説明

データ変換のシステムおよび方法

【課題】ディジタル化されたAC信号に対して非線形データ変換を実行するデータ変換システムを提供する。
【解決手段】非線形データ変換システム100は、ディジタル化されたAC信号を受け取る入力と、非線形変換された信号を出力する出力と、入力および出力に結合された処理システム104とを含む。処理システム104は、ディジタル化されたAC信号を受け取り、非線形変換された信号を作成するために所定の伝達関数を使用してディジタル化されたAC信号を非線形変換し、非線形変換された信号を出力に転送するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ変換システムおよびデータ変換方法に関し、より具体的には、非線形データ変換を実行するデータ変換システムおよびデータ変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オプトカプラは、光を使用して第1デバイスから第2デバイスへ信号を通信するデバイスである。したがって、オプトカプラを使用して、特定のコンポーネントまたは回路の間などで、電気絶縁を提供することができる。電気絶縁は、コンポーネントまたは回路が過度な電流を引き出すのを防ぐのに有利に使用することができる。さらに、電気絶縁を使用して、デバイス内の短絡または他の問題が他のデバイスに影響するのを防ぐことができる。その結果、オプトカプラは、電気デバイスおよび/または電気回路を絶縁するのにしばしば使用される。
【0003】
1つの絶縁応用例は、デバイスが爆発性環境または危険な環境内に配置される場合に使用される。オプトカプラを使用して、デバイスが過度な電流を引き出さず、引き出すことができず、したがって電気火花を生じまたは点火を引き起こすことができないことを保証することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オプトカプラは、欠点を有する。オプトカプラは、比較的遅いスイッチング速度を有する。その結果、オプトカプラは、制限されたシグナリング帯域幅を有する。さらに、オプトカプラは、受動デバイスであり、信号伝送制御または信号伝送調整を全く実行しない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、ディジタル化されたAC信号に対して非線形データ変換を実行するデータ変換システムは、
ディジタル化されたAC信号を受け取る入力と、
非線形変換された信号を出力する出力と、
入力および出力に結合され、ディジタル化されたAC信号を受け取り、非線形変換された信号を作成するために所定の伝達関数を使用してディジタル化されたAC信号を非線形変換し、非線形変換された信号を出力に転送するように構成された処理システムと
を含む。
【0006】
好ましくは、所定の伝達関数は、所定の基準点に関して非線形変換された信号を作成する。
好ましくは、所定の伝達関数は、ディジタル化されたAC信号のディジタル値を二者択一的に圧縮しまたは増幅するように構成される。
【0007】
好ましくは、所定の伝達関数は、所定の基準点からの距離に関してディジタル化されたAC信号のディジタル値を二者択一的に圧縮しまたは増幅するように構成される。
好ましくは、非線形データ変換は、非線形変換された信号内で位相情報を実質的に保存する。
【0008】
好ましくは、非線形データ変換は、非線形変換された信号内でゼロ交差情報を保存する。
好ましくは、非線形データ変換は、非線形変換された信号の信号帯域幅を実質的に減らす。
【0009】
本発明の一態様では、ディジタル化されたAC信号のデータ変換方法は、
ディジタル化されたAC信号を受け取るステップと、
非線形変換された信号を作成するために所定の伝達関数を使用してディジタル化されたAC信号を非線形変換するステップと、
非線形変換された信号を転送するステップと
を含む。
【0010】
好ましくは、所定の伝達関数は、所定の基準点に関して非線形変換された信号を作成する。
好ましくは、所定の伝達関数は、ディジタル化されたAC信号のディジタル値を二者択一的に圧縮しまたは増幅するように構成される。
【0011】
好ましくは、所定の伝達関数は、所定の基準点からの距離に関してディジタル化されたAC信号のディジタル値を二者択一的に圧縮しまたは増幅するように構成される。
