説明

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療

デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー又は悪液質の治療的及び/又は予防的処置のための薬物の製造における、式(I)若しくは(II)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を開示する:
【化1】


(式中、同一又は異なり得るA1、A2、A3、A4及びA5は、N又はCR1を表し、R9は-L-R3(Lは単結合又はリンカー基であり、R3は水素又は置換基を表す)を表し、またさらに、A1〜A4の隣接する1対がそれぞれCR1を表す場合、これらの隣接する炭素原子は、それらの置換基と一緒になって環Bを形成でき、A5がCR1を表す場合、A5及びN-R9は、それらの置換基と一緒になって環Cを形成できる。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、フランスの神経科医Duchenne de Boulogneにより150年以上前に最初に記述され、その人に因んで疾患が命名された、筋肉機能の進行性悪化に関連した一般的な遺伝性神経筋疾患である。DMDは、ジストロフィン遺伝子の突然変異に起因して男性3500人中1人に影響を及ぼすX連鎖劣性障害として特徴付けられている。この遺伝子はヒトゲノム中最大のものであり、260万個のDNAの塩基対を包含し、79個のエキソンを含有する。ジストロフィン突然変異のおよそ60%が、下流のフレームシフト誤差につながる大型の挿入又は欠失であり、一方およそ40%が点突然変異又は小型のフレームシフト再構成である。DMD患者の大多数は、ジストロフィンタンパク質を欠いている。ベッカー型筋ジストロフィーは、ジストロフィンタンパク質の量的減少又は大きさの変化に起因するDMDのはるかにより穏やかな形態である。DMDの高い出現率(精子又は卵子10,000個中1個)は、遺伝子検査では決してこの疾患はなくならないであろうこと、したがって有効な治療法が非常に望まれていることを意味する。
【0003】
いくつかの自然の及び作り出されたDMD動物モデルが存在し、前臨床試験のための主要部を提供している(Allamand,V.及びCampbell,K.P.の論文(筋ジストロフィーのための動物モデル:治療法開発の貴重なツール(Animal models for muscular dystrophy:valuable tools for the development of therapies))(Hum.Mol.Genet.9,2459〜2467(2000)))。マウス、ネコ及びイヌモデルはすべてDMD遺伝子の突然変異を有し、ヒトにおいて見られるのと同様な生化学的ジストロフィン異常症が現われるが、それらの表現型に関して驚くべき且つ重要な変異を示す。ヒトのように、イヌ(ゴールデンレトリーバー(Golden retriever)筋ジストロフィー及びジャーマンショートヘアドポインター(German short-haired pointer))モデルは、厳格な表現型を有する;これらのイヌは通例心不全で死亡する。イヌは、ヒト疾患のための最良のフェノコピー(phenocopy)を提供し、前臨床試験向けの高度な指標と見なされる。残念なことに、これらの動物の飼育には費用が掛かり且つ困難であり、同腹仔の間で臨床時間経過が変動する恐れがある。
【0004】
mdxマウスは、入手し易さ、短い在胎期間、成熟期間及び比較的低コストのため、最も広く使用されるモデルである(Bulfield,G.,Siller,W.G.,Wight,P.A.及びMoore,K.J.の論文(マウスにおけるX染色体連鎖筋ジストロフィー(X chromosome-linked muscular dystrophy(mdx)in the mouse))(Proc.Natl Acad.Sci.USA 81,1189〜1192(1984)))。
【0005】
約20年前のDMD遺伝子発見以来、前臨床動物試験において、DMDの治療における様々な度合いの成功が達成され、そのいくつかはヒトで追跡調査されている。現在の治療戦略は、広く3つの群:第1に遺伝子治療の取組み;第2に細胞治療;最後に薬理学的治療に分類することができる。遺伝子ベース及び細胞ベースの治療は、特に疾患の進行初期に開始した場合、二次的欠陥/病状(例えば拘縮)を別個に癒す必要性をなくしているという基本的な利点を提供する。残念なことに、これらの取組みはいくつかの技術的ハードルに直面している。毒性、安定な発現性の欠如及び送達の困難性の他に、ウイルス性ベクター、筋原細胞及び新たに合成されるジストロフィンに対する免疫学的応答が報告されている。
【0006】
筋ジストロフィーを治療するための薬理学的取組みは、欠失遺伝子及び/又はタンパク質いずれかを送達するように設計されていないという点で遺伝子ベース及び細胞ベースの取組みと異なっている。一般に、薬理学的戦略では、炎症を軽減する、カルシウムのホメオスタシスを改善する、及び筋肉前駆体の増殖又は関係付けを強化するなどの手段によって表現型を改善する試みとして薬物/分子を使用する。これらの戦略は、それらが容易に全身的に送達され、ベクター及び細胞ベース治療に関連している多くの免疫学的及び/又は毒性組織を巧みに回避することができる利点を提供する。炎症を軽減するコルチコステロイド及びクロモグリク酸ナトリウム、カルシウムホメオスタシスを維持するダントロレン、並びに筋力を増強するクレンブテロールに関する研究が有望な結果をもたらしているが、これらの可能性ある治療法はいずれも、DMDを治療するのに有効であることが未だ示されていない。
【0007】
代替的な薬理学的取組みは、上方制御(アップレギュレーション)治療法である。上方制御治療法は、欠陥遺伝子を置き換える代替的遺伝子の発現を増加させることに基づいており、予め不在のタンパク質に対する免疫応答が存在する場合に、特に利点がある。ジストロフィンの常染色体パラローグ(paralogue)であるユートロフィン(utrophin)の上方制御が、DMDの可能性ある治療法として提案されている(Perkins及びDaviesの論文(Neuromuscul Discord,S1:S78〜S89(2002))、Khurana及びDaviesの論文(Nat Rev Drug Discov 2:379〜390(2003)))。遺伝子導入mdxマウスにおいてユートロフィンが過剰発現される場合、ユートロフィンは筋肉細胞の筋細胞膜に局在化し、ジストロフィン付随タンパク質複合体(dystrophin-associated protein complex)(DAPC)の成分を回復し、それによりジストロフィン発現を予防し、次に骨格筋肉の機能改善につながる。イヌにおけるユートロフィンのアデノウイルス性送達は病状を予防することが示されている。マウスモデルの出生直後にユートロフィン発現増加が開始されることが有効である可能性があり、ユートロフィンが偏在的に発現される場合何ら毒性が観察されず、このことはこの治療法をヒトに翻訳するのに有望なことである。病状を緩和するのに十分なレベルまで内因性ユートロフィンを上方制御することが、拡散可能な小化合物を送達することにより達成される可能性がある。
【発明の開示】
【0008】
本発明者らはここに、予防的検査において内因性ユートロフィンを上方制御する、したがってDMDの治療に役立つ可能性のある一群の化合物を見出している。
本発明により、本発明者らは式(I)若しくは(II)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩の使用であって、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー又は悪液質の治療的及び/又は予防的処置のための薬物の製造における前記使用を提供する。
【化1】

