説明

データ処理装置及びデータ処理方法及びプログラム

【課題】多数の無線タグを読む際に、読み取り対象外のタグの誤読を回避する。
【解決手段】リーダ装置2において多数のタグからIDを読み取る際に、アンテナで受信された受信信号からID検出部236がタグのIDを検出するとともに、RSSI計測部237が受信時のRSSI(受信信号強度)を計測し、メモリ224がIDとRSSIを対応付けて記憶し、ラウンド制御部223が各タグのRSSIのレベルを解析し、RSSIのレベルが低いタグは読み取りのための規定位置に配置されていない読み取り対象外のタグと判断し、当該タグを排除して誤読を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の無線タグからデータを読み出す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のRFIDリーダライタ装置(以降、リーダ装置という)は、タグ集団への問い合わせ処理で、タグ集団のすべてのタグからデータを読み出すことを目的としている。
タグ集団への問い合わせ処理としては、例えば、InventoryTagsがある。
InventoryTagsは、複数回のラウンドから構成される。
タグ集団のタグは、基本的には1回のInventoryTagsで1回だけ応答する。
従って、1回のラウンドで応答したタグは、リーダ装置により読みとられた場合、次のラウンドでは応答しない。
ラウンドは、複数のタイムスロット(以降スロット)に分割され、タグは、ランダムにそのスロットを選び、そのスロットで応答をする。
従って、一つのスロットに複数のタグが応答する場合があり、そのときは、それらのタグの応答は衝突(コリージョン)を起こし、リーダ装置に受信されない。
そこで、読み取りに失敗したタグは、次のラウンドで応答する。
そのラウンドでも読み取りに失敗したタグは、その次のラウンドで読みとる。
以上のような手順を踏み、読み残したタグが1枚もなくなるまで続け、タグ集団のすべてのタグをリーダ装置は読みとることができる。
【0003】
特許文献1では、リーダ装置の近辺のタグは、指定されたタグ集団しかなく、タグ集団に属さない、読むべきでないタグは存在しないことを前提としている。
つまり、特許文献1では、リーダ装置のアンテナの近辺には、タグ集団には属さない、本来読むべきでないタグはなく、近くにあるタグをすべて読むことを前提としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−518746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、特許文献1では、リーダ装置の近辺には、指定されたタグ集団しかなく、タグ集団に属さない、読むべきでないタグは存在しないことを前提としている。
しかし、RFIDタグが適用される、実際の物流や生産ラインの現場では、検品すべき物品(タグ集団)の他に、その時は、検品する必要のない品物(タグ)や、品物に貼付されていないタグなどが放置されている場合が多い。
【0006】
そのような使用環境において、タグ集団の読み取り作業のため、人やモノが動き、電波の反射状態などが刻々と変化し、ある一瞬のタイミングにおいては、読むべきでないタグも、読むべきタグ集団と一緒にリーダから読みとられてしまうことがある。
この現象を「誤読」と呼び、誤って読まれたタグを「誤読タグ」と呼ぶ。この現象が発生すると、例えば、リーダからのタグ情報をもとに動作している物流管理システムは、物流センターから発送されていない物品が、あたかも発送されたかの如くに誤動作してしまう。
【0007】
この発明は、上記のような課題に鑑みたものであり、多数の無線タグを読む際の誤読を回避することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデータ処理装置は、
無線タグより、無線タグのID(Identification)が含まれる無線信号を受信するアンテナに接続され、
前記アンテナが無線信号を受信する度に、無線信号受信時の受信信号強度を計測する受信信号強度計測部と、
前記アンテナの受信信号から無線タグのIDを検出するID検出部と、
前記ID検出部により検出されたIDと、前記受信信号強度計測部により計測された受信信号強度とを対応付けるID強度対応付け部と、
前記受信信号強度計測部により計測された受信信号強度のレベルを解析して、前記ID検出部により検出されたIDの中から、ID受信の対象になっていなかったが誤ってIDが受信されてしまった無線タグからの誤読IDを判別する誤読ID判別部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受信対象外のタグからの無線信号を受信し、受信対象外のタグのIDを検出したとしても、受信信号強度の解析により、当該受信対象外のタグのIDを誤読IDとして排除することができるので、誤読IDに起因する誤動作を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係るRFIDシステムの構成例を示す図。
【図2】実施の形態1に係るリーダ装置の構成例を示す図。
【図3】実施の形態1に係るアンテナ、タグ集団、対象外タグ等の配置例を示す図。
【図4】実施の形態1に係るリーダ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図5】実施の形態1に係る誤読タグの判別基準の例を示す図。
【図6】実施の形態2に係るアンテナ、タグ集団、対象外タグ等の配置例を示す図。
【図7】実施の形態2に係るリーダ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図8】実施の形態2に係るリーダ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図9】実施の形態3に係るRFIDシステムの構成例を示す図。
【図10】実施の形態3に係るアンテナ、タグ集団、対象外タグ等の配置例を示す図。
【図11】実施の形態3に係るリーダ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図12】実施の形態3に係るリーダ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態1〜3に係るリーダ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図14】実施の形態1〜3に示すリーダ装置のハードウェア資源の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
タグ集団がリーダ装置のアンテナの前で停止して検品する場合と、アンテナの前を移動しながら検品する場合で、実現方法が異なる。
また、リーダ装置に接続されているアンテナの台数が1個か否かで実現方法が異なる。
従って、実施の形態1ではタグ集団がリーダ装置のアンテナの前で停止している場合、実施の形態2及び3ではタグ集団がリーダ装置のアンテナの前を移動している場合について説明する。
また、実施の形態1及び2では、リーダ装置に接続されているアンテナが一つのケース、実施の形態3ではアンテナが複数のケースを説明する。
【0012】
実施の形態1.
