説明

デュロキセチンの調節放出型の投与製剤

本発明は、デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩、製薬学的に許容されるポリマー担体、溶解性向上剤、疎水性成分、流体力学的拡散向上剤、粘化剤、及び製薬学的に許容される賦形剤を含む均質な核;前記核上の腸溶コーティング;並びに前記核と腸溶コーティングとの間の障壁層を含む、デュロキセチンの調節放出型の投与形態を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物の調節放出型の投与製剤に関する。一日に一回の経口投与について調節又は持続又は延長された放出を示す前記投与形態は、通常一日に二回投与されるデュロキセチンの従来の遅延放出型製剤より良好な血漿濃度の調節を与え、それにより安全性の改善又はより低い副作用の発生率、及び許容性を与える。
【背景技術】
【0002】
約三分の一の患者は、一ヶ月以内に突然抗鬱剤治療を中止し、44%の患者は三ヶ月以内に治療を中止することがデータに示されている。抗鬱剤の中止の理由は、調節され、ランダムに割り当てられた臨床試験で広範に試験されてはいないが、この種の投薬を処方された患者について最も多く報告された障壁の1つは明らかに、不快な副作用である。乏しい許容性、特に治療の初期の段階における乏しい許容性が、患者による中断の高い発生率と関連している。鬱病の治療において非常に大きな発展が為されているが、改善の余地が未だに存在する。抗鬱剤治療が実質的に改善される必要がある領域の1つが、許容性である。乏しい許容性、特に治療経過の初期における乏しい許容性が、治療の中断のより高い発生率を生じさせ、治療を厳守しないことが、鬱病治療の最終目標である持続的な寛解に対する障害である。
【0003】
経口薬投与後の血漿薬剤濃度の鋸歯状のパターンが、非許容性又は多数の抗鬱剤の頻繁な投与を誘導する最大(ピーク)時の有害な事象及び最小(トラフ)時の治療効果の損失と関連する。投薬の非遵守は無応答の主な決定因子であるため、経口投与用即時放出型製剤の薬物動態の欠点を失くすことを目的とする薬剤の再製剤化が活発に探求されている(C. D. Kilts, Potential new drug delivery systems for antidepressants: An overview; J. Clin. Psychiatry, 2003, 64 (Suppl 18), pp. 31-33)。
【0004】
抗鬱剤の調節放出型製剤は、治療経過の初期(治療の中断の重大な期間)において副作用を低減することによって許容性を改善する能力を有する。即時放出型製剤に伴うピーク時の血漿薬剤濃度を低減させることによって、調節放出型製剤の副作用は多くの場合により許容される程度まで低減され得る。
【0005】
大半の抗鬱剤は同様な応答速度を有するが、調節放出型製剤は、抗鬱剤の即時放出型製剤に一般的に関連する許容性の問題を有する患者のための実用的な代替物であルカ脳性がある。ベンラファキシンXR(米国特許6,419,958号)及びブプロピオンSRのような薬剤は経時的に遅く放出され、必要な投与量を低減し、且つ、安全性を増大する。遅延放出型(XR)のベンラファキシン、持続放出型(SR)のブプロピオン (米国特許6,589,553号)、及び調節放出型(CR)のパロキセチン(米国特許6,548,084号)は、抗鬱剤治療に関連する副作用の幾つかを低減する実証された有効性を有する抗鬱剤の製剤の例である。調節放出型のパロキセチン(パロキセチンCR)は、腸溶コーティングと遅延放出とを組み合わせて、吐き気を低減し、全体的な許容性を改善している。調節放出型の抗鬱剤の製剤を服用している患者についての副作用における低減は、治療の遵守を改善し、それにより良好な治療結果を達成する可能性がある。
【0006】
持続された放出、延長された放出、又は長期の放出を可能にする経口薬剤送達系のための投与形態は、多くの場合、即時放出型製剤よりも高用量の有益な物質を含有し、典型的にはその投与形態から送達される有益な物質のより均一な吸収を生じるように設計される。その様な投与形態は、本明細書において「調節放出型」の投与形態と総称する。
【0007】
各種のその様な調節放出型製剤が当該技術分野において良く知られている。例えば、有益な物質は、薬剤の放出速度を調節するポリマーで被覆される核粒子、ビーズ、又は錠剤に含まれて良い。放出機構は、非多孔性のコーティングによる薬剤の拡散、多孔性のコーティングによる薬剤の拡散、コーティングによる水の流入によって調節される薬剤の浸透圧ポンプ、核の賦形剤の膨潤によるコーティングの送達口からの核成分の噴出、マトリックスからの拡散、マトリックスからの浸食、又はこれらの機構の組み合わせを含む。膜による被覆は、多孔性であるか又は非多孔性であって良く、被覆工程の間又は後に形成されか或いは使用環境において形成される送達口を含有して良い。例示的な調節放出型の送達系は、米国特許第5,616,345号、米国特許第5,637,320号、米国特許第5,505,962号、米国特許第5,354,556号、米国特許第5,567,441号、米国特許第5,728,402号、米国特許第5,458,887号、米国特許第5,736,159号、米国特許第4,801,461号、米国特許第5,718,700号、米国特許第5,540,912号、米国特許第5,612,059号、米国特許第5,698,220号、米国特許第4,285,987号、米国特許第4,203,439号、米国特許第4,116,241号、米国特許第4,783,337号、米国特許第4,765,989号、米国特許第5,413,572号、米国特許第5,324,280号、米国特許第4,851,228号、米国特許第4,968,507号、及び米国特許第5,366,738号に開示されている。
【0008】
米国特許第6,548,084は、腸溶コーティングと遅延放出とを組み合わせた放出調節型パロキセチン製剤を開示している。US2005/0042277は、製薬学的な活性剤、例えば、ベンズイミダゾール型の化合物を、崩壊剤、核の周囲の膨潤可能なコーティングと共に含み、腸溶コーティングが前記膨潤可能なコーティングの周囲にある医薬品の投与形態を開示している。
【0009】
米国特許第6,482,440は、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、ネファゾドン、ベンラファキシン、トラゾドン、ミルタザピン、フルボキサミン、又はこれらの化合物の製薬学的に許容される塩、これらの化合物の長鎖誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される抗鬱剤化合物を含む、長期作用型の微粒子製剤を開示している。
【0010】
塩酸デュロキセチンは、二重作用(dually acting)セロトニンであり、且つ、非アドレナリン再取込みインヒビターであって、大鬱病、女性の腹圧性尿失禁、及び有痛性dialectic神経障害の治療について認可されている。デュロキセチンの遅延放出型カプセル剤は、米国及び欧州では、大鬱病及び糖尿病性神経痛における使用について認可されており、さらに欧州では失禁についても認められている。
【0011】
