説明

データ転送システムおよびデータ送信装置

【課題】オーディオデータと、他の、サブコードデータ、訂正結果フラグ、セクタ情報等の付加情報を同時に転送する場合に、別途に通信線を増加する必要がなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことのないデータ転送システムを提供する。
【解決手段】転送クロックBCLKによりバイフェーズ変調した付加情報ビットを含む極性変調信号MLRCKを生成し、この極性変調信号MLRCKを、極性信号線を用いて転送クロックのタイミングで伝送する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD、MD、DVDなどのメディアからディジタル音声データと付加データを取り出し、シリアル転送するデータ転送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、オーディオ分野においてディジタル化が進みCDなどのメディアからディジタルオーディオデータを取り出し、そのデータを他のメディアへダビングしたり、DSPに転送しデータ処理したりすることが多くなっている。その際のオーディオデータの転送は、転送クロック、データ、極性信号の3線を用いたシリアル転送により実現されている。
【0003】
図10は、このデータ転送の様子を示す図であり、図において400は音声データ取り出し手段、500は音声データ取り出し手段400で取り出された音声データを処理する音声データ処理手段である。また、150は音声データ取り出し手段400に設けられたデータ送信装置、250は音声データ処理手段500に設けられたデータ受信装置、301は基準クロックBCLKを伝送する基準クロック線、302はデータSRDATAを伝送するデータ線、303は極性信号LRCKを伝送する極性信号線である。データ送信装置150、データ受信装置250、基準クロック線301、データ線302、及び極性信号線303により、シリアルデータ転送システム1500が構成される。
【0004】
音声データ取り出し手段400においてCD等のメディアから取り出された音声データは、シリアルデータ転送システム1500により音声データ処理手段500に転送され、音声データ処理手段500においてデータ処理がなされる。
【0005】
図11は従来のシリアルデータ転送システム1500の構成を示すブロック図である。図において、150はデータ送信装置、250はデータ受信装置である。152は16ビットレジスタで構成されるデータ送信用16ビットバッファレジスタ、153はデータ送信用16ビットバッファレジスタ152からパラレルにロードされる送信データを受け取り、これをデータ線にシリアルに送出するデータ送信用16ビットシフトレジスタである。251はデータ線を転送されてきたデータSRDATAをシリアルに入力するデータ受信用16ビットシフトレジスタである。252はデータ受信用16ビットシフトレジスタ251が受信したデータをパラレルに受け取るデータ受信用16ビットバッファレジスタである。
【0006】
図12は従来のデータ転送システムにおけるシリアルデータ転送の動作を説明するための図である。
【0007】
データ送信装置150側において、データ送信用16ビットバッファレジスタ151は、16ビットの音声データ(データSRDATA)を格納した後、これをデータ送信用16ビットシフトレジスタ152にパラレルにロードする。データ送信用16ビットシフトレジスタ152は、バッファレジスタ151から受け取った16ビットのデータSRDATAを、基準クロックBCLKの立下りエッジのタイミングで最上位ビットMSB側から順にデータ線に送出する。また、極性信号LRCKは、送信すべきデータSRDATAがLchであるときは、該データSRDATAが転送されている間、“H”状態を保ち、送信すべきデータSRDATAがRchであるときは、該データSRDATAが送信されている間、“L”状態を保つ。
【0008】
データ受信装置250側において、データ受信用16ビットシフトレジスタ251は、データ線を転送されてきたデータSRDATAを、基準クロック信号線を介して与えられる基準クロックBCLKに同期したタイミングでシリアルに受信する。データ受信用16ビットシフトレジスタ251は受信したデータSRDATAをデータ受信用16ビットバッファレジスタ252に対してパラレルに出力する。
【0009】
ところで、ディジタルオーディオデータをデータとして転送する場合、オーディオデータと同期したサブコードデータを同時に転送することで、データ受け取り側で、サブコードデータにしたがって、オーディオデータの結合が可能となる。また、オーディオデータと同期したエラー状態を示すフラグを同時に転送することで、データ受信側で、エラー状態を示すフラグを元に、受信した信頼性の低いオーディオデータを破棄することが可能となる。