(式中、
同一又は異なり得るA1、A2、A3、A4及びA5は、N又はCR1を表し、
R9は-L-R3(Lは単結合又はリンカー基であり、R3は水素又は置換基を表す)を表し、
さらに、
A1〜A4の隣接する1対がそれぞれCR1を表す場合、これらの隣接する炭素原子は、それらの置換基と一緒になって環Bを形成でき、
A5がCR1を表す場合、A5及びN-R9は、それらの置換基と一緒になって環Cを形成できる。)。
【0009】
R9がHを表す場合、式Iの化合物は、式IIの化合物の互変異性体である。
式Iの化合物は、互変異性体、鏡像異性体及びジアステレオマー形態で存在でき、それらのすべてが本発明の範囲に含まれる。
ある種の式Iの化合物は新規なものである。本発明により、本発明者らはまた、新規である式Iの化合物を、それらの調製方法、それらを含有する組成物、並びに医薬としてのそれらの使用と共に提供する。
式Iの範囲内に収まるいくつかの化合物は、それ自体知られているが、医薬としてではない。本発明により、本発明者らは、それ自体では当技術分野で知られているが、医薬としての使用について以前に記述されていない化合物を、医薬として特許請求する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
すべての式Iの化合物は、従来の方法で製造できる。ヘテロ芳香環系の製造方法は当技術分野でよく知られている。特に、合成方法は文献(総合ヘテロ環化学、第1巻(Comprehensive Heterocyclic Chemistry,Vol.1)(編集:AR Katritzky,CW Rees)(Pergamon Press,Oxford,1984)及び総合ヘテロ環化学II:文献1982〜1995の概説 ヘテロ環化合物の構造、反応、合成及び使用(Comprehensive Heterocyclic Chemistry II:A Review of the Literature 1982〜1995 The Structure,Reaction,Synthesis,and Uses of Hererocyclic Compounds)、Alan R.Katritzky(編集者),Charles W.Rees(編集者),E.F.V.Scriven(編集者)(Pergamon Pr,1996年6月))中で考察されている。考察の対象となっている化合物の合成を助ける他の一般的供給源は、文献(マーチの先進有機化学:反応、機構及び構造(March's Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure)、(Wiley-Interscience;第5版(2001年1月15日)))を含む。
【0011】
式Iの化合物又はその医薬として許容し得る塩は、式IIの化合物
【化2】

(式中、A1、A2、A3及びA4は、上記の通り定義される)から、例えば欧州特許第0751134号中に記述されているチオ尿素-S,S-ジオキシド又は亜ジチオ酸塩例えばアルカリ金属塩、との反応によって行われる還元的閉環として調製できるものである。この反応は、水溶液好ましくはアルコール水溶液中において、温度60〜80℃で実施できる。環化は、ある種の官能基が存在すると、例えば-NH2又は-OH官能基が存在すると起こらないであろう。これらの基は、環化の前に保護する必要があるであろう。例えば、-NH2基はアミドとして保護でき、-OH基はエーテルとして保護できる。適切に保護する方策は、例えば欧州特許第0751134号中に開示されている。
【0012】
式IIの化合物は、式IIIのジアゾニウム化合物
【化3】

(式中、A1、A2、A3及びA4は、上記の通り定義される)の、式IVのフェニル誘導体
【化4】

(式中、A9は、上記の通り定義される)とのジアゾニウムカップリング反応により調製できる。カップリングのための条件は、合成化学者にはよく知られている。例えば反応は、24時間までにわたって、わずかに酸性の条件下のメタノール中で実施できる。
【0013】
式IIIの化合物は、式V
【化5】

(式中、A1、A2、A3及びA4は、上記の通り定義される)の適正なアミンのジアゾ化によって調製できる。ジアゾ化の方法は、当技術分野でよく知られており、例えば0〜10℃における水溶液中のNaNO2/AcOHとの反応による。
【0014】
式Vの化合物は、式VIの化合物
【化6】

(式中、A1、A2、A3及びA4は、上記の通り定義され、Pはニトロ化条件に適した保護基を表す)のニトロ化、及びその後の脱保護により合成できる。ニトロ化は、例えば、反応条件に適した溶媒中におけるcHNO3/cH2SO4により行うことができるであろう。
【0015】
式IV及びVIの化合物は、それ自体知られている従来の技術により製造できる。
式Iの2-フェニルインダゾールは、下記のスキームにおいて概説している、様々な方法によって、製造することができる。
【化7】