しかしながら、塩酸デュロキセチンの従来の即時放出型製剤(Cymbalta社によって市販されている)は非常に高い副作用のリスクと関連していることが関心事となっている。事実、大鬱病における塩酸デュロキセチンを使用するその様な長期の試験の1つでは(Study FlJ -MC-HMAU available at http://www.lillvtrials.com/results files/cymbalta/cymbalta summary 4092.pdf)、試験に参加した患者の17.0%(1279人中218人)もの人が、吐き気、傾眠、及び嘔吐という最大の悪性の事象による副作用のため中断した。さらに、この試験に参加した患者の91.4%(1279人中1169人)もの人が、試験の経過の間に、1つ又は複数の治療による少なくとも1つの副作用を感じた。この試験に参加した患者の8.6%(1279人中110人)のみが、試験の経過全体に亘って、治療に関連する副作用を感じなかった。
【0012】
また、図らずも、患者の約三分の一(厳密には34.0%(1279人中435人))において報告された、最も一般的に報告された治療による副作用が吐き気であり、続いて31.3%(1279人中400人)の患者における不眠症及び30.4%(1279人中389人)の患者における頭痛である。
【0013】
同様に、塩酸デュロキセチンの従来の即時放出型製剤によるその様な副作用の高発生率が、他の臨床栄研において報告されている[(a) Safety and tolerability of duloxetine in the treatment of major depressive disorder: analysis of pooled data from eight placebo-controlled clinical trials; Hudson JI, Wohlreich MM, Kajdasz DK, Mallinckrodt CH, Watkin JG, Martynov OV, Hum Psychopharmacol. 2005 May 24; (b) Incidence and duration of antidepressant-induced nausea: duloxetine compared with paroxetine and Fluoxetine, Greist J, McNamara RK, Mallinckrodt CH, Rayamajhi JN, Raskin, J. Clin Ther., 2004 Sept;26(9): 1446-55; (c) Efficacy, safety and tolerability of duloxetine 60 mg once daily in major depression. Cowen PJ, Ogilvie AD, Gama J., Curr Med Res Opin. 2005 Mar; 21(3):345-56; (d) Efficacy and tolerability of Duloxetine, a novel dual reuptake inhibitor, in the treatment of major depressive disorder. Schatzberg AF, J CHn Psychiatry. 2003;64 Suppl 13:30-7]。
【0014】
事実、大鬱病の急性期治療におけるデュロキセチンとパロキセチンとの比較臨床試験(Study FlJ-MC-HMAT available at http://www.lillytrials.com/results files/cymbalta/cvmbalta summary 409 lb.pdf)において、デュロキセチンを採用する患者の吐き気の発生率は22.1%から25.3%であるのに対し、パロキセチンを採用する患者の16.1%及びプラセボを採用する2.2%において報告され、頭痛については、デュロキセチンを採用する患者の14.0%から18.7%において報告されたのに対し、パロキセチンを採用する患者では11.5%及びプラセボを採用する患者では11.2%において報告され、並びに不眠症については、デュロキセチンを採用する患者では17.4%から19.8%において報告されたのに対し、パロキセチンを採用する患者では8.0%及びプラセボを採用する患者では5.6%において報告された。
【0015】
デュロキセチンカプセル剤の推奨用量は、食事の時間と関係なく40mg/日(20mg BIDとして与えられる)から60mg/日(一日一回又は30mg BIDとして与えられる)である。60mg/日を超える用量がさらなる利益を与えるという証拠は存在しない。
【0016】
デュロキセチンは、酸性環境下(胃のpH)で不安定である。デュロキセチンカプセル剤の治療的な投与では、薬剤放出が、腸溶コーティングによって2から3時間遅延される。
【特許文献1】米国特許6,419,958号
【特許文献2】米国特許6,589,553号
【特許文献3】米国特許6,548,084号
【特許文献4】米国特許第5,616,345号
【特許文献5】米国特許第5,637,320号
【特許文献6】米国特許第5,505,962号
【特許文献7】米国特許第5,354,556号
【特許文献8】米国特許第5,567,441号
【特許文献9】米国特許第5,728,402号
【特許文献10】米国特許第5,458,887号
【特許文献11】米国特許第5,736,159号
【特許文献12】米国特許第4,801,461号
【特許文献13】米国特許第5,718,700号
【特許文献14】米国特許第5,540,912号
【特許文献15】米国特許第5,612,059号
【特許文献16】米国特許第5,698,220号
【特許文献17】米国特許第4,285,987号
【特許文献18】米国特許第4,203,439号
【特許文献19】米国特許第4,116,241号
【特許文献20】米国特許第4,783,337号
【特許文献21】米国特許第4,765,989号
【特許文献22】米国特許第5,413,572号
【特許文献23】米国特許第5,324,280号
【特許文献24】米国特許第4,851,228号
【特許文献25】米国特許第4,968,507号
【特許文献26】米国特許第5,366,738号
【非特許文献1】Safety and tolerability of duloxetine in the treatment of major depressive disorder: analysis of pooled data from eight placebo-controlled clinical trials; Hudson JI, Wohlreich MM, Kajdasz DK, Mallinckrodt CH, Watkin JG, Martynov OV, Hum Psychopharmacol. 2005 May 24
【非特許文献2】Incidence and duration of antidepressant-induced nausea: duloxetine compared with paroxetine and Fluoxetine, Greist J, McNamara RK, Mallinckrodt CH, Rayamajhi JN, Raskin, J. Clin Ther., 2004 Sept;26(9): 1446-55
【非特許文献3】Efficacy, safety and tolerability of duloxetine 60 mg once daily in major depression. Cowen PJ, Ogilvie AD, Gama J., Curr Med Res Opin. 2005 Mar; 21(3):345-56
