説明

デュアル・テンショナ・アセンブリ

2ベルト駆動システムのためのデュアル・テンショナ・アセンブリ(100、300)は、取付けブラケット(110、310)と、取付けブラケットの反対側に同軸的かつ一体的に形成され、ハブ(358)を有する共通のベース壁(360)を有する第1および第2のカップ(356、354)と、一体的な円筒状部材(386,366)を有し、かつ軸支されたテンショナ・プーリ(40,46,40,346)を有する第1および第2のピボットアーム(42,48,342,348)と、ピボットアームを付勢する、各カップ内の張力付与機構(390,370)と、ハブ内に嵌合された、各カップ内のピボット軸(382,362)と、円筒状部材を回動自在に支持する、各ピボット軸におけるスリーブ・ブッシュ(388,368)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通のピボットを有する二重の独立的に減衰するテンショナを有する2ベルト駆動システムに関し、特に、共通のハウジング内に、ベルト係合プーリが回転自在に取付けられたピボットアームの位置を偏倚させる2つの捻りバネを有するデュアル・テンショナ・アセンブリに関する。減衰機構を有する本発明のテンショナは特に、自動車あるいはトラックのエンジンのためのフロントエンド・アクセサリ・ドライブのマルチ・Vリブドベルトの張力を制御するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
ベルト・テンショナはベルトに負荷を与えるために用いられる。概してベルトは、エンジンに協働する種々のアクセサリを駆動するためにエンジンの用途に用いられる。例えば空調機コンプレッサとオルタネータは、ベルト駆動システムによって駆動されるアクセサリの中の2つである。ベルト・テンショナは、ベースに対して回動自在であるアームに軸支されたプーリを含む。バネはアームとベースの間に連結される。バネはまた、減衰機構に係合してもよい。減衰機構は互いに接触する摩擦面を含む。減衰機構は、ベルト駆動の動作によって発生するアームの揺動運動を減衰させる。これは、運動する要素の摩耗を最小限にすることにより、ベルトの寿命の期待とテンショナの寿命の期待を高める。
【0003】
この技術の代表はサーク(Serkh)の米国特許第6,565,468号明細書、サーク等(Serkh et al.)の米国特許第7,004,863号明細書、およびサークの米国特許第6,582,332号明細書であり、これらの全ての内容は参照することによって、この明細書に組み込まれる。
【0004】
2つのベルトはときどき、例えば同じエンジンにおいて近接して用いられ、ベルトの寿命を改善するために種々のアクセサリの負荷を分割する。このような場合、2つのテンショナが用いられて、1つが1つのベルトに用いられてもよい。一方、2つのベルトに同時に張力を付与する種々のテンショナの設計が提案されてきた。この技術の代表はベネディクト(Benedict)の米国特許第4,798,564号明細書であり、これは二重ベルト駆動に張力を付与するために用いられる単一のテンショナを開示する。このテンショナはバネ付勢された主アームを有し、主アームは、端部に自由に回動するように設けられる補助アームであって、2つのベルトに同時に張力を付与するための2つのプーリを有する補助アームを備える。グローバー等(Grover et al.)の米国特許公開第2003/0159535A1号明細書は、互いに積み重ねられた2つの同一のテンショナを有する2ベルト駆動を開示する。
【0005】
他のデュアル・テンショナは、同じベルトの2つのスパンの一方または両方に張力を付与するために、スタータ・ジェネレータの用途のように負荷が反転する単一のベルト駆動に応用されてきた。この技術の代表は、アリ等(Ali et al.)の米国特許公開第2002/003944A1号明細書であり、これは2つの相互に付勢するテンショナ・プーリを有するテンショナを開示する。このようなテンショナは単一のベルトに協力して作用するので、単一の捻りバネを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、限られたスペース内にあり、優れた強度すなわち剛性を有し、相対的に軽量のパッケージである、2つのベルトの減衰を独立した張力付与機構に与えるシステムおよび方法に利用される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるデュアル・テンショナ・アセンブリは、取付けブラケットと、取付けブラケットの反対側に同軸的かつ一体的に形成され、ハブを有する共通のベース壁を有する第1および第2のカップと、一体的な円筒状部材を有し、かつ軸支されたテンショナ・プーリを有する第1および第2のピボットアームと、ピボットアームを付勢する、各カップ内の張力付与機構と、ハブ内に嵌合された、各カップ内のピボット軸と、円筒状部材を回動自在に支持する、各ピボット軸におけるスリーブ・ブッシュとを含む。ピボット軸は張力付与機構およびブッシュ等を各カップ内において所定位置に保持するためにフランジを形成されてもよい。ピボット軸は共に同軸的に固定されてもよい。