【0016】
フェニルインダゾールは、公知の方法を使用して製造できる。例えば、Song,J.J.らの論文(Organic Letters,2000,2(4),519〜521)により記述されているPd(II)触媒を使用して式VIIのヒドラジンを環化できる。
別法として、Akazome,M.らの論文(J.Chem.Soc.Chemical Communications,1991,20,1466〜7)により記述されているPd(0)媒介による環化を使用して、イミンVIIIから式VIIのフェニルインダゾールを合成できる。
【0017】
次いで、フェニルインダゾールは、当業者に知られている方法を使用して処理できる。例えばニトロ化(Elguero,J.らの論文(Bulletin des Societes Chimiques Belges,1996,105(6),355〜358)により記述されている)により、ニトロ化合物IXが得られる。当業者は、ニトロ化合物を処理して広い範囲の官能性を得ることができる方法について十分承知している。例えばこのニトロ化合物を、例えばSn/HClを使用して還元し、続いて、例えばCH2Cl2中の酸塩化物及びトリエチルアミンを使用しアシル化することによりアミドXが得られる。
【0018】
上記の工程において、出発物質中に存在する任意の官能基、例えばヒドロキシ又はアミノ基を保護することが必要になり得る。したがって、式Iの化合物を生成させるためには、1個以上の保護基を除去することが必要になり得る。
【0019】
適切な保護基及びそれらの除去方法は、例えばT.Green及びP.G.M.Wuttsの文献「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthsis)」(John Wiley and Sons Inc.,1991)中で記述されているものである。ヒドロキシ基は、例えば、フェニルメチル、ジフェニルメチル又はトリフェニルメチルなどのアリールメチル基;アセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチルなどのアシル基により;或いはテトラヒドロピラニル誘導体として保護できる。適切なアミノ保護基には、ベンジル、(R,S)-α-フェニルエチル、ジフェニルメチル又はトリフェニルメチルなどのアリールメチル基、及びアセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチルなどのアシル基が含まれる。水素化分解、酸若しくは塩基加水分解又は光分解を含む従来の脱保護方法が使用できる。アリールメチル基は、例えば、金属触媒例えば木炭上のパラジウムの存在における水素化分解により除去できる。テトラヒドロピラニル基は、酸性条件下の加水分解により分解できる。アシル基は、水酸化ナトリウム又は炭酸カリウムなどの塩基による加水分解によって除去でき、或いはトリクロロアセチルなどの基は、例えば亜鉛及び酢酸による還元によって除去できる。
【0020】
式Iの化合物及びそれらの塩は、従来の技術を使用してそれらの反応混合物から単離できる。
式Iの化合物の塩は、その遊離酸若しくはその塩、或いはその遊離塩基又はその塩若しくは誘導体を、1当量以上の適正な塩基又は酸と反応させることにより形成できる。この反応は、この塩が不溶である溶媒若しくは媒質中で、或いはこの塩が可溶である溶媒、例えば真空中で又は凍結乾燥により除去できるエタノール、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル中で実施できる。この反応は、メタセシス過程であってもよく、或いはイオン交換樹脂上で実施できる。
【0021】
式Iの化合物の医薬として許容し得る塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウム塩;III族元素の塩、例えばアルミニウム塩;並びにアンモニウム塩が含まれる。適切な有機塩基との塩、例えばヒドロキシルアミン;低級アルキルアミン、例えばメチルアミン若しくはエチルアミンとの塩;置換されている低級アルキルアミン、例えばヒドロキシ置換アルキルアミンとの塩;又は単環窒素複素環式化合物、例えばピペリジン若しくはモルホリンとの塩;並びにアミノ酸との塩、例えばアルギニン、リシンなど、又はそれらのN-アルキル誘導体との塩;又はアミノ糖との塩、例えばN-メチル-D-グルカミン若しくはグルコサミンとの塩がある。他の塩も例えば生成物を単離又は精製するのに有用であるが、無毒性の生理学的に許容し得る塩が好ましい。
【0022】
ジアステレオ異性体は、従来の技術、例えばクロマトグラフィー又は分別晶出を使用して分離できる。種々の光学異性体は、従来の例えば分別晶出又はHPLC技術を使用して本化合物のラセミ体又は他の混合物を分離することによって単離できる。別法として、所望の光学異性体は、ラセミ化を生じさせない条件下で適正な光学的に活性な出発物質を反応させることによって製造できる。
【0023】
アルキルが表し得る置換基には、メチル、エチル、ブチル、例えばsecブチルが含まれる。
ハロゲンはF、Cl、Br及びI、特にClを表し得る。
式Iの化合物におけるR3が表し得る置換基の例には、アルキル、アルコキシ又はアリールが含まれ、それぞれ、同一又は異なり得る1種以上の、好ましくは1〜3個の置換基R2により場合によって置換されている。
【0024】
さらに、挙げることができる化合物には、
A5がNを表す請求項1の式I又は請求項1の式IIの化合物:
(式中、
Lは単結合であり、R3は、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているO-アリール若しくはチオアリール、
場合によって置換されているアリール、
ヒドロキシル、
NR10R11
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
を表し、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R16及びR17は、水素、場合によって置換されているアリールによって場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
R10及びR11は、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12は、NR10R11と同一の意味を有することができ、
同一又は異なり得るR16及びR17はそれぞれ、
1種以上のハロゲン、アルコキシにより場合によって置換されているアリール若しくは場合によって置換されているアリールにより置換されているアルキル、
場合によって置換されているアリールオキシ、
アリール又はNR10R11を表すことができ、
R16又はR17がNR10R11を表す場合、R10及びR11の一方は、場合によって置換されているCOアルキル又は場合によって置換されているCOアリールをさらに表すことができ、
R17と共用される定義の他に、R16はヒドロキシルを表すことができる);
又は、A5がCHを表す請求項1の式IIの化合物:
(式中、
Lは単結合であり、R3は、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているチオアリール、
場合によって置換されているアリール、
ヒドロキシル、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
OC(=W)NR10R11
NR15C(=W)R17
を表し、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、水素、場合によって置換されているアリールによって場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
R10及びR11は、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12は、NR10R11と同一の意味を有することができ、
同一又は異なり得るR16及びR17はそれぞれ、
1種以上のハロゲン、アルコキシにより場合によって置換されているアリール若しくは場合によって置換されているアリールにより置換されているアルキル、
場合によって置換されているアリールオキシ、
アリール又はNR10R11を表すことができ、
R16又はR17がNR10R11を表す場合、R10及びR11の一方は、場合によって置換されているCOアルキル又は場合によって置換されているCOアリールをさらに表すことができ、
R17と共用される定義の他に、R16はヒドロキシルを表すことができる)
が含まれる。
【0025】
挙げることができる化合物には、同一又は異なり得るR1及びR2が、
1個以上のハロゲン、アルコキシ又は場合によって置換されているアリール、チオアリール若しくはアリールオキシにより、場合によって置換されているアルキル、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているアルコキシ、
ヒドロキシル、
OC(=W)NR10R11
アリール、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているチオアリール、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
P(=O)OR40R41
を表すことができ、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R40及びR41が、水素、場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
NR10R11が、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12が、NR10R11と同一の意味を有することができ、
R17がNR10R11を表す場合、そのNR10R11が、水素、COアルキル及びCOにより場合によって置換されているアリールを表すことができ、
R16が、ヒドロキシ、アルコキシ又はNR10R11を表すことができ、
R17が、1種以上のハロゲンにより置換されているアルキル、アルコキシ、場合によって置換されているアリール又はNR10R11を表すことができる化合物が含まれる。
【0026】
挙げることができる他の化合物には、
A5がNを表す請求項1の式I又は請求項1の式IIいずれかの化合物:
(式中、
Lは、
O、S、若しくはNR18
アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(それぞれは、1個以上のO、S、NR18、又は1個以上のC-C単結合、二重結合若しくは三重結合により場合によって割込まれていてもよい)
であるリンカー基を表し、
R18は、水素、アルキル、COR16を表す)、
又は、A5がCHを表す請求項1の式IIの化合物:
(式中、
Lは、
O、S、NR18
アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(それぞれは、1個以上のO、S、NR18、又は1個以上のC-C単結合、二重結合若しくは三重結合により場合によって割込まれていてもよい)、
-N-N-単結合若しくは二重結合
であるリンカー基を表し、
R18は、水素、アルキル、COR16を表す)が含まれる。
【0027】