アンテナ数が1でタグ集団が停止の場合の実施の形態を図1〜図5、図13を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るRFIDシステム全体を示す構成図である。
図1において、ホストコンピュータ1は、RFIDリーダ装置2(以下、リーダ装置2ともいう)にタグの読み出し命令を出す。
ネットワーク3は、ホストコンピュータ1とリーダ装置2を接続する。
アンテナ4は、アンテナケーブル5でリーダ装置2と接続される。
アンテナ4とタグ集団6は電波で通信(リーダ装置はコマンドを一括で送り、それぞれのタグがレスポンスを返す)する。
リーダ装置2は、ネットワークインタフェース部21、通信制御部22、無線通信部23、センサ28から構成される。
【0014】
タグ集団6は台車7の上のに荷物に貼付されたRFIDタグ等の無線タグ(以下、単にタグという)の集団である。
タグは、601a、601b、601c、602a、602b、....、610a、610b、610cと10行×3列=30個存在する。
タグ集団6は、台車7に乗せられ、アンテナ4の前で停止するものとする。
台車7がセンサ28により規定位置に来たことが検出されると、タグ読み込みの処理が開始される。
以上のような環境において、アンテナ4から少し離れたところに対象外タグ8が放置してある。
対象外タグ8は、リーダ装置2によるタグデータの読み込みの対象外のタグである。対象外タグ8のタグデータが誤って読み込まれると、誤読タグとなる。誤読タグは、前述のように、誤動作の原因になる。
【0015】
図2は、通信制御部22と無線通信部23をさらに詳しく説明した図である。
【0016】
図において、通信制御部22は、命令解析部221、コマンド生成部222、ラウンド制御部223、メモリ224、応答生成部225、判定基準値記憶部226から構成される。
無線通信部23は、送信信号変換部231、サーキュレータ232、受信フィルタ233、HandleNumber検出部234、コリージョン検出部235、ID検出部236、RSSI計測部237から構成される。
RSSIとは、受信信号強度(Receive Signal Strength Indicator)のことである。
また、これらのブロック間をコマンド信号、HandleNumber信号、コリージョン検出信号、ID信号、RSSI信号が連結している。
【0017】
図2に示す構成のうち、以下にて主要な構成要素の説明を行う。
【0018】
ID検出部236は、アンテナ4が受信したタグからの受信信号をサーキュレータ232及び受信フィルタ233を介して取得し、受信信号からタグのID(IDentification)を抽出する。
【0019】
RSSI計測部237は、アンテナ4が無線信号を受信する度に、無線信号受信時の受信信号強度(RSSI)を計測する。ID検出部236は受信信号強度計測部の例である。
【0020】
メモリ224は、ID検出部236からタグのIDの情報を受領し、また、RSSI計測部237からRSSI値を受領し、タグIDとRSSI値を対応付けて記憶する。メモリ224は、ID強度対応付け部の例である。
【0021】
ラウンド制御部223は、RSSI計測部237により計測されたRSSIのレベルを解析して、ID検出部236により検出されたIDの中から、ID受信の対象になっていなかったが誤ってIDが受信されてしまったタグ(対象外タグ8)からの誤読IDを判別する。
ラウンド制御部223は、誤読ID判別部の例である。
【0022】
判定基準値記憶部226は、ラウンド制御部223による誤読IDを判別するための判定基準値を記憶する。
判定基準値記憶部226は、例えば、ID受信の対象になっているタグ集団6からの無線信号の受信信号強度と対象外タグ8の受信信号強度を区別するための閾値を記憶している。
また、例えば、判定基準値記憶部226は、ID受信の対象になっているタグ集団6に含まれるタグの数をID受信対象数として記憶する。
判定基準値記憶部226は、閾値記憶部及びID受信対象数記憶部の例である。
【0023】
図3は、図1のアンテナ4、タグ集団6、台車7、対象外タグ8の物理的な配置関係を示す図である。
【0024】
図3において、台車7の上に、タグが貼付された物品が高さ10段で3列(a列〜c列)の状態で積載されている。
台車7の前方にa列、中ほどにb列、後方にc列が配置されている。
例えばa列は上から601a、602a、603aと積まれ、一番下に610aが積まれる。
台車7につまれたタグ集団6は、一団となって、移動し、アンテナ4の前で停止する。
また、対象外タグ8は、アンテナ4の指向性と距離の観点から、通信できるかできないかのぎりぎりの所に置かれている。
対象外タグ8は、アンテナ4と常に安定通信できるような場所(アンテナから近い、アンテナの正面など)には、置かれない。
なぜならば、そのような場合は、システムの操作者が、容易に異常に気づき、対象外タグ8を、アンテナ4からもっと離れた所(通信できない所)に移動させることができるからである。
基本的には、各タグは、各アンテナに近いところのものが読まれやすいが、電波の反射やフェージングの影響により、遠いタグが読まれたり、近くのタグが読まれなかったりすることもある。
【0025】
次に、図13を参照して、図1において、ホストコンピュータ1がタグIDを受け取るまでの動作を説明する。
【0026】