好ましくは、非線形データ変換は、非線形変換された信号内で位相情報を実質的に保存する。
【0012】
好ましくは、非線形データ変換は、非線形変換された信号内でゼロ交差情報を保存する。
好ましくは、非線形データ変換は、非線形変換された信号の信号帯域幅を実質的に減らす。
【0013】
本発明の一態様では、オプトカプラ伝送媒体を介する信号伝送を制御するオプトカプラ伝送システムは、
オプトカプラと、
オプトカプラに結合され、第1デバイスから伝送の試みを受け取り、第2デバイスがオプトカプラを介して既に伝送しつつあるかどうかを判定し、伝送の試みの受取りがパワーアップ発生の後のデッドバンド(deadband)期間の外であるかどうかを判定し、第2デバイスが伝送してはおらず、デッドバンド期間が経過済みである場合に、オプトカプラを介して第1デバイスから伝送するように構成されたコントローラと
を含む。
【0014】
好ましくは、コントローラは、第2デバイスが既に伝送しつつある場合に、第2デバイスが伝送を完了し終えるまで、第1デバイスがオプトカプラを介して伝送するのを待たせるようにさらに構成される。
【0015】
好ましくは、コントローラは、伝送の試みがデッドバンド期間内である場合に、デッドバンド期間が経過し終えるまで、第1デバイスがオプトカプラを介して伝送するのを待たせるようにさらに構成される。
【0016】
好ましくは、オプトカプラ伝送システムは、オプトカプラを介して通信する少なくとも2つのデバイスを含む。
好ましくは、オプトカプラ伝送システムは、マスタ−スレーブ通信方式を実施する。
【0017】
本発明の一態様では、オプトカプラ伝送媒体を介する信号伝送を制御する伝送制御方法は、
第1デバイスから伝送の試みを受け取るステップと、
第2デバイスがオプトカプラ伝送媒体を介して既に伝送しつつあるかどうかを判定するステップと、
伝送の試みの受取りがパワーアップ発生の後のデッドバンド期間の外であるかどうかを判定するステップと、
第2デバイスが伝送してはおらず、デッドバンド期間が経過済みである場合に、オプトカプラ伝送媒体を介して第1デバイスから伝送するステップと
を含む。
【0018】
好ましくは、この方法は、第2デバイスが既に伝送しつつある場合に、第2デバイスが伝送を完了し終えるまで、第1デバイスがオプトカプラ伝送媒体を介して伝送するのを待たせるステップをさらに含む。
【0019】
好ましくは、この方法は、伝送の試みがデッドバンド期間内である場合に、デッドバンド期間が経過し終えるまで、第1デバイスがオプトカプラ伝送媒体を介して伝送するのを待たせるステップをさらに含む。
【0020】
好ましくは、オプトカプラ伝送媒体は、オプトカプラ伝送媒体を介して通信する少なくとも2つのデバイスを含む。
好ましくは、この方法は、マスタ−スレーブ通信方式を実施する。
【0021】
同一の参照番号は、すべての図面で同一の要素を表す。図面が、必ずしも原寸通りではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態によるバスループシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態による信号プロセッサの絶縁特徴のさらなる詳細を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に従って、ディジタル化されたAC信号に対してデータ変換を実行する変換システムを示す図である。
【図4】本発明の実施形態による伝達関数を示す図である。
【図5】変換システムの入力でのAC信号を示す図である。
【図6】本発明による非線形データ変換の後のディジタル化されたAC信号を示す図である。
【図7】本発明の実施形態によるディジタル化されたAC信号のデータ変換方法を示す流れ図である。
【図8】デバイスAとデバイスBとの間でオプトカプラ伝送媒体を介して二重通信を実行する従来技術のオプトカプラ通信システムを示す図である。
【図9】本発明の実施形態によるオプトカプラ通信システムを示す図である。
【図10】本発明の実施形態によるオプトカプラ通信システムのさらなる詳細を示す図である。
