説明

デファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造

【課題】ドライブシャフトの先端部に抜け止め部を設けることができない構造であっても、ドライブシャフトをデファレンシャル装置に連結でき、デファレンシャルケースの外側からの操作でドライブシャフトを車軸方向に移動不能に連結できる連結構造を提供する。
【解決手段】デファレンシャル装置に備えたピニオンシャフト49,51の軸線と、左右一対のドライブシャフト4,5の軸線との交点に連結孔41をそれぞれ備え、ドライブシャフト4,5にそれぞれ車軸回りに回転可能で、車軸方向に移動不能にコネクター42を介して継ぎ足され、クロスシャフト53の連結リング52内に先端部が配置される左右一対の連結ヘッド35,36と、一対のピニオンシャフト49,51の貫通孔56および左右一対の連結ヘッド35,36の連結孔41に挿通される連結シャフト55と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に装備されるデファレンシャル装置(DIFFERENTIAL ASSEMBLY)と、左右の車輪に連結される左右のドライブシャフトとの連結構造に係り、特にリミテッドスリップデファレンシャル装置(LIMITED SLIP DIFFERENTIAL ASSEMBLY)関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の動力伝達機構は、動力が伝達されるデファレンシャル装置と、前記デファレンシャル装置に入力された駆動力を左右の車輪にそれぞれ伝達する左右のドライブシャフトとを有している。
【0003】
デファレンシャル装置は、自動車の車体側に取り付けられるデファレンシャルキャリア内にデファレンシャルケースを配置した構成で、前記デファレンシャルケースの左右端部が、前記デファレンシャルキャリアに例えば軸受部材を介して回転自在に支持されている。このため、前記デファレンシャルケースは前記デファレンシャルキャリアに対してドライブシャフトの軸方向である左右方向への移動が規制される。
【0004】
デファレンシャル装置は、左右のドライブシャフトがそれぞれスプライン結合する左右のサイドギアと、前記左右のサイドギアの間に配置されたピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの両端部に回転自在に支持され、前記左右のサイドギアにそれぞれ噛み合うピニオンギアと、これらの部材を内部に収容する筒形状のデファレンシャルケースとを備え、前記ピニオンシャフトの両端部が前記デファレンシャルケースの外周壁部に形成した挿通孔部に嵌り込み、ワッシャー等で該ピニオンシャフトの径方向への移動を規制している。
【0005】
このような一般的なデファレンシャル装置に対し、さらに左右のサイドギアの軸部と前記デファレンシャルケースとの間に複数枚の摩擦クラッチ板を車軸方向に移動可能に配置した左右の摩擦クラッチと、前記左右の各サイドギアを覆うように対向配置され、車軸方向における間隔を拡げる方向に移動することで前記左右の各摩擦クラッチを車軸方向外方に押し付ける左右のプレッシャーリングと、前記左右一対のプレッシャーリングの間隔を車軸方向に沿って押し拡げるカム機構を設けたリミテッドスリップデファレンシャル装置が知られている。このカム機構は、左右一対のプレッシャーリングの対向部に周方向に沿って例えば4か所形成したカム面部60と、十字形状に形成したピニオンシャフトの各シャフト端部に形成され、前記カム面に係合するカム部とにより構成している。
【0006】
ところで、左右のドライブシャフトは、デファレンシャル装置およびリミテッドスリップデファレンシャル装置に対して車軸方向の両方向への移動を規制するように連結され、左右の車輪間距離を一定に保持している。左右のドライブシャフトを前記デファレンシャル装置に対して連結する構造としては、例えば、特許文献1に示すドライブシャフトの外径を一定としたタイプがある。この連結構造を図3に基づいて説明する。
【0007】
図3は、センターラインCLを挟んで右側部分が一般的なデファレンシャル装置1の片半部分を示している。図3において、タイヤ(車輪)2,3が装着される左右のドライブシャフト4,5の軸内端部には、周溝6がそれぞれ形成されている。ここで、左右のタイヤ間距離をLとする。センターラインCLを境にして右側に示すサイドギア7は、センターラインCLに向かう内端面側に、ドライブシャフト5が挿通される軸孔8の周囲に凹部9を形成している。凹部9内に嵌り込む円板状のストッパー板10が周溝6に差し込まれることにより、ドライブシャフト5の抜けが規制され、ドライブシャフト5の内端がピニオンシャフト11に当接することによりドライブシャフト5の押し込みが規制され、左右のタイヤ間距離Lが保持される。
【0008】
ピニオンシャフト11の先端部にピニオンギア12が回転自在に装着され、さらにデファレンシャルケース13の円筒部にピニオンシャフト11の先端が係合している。またデファレンシャルケース13の外部にはリングギア14が固定されている。そして、リングギア14およびデファレンシャルケース13をデファレンシャルキャリア15に収容している。
【0009】