【非特許文献4】Efficacy and tolerability of Duloxetine, a novel dual reuptake inhibitor, in the treatment of major depressive disorder. Schatzberg AF, J CHn Psychiatry. 2003;64 Suppl 13:30-7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、デュロキセチン、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物の調節放出型の投与製剤を提供する。前記投与形態は、調節若しくは持続、又は延長された放出を示し、一日一回経口投与される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1つの実施態様では、デュロキセチン、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は水和物の、一日一回の経口投与のための調節放出型の投与形態が提供され、前記投与形態は調節、持続、又は延長された放出プロフィールを示す。
【0019】
他の実施態様によれば、本発明は、デュロキセチン、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物の調節放出型の投与形態を開示し、前記投与形態は、調節、持続、又は延長された放出を示し、滑らかな時間に対する薬剤血漿濃度のプロフィールが得られ、それによって一日複数回投与して得られるよりも厳密な血漿治療域の調節を可能にする。換言すると、本発明は、従来の遅延放出型デュロキセチン製剤を使用する1日に多数回の投与によって誘導される血清薬剤濃度における鋭いピーク及びトラフ(山と谷)を除くための方法を提供する。
【0020】
本発明の更なる実施態様は、従来の遅延放出型製剤よりも良好で安全なプロフィール及び許容性を有する、デュロキセチン、又はその製薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物の調節放出型の投与形態を開示する。
【0021】
本発明の他の実施態様では、より良好な患者の服用遵守を生じさせる可能性がある、一日一回投与するデュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩の調節放出型の投与形態が開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、一日一回投与されるデュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩の調節放出型の投与形態に関するものであり、前記投与形態は、血漿濃度の良好な制御を与える調節、持続、又は延長された放出を示し、それによって安全性及び許容性の改善、又は通常一日に二回投与される従来の遅延放出型製剤よりも低い副作用の発生率を与える。
【0023】
本発明によれば、本明細書で使用するデュロキセチンは、塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、及びリン酸;並びに酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ン、シクラミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、及びパモン酸から選択される有機酸のような酸付加塩、好ましくは塩酸との塩の形態であっても良い。
【0024】
本発明によれば、デュロキセチンの調節放出型の投与形態は、デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩、製薬学的に許容されるポリマー担体、溶解度向上剤を含む。前記デュロキセチンの調節放出型の投与形態は、疎水性成分、流体力学的拡散向上剤、粘化剤(viscolyzing agent)、及び製薬学的に許容される賦形剤を更に含む。前記調節放出型の投与形態は、腸溶コーティング物質でさらに被覆される。本発明の調節放出型の投与形態は、デュロキセチンを含有する核と腸溶層との間に障壁層を任意に含む。
【0025】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の調節放出型製剤は、腸溶コーティングによって覆われている均質な核を含む。前記均質な核は、
1.デュロキセチン、又はその製薬学的に許容される塩、好ましくは塩酸デュロキセチン、
2.製薬学的に許容されるポリマー担体又は担体としてのポリマーの混合物、
3.溶解度向上剤又は溶解度向上剤の混合物、
4.任意に、疎水性成分、
5.任意に、流体力学的拡散向上剤、
6.任意に、粘化剤、
7.任意に、他の製薬学的に許容される賦形剤、例えばバインダー、フィラー又は希釈剤、及び潤滑剤
を含む。
【0026】
デュロキセチンを含有する核と腸溶コーティングとの間の障壁層は必要ではないが、好ましくは前記製剤中に存在する。必要な場合には、分離層の機能は、腸溶層の適用のための滑らかな下地を提供するため、酸性条件に対する錠剤の耐性を持続させるため、前記薬剤と腸溶層中の腸溶ポリマーとの間の相互作用を阻害して安全性を改善するため、並びに前記薬剤を光への曝露から適切な薬剤(例えば、遮蔽剤など)を用いて保護して安定性を改善するためのものである。前記障壁層は、核と腸溶層とが互いに直接接触させないようにする。前記障壁層は、製品の混合物に溶解している核又は腸溶層成分の移動に対する拡散障壁として作用させるために使用しても良い。
【0027】
製薬学的に許容される糖が前記分離層に添加される際は、酸条件に対する耐性が顕著に増大することが報告されている(米国特許出願第5,508,276号)。したがって、その様な糖が、前記障壁コーティング混合物の一部として溶解されるか又は粉末として、前記錠剤に適用される分離層に含まれて良い。
【0028】
一般的には、前記障壁層は、合着性物質又はポリマー物質、及び微細な粉末状の固体賦形剤であってフィラーを構成するものからなる。前記分離層における糖の量は、前記投与形態の2重量%から約10重量%の範囲であって良い。
【0029】
糖が使用される際は、ポリマー又は他の粘着性物質の量は、約0.1から約5%の範囲であって良い。タルクのようなフィラーの量は、最終製品の重量に基づいて約5重量%から約15重量%の範囲であるべきである。
【0030】
核を覆う腸溶コーティング物質は、
1.酸に耐性を有するが腸内のpHにおいて可溶性である、腸溶ポリマー又は腸溶ポリマーの混合物、
2.可塑剤又は可塑剤の混合物、
3.着色剤、
4.不透明化剤、
5.抗接着剤
の成分の幾つかの混合物を含む。
【0031】
本発明のデュロキセチンの調節放出型の投与形態は、胃において薬剤を放出せず、胃液が、腸溶コーティングによって核内に浸入できない。したがって、胃における薬剤放出は予期されない。
【0032】
前記投与形態が腸に到達して、pHが5.5より大きくなると、前記腸溶コーティングは溶解し始め、ポリマー担体中の薬剤の核が腸の流動体に曝露される。前記投与形態は、ポリマーの拡散、溶解、及び浸食機構による調節された速度で腸内において薬剤を放出し始め、そのプロセスは長期に亘って生じる。前記投与形態は投与間隔(24h)内で完全に侵食され溶解し、それによって腸内での完全な薬剤放出を確実にする。
【0033】
本発明は、薬剤送達系において使用する成分の特定の要素又は濃度に制限されない。
【0034】
