説明

デジタル放送受信装置

【課題】再放送を利用した補間機能の利便性を向上させるとともに、移動に起因する補間失敗を低減することを目的としたデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】本発明のデジタル放送受信装置は、放送受信部と、放送波の識別情報と放送波の周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録する記録部とを備えている。また、選局された放送波の周波数帯域を関連情報により判別して放送受信部を制御する受信制御部を備える。また、分割送信されて受信側での記録媒体に記録された後に結合されるデータである蓄積型データを、放送受信部により受信された放送波に含まれるデータから生成して記録部に記録する蓄積処理部を備える。また、結合に必要なデータの一部のみが記録部に記録されている状態において、不足しているデータを含む放送波を検出して通知し、この放送波を受信するか否かの指示を受け付ける再蓄積制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送波を受信するデジタル放送受信装置に関するものであり、特に、放送波に含まれる分割データが所定条件を満たして蓄積された段階でデータ処理可能となる蓄積型放送の受信機能を備えた、移動体用のデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送の普及が進められている。例えば日本においては、一部の地域を除き、地上アナログ放送が2011年に放送終了され、地上デジタル放送への移行が行われた。これに伴い、カーナビや携帯電話等に搭載される移動体用のデジタル放送受信装置も、広く開発が行われている。
【0003】
デジタル放送の中には、受信して即座に視聴や字幕・データ放送の表示等のデータ処理可能なリアルタイム型放送(例えば地上デジタル放送)の他に、放送波で送られてくる分割データを受信機に一旦記録し(以下、「蓄積」という)、分割データが所定条件を満たして蓄積された段階で再生等のデータ処理が可能となる蓄積型放送がある。
【0004】
蓄積型放送を含むデジタル放送としては、例えば、日本の総務省が中心となって実現化が進められているV−Highマルチメディア放送やV−Lowマルチメディア放送が存在する。蓄積型放送では、分割データとしてTS(transport stream)ファイル等を伝送することが検討されている。
【0005】
蓄積型放送のコンテンツは、放送波で伝送されるため、放送時間内に蓄積が完了しなかった場合、つまり全ての分割データの受信が完了しなかった場合、受信側において再生等のデータ処理ができない。もしくは、受信側において一部しかデータ処理できない。
【0006】
完了しないケースとしては、例えばコンテンツの放送途中から蓄積を開始した場合があげられる。また、移動体用のデジタル放送受信装置では、移動に伴って受信環境が変化するため、放送開始から蓄積を開始したとしても、蓄積を完了できない場合がある。
【0007】
放送時間内に蓄積が完了しなかった場合、蓄積ファイルを完成させるために、例えばマルチメディア放送では二通りの補間方法が検討されている。
【0008】
一つ目は、インターネット等の広域通信網を使用した通信による、補間機能である。例えばV−Highマルチメディア放送では、放送時間内に蓄積を完了できなかった場合、主に無線通信を利用して不足部分を補い、蓄積ファイルを完成させることが検討されている。
【0009】
二つ目は、再放送を使用した補間機能である。V−Lowマルチメディア放送では、初回放送からの八日間は再放送を行える仕組みが検討されている。このため、再放送を利用して不足部分を補い、蓄積ファイルを完成させる方法が考えられる。
【0010】
本発明は、二つ目の補間方法、つまり再放送を利用した補間機能の機能改善を行うことを目的とする。再放送を利用した補間機能では、放送終了や移動により蓄積ファイルが完成しなかった場合、受信機で自動的に次回再放送の受信予約を行う。そして蓄積ファイルが完成するか、次回再放送の予定がなくなるまで、蓄積及び受信予約を継続する。
【0011】
上記に類似する技術として、特許文献1においては、ラジオ放送で提供される音楽情報を記録可能なオーディオ装置であって、一つの楽曲の途中で録音が中断されても、その楽曲が再放送された際に再録音できるオーディオ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−47187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら特許文献1では、検出された次回再放送の日時が他の受信予約と重複する場合に、何れの処理を優先するか等に関する技術は開示も示唆もなされていない。従って重複した場合、例えばユーザは、重複する複数の予約を確認して手動で予約設定を行う必要があり、手間がかかるという問題があった。