このようなデファレンシャル装置のドライブシャフトの連結構造において、ストッパー板10の装着と抜き取り作業は、いずれもピニオンシャフト11をデファレンシャルケース13から抜き取り、ドライブシャフト5をセンターラインCL側に押し出した状態で行われる。このデファレンシャルケース13には、図示の状態でこれらの部品が露出する大きな作業用開口部が形成されているため、1軸構成のピニオンシャフト11を抜き取れば、僅かな距離だけドライブシャフト5をセンターラインCL側に移動できれば、前記作業用開口部を通してストッパー板10の抜き出しと装着が容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,270,026号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図3に示す通常のデファレンシャル装置を装備した車両において、デファレンシャル装置をリミテッドスリップデファレンシャル装置に置き換える場合、デファレンシャルキャリア15とリングギア14とドライブシャフト4,5を交換せずに、デファレンシャルケースと、デファレンシャルケース内に配置される各種のリミットスリップデファレンシャル装置のための部品を新たに組み込むことがコストの点おいて有利であり、また交換作業が容易である。
【0012】
この場合、図3のセンターラインCLより左側に示すように、デファレンシャルケース20とサイドギア21の形状およびサイズが変更となり、摩擦クラッチ22と二点鎖線で示すプレッシャーリング23と概略十字形状のピニオンシャフトとカム機構が新たに加えられる。
【0013】
しかし、デファレンシャルキャリア15を流用するため、新たなデファレンシャルケース20の左右方向の距離がデファレンシャルケース13の左右両端部をデファレンシャルキャリア15の内側で軸支する左右の軸受部16の間の軸受間距離L1に制限される。
【0014】
一方、新たなサイドギア21は、センターライン側にギア部24を形成し、軸方向外方側に摩擦クラッチ22を装着する軸部25を形成するため、一般的なデファレンシャル装置1のサイドギア7よりも軸方向に長くなる。また、上述した距離L1内で各部材の車軸方向寸法を決定しなければならないという制限より、新たなサイドギア21のギア部24がドライブシャフト4の内端よりもピニオンシャフト11側まで延びる形状とならざるを得ない。
【0015】
新たなサイドギア21の軸孔26内に挿入されるドライブシャフト4の内端が軸孔26の内端よりも奥深く位置しているため、ドライブシャフト4の周溝6にストッパー板10を差し込んで抜け止めを行うことができない。
【0016】
また、リミテッドスリップデファレンシャル装置において、4本のピニオン軸を十字形状に組み付け、各ピニオン軸の先端部にピニオンギアを取り付けた構成とし、さらにサイドギアをプレッシャーリング23で覆うようにしているため、ストッパー板10を用いたドライブシャフトの連結はできない。
【0017】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたもので、ドライブシャフトの先端部に抜け止め部を設けることができない構造であっても、ドライブシャフトをデファレンシャル装置に連結でき、しかもデファレンシャルケースの外側からの操作でドライブシャフトを車軸方向に移動不能に連結できるデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的を実現するデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造は、デファレンシャルキャリアに対して車軸回りに回転自在に支持されたデファレンシャルケース内に車軸方向に沿って対向配置された左右一対のサイドギアと、前記左右一対のサイドギア間に配置され、車軸回りに孔部が形成された連結リングから径方向外方に対向して延び、長手軸方向に貫通孔が形成された一対のピニオンシャフトを少なくとも備えたピニオンシャフト体と、前記ピニオンシャフトの先端に回転自在に装着され、前記左右一対のサイドギアと噛み合うピニオンギアとを少なくとも備えたデファレンシャル装置と、前記左右一対のサイドギアに対してそれぞれ回転不能に結合すると共に、車軸方向に移動可能で、対向する先端面間に所定距離を有して配置される左右一対のドライブシャフトと、前記左右一対のドライブシャフトの軸線と前記ピニオンシャフトの軸線との交点に連結孔をそれぞれ備え、前記左右一対のドライブシャフトにそれぞれ車軸回りに回転可能で、車軸方向に移動不能に継ぎ足されて前記ピニオンシャフト体の連結リング内に先端部が配置される左右一対の連結ヘッドと、前記左右一対の連結ヘッドの連結孔を通して前記対向する一対のピニオンシャフトの貫通孔に差し込まれる連結シャフトと、により構成する。
【0019】
このデファレンシャル装置としては、リミテッドスリップデファレンシャル装置とすることができ、貫通孔を備えた対向一対のピニオンシャフトと、中実の対向一対のピニオンシャフトとにより十字形状に形成したピニオンシャフト体を用いることができ、ピニオンシャフト体を挟んで左右一対のプレッシャーリングをデファレンシャルケースの内周面に車軸方向移動可能で車軸回りには回転不能に取り付け、また左右一対のサイドギアとデファレンシャルケース両端の側壁との間に摩擦クラッチをそれぞれ配置し、さらに、各ピニオンシャフトの先端部にカム部を設けるとともに、前記左右一対のプレッシャーリングに、前記各カム部と係合するカム面部を設けた構成が例示できる。