先ず、ホストコンピュータ1が、ネットワーク3を経由して、ID読み取りの命令をRFIDリーダ装置2に送信する。
RFIDリーダ装置2は、前記のID読み取り命令がネットワークインタフェース部21でネットワークにより伝達された信号を解釈して、ID読み取り命令が通信制御部22に伝わる。
そして、図2の命令解析部221にて、ホストコンピュータからのID読み取り命令を解析し、コマンド生成部222にて、IDを読むための通信コマンド列を作成し、センサ28がタグ集団6の存在を検出したら、無線通信部23に伝える。コマンド列は、セレクト処理の1個のコマンド(Selectコマンド)とラウンド処理のコマンド列(Query、QueryRepeat、Ackなど)から構成される。
コマンド列を受けた無線通信部23は、図2の送信信号変換部231にて通信コマンドを無線に乗せる信号に変換する。この信号は、サーキュレータ232を経由して、リーダ装置2から出力され、アンテナケーブル5を経由してアンテナ4に送られる。
以上が、図13の初期処理(S1301)にあたる。
【0027】
アンテナ4から送られた通信コマンドがタグ集団6に届くと、タグ集団6はレスポンスを返し、レスポンス(IDを含む無線信号)はアンテナ4で受信され、ケーブル5を経由して無線通信部23に戻ってくる(S1302)。
図2の無線通信部23の内部では、タグからのレスポンスは、サーキュレータ232を経由して受信フィルタ233に入力される。
サーキュレータ232は、信号の伝搬方向を規定する装置であり、送信信号変換部231からの信号は、アンテナケーブル5に出力され、受信フィルタ233には行かない。アンテナケーブル5からの入力信号は、受信フィルタ233に行き、送信信号変換部231には行かないような機能になっている。
受信フィルタ233では、タグからのレスポンス信号に無関係な信号成分を著しく減衰させ、受信フィルタ233の出力は、タグからのレスポンス信号が顕著に観測できる。
この信号より、HandleNumber検出部234ではHandleNumberを検出し、コリージョン検出部235ではタグ応答波のコリージョン(衝突)を検出し、ID検出部236ではタグのIDを検出し(S1304)(ID検出ステップ)、RSSI計測部237ではIDが検出されたときの信号成分の電力の大きさ(RSSI)を計測する(S1303)(受信信号強度計測ステップ)。
これらのタグに関する情報(HandleNumber、コリージョン検出、ID、RSSI)は、通信制御部22に送られる。
【0028】
ラウンド処理の最中、通信制御部22は、無線通信部23から読みだされたタグの情報(HandleNumber、コリージョン検出、ID、RSSI)により、タグIDの全数読み取り処理(代表的には、InventoryTags処理)をすすめる。
タグIDの全数読み取り処理をすすめる中心は、ラウンド制御部223である。
またIDとRSSIはメモリ224に蓄積され、IDとRSSIが対応付けられて記憶される(S1305)(ID強度対応付けステップ)。
なお、メモリ224のIDとRSSIはラウンド制御部223が必要なときに読みだされる。
タグIDの全数読み取り処理を進めながら、応答生成部225がホストコンピュータに返すべきIDのリストを生成する。
【0029】
タグ集団6のすべてのタグを読みきったときに、そのすべてのIDが通信制御部22に格納されているが、ここで、ラウンド制御部223が各タグのRSSIのレベルを解析して誤読タグのIDである誤読IDを判別する(S1306)(誤読ID判別ステップ)。
そして、誤読IDを検出し、取り除いたものが正規のIDである。
これら正規のID番号は、ネットワークインタフェース部21で、ネットワークを伝搬する信号に変換され、ネットワーク3を経由してホストコンピュータ1に伝わる。
【0030】
次に、1回のタグIDの全数読み取り処理の流れを、図4を用いて説明する。
ここでは、InventoryTags処理を例して説明する。
InventoryTags処理は、EPC(Electronic Product Code) Globalの規定するC1G2(Class1 Generation2)と呼ばれる、リーダ装置とタグ集団間のコマンドを使ったものである。
【0031】
まず、S20において、ラウンド制御部223がInventoryTags処理全体で読まれたタグの総数T=0と初期化する。
次に、S21において、リーダ装置2は、コマンド生成部222と送信信号変換部231の制御の下、サーキュレータ232から、タグ集団6にSelectコマンドを送信し、タグ集団のうち、今回の処理に無関係のタグが入っていたら、それを排除する。具体的には、物品に貼付されているタグ以外のタグが排除対象となる。
対象外タグ8は、排除対象にはならない。
Selectコマンドにより、今回の読み取り対象のタグが初期化され、まだリーダ装置2から読まれていない状態となる。
次に、S22において、ラウンド制御部223が、スロット番号K=1、ラウンド内で読んだタグ数R=0、コリージョン数C=0と初期化する。
S23において、リーダ装置2は、コマンド生成部222と送信信号変換部231の制御の下、サーキュレータ232がQueryコマンドを送信し、Queryコマンドでスロット数を指定する。
タグは、これらのスロットのうちいずれか一つのスロットでレスポンスを返す。スロット番号は乱数で決定される。