【0014】
また、受信装置を搭載している移動体が移動することにより、放送エリア外に移動する等し、次回再放送を受信できなくなる可能性があった。この場合、例えば次回再放送の受信予約が設定されているにもかかわらず、蓄積型データの再取得に失敗する可能性があった。
【0015】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄積型放送を受信する機能を備えた移動体用のデジタル放送受信装置であって、再放送を利用した補間機能の利便性を向上させるとともに、移動に起因する補間失敗を低減することを目的としたデジタル放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、放送波の識別情報と該放送波を受信するための周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部と、選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を前記関連情報により判別し、判別した前記周波数帯域による選局及び受信を行うよう前記放送受信部を制御する受信制御部と、分割送信されて受信側で記録媒体に記録された後に結合されて生成されるデータである蓄積型データを、前記放送受信部により受信された放送波に含まれるデータを記録及び結合することにより生成して前記記録部に記録する蓄積処理部と、前記結合に必要なデータの一部のみが前記記録部に記録されている状態において、不足している該データを含む放送波を検出して通知し、該放送波を受信するか否かの指示を受け付け、受信が指示された場合に該放送波を受信するよう前記放送受信部を制御する再蓄積制御部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によると、本発明のデジタル放送受信装置は、放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、放送波の識別情報と放送波を受信するための周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部とを備える。また、選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を関連情報により判別し、判別した周波数帯域による選局及び受信を行うよう放送受信部を制御する受信制御部を備える。また、分割送信されて受信側で記録媒体に記録された後に結合されて生成されるデータである蓄積型データを、放送波に含まれるデータを記録及び結合することにより生成して記録部に記録する蓄積処理部を備える。また、結合に必要なデータの一部のみが記録部に記録されている状態において、不足しているデータを含む放送波を検出して通知し、この放送波を受信するか否かの指示を受け付ける再蓄積制御部を備える。再蓄積制御部は、受信が指示された場合に、この放送波を受信するよう放送受信部を制御する。蓄積処理部は、この制御の結果受信された放送波を用いて蓄積型データを生成する。
【0018】
また上記目的を達成するために、前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波を前記関連情報を用いて検出し、不足している該データを含む放送波の周波数帯域、または放送日時を示す通知画像を生成して出力し、該放送日時において該放送波を受信して該データを記録するための予約設定を行うか否かの指示を受け付け、前記受信制御部は、前記予約設定に基づいて放送波の受信及び選局を行うよう前記放送受信部を制御し、前記蓄積処理部は、前記予約設定に基づいて前記蓄積型データを生成することを特徴とする。
【0019】
この構成によると、再蓄積制御部は、結合に必要なデータを含む放送波を関連情報を用いて検出し、不足しているデータを含む放送波の周波数帯域、または放送日時を示す通知画像を生成して出力する。そしてこの放送日時において放送波を受信してデータを記録するための予約設定を行うか否かの指示を受け付ける。受信制御部は、予約設定に基づいて放送波の受信及び選局を行うよう放送受信部を制御する。蓄積処理部は、予約設定に基づいて蓄積型データを生成する。
【0020】
また上記目的を達成するために、前記再蓄積制御部は、前記通知画像を生成する際に、前記結合に必要なデータを含む放送波の放送地域を示す画像を前記通知画像に含めて生成することを特徴とする。
【0021】
この構成によると、再蓄積制御部は、通知画像を生成する際に、結合に必要なデータを含む放送波の放送地域を示す画像を通知画像に含めて生成する。
【0022】