【0008】
2つのカップの間のベース壁は、張力付与機構の形状に対応するように外形を合わせて形成されてもよい。張力付与機構はピボットアームを同一方向または逆方向に独立に付勢し、各ベルトを時計方向または反時計方向のいずれかに付勢してもよい。一方または両方のテンショナは減衰機構を含んでもよい。
【0009】
張力付与機構は左巻きの螺旋状捻りバネを備えてもよく、右巻きの螺旋状捻りバネを備えてもよく、あるいは一方の捻りバネを備えてもよい。各螺旋状捻りバネはバネ端部を有し、2つのバネ端部はハブの実質的に反対側に係合するようにベースに係合する。捻りバネは一端においてカップまたはベースに、また他端において減衰機構に係合あるいは取付けられてもよい。
【0010】
本発明はまた、2つの動力伝達ベルトと、少なくとも2つの駆動プーリと、少なくとも2つの被駆動プーリと、本発明の一実施形態によるデュアル・テンショナ・アセンブリとを有する2ベルト駆動システムに利用される。2つの駆動プーリは共通の駆動軸に同軸的に取付けられてもよい。駆動プーリはウォータポンプ・プーリ、空調機コンプレッサ・プーリ、オルタネータ・プーリ、パワーステアリング・プーリ、ファン・プーリ、スタータ/ジェネレータ・プーリ等を含む1つ以上のアクセサリ・プーリである。
【0011】
前述の事項は、以下の本発明の詳細な説明がよく理解されるようにするために、本発明の特徴と技術的利点をむしろ広く概説したものである。本発明の付加的な特徴と利点はこの後記載され、本発明の請求項の主題を構成する。開示された概念と特定の実施形態が本発明と同じ目的を実行するために他の構造を修正し、設計するための基礎として、容易に利用されることが当業者によって理解されるべきである。また、このような均等な構造が添付された請求項に記載されたような発明の精神と範囲から逸脱しないことが当業者によって理解されるべきである。構造および作用の方法について、さらなる目的と利点と共に、本発明の特徴であると信じられる新規な特徴は、添付した図面に関連して考慮されると、後述の記載からよく理解されるであろう。しかし、各図面は説明と記述のための目的として用いられ、本発明の限定として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
この明細書に組み込まれその一部を構成し、同じ符号は同じ部分を示す添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【0013】
【図1】本発明のデュアル・ベルト・テンショナを含む第1のフロントエンド・アクセサリ・駆動システムの概略正面図である。
【0014】
【図2】図1のデュアル・ベルト・テンショナを含む第2のフロントエンド・アクセサリ・駆動システムの概略の正面図である。
【0015】
【図3】図1、2の2駆動システムを組み合わせ、図1のデュアル・ベルト・テンショナを含む概略の正面図である。
【0016】
【図4】本発明のデュアル・テンショナ・アセンブリの斜視図である。
【0017】
【図5】本発明のデュアル・テンショナ・アセンブリの上面図である。
【0018】
【図6】図5のデュアル・テンショナ・アセンブリの底面図である。
【0019】
【図7】図5の7−7線に沿う断面図である。
【0020】
【図8】図6の8−8線に沿う断面図である。
【0021】
【図9】図6の9−9線に沿う本発明の要素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1、2、3を参照すると、プーリ40、46、50を有するデュアル・ベルトテンショナ・アセンブリ100が、ベルト30、32といくつかのプーリを含む2ベルト駆動システムの構成部品として示される。一例として、第1のベルト30はクランク・プーリ22、アクセサリ・プーリ60(例えばファンあるいはウォータポンプ・プーリである)、アイドラ50、および第1のテンショナ・プーリ40の周りに掛け回される。テンショナ・プーリ40はベルト30に係合し、プーリ40が第1のピボットアーム42にどのように取付けられ、どのようにピボット軸44の周りに移動して第1のベルトの張力を維持するかを概略的に示すために、いくつかの位置に示される。第2のベルト32は、クランク・プーリ22に同軸的である第2のクランク・プーリ24の周りに掛け回され、これらのプーリは符号20においてクランク軸に取付けられる。第2のベルト32はまた、3つのアクセサリ・プーリ60、62、64(例えばウォータポンプ・プーリ、空調機コンプレッサ・プーリ、オルタネータ・プーリ、パワーステアリング・プーリ等を含む)、アイドラ・プーリ52、54、および第2のテンショナ・プーリ46の周りに掛け回される。テンショナ・プーリ46はベルト32に係合し、プーリ46が第2のピボットアーム48にどのように取付けられ、どのようにピボット軸44の周りに移動して第2のベルトの張力を維持するかを概略的に示すために、いくつかの位置に示される。
