説明

デューティ比制御回路、デューティ比制御回路の制御方法、及びプログラム

【課題】小さな回路規模により発光素子の輝度を緩やかに変化させることを可能にする。
【解決手段】デューティ比制御回路は、デューティ比を変更することが可能なパルス信号の変更前のデューティ比である第1のデューティ比と、該パルス信号の変更後のデューティ比である第2のデューティ比とを保持する保持手段と、所定のパルス周期で前記パルス信号を生成するパルス生成回路と、前記パルス生成回路が生成する前記パルス信号のデューティ比を制御することにより、前記パルス生成回路の状態を、前記保持手段により保持された前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、前記保持手段により保持された前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させるデューティ比制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Laser Emitting Diode:発光ダイオード)の点滅動作をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)方式で制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、携帯電話等の電子機器に実装され、ユーザーインターフェースを構成する発光素子として広く使用されている。また、単に電子機器の状態をLEDの点滅で知らせるだけでなく、その点滅の方法を工夫することにより視覚的効果が得られ、その電子機器の商品価値向上につなげることができる。
【0003】
このLEDの輝度は、LEDに流す電流を制御することにより、変更することができるが、PWM方式を使用することにより、変更することもできる。
【0004】
PWM方式により輝度を変更する回路では、例えば、図9に示すように、LEDにPWM回路およびスイッチを接続する。このPWM回路は、図3(a)に示すように、一定のパルス周期でパルスを発生し、その周期でスイッチをオン、オフさせる。この結果、LEDが一定の周期で点滅する。この点滅の周波数は、人間の視覚では点滅を認識できないぐらい高い値とする。
【0005】
CPU等からの制御に従って、このPWN回路が、LEDの点滅における、パルス周期に対するオンの時間(パルス幅)の割合、すなわちデューティ比を変化させることによりLEDの輝度を制御することができる。
【0006】
特許文献1に開示された表示装置も同様に、LEDに接続されたMPU(Micro Processing Unit)がデューティ比を変化させることにより、LEDの輝度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−325324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図9に記載された回路や特許文献1に開示された表示装置では、LEDの輝度を滑らかに変化させることが困難になる場合があった。
【0009】
LEDの輝度の変化を滑らかにするには、PWM回路は、デューティ比をより細かく設定できるようにしなければならない。このパルス幅の調整の細かさ、すなわち分解能は、PWM回路を駆動するクロックの周波数に依存する。従って、LEDの輝度の変化を緩やかにするには、高周波数のクロックでPWM回路を駆動する必要があった。
【0010】
しかし、クロック周波数を上げると、PWM制御回路の回路規模が大きくなってしまう。また、高い周波数のクロックは、他の回路に悪影響を与える恐れがある。例えば、LEDおよびPWM回路を組み込んだ電子機器が無線機であれば、その電子機器の無線特性に対し悪影響を与えることがある。このため、クロック周波数を高くしにくい場合、PWM制御を行う回路において、LED(発光素子)の輝度の変化を緩やかにすることが困難であった。
【0011】
本発明の目的は、小さな回路規模により発光素子の輝度を緩やかに変化させることを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のデューティ比制御回路は、デューティ比を変更することが可能なパルス信号の変更前のデューティ比である第1のデューティ比と、該パルス信号の変更後のデューティ比である第2のデューティ比とを保持する保持手段と、所定のパルス周期で前記パルス信号を生成するパルス生成回路と、前記パルス生成回路が生成する前記パルス信号のデューティ比を制御することにより、前記パルス生成回路の状態を、前記保持手段により保持された前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、前記保持手段により保持された前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させるデューティ比制御手段と、を有する。