また上記目的を達成するために、前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の放送日時が複数存在する場合に、前記通知画像を生成する際に、複数の前記放送日時を示す画像を前記通知画像に含めて生成し、前記予約設定に用いる前記放送日時の選択を受け付けることを特徴とする。
【0023】
この構成によると、再蓄積制御部は、結合に必要なデータを含む放送波の放送日時が複数存在する場合、通知画像を生成する際に、複数の放送日時を示す画像を通知画像に含めて生成する。そして複数の放送日時の中から、予約設定に用いる放送日時の選択を受け付ける。
【0024】
また上記目的を達成するために、前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の放送日時が一または複数存在し、且つ前記予約設定を設定できない前記放送日時が存在する場合に、予め定められた通知を行う、或いは該放送日時を示す画像を前記通知画像に含めないことを特徴とする。
【0025】
この構成によると、再蓄積制御部は、結合に必要なデータを含む放送波の放送日時が一または複数存在し、且つ重複等により予約設定を設定できない放送日時が存在する場合に、所定の通知を行う。或いは、予約設定できない放送日時を示す画像を通知画像に含めない。
【0026】
また上記目的を達成するために、前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の検出に失敗した場合、または該放送波を検出したが該放送波を対象とした前記予約設定を受け付けなかった場合に、該放送波に関連する前記蓄積型データの一部または全部を前記記録部より削除することを特徴とする。
【0027】
この構成によると、再蓄積制御部は、結合に必要なデータを含む放送波の検出に失敗した場合、または放送波を検出したが予約設定を受け付けなかった場合に、この放送波に関連する蓄積型データ、つまり蓄積が完了していない蓄積型データの一部または全部を記録部より削除する。
【0028】
また上記目的を達成するために、前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の受信が中断された場合、または該放送波の放送終了後に前記記録部に記録されている該データの結合に失敗した場合に、前記結合に必要なデータを含む放送波を検出し、該放送波の周波数帯域、または放送日時を示す画像を含む前記通知画像を生成して出力し、前記予約設定を行うか否かの指示を受け付けることを特徴とする。
【0029】
この構成によると、再蓄積制御部は、結合に必要なデータを含む放送波の受信が中断された場合、または放送終了後に記録部に記録されているデータの結合に失敗した場合に、結合に必要なデータを含む放送波を検出し、この放送波の周波数帯域、または放送日時を示す画像を含む通知画像を生成して出力し、予約設定を行うか否かの指示を受け付ける。
【0030】
また上記目的を達成するために、前記蓄積処理部は、V−Highマルチメディア放送またはV−Lowマルチメディア放送において実施される蓄積型放送の放送波を用いて前記蓄積型データを生成して前記記録部に記録すること、を特徴とする。
【0031】
この構成によると、蓄積処理部は、V−Highマルチメディア放送またはV−Lowマルチメディア放送において実施される蓄積型放送の放送波を用いて蓄積型データを生成し、記録部に記録する。
【0032】
また上記目的を達成するために、前記受信制御部は、放送波に含まれるNIT(Network Information Table)等のセクション情報、または広域通信網を介して得られる通信情報から、前記関連情報または前記放送地域を示す地域情報を取得することを特徴とする。
【0033】
この構成によると、受信制御部は、放送波に含まれるNIT等のセクション情報、または広域通信網を介して得られる通信情報から、関連情報または放送地域を示す地域情報を取得する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、放送波で配信される蓄積型データが未完成の状態である場合に、再放送日時を画面表示し、再蓄積する日時を選択できるようにしている。これによりユーザは、再蓄積が可能な再放送日時を知ることができるとともに、再蓄積予約を容易に行うことができる。
【0035】
また本発明によれば、再放送日時を表示する通知画像に、再放送の放送地域を示す画像を含めて表示する。これによりユーザは、再放送日時にその放送地域にいるか否かに応じて、再蓄積予約を行うか否かの判断をすることができる。
【0036】
また本発明によれば、再蓄積を行わない場合に、未完成状態の蓄積型データを削除する。これにより、記録媒体の空き容量を増加させることができる。また、未完成の蓄積型データをユーザが手動で削除する手間を、省くことができる。
【0037】