アルキルは任意のアルキル鎖を表し得る。アルキルには直鎖及び分岐、飽和及び不飽和アルキル、並びに、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルなどの環状アルキルが含まれる。しかし、任意の置換基がアルキルを表す場合、アルキルは飽和、線状又は分岐しているものであり、炭素原子1〜10個、好ましくは炭素原子1〜8個、より好ましくは炭素原子1〜6個を有することが好ましい。任意の置換基がアルキルを表す場合、特に好ましい基はシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルである。
【0028】
アリールは任意の芳香族系を表し得る。式Iの化合物においてアリールは芳香族炭化水素又は、炭素の他に環構成成分として酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員の芳香族複素環であるのが好ましい。本発明者らは、ヘテロ原子1又は2個を含有する複素環を好む。挙げることができる芳香族複素環にはフラン、チオフェン、ピロール及びピリジンが含まれる。
【0029】
アリールが芳香族炭化水素である場合、アリールは6〜10員単環又は二環系、例えばフェニル又はナフタレンを表すことが特に好ましい。
【0030】
挙げることができる飽和及び不飽和複素環には、N、S及びOから選択されるヘテロ原子1〜2個を含有することが好ましい環原子4〜7個、好ましくは環原子5若しくは6個を含有するものが含まれる。挙げることができる複素環には、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、ピペラジン及びモルホリンが含まれる。例えばNR10R11が複素環を形成する場合、N-含有複素環が特に好ましい。
【0031】
上記において詳述したように、A1〜A4の隣接する1対がそれぞれCR1を表す場合、隣接する炭素原子は、それらの置換基と一緒になって環Bを形成できる。また、A5がCR1を表す場合、A5及びCR1はそれらの置換基と一緒になって環Cを形成できる。環B及び/又は環Cは、飽和若しくは不飽和3〜10員炭素環又は複素環であることが好ましい。
【0032】
特に好ましい環Bは、ベンゼン環である。
特に好ましい環Cは、3〜10員飽和若しくは不飽和複素環である。
本発明者らは、少なくとも1つのR1がNR15C(=W)R17、最も詳細には基NR15COR17を表す化合物を特に好む。
本発明者らは、少なくとも1つのR1がCONR10R11を表す化合物をも好む。
【0033】
一群の特に好ましい化合物について、少なくとも1つのR1はアミド基NHCOR17を表し、ここで、R17は、
アルキルC1〜C6
フェニルにより置換されているアルキルC1〜C6
アルコキシC1〜C6により置換されているアルキルC1〜C6
ハロアルキルC1〜C6
ペルフルオロアルキルC1〜C6
1種以上のハロゲン、アルキルC1〜C6、アルコキシC1〜C6、アミノ、(アルキルC1〜C6)アミノ、ジ(アルキルC1〜C6)アミノ若しくはフェニルにより場合によって置換されているフェニル、
CH:CHフェニル、
ナフチル、ピリジニル、チオフェニル及びフラニル
から選択される。
【0034】
本発明者らは、R1及びR2の一方又は両方が、-COOH以外である化合物を好む。
特に好ましい化合物の他の群について、少なくとも1つのR1は基NR15COR10R11を表し、その場合、同一又は異なり得るR10及びR11は、場合によって置換されているアリール、アルキル及び場合によって置換されているCOアリールから選択される。少なくとも1つのR1が表し得る特に好ましい基はNHCONHR15であり、R15は、フェニル、アルキルC1〜C6及び1種以上のハロゲンにより場合によって置換されているCOフェニルから選択される。
【0035】
特に好ましい化合物の他の群について、少なくとも1つのR1は、フェニルにより場合によって置換されているアルキルC1〜C6、又はN、S及びOから選択されるヘテロ原子1〜2個を含有する5若しくは6員の飽和若しくは不飽和複素環を表す。好ましい複素環には、チオフェン、フラン、ピリジン及びピロールが含まれる。
特に好ましい化合物の他の群について、少なくとも1つのR1はCOR16を表し、R16は、アルコキシC1〜C6、アミノ、(アルキルC1〜C6)アミノ又はジ(アルキルC1〜C6)アミノである。
【0036】
特に好ましい化合物の他の群について、少なくとも1つのR1は:
NO2
ハロゲン、
アミノ、或いはアルキルC1〜C6がフェニル又は5若しくは6員の飽和若しくは不飽和複素環により場合によって置換されている(アルキルC1〜C6)アミノ又はジ(アルキルC1〜C6)アミノ、
NHSO2アルキルC1〜C6、NHSO2フェニル、
SO2アルキルC1〜C6
C1〜C6アルコキシC1〜C6により場合によって置換されているフェニル、
N、S及びOから選択されるヘテロ原子1〜3個を含有する5〜10員飽和若しくは不飽和単環若しくは二環式複素環
を表す。
【0037】
基R3についても、広い変動範囲が存在する。R3はアリールを表すことが好ましく、同一又は異なり得る1〜3個の置換基R2により場合によって置換されている。
R3は、5〜10員芳香族単環又は二環系、特に炭化水素5〜10員芳香族単環又は二環系、例えばベンゼン又はナフタレンであることが特に好ましい。
別法として、この5〜10員芳香族単環又は二環系は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子3個までを含有する複素環系、例えばチオフェン、フラン、ピリジン又はピロールとすることができる。
【0038】
置換基R2は、
それぞれハロゲンにより場合によって置換されているチオフェニル又はフェノキシにより場合によって置換されているアルキルC1〜C6
アルコキシC1〜C6
フェニル、
チオアルキルC1〜C6
ハロゲンにより場合によって置換されているチオフェニル、
NO2
CN、
NR10R11(同一又は異なり得るR10及びR11は、水素、アルキルC1〜C6を表し、又はそれらが結合している窒素と一緒になって、N、O及びSから選択される1個以上のさらなるヘテロ原子を含有できる5〜7員環を形成する)、
ハロゲン、
SO2R12(R12は、N、O及びSから選択される1個以上のさらなるヘテロ原子を含有できる5〜7員環を表す)、
NHCOR17(R17は、
アルキルC1〜C6(場合によって、
フェニル若しくはハロゲン、又は
アルコキシC1〜C6、カルボキシ若しくはハロゲンにより場合によって置換されているフェニル、又は
5若しくは6員飽和若しくは不飽和複素環
により置換されている)、
ハロゲン、アルコキシC1〜C6、カルボキシ若しくは基SO2NR10R11により場合によって置換されているフェニル又は5若しくは6員飽和若しくは不飽和複素環
を表す)
から選択されることが好ましい。
R2がNR10R11を表す場合、NR10R11は、N-ピロール、N-ピペリジン、N'(C1〜C6)アルキルNピペラジン又はN-モルホリンを表すことが特に好ましい。
【0039】
リンカー基Lは、
-NH.NH-、
-CH=CH-、
-C≡C-、又は
-NCOR16(R16は、ハロゲン、アルコキシC1〜C6、カルボキシにより場合によって置換されているフェニル又は5若しくは6員飽和若しくは不飽和複素環を表す)
を表すことが好ましい。
A1〜A4はN又はCR1を表し得る。したがって、6員環は窒素原子1、2、3又は4個を含有できる。A1〜A4のうち2つが窒素を表し、A1〜A4のうち1つが窒素を表し、すべてのA1〜A4がCR1を表す本発明の実施態様が存在する。
【0040】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー又は悪液質の治療的及び/又は予防的処置のための薬物の製造における、特に好ましい一群の化合物又はその医薬として許容し得る塩において、
同一又は異なり得るA1、A2、A3、A4及びA5は、N又はCR1を表し、
R9は-L-R3(Lは単結合又はリンカー基である)を表し、
この化合物が式I又は式IIの化合物:
(式中、
A5はNを表し、
Lは単結合であり、R3は、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているチオアリール、
場合によって置換されているアリール、
ヒドロキシル、
NR10R11
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
を表し、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R16及びR17は、水素、場合によって置換されているアリールによって場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
R10及びR11は、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12は、NR10R11と同一の意味を有することができ、
同一又は異なり得るR16及びR17はそれぞれ、
1種以上のハロゲン、アルコキシにより場合によって置換されているアリール若しくは場合によって置換されているアリールにより置換されているアルキル、
場合によって置換されているアリールオキシ、
アリール又はNR10R11を表すことができ、
R16又はR17がNR10R11を表す場合、R10及びR11の一方は、場合によって置換されているCOアルキル又は場合によって置換されているCOアリールをさらに表すことができ、
R17と共用される定義の他に、R16はヒドロキシルを表すことができる)であるか;
或いはこの化合物が式IIの化合物:
(式中、
A5はCHを表し、
Lは単結合であり、
R3は、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているチオアリール、
場合によって置換されているアリール、
ヒドロキシル、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
OC(=W)NR10R11
NR15C(=W)R17
を表し、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、水素、場合によって置換されているアリールによって場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
R10及びR11は、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12は、NR10R11と同一の意味を有することができ、
同一又は異なり得るR16及びR17はそれぞれ、
1種以上のハロゲン、アルコキシにより場合によって置換されているアリール若しくは場合によって置換されているアリールにより置換されているアルキル、
場合によって置換されているアリールオキシ、
アリール又はNR10R11を表すことができ、
R16又はR17がNR10R11を表す場合、R10及びR11の一方は、場合によって置換されているCOアルキル又は場合によって置換されているCOアリールをさらに表すことができ、R17と共用される定義の他に、R16はヒドロキシルを表すことができる)であるかいずれかであり、
またさらに、
同一又は異なり得るR1及びR2が、