【0013】
本発明のデューティ比制御回路の制御方法は、デューティ比を変更することが可能なパルス信号の変更前のデューティ比である第1のデューティ比と、該パルス信号の変更後のデューティ比である第2のデューティ比とを保持手段に保持し、パルス生成回路が、所定のパルス周期で前記パルス信号を生成し、デューティ比制御手段が、前記パルス生成回路が生成する前記パルス信号のデューティ比を制御することにより、前記パルス生成回路の状態を、前記保持手段により保持された前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、前記保持手段により保持された前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させる、デューティ比制御回路の制御方法である。
【0014】
本発明のプログラムは、コンピュータに、デューティ比を変更することが可能なパルス信号の変更前のデューティ比である第1のデューティ比と、該パルス信号の変更後のデューティ比である第2のデューティ比とを保持手段に保持する手順、及び所定のパルス周期でパルス生成回路により生成されるパルス信号のデューティ比を制御することにより、該パルス生成回路の状態を、前記保持手段により保持された前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、前記保持手段により保持された前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させるデューティ比制御手順、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、デューティ比制御回路は、パルス生成回路を、第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態に移行させるので、デューティ比制御回路の回路規模を大きくしなくとも、発光素子の輝度を滑らかに変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態のLED制御回路の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の輝度変更制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図3】(a)輝度が低いときのパルス波形を示す図である。(b)輝度を変更しているときのパルス波形を示す図である。(c)輝度が高いときのパルス波形を示す図である。
【図4】(a)本発明の第1の実施形態のLED制御回路におけるパルス波形の時間変化を示す図である。(b)本発明の第1の実施形態のLED制御回路が制御する発光素子の輝度レベルの時間変化を示す図である。
【図5】(a)一般的なLED制御回路におけるパルス波形の時間変化を示す図である。(b)一般的なLED制御回路が制御するLEDの輝度レベルの時間変化を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の輝度変更制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図7】(a)本発明の第2の実施形態のLED制御回路におけるパルス波形の時間変化を示す図である。(b)本発明の第2の実施形態のLED制御回路におけるLEDの輝度レベルの時間変化を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の輝度変更制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図9】一般的なLED制御回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
本発明を実施するための第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態のLED制御回路1(デューティ比制御回路)の構成を示すブロック図である。LED制御回路1は、PWM方式で発光素子の輝度を制御する回路である。同図を参照すると、LED制御回路1は、CPU11、変更後レジスタ12、変更前レジスタ13、輝度変更制御回路14、およびPWM回路15(パルス生成回路)を有する。
【0018】
また、LED制御回路1には、スイッチ2および発光素子3が接続される。スイッチ2は、LED制御回路1の制御に従って、発光素子3を点滅させる。発光素子3は、LEDなどの発光素子である。