本発明によれば、ポリマー担体は、ホモポリサッカリド又はヘテロポリサッカリドであって良く、好ましくは、キサンタンガム、イナゴマメガム、プロピレングリコールエステル、ガラクトマンナン、グルコマンナン、グァーガム、アカシアガム、トラガカントガム、アルカリ金属カラギーネート、アルギネート、セルロースアルキルカルボキシレート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロースアルキルカルボキシレートのアルカリ金属塩、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド、ゲランガム、アルギネート塩、天然ポリサッカリド、アラビカガム、及びそれらの組み合わせ;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなど又はそれらの混合物;エチレン/ビニルアルコールコポリマー;エチレンマレイン無水コポリマー;ポリアクトン、例えばポリ(カプロラクトン)など;ポリ無水物、例えば、ポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン無水物]、ポリ(テレフタル酸無水物)など、又はそれらの混合物;ポリビニルピロリドン;ポリエステル、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ベタヒドロキシ酪酸)など、ポリアミド、及びポリペプチド、例えば、ポリリジン、ポリグルタミン酸など;ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド、Polyox.RTM(Union Carbide, Danbury, Conn.)という商品名で市販されているものからなる群から選択される
【0035】
本発明によれば、溶解度向上剤は、(i)錯化によって医薬の結晶形成又は他の作用を阻害する薬剤;(ii)高度なHLB(親水性-親油性バランス)のミセル形成界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤;(iii)クエン酸エステル;(iv)ステアリン酸塩;又はそれらの組み合わせ、特にアニオン性界面活性剤と錯化剤との組み合わせから選択されて良い可溶化剤である。錯化によって医薬の結晶形成又は他の作用を阻害する薬剤の例としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(特に、PEG8000)、α、β、又はδシクロデキストリン及び他の修飾シクロデキストリン、ゼラチン、マルトデキストリン、ソルビトール、及びポリグリセリル混合植物性脂肪酸エステルが含まれる。
【0036】
高度なHLBのミセル形成界面活性剤には、非イオン性及び/又はアニオン性界面活性剤が含まれ、Tween 20、Tween 60、又はTween 80、Gelucire 44/14、及びLabrasol;ポリオキシエチレン若しくはポリエチレン含有界面活性剤、又は他の長鎖アニオン性界面活性剤、特にナトリウムラウリルスルフェート、又はそれらの混合物から選択される。
【0037】
クエン酸エステル誘導体は、アルキルエステル、好ましくはクエン酸トリエチルを含む。ステアリン酸塩は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸亜鉛を含む。これらの種類の非膨潤可溶化剤の組み合わせが特に効果的である。
【0038】
本発明によれば、疎水性成分は、ワックス、エチルセルロース、メタアクリレートポリマー、ステアレート、セルロースエステル、セルロースエーテル、及びセルロースエステル-エーテルを含む。これらの物質は、セルロースアシレート、セルロースエチルエーテル、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジ、若しくはトリセルロースアルカン、モノ、ジ、若しくはトリセルロースアロイルなど、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0039】
本発明によれば、流体力学的拡散向上剤は、ゲランガム、デンプン、粘土、セルロース、セルロース誘導体、アルギネート、クロスポビドン(ポリプラスドンRTM及びポリプラスドンRTM.XL(ISP, Wayne、N.J.))、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol.RTM., FMC Corp., Philadelphia, Pa.)、ナトリウムデンプングリコレート(Explotab, RTM, Penwest, Patterson, N.Y.)、並びにそれらの組み合わせを含む群から選択されて良い。水を引き出すことによって、膜を通じて拡散する水の速度を増大し、次いでこの水を吸収し、膨潤して、その体積を増大し、内部に流体力学的圧力を生じさせるという固有の能力を有する任意の賦形剤が、流体力学的拡散向上剤として作用することが可能であり、本発明の医薬組成物の適切な流体力学的拡散向上剤であろう。
【0040】
粘化剤は、胃腸管の流動体と接触して即時に粘化し、水性媒体中で攪拌された際に錠剤の完全性を維持して、低濃度であっても薬剤の放出を維持する。好ましくは、前記粘化剤は、炭水化物ガムを含む。本発明で使用して良い炭化水素ガムの例としては、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、及びアカシアなどが含まれる。
【0041】
バインダーは、圧縮錠剤を製造するように顆粒を形成するために圧縮するのに代えて、粘着性物質と共に粉末混合物を固めるために利用され得る、任意の製薬学的に許容される皮膜形成剤であって良い。これらのポリマーは、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、及びマルトデキストリンなど、又はそれらの混合物を含む。
【0042】
用語「希釈剤」は、製剤の調製時に所望の体積、流動特性、及び圧縮特性を生じさせるフィラーとして使用される不活性物質を意味することを意図する。その様な化合物は、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、デンプン、スクロース、マンニトール、ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース、沈殿炭酸カルシウム、ソルビトール、及びデンプンなど、又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限らない。
【0043】
潤滑剤及び流動促進剤は、ステアリン酸、タルク、ワックス、ステアリン酸塩、ステアリン酸誘導体、ナトリウムステアリルフマレート、トウモロコシデンプン、シリカ誘導体、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0044】
pH感受性物質又は腸溶ポリマーは一般的には、pH3.0、好ましくは5.5より高いpHに到達するまで崩壊せず、活性薬剤の放出を開始しない。本発明の腸溶又はpH感受性コーティングに使用し得る腸溶又はpH感受性ポリマーは、1:1の比のEudragit L(ポリ(メタクリル酸メチルメタクリレート)) (MW No. Av. 135,000--USP Type A)又は1:2の比のEudragit S(ポリ(メタクリル酸メチルメタクリレート))(MW No. Av. 135,000--USP Type B)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、及びポリビニルアセテートフタレートなど、又はそれらの混合物を含む群から選択されて良い。
【0045】