【0023】
図3はデュアル・テンショナ100を含む完全なデュアル・ベルト・ドライブ200を示す。テンショナ100は一体的なバネハウジング120を有する取付けブラケット110を含む。ピボットアーム42、48は共通のピボット44を有する。アイドラ・プーリ50は、便宜上、ブラケット110に選択的に取付けられる第3のプーリを表す。両方のピボットアームは、このシステムを図1〜3におけるように見たときに時計周りに各ベルトを付勢するように配設されるが、他の付勢のための構成、他の数のプーリ、および他の配置が可能である。
【0024】
図4はデュアル・テンショナ・アセンブリ100の形態である本発明の実施形態を斜視図で示す。テンショナ・アセンブリ100は取付けブラケット110の周りに組み付けられ、ブラケットは、ボルトあるいは他の締め付け手段を用いて取付けるために、例えば穴112を有する。捻りバネおよび他の要素(例えばダストシール130の下)を収容する円筒状ベース120はブラケット110と一体的である。ベース120の各端部は、ピボットアームが取付けられた円筒状部材を受容する。したがって第1のアーム42と第2のアーム48は、円筒状部材およびベースの軸である共通軸の周りに回動する。各円筒状部材は、ベースに取付けられたピボット軸に回動自在に支持される。ピボットアームはまた、そこに軸支されたプーリを有する。ピボットアーム48は背面アイドラ・プーリ46を有し、ベルトの取付けにおいて利用するための正方形の孔114を有する。ピボットアーム42は、マルチVリブドベルトに張力を付与するために、溝付きアイドラ・プーリ40を有する。ピボットアームは捻りバネによって付勢され、ベルトに張力を付与する。ブラケットはアイドラ50が軸支された選択的な固定アーム132を含む。
【0025】
本発明によれば、円筒状ベースはブラケットに一体的であり、ブラケットの両側から突出する。ブラケットはベースの中間部分を通る、壁すなわち仕切り壁を構成する。ベースは各端部に開口を有し、張力付与/減衰機構、ピボット軸、ピボットアームの円筒状部分等を受容する。このようにベースは、ブラケットの部分をも構成する共通の底部すなわちベース壁を有する、底部同士が合わさって配置された2つのカップのようである。各カップ内の底部は、ベース壁が最小重量を有し、またはカップが最小スペースを占めるよう、収容されたテンショニング機構の形状に対応するように、あるいはブラケットの剛性すなわち強度を最適化するように、あるいは他の望ましい基準に合致するように、外形を合わせて形成されてもよい。このように本発明の実施形態は、コンパクトで効率的かつ軽量な、2ベルト駆動システムにおける2つのベルトの独立した張力付与を提供する。
【0026】
図5〜9は、本発明によるデュアル・テンショナ・アセンブリの第2の実施形態の種々の図を、内部張力付与機構の詳細と共に示す。図4の第1の実施形態との差異は、取付け等に用いるためのピボットアームにおける追加された特徴の数と実例を含む。図5はデュアル・テンショナ・アセンブリ300の上面を示す。テンショナは望ましい配置で取付けられるかもしれないので、「上面」および「底部」の用語は種々の図を同一視するために任意の方法で用いられることを理解すべきである。例えば、テンショナ300が図3の駆動装置に取付けられたならば、ベルトが垂直面内に走行すると仮定して、図6のいわゆる底面図は正面図であり、図5の上面図は背面図である。
【0027】
テンショナ・アセンブリ300は取付けブラケット310の周りに組み付けられ、取付けブラケットはエンジンあるいはベルト駆動システムのフレームにボルトあるいは他の締め付け具によって取付けるために例えば孔312を有する。後に詳述される捻りバネおよび他の要素(例えばダストシール330の下)を収容する円筒状ベース320はブラケット310と一体的である。ベース320の各端部はピボットアームが取付けられる円筒状部材を受容する。したがって第1のピボットアーム342と第2のピボットアーム348は、円筒状部材およびベースの軸である共通軸の周りに回動する。ピボットアームは、そこに軸支されたプーリを有する。ピボットアーム348はボルト322によって固定された背面アイドラ・プーリ346を有し、ベルトの取付けにおいて利用するための正方形の孔314とストッパとして利用されるための突起316とを含む。ピボットアーム342は、マルチVリブドベルトに張力を付与するための溝付きアイドラ・プーリ340を有し、ベルトの取付けのために利用される突起および孔318を含む。ピボットアームは捻りバネによって付勢され、ベルトに張力を付与する。ブラケットはアイドラ350が軸支された選択的な固定アーム332を含む。