【0019】
CPU11は、発光素子3の輝度を決定し、その輝度に対応するデューティ比を変更後レジスタ12に格納する。
【0020】
ここで、デューティ比とは、パルス幅をパルス周期で割った値である。デューティ比が高いほど、発光素子3の輝度は高くなるので、CPU11は、発光素子3の輝度をデューティ比で輝度変更制御回路14に指示する。また、本実施形態では、発光素子3の輝度の高さは複数の段階に分けられ、各段階を「輝度レベル」とする。
【0021】
変更後レジスタ12は、CPU11が指示したデューティ比を保持する。変更後レジスタ12は、デューティ比が保持されたクロックの次のクロックで、変更前レジスタ13へ、保持したデューティ比を出力する。変更前レジスタ13は、変更後レジスタ12から出力されたデューティ比を保持する。
【0022】
変更後レジスタ12の値が、CPU11により更新された場合、その更新におけるクロックでは、変更後レジスタ12は、変更後のデューティ比(第2のデューティ比)を保持し、変更前レジスタ13は、変更前のデューティ比(第1のデューティ比)を保持した状態となる。次のクロックでは、変更後レジスタ12、変更前レジスタ13とも、変更後のデューティ比を保持した状態となる。
【0023】
輝度変更制御回路14は、所定の動作クロックで動作する。この動作クロックの周波数は、その周波数で発光素子3を点滅させると、人間の視覚では点滅を認識できないくらい高い値である。例えば、動作クロックの周波数は、数百kHzから数MHz程度である。
【0024】
また、輝度変更制御回路14には、動作クロックより低い周波数のインターバルクロックが入力される。このインターバルクロックの周波数は、その周波数で発光素子3を点滅させると、人間の視覚では点滅を認識できるくらい低い値である。例えば、インターバルクロックの周波数は、数Hzから数十Hz程度である。以下、このインターバルクロックの周期を「インターバル周期」という。
【0025】
輝度変更制御回路14は、変更後レジスタ12および変更前レジスタ13からデューティ比を読み出す。これらの値が異なる場合、輝度変更制御回路14は、輝度レベル、すなわちデューティ比が変更されたことを検知する。
【0026】
輝度レベルが変更された場合、輝度変更制御回路14は、変更されてから最初のインターバル周期において、一部の時間だけ、変更後のデューティ比を示す制御信号をPWM回路15へ出力する。インターバル周期内の残りの時間では、輝度変更制御回路14は、変更前のデューティ比を示す制御信号をPWM回路15へ出力する。
【0027】
そして、輝度変更制御回路14は、インターバル周期が経過するたびに、変更後のデューティ比を示す制御信号を出力する時間を段階的に増大させる。
【0028】
その制御の際、輝度変更制御回路14は、変更後のデューティ比の割合を制御するための変数として時間比率Pという値を管理する。輝度変更制御回路14には、この時間比率Pの値を記録するためのメモリ(不図示)が設けられている。時間比率Pは、インターバル周期内における変更後のデューティ比に設定する時間を、インターバル周期の始めから終りまでの時間で割った値である。なお、時間比率Pに基づく制御についての詳細は、後述する。
【0029】
例えば、輝度変更制御回路14は、最初のインターバル周期内の時間のうち、9割の時間に、変更前のデューティ比を示す制御信号をPWM回路15へ出力し、その残りの1割の時間に、変更後のデューティ比を示す制御信号をPWM回路15へ出力する。次のインターバル周期内において、輝度変更制御回路14は、その周期内の時間のうち8割の時間に、変更前のデューティ比を割り当て、残りの2割の時間に、変更後のデューティ比を割り当てる。このようにして、輝度変更制御回路14は、変更後のデューティ比とする時間の割合を段階的に大きくすることで、変更後のデューティ比の時間を長くしてゆく。輝度変更制御回路14は、変更後のデューティ比とする時間がインターバル周期の10割となった時点で、輝度の変更制御を完了する。
【0030】
インターバル周期内における、変更前、変更後のデューティ比とする各時間は、インターバル周期内で連続した時間でなくてもよい。例えば、輝度変更制御回路14は、変更前のデューティ比とする9つのクロックと、変更後のデューティ比とする1つのクロックとからなる10クロックを最初のインターバル周期内で何度も繰り返し、最終的に、変更後のデューティ比とする時間がインターバル周期の1割となるように制御してもよい。
【0031】
PWM回路15は、輝度変更制御回路14からの制御信号の示すデューティ比に変調したパルスを、動作クロックの周波数に応じたパルス周期で生成し、スイッチ2へ出力する。
【0032】