【0010】
このようにデータの他に、サブコードデータ、訂正結果フラグ、セクタ情報データなどの付加情報を同時に転送する場合があるが、このような場合、従来のデータ転送システムでは、図13に示すように、ディジタルオーディオデータの後ろに、付加情報データ(S、E0、E1、U0、U1)を追加し、基準クロックに同期したタイミングで転送していた。
【0011】
このとき、従来のデータ転送システムでは、データSRDATAを付加情報なしで転送する場合は、図12に示すように、転送クロックBCLKがLchで16クロック、Rchで16クロックの合計32クロックで転送できるが、データSRDATAに5ビット分の付加情報を追加して転送するためには、図13に示すように、転送クロックBCLKがLchで21クロック、Rchで21クロックの合計42クロック必要である。
【特許文献1】特開2002−261716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のデータ転送システムでは、データの他に付加情報を同時に転送する場合に、データの後ろに、付加情報データを追加し、基準クロックに同期したタイミングで転送していたため、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまい、データ転送の高速化のために転送クロックを高速にしなければならないという問題があった。
【0013】
この発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、データの他に付加情報を同時に転送する場合に、別途に通信線を増加する必要がなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことのないデータ転送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1にかかるデータ転送システムは、転送クロック線、データ線、及び極性信号線の3線を用いて、データ送信装置と、データ受信装置との間でデータのシリアル転送を行なうデータ転送システムであって、前記データ送信装置は、送信すべきデータの極性を示す極性信号を、前記送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号に変調し、該極性変調信号を前記極性信号線を用いて送信する、ことを特徴とするものである。
【0015】
これにより、別途に通信線を増加することなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことなく、データの他に付加情報を同時に転送することができる。
【0016】
また、本発明の請求項2にかかるデータ転送システムは、請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、前記データ送信装置が、前記極性信号を、前記送信すべきデータの開始タイミングを示す同期信号と前記送信すべきデータの極性を検出するための極性検出用信号とを含む同期ブロックと、前記付加情報ビットを含む情報ブロックとからなる極性変調信号に変調する、ことを特徴とするものである。
【0017】
これにより、別途に通信線を増加することなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことなく、データの他に付加情報を同時に転送することができる。
【0018】
また、本発明の請求項3にかかるデータ転送システムは、請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、前記データ送信装置が、前記極性信号を、転送クロックによるバイフェーズ変調を用いて変調する、ことを特徴とするものである。
【0019】
これにより、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことなく、データの他に付加情報を同時に転送することができ、また、受信装置側での復調処理を容易なものとできる。
【0020】
また、本発明の請求項4にかかるデータ転送システムは、請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、前記データ送信装置が、前記付加情報として、送信すべきデータのサブコードデータ、エラーデータ、およびセクタ情報のうちのいずれか1つ、または複数を、前記付加情報ビットにて送信する、ことを特徴とするものである。
【0021】
これにより、データ受信装置側でこれらの付加情報を利用したデータ処理を行うことを可能とできる。
【0022】
また、本発明の請求項5にかかるデータ転送システムは、請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、前記付加情報ビットは所定数のビットであり、前記所定数の付加情報ビットにて送信すべきデータの種類に対応した前記付加情報を送信する、ことを特徴とするものである。