【図11】本発明の実施形態によるオプトカプラ伝送媒体を介する信号伝送を制御する伝送制御方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜11および次の説明は、本発明の最良の態様を作成し、使用する方法を当業者に教示するために特定の例を示すものである。発明的原理を教示するために、いくつかの従来の態様は、単純化されるか省略された。当業者は、本発明の範囲に含まれる、これらの例からの変形形態を了解するであろう。当業者は、下で説明される特徴をさまざまな形で組み合わせて、本発明の複数の変形形態を形成できることを了解するであろう。その結果、本発明は、下で説明される特定の例に限定されるのではなく、特許請求の範囲およびその同等物のみによって限定される。
【0024】
図1に、本発明の実施形態によるバスループシステム100を示す。バスループ100は、ホストシステム1、バスループ4、バス機器10、およびバス機器10をバスループ4に結合する信号プロセッサ30を含む。ホストシステム1は、バスループ4上でループ電圧Vおよびループ電流Iを生成する。ホストシステム1は、中央制御装置、CPU、またはバスループ4上で受け取られる信号を処理するのに使用される、ある他の処理システムを含むことができる。本発明の一実施形態によれば、バスループ4は、2線式バスループ4を含む。しかし、バスループ4が、2線式バスループを含む必要がないことを理解されたい。
【0025】
バス機器10は、流量計など、すべての形のセンサまたはメーターを含むことができる。バス機器10が流量計を含む実施形態では、流量計は、コリオリ式流量計または密度計などの振動流量計(vibratory flow meter)を含むことができる。図1に示されているように、バス機器10は、センサ13およびバス機器エレクトロニクス20を含む。バス機器エレクトロニクス20は、すべての形のCPU、処理システム、またはマイクロプロセッシングシステムを含むことができる。本発明の実施形態によれば、センサ13は、第1アナログ信号を生成し、第1アナログ信号をバス機器エレクトロニクス20に入力するように構成される。バス機器エレクトロニクス20は、バスループ4内を流れる可変ループ電流Iの形である第2アナログ信号を生成することができる。バス機器10を、2線式バス4と共に使用されるときに所定のまたは制限された量の電力を引き出すように構成することができる。バスループシステム100に組み込まれた測定通信プロトコルおよび電力制限のゆえに、バス機器10を、信号プロセッサ30を使用して2線式バスループ4から絶縁することができる。いくつかの実施形態では、信号プロセッサ30は、本質安全(intrinsically safe、I.S.)バリア(破線)を含むことができる。
【0026】
絶縁は、バス機器10が2線式バスループ4およびホストシステム1から引き出すことのできる電力を制限する。絶縁は、バス機器10の破局故障の場合に、2線式バスループ4およびホストシステム1への損傷を防ぐ。さらに、絶縁は、爆発の危険を除去し、バス機器10の環境内のすべての爆発性材料または引火性材料の発火を防ぐために、I.S.バリアを介する電力転送を制限する。
【0027】
図2に、本発明の実施形態による信号プロセッサ30の絶縁特徴のさらなる詳細を示す。この信号プロセッサは、バス機器10から第1アナログ信号を受け取るものとして図示されている。しかし、第1アナログ信号が、バス機器10から発する必要があるのではなく、信号プロセッサ30が、アナログ信号処理が要求される他の環境で利用され得ることを理解されたい。リード220を介してバス機器10から受け取られたアナログ信号は、アナログ−ディジタル変換器240によって受け取られ、この信号は、このアナログ−ディジタル変換器240でディジタル化される。本発明の一実施形態によれば、アナログ−ディジタル変換器240は、ΔΣ変換器を含み、このΔΣ変換器は、アナログ信号を直列ビットストリームに変換する。しかし、他のアナログ−ディジタル変換器を使用することができ、使用される特定のアナログ−ディジタル変換器が本発明の範囲を限定してはならないことを理解されたい。
【0028】