【0020】
左右一対のドライブシャフトとしては、先端部に周溝が形成され、この周溝に続く後方にサイドギアの軸孔に形成したスプラインと係合するスプラインを外周に形成し車軸方向両方向に沿って移動可能とする構成が例示できる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、左右のドライブシャフトを車軸方向に移動させて左右の連結ヘッドの連結孔をピニオンシャフト体の連結リング内でピニオンシャフトの軸線上に位置合わせした状態で、連結シャフトを一方のピニオンシャフトの貫通孔から他方のピニオンシャフトの貫通孔に向けて押し込むだけで、連結シャフトが左右の連結ヘッドの連結孔に差し込まれ、左右一対のドライブシャフトの軸方向両方向の移動を規制することができる。
【0022】
このような構造とすることで、例えば左右一対のドライブシャフトの先端部に形成した周溝にそれぞれフォーク状のストッパー板を差し込み、サイドギアに対してドライブシャフトの抜け防止対策を施すことがスペース上の問題で困難な場合、あるいはドライブシャフトの先端部に形成した周溝がサイドギアの軸孔内に位置し、前記フォーク状のストッパー板を使用できないといった構造上の問題がある場合でも、連結ヘッドを車軸方向に対して移動不能で車軸回りに回転自在に継ぎ足し、連結シャフトをピニオンシャフトの貫通孔に押し込むだけで、左右一対のドライブシャフトをデファレンシャル装置に連結することが可能となった。
【0023】
このため、一般的なデファレンシャル装置をリミテッドスリップデファレンシャル装置にデファレンシャルキャリアと左右一対のドライブシャフトを流用して置き換える場合、新規のデファレンシャルケースの左右方向長さがデファレンシャルキャリアの軸受等によって規制され、デファレンシャルケース内に収容される左右一対のサイドギアの軸方向長さも摩擦クラッチによって長くせざるを得ず、どうしてもサイドギアのギア部がピニオンシャフト側に延びる。このため、流用したドライブシャフトの先端部に形成した周溝がサイドギアの軸孔内に入り込んでしまう。
【0024】
しかし、このような場合でも、連結ヘッドをドライブシャフトに継ぎ足し、ピニオンシャフトの貫通孔に連結シャフトを差し込むだけで、面倒な組み付け作業を行うことなくデファレンシャル装置にドライブシャフトを連結することができ、一般的なデファレンシャル装置を簡単にリミテッドスリップデファレンシャル装置に置き換えることが可能となる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、2分割構造のコネクターを用いることで、連結ヘッドをドライブシャフトに対して、簡単に継ぎ足すことができ、またコネクターがサイドギアの軸孔に挿入可能な外径とすることで、連結ヘッドの連結孔を位置決めするためにドライブシャフトを軸方向に移動可能とし、2分割構造のコネクターが分離するのを防いでいる。特に、ドライブシャフトを流用する場合、ドライブシャフトの先端部に形成されている周溝を利用して連結ヘッドを容易に継ぎ足すことが可能となる。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、スペーサーリングにより、サイドギアの車軸方向の移動を規制し、2分割構造のコネクターの分離を防止している。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、第1周溝の前端面をなす先端フランジ部をドライブシャフトの軸径よりも小径とすることにより、コネクターの肉厚を確保してコネクターをサイドギアの軸孔内にスムーズに挿入可能としている。例えばドライブシャフトをサイドギアにスプライン結合した場合、コネクターの外径をサイドギアのスプライン内径より若干小さい程度の径、もしくはドライブシャフトのスプラインの谷径と同径とすることで、コネクターをサイドギアの軸孔内へスムーズに挿入することができる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、ドライブシャフトの先端に継ぎ足される連結ヘッドを簡単な構成でドライブシャフトに対して回転可能とすることができる。ドライブシャフトとピニオンシャフトが一体的に連結されるのを防止し、左右一対のサイドギアと、ピニオンギアと、ピニオンシャフト等により構成される差動歯車機構の動作を確保することができる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、スリーブ部材の軸孔を連結シャフトときつく挿入される内径とすることで、ピニオンシャフトの貫通孔の内径を連結シャフトが緩く挿入される内径としても、連結シャフトをガタなくピニオンシャフト体に取り付けることができ、連結ヘッドのガタつきを防止することができる。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、コネクターの先端部が左右一対の連結ヘッド同士が向かい合った状態で互いの先端部と基端部との間に外装されるため、連結ヘッド同士のガタつきを防止することができる。
【0031】
請求項8、9に係る発明によれば、連結シャフトの抜けを防止することができる。