【0023】
これにより、付加情報ビットの数を変えることなく、CD−DA、CD−ROM等の複数の種類の異なるメディアから読み出したデータの転送に対応できる。
【0024】
また、本発明の請求項6にかかるデータ転送システムは、請求項3に記載のデータ転送システムにおいて、前記データ送信装置が、前記極性信号のバイフェーズ変調を、前記転送クロックの立下り及び立上りの両エッジのタイミングを用いて行い、前記データ送信装置、及び前記データ受信装置が、前記転送クロックの前記両エッジに同期したタイミングで前記データ及び前記変調した極性信号の送信、及び受信を行う、ことを特徴とするものである。
【0025】
これにより、データの転送に必用な転送クロックの数を削減することができる。
【0026】
また、本発明の請求項7にかかるデータ転送システムは、請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、前記データ送信装置が、前記変調後の極性変調信号か、変調前の極性信号か、のいずれかの信号を切り替えて送信する、ことを特徴とするものである。
【0027】
これにより、データ受信装置側が従来フォーマットでの受信しかできない場合にも対応できる柔軟性の高いシステムを提供できる。
【0028】
また、本発明の請求項8にかかるデータ送信装置は、データ受信装置との間で、転送クロック線、データ線、及び極性信号線の3線を用いてデータのシリアル転送を行なうデータ送信装置において、送信すべきデータの極性を示す極性信号を、前記送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号に変調し、該極性変調信号を前記極性信号線を用いて送信する、ことを特徴とするものである。
【0029】
これにより、別途に通信線を増加することなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことなく、データの他に付加情報を同時に転送することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、送信すべきデータの極性を示す極性信号を、前記送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含むよう極性変調信号に変調し、該極性変調信号を前記極性信号線を用いて送信することにより、データの他に付加情報を同時に転送する場合に、別途に通信線を増加する必要がなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことのないデータ転送システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1によるデータ転送システムについて説明する。
図1は、本実施の形態1によるデータ転送システム1000の構成を示す図であり、図において、100はデータ送信装置であり、101は基準クロックBCLK、極性検出用信号、及び同期信号を生成し出力する制御信号生成回路である。102は16ビットレジスタで構成されるデータ送信用16ビットバッファレジスタ、103はデータ送信用16ビットバッファレジスタ102からパラレルにロードされる送信データを受け取り、これをデータ線にシリアルに送出するデータ送信用16ビットシフトレジスタである。104は付加信号をバイフェーズ変調するバイフェーズ変調器である。105は変調された極性信号(極性変調信号)を格納する極性変調信号送信用16ビットバッファレジスタである。106は極性変調信号送信用16ビットバッファレジスタ105からパラレルにロードされる極性変調信号MLRCKを受け取り、これを極性信号線にシリアルに送出する極性変調信号送信用16ビットシフトレジスタである。
【0032】
また、200はデータ受信装置であり、201はデータ線を転送されてきたデータSRDATAをシリアルに入力するデータ受信用16ビットシフトレジスタである。202はデータ受信用16ビットシフトレジスタ201が受信したデータをパラレルに受け取るデータ受信用16ビットバッファレジスタである。203は極性信号線を転送されてきた極性変調信号MLRCKをシリアルに入力する極性変調信号受信用16ビットシフトレジスタである。204は、極性変調信号受信用16ビットシフトレジスタ203が受信した極性変調信号MLRCKをパラレルに受け取って格納する極性変調信号受信用16ビットバッファレジスタである。205は、極性変調信号受信用16ビットバッファレジスタ204に格納された変調された極性変調信号MLRCKから、同期検出、及び極性検出を行い、また付加信号の復調を行う復調・同期検出手段である。
【0033】