次に、リーダ装置2では、S24において、HandleNumber検出部234がタグからのレスポンス(HandleNumber)があるかを判定する。あれば、S25へ進む、なければコリージョン検出部235がコリージョン検出の有無を確認し、コリージョン検出の場合は、ラウンド制御部223がS29でコリージョン数Cをカウントアップし、S30へ進む。
【0032】
S25では、リーダ装置2は、コマンド生成部222と送信信号変換部231の制御の下、サーキュレータ232がAckコマンドを送信し、タグはそれにIDを応答する。
次に、S26において、リーダ装置2では、ID検出部236がタグからのIDを検出するとともに、RSSI計測部237が受信信号強度(RSSI:Receive Signal Strength Indicator)を計測する。
そして、IDとRSSIの組をリーダ装置内のメモリ224に蓄積する。
さらに、ラウンド制御部223が読まれたタグの総数Tをカウントアップする。
また、ラウンド制御部223が、S27において、読まれたタグ数Rをカウントアップする。
【0033】
S30では、次のスロットに入るために、コマンド生成部222と送信信号変換部231の制御の下、サーキュレータ232がQueryRepeatコマンドを送信する。
Ackの後にQueryRepeatコマンドを受けたタグは、リーダ装置2からIDが読み取られたと認識する。つまり、このあとのラウンド処理では、このタグはレスポンスを返さない。
ラウンド制御部223は、S31において、Kがこのラウンドで実行すべきスロット数Kendに達していなければ、インクリメントし(S32)、S24〜S31の処理を繰り返す。
また、S33において、今回のタグ数Rとコリージョン数Cが共にゼロであれば、S35へ進む。そうでなければ、S22に戻る。
S35では、ラウンド制御部223が、以上の処理でメモリに蓄積されたT組のIDとRSSIの組より、誤読IDと判定されるものを選別する。
選別方法は、図5に示すように、タグ集団6の中のタグ個数が予め分かっている場合と、分かっていない場合で異なる。
【0034】
図5に示すように、(1)タグ集団6のタグ個数が予め分かっている場合は、タグ集団6のタグ個数をTknownとする。このTknownはID受信対象数である。また、Tknownは判定基準値記憶部226に格納されている。
タグの読み落としがなければ、T≧Tknownの関係が成立する。実施の形態では、リーダ装置2の性能は十分良く、読み落としは発生しないことを前提としている。
ラウンド制御部223は、T=Tknownの場合は、「誤読タグ」はなかったものと判定し、メモリ上にあるすべてのIDがタグ集団6のIDと看做す。
一方、ラウンド制御部223は、T>Tknownの場合は、ΔT=(T−Tknown)個の「誤読ID」が存在していると判定する。タグ集団6のタグは、アンテナ4の前に静止することで、十分良好な通信環境が確保され、高いRSSI値が得られる。一方、誤読タグは、タグ集団6に含まれるタグより、通信環境が悪く、RSSI値が低い。従って、(ID,RSSI)の組をRSSI値でソートし、RSSI値の低い方からΔT個のIDが「誤読ID」であると判定される。
【0035】
また、図5に示すように、(2)タグ集団6のタグ個数が予め分かっていない場合は、タグ集団6の最低RSSI値を予め決めておく。その値をRSSIthとする。このRSSIthは、判定基準値記憶部226に格納されている。また、“正規のタグのRSSI”≧RSSIth>“誤読タグのRSSI”の関係が成り立つようにRSSIthを選ばなければならない。
この条件下で、ラウンド制御部223は、(ID,RSSI)の組のうち、RSSI値がRSSIthより小さいものを「誤読ID」と見做す。誤読IDを読みとられたT個のIDから取り除いたID集合が、InventoryTagsで求められたIDの集合である。
【0036】
以上が、タグ集団6が停止しているときのInvenoryTagsの処理である。
【0037】
このように、本実施の形態では、受信対象外のタグが、リーダ装置のアンテナ付近に存在しており、リーダ装置が受信対象外のタグからIDを読み込んだとしても、当該受信対象外のタグのIDを誤読IDとして排除することができるので、誤読IDの読み込みに起因する誤動作を回避することができる。
また、本実施の形態では、タグ集団のタグ個数が分かっている場合、分かっていない場合のいずれにおいても、誤読IDを判別し、誤読IDを排除することができる。
【0038】
本実施の形態では、以下の手段を備えたRFIDリーダライタ装置を説明した。
(a)タグIDの全数読み取り処理(InventoryTags)を実行する手段。
(b)タグIDの読み取りと同時に受信信号強度(RSSI)を計測する手段。
(c)タグID毎に読み取れた受信信号強度を記録する手段。
(d)IDの受信電力の記録により、本来読むべきではないタグ(誤読タグと呼ぶ)を判定する手段。
【0039】
また、本実施の形態では、以下の手段を備えたRFIDリーダライタ装置。
(a)誤読タグと正規タグの受信信号強度を切り分ける閾値を設定する手段。
(b)閾値より、小さい受信信号強度のIDを誤読タグと判定する手段。
【0040】
また、本実施の形態では、以下の手段を備えたRFIDリーダライタ装置。
(a)読み取るタグの総数を設定する手段。
(b)受信信号強度の順にIDをソートする手段。
(c)読み取るタグの総数より、受信信号強度が下位の順にあるIDを誤読タグと判定する手段。
【0041】
実施の形態2.