また本発明によれば、再放送日時が複数存在する場合に、複数の再放送日時を表示し、その中から再蓄積を行う再放送の指定を受け付けている。これにより、例えば次回の再放送日時が他の予約と重複する場合でも、次々回の再放送日時を利用して再蓄積を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタル放送受信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る機能部の構成を示すブロック図である。
【図3】放送局情報テーブルを示すテーブル図である。
【図4】コンテンツ蓄積状況を示す模式図である。
【図5】蓄積予約情報管理テーブルを示すテーブル図である。
【図6】再蓄積予約画面を示す画面図である。
【図7】蓄積処理を示すフロー図である。
【図8】蓄積処理及び蓄積予約処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100(=デジタル放送受信装置)の内部構成を示すブロック図である。図1のブロック図に示すように、本発明の車載用受信装置100は、外部装置としてダイバーシティアンテナ1を接続可能である。
【0040】
また車載用受信装置100は少なくとも、チューナ11(=放送受信部)、復調部12(=放送受信部)、HDD13(=記録部)、CPU14、RAM15、ROM16、オーディオフィルタ17、オーディオデコーダ18、ビデオフィルタ19、ビデオデコーダ20、データフィルタ21、データデコーダ22、出力部23、及び操作入力部24を備えている。
【0041】
ただし、本発明は蓄積したコンテンツの再生機能にまで言及していないため、再生機能を別の受信機に持たせるという実施形態でもよい。この場合、コンテンツを蓄積する受信機にはオーディオフィルタやオーディオデコード、ビデオフィルタ、ビデオデコーダ等が不要になる。
【0042】
チューナ11は、ダイバーシティアンテナ1からデジタル放送信号を受信し、所望の周波数帯域での選局を行う。またチューナ11は、選局中の周波数帯域において放送波が受信不可となったか否かを監視する。具体的には例えば、車載用受信装置100を搭載した車両が受信地域を跨ぐ等により、これまで受信していた放送波の電界強度が所定の閾値を下回った場合に、受信不可となったとみなす。
【0043】
復調部12は、チューナ11から入力される選局された信号を復調及びエラー訂正し、ワンセグと12セグとの、それぞれのTSを出力する。復調部12により復調されたTSは、後述するオーディオフィルタ17、ビデオフィルタ19、及びデータフィルタ21に与えられる。
【0044】
HDD(Hard Disk Drive)13は、放送波より抽出された画像/音声データや、後述する蓄積型データ等を格納する大容量の磁気記録媒体である。
【0045】
CPU14は、各種演算、処理、制御を行う演算処理装置である。CPU14は、車載用受信装置100の各部材の駆動を有機的に制御して、放送受信処理等を統括制御する。
【0046】
RAM15は、CPU14のワークメモリ等に用いられる、読み書き可能な記録媒体である。
【0047】
ROM16は、CPU14が実行する制御プログラム等を格納する、読み出し専用の記録媒体である。
【0048】
オーディオフィルタ17は、復調部12から出力されたTSからオーディオデータのみを抽出する。オーディオデコーダ18は、抽出されたオーディオデータを復号してデジタル音声信号を生成し、後述する出力部23へ与える。
【0049】
ビデオフィルタ19は、復調部12から出力されたTSからビデオデータのみを抽出する。ビデオデコーダ20は、抽出されたビデオデータを復号してデジタル画像信号を生成し、後述する出力部23へ与える。
【0050】
データフィルタ21は、復調部12から出力されたTSから伝送パラメータ、NIT(Network Information Table)、番組情報等のデータを抽出する。データデコーダ22は、抽出されたデータを復号する。復号されたデータは、HDD13やRAM15等に記録される。
【0051】
出力部23は液晶モニタ等の表示装置や、スピーカ等の音声装置を接続して画像信号及び音声信号を出力するための出力端子を含む。
【0052】
操作入力部24は、不図示のリモコン、及びリモコン受光部を含む。リモコンには、車載用受信装置100に対して選局指示等を行うための、プッシュボタンやタッチセンサ等が備えられている。
【0053】
また操作入力部24は、車載用受信装置100のハウジングに設けられたハードキーやタッチパネル等を含む。操作入力部24は、上記装置のいずれかにより受け付けたユーザ操作に基づく操作信号を生成し、CPU14等へ出力する。なお操作入力部24は、必ずしも上記装置の全てを含む必要はなく、上記装置の一部のみを含む形態でもよい。