また、図2は、極性信号を変調して、極性信号にS、E0、E1、U0、U1の5つの情報ビットを付加して転送する場合のデータ送信装置100の具体的な構成を示す図である。図2において、極性変調信号送信用バッファレジスタ105は、バイフェーズ変調器104で変調された付加信号を格納する10ビットレジスタと、極性検出用信号を格納する2ビットレジスタと、同期信号を格納する4ビットレジスタとからなる。ここで、付加情報ビットの数が5つであるものについて示しているが、付加情報ビットの数は5つに限られるものではない。
【0034】
次に本実施の形態1によるデータ転送システムにおけるデータ転送の動作について説明する。
【0035】
本実施の形態1によるデータ転送システムでは、極性信号を、送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号に変調し、この極性変調信号を極性信号線で送信する。
【0036】
図3は本実施の形態1によるデータ転送システムにおけるシリアルデータ転送の動作を説明するための図である。
【0037】
本実施の形態1によるデータ転送システムにおける転送クロック(基準クロック)BCLK、及びデータSRDATAの構成は従来のデータ転送システムにおけるこれらの信号の構成と同じである。本実施の形態1によるデータ転送システムにおいて極性信号線で送信される極性変調信号MLRCKは、図3に示すように同期ブロックLch Sync/Rch Syncと情報ブロックData Blockの2つのブロックで構成される。
【0038】
図4は同期ブロックLch Sync/Rch Syncのフォーマット例を示す図である。図4に示すように、同期ブロックは同期確立部とチャンネル識別部の2つの部分から成り立っており、極性変調信号MLRCKの立ち上りから4基準クロックBCLK期間連続して“H”で同期確立となる。同期確立後の2基準クロックBCLK期間がチャンネル識別部となっており、図4(a)に示すように、2BCLK期間連続して“H”の場合はLch、図4(b)に示すように、2BCLK期間連続して“L”の場合はRchとなる。
【0039】
図2において、データ送信用16ビットバッファレジスタ102は、16ビットの音声データ(データSRDATA)を格納した後、これをデータ送信用16ビットシフトレジスタ102にパラレルにロードする。
【0040】
また、バイフェーズ変調器104は、送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットをバイフェーズ変調する。
【0041】
図14は、情報ビットへの付加情報の割り付けの一例を示す図である。図14に示すように、S、E0、E1、U0、U1の5つの付加ビット(情報ビット)を用いて付加情報を転送する場合、例えば、CD−DA、CD−ROMの両方に対応する通常モードにおいては、付加ビットSにサブコード情報、付加ビットE0に訂正不能フラグ、付加ビットE1にECCエラー情報、付加ビットU0にCD−ROMセクタ情報を割り付け、付加ビットU1をReserved(空きビット)とする。また、CD−ROMのみに対応するCD−ROMフル対応モードにおいては、付加ビットSにサブコード情報、付加ビットE0に上位バイト訂正不能フラグ、付加ビットE1に下位バイト訂正不能フラグ、付加ビットU0にセクタ情報、付加ビットU1にECCエラー情報を割り付ける。本実施の形態1によるデータ転送システムでは、このように送信すべきデータの種類に応じて、付加情報ビットに割り付ける付加情報を切り替える構成としており、これにより、付加情報ビットの数を変更することなく、CD−DA、CD−ROM等の複数の種類の異なるメディアから読み出したデータの転送に対応できる。
【0042】
また、図5(a)は極性信号に含められる付加情報ビットを転送クロックBCLKの立下りエッジを使ってバイフェーズ変調するフォーマット例を示す図である。「0」と「1」はそれぞれ各2パターン合計4パターンあり、それぞれ直前の状態でいずれかのパターンが選択される。直前が“L”の場合は、この後2BCLK期間連続して“H”であるパターンが「0」、2BCLKの期間に“H”及び“L”と切り替わるパターンが「1」を示す。直前が“H”の場合は、この後2BCLK期間連続して“L”であるパターンが「0」、2BCLKの期間に“L”及び“H”と切り替わるパターンが「1」を示す。
【0043】
バイフェーズ変調器104は、図14に示すように、送信すべきデータに関する付加情報がそれぞれ1ビットずつ割り付けられたS、E0、E1、U0、U1の5つの付加情報ビットを、図5(a)に示すように基準クロックの立下りエッジによりそれぞれバイフェーズ変調して、各付加情報ビットがそれぞれ2ビットの信号で示される10ビットの付加信号列を生成し、この付加信号列を極性変調信号送信用バッファレジスタ105の10ビットレジスタに格納する。ここで、本実施の形態では、送信すべきデータに関する付加情報は、上述のように付加情報ビットに1ビットずつ割り付けられて送信され、付加情報がnビットからなる情報であれば、該付加情報はn回に分けて送信されるものである。