図2を参照して、輝度変更制御回路14の動作について説明する。同図は、輝度変更制御回路14の動作を示すフローチャートである。この動作は、輝度変更制御回路14の電源が投入された時に開始する。
【0033】
輝度変更制御回路14は、変更後レジスタ12、変更前レジスタ13から、デューティ比を読み出し、輝度レベル、すなわちデューティ比の変更があったか否かを判断する(ステップS10)。輝度レベルが変更されていなければ(ステップS10:NO)、輝度変更制御回路14は、ステップS10に戻る。
【0034】
輝度レベルが変更されたのであれば(ステップS10:YES)、輝度変更制御回路14は、時間比率Pを0にする(ステップS20)。ここで、時間比率Pは、インターバル周期内における変更後のデューティ比に設定する時間を、インターバル周期で割った値である。
【0035】
輝度変更制御回路14は、時間比率Pに0.1を足す(ステップS30)。輝度変更制御回路14は、インターバル周期内において、インターバル周期に時間比率Pを乗算した時間だけ、デューティ比を変更後の値とし、残りの時間だけ、デューティ比を変更前の値とするように、PWM回路15を制御する(ステップS40)。
【0036】
輝度変更制御回路14は、時間比率Pが1より大きいか否かを判断する(ステップS50)。Pが1以下であれば(ステップS50:NO)、輝度変更制御回路14は、ステップS30に戻る。Pが1より大きければ(ステップS50:YES)、輝度変更制御回路14は、ステップS10に戻る。
【0037】
次いで、LED制御回路1の動作結果の一例について、図3および図4を参照して説明する。図3(a)は、発光素子3の輝度レベルが比較的低い場合に、PWM回路15が生成するパルスの波形を示す図である。
【0038】
輝度レベルの設定値が、より高い値に変更された場合、LED制御回路1は、図3(b)に示すように、インターバル周期内において、時間比率Pにインターバル周期を乗算した時間だけ、デューティ比を変更後の値とするパルスを生成する。
【0039】
LED制御回路1は、時間比率Pを段階的に増大させ、図3(c)に示すように、全てのパルスのデューティ比が変更後の値となり、発光素子3の輝度レベルが変更後の値となる。
【0040】
図4(a)は、LED制御回路1が発生するパルス波形の時間変化を示す図である。図4(b)は、発光素子3の輝度レベルの時間変化を示す図である。図4(b)の縦軸は、輝度レベル、横軸は時間の軸である。
【0041】
図4(a)および図4(b)を参照すると、輝度レベルが1の場合、デューティ比が比較的低いパルスが生成される。時刻「t1」において、輝度レベルを1から2に変更するように、CPU11が指示した場合、最初のインターバル周期(時刻「t1」〜「t2」の間)のうち、1割の時間だけ、輝度レベル1のときより高いデューティ比のパルスを生成される。インターバル周期が経過するたびに、輝度レベル2に対応するデューティ比のパルスが生成される時間が段階的に長くなっていく。
【0042】
9回インターバル周期が経過し、時刻「t10」となったとき、全てのパルスのデューティ比が輝度レベル2に対応する値となり、発光素子3の輝度レベルの変更が完了する。
【0043】
このように、輝度レベルが1から2に変化するとき、輝度レベル1で発光素子3が発光する時間と輝度レベル2で発光素子3が発光する時間との割合が、1:9から、9:1へと徐々に変動する。この結果、人間の目には、緩やかなスロープを持って輝度が変更しているように見える。
【0044】
これに対して、図9に示す一般的なLED制御回路は、所定の周波数で生成するパルスのデューティ比を変化させることにより、輝度レベルを変更する。
【0045】
図5(a)は、図9に示すLED制御回路1が発生するパルス波形の時間変化を示す図である。図5(b)は、図9に示すLED制御回路における発光素子3の輝度レベルの時間変化を示す図である。図5(b)の縦軸は、輝度レベル、横軸は時間の軸である。
【0046】
図5(a)および図5(b)に示すように、この方式では、輝度レベルが変更されたとき、人間の目には、突然輝度が変化したように見える。このLED制御回路は、動作クロックの周波数を向上させ、分解能を上げない限り、滑らかに輝度を変化させることができない。
【0047】
なお、本実施形態では、発光素子3としてLEDを使用したが、発光素子3は、PWM方式で点滅可能な発光素子であればよく、LEDのほか、LD(Laser Diode)であってもよい。
【0048】
本実施形態では、時間比率Pの増分値を0.1としているが、この増分値は、輝度の変化の態様により適宜選択できる。
【0049】