【0028】
図6はデュアル・テンショナ・アセンブリ300の底面図を示す。テンショナ・アセンブリ300は取付けブラケット310の周りに組み付けられ、取付けブラケットは例えばボルトあるいは他の締め付け具によって取付けるために孔312を有する。後に詳述される捻りバネおよび他の要素(例えばダストシール331の下)を収容する円筒状ベース320はブラケット310と一体的である。ピボットアーム348は背面アイドラ・プーリ346を有する。ピボットアーム342はボルト336によって固定された溝付きアイドラ・プーリ340を有し、ベルトの取付けにおいて利用されるための突起および孔318を含む。ブラケットは締め付け具334によって軸支されたアイドラ350を有する選択的な固定アーム332を含む。
【0029】
図7は図5の実施形態の7−7線に沿う断面図を示し、図8は図6の実施形態の8−8線に沿う断面図を示し、本発明のデュアル・テンショナ・アセンブリの一実施形態の内部構成の詳細を表す。ブラケット310は、第1のカップ356と第2のカップ354とハブ358とを有する一体的ハウジング320を備える。カップ354、356は、底部同士が合わさって配置された形状に一体的に成形され、実質的にブラケット310の面にある共通のベース壁360を共有する。第1のカップ356は第1のテンショナの張力付与/減衰機構を収容し、第1のテンショナはベアリング410を介して軸支されたプーリ340を有する第1のピボットアーム342を備える。第1のピボット軸382がハブ358に取付けられ、そこにスリーブ型ブッシュ388が配置される。ブッシュは第1のピボットアーム342の円筒状部材386を支持する軸受け面を有する。ピボット軸382はハブ358に当接する肩部384を有する。
【0030】
第1のテンショナの張力付与機構は捻りバネ390を含み、その第1端部392はベース壁360の近くにおいて第1のカップ356に係合し、その第2端部394はダンピングシュー396に係合する。図示された減衰機構は、ダンピングパッド398が取付けられたダンピングシュー396を備える。減衰機構はカップとピボットアームの間に取付けられ、捻りバネからの圧力によりカップの内壁および/またはピボットアームに摺動自在に係合する作用面を有する。図示された実施形態において、パッド398は、カップ356の内壁の一部である摩擦面400に摺動自在に係合する。ピボットアーム342はダンピングシュー396に係合するストッパ420を有し、これによりピボットアームの動きはシューを介してバネの端部394に伝達される。このように、バネの他端部392がベースに係合するので、バネ390は、ピボットアームの動きに対抗するバネ力を発生する。同時に、シューの動きはピボットアームの動きに対抗する摩擦減衰力を発生する。図示された実施形態におけるバネとベースとの係合手段は、真っ直ぐに延び内側に曲げられて弦部分を形成するバネ端部392を備え、弦部分はベースにおける狭い受容部412に収容される。
【0031】
第2のカップ354は、ベアリング408により軸支されたプーリ346を有する第2のピボットアーム348を備える第2のテンショナの張力付与/減衰機構を収容する。第2のピボット軸362がハブ358に取付けられ、そこにスリーブ型ブッシュ368が配置される。ブッシュは第2のピボットアーム348の円筒状部材366を支持する軸受け面を有する。ピボット軸362はハブ358に当接する肩部364を有する。
【0032】
第2のテンショナの張力付与機構は捻りバネ370を含み、その第1端部372はベース壁360の近くにおいて第2のカップ354に係合し、その第2端部374はダンピングシュー376に係合する。図示された減衰機構は、ダンピングパッド378が取付けられたダンピングシュー376を備える。減衰機構はカップとピボットアームの間に取付けられ、捻りバネからの圧力によりカップの内壁および/またはピボットアームに摺動自在に係合する作用面を有する。図示された実施形態において、パッド378は、カップ354の内壁の一部である摩擦面380に摺動自在に係合する。ピボットアーム348はダンピングシュー376に係合するストッパ422を有し、これによりピボットアームの動きはシューを介してバネの端部374に伝達される。このように、バネの他端部372がベースに係合するので、バネ370は、ピボットアームの動きに対抗するバネ力を発生する。同時に、シューの動きはピボットアームの動きに対抗する摩擦減衰力を発生する。図示された実施形態におけるバネとベースとの係合手段は、真っ直ぐに延び内側に曲げられて弦部分を形成するバネ端部372を備え、弦部分はベースにおける狭い受容部に収容される。