【0044】
また、制御信号生成回路101は、4ビットの“H”信号で構成される同期信号を極性変調信号送信用バッファレジスタ105の4ビットレジスタに格納し、送信すべきデータSRDATAの極性を示す2ビットの極性検出用信号を極性変調信号送信用バッファレジスタ105の2ビットレジスタに格納する。極性変調信号送信用バッファレジスタ105は、同期ブロックLch Sync/Rch Syncを構成する同期信号、及び極性検出用信号と、情報ブロックData Blockを構成する付加信号列をすべて格納した後、これらを極性変調信号送信用16ビットシフトレジスタ106にパラレルにロードする。
【0045】
データ送信用16ビットシフトレジスタ103は、バッファレジスタ102から受け取った16ビットのデータSRDATAを、基準クロックBCLKの立下りエッジのタイミングで最上位ビットMSB側から順にデータ線に送出する。また、極性変調信号送信用16ビットシフトレジスタ106は、バッファレジスタ105から受け取った16ビットの極性変調信号MLRCKを、図3に示すように、データ送信用16ビットシフトレジスタ103からの16ビットのデータSRDATAの送出に同期したタイミングで、同期ブロックLch Sync/Rch Syncを構成する同期信号から順に極性信号線に送出する。本実施の形態1によるデータ転送システムにおける具体的な送信波形の例を図6に示す。
【0046】
データ受信装置200側において、データ受信用16ビットシフトレジスタ201は、データ線を転送されてきたデータSRDATAを、基準クロック信号線を介して与えられる基準クロックBCLKに同期したタイミングでシリアルに受信する。データ受信用16ビットシフトレジスタ201は受信したデータSRDATAをデータ受信用16ビットバッファレジスタ202に対してパラレルに出力する。
【0047】
また、極性信号受信用16ビットシフトレジスタ203は、極性信号線を転送されてきた極性変調信号MLRCKを、基準クロック信号線を介して与えられる基準クロックBCLKに同期したタイミングでシリアルに受信する。極性変調信号受信用16ビットシフトレジスタ203は受信した極性変調信号MLRCKを極性変調信号受信用16ビットバッファレジスタ204に対してパラレルに出力する。
【0048】
復調・同期検出手段205の同期、LR検出器207は、極性変調信号受信用16ビットバッファレジスタ204に格納される信号を監視し、同期信号を検出すると該同期信号のタイミングを示す信号を出力し、さらに同期信号に続く極性検出用信号から極性を検出して極性信号を出力する。また、バイフェーズ復調器206は極性検出用信号に続く10ビットの付加信号列をバイフェーズ復調して、S、E0、E1、U0、U1の5つの付加情報ビットを得る。
【0049】
本実施の形態1によるデータ転送システムでは、データSRDATAに5ビット分の付加情報を追加して転送するのに必要な転送クロックは、図3に示されるように、Lchで16クロック、Rchで16クロックの合計32クロックであり、従来のデータ転送システムのようにデータSRDATAの他に付加情報を追加して転送することによって転送速度が遅くなってしまうことがない。
【0050】
このように本実施の形態1によるデータ転送システムでは、データ送信装置100とデータ受信装置200の間で、転送クロック線、データ線、及び極性信号線の3線を用いてデータの転送を行なうものにおいて、データ送信装置100側で、送信すべきデータの極性を示す極性信号LRCKを、送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号に変調し、該極性変調信号を前記極性信号線を用いて送信することにより、別途に通信線を増加することなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことなく、データの他に付加情報を同時に転送することができる。
【0051】
なお、上記実施の形態1では、データ送信装置が送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号を送出するものについて示したが、図9に示す本実施の形態の変形例のように、スイッチ手段110を設け、変調後の極性変調信号MLRCKと、変調前の極性信号LRCKのうちのいずれかを選択して極性信号線に送出する構成としてもよい。このような構成とすることにより、スイッチ手段110を切り替えることで、極性信号を従来のフォーマットで出力でき、データ受信装置側が従来フォーマットでの受信しかできない場合にも対応できる柔軟性の高いシステムを提供できる。
【0052】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2によるデータ転送システムについて説明する。