本実施の形態では、タグ集団6が移動しながら検品される例を、図6〜図8を参照して説明する。
【0042】
RFIDシステム全体の構成は、実施の形態1と同等であり、図1で示される。
【0043】
タグ集団6の読み取りの時点での物理的な配置関係は図6で示される。台車7およびタグ集団6は、停止することなく、アンテナ4の前を通過したときに、タグ集団6がリーダ装置2によって読みだされる。
この場合、一般的に、InvenoryTags処理は、台車の正面に来る前に始まり、台車が通り過ぎるまで継続する。
つまり、センサ28の位置は、台車の進行方向に対して手前になるのが一般的である。
タグは、アンテナとの距離、指向性の関係から、かろうじて通信可能な状態になれば、たまたま通信ができてしまうことがある。
そのような場合、実施の形態1の方式をそのまま適用すると、そのタグのRSSIは低い値になり、誤読タグと判断されてしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態ではリーダ装置2の動作を図7のように変更して対応している。
実施の形態1の図4との差異は、ステップS34がある点だけである。
S34は、ラウンドの終了時に、RSSIの低いIDに対しては、IDの読み取りシーケンスを再実行するステップである。このステップの具体的なフローを図8に示す。
【0044】
図8において、T個の(ID,RSSI)の組の番号をUとした。
U番目のIDをID(U)、RSSIをRSSI(U)と表記しており、Uは、0からT−1までの整数値をとる。
また、誤読タグと区別ができるRSSIの閾値を予めRSSIthとして決めておく。このRSSIthは、判定基準値記憶部226に格納されている。
【0045】
S40では、ラウンド制御部223は、ここまでのInventoryTags処理で読まれたタグ個数U=0と初期化する。
次に、S41において、ラウンド制御部223は、U番目のタグのRSSIがRSSIthより低いかどうかを調べ、低ければ、当該U番目のタグを再読み取りの対象として(U番目のタグのIDを再受信対象IDとして)分類し、ステップS42へ移行する。U番目のタグのRSSIがRSSIthより低くなければ、このタグは、再読み取りは不要なのでステップS48へ移行する。
S42では、コマンド生成部222と送信信号変換部231の制御の下、サーキュレータ232がタグ集団6にU番目のタグのIDを持ったタグのみ応答するようSelectコマンドを送信する。EPC Globalのコマンドを使えば、このような処理は可能である。
S43では、コマンド生成部222と送信信号変換部231の制御の下、サーキュレータ232がQueryコマンドを送信する。ここでスロット数は1を指定する。従って、電波的に通信可能であれば、必ず、ID[U]のタグのみが応答してくる。
次に、S44において、HandleNumber検出部234がタグからのレスポンス(HandleNumber)があるかを判定する。レスポンスがあれば、ステップS45へ進む。
一方、このタグが通信可能な位置にいなければ応答はない。そのときは、ステップS48へ進む。
【0046】
S45では、コマンド生成部222と送信信号変換部231の制御の下、サーキュレータ232がAckコマンドを送信し、タグはそれにIDを応答する。
S46において、ID検出部236がタグからのIDを抽出するとともに、RSSI計測部237がRSSIを計測する。
また、RSSI計測部237は、S46で計測したRSSIが、すでにメモリ224に格納されているRSSI[U]より高いかを判定する。高ければステップS47へ進む。そうでなければステップS48へ進む。
S47では、RSSI計測部237は、RSSI[U]を今回受信されたRSSIに置き換える。
次に、S48では、ラウンド制御部223が、メモリ224に記録されている次のタグを調べるためにUをインクリメントする。
そして、S49において、Uがこれまで読みとれたタグ数Tより小さければ、S41に戻り、S41〜S48の処理を繰り返す。U=Tになれば、処理を終了する。
【0047】
図7において、以上のステップS34の処理により、RSSIが低かったタグについては、再度RSSIを書きかえるチャンスが与えられた。
つまり、タグ集団6のタグにおいては、アンテナから遠い位置で読めたタグも、アンテナに近い位置に来た時に再度RSSIを計測されるので、検品が終了する頃には、十分高いRSSIに書きなおされている。
ステップS35の処理は、RSSI値が改善されているので、図5による方法がそのまま利用できる。
この実施の形態においては、タグ数が予め分かっている場合は、RSSIthを厳密な値ではなく、より大きな値に設定しても構わない。
なぜならば、相対的に誤読タグのRSSI値が正規のタグより低ければ、RSSIthが高くても、正しいタグを誤読タグと誤ることがないからである。
タグ数が予め分かっていない場合は、“正規のタグのRSSI”≧RSSIth>“誤読タグのRSSI”の関係が成り立つようにRSSIthを選ばなければならない点は実施の形態1と同じである。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、移動するタグ集団からIDを読み取る際に、RSSIの値が閾値よりも低いタグ(ID)があった場合でも、RSSI値が低いタグに対して再度ID読み取り処理を行うため、正規タグであれば移動により閾値よりも高いRSSI値を得られるので、高精度に誤読タグ(誤読ID)を排除することができる。
また、本実施の形態においても、再読み取りにより、タグ集団のタグ個数が分かっている場合、分かっていない場合のいずれにおいても、誤読IDを判別し、誤読IDを排除することができる。
【0049】
本実施の形態では、以下の手段を備えたRFIDリーダライタ装置を説明した。
(a)誤読タグの可能性があるか否かを切り分ける受信信号強度の閾値を設定する手段。
(b)上記閾値より小さい受信信号強度のタグIDを、それまで受信されたIDの中から選択する手段。