本発明の実施形態によれば、信号プロセッサ30は、2線式バスループ4とアナログ−ディジタル変換器240との間に接続されるオプトカプラ115を含む。オプトカプラ115は、光アイソレータ、光カプラ、またはフォトカプラと呼ばれる場合もある。オプトカプラ115は、バス機器10をホストシステム1から電気的に絶縁する。その結果、バス機器10は、2線式バスループ4を短絡させることができない。さらに、バス機器10の破局故障は、ホストシステム1から過度な電流を引き出すことができない。オプトカプラ115は、送信器光源122および受信器光源123を含む。送信器光源122および受信器光源123は、レーザ送信器光源およびレーザ受信器光源、LED送信器光源およびLED受信器光源、LEDレーザ送信器光源およびLEDレーザ受信器光源などを含む、すべての形の光反応電子コンポーネントを含むことができる。
【0029】
送信器光源122および受信器光源123は、一般に互いに隣接して形成され、送信器光源122によって生成された光は、受信器光源123によって直接に受け取られる。他の実施形態では、送信器光源122および受信器光源123は、たとえば光ファイバケーブルなどの、ある光デバイスによって分離される。いくつかの実施形態では、この2つのコンポーネントは、図2に示されているように単一のパッケージ内に形成される。しかし、他の実施形態では、送信器光源122および受信器光源123が別々のコンポーネントを含むことができることを理解されたい。
【0030】
送信器光源122は、放たれる光への電流の変換を含む光符号化された信号を生成する。受信器光源123は、この光符号化された信号を受け取り、受け取られた光を電気信号に戻って変換し、この電気信号は、送信器光源122でのオリジナルの電気信号と実質的に同一である。したがって、オプトカプラ115は、ディジタル信号の転送によく適する。
【0031】
図2に示された実施形態では、バス機器10は、第1アナログ信号を生成し、この第1アナログ信号は、アナログ−ディジタル変換器240に送られる。アナログ−ディジタル変換器240は、ディジタル信号を出力する。このディジタル信号は、送信器光源122によって受け取られ、受信器光源123に送られる。その後、受信器光源123は、受け取られた信号を信号コンディショナ250に送る。
【0032】
信号コンディショナ250は、たとえば直列ビットストリームの形であるものとすることができるディジタル信号を処理することができ、ディジタル信号をスケーリングされたパルス幅変調(PWM)信号に変換することができる。その後、PWM信号を、第2アナログ信号に変換し、バスループ4に出力することができる。
【0033】
図3に、本発明の実施形態に従って、ディジタル化されたAC信号に対して非線形データ変換を実行する変換システム100を示す。変換システム100は、1つまたは複数の入力101および1つまたは複数の出力102を含む。変換システム100は、ディジタル化されたAC信号を入力101で受け取り、変換された信号を出力102で出力する。変換された信号を、たとえばオプトカプラ115を介する伝送など、伝送媒体を介する伝送のためにより効率的であり便利な形に変換することができる。しかし、他の伝送媒体が、企図され、この明細書および特許請求の範囲の範囲に含まれる。
【0034】
変換システム100を、ディジタル化されたAC信号を受け取り、所定の伝達関数を使用することによってディジタル化されたAC信号を非線形変換して、変換された信号部分を作成し、変換された信号部分を転送するように構成することができる。変換システム100は、所定の基準点に関して、ディジタル化されたAC信号を変換することができる。変換システム100は、基準点からの垂直距離(すなわち、電圧)など、所定の基準点からの距離に関して、ディジタル化されたAC信号を変換することができる。
【0035】
変換システム100は、信号プロセッサ30または他のバリアデバイスの一部、アナログ−ディジタル(A/D)変換器、プロセッサまたはマイクロプロセッサ、プリプロセッサなどを含む、すべての形のシステムを含むことができる。その代わりに、いくつかの実施形態では、変換システム100は、バス機器10の一部またはバス機器10のサブシステムを含むことができる。
【0036】