本発明において使用され得る可塑剤は、送達装置のポリマーコーティングに一般的に組み込まれる全ての物質を含む。本発明の膜において使用され得る可塑剤は、単独物又は混合物として、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、プロピレングリコール、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、イソプロピルフタレート、ジメチルフタレート、ダクチル(dactyl)フタレート、ジブチルセバケート、ジメチルセバケート、ヒマシ油、グリセロールモノステアレート、及びヤシ油などから選択されて良い。適切な可塑剤は、例えば、低分子量のポリマー、オリゴマー、コポリマー、油、有機低分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステルタイプの可塑剤、グリコールエステル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、低分子量ポリ(エチレングリコール)、クエン酸エステルタイプの可塑剤、トリアセチン、プロピレングリコール、及びグリセリンも含むが、それらに限らない。その様な可塑剤は、単独物又は混合物として、エチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及び他のポリ(エチレングリコール)化合物、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクテート、エチルラクテート、ブチルラクテート、エチルグリコレート、ブチルラクテート、エチルグリコレート、ジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、並びにアリルグリコレートも含んで良い。
【0046】
本発明の製剤は、錠剤、カプセル剤、ペレット剤、顆粒剤、マイクロタブレット、又はミニタブレットなどの経口投与形態であって良い。好ましくは、前記製剤は、錠剤に圧縮されるか、又は顆粒化されてカプセル剤に充填される。
【0047】
「ミニタブレット」は、2mmから4mmの直径の範囲の大きさの錠剤としての、ペレット剤に基づく多粒子投与形態の代替物である(英国特許第2:176999号)。ミニタブレットは、従来技術において報告されている既知の技術によって調製されて良い。このミニタブレットは、ペレット剤を充填するために用いるものと同じ方法及び装置を用いてカプセルに充填されて良い。本研究では、ミニタブレットを用いて、小腸の領域であって良い吸収部位からの薬剤の吸収を増大させる。ミニタブレット内に存在する際に、薬剤は、カプセル内の複数単位投与形態として投与される。ミニタブレットは、薬剤を含有する核、障壁コーティング、及び上述の腸溶層からなる。
【0048】
本発明のデュロキセチンの調節放出型製剤は、以下の特性:
1.一日一回の調節された放出用量を用いて、単回又は複数回の用量の即時放出型製剤と同じか又は低いデュロキセチンの曝露(AUC0-t及びAUC0-α)を提供する。
2.各種のpH条件下のin vitro溶解試験においてより低速で放出する。
3.ヒトを含む哺乳動物の胃腸管においてより低速で放出する。本発明のデュロキセチンの調節放出型製剤はより低い最大血漿濃度(Cmax)を有し、デュロキセチンの即時放出型の投与形態(Cymbalta)と比較してより遅い時間(より大きなTmax)で、これを達成するであろう。
4.デュロキセチンの即時放出型製剤と比較して、本発明の調節放出型製剤は、安定な状態の薬物動態における最大の血漿濃度(Cssmax)と最小の血漿濃度(Cssmin)との間のより低い程度の増減を提供するであろう。CssmaxとCssminとの間の増減は、山と谷、ピークとトラフなどとして本願だけでない文献において一般的に参照される。単回投与後の、本発明のデュロキセチン製剤のより長い見かけの排出半減期は、20、30、及び40mg(力価)であるが、これに限らない量のデュロキセチンを含む現在の即時放出製剤によって必要とされる一日二回の投与計画よりも、一日一回の投与を適切なものとする。
5.上述の各種の特性は、デュロキセチンの即時放出製剤(Cymbalta)と比較して、改善されたより良好な許容されるプロフィールを生じる可能性があろう。本発明のデュロキセチンの調節放出型の投与形態で認められる服薬遵守の向上は、大鬱病及び腹圧性尿失禁を含むが、それらに限らないデュロキセチン治療を必要とする患者の適当な処理を改善するであろう。
の1つ以上によって特徴付けられて良い。
【0049】
本発明で開示するデュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩の調節放出型の投与形態は、以下の利点を有する。
1.デュロキセチンの調節放出型の投与形態を用いて、時間に対する薬剤血漿濃度の滑らかなプロフィールを得ることによって、一日複数回投与して得られるよりも厳密な血漿治療域の調節が得られる。換言すると、本発明は、従来の遅延放出型塩酸デュロキセチン錠剤で一日複数回投与することによって誘導される血漿薬剤濃度における鋭いピーク及びトラフ(山と谷)を除外する方法を提供する。
2.デュロキセチンの調節放出型の投与形態は、一日一回の投与であるため、従来の遅延放出型製剤よりも良好で安全なプロフィール及び許容性を生じさせる可能性がある。
3.デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩の調節放出型の投与形態は、一日一回投与されて良く、通常一日二回投与される従来の遅延放出型製剤よりも良好な患者の服薬遵守を生じさせ得る。
【0050】
好ましい実施態様では、デュロキセチンの調節放出型の投与形態は、10から100mgの塩酸デュロキセチンを含有する。
【0051】
デュロキセチンの調節放出型の投与形態は、湿式造粒、乾式造粒、溶融造粒、又は当業者に既知の方法から選択される任意の方法を用いて製造されて良い。
【0052】
調製方法
塩酸デュロキセチン及び他の成分を、個々にふるい(ASTM#60)にかけて、幾何学的希釈によって混合した。その混合物を回転圧縮(roll compact)し、続いて振動造粒機(ASTM#16)によって粉砕した。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム及びタルクを用いて滑らかにした。最後に、その顆粒を回転圧縮機において適切なパンチを使用して圧縮した。
【0053】
障壁層は、イソプロピルアルコール及び水(85:15の比)中に成分を溶解して適用した。ホモジナイザーを用いて、その溶液中にタルクを分散させた。Gansons spray pan coating machineを用いて、結果として得られた懸濁物を核にスプレーした。
【0054】
腸溶コーティング懸濁物は、まず、ジクロロメタン:イソプロピルアルコール(70:30)に腸溶コーティング物質(例えば、HPMC-P 55)を溶解することによって調製した。タルクを上記の溶液に添加して、ホモジナイザーを用いて分散させた。Gansons spray pan coating machineを用いて、結果として得られた懸濁物を障壁に被覆された錠剤にスプレーした。
【0055】
本発明に開示するデュロキセチンの調節放出型の投与形態及びその方法を、下記の実施例で説明する。これらの実施例は説明として挙げるに過ぎず、そのため、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0056】
(実施例1)
【表1】