1個以上のハロゲン、アルコキシ又は場合によって置換されているアリール、チオアリール若しくはアリールオキシにより、場合によって置換されているアルキル、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているアルコキシ、
ヒドロキシル、
OC(=W)NR10R11
アリール、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているチオアリール、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
を表すことができ、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17が、水素、場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
NR10R11が、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12が、NR10R11と同一の意味を有することができ、
R17がNR10R11を表す場合、そのNR10R11が、水素、COアルキル及びCOにより場合によって置換されているアリールを表すことができ、
R16が、ヒドロキシ、アルコキシ又はNR10R11を表すことができ、
R17が、1種以上のハロゲンにより置換されているアルキル、アルコキシ、場合によって置換されているアリール又はNR10R11を表すことができ、
A1〜A4の隣接する1対がそれぞれCR1を表す場合、これらの隣接する炭素原子が、それらの置換基と一緒になって環Bを形成できる。
【0041】
本発明者らはまた、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー又は悪液質の治療又は予防を必要とする患者におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー又は悪液質の治療又は予防方法であって、有効な量の式(I)若しくは(II)の化合物又は医薬として許容し得る塩をその患者に投与することを含む前記方法をも提供する。
DMDの治療において使用する式Iの化合物は、医薬組成物の形態で一般に投与されるであろう。
【0042】
したがって、本発明のさらなる態様により、好ましくは80重量/重量%未満の、より好ましくは50重量/重量%未満例えば0.1〜20%の、上記において定義した式Iの化合物又はその医薬として許容し得る塩を、医薬として許容し得る希釈剤若しくは担体と混合して含む医薬組成物が提供される。
【0043】
本発明者らはまた、これらの成分を混合することを含むこのような医薬組成物の製造方法を提供する。使用できる医薬製剤及び適切な希釈剤若しくは担体の例は、下記の通りである:
静脈内注射薬又は注入液用-純水又は生理的食塩水;
吸入組成物用-粗粒乳糖;
錠剤、カプセル剤及び糖剤用-微結晶セルロース、リン酸カルシウム、珪藻土、乳糖、ブドウ糖又はマンニトールなどの糖、タルク、ステアリン酸、デンプン、炭酸水素ナトリウム及び/又はゼラチン;
坐薬用-天然若しくは硬化油又はワックス。
【0044】
本化合物を、水溶液として例えば注入液用に使用しようとする場合、他の賦形剤を配合することが必要となり得る。特にキレート又は金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、等張化剤、pH調整剤及び緩衝剤を挙げることができる。
式Iの化合物を含有する溶液は、所望される場合、例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥によって蒸発させて固体組成物を得ることができ、これは使用前に再構成できるものである。
【0045】
溶液としない場合、式Iの化合物は、0.01〜10μmの質量中央径を有する形態とすることが好ましい。この組成物は、適切な保存、安定化及び湿潤剤、可溶化剤例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースポリマー又はプロピレングリコールなどの水溶性グリコール、甘味及び着色剤並びに芳香剤をも含有できる。適正な場合、この組成物は徐放性形態として製剤できる。
医薬組成物中の式Iの化合物の含量は、製剤全体に対して一般に約0.01〜約99.9重量%、好ましくは約0.1〜約50重量%である。
式Iの化合物の用量は、年令、体重、一般的健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、その時患者が治療下にある疾患のレベル及び他の因子を考慮して決定される。
【0046】
用量は、標的疾患、状態、投与の対象、投与方法などに応じて変動するが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療向け治療薬として経口投与するには、このような疾患に罹っている患者において、0.01mg〜10g、好ましくは0.1〜100mgを、1日当たり単回用量として又は2〜3回に分割して投与することが好ましい。
DMDの治療に使用する式Iの化合物の潜在活性は、次の予測的アッセイ及び検査において実証されるであろう。
【実施例】
【0047】
(1.ルシフェラーゼレポーターアッセイ(マウスのH2K細胞))
検査に使用している細胞株は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子に結合した最初の非翻訳エキソンを含むユートロフィンAプロモーターの≒5kb断片を含有するプラスミドを安定して形質移入している不死化mdxマウスH2K細胞株である(図1を参照されたい)。
【0048】
低温及びインターフェロン含有培地の条件下で、これらの細胞は筋原細胞として残留する。これらを96ウェルプレート中に展開し、化合物が存在する状態で3日間培養する。次いでルシフェラーゼのレベルを、細胞溶解及び、プレートルミノメーターを用い、発現されるルシフェラーゼ遺伝子からの光出力を読み取ることにより測定する。
このアッセイにおける化合物の薬理学的用量応答性の例を図2に示している。
【0049】
(2.mdxマウス)
ADMETデータから得られるデータを優先させた。mdx証明の概念的研究における試験について最良のインビトロルシフェラーゼ活性及び合理的なADMETデータを有する化合物を優先させ、その成果は、ビヒクルのみを投与した対照動物と比較した場合に、いずれかの化合物が、ジストロフィン欠損筋肉中のユートロフィンタンパク質のレベルを増加させる能力を有するかどうかを識別することであった。
【0050】
化合物10mg/kgを2匹の動物に腹腔内投与により28日間毎日注入し、これに年令の一致する対照動物を加えた。筋肉試料を採取し、切片法(筋細胞膜のユートロフィン染色部分の増加を識別する)及びウェスタンブロット法(全体的なユートロフィンレベルの増加を識別する)のため処理した。
【0051】
図3は、マウスユートロフィンに特異的な抗体で染色されたTAの筋肉切片の一例を示している。ビヒクルのみを注入したmdxの筋肉と比較して、筋細胞膜に結合したユートロフィン量の増加が示される。
上記の治療したマウスからの筋肉を切除し、ウェスタンブロット法向けにも処理し且つ特異的抗体で染色した(図4を参照されたい)。再び、CPD-Aを投与した筋肉を用いると、TAの脚部筋肉及び横隔膜の両方に存在する全体のユートロフィンレベルの著しい上昇を示している。CPD-A(V2及びV3)の作用を受けた両方のマウスで、対照標準に比べてユートロフィン発現レベルの上昇を示した。
【0052】
次いで、さらなる2匹のマウスについての28日試験で、最初の28日試験からの正の上方制御データが繰り返された。合計して3種の異なる化合物が、28日間毎日腹腔内経路により送達される場合、mdxマウスにおけるユートロフィン発現レベルを上昇させる能力を繰り返し示している。このデータは、腹腔内送達されるとmdx筋肉内に見出されるユートロフィンレベルの著しい上昇をもたらすこの化合物の能力を実証しており、したがって、この手法が、今日までのすべての出版データにより3倍を超えるユートロフィンレベルのどんな上昇もジストロフィン欠陥性筋肉への著しい機能的効果を有することが実証されているように、この疾患を改善するものであるとの確信を本発明者らにもたらしている。
【0053】
(H2K/mdx/ユートロ(Utro)Aレポーター細胞株の維持)
H2K/mdx/ユートロAレポーター細胞株は、≦30%集密性となるまで週に2回継代接種した。細胞は、CO2 10%が存在する状態で、33℃で成長させた。
細胞培養向けに筋原細胞を取り出すため、それらを、単層が剥離し始めるまでトリプシン/EDTAによりインキュベートした。
成長培地
DMEM Gibco 41966
20%FCS
1%Pen/Strep
1%グルタミン
10mlニワトリ胚抽出液
インターフェロン(1276 905 Roche)添加新液10μl/50ml培地
【0054】
(96ウェルプレートについてのルシフェラーゼアッセイ)
H2K/mdx/ユートロAレポーター細胞株の細胞を96ウェルプレート(Falcon 353296、白色不透明)に、190μl通常成長培地中およそ細胞5000個/ウェルの密度で展開した。次いでプレートは、CO2 10%が存在する状態で、33℃で24時間インキュベートした。
それぞれのウェルに、希釈した化合物10μlを添加することにより化合物を投与し、最終濃度10μMをもたらした。次いでプレートをさらに48時間インキュベートした。
次いで細胞を、製造のプロトコルに従って(Promega Steady-Gloルシフェラーゼアッセイシステム(E2520))、その場所で溶解した。次いでプレートルミノメーター(Victor 1420)を使用し10秒間計数した。
【0055】
(化合物貯蔵)
検査用化合物は100% DMSO中の10mM貯蔵液として、必要とされるまで-20℃で貯蔵した。
【0056】
(mdxマウスへの化合物の注入)
試験のため、飼育コロニーからのmdxを選択した。マウスには、ビヒクル又は10mg/kgの化合物いずれかを腹腔内経路(intreperitoneal route)(ip)を用い毎日注入した。マウスの体重を計り、PBS中5% DMSO、0.1%ツイーン中に化合物を希釈した。
マウスは、所望の時点で頸椎脱臼により犠牲として、解析のため筋肉を切除した。
【0057】
(筋肉解析)
(免疫組織化学)
切片用組織を切開し、OCT(Bright社Cryo-M-Bed)に浸漬し、液体窒素冷却イソペンタン上で凍結させた。切り離した8μM凍結切片をBright社クリオスタット上で切断し、-80℃で貯蔵した。
染色の準備として、切片を、PBS中の5%ウシ胎児血清中において30分間ブロックした。一次抗体を遮断剤中で希釈し、湿った室内において切片上で1.5時間インキュベートし、次いでPBS中で3回5分間洗浄した。二次抗体も、遮断剤中で希釈し、湿った室内の暗所で1時間インキュベートした。最後に、切片をPBS中で3回5分間洗浄し、ハイドロマウント(hydromount)によりカバーガラスにマウントした。Leica社蛍光顕微鏡を使用してスライドを解析した。
【0058】
(結果)
マウスH2K細胞においてルシフェラーゼレポーターアッセイを使用して評価した生物学的活性は、次のように分類される:
+ 対照標準に対して200%まで、
++ 対照標準に対して201%と300%の間、
+++ 対照標準に対して301%と400%の間、
++++ 対照標準に対して401%を超える。
【0059】
【表1】