変換システム100は、処理システム104およびストレージ(図示せず)を含むことができる。処理システム104は、変換ルーチン110、ディジタル化AC信号ストレージ111(または、信号部分など、ディジタル化されたAC信号の少なくとも一部のストレージ)、および所定の伝達関数112を含むことができる。所定の伝達関数112は、ディジタル化されたAC信号またはその信号部分を処理し、信号部分の非線形変換を実行するのに使用される(下の議論を参照されたい)。
【0037】
図4に、本発明の実施形態による伝達関数を示す。この伝達関数は、圧縮と増幅との両方を含む、非線形である。これは、グラフの上の凡例に示されている。さらに、いくつかの実施形態では、圧縮および増幅をも非線形とすることができる。
【0038】
この伝達関数は、入力波形の全体的な形状を変更せずに、特定の値または領域を調整することによるなど、ディジタル化されたAC信号を変更する。この伝達関数は、ディジタル化されたAC信号を変換する数学関数を含むことができる。代替案では、この伝達関数は、本質的にディジタルフィルタである、ディジタル化されたAC信号によって乗算される一連の係数を含むことができる。ディジタル化されたAC信号は、ディジタル化されたAC信号の転送を改善するため、および転送の効率を改善するために変換される。データ変換は、帯域幅を制限することによって伝送の質を高める。データ変換は、位相情報を維持し、有利なことに、帯域幅を減らしながら位相情報を維持する。データ変換は、ディジタル化されたAC信号の圧縮と増幅との両方によってこれを達成する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ディジタル化は、アナログ測定信号などの時間変動するAC信号に課せられるディジタル通信プロトコルを含むことができる。たとえば、HARTディジタル通信プロトコルを、アナログ電圧信号またはアナログ電流信号に重畳することができる。HARTプロトコルは、いくつかの実施形態で、位相連続周波数偏移変調(CP−FSK)を使用することができる。しかし、他の通信プロトコルおよび変調が、企図され、この明細書および特許請求の範囲の範囲に含まれることを理解されたい。
【0040】
伝達関数は、基準点から指定された距離以内にある入力値に対して増幅を実行する。1つの基準点を、AC信号ゼロ交差点がゼロ電圧レベルの上または下にシフトされた場合であっても、そのゼロ交差点とすることができる。しかし、他の基準点が、企図され、この明細書および特許請求の範囲の範囲に含まれる。
【0041】
増幅は、所定の利得を達成することができる。増幅は、実質的に線形とすることができ、あるいは非線形とすることができる。いくつかの実施形態では、利得は、基準点からの距離に伴って変化することができる。基準点の周囲の増幅は、ゼロ交差情報を保存する。基準点の周囲の増幅は、ゼロ交差識別をより簡単にすることができる。
【0042】
逆に、伝達関数は、前に述べたゼロ交差点などの基準点から所定の距離を超える信号部分に対して圧縮を実行する。圧縮は、実質的に線形とすることができ、あるいは非線形とすることができる。圧縮は、所定の圧縮を達成することができる。いくつかの実施形態では、圧縮は、基準点からの距離に伴って変化することができる。
【0043】
図5に、変換システム100の入力でのAC信号を示す。このAC信号は、振幅および周期を含む時間変動する信号を含む。このAC信号は、既にディジタル化されているものとすることができ、あるいは、その代わりに、いくつかの実施形態では、変換の前に変換システム100によってディジタル化されるものとすることができる。
【0044】
図6に、本発明による非線形データ変換の後のディジタル化されたAC信号を示す。この図から、AC信号の全体的なピークツーピーク振幅が、波形の形状を変更せずに大きく減らされ、圧縮されていることがわかる。この例では、オリジナルAC信号は、約250のオリジナル振幅から約30の振幅に圧縮されている。しかし、それと同時に、ここではゼロ交差点である(振幅が0ではない場合であっても)基準点の周囲の振幅が、増幅されている。ディジタル値が垂直に約1単位離れている圧縮された領域とは対照的に、基準点の周囲の増幅された領域では、ディジタル値が約3単位離れている。これは、基準点の周囲の信号領域が圧縮された場合などのように、ディジタル化されたAC信号の基準点が一緒により近くなり、区別がむずかしくなることがなくなるようにするために行われる。圧縮されたディジタル値は、特にディジタル値に重畳されるノイズの存在下で、判定がむずかしくなる可能性がある。