【0057】
腸溶コーティング錠剤の溶解試験は、100rpmでUSP装置タイプ1(basket)を使用して、各種のpH、すなわち、0.1N塩酸pH1.2(0-2h)、及びリン酸緩衝液pH6.8(2-20h)の溶解媒体で実施した。溶解結果を表2に挙げる。
【0058】
【表2】

【0059】
(実施例2)
【表3】

【0060】
製品は、実施例1において使用した方法に実質的に従って製造した。溶解試験を実施例1のように実施した。
【0061】
【表4】

【0062】
(実施例3)
【表5】

【0063】
製品は、実施例1において使用した方法に実質的に従って製造した。溶解試験を実施例1のように実施した。
【0064】
【表6】

【0065】
(実施例4)
【表7】

【0066】
製品は、実施例1において使用した方法に実質的に従って製造した。溶解試験を実施例1のように実施した。
【0067】
【表8】

【0068】
(実施例5)
【表9】

【0069】
製品は、実施例1において使用した方法に実質的に従って製造した。溶解試験を実施例1のように実施した。
【0070】
【表10】

【0071】
(実施例6)
【表11】

【0072】
製品は、実施例1において使用した方法に実質的に従って製造した。溶解試験を実施例1のように実施した。
【0073】
【表12】

【0074】
(実施例7)
ミニタブレット
【表13】

【0075】
ミニタブレットは、適切なパンチを使用して実施例1に記載のように調製した。デュロキセチンHCl腸溶コーティングミニタブレット(60mgのデュロキセチンに相当する)は、「O」サイズのカプセルに充填して、実施例1に記載のような溶解試験に供した。
【0076】
【表14】