【0060】
【表2】

【0061】
(実験)
HPLC-UV-MSは、Gilson社321 HPLC上で実施し、Gilson 170 DAD及びFinnigan社AQA質量分析計により検出を行い、電子スプレーイオン化方式で操作した。使用したHPLCカラムは、Phenomenex社Gemini C18 150×4.6mmである。分取HPLCは、Gilson 321上で実施し、Gilson 170 DADにより検出を行った。Gilson 215フラクションコレクターを使用して分取分を集めた。使用した分取HPLCカラムは、Phenomenex社Gemini C18 150×10mmであり、移動相はアセトニトリル/水である。
【0062】
1H NMRスペクトルは、300MHzで操作されるBruker社機器上に記録した。NMRスペクトルは、CDCl3溶液として得られ(ppmで報告)、比較標準としてクロロホルム(7.25ppm)又はDMSO-D6(2.50ppm)を使用した。ピークの多重度を報告する場合、次の略号を使用している:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(広がっている)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)、td(二重線の三重線)。カップリング定数は、示される場合ヘルツ(Hz)で報告される。
【0063】
カラムクロマトグラフィーは、フラッシュクロマトグラフィー(40〜65μmシリカゲル)によるか、又は自動化精製システム(Biotage(登録商標)からのSP1(商標)精製システム)を使用するかいずれかで実施した。マイクロ波中の反応は、Initiator 8(商標)(Biotage社)内で行われた。
使用される略語は、DMSO(ジメチルスルホキシド)、HCl(塩酸)、MgSO4(硫酸マグネシウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)、THF(テトラヒドロフラン)である。
【0064】
【化8】

【0065】
(方法1:化合物I)
2-(4-(ジエチルアミノ)フェニル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-5-アミン
亜硝酸ナトリウム(764mg、11.1mmol)水溶液(10mL)を、氷冷下N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン(1.54mL、9.3mmol)の10%塩酸水溶液(50mL)溶液に滴下添加した。15分後、スルファミン酸アンモニウム(1.58g、13.8mmol)を加え、得られた混合物を15分間攪拌した。酢酸ナトリウムを用いてpHをpH5に合わせた後、1,3-フェニレンジアミン(1g、9.2mmol)を加え、混合物をさらに2時間攪拌し、次いで1M水酸化ナトリウムを用いてpH9に塩基性化した。酢酸エチルを加え、有機層をブラインで2回洗浄した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させて、赤色固体を得た。硫酸銅(10g)のアンモニア水(水30mL中の28%アンモニア30mL)溶液を、ピリジン(40mL)中で上記得られた赤色固体に加えた。次いで溶液を16時間還流させた。冷却後、酢酸エチルを加え、有機層をブラインで2回洗浄した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させて、暗赤色固体を得、これをジエチルエーテルで摩砕して、標題化合物1.09g(42%)を得た(LCMS RT=7.06分、MH+282.1)。
1H NMR(DMSO):8.02(2H,d,J 9.3 Hz),7.68(1H,d,J 9.1 Hz),6.96(1H,dd,J 9.1 2.0 Hz),6.86(2H,d,J 9.3 Hz),6.75(1H,dd,J 1.9 0.6 Hz),5.55(2H,br),3.46(4H,q,J 7.1 Hz),1.19(6H,t,J 7.1 Hz)
【0066】
下のすべての化合物は同様の一般的手順に従って調製し、ジエチルエーテルで摩砕することにより、又は酢酸エチル/ヘキサン類の濃度勾配で溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによりのいずれかで精製した。
【化9】

【0067】
(方法2:化合物II)
N-(2-(4-クロロフェニル)-6-メチル-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-5-イル)ニコチンアミド
2-(4-クロロフェニル)-6-メチル-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-5-アミン(50mg、0.19mmol)及びトリエチルアミン(108μL、0.77mmol)のジクロロメタン(4mL)溶液に、塩化3-ニコチノイル塩酸塩(38mg、0.21mmol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜攪拌した。ジクロロメタンを加え、有機層を飽和Na2CO3水溶液で2回洗浄した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄して、標題化合物7mg(10%)を得た(LCMS RT=6.30分、MH+364.2)。
1H NMR(DMSO):10.26(1H,s),9.20(1H,m),8.82-8.79(1H,m),8.39-8.32(3H,m),8.13(1H,s),7.96(1H,s),7.74(2H,d,J 8.9 Hz),7.65-7.57(1H,m)
【0068】
以下のすべての化合物は同様の一般的手順に従って調製した。
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【0069】
【化17】

【0070】
(方法3:化合物III)
2-(4-クロロフェニル)-6-(メチルスルホニル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール1-オキシド
(4-クロロフェニル)ヒドラジン塩酸塩(1.64g、9.17mmol)、1-フルオロ-4-(メチルスルホニル)-2-ニトロベンゼン(1.00g、4.56mmol)及び酢酸ナトリウム3水和物(1.87g、13.7mmol)をエタノール(15mL)に懸濁させ、6時間加熱還流させた。次いで混合物を室温に冷却し、生成物を濾別した。残渣をメタノール、水次いで再度メタノールで洗浄して、標題化合物1.13g(77%)を得た(LCMS RT=5.92分、(MH++MeCN)364.9)。
1H NMR(DMSO):8.39-8.38(1H,m),8.21-8.14(3H,m),7.98(1H,dd,J 9.2 1.7 Hz),7.80(2H,d,J 9.0 Hz),3.38(3H,s)
【化18】

【0071】
(方法4:化合物IV)
2-(4-クロロフェニル)-5-(メチルスルホニル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール
2-(4-クロロフェニル)-6-(メチルスルホニル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール1-オキシド(157mg、0.49mmol)及び塩化アンモニウム(52mg、0.97mmol)のテトラヒドロフラン/水5:1容量/容量(6mL)懸濁液に、80℃で鉄粉(136mg、2.43mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で3時間攪拌した。冷却後、溶液をCelite(登録商標)のパッドを通し、テトラヒドロフランで洗浄した。次いで濾液を真空濃縮し、水に懸濁させ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル:ヘキサン類25:75容量/容量で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物29.7mg(20%)を得た(LCMS RT=6.59分)。
1H NMR(CDCl3):8.60-8.58(1H,m),8.28(2H,d,J 9.0 Hz),8.04(1H,dd,J 9.0 0.9 Hz),7.82(1H,dd,J 9.0 1.6 Hz),7.49(2H,d,J 9.0 Hz),3.06(3H,s)
【0072】
以下の化合物は同様の一般的手順に従って調製した。
【化19】

【0073】
(方法5:化合物V)
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-(エチルスルホニル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール
窒素下乾燥シュレンクフラスコに、2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-(メチルスルホニル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(93.5mg、0.27mmol)及び乾燥テトラヒドロフラン(5mL)を加えた。次いで溶液を-78℃に冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.30mL、0.30mmol)を加えた。反応物を-78℃で1時間攪拌を続け、次いでヨウ化メチル(35μL、0.55mmol)を加えた。溶液を室温に16時間加温した。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を溶液に加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル:ヘキサン類20:80容量/容量で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物52mg(54%)を得た(LCMS RT=7.65分)。
1H NMR(DMSO):8.68-8.67(1H,m),8.57(1H,d,J 2.5 Hz),8.38-8.33(2H,m),8.01-7.94(2H,m),3.46(2H,q,J 7.5 Hz),1.15(3H,t,J 7.4 Hz)
【0074】
以下の化合物は同様の一般的手順に従って調製した。
【化20】