〈2.機能部の構成について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る蓄積処理及び蓄積予約処理を行うための各機能部の関係を、図2の機能ブロック図を用いながら説明する。なお図2においてCPU14の内部に図示されている機能ブロックは、CPU14が所定のプログラムを実行することにより実現される機能部を表している。
【0054】
図2に示すように、本実施形態のサーチ処理は、サーチ部14a(=受信制御部)、蓄積処理部14b、及び再蓄積制御部14cにより実施される。
【0055】
サーチ部14aは、所定の放送波の受信を試行するサーチ処理を行う。サーチ部14aは、受信可能な周波数帯域を解析すると共に、図3に示す放送局情報テーブル(=関連情報)を用いて、ユーザに指示されたソフト事業者が情報を配信している放送波の受信を試行する。
【0056】
受信に成功した場合、この放送波の受信を開始する。受信に失敗した場合、サーチ部14aは放送局情報テーブルに含まれる未チェックのサーチ周波数を用いて、放送波の受信を試行する。
【0057】
図3は、サーチ部14aが参照する放送局情報テーブルの一例を示すテーブル図である。なお図3の例では、service_idの値によりソフト事業者が一意に定まるものとする。つまり図3は、ソフト事業者毎にサーチするサーチ周波数と放送地域とを対応付けたテーブルである。サーチ周波数や放送地域は、放送波のNIT等から取得する。なお、放送地域の取得方法としては、広域通信網を介した通信により取得する方法でもよい。
【0058】
サーチ部14aは、放送局情報テーブルが図3に示す状態であり、且つサービスID=0x2400のソフト事業者がユーザにより選択されたことを検知した場合、サーチ周波数として92.00MHzや98.00MHzを用いたサーチを行う。
【0059】
蓄積処理部14bは、サーチ部14aによりサーチされて受信が開始され、且つデータフィルタ21により抽出された放送データのうち、蓄積型放送により伝送される蓄積型データを抽出して所定の記録媒体、例えばHDD13に記録する。また蓄積処理部14bは、分割送信された蓄積型データの結合を行い、データ処理可能なデータ形式とする機能を持つ。
【0060】
図4は、蓄積処理部14bにより生成されるコンテンツ(=蓄積型データ)の、蓄積状況のイメージを示した模式図である。図4のevent_idは、番組を識別するIDである。なおevent_idは、受信した放送波に含まれるEIT(Event Information Table)等から取得する。また図4の四角は蓄積処理の処理単位を表している。図4の例では、蓄積完了したデータを灰色で塗り潰している。
【0061】
例えばevent_id=0x2000のコンテンツ1に注目すると、7つの四角が全て灰色になったときにコンテンツが完成となる。なお図4では1つの番組(event_id)に対してコンテンツ1〜3を定義しているが、いくつのコンテンツが存在するかは放送波の情報から定まるものとする。
【0062】
例えばV−Lowマルチメディア放送ではevent_id、ex_event_id等からコンテンツ1〜3を検出可能となる。また、コンテンツ1〜3はそれぞれ独立して蓄積が行われる。従って例えば、コンテンツ1の蓄積が完了していない状態でも、コンテンツ2の蓄積が完了すればコンテンツ2を再生可能である。
【0063】
蓄積制御部14cは、蓄積処理部14bが実施するコンテンツ蓄積処理が未完了のまま中断された場合に、コンテンツを完成させるための制御を行う。より具体的には、再放送を利用してコンテンツの再蓄積を行う。
【0064】
蓄積制御部14cは、図5に示す蓄積予約情報管理テーブルを用いて、コンテンツの再蓄積を行う。蓄積制御部14cは、例えばラテ欄のような予約一覧画面等からユーザが蓄積予約を実行した際に、蓄積予約された番組の再放送日時を調査し、蓄積予約情報管理テーブルを生成する。なお再放送日時はEIT等から取得する。
【0065】
前述したように、V−Lowマルチメディア放送のように同一番組の再放送日時が事前に通知されている場合は、再放送日時の全てを蓄積予約情報管理テーブルに保存する。再放送日時が初回放送時に取得できない場合は、定期的に場組情報を取得し、蓄積予約情報管理テーブルの更新を行う。
【0066】
なお、本実施形態では放送局情報テーブルと蓄積予約情報管理テーブルとを個別に生成しているが、これら二つのテーブルを一テーブルとし、まとめて管理を行う形態でもよい。
【0067】
蓄積制御部14cは、上記の蓄積予約情報管理テーブルを用いて、図6に示す再蓄積予約画面(=通知画像)を表示する。なお最蓄積予約画面を表示するタイミングとしては、例えば放送時間内に蓄積が完了しなかった場合や、移動により電波状態が変化して蓄積不可となった場合等があげられる。
【0068】
例えば、図5に示すservice_id=0x2400、event_id=0x2000の番組の放送終了時点で、図4のようにevent_id=0x2000の蓄積が完了していなかったとする。この際、図6に示す再蓄積予約画面を表示する。