また、LED制御回路1は、インターバル周期が経過するたびに、時間比率Pを段階的に増加するのであれば、必ずしも時間に比例してPを増大する必要はない。例えば、LED制御回路1は、インターバル周期が経過するたびに、幾何級数的にPを増大してもよい。
【0050】
また、本実施形態において、LED制御回路1は本発明のデューティ比制御回路に相当し、PWM回路15は本発明のパルス生成回路に相当する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、LED制御回路1は、PWM回路15を、変更前のデューティ比(第1のデューティ比)のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率Pを段階的に変化させる状態を経て、変更後のデューティ比(第2のデューティ比)のパルス信号を生成する状態に移行させるので、LED制御回路1の回路規模を大きおくしなくとも、発光素子の輝度の滑らかに変化させることができる。
【0052】
LED制御回路1において、輝度変更制御回路14は、変更後レジスタ12および変更前レジスタ13から読み出した値から、輝度レベルの変更の有無を判断するので、CPU11は、変更後レジスタ12に設定値を格納するのみでよく、輝度レベルを徐々に変化させる場合であっても、CPU11の処理負荷は増大しない。
【0053】
インターバルクロックの周波数を、その周波数で発光素子3を点滅させると、人間の視覚で点滅を認識できるくらい低い値とするので、LED制御回路1がインターバル周期が経過するたびに、時間比率Pを段階的に増加させると、人間の目には、発光素子3の輝度が徐々に変化するように見える。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明を実施するための第2の実施形態について図6および図7を参照して説明する。本実施形態では、各輝度レベル間の輝度の差が、一定の値でないものとする。
【0055】
本実施形態のLED制御回路1は、変更前後の輝度の差が所定値以下であれば、時間効率Pの増分値を大きくする。例えば、輝度に対応するデューティ比の差が下限値より大きい場合、Pの増分値を0.1とし、デューティ比の差が下限値以下である場合、Pの増分値を0.2とする。
【0056】
つまり、LED制御回路1は、10回のインターバルクロックで輝度レベルを徐々に変更していたところ、変更前後の輝度の差が基準値より小さければ、5回のインターバルクロックで輝度レベルを変更する。
【0057】
図6は、本実施形態の輝度変更制御回路14の動作を示すフローチャートである。同図を参照すると、本実施形態の輝度変更制御回路14の動作は、ステップS15、S16、S17を更に実行し、ステップS30の代わりにS30aを実行する以外は、第1の実施形態と同様である。
【0058】
輝度レベルが変更されたのであれば(ステップS10:YES)、輝度変更制御回路14は、変更前後のデューティ比の差が下限値以下であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0059】
輝度変更制御回路14は、デューティ比の差が下限値以下でない場合(ステップS15:NO)、時間比率Pの増分値を0.1とし(ステップS16)、デューティ比の差が下限値以下である場合(ステップS15:YES)、時間比率Pの増分値を0.2とする(ステップS17)。
【0060】
ステップS16またはS17の後、輝度変更制御回路14は、ステップS20を実行し、時間比率Pに増分値を足す(ステップS30a)。そして、輝度変更制御回路14は、ステップS40、S50を実行する。
【0061】
図7(a)は、本実施形態のLED制御回路1が発生するパルス波形の時間変化を示す図である。図7(b)は、本実施形態における発光素子3の輝度レベルの時間変化を示す図である。図7(a)の縦軸は、輝度レベル、横軸は時間の軸である。
【0062】
輝度レベル2、3のレベル間と、輝度レベル3、4のレベル間とにおける輝度の差は、小さく、基準値以下であるとする。図7(a)および(b)を参照すると、輝度レベルが2から3へと変更され、次いで3から4へと変更された場合、増分値が0.2に設定される。この結果、それぞれの変更開始から終了までに要するインターバルクロックは、5クロックである。
【0063】
このように、10クロックで変更が完了する第1の実施形態の場合と比較して、輝度の差が小さければ、10クロックの半分の時間で輝度の変更が完了する。
【0064】