【0077】
(実施例8)
ミニタブレット
【表15】

【0078】
【表16】

【0079】
表4に対応する溶解速度を有するコーティングされたデュロキセチン錠剤のバッチを生体試験のために採用した。
【0080】
本試験の目的は、絶食時の健康な成人男性のヒトにおいて、60mgの塩酸デュロキセチンを含有する塩酸デュロキセチンの単回用量経口バイオアベイラビリティーを、60mgの塩酸デュロキセチンを含有するCymbaltaカプセル剤のバイオアベイラビリティーと比較することであった。
【0081】
オープンラベルで、バランスをとって、ランダムにして、2回治療、2連続、2期、単回用量、クロスオーバーでバイオアベイラビリティー試験を絶食条件下で実施した。
【0082】
6人の健康な男性のボランティアに、デュロキセチン(60mg)を含有する1つの錠剤/Cymbalta(60mg)の1つのカプセル剤を投与した。薬剤投与後1、2、4、5、6、7、8、10、12、16、24、48、72、96時間の各期間で、血液サンプルを回収した。血漿薬剤濃度は、LC-MS/MS法を用いて分析した。
【0083】
薬物動態パラメーターCmax、Tmax、AUC0-t、AUC0-∞、λz、t1/2、及び推定されるAUC_%(残りの領域)をデュロキセチンについて評価した。
【0084】
表17は、デュロキセチン調節放出型錠剤及びCymabaltaカプセル剤の薬物動態パラメーターを示す。
【0085】
【表17】