【0069】
図5に示すように、上記の番組は複数の再放送日時が存在する。このように再放送日時が存在する場合、図6に示すように、再放送日時とともに蓄積予約ボタンを1つ以上表示する。さらに再蓄積予約画面には、取得した放送地域を表示する。
【0070】
再蓄積予約画面を表示している状態において蓄積制御部14cは、操作入力部24によるユーザ操作を受け付ける。そしてユーザ操作により蓄積予約ボタンが押下されると、該当する再放送日時において再蓄積を行うことを示す予約情報を生成し、HDD13等に記録する。蓄積処理部14bは、この予約情報に基づいて、再放送を利用した蓄積処理を行う。
【0071】
なお、再蓄積予約画面の構成は図6に示すものに限定されるものではなく、例えば放送地域を表示しない画面構成でも構わない。或いは、放送地域を音声メッセージにより通知する形態でもよい。また、蓄積予約ボタンが押下された後、予め設定されている別番組の予約日時と重複する場合、警告メッセージを表示する形態でもよい。
〈3.蓄積処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100が実施する蓄積処理の処理フローについて、図7のフロー図を用いながら説明する。本実施形態の処理フローは、車載用受信装置100が通電状態にある場合において、任意のタイミングで開始することが可能である。
【0072】
本処理の開始後、蓄積処理部14bはステップS110において、蓄積予約情報管理テーブルを参照し、最も直近で蓄積の実行が必要な蓄積予約を判別する。例えば現在日時が2011年06月06日の13:00である場合、図5のevent_id=0x2000が、該当する蓄積予約となる。
【0073】
次に蓄積処理部14bはステップS120において、ステップS110で判別した蓄積予約が示す蓄積実行日時になった時点で、ステップS130へ移行する。蓄積実行日時になっていない場合は監視を継続する。
【0074】
なお、蓄積実行日時は、蓄積対象とする再放送の放送開始時刻と異なっても構わない。具体的には例えば、放送開始時刻前にサーチ処理を行い、放送開始時刻と同時に蓄積を開始する場合、このサーチ処理の開始時刻を蓄積実行日時とする。
【0075】
なお、本処理フローでは、蓄積実行日時になっていなければ再度蓄積実行日時になったかを監視し続けているが、蓄積実行日時に合わせたタイマーを用いて、ステップS120に代わる処理を実施する形態でもよい。
【0076】
次に蓄積処理部14bはステップS130において、放送局情報テーブルを参照し、未サーチのサーチ周波数を検索する。なお初回サーチ時には、放送局情報テーブルに記述された最初のサーチ周波数(図3に示す左端の[0]欄のサーチ周波数)を用いて、サーチを実行する形態でもよい。
【0077】
未サーチのサーチ周波数があればステップS140へ移行する。未サーチのサーチ周波数がなければ、本処理を終了する。或いは、未サーチのサーチ周波数がない場合、ステップS130へ再び移行する形態でもよい。これは、移動体受信等では一時的に受信状態が悪化することがあるため、サーチのループを繰り返すことによってサーチが成功する可能性があるためである。
【0078】
次に蓄積処理部14bはステップS140において、サーチ周波数を決定し、サーチを実行する。
【0079】
次に蓄積処理部14bはステップS150において、サーチに成功して蓄積対象の番組を受信できたか否かを判定する。受信できた場合、次に説明する図8の処理フローに移行する。電波状態が悪い等により蓄積対象の番組を受信できなかった場合、ステップS130へ再び移行する。
〈4.再蓄積予約処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100が実施する再蓄積予約処理の処理フローについて、図8のフロー図を用いながら説明する。
【0080】
本実施形態の処理フローは、図7のステップS150において、蓄積対象の番組を受信できた場合に開始される。
【0081】
本処理の開始後、蓄積処理部14bはステップS210において、蓄積対象の番組の放送終了時刻が到来しているか否かを判定する。放送終了時刻が到来している場合、ステップS310へ移行する。放送終了時刻が到来していない場合、ステップS220へ移行する。
【0082】
蓄積処理部14bはステップS220において、放送波に含まれる蓄積型データの蓄積を実行し、HDD13等に記録する。
【0083】
次に蓄積処理部14bはステップS230において、蓄積型データの蓄積が完了し、番組に含まれる全てのコンテンツが完成したか否かを判定する。全てのコンテンツが完成している場合、蓄積処理部14bはステップS240において、蓄積完了の旨を画面表示(または音声通知)し、本処理を終了する。コンテンツが完成していない場合、再びステップS210へ移行する。
【0084】