なお、輝度変更制御回路14は、変更前後のデューティ比の差が下限値以下になったときにPの増分値を変更しているが、変更前後のデューティ比の差に応じて、増分値を増減してもよい。例えば、輝度変更制御回路14は、デューティ比の差が大きいほど、増分値を大きくし、デューティ比の差が小さいほど、増分値を小さくする構成とすることもできる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、LED制御回路1は、変更前後のデューティ比の差、すなわちパルス幅の差が下限値以下であれば、大きな増分値を用いるので、輝度の変化が小さい場合は、変更開始から終了までの時間が短くなる。
【0066】
(第3の実施形態)
本発明を実施するための第3の実施形態について図8を参照して説明する。本実施形態では、各輝度レベルの間の輝度の差は、一定の値とする。
【0067】
本実施形態のLED制御回路1は、変更前後の輝度レベルの差が上限値以上であれば、現在の輝度レベルを1レベルだけ、第1の実施形態と同様の方法で段階的に増減する。そして、LED制御回路1は、変更後の輝度レベルになるまで、1レベルずつ段階的に増減する動作を繰り返す。
【0068】
図8は、本実施形態のLED制御回路1の動作を示すフローチャートである。同図を参照すると、本実施形態のLED制御回路1の動作は、ステップS15、およびS17の代わりに、ステップS11、S12、およびS13を実行し、ステップS40の代わりにステップS40aを実行し、ステップS51を更に実行する以外は、第2の実施形態のLED制御回路1の動作と同様である。
【0069】
輝度レベルが変更されたのであれば(ステップS10:YES)、輝度変更制御回路14は、変更前後の輝度レベルの差が2以上であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0070】
変更前後の輝度レベルの差が2以上であれば(ステップS11:YES)、輝度変更制御回路14は、変更後レジスタ12から読み出した輝度レベルを目標値とする(ステップS12)。そして、輝度変更制御回路14は、変更前レジスタ13から読み出した輝度レベルを現在値とし、その現在値を目標値へ1レベル近づけた値を中間値とする(ステップS13)。
【0071】
変更前後の輝度レベルの差が2以上でない場合(ステップS11:NO)、またはステップS12の後、輝度変更制御回路14は、ステップS16〜S30を実行する。
【0072】
輝度変更制御回路14は、インターバル周期内において、インターバル周期に時間比率Pを乗算した時間だけ、デューティ比を中間値に対応するデューティ比とする。つまり、本実施形態では、時間比率Pは現在値のデューティ比にする時間に対する、中間値のデューティ比にする時間の比率である(ステップS40a)。
【0073】
続いて、輝度変更制御回路14は、現在値が、目標値以上であるか否かを判断する(ステップS51)。現在値が、目標値以上である場合(ステップS51:YES)、輝度変更制御回路14は、ステップS10に戻る。現在値が、目標値以上でない場合(ステップS51:NO)、輝度変更制御回路14は、ステップS13に戻り、現在値を中間値で更新し、更新後の現在値を1レベル増減して目標値に近づけた値を中間値とする。
【0074】
なお、各輝度レベル間の輝度の差が一定でない場合、図8に示した動作において、変更前後のデューティ比の差が下限値以下であれば、大きな増分値を用いる動作、すなわち図6におけるステップS15およびS17を更に追加することもできる。
【0075】
また、図2、図6、および図8に示したフローチャートの全部または一部について、フローチャートの全部または一部の手順を書き込んだプログラムをコンピュータに実行させることで、その手順に対応する処理を実現させてもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、変更前後の輝度レベルの差が2レベル以上であっても、輝度レベルを1レベルずつ段階的に増減するので、発光素子3の輝度が滑らかに変更する。
【符号の説明】
【0077】
1 LED制御回路
2 スイッチ
3 発光素子
11 CPU
12 変更後レジスタ
13 変更前レジスタ
14 輝度変更制御回路
15 PWM回路
S10〜S50、S15〜S17、S30a、S11〜S13、S51 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デューティ比を変更することが可能なパルス信号の変更前のデューティ比である第1のデューティ比と、該パルス信号の変更後のデューティ比である第2のデューティ比とを保持する保持手段と、
所定のパルス周期で前記パルス信号を生成するパルス生成回路と、
前記パルス生成回路が生成する前記パルス信号のデューティ比を制御することにより、前記パルス生成回路の状態を、前記保持手段により保持された前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、前記保持手段により保持された前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させるデューティ比制御手段と、