【0033】
一方あるいは両方の減衰機構が、参照することによってこの明細書に組み込まれる米国特許第7,004,863号明細書に記載されたような非対象減衰機構であってもよい。これに代えて、減衰機構は対象的であってもよく、あるいは減衰機構は省略されてもよく、捻りバネの適当な端部がピボットアームに直接係合してもよい。好ましくは減衰機構は、参照することによってこの明細書に組み込まれる例えば米国特許第6,565,468号明細書に記載されたように、ピボット軸に平行な平面に沿って、実質的に、対応するテンショナ・プーリとピボット・ブッシュの間に配設され、したがってハブ荷重は実質的により小さい荷重でピボット・ブッシュに対してより効果的に釣り合う。
【0034】
ピボット軸362、382はまた、ピボットアーム342、348とブッシュ368、388を所定の位置に保持し、かつバネ370、390を圧縮するための締付け具としても作用する。このようにピボット軸362、382は保持フランジを有して示され、それらはハブ358の中に締まり嵌めされてもよい。付加された保持力のために、2つのピボット軸は例えば共に固定されてもよく、一方のピボット軸は孔が貫通して開けられ、他のピボット軸はボルト用のネジ孔が形成されてもよい。図面において、軸362は孔402とさら穴404が設けられる。軸382はネジ孔406が設けられる。このように2つの軸はボルト、ネジ、あるいは他の締付け手段によって共に保持される。
【0035】
図9は本発明の一実施形態によるブラケット310の断面図を示す。図9は、2つのテンショナのための一体的なカップを有するブラケットのいくつかの有利な特徴を示している。ブラケット310は、上述したように2つのピボット軸を受容するために、359において貫通して開口されたハブ358を有するカップ354、356を有する。ベース壁360は平らではなく、最小ベース壁厚さTを許容するために、2つの張力付与バネの形状に対応するように外形を合わせて形成される。このようにベース壁360の少なくとも一部は、距離Hによって表されるヘリカルピッチを有するように示される。図9はまた、ハブ358とカップ356の円筒壁との間の環状領域が突起414によって形成された狭い受容部412を含むことを示している。この受容部は上述したように捻りバネの端部に係合してもよい。同様に他のカップ354は、他の捻りバネに係合するためにカップの壁面からの突起418によって形成された狭い受容部416を含む。最適なスペース削減と最適なベース壁360の厚さのために、2つの受容部412、416はベース320の実質的に反対側に配置されることが好ましい。換言すれば、2つの捻りバネ372、392はベースの実質的に反対側のベースに係合する。そしてベースは、バネ形状に対応し、構造的支持および/またはブラケットの重さを最適化するために望ましいベース壁厚さとなるように、各カップ内において適当に外形を合わせて形成されてもよい。なお、図示の実施形態は、一方が左巻き、他方が右巻きで、逆方向に螺旋状に捻られた2つの捻りバネを有する。同方向に螺旋状に捻られた2つの捻りバネが、上述したのと同じ係合かつ配置で用いられることができる。いずれにしてもベース壁は適当に外形を形成されて各カップ内において張力付与機構の形状に対応し、それにより、平らな底壁部すなわち仕切り板により達成されうる軸方向の空間に関する、2つの張力付与機構の近接した軸方向の配置を許容する。
【0036】
2つのテンショナが単純に積み重ねられ、あるいはブラケットあるいは板のいずれかの側に取付けられていたとすると、デュアル・テンショナのためのスペースと重量の増加の結果により、ベース壁の厚さは本発明に対して少なくともほぼ二倍である。結果として生じるアセンブリの剛性は、やはり2つのテンショナを共に固定するために使用される手段によって制限される。本発明の一体的なブラケットとカップはデュアル・テンショナ・アセンブリが最小スペースを占め、かつ最適な重量および/または剛性であることを許容する。
【0037】
本発明とその利点が詳細に説明されたが、種々の交換、置換え、および変更が、添付された請求項によって定義された発明の範囲から逸脱することなく、なされうることを理解すべきである。さらに、本願の発明の範囲は、この明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者が本発明の開示内容から容易に想到するので、現在存在し、あるいは将来開発される、ここに記載された対応する実施形態と同じ機能を実質的に果たし、あるいは実質的に同じ結果を達成するプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、あるいはステップが本発明によって利用されうる。したがって添付された請求項は、その範囲内に、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、あるいはステップを含むことを意図する。ここに開示された発明は、特にここに開示されない要素がない場合に、適切に実施されるかもしれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付けブラケットと、