ステップS210において放送終了時刻が到来していると判定された場合、再蓄積制御部14cはステップS310において、図6に示す再蓄積予約画面を表示し、蓄積が未完了であることを通知する。なおこの際、併せて音声案内を実施する形態でもよい。
【0085】
次に再蓄積制御部14cはステップS320において、再蓄積予約画面おいて再蓄積指示をユーザより受け付けたか否かにより、処理の分岐を行う。
【0086】
再蓄積指示を受け付けた場合、つまり再蓄積予約画面に表示されている予約ボタンが押下された場合、再蓄積制御部14cはステップS330において、受け付けたユーザ指示に基づく再蓄積予約を行い、本処理を終了する。
【0087】
再蓄積指示を受け付けていない場合、もしくは再放送予定がない場合、再蓄積制御部14cはステップS350において、未完成状態のコンテンツを削除する。例えば、コンテンツの状態が図4に示すevent_id=0x2000の状態であった場合、コンテンツ1及びコンテンツ3を削除する。なおこの際、コンテンツ1〜3を1セットとして、コンテンツ1〜3の全てを削除する形態でもよい。
【0088】
以上に説明した本実施形態によれば、再放送日時が分かっている状態でコンテンツが完成しなかった場合に、再放送日時を画面表示し、再蓄積する日時を選択できるようにしている。これによりユーザは、再蓄積が可能な再放送日時を知ることができるとともに、再蓄積予約を簡易な操作で行うことができる。
【0089】
また本実施形態によれば、再蓄積予約画面において、放送地域を表示する。これによりユーザは、再放送日時にその放送地域にいるかどうかを判断し、再蓄積予約を行うか否かの判断材料とすることができる。つまり、地域を移動することにより再蓄積予約が実施不可能なものとなり、結果として再蓄積に失敗するといった状況を回避することができる。
【0090】
また本実施形態によれば、再蓄積を行わない場合、例えば再蓄積予約画面において再蓄積が指示されなかった場合や、再蓄積予約のキャンセルが行われた場合等において、未完成状態のコンテンツを削除する。これにより、未完成のコンテンツが記録媒体に残り、記録容量を圧迫すると行った事態を回避することができる。また、未完成のコンテンツをユーザが手動で削除する手間を省くことができる。
【0091】
また本実施形態によれば、再放送日時が複数存在する場合に、複数の再放送日時を表示し、その中から再蓄積を行う再放送日時の指定を受け付けている。これにより、例えば次回の再放送日時が他の予約と重複する場合等に、次々回の再放送日時を利用して再蓄積を行うことが可能である。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0092】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0093】
(A)上記実施形態では、本発明の蓄積処理及び蓄積予約処理を実施するデジタル放送受信装置として、車載用受信装置100を例に説明しているが、これ以外のデジタル放送受信装置において実施する形態でもよい。例えば、ポータブルテレビやテレビ付き携帯電話等で実施する形態でもよい。
【0094】
(B)上記実施形態では、本発明の各種処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0095】
(C)上記実施形態では、再放送日時を表示する際に、他の予約と重複するか否かに関わらず表示しているが、重複しない再放送日時のみを表示する形態でもよい。或いは、重複する予約がある再放送日時を強調表示する等により通知する形態でもよい。
【0096】
(D)上記実施形態では、再放送日時を再蓄積予約画面により通知しているが、再放送日時が検出できなかった場合はその旨のみを通知し、未完成のコンテンツの削除の要否を受け付ける形態でもよい。或いは、再放送日時が検出されなかった場合、再蓄積予約画面の表示や通知を行わず、自動的に未完成コンテンツを削除する形態でもよい。
【0097】
(E)上記実施形態では、再放送が頻繁に行われることが想定されるV−Lowマルチメディア放送を主な対象としているが、V−Highマルチメディア放送等、その他のデジタル放送を対象として本発明を実施する形態でもよい。
【0098】
(F)上記実施形態では、放送終了時刻が到来していると判定された場合に再蓄積予約画面を表示しているが、放送エリア外にいる場合など、それ以降の継続蓄積は不可と判断できる場合は放送終了時刻前に本発明を実施する形態でもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 車載用受信装置(デジタル放送受信装置)
11 チューナ(放送受信部)
12 復調部(放送受信部)
13 HDD(記録部)
14 CPU
14a サーチ部(受信制御部)
14b 蓄積処理部
14c 再蓄積制御部
15 RAM
16 ROM
17 オーディオフィルタ