【0045】
最終的な結果は、基準点から離れたディジタル値(ピークの近くなど)が、圧縮の結果として垂直距離に関して相対的により近くなることである。逆に、基準点の周囲のディジタル値は、増幅によって垂直に離れて移動される。その結果は、基準点がより区別しやすくなると同時に、全体的なAC信号がより少ない全体的な帯域幅を必要とすることである。
【0046】
図7は、本発明の実施形態によるディジタル化されたAC信号のデータ変換方法の流れ図700である。ステップ701では、ディジタル化されたAC信号を受け取る。
ステップ702では、ディジタル化されたAC信号を非線形変換する。伝達関数を使用して、基準点から離れた信号を圧縮する(すなわち、大きいディジタル値を圧縮する)。圧縮は、任意の所望の量の圧縮とすることができ、任意の所望の圧縮を使用することができる。この電圧領域の信号部分の圧縮は、ディジタル化されたAC信号の帯域幅を減らすように動作し、オプトカプラを介するディジタル化されたAC信号の伝送をより効率的にする。さらに、伝達関数を使用して、基準点に近い信号を所定の利得によって増幅する(すなわち、小さいディジタル値を増幅する)。増幅は、任意の所望の利得量によるものとすることができる。増幅は、ディジタル化されたAC信号のゼロ交差によって提供される位相情報を含む位相情報を保存する。さらに、増幅は、ディジタル化されたAC信号がオプトカプラを通過した後に、ディジタル化されたAC信号内でゼロ交差点を区別しやすくすることができる。
【0047】
ステップ703では、信号部分を圧縮し/増幅した後に、非線形変換された信号を、伝送のためにオプトカプラに転送する。伝送の後に、ゼロ交差情報を含む位相情報を、非線形変換された信号から判定することができる。さらに、望まれる場合に、オプションで、圧縮および増幅を、伝送の後に、鏡像(すなわち、逆)伝達関数を使用することによるなど、逆転することができる。その後、この方法は、ステップ701までループバックし、繰り返して信号部分を受け取り、処理することができる。
【0048】
図8に、デバイスAとデバイスBとの間でオプトカプラ伝送媒体を介して二重通信を実行する従来技術のオプトカプラ通信システムを示す。オプトカプラ伝送媒体は、オプトカプラおよび関連するワイヤもしくは他の導体を含む。2つの別々の伝送経路が含まれ、その結果、二重通信(すなわち、両方の方向での通信)を実行できるようになる。いくつかの実施形態では、通信は、半二重通信を含み、ここでは、一時に1つのデバイスだけが伝送することができる。
【0049】
従来技術のオプトカプラ通信システムは、欠点を有する。デバイスAとデバイスBとの両方が、同時に通信を試みることができる。半二重通信システムでの同時通信の試みは、伝送の障害をもたらす。さらに、デバイスAからの伝送が、デバイスAへのエコーバックを作成する場合には、デバイスAは、受け取られたエコーを、誤ってデバイスBからの正当な伝送として解釈する可能性がある。
【0050】
図9に、本発明の実施形態によるオプトカプラ通信システム900を示す。オプトカプラ通信システム900は、デバイスA 905とデバイスB 907との間のオプトカプラ115を含む伝送媒体を介する通信を調整するコントローラ920を含む。いくつかの実施形態のオプトカプラ115は、デバイスの間で半二重(または単信)通信を実行し、ここでは、一時に1つのデバイスだけが伝送することができる。
【0051】
コントローラ920を、オプトカプラ通信システム900内のどこにでも配置することができ、コントローラ920が、例示のみのためにオプトカプラ115の右に図示されていることを理解されたい。いくつかの実施形態では、コントローラ920は、信号プロセッサ30のコンポーネントを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、コントローラ920は、デバイスA 905またはデバイスB 907のコンポーネントを含むことができ、ここでは、デバイスは、マスタ通信デバイスのように動作する。それと同時に、他方のデバイス(1つまたは複数)は、スレーブ通信デバイス(1つまたは複数)として動作する。
【0052】