(c)前記の選択されたIDについて、タグの個別の読み込みを実施する手段。
【0050】
実施の形態3.
次に、本実施の形態では、タグ集団6のタグ数がさらに多く、複数のアンテナを切り替えながらタグの読み取りを行う例について説明する。
この場合は、アンテナを切り替える度に、InventoryTagsを処理する。
即ち、複数回のInventoryTagsを実行したあとに、「誤読タグ」を検出することになる。
以下、図9〜図12を用いて説明する。
【0051】
RFIDシステム全体の構成は、図9に示す。
図1と主要部分は同じであるが、アンテナは41と42の2台ある。
それに伴い、リーダ装置2がアンテナ切り替え装置24を持ち、アンテナ41、42は、それぞれアンテナケーブル51,52と接続され、アンテナ切り替え装置24に繋がっている。アンテナ41、42は交代でタグからIDの読み取りを行う。
また、タグ集団6も601a、601b、601c、601d、601e、601f,602a、602b、....、610a、610b、610c、610d、610e、610fと10行×6列=60個存在する。
タグ集団6とアンテナ41,42、対象外タグ8の物理的配置は、図10のようになる。
タグ集団6は、アンテナ41、アンテナ42の間を通過しながらすべてのタグの読み取りを行う。
このとき、a列、c列、e列は、アンテナ41に向けて貼付され、b列、d列、f列は、アンテナ42に向けて貼付してある。
リーダ装置のアンテナ切り替えとInventoryTags実行、InvenoryTags毎のタグ数Rの蓄積の様子を図11に示す。
【0052】
図11において、S01では、ラウンド制御部223は読みとれたタグ数Tを0に初期化する。また、InventoryTagsの回数Iを0に初期化する。
S02では、ラウンド制御部223はアンテナ41を指定する。このとき、図9のアンテナ切り替え装置24は、アンテナケーブル51と接続されることになる。
S12では、I回目のInventoryTagsを実行する。詳細は、図12のフローチャートに従う。
S13では、I回目のInventoryTagsで読めたタグ数R[I]をメモリ224に記録する。さらにIをインクリメントする。
S14では、ラウンド制御部223が過去N回のInventoryTagsで読めたタグ数R[I−N],R[I−N+1],…,R[I−1]をメモリ224から読み出し、それがすべて0であれば、読みだし処理は終了したと判断し、ステップS15へ移る。通常は、Nは2〜4程度の値を事前にセットしておく。
一方、すべてが0でないとき、読みだし処理が終了していないので、ステップS11へ移る。
S11では、ラウンド制御部223がアンテナを切り替える。現在アンテナ41を利用していればアンテナ42につながるようにアンテナ切り替え装置24を接続する。また、現在アンテナ42を利用していればアンテナ41につながるようにアンテナ切り替え装置24を接続する。
S15では、ラウンド制御部223がIDをRSSIにより選別する。このやり方は、実施の形態1、実施の形態2と同様に図5に従う。
【0053】
さらに、図12にてステップS12の詳細を示す。
本フローチャートは、実施の形態2と主要部分は同じであるが、以下の3点が異なっている。
(1)図7のステップS20のTの初期化が不要となり、削除している。
(2)図7のステップS26は、無条件にIDとRSSIをメモリに蓄積することになっているが、図12では、IDがメモリに蓄積されていないときのみ、IDとRSSIに蓄積する。また、このときのみTをインクリメントする。
(3)図7のステップS35のIDの選別処理が不要であり、削除している。
図7のステップS20とステップS35に相当する処理が、図12で削除されているが、同等処理が、図11のステップS01とステップS15で実行されている。
【0054】
このように、本実施の形態では、リーダ装置2は、交代でタグからの無線信号を受信する複数のアンテナに接続され、RSSI計測部237は、各アンテナが無線信号を受信する度に、無線信号受信時の受信信号強度を計測し、ID検出部236は、各アンテナの受信信号からタグのIDを検出する。
そして、メモリ224は、複数のアンテナによる無線信号の受信に対して、ID検出部236により検出されたIDと、RSSI計測部237により計測された受信信号強度とを対応付ける。
また、ラウンド制御部223は、RSSI計測部237により計測された複数のアンテナにおける受信信号強度のレベルを解析して、ID検出部236により検出されたIDの中から誤読IDを判別する。
【0055】
このように、本実施の形態によれば、多数のタグから構成されるタグ集団を対象にし、複数のアンテナを用いる場合でも、高精度に誤読タグ(誤読ID)を排除することができる。
【0056】
本実施の形態では、以下の手段を備えたRFIDリーダライタ装置を説明した。
(a)複数のアンテナが接続されている。
(b)複数アンテナとの接続を切り替える手段。
(c)ホストコンピュータからの読み取り命令により複数回のInventoryTagsを実行する。
(d)InventoryTagsの実行の度に、アンテナを切り替える手段。
(e)複数回のInventoryTagsで得られたタグ情報(ID、受信信号強度)から誤読タグを判定する手段。
【0057】
以上のように、実施の形態1〜3のRFIDシステムを活用した物流管理システムでは、物品(タグ集団)が停止して検品するケースや、物品を検品ゲート(リーダ装置のアンテナ)の前を通過されながら検品するケースで、近傍に放置された、本来読むべきでないタグの「誤読」を判断して、物流管理システムに伝達されるので、誤動作を防止することができる。
さらに、検品されるタグの個数が、予め知らされている場合においても、知らされていない場合においても、上記のような効果を上げることができる。
【0058】
最後に、実施の形態1〜3に示したリーダ装置2のハードウェア構成例について説明する。