を有するデューティ比制御回路。
【請求項2】
前記デューティ比制御手段は、前記パルス周期より長い周期であるインターバル周期内において、デューティ比が前記第1のデューティ比になる時間に対する、デューティ比が前記第2のデューティ比になる時間の比率が、該インターバル周期が経過するたびに増大するように、デューティ比を制御する、請求項1に記載のデューティ比制御回路。
【請求項3】
前記パルス信号のデューティ比を指示する指示手段を更に有し、
前記保持手段は、変更前レジスタと変更後レジスタとを有し、前記指示手段により指示された前記デューティ比を該変更後レジスタに保持し、
前記デューティ比制御手段は、前記変更後レジスタに保持された値と、前記変更前レジスタに保持された値とを読み出し、該変更後レジスタから読み出した値を前記第2のデューティ比、該変更前レジスタから読み出した値を前記第1のデューティ比とし、
前記保持手段は、前記変更後レジスタに保持された値で前記変更前レジスタに保持された値を更新する、請求項2に記載のデューティ比制御回路。
【請求項4】
前記デューティ比制御手段は、前記インターバル周期が経過するたびに、前記比率を所定の増分値だけ増加させる、請求項2又は3に記載の発光素子制御回路。
【請求項5】
前記デューティ比制御手段は、前記第1のデューティ比と前記第1のデューティ比との間の差に応じて、前記増分値の値を増減する、請求項4に記載のデューティ比制御回路。
【請求項6】
前記デューティ比制御手段は、前記差が所定の下限値以下であれば、前記増分値を増大させる、請求項5に記載のデューティ比制御回路。
【請求項7】
前記デューティ比制御手段は、前記第1のデューティ比と前記第2のデューティ比との間の差が所定の上限値以上であれば、該第1のデューティ比と該第2のデューティ比との間の1以上の値を中間値として、前記パルス生成回路の状態を、前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、それぞれの該中間値のパルス信号を生成する過渡状態に移行させ、該過渡状態を経て前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデューティ比制御回路。
【請求項8】
前記インターバル周期は、該インターバル周期で発光素子を点滅させたときに、人間が視覚で点滅を認識できるような周期である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデューティ比制御回路。
【請求項9】
デューティ比を変更することが可能なパルス信号の変更前のデューティ比である第1のデューティ比と、該パルス信号の変更後のデューティ比である第2のデューティ比とを保持手段に保持し、
パルス生成回路が、所定のパルス周期で前記パルス信号を生成し、
デューティ比制御手段が、前記パルス生成回路が生成する前記パルス信号のデューティ比を制御することにより、前記パルス生成回路の状態を、前記保持手段により保持された前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、前記保持手段により保持された前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させる、デューティ比制御回路の制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
デューティ比を変更することが可能なパルス信号の変更前のデューティ比である第1のデューティ比と、該パルス信号の変更後のデューティ比である第2のデューティ比とを保持手段に保持する手順、及び
所定のパルス周期でパルス生成回路により生成されるパルス信号のデューティ比を制御することにより、該パルス生成回路の状態を、前記保持手段により保持された前記第1のデューティ比のパルス信号を生成する状態から、デューティ比の異なるパルス信号を生成する時間の比率を段階的に変化させる状態を経て、前記保持手段により保持された前記第2のデューティ比のパルス信号を生成する状態へ移行させるデューティ比制御手順、
を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−245942(P2010−245942A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93964(P2009−93964)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】