【0075】
【化21】

【0076】
(方法6:化合物VI)
(E)-4-クロロ-N-(4-(メチルスルホニル)-2-ニトロベンジリデン)アニリン
モレキュラーシーブを含むエタノール(5mL)中の4-(メチルスルホニル)-2-ニトロベンズアルデヒド(250mg、1.09mmol)に、室温で4-クロロアニリン(139mg、1.09mmol)を加えた。得られた混合物を室温で1時間攪拌し、次いで70℃で1時間加熱した。冷却後、混合物を濾別し、濾液を真空で濃縮して、標題化合物を得、これを粗製物で次の工程に使用した。
【0077】
(方法7:化合物VII)
2-(4-クロロフェニル)-6-(メチルスルホニル)-2H-インダゾール
(E)-4-クロロ-N-(4-(メチルスルホニル)-2-ニトロベンジリデン)アニリン(133mg、0.39mmol)のリン酸トリエチル(2mL)懸濁液を105℃で3時間攪拌した。冷却後、固体を濾別し、ヘキサン類で洗浄して、標題化合物89mg(74%)を得た(LCMS RT=6.17分、MH+307.0)。
1H NMR(DMSO):9.36(1H,d,J 0.9 Hz),8.34(1H,br),8.19(2H,d,J 8.9 Hz),8.08(1H,dd,J 8.9 0.8 Hz),7.73(2H,d,J 8.9 Hz),7.58(1H,dd,J 8.8 1.4 Hz),3.30(3H,s)
【0078】
以下の化合物は同様の一般的手順に従って調製した。
【化22】

【0079】
(方法8:化合物VIIa)
2-(4-クロロフェニル)-2H-インダゾール-6-アミン
テトラヒドロフラン:水4:1容量/容量(5mL)中の2-(4-クロロフェニル)-6-ニトロ-2H-インダゾール(103mg、0.37mmol)に、室温で塩化アンモニウム(40mg、0.75mmol)を加えた。混合物を80℃で加熱し、鉄粉(105mg、1.87mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で3時間攪拌した。冷却後、Celite(登録商標)のパッドを通して溶液を濾過し、テトラヒドロフランで洗浄した。溶媒を蒸発させた後、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させて、標題化合物84mg(92%)を得た。
【0080】
(方法9:化合物VIII)
N-(2-(4-クロロフェニル)-2H-インダゾール-6-イル)イソブチルアミド
2-(4-クロロフェニル)-2H-インダゾール-6-アミン(84mg、0.34mmol)のピリジン(5mL)溶液に、室温で塩化イソブチリル(43μL、0.41mmol)を加えた。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。酢酸エチルを加え、有機層を飽和硫酸銅水溶液で2回、続いてブライン及び水で洗浄した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル:ヘキサン類25:75容量/容量で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物11mg(10%)を得た(LCMS RT=6.38分、MH+314.2)。
1H NMR(DMSO):10.14(1H,s),9.24(1H,d,J 0.8 Hz),8.42-8.40(1H,m),8.31(2H,d,J 9.0 Hz),7.89(1H,dd,J 9.1 0.7 Hz),7.85(2H,d,J 8.9 Hz),7.36(1H,dd,J 9.0 1.6 Hz),2.90-2.81(1H,m),1.34(6H,d,J 6.8 Hz)
【0081】
(方法10:化合物IX)
2-(4'-クロロフェニル)-6-(イソプロピルスルホニル)-2H-インダゾール
窒素下乾燥シュレンクフラスコに、2-(4-クロロフェニル)-6-(メチルスルホニル)-2H-インダゾール(200mg、0.65mmol)及び乾燥テトラヒドロフラン(9mL)を加えた。次いで溶液を-78℃に冷却し、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.72mL、0.72mmol)を加えた。反応物を-78℃で1時間攪拌を続け、次いでヨウ化メチル(81μL、1.31mmol)を加えた。溶液を室温に16時間加温した。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を溶液に加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル:ヘキサン類1:2容量/容量で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物20mg(9%)を得た(LCMS RT=6.53分、MH+335.2)。
1H NMR(DMSO):9.37(1H,d,J 0.9 Hz),8.29-8.27(1H,m),8.18(2H,d,J 9.0 Hz),8.07(1H,dd,J 8.8 0.8 Hz),7.72(2H,d,J 9.0 Hz),7.49(1H,dd,J 8.8 1.6 Hz),3.58-3.48(1H,m),1.20(6H,d,J 6.8 Hz)
【0082】
表2に記載した化合物は、上述した方法と同様の方法により、又は当業者に知られているか又は適応される文献方法により調製できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】なし
【図2】なし
【図3】なし
【図4】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)若しくは(II)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩の使用であって、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー又は悪液質の治療的及び/又は予防的処置のための薬物の製造における前記使用:
【化1】

