
前記1セグのデジタル放送信号を前記地上デジタル放送受信装置側で受信し、前記通信部を介して前記携帯端末装置に送ることを特徴とする請求項10に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項14】
前記1セグのデジタル放送信号を前記地上デジタル放送受信装置側で受信し、その中のデータ放送信号を、前記通信部を介して前記携帯端末装置に送ることを特徴とする請求項10に記載のデジタル放送受信システム。
【請求項15】
携帯端末装置を用いたデジタル放送の表示制御方法であって、
1セグのデジタル放送信号を受信する第1の受信ステップと、
地上デジタル放送信号を受信可能な地上デジタル放送受信装置から通信により前記1セグのデジタル放送信号と対応する地上デジタル放送信号を受信する第2の受信ステップと、を有し、
前記1セグのデジタル放送信号と前記地上デジタル放送信号とに基づいて表示部への表示に関する制御を行うことを特徴とする表示制御方法。
【請求項16】
地上デジタル放送受信装置を用いたデジタル放送の送受信方法であって、
1セグのデジタル放送信号を受信する携帯端末装置から該1セグのデジタル放送信号に対応する地上デジタル放送信号を受信する受信ステップと、
受信した前記地上デジタル放送信号を、前記携帯端末装置からの要求に応じて変換するステップと、
変換した前記地上デジタル放送信号を前記携帯端末装置に送信するステップと
を有することを特徴とする送受信方法。
【請求項17】
コンピュータに請求項15又は16に記載のステップを実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記録するコンピュータ読みとり可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−199111(P2008−199111A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29499(P2007−29499)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】