図14は、実施の形態1〜3に示すリーダ装置2のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図14の構成は、あくまでもリーダ装置2のハードウェア構成の一例を示すものであり、リーダ装置2のハードウェア構成は図14に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0059】
図14において、リーダ装置2は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。
CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
また、CPU911は、例えば、受信フィルタ233、サーキュレータ232を介してアンテナ4に接続されている。
また、ネットワークインタフェース部21には、例えば、通信ボード915が含まれる。
【0060】
更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)と接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード(登録商標)読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
実施の形態1〜3で説明したメモリ224や判定基準値記憶部226は、RAM914、磁気ディスク装置920等により実現される。
通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904などは、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901などは、出力装置の一例である。
【0061】
通信ボード915は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)、SAN(ストレージエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
【0062】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
プログラム群923のプログラムは、CPU911がオペレーティングシステム921を利用しながら実行する。
【0063】
また、RAM914には、CPU911に実行させるオペレーティングシステム921のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
また、RAM914には、CPU911による処理に必要な各種データが格納される。
【0064】
また、ROM913には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが格納され、磁気ディスク装置920にはブートプログラムが格納されている。
リーダ装置2の起動時には、ROM913のBIOSプログラム及び磁気ディスク装置920のブートプログラムが実行され、BIOSプログラム及びブートプログラムによりオペレーティングシステム921が起動される。
【0065】
上記プログラム群923には、実施の形態1〜3の説明において「〜部」(判定基準値記憶部226以外、以下同様)として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0066】
ファイル群924には、実施の形態1〜3の説明において、「〜の判断」、「〜の選択」、「〜の選別」、「〜の判別」、「〜の分類」、「〜の設定」、「〜の登録」、「〜の解析」、「〜の計測」、「〜の抽出」、「〜の検出」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、実施の形態1〜3で説明しているフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0067】
また、実施の形態1〜3の説明において「〜部」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。
すなわち、実施の形態1〜3で説明したフローチャートに示すステップ、手順、処理により、本発明に係るデータ処理方法を実現することができる。
また、「〜部」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、実施の形態1〜3の「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、実施の形態1〜3の「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0068】
このように、実施の形態1〜3に示すリーダ装置2は、処理装置たるCPU、記憶装置たるメモリ、磁気ディスク等、入力装置たるキーボード、マウス、通信ボード等、出力装置たる表示装置、通信ボード等を備えるコンピュータであり、上記したように「〜部」として示された機能をこれら処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を用いて実現するものである。
【符号の説明】
【0069】
1 ホストコンピュータ、2 リーダ装置、3 ネットワーク、4 アンテナ、5 アンテナケーブル、6 タグ集団、7 台車、8 対象外タグ、21 ネットワークインタフェース部、22 通信制御部、23 無線通信部、24 アンテナ切り替え装置、28 センサ、41 アンテナ、42 アンテナ、51 アンテナケーブル、52 アンテナケーブル、221 命令解析部、222 コマンド生成部、223 ラウンド制御部、224 メモリ、225 応答生成部、226 判定基準値記憶部、231 送信信号変換部、232 サーキュレータ、233 受信フィルタ、234 HandleNumber検出部、235 コリージョン検出部、236 ID検出部、237 RSSI計測部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグより、無線タグのID(Identification)が含まれる無線信号を受信するアンテナに接続され、