【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】絶食条件下における健康な成人男性のヒトに対する、試験製剤(T)及び参照製剤(R)の投与後のデュロキセチンの時間に対する平均血漿濃度の直線グラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩、製薬学的に許容されるポリマー担体、及び溶解度向上剤を含む、一日一回投与するためのデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項2】
疎水性成分、流体力学的拡散向上剤、粘化剤、及び製薬学的に許容される賦形剤を更に含む、請求項1に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項3】
腸溶コーティング物質で更に被覆されている、請求項1に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項4】
デュロキセチンを含有する核と腸溶層との間に障壁層を更に含む、請求項1に記載の調節放出型の投与形態。
【請求項5】
デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩、製薬学的に許容されるポリマー担体、溶解度向上剤、疎水性成分、流体力学的拡散向上剤、粘化剤、及び製薬学的に許容される賦形剤を含む均質な核、及び前記核上に腸溶コーティングを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項6】
(a)Tmaxが約5時間から約21時間の範囲である
(b)AUC0-tが約70ng.h/mlから約900ng.h/mlの範囲である
から選択されるin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項7】
デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩、製薬学的に許容されるポリマー担体、及び溶解度向上剤を含む、一日一回投与するためのデュロキセチンの調節放出型の投与形態であって、
(a)Tmaxが約5時間から約21時間の範囲である
(b)AUC0-tが約70ng.h/mlから約900ng.h/mlの範囲である
から選択されるin vivo血漿プロフィールを提供する、投与形態。
【請求項8】
デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩を含む、一日一回投与するためのデュロキセチンの調節放出型の投与形態であって、
(a)Tmaxが約5時間から約21時間の範囲である
(b)AUC0-tが約70ng.h/mlから約900ng.h/mlの範囲である
から選択されるin vivo血漿プロフィールを提供する、投与形態。
【請求項9】
前記製薬学的に許容されるポリマー担体が、1つ以上のホモポリサッカリド及びヘテロポリサッカリドを含み、好ましくはキサンタンガム、イナゴマメガム、プロピレングリコールエステル、ガラクトマンナン、グルコマンナン、グァーガム、アカシアガム、トラガカントガム、アルカリ金属カラギーネート、アルギネート、セルロースアルキルカルボキシレート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロースアルキルカルボキシレートのアルカリ金属塩、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド、ゲランガム、アルギネート塩、天然ポリサッカリド、アラビカガムなど、及びそれらの組み合わせ;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなど又はそれらの混合物;エチレン/ビニルアルコールコポリマー;エチレンマレイン無水コポリマー;ポリラクトン、例えばポリ(カプロラクトン)など;ポリ無水物、例えば、ポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン無水物]、ポリ(テレフタル酸無水物)など、又はそれらの混合物;ポリビニルピロリドン;ポリエステル、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、及びポリ(ベタヒドロキシ酪酸)など、ポリアミド及びポリペプチド、例えば、ポリリジン及びポリグルタミン酸など;ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシドからなる群から選択される、請求項1、5、又は6に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項10】
前記溶解度向上剤が、
(i)錯化によって医薬の結晶形成又は他の作用を阻害する薬剤;
(ii)高度なHLB(親水性-親油性バランス)のミセル形成界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤;
(iii)クエン酸エステル;
(iv)ステアリン酸塩;又はそれらの組み合わせ
からなる群の1つ以上から選択される、請求項1、5、又は6に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項11】
前記溶解度向上剤が、アニオン性界面活性剤と錯化剤との組み合わせである、請求項10に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項12】
前記溶解度向上剤が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、他の修飾シクロデキストリン、ゼラチン、マルトデキストリン、ソルビトール、、ポリグリセリル混合植物性脂肪酸エステル、Tween 20、Tween 60、又はTween 80、Gelucire 44/14、Labrasol、ポリオキシエチレン、ポリエチレン含有界面活性剤、ナトリウムラウリルスルフェート、クエン酸トリエチル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸亜鉛といった結晶形成阻害剤の1つ以上から選択される、請求項10に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項13】
前記疎水性成分が、ワックス、エチルセルロース、メタアクリレートポリマー、ステアレート、セルロースエステル、セルロースエーテル、及びセルロースエステル-エーテル、例えば、セルロースアシレート、セルロースエチルエーテル、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジ、若しくはトリセルロースアルカン、モノ、ジ、若しくはトリセルロースアロイルなど、あるいはそれらの組み合わせからなる群の1つ以上から選択される、請求項2、5、又は6に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項14】
前記流体力学的拡散向上剤が、ゲランガム、デンプン、粘土、セルロース、セルロース誘導体、アルギネート、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、及びナトリウムデンプングルコレートからなる群の1つ以上から選択される、請求項2、5、又は6に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項15】
前記粘化剤が、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、グァーガム、及びアカシアなどの炭化水素ガムの1つ以上から選択される、請求項2、5、又は6に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項16】
前記製薬学的に許容される賦形剤が、バインダー、フィラー、希釈剤、又は潤滑剤から選択される一つ以上である、請求項2、5、又は6に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項17】
前記バインダーが、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、及びマルトデキストリンなど、又はそれらの混合物からなる群の1つ以上から選択される、請求項16に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項18】
前記フィラー又は希釈剤が、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、デンプン、スクロース、マンニトール、ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース、沈殿炭酸カルシウム、ソルビトール、及びデンプンなど、又はそれらの組み合わせからなる群の1つ以上から選択される、請求項16に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項19】
前記潤滑剤が、ステアリン酸、タルク、ワックス、ステアリン酸塩、ステアリン酸誘導体、ナトリウムステアリルフマレート、トウモロコシデンプン、及びシリカ誘導体からなる群の1つ以上から選択される、請求項16に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項20】
前記腸溶コーティングが腸溶ポリマー及び可塑剤を含む、請求項3、5、又は6に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項21】
前記腸溶コーティングが、着色剤、不透明化剤、及び抗接着剤を更に含む、請求項20に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項22】
前記腸溶ポリマーが、Eudragit L(ポリ(メタクリル酸メチルメタクリレート))、Eudragit S(ポリ(メタクリル酸メチルメタクリレート))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、又はそれらの混合物の1つ以上から選択される、請求項20に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項23】
前記可塑剤が、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、プロピレングリコール、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、イソプロピルフタレート、ジメチルフタレート、ダクチルフタレート、ジブチルセバケート、ジメチルセバケート、ヒマシ油、グリセロールモノステアレート、及びヤシ油の1つ以上から選択される、請求項20に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項24】
前記障壁層が、ポリマー物質、フィラー、糖、又はそれらの混合物のいずれかを含む、請求項20に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項25】
前記障壁層が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク、トリエチルシトレート、又はそれらの混合物のいずれかを含む、請求項24に記載のデュロキセチンの調節放出型の投与形態。
【請求項26】
約70ng/ml以下のデュロキセチンのピーク血漿濃度を提供する、塩酸デュロキセチンを含有する調節放出型製剤を必要がある患者に経口投与する工程を含む、24時間に亘ってデュロキセチンの治療的血漿濃度を提供するための方法。
【請求項27】
約5から約21時間においてデュロキセチンのピーク血漿濃度を提供する、10から100mgのデュロキセチンを含む調節放出型の投与形態を必要がある患者に経口投与する工程を含む、24時間に亘ってデュロキセチンの治療的血漿濃度を提供するための方法。
【請求項28】
デュロキセチン又はその製薬学的に許容される塩を含む、一日一回投与するためのデュロキセチンの調節放出型の投与形態であって、0.1N HClを2時間、続いてpH6.8の緩衝液を使用して100RPMでUSP装置タイプ1(Basket社)において6時間で約60%超の薬剤を放出せず、8時間で約90%超の薬剤を放出しない、投与形態。
【請求項29】
約0.70から約1.10の範囲の患者における塩酸デュロキセチンの平均最大血漿濃度に対する時間(Tmax)の血漿濃度-時間曲線の比を提供する、10から100mgの塩酸デュロキセチンを含む経口投与のための調節放出型の投与形態。
【請求項30】
必要な患者に約5ng/mlから約50ng/mlの範囲のデュロキセチンの平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、10から100mgの塩酸デュロキセチンを含む経口投与のための調節放出型の投与形態。
【請求項31】
必要な患者に約70ng.hr/mlから約900ng.hr/mlの範囲の血漿濃度-時間曲線下面積を有する血漿濃度-時間曲線を提供する、10から100mgの塩酸デュロキセチンを含む経口投与のための調節放出型の投与形態。

【図1】
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【公表番号】特表2008−543929(P2008−543929A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517700(P2008−517700)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【国際出願番号】PCT/IN2006/000209
【国際公開番号】WO2007/034503
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507365927)カディラ・ヘルスケア・リミテッド (26)
【Fターム(参考)】