【0032】
請求項10に係る発明によれば、左右一対のサイドギア間のスペースが非常に少ないリミットスリップデファレンシャル装置に対して、左右のドライブシャフトを簡単にリミットスリップデファレンシャル装置に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造の実施の形態を示す分解斜視図。
【図2】図2Aは図1の連結構造を備えたデファレンシャル装置の縦断面図、図2Bは連結シャフトの他の抜け止め構造を示す図。
【図3】デファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造の従来技術を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明によるデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造の実施の形態を示す分解斜視図、図2Aは図1の連結構造を備えたデファレンシャル装置の縦断面図、図2Bは連結シャフトの他の抜け止め構造を示す図である。
【0036】
図2Aにおいて、デファレンシャル装置を構成するデファレンシャルキャリアの図示は省略しているが、図3に示すデファレンシャルキャリア15を使用するものとし、また、左右のドライブシャフト4、5を使用し、タイヤ間距離Lを維持する。なお、左右のドライブシャフト4、5には先端部にスプラインSが形成され、左右のサイドギア31、32の軸孔にはドライブシャフト4,5のスプラインSと係合するスプラインが形成されていて、長いドライブシャフト4,5の先端部をデファレンシャルケース30の軸受孔33を通して左右のサイドギア31,32の軸孔にスプライン係合させて挿入する。ドライブシャフト4,5の先端部に周溝(以下第1周溝と称す)6が形成されており、周溝6からさらに先端側には先端フランジ部34が形成されている。本実施の形態では、この先端フランジ部34の直径をドライブシャフト4,5の直径よりも小径としている。なお、デファレンシャルケース30は、左端面が開口し、右端が閉じている筒部30Aと、筒部30Aの左端開口を覆う平板の蓋部30Bとにより構成している。
【0037】
図1に示すように、先端フランジ部34の先端面に連結ヘッド35、36を配置している。左右の各連結ヘッド35,36は、先端フランジ部34よりも直径の小さい後端フランジ部37から車軸方向の前方に第2周溝38を形成し、さらに第2周溝38の車軸方向前方に後端フランジ部37よりも小径の基部39を形成している。そして、基部39から車軸方向に沿って前方に向け連結手40を突出させ、この連結手40に連結孔41を形成した構成としている。
【0038】
連結ヘッド35,36は、同形状に形成された同じ部品で、連結手40の片面を基部39の直径線上から僅かにずれた位置に形成している。したがって、左右の連結ヘッド35,36を互いに向かい合わせにすると、基部39の直径線を挟んで両方の連結手40が互いの片面を略当接させた状態で互い違いに配置される。そして、両方の連結手40に形成した互いの連結孔41がセンターラインCLで一致するまで左右のドライブシャフト4,5を押し込み可能としている。
【0039】
連結ヘッド35,36は、ドライブシャフト4,5の先端フランジ部34にそれぞれ後端フランジ部37を当接させた状態で、円筒状のコネクター42により両部材を包み込むように装着される。コネクター42は、後端の内周に形成されて軸中心に向けて延びる第1係合フランジ43が第1周溝6に係合し、先端側の内周に形成されて軸中心に向けて延びる第2係合フランジ44が第2周溝38と係合し、ドライブシャフト4,5に対して連結ヘッド35,36を軸周りに対して回転自在で、軸方向には移動不能に接続されている。
【0040】
コネクター42は、中心軸線に対して対称形状の第1コネクター部42Aと第2コネクター部42Bとの2部材からなる分割構成としている。コネクター42は、第1コネクター部42Aと第2コネクター部42Bが組み付けられた状態において、第1係合フランジ43と第2係合フランジ44との間の部分(コネクター本体とする)における外径をサイドギア31,32のスプライン内径より若干小さい程度の内径、もしくはドライブシャフト4,5のスプラインSの谷径と同径としてサイドギア31、32の軸孔内への挿入に妨げとならないようにしている。
【0041】
両連結ヘッド35、36の連結孔41をセンターラインCLで一致させた状態において、コネクター42の前記コネクター本体部から前方に延びるコネクター先端部45は、相手側の連結手40の先端部まで達し、両連結手40の繋ぎ目を覆い隠すようにしている。コネクター42の先端部45の外径は、前記コネクター本体部の外径よりも小径に形成し、Oリング46が嵌合するOリング溝47が周方向に形成されている。
【0042】
本実施の形態のデファレンシャル装置は、リミテッドスリップデファレンシャル装置であるため、センターラインCL上に4本のピニオンシャフト48,49,50,51を連結リング52に十字形状に形成したピニオンシャフト体(以下、クロスシャフトと称す)53を配置している。クロスシャフト53は、連結リング52の中央に円形状の筒孔部54を形成し、対向する一対の第1ピニオンシャフト48と第3ピニオンシャフト50を中実軸としている。また、対向する一対の第2ピニオンシャフト49と第4ピニオンシャフト51は、連結シャフト55が貫通する貫通孔56をそれぞれ軸方向に形成した中空軸としており、貫通孔56をセンターラインCLに一致させるようにしている。