(式中、
同一又は異なり得るA1、A2、A3、A4及びA5は、N又はCR1を表し、
R9は-L-R3(Lは単結合又はリンカー基であり、R3は水素又は置換基を表す)を表し、
さらに、
A1〜A4の隣接する1対がそれぞれCR1を表す場合、これらの隣接する炭素原子は、それらの置換基と一緒になって環Bを形成でき、
A5がCR1を表す場合、A5及びN-R9は、それらの置換基と一緒になって環Cを形成できる。)。
【請求項2】
式1の化合物におけるR3がアルキル、アルコキシ又はアリールを表し、それぞれは同一又は異なり得る1〜3個の置換基R2により場合によって置換されている、請求項1記載の使用。
【請求項3】
A5がNを表す請求項1記載の式I又は請求項1記載の式IIの化合物の使用:
(式中、
Lは単結合であり、R3は、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているO-アリール若しくはチオアリール、
場合によって置換されているアリール、
ヒドロキシル、
NR10R11
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
を表し、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R16及びR17は、水素、場合によって置換されているアリールによって場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
R10及びR11は、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12は、NR10R11と同一の意味を有することができ、
同一又は異なり得るR16及びR17はそれぞれ、
1種以上のハロゲン、アルコキシにより場合によって置換されているアリール若しくは場合によって置換されているアリールにより置換されているアルキル、
場合によって置換されているアリールオキシ、
アリール又はNR10R11を表すことができ、
R16又はR17がNR10R11を表す場合、R10及びR11の一方は、場合によって置換されているCOアルキル又は場合によって置換されているCOアリールをさらに表すことができ、
R17と共用される定義の他に、R16はヒドロキシルを表すことができる);
又はA5がCHを表す請求項1記載の式IIの化合物の使用:
(式中、
Lは単結合であり、R3は、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているチオアリール、
場合によって置換されているアリール、
ヒドロキシル、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
OC(=W)NR10R11
NR15C(=W)R17
を表し、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、水素、場合によって置換されているアリールによって場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
R10及びR11は、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12は、NR10R11と同一の意味を有することができ、
同一又は異なり得るR16及びR17はそれぞれ、
1種以上のハロゲン、アルコキシにより場合によって置換されているアリール若しくは場合によって置換されているアリールにより置換されているアルキル、
場合によって置換されているアリールオキシ、
アリール又はNR10R11を表すことができ、
R16又はR17がNR10R11を表す場合、R10及びR11の一方は、場合によって置換されているCOアルキル又は場合によって置換されているCOアリールをさらに表すことができ、
R17と共用される定義の他に、R16はヒドロキシルを表すことができる。)。
【請求項4】
同一又は異なり得るR1及びR2が、
1個以上のハロゲン、アルコキシ又は場合によって置換されているアリール、チオアリール若しくはアリールオキシにより場合によって置換されているアルキル、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているアルコキシ、
ヒドロキシル、
OC(=W)NR10R11
アリール、
アルキル若しくは場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているチオアルキル、
そのアリールが場合によって置換されているチオアリール、
NO2
CN、
NR10R11
ハロゲン、
SO2R12
NR13SO2R14
C(=W)R16
NR15C(=W)R17
P(=O)OR40R41
を表すことができ、
同一又は異なり得るR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R40及びR41が、水素、場合によって置換されているアリールにより場合によって置換されているアルキル、場合によって置換されているアリールを表し、
さらに、
NR10R11が、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成でき、
R12が、NR10R11と同一の意味を有することができ、
R17がNR10R11を表す場合、そのNR10R11が、水素、COアルキル及びCOにより場合によって置換されているアリールを表すことができ、
R16が、ヒドロキシ、アルコキシ又はNR10R11を表すことができ、
R17が、1種以上のハロゲンにより置換されているアルキル、アルコキシ、場合によって置換されているアリール又はNR10R11を表すことができる、請求項2記載の使用。
【請求項5】
A5がNを表す請求項1記載の式I又は請求項1記載の式IIのいずれかの化合物の使用:
(式中、
Lは、
O、S又はNR18
アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(それぞれは、1個以上のO、S、NR18、又は1個以上のC-C単結合、二重結合若しくは三重結合により場合によって割込まれていてもよい)
であるリンカー基を表し、
R18は、水素、アルキル、COR16を表す)、
又はA5がCHを表す請求項1記載の式IIの化合物の使用:
(式中、
Lは、
O、S、NR18
アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(それぞれは、1個以上のO、S、NR18、又は1個以上のC-C単結合、二重結合若しくは三重結合により場合によって割込まれていてもよい)、
-N-N-単結合若しくは二重結合
であるリンカー基を表し、
R18は、水素、アルキル、COR16を表す。)。
【請求項6】
いずれかの置換基がアルキルを表す場合、アルキルが飽和しているものであり、炭素原子1〜10個を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項7】
アリールが、芳香族炭化水素又は、炭素の他に環構成成分として酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員芳香族複素環である、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項8】
アリールが、フェニル又はナフタレンである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項9】
アリールが、フラン、チオフェン、ピロール又はピリジンである、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項10】
環B又は環Cが、飽和若しくは不飽和3〜10員炭素環又は複素環である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項11】
環Bが、ベンゼン環である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項12】
環Cが、3〜10員飽和又は不飽和炭素環である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項13】
少なくとも1つのR1がNR15C(=W)R17を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項14】
少なくとも1つのR1がNR15C(=O)R17を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項15】
少なくとも1つのR1がCONR10R11を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項16】
少なくとも1つのR1がNHCOR17を表し、ここで、R17が、
アルキルC1〜C6
フェニルにより置換されているアルキルC1〜C6
アルコキシC1〜C6により置換されているアルキルC1〜C6
ハロアルキルC1〜C6
ペルフルオロアルキルC1〜C6
1種以上のハロゲン、アルキルC1〜C6、アルコキシC1〜C6、アミノ、(アルキルC1〜C6)アミノ、ジ(アルキルC1〜C6)アミノ若しくはフェニルにより場合によって置換されているフェニル、
CH:CHフェニル、
ナフチル、ピリジニル、チオフェニル及びフラニル
から選択される、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項17】
R1及びR2の一方又は両方が、-COOH以外である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項18】
少なくとも1つのR1がNR15CONR10R11を表し、ここで、同一又は異なり得るR10及びR11が、場合によって置換されているアリール、アルキル及び場合によって置換されているCOアリールから選択される、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項19】
少なくとも1つのR1が、NHCONHR15を表し、R15が、フェニル、アルキルC1〜C6及び1種以上のハロゲンにより場合によって置換されているCOフェニルから選択される、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項20】
少なくとも1つのR1が、フェニルにより場合によって置換されているアルキルC1〜C6、又はN、S及びOから選択されるヘテロ原子1〜2個を含有することが好ましい4〜7員、好ましくは5若しくは6員の飽和若しくは不飽和複素環を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項21】
少なくとも1つのR1がCOR16を表し、R16が、アルコキシC1〜C6、アミノ、(アルキルC1〜C6)アミノ又はジ(アルキルC1〜C6)アミノを表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項22】
少なくとも1つのR1が、
NO2
ハロゲン、
アミノ、或いはアルキルC1〜C6がフェニル又は5若しくは6員飽和若しくは不飽和複素環により場合によって置換されている(アルキルC1〜C6)アミノ又はジ(アルキルC1〜C6)アミノ、
NHSO2アルキルC1〜C6、NHSO2フェニル、
SO2アルキルC1〜C6
C1〜C6アルコキシC1〜C6により場合によって置換されているフェニル、
N、S及びOから選択されるヘテロ原子1〜3個を含有する5〜10員飽和若しくは不飽和単環若しくは二環式複素環
を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項23】
R3がアリールを表し、同一又は異なり得る1〜3個の置換基R2により場合によって置換されている、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項24】
R3が、5〜10員芳香族単環又は二環系である、請求項22記載の化合物の使用。
【請求項25】
前記芳香族系が、炭化水素である、請求項23記載の化合物の使用。
【請求項26】
前記芳香族炭化水素が、ベンゼン又はナフタレンである、請求項24記載の化合物の使用。
【請求項27】
前記芳香族系が、N、O及びSから選択される、同一又は異なり得るヘテロ原子3個までを含有する複素環系である、請求項23記載の化合物の使用。
【請求項28】
前記複素環系が、チオフェン、フラン、ピリジン又はピロールである、請求項27記載の化合物の使用。
【請求項29】
前記置換基R2が、
それぞれハロゲンにより場合によって置換されているチオフェニル又はフェノキシにより場合によって置換されているアルキルC1〜C6
アルコキシC1〜C6
フェニル、
チオアルキルC1〜C6
ハロゲンにより場合によって置換されているチオフェニル、
NO2
CN、
NR10R11(式中、同一又は異なり得るR10及びR11は、水素、アルキルC1〜C6を表し、又はそれらが結合している窒素と一緒になって、N、O及びSから選択される1個以上のさらなるヘテロ原子を含有できる5〜7員環を形成する)、
ハロゲン、
SO2R12(式中R12は、N、O及びSから選択される1個以上のさらなるヘテロ原子を含有できる5〜7員環を表す)、
NHCOR17(式中R17は、
アルキルC1〜C6(場合によって、
フェニル若しくはハロゲン、又は
アルコキシC1〜C6、カルボキシ若しくはハロゲンにより場合によって置換されているフェニル、又は
5若しくは6員飽和若しくは不飽和複素環
により置換されている)、
ハロゲン、アルコキシC1〜C6、カルボキシ若しくは基SO2NR10R11により場合によって置換されているフェニル又は5若しくは6員飽和若しくは不飽和複素環
を表す)
から選択される、請求項2記載の化合物の使用。
【請求項30】
NR10R11が、N-ピロール、N-ピペリジン、N'(C1〜C6)アルキルNピペラジン又はN-モルホリンを表す、請求項29記載の化合物の使用。
【請求項31】
A5がCHを表す請求項1記載の式IIの化合物の使用:
(式中、
Lが、
-NH.NH-、
-CH=CH-、
-C≡C-又は
-NCOR16(式中R16は、ハロゲン、アルコキシC1〜C6、カルボキシにより場合によって置換されているフェニル又は5若しくは6員飽和若しくは不飽和複素環を表す。)。
【請求項32】
A1〜A4のうち2つが窒素を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項33】
A1〜A4のうち1つが窒素を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項34】
すべてのA1〜A4がCR1を表す、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項35】
請求項1記載の、表1に示す化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−526035(P2009−526035A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553835(P2008−553835)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050056
【国際公開番号】WO2007/091107
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508242654)スムミト コーポレーション ピーエルシー (3)
【Fターム(参考)】