オプトカプラ通信システム900は、エコーの受信を防ぐように構成される。その代わりにまたはそれに加えて、オプトカプラ通信システム900は、一時に複数のデバイスが伝送するのを防ぐように構成される。
【0053】
いくつかの実施形態のオプトカプラ通信システム900は、第1デバイスA 905から伝送の試みを受け取り、第2デバイスB 907がオプトカプラ115を介して既に伝送しつつあるかどうかを判定し、伝送の試みの受取りがパワーアップ発生の後のデッドバンド期間の外であるかどうかを判定し、第2デバイスB 907が伝送してはおらず、デッドバンド期間が経過済みである場合に、オプトカプラ115を介して第1デバイスA 905から伝送するように構成される。
【0054】
図10に、本発明の実施形態によるオプトカプラ通信システム900のさらなる詳細を示す。この実施形態では、コントローラ920およびオプトカプラ115は、1つのデバイスに組み合わされる。組み合わされたデバイスは、追加の機能および追加の回路網を含むことができる。コントローラ920は、オプトカプラ115を介する伝送を調整するためにコントローラ920によって切り替えられるスイッチ931および932を含むことができる。これらのスイッチは、任意の形のスイッチを含むことができる。
【0055】
図11は、本発明の実施形態によるオプトカプラ伝送媒体を介する信号伝送を制御する伝送制御方法の流れ図1100である。ステップ1101では、伝送の試みをデバイスAなどのデバイスから受け取る。伝送の試みを、任意のデバイスからのものとすることができるが、明瞭にするために、この図および例ではデバイスAが使用されることを理解されたい。
【0056】
ステップ1102では、デバイスBが既に伝送しつつあるかどうかを判定する。デバイスBが既に伝送しつつある場合には、この方法はステップ1103に進む。デバイスBが既に伝送しつつあるのではない場合には、この方法はステップ1105に分岐する。
【0057】
ステップ1103では、デバイスBが既に伝送しつつあり、デバイスAは、伝送を待たされる。この待機は、デバイスBが伝送を完了し終えるまで行われる。
ステップ1104では、この方法は、デバイスBからの伝送が完了するまで、他の伝送の試みを待たせる。この伝送は、いくつかの実施形態ではデバイスBからデバイスAへの伝送を含むことができるが、他のデバイスが、企図され、この明細書および特許請求の範囲の範囲に含まれる。
【0058】
ステップ1105では、デバイスBは既に伝送しているのではなく、この方法は、試みがデッドバンドの外であるかどうかを調べるためにチェックする。伝送の試みがデッドバンドの外ではない場合には、この方法は、ステップ1101までループバックし、すべての伝送が、デッドバンド期間が経過し終えるまで待たされる。そうではなく、伝送の試みがデッドバンドの外である場合には、この方法は、ステップ1106に進む。
【0059】
いくつかのバス機器について、パワーアップフェーズ中に、機器が、仕様に含まれず、伝送されてはならない測定値または他のデータを生成し、外に出す場合がある。この理由から、この方法は、パワーアップの後の所定の時間の間にデッドバンド期間を実施することができる。このデッドバンド期間中に受信された信号を、信頼できないと判定することができ、無視することができる。デッドバンドが満了した後に到着する信号は、許容できると判定される。
【0060】
ステップ1106では、デバイスBが、伝送を待たされる。これは、3つ以上のデバイスがオプトカプラ伝送媒体を介して伝送できる場合に、追加のデバイスを含むことができる。
【0061】
ステップ1107では、デバイスAが伝送を許可される。ステップ1108では、この方法は、デバイスAが伝送を終えたかどうかを調べるためにチェックする。デバイスAが伝送を終えていない場合には、この方法はステップ1106にループバックする。デバイスAが伝送を終えた場合に(そのときに)、この方法は、ステップ1101までループバックし、さらなる伝送の試みを待つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトカプラ(optocoupler)伝送媒体(transmission medium)を介する(through)信号伝送を制御するオプトカプラ伝送システム(900)であって、
オプトカプラ(115)と、