【0043】
これら4本のピニオンシャフト48,49,50,51の先端は、デファレンシャルケース30内に位置し、先端部に形成したカム部57が対向する左右一対のプレッシャーリング58,59の対向面に設けたカム面部60に係合している。また、これら4本のピニオンシャフト48,49,50,51には、カム部57よりも根元側に左右のサイドギア31,32に噛み合うピニオンギア61を回転自在に装着している。なお、各ピニオンギア61の外周面が左右のプレッシャーリング58,59の内周面と当接することによって、各ピニオンギア61が各ピニオンシャフト48,49,50,51から抜け出ることが防止されている。
【0044】
連結リング52の筒孔部54には、円筒状のスリーブ部材62を装着しており、スリーブ部材62の厚みを連結リング52の厚みよりも若干厚くし、スリーブ部材62の軸方向両端面を連結リング52の軸方向両端面よりも車軸方向外方に突出させている。これは、スペーサーリング64を介して伝達されるドライブシャフト4,5の軸方向入力を連結リング52に伝えず、スリーブ部材62に伝えるようにしている。このため、例えば一方のドライブシャフト4からのスラスト力がそのまま反対側のスペーサーリング64→サイドギア32→シム79→デファレンシャルケース30と伝わり、連結リング52を介してクロスシャフト53が車軸方向への力を受け、左右のプレッシャーリング58,59を押してリミットスリップデファレンシャルの効きに影響がでないようにしている。
【0045】
スリーブ部材62は、第2ピニオンシャフト49と第4ピニオンシャフト51の貫通孔56にそれぞれ臨み、連結シャフト55が挿通される軸孔63をセンターラインCLを中心として形成している。連結シャフト55の軸径をd、連結シャフト55が貫通する貫通孔56の内径をd1、スリーブ部材62の軸孔63の内径をd2とすると、d≒d2<d1としている。このように、連結シャフト55は貫通孔56に対してガタつきを持たせているので、連結シャフト55がドライブシャフト4,5の力を受けてもクロスシャフト53に影響を与えることがないようにしている。これは、前述したスリーブ部材62の厚みを連結リング52の厚みよりも厚くしているのと同じ理由である。
【0046】
クロスシャフト53の筒孔部54に装着されるスリーブ部材62内には、左右のドライブシャフト4,5の先端部に装着された連結ヘッド34,35の両連結手40を向かい合わせにし、両連結孔41をセンターラインCLに位置合わせした状態で挿入されている。スリーブ部材62の内径は、コネクター42の先端部45の外径より若干小さくし、コネクター42の先端部45がスリーブ部材46内に嵌り込むようにしている。このため、コネクター42を構成する第1コネクター部42Aと第2コネクター部42Bとの一体化が維持される。なお、コネクター先端部45の外周面にOリング46を装着し、ドライブシャフト4,5の組み込み時にコネクター42、連結ヘッド34,35の脱落を防止している。
【0047】
また、左右のサイドギア31,32の先端部には軸孔の周囲に凹部77がそれぞれ形成され、各凹部77にスペーサーリング64が嵌め込まれている。対向する一対のスペーサーリング64は、スリーブ部材62の端面に当接している。
【0048】
コネクター42は、本体部の後端部が左右の各サイドギア31,32の軸孔に挿入され、該本体部の前端部がスペーサーリング64の内周部に挿入されており、スリーブ部材62と合わせて軸方向の全長に渡って第1コネクター部42Aと第2コネクター部42Bとの一体化が図られ、第1コネクター部42Aと第2コネクター部42Bとを互いに固定するための部材を必要としない。
【0049】
デファレンシャルケース30の筒部30Aには、センターラインCL上に連結シャフト55の挿入と抜き出しを行える作業孔Hを第2ピニオンシャフト49と第4ピニオンシャフト51に対応して形成している。
【0050】
本実施の形態において、クロスシャフト53の筒孔部54に装着されるスリーブ部材62内に、左右のドライブシャフト4,5の先端部に装着された連結ヘッド34,35の両連結手40を向かい合わせにし、両連結孔41をセンターラインCLに位置合わせした状態に組み付ける。そして、連結シャフト55をデファレンシャルケース30の筒部30Aに形成した前記作業孔から、例えば第2ピニオンシャフト49の貫通孔56に差し込むと、スリーブ部材62の一方の軸孔63を通り、両連結孔41を通り抜けて他方の軸孔63を通り、第4ピニオンシャフト51の貫通孔56を貫通し、第4ピニオンシャフト51に対向する反対側の作業孔に連結シャフト55の先端が抜け出る。連結シャフト55の両端部には、矩形板からなるストッパー板65がスナップリング66を介して取り外し可能に取り付けられ、ストッパー板65がスナップリング66に当接することにより連結シャフト55がクロスシャフト53から抜け出るのを防止している。なお、連結シャフト55の両端部に取り付けたストッパー板65はデファレンシャルケース30の筒部30Aに形成した前記作業孔Hに隙間を有して嵌め込まれ、デファレンシャルケース30に対するクロスシャフト53の車軸回りの移動が規制されないようにしている。