前記アンテナが無線信号を受信する度に、無線信号受信時の受信信号強度を計測する受信信号強度計測部と、
前記アンテナの受信信号から無線タグのIDを検出するID検出部と、
前記ID検出部により検出されたIDと、前記受信信号強度計測部により計測された受信信号強度とを対応付けるID強度対応付け部と、
前記受信信号強度計測部により計測された受信信号強度のレベルを解析して、前記ID検出部により検出されたIDの中から、ID受信の対象になっていなかったが誤ってIDが受信されてしまった無線タグからの誤読IDを判別する誤読ID判別部とを有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記データ処理装置は、更に、
ID受信の対象になっている無線タグからの無線信号の受信信号強度と区別するための閾値を記憶する閾値記憶部を有し、
前記誤読ID判別部は、
前記閾値未満の受信信号強度を抽出し、抽出した受信信号強度に対応付けられているIDを誤読IDと判定することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記データ処理装置は、更に、
ID受信の対象となる無線タグの数をID受信対象数として記憶するID受信対象数記憶部を有し、
前記誤読ID判別部は、
受信信号強度の順にIDを順位付けし、前記ID受信対象数よりも下位の順位にあるIDを誤読IDと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記誤読ID判別部は、
所定レベル未満の受信信号強度を抽出し、抽出した受信信号強度に対応付けられているIDを再受信対象IDとして分類し、
前記アンテナは、
前記誤読ID判別部により分類された再受信対象IDを持つ無線タグから無線信号を再受信し、
前記受信信号強度計測部は、
前記再受信対象IDを持つ無線タグからの無線信号再受信時の受信信号強度を計測し、
前記誤読ID判別部は、
前記再受信対象IDを持つ無線タグからの再受信時の受信信号強度及び初回受信時の受信信号強度の少なくともいずれかを解析して、前記再受信対象IDが誤読IDであるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかにデータ処理装置。
【請求項5】
前記誤読ID判別部は、
前記再受信対象IDを持つ無線タグからの再受信時の受信信号強度が初回受信時の受信信号強度を上回っていれば、再受信時の受信信号強度を解析して、前記再受信対象IDが誤読IDであるか否かを判定することを特徴とする請求項4にデータ処理装置。
【請求項6】
前記データ処理装置は、
交代で無線タグからの無線信号を受信する複数のアンテナに接続され、
前記受信信号強度計測部は、
各アンテナが無線信号を受信する度に、無線信号受信時の受信信号強度を計測し、
前記ID検出部は、
各アンテナの受信信号から無線タグのIDを検出し、
前記ID強度対応付け部は、
前記複数のアンテナによる無線信号の受信に対して、前記ID検出部により検出されたIDと、前記受信信号強度計測部により計測された受信信号強度とを対応付け、
前記誤読ID判別部は、
前記受信信号強度計測部により計測された前記複数のアンテナにおける受信信号強度のレベルを解析して、前記ID検出部により検出されたIDの中から誤読IDを判別することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項7】
無線タグより、無線タグのID(Identification)が含まれる無線信号を受信するアンテナに接続されているデータ処理装置において行われるデータ処理方法であって、
前記アンテナが無線信号を受信する度に、前記データ処理装置が、無線信号受信時の受信信号強度を計測する受信信号強度計測ステップと、
前記データ処理装置が、前記アンテナの受信信号から無線タグのIDを検出するID検出ステップと、
前記データ処理装置が、前記ID検出ステップにより検出されたIDと、前記受信信号強度計測ステップにより計測された受信信号強度とを対応付けるID強度対応付けステップと、
前記データ処理装置が、前記受信信号強度計測ステップにより計測された受信信号強度のレベルを解析して、前記ID検出ステップにより検出されたIDの中から、ID受信の対象になっていなかったが誤ってIDが受信されてしまった無線タグからの誤読IDを判別する誤読ID判別ステップとを有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項8】
無線タグより、無線タグのID(Identification)が含まれる無線信号を受信するアンテナに接続されているコンピュータに、
前記アンテナが無線信号を受信する度に、無線信号受信時の受信信号強度を計測する受信信号強度計測処理と、
前記アンテナの受信信号から無線タグのIDを検出するID検出処理と、
前記ID検出処理により検出されたIDと、前記受信信号強度計測処理により計測された受信信号強度とを対応付けるID強度対応付け処理と、
前記受信信号強度計測処理により計測された受信信号強度のレベルを解析して、前記ID検出処理により検出されたIDの中から、ID受信の対象になっていなかったが誤ってIDが受信されてしまった無線タグからの誤読IDを判別する誤読ID判別処理とを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−113496(P2011−113496A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271862(P2009−271862)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】