前記取付けブラケットの反対側に同軸的かつ一体的に形成され、ハブを有する共通のベース壁を有する第1および第2のカップと、
一体的な円筒状部材を有し、かつ軸支されたテンショナ・プーリを有する第1および第2のピボットアームと、
前記ピボットアームを付勢する、各カップ内の張力付与機構と、
前記ハブ内に嵌合された、各カップ内のピボット軸と、
前記円筒状部材を回動自在に支持する、各ピボット軸におけるスリーブ・ブッシュと
を備えるデュアル・テンショナ・アセンブリ。
【請求項2】
前記ベース壁が前記張力付与機構の形状に対応するように外形を合わせて形成される請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ピボット軸が共に固定される請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記張力付与機構が前記ピボットアームを、時計方向または反時計方向のいずれかにおいて、同一方向に独立に付勢する請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
一方の前記張力付与機構が左巻きの螺旋状捻りバネを備え、他方の前記張力付与機構が右巻きの螺旋状捻りバネを備える請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記張力付与機構がそれぞれ、2つのバネ端部が前記ハブの実質的に反端側に係合するようにして前記ブラケットに係合するバネ端部を有する螺旋状の捻りバネを備える請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記カップ内に減衰機構をさらに備える請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記各カップ内に減衰機構をさらに備える請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記各張力付与機構が一端において前記カップに取付けられ、他端において減衰機構に取付けられる捻りバネを備える請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
2つの動力伝達ベルトと、2つの駆動プーリと、少なくとも2つの被駆動プーリと、デュアル・テンショナ・アセンブリとを備える2ベルト駆動システムであって、
取付けブラケットと、
前記取付けブラケットの反対側に同軸的かつ一体的に形成され、ハブを有する共通のベース壁を有する第1および第2のカップと、
一体的な円筒状部材を有し、かつ軸支されたテンショナ・プーリを有する第1および第2のピボットアームと、
前記ピボットアームを付勢する、各カップ内の張力付与機構と、
前記ハブ内に嵌合された、各カップ内のピボット軸と、
前記円筒状部材を回動自在に支持する、各ピボット軸におけるスリーブ・ブッシュと
を備える2ベルト駆動システム。
【請求項11】
前記2つの駆動プーリが共通の駆動軸に取付けられる請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ベース壁が前記張力付与機構の形状に対応するように外形を合わせて形成される請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記張力付与機構がそれぞれ、2つのバネ端部が前記ハブの実質的に反端側に係合するようにして前記ブラケットに係合するバネ端部を有する螺旋捻りバネを備える請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記各カップ内の減衰機構をさらに備える請求項13に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−530235(P2012−530235A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516386(P2012−516386)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/040213
【国際公開番号】WO2011/002718
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】