【0051】
図2Bに示す連結シャフトの抜け止め構造は、連結シャフト55の両端が第2ピニオンシャフト49と第4ピニオンシャフト51の先端から内側に入った位置までの長さとし、連結シャフト55の先端よりも径方向外方において、第2ピニオンシャフト49と第4ピニオンシャフト51の貫通孔の内周面に形成した内周溝67にC字形状のスナップリング68を係合させ、連結シャフト55の抜け止めを行っている。この抜け止め構造の場合、スリーブ部材62の軸孔63に連結シャフト55がきつく挿通されているので、連結シャフト55を抜き出しにくいため、連結シャフト55の端面に形成したねじ穴69に引出用のボルト(不図示)をデファレンシャルケース30の胴部30Aに形成した作業孔Hからねじ込み、この引出用のボルトを介して連結シャフト55を引き抜き可能としている。
【0052】
リミテッドスリップデファレンシャル装置を構成する部材として、摩擦クラッチ70を左右のサイドギア31,32とデファレンシャルケース30の胴部30Aの側壁部71との間に配置している。左右のサイドギア31,32は、ギア部72と軸部73とにより構成し、軸部73の外周面に車軸方向に沿って延びる凹部74Aと凸部74Bとを周方向に交互に形成している。また、デファレンシャルケース30の胴部30Aの内周面には、車軸方向に沿って延びる凹部75Aと凸部75Bとを周方向に交互に形成している。
【0053】
左側のサイドギア31の軸部73の後端とデファレンシャルケース30の蓋部30Bとの間にはスラスト軸受部材(シム)78が配置され、右側のサイドギア32の軸部73の後端とデファレンシャルケース30の胴部30Aとの間にはスラスト軸受部材(シム)79が配置されていて、左右一対のサイドギア31,32とスペーサーリング64によってのスリーブ部材62の車軸方向への移動を規制している。
【0054】
一方、摩擦クラッチ70は、中心部に中心孔部が形成された円板状の第1摩擦クラッチ板70Aと第2摩擦クラッチ板70Bを交互に複数枚配置した構成としている。第1摩擦クラッチ板70Aは、中心孔部の内径を左右のサイドギア31,32の軸部73の外径よりも大径とし、外周面に胴部30Aの内周面に形成した凹部75Aと凸部75Bに互いに係合する凹凸部を形成した構成としている。したがって、第1摩擦クラッチ板70Aはデファレンシャルケース30と一体的に回転し、車軸方向に沿って移動可能となっている。また、左右のプレッシャーリング58,59の外周部にも胴部30Aの凹部75Aと凸部75Bに互いに係合する凹凸部が形成され、デファレンシャルケース30と一体に回転可能で、車軸方向に沿って移動可能となっている。
【0055】
第2摩擦クラッチ板70Bは、外径が胴部30Aの内径よりも小径に形成され、中心孔部の内周面に、軸部73の外周面に形成した凹部74Aと凸部74Bに互いに係合する凹凸部を形成した構成としている。したがって、第2摩擦クラッチ板70Bは、それぞれ左右のサイドギア31,32と一体的に回転し、車軸方向に移動可能となっている。
【0056】
左右の摩擦クラッチ70は、左右のプレッシャーリング58,59が対向距離が開く方向に車軸方向に沿って移動すると、複数枚の第1摩擦クラッチ板70Aと第2摩擦クラッチ板70Bが加圧接触し、左右のサイドギア31,32とデファレンシャルケース30とを一体化し、デファレンシャルケース30の回転を左右のサイドギア31,32を介して左右のドライブシャフト4,5に伝達する。なお、左右のプレッシャーリング58,59の間に与圧ばね(不図示)を配置して、左右の摩擦クラッチ70を構成する第1摩擦クラッチ板70Aと第2摩擦クラッチ板70Bとの間に予め少しの摩擦力を発生させるタイプ、あるいはデファレンシャルケース30の胴部30Aの側壁部71と最後端の摩擦クラッチ板との間に与圧ばね(不図示)を配置した構成、あるいは与圧ばねを両方に備えた構成であってもよい。
【0057】
スリップリミテッドデファレンシャル装置の作動について簡単に説明すると、例えばプロペラシャフト(不図示)からの動力がドライブピニオンギア(不図示)を介してリングギア14に伝達され、デファレンシャルケース30を回転させる。デファレンシャルケース30と第1摩擦クラッチ板70Aとは一体に回転するが、第1摩擦クラッチ板70Aと第2摩擦クラッチ板70Bとは摩擦接触状態に保持されているものの、デファレンシャルケース30と一体に回転する左右のプレッシャーリング58,59がクロスシャフト53に先行して回転するため、左右のプレッシャーリング58,59に設けたカム面部60がクロスシャフト53に設けたカム部57と係合し、左右のプレッシャーリング58,59が左右の摩擦クラッチ70を押し付け、第1摩擦クラッチ板70Aと第2摩擦クラッチ板70Bが強く摩擦接触し、第2摩擦クラッチ板70Bを介して左右のサイドギア31,32に駆動力が伝達され、左右のドライブシャフト4,5を回転駆動してタイヤを回転させる。
【0058】