前記オプトカプラ(115)に結合され、第1デバイス(905)から伝送の試み(transmit attempt)を受け取り、第2デバイス(907)が前記オプトカプラ(115)を介して既に伝送しつつある(already transmitting)かどうかを判定し、前記伝送の試みの受取りがパワーアップ発生の後のデッドバンド期間(deadband period)の外(outside)であるかどうかを判定し、前記第2デバイス(907)が伝送してはおらず、前記デッドバンド期間が経過済み(elapsed)である場合に、前記オプトカプラ(115)を介して前記第1デバイス(905)から伝送するように構成されたコントローラ(920)と を含むオプトカプラ伝送システム(900)。
【請求項2】
前記コントローラ(920)は、前記第2デバイス(907)が既に伝送しつつある場合に、前記第2デバイス(907)が伝送を完了し終えるまで、前記第1デバイス(905)が前記オプトカプラ(115)を介して伝送するのを待たせる(hold off)ようにさらに構成される、請求項1に記載のオプトカプラ伝送システム(900)。
【請求項3】
前記コントローラ(920)は、前記伝送の試みが前記デッドバンド期間内である場合に、前記デッドバンド期間が経過し終えるまで、前記第1デバイス(905)が前記オプトカプラ(115)を介して伝送するのを待たせるようにさらに構成される、請求項1に記載のオプトカプラ伝送システム(900)。
【請求項4】
前記オプトカプラ伝送システム(900)は、前記オプトカプラ(115)を介して通信する少なくとも2つのデバイス(905、907)を含む、請求項1に記載のオプトカプラ伝送システム(900)。
【請求項5】
前記オプトカプラ伝送システム(900)は、マスタ−スレーブ通信方式を実施する、請求項1に記載のオプトカプラ伝送システム(900)。
【請求項6】
オプトカプラ伝送媒体を介する信号伝送を制御する伝送制御方法であって、
第1デバイスから伝送の試みを受け取るステップと、
第2デバイスが前記オプトカプラ伝送媒体を介して既に伝送しつつあるかどうかを判定するステップと、
前記伝送の試みの受取りがパワーアップ発生(power-up occurrence)の後のデッドバンド期間の外であるかどうかを判定するステップと、
前記第2デバイスが伝送してはおらず、前記デッドバンド期間が経過済みである場合に、前記オプトカプラ伝送媒体を介して前記第1デバイスから伝送するステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記第2デバイスが既に伝送しつつある場合に、前記第2デバイスが伝送を完了し終えるまで、前記第1デバイスが前記オプトカプラ伝送媒体を介して伝送するのを待たせるス
テップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記伝送の試みが前記デッドバンド期間内である場合に、前記デッドバンド期間が経過し終えるまで、前記第1デバイスが前記オプトカプラ伝送媒体を介して伝送するのを待たせるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記オプトカプラ伝送媒体は、前記オプトカプラ伝送媒体を介して通信する少なくとも2つのデバイスを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、マスタ−スレーブ通信方式を実施する、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−168955(P2012−168955A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−64753(P2012−64753)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2011−521079(P2011−521079)の分割
【原出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(592225504)マイクロ・モーション・インコーポレーテッド (95)
【氏名又は名称原語表記】Micro Motion Incorporated
【Fターム(参考)】