18 オーディオデコーダ
19 ビデオフィルタ
20 ビデオデコーダ
21 データフィルタ
22 データデコーダ
23 出力部
24 操作入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、
放送波の識別情報と該放送波を受信するための周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部と、
選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を前記関連情報により判別し、判別した前記周波数帯域による選局及び受信を行うよう前記放送受信部を制御する受信制御部と、
分割送信されて受信側で記録媒体に記録された後に結合されて生成されるデータである蓄積型データを、前記放送受信部により受信された放送波に含まれるデータを記録及び結合することにより生成して前記記録部に記録する蓄積処理部と、
前記結合に必要なデータの一部のみが前記記録部に記録されている状態において、不足している該データを含む放送波を検出して通知し、該放送波を受信するか否かの指示を受け付け、受信が指示された場合に該放送波を受信するよう前記放送受信部を制御する再蓄積制御部と、
を備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波を前記関連情報を用いて検出し、不足している該データを含む放送波の周波数帯域、または放送日時を示す通知画像を生成して出力し、該放送日時において該放送波を受信して該データを記録するための予約設定を行うか否かの指示を受け付け、
前記受信制御部は、前記予約設定に基づいて放送波の受信及び選局を行うよう前記放送受信部を制御し、
前記蓄積処理部は、前記予約設定に基づいて前記蓄積型データを生成すること
を特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記再蓄積制御部は、前記通知画像を生成する際に、前記結合に必要なデータを含む放送波の放送地域を示す画像を前記通知画像に含めて生成すること
を特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の放送日時が複数存在する場合に、前記通知画像を生成する際に、複数の前記放送日時を示す画像を前記通知画像に含めて生成し、前記予約設定に用いる前記放送日時の選択を受け付けること
を特徴とする請求項3に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の放送日時が一または複数存在し、且つ前記予約設定を設定できない前記放送日時が存在する場合に、予め定められた通知を行う、或いは該放送日時を示す画像を前記通知画像に含めないこと
を特徴とする請求項4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の検出に失敗した場合、または該放送波を検出したが該放送波を対象とした前記予約設定を受け付けなかった場合に、該放送波に関連する前記蓄積型データの一部または全部を前記記録部より削除すること
を特徴とする請求項5に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
前記再蓄積制御部は、前記結合に必要なデータを含む放送波の受信が中断された場合、または該放送波の放送終了後に前記記録部に記録されている該データの結合に失敗した場合に、前記結合に必要なデータを含む放送波を検出し、該放送波の周波数帯域、または放送日時を示す画像を含む前記通知画像を生成して出力し、前記予約設定を行うか否かの指示を受け付けること
を特徴とする請求項6に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項8】
前記蓄積処理部は、V−Highマルチメディア放送またはV−Lowマルチメディア放送において実施される蓄積型放送の放送波を用いて前記蓄積型データを生成して前記記録部に記録すること、
を特徴とする請求項7に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項9】
前記受信制御部は、放送波に含まれるNIT(Network Information Table)、または広域通信網を介して得られる通信情報から、前記関連情報または前記放送地域を示す地域情報を取得すること
を特徴とする請求項8に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−30947(P2013−30947A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165051(P2011−165051)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】