この状態で駆動が開始されると、第1〜第4ピニオンギア61はピニオンシャフト48〜51に対して回転することなく左右のサイドギア31,32のギア部72との噛み合いを維持し、クロスシャフト53左右のプレッシャーリング58,59とともに回転速度差なしに回転する。ここで、加速、減速、左右のタイヤに加わる負荷が変動すると、クロスシャフト53と左右のプレッシャーリング58,59との車軸回りにおける回転に差が生じ、カム部57と前記カム面部60との係合状態が変化し、左右のプレッシャーリング58,59が左右の摩擦クラッチ70を押す力を変化させ、左右のタイヤに同じ駆動力を伝達させる。
【0059】
デファレンシャルケース30は、筒部30Aの開口端に蓋部30Bとリングギア14を取り付けるためのフランジ部76が形成されている。デファレンシャルケース30内に、連結シャフト55と左右のドライブシャフト4,5と、連結ヘッド35と、コネクター42以外の残りの部品を所定位置に配置した状態でリングギア14を取り付けてデファレンシャルキャリアに配置される。
【0060】
デファレンシャルキャリアには大きな作業開口部を有し、この作業開口部に臨むように、デファレンシャルケースの連結シャフト55を差し込むための作業孔Hの向きを調整する。そして、左右のドライブシャフト4,5にコネクター42を介して連結ヘッド35を装着した状態で、デファレンシャルケース30の軸受孔33を通し、各サイドギア31,32の軸孔を通してプライン結合させ、各連結ヘッド35をスリーブ部材62内に挿入させる。
【0061】
両連結手40の連結孔41の中心をセンターラインCLに位置合わせさせてから、連結シャフト55を胴部30Aの作業孔Hから例えば第2ピニオンシャフト49の貫通孔56にその先端側から挿入し、そのまま押し込むと、スリーブ部材62の一方の軸孔63を通り、両連結孔41を通り抜けて他方の軸孔63を抜け、さらに第4ピニオンシャフト51の貫通孔56を通り抜けて反対側の作業孔Hに達する。
【0062】
すなわち、左右のドライブシャフト4,5は、先端に設けた互いの連結ヘッド35の連結孔41に連結シャフト55が挿通されることで、車軸方向の両方向への移動が規制されることになる。また、連結シャフト55をデファレンシャルケース30の外側から押し込むだけで左右のドライブシャフト4,5の車軸方向の移動規制が実現でき、ドライブシャフト4,5の組み付け作業が容易となる。
【0063】
上記した実施の形態は、一般的なデファレンシャル装置に使用しているドライブシャフトをそのまま流用してデファレンシャル装置としてのリミテッドスリップデファレンシャル装置に装着する場合を例にして説明したが、流用ではなく一般的なデファレンシャル装置およびリミテッドスリップデファレンシャル装置に対して初めから適用してもよいことはいうまでもないことである。
【0064】
また、本発明は上記した構成のリミテッドスリップデファレンシャル装置に限定されるものではなく、種々の構成のリミテッドスリップデファレンシャル装置に適用される。
【符号の説明】
【0065】
1 デファレンシャル装置
2、3 タイヤ(車輪)
4,5 ドライブシャフト
6 周溝
7 サイドギア
8 軸孔
9 凹部
10 ストッパー板
11 ピニオンシャフト
12 ピニオンギア
13 デファレンシャルケース
14 リングギア
15 デファレンシャルキャリア
16 軸受部
20 デファレンシャルケース
21 サイドギア
22 摩擦クラッチ
23 プレッシャーリング
24 ギア部
25 軸部
26 軸孔
30 デファレンシャルケース
30A 筒部 30B 蓋部
31,32 サイドギア
33 軸受孔
34 先端フランジ部
35、36 連結ヘッド
37 後端フランジ部
38 第2周溝
39 基部
40 連結手
41 連結孔
42 コネクター
42A 第1コネクター部 42B 第2コネクター部
43 第1係合フランジ
44 第2係合フランジ
45 コネクター先端部
46 Oリング
47 Oリング溝
48,49,50,51 ピニオンシャフト
52 連結リング
53 ピニオンシャフト体(クロスシャフト)
54 筒孔部
55 連結シャフト
56 貫通孔
57 カム部
58,59 プレッシャーリング
60 カム面部
61 ピニオンギア
62 スリーブ部材
63 軸孔
64 スペーサーリング
65 ストッパー板
66 スナップリング
67 内周溝
68 スナップリング
69 ねじ穴
70 摩擦クラッチ
70A 第1摩擦クラッチ板 70B 第2摩擦クラッチ板
71 側壁部
72 ギア部
73 軸部
74A 凹部 74B 凸部
75A 凹部 75B 凸部
76 フランジ部
77 凹部
H 作業孔
S スプライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デファレンシャルキャリアに対して車軸回りに回転自在に支持されたデファレンシャルケース内に車軸方向に沿って対向配置された左右一対のサイドギアと、前記左右一対のサイドギア間に配置され、車軸回りに孔部が形成された連結リングから径方向外方に対向して延び、長手軸方向に貫通孔が形成された一対のピニオンシャフトを少なくとも備えたピニオンシャフト体と、前記ピニオンシャフトの先端に回転自在に装着され、前記左右一対のサイドギアと噛み合うピニオンギアとを少なくとも備えたデファレンシャル装置と、
前記左右一対のサイドギアに対してそれぞれ回転不能に結合すると共に、車軸方向に移動可能で、対向する先端面間に所定距離を有して配置される左右一対のドライブシャフトと、
前記左右一対のドライブシャフトの軸線と前記ピニオンシャフトの軸線との交点に連結孔をそれぞれ備え、前記左右一対のドライブシャフトにそれぞれ車軸回りに回転可能で、車軸方向に移動不能に継ぎ足されて前記ピニオンシャフト体の連結リング内に先端部が配置される左右一対の連結ヘッドと、
前記左右一対の連結ヘッドの連結孔を通して前記対向する一対のピニオンシャフトの貫通孔に差し込まれる連結シャフトと、
からなるデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項2】
前記連結ヘッドと前記ドライブシャフトとは、前記ドライブシャフトの先端部と前記連結ヘッドの後端部との間に外装されて前記サイドギアの軸孔に挿入可能とする車軸方向に沿った平面に対して対称の一対のコネクター部材を合わせて構成される2分割構造のコネクターとにより繋がれていて、前記ドライブシャフトの先端部に形成した第1周溝と、前記連結ヘッドの後端部に形成した第2周溝にそれぞれ係合する係合部を前記コネクターの内周面に形成した請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項3】
前記連結ヘッドと前記ドライブシャフトとは、前記ドライブシャフトの先端部と前記連結ヘッドの後端部との間に外装されて前記サイドギアの軸孔に挿入可能とする車軸方向に沿った平面に対して対称の一対のコネクター部材を合わせて構成される2分割構造のコネクターとにより繋がれていて、前記サイドギアの前部と、前記ピニオンシャフト体の連結リングとの間に配置されて前記コネクターを内装するスペーサーリングを有する請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項4】
前記連結ヘッドと前記ドライブシャフトとは、前記ドライブシャフトの先端部と前記連結ヘッドの後端部との間に外装されて前記サイドギアの軸孔に挿入可能とするコネクターとにより繋がれていて、前記ドライブシャフトの先端部に形成した第1周溝と、前記連結ヘッドの後端部に形成した第2周溝にそれぞれ係合する係合部を前記コネクターの内周面に形成し、前記第1周溝の前端面をなす先端フランジ部の外径を該第1周溝の後端面をなすドライブシャフトの軸部外径よりも小径とした請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項5】
前記連結ヘッドと前記ドライブシャフトとは、前記ドライブシャフトの先端部と前記連結ヘッドの後端部との間に外装されて前記サイドギアの軸孔に挿入可能とするコネクターとにより繋がれていて、前記ドライブシャフトの先端部に形成した第1周溝と、前記連結ヘッドの後端部に形成した第2周溝にそれぞれ係合する係合部を前記コネクターの内周面に形成し、前記各係合部が前記第1周溝と前記第2周溝に対して回転可能に係合している請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項6】
前記ピニオンシャフト体の連結リング内には、前記各ピニオンシャフトの貫通孔に合わせて前記連結シャフトが挿通される軸孔がそれぞれ形成された筒形状のスリーブ部材を配置し、前記スリーブ部材の内周部に前記左右一対の連結ヘッドの先端部を配置した請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項7】
前記ピニオンシャフト体の連結リング内には、前記各ピニオンシャフトの貫通孔に合わせて前記連結シャフトが挿通される軸孔がそれぞれ形成された筒形状のスリーブ部材を配置し、前記ドライブシャフトの先端部と前記連結ヘッドの後端部との間に外装されて前記連結ヘッドと前記ドライブシャフトとを車軸回りに回転可能で、車軸方向に移動不能に継ぎ足すコネクターの先端部をそれぞれ前記スリーブ部材の内周面に沿って配置し、前記左右一対の連結ヘッドの先端部を前記各スリーブ部材の内周部に配置した請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項8】
前記連結シャフトの両端は、対向するピニオンシャフトの貫通孔の先端よりも長手方向内側に位置し、該貫通孔の内周面に前記連結シャフトの先端に当接するストッパー部材を取り外し可能に設けた請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項9】
前記デファレンシャル装置は、リミテッドスリップデファレンシャル装置であって、前記連結シャフトの両端部が前記デファレンシャルケースまで達し、該連結シャフトの両端部にストッパー部材を取り外し可能に設けた請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。
【請求項10】
前記デファレンシャル装置は、リミットスリップデファレンシャル装置である請求項1に記載のデファレンシャル装置とドライブシャフトの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−133055(P2011−133055A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293819(P2009−293819)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(394016106)株式会社キャロッセ (18)
【Fターム(参考)】