本発明の実施の形態2によるデータ転送システムは、付加情報ビットを転送クロック(基準クロック)BCLKの立下り及び立上りの両エッジによりバイフェーズ変調し、また転送クロック(基準クロック)BCLKの立下り及び立上りの両エッジに同期してデータSRDATA,及び変調された極性信号を送受信するものである。本実施の形態2によるデータ転送システムのその他の構成は上記実施の形態1によるデータ転送システムと同じである。
【0053】
次に本実施の形態2によるデータ転送システムの動作について説明する。
図5(b)は極性信号に含められる付加情報ビットを転送クロックBCLKの立下り及び立上りの両エッジを使ってバイフェーズ変調するフォーマット例を示す図である。「0」と「1」はそれぞれ各2パターン合計4パターンあり、それぞれ直前の状態でいずれかのパターンが選択される。直前が“L”の場合は、この後1BCLK期間連続して“H”であるパターンが「0」、1BCLKの期間に“H”及び“L”と切り替わるパターンが「1」を示す。直前が“H”の場合は、この後1BCLK期間連続して“L”であるパターンが「0」、1BCLKの期間に“L”及び“H”と切り替わるパターンが「1」を示す。
【0054】
また、図7は本実施の形態2によるデータ転送システムにおけるシリアルデータ転送の動作を説明するための図である。
【0055】
図2において、データ送信用16ビットバッファレジスタ102は、16ビットの音声データ(データSRDATA)を格納した後、これをデータ送信用16ビットシフトレジスタ102にパラレルにロードする。
【0056】
バイフェーズ変調器104は、図14に示すように、送信すべきデータに関する付加情報がそれぞれ1ビットずつ割り付けられたS、E0、E1、U0、U1の5つの付加情報ビットを、図5(b)に示すように基準クロックの立下り及び立上りの両エッジによりそれぞれバイフェーズ変調して、各付加情報ビットがそれぞれ2ビットの信号で示される10ビットの付加信号列を生成し、この付加信号列を極性変調信号送信用バッファレジスタ105の10ビットレジスタに格納する。
【0057】
また、制御信号生成回路101は、4ビットの“H”信号で構成される同期信号を極性変調信号送信用バッファレジスタ105の4ビットレジスタに格納し、送信すべきデータSRDATAの極性を示す2ビットの極性検出用信号を極性変調信号送信用バッファレジスタ105の2ビットレジスタに格納する。極性変調信号送信用バッファレジスタ105は、同期ブロックLch Sync/Rch Syncを構成する同期信号、及び極性検出用信号と、情報ブロックData Blockを構成する付加信号列をすべて格納した後、これらを極性変調信号送信用16ビットシフトレジスタ106にパラレルにロードする。
【0058】
データ送信用16ビットシフトレジスタ103は、バッファレジスタ102から受け取った16ビットのデータSRDATAを、基準クロックBCLKの立下り及び立上りの両エッジのタイミングで最上位ビットMSB側から順にデータ線に送出する。また、極性変調信号送信用16ビットシフトレジスタ106は、バッファレジスタ105から受け取った16ビットの極性変調信号MLRCKを、図7に示すように、データ送信用16ビットシフトレジスタ103からの16ビットのデータSRDATAの送出に同期したタイミングで、同期ブロックLch Sync/Rch Syncを構成する同期信号から順に極性信号線に送出する。本実施の形態2によるデータ転送システムにおける具体的な送信波形の例を図8に示す。
【0059】
データ受信装置200側において、データ受信用16ビットシフトレジスタ201は、データ線を転送されてきたデータSRDATAを、基準クロック信号線を介して与えられる基準クロックBCLKの立下り及び立上りの両エッジに同期したタイミングでシリアルに受信する。データ受信用16ビットシフトレジスタ201は受信したデータSRDATAをデータ受信用16ビットバッファレジスタ202に対してパラレルに出力する。
【0060】
また、極性変調信号受信用16ビットシフトレジスタ203は、極性信号線を転送されてきた極性変調信号MLRCKを、基準クロック信号線を介して与えられる基準クロックBCLKの立下り及び立上りの両エッジに同期したタイミングでシリアルに受信する。極性変調信号受信用16ビットシフトレジスタ203は受信した極性変調信号MLRCKを極性変調信号受信用16ビットバッファレジスタ204に対してパラレルに出力する。
【0061】
復調・同期検出手段205の同期、LR検出器207は、極性変調信号受信用16ビットバッファレジスタ204に格納される信号を監視し、同期信号を検出すると該同期信号のタイミングを示す信号を出力し、さらに同期信号に続く極性検出用信号から極性を検出して極性信号を出力する。また、バイフェーズ復調器206は極性検出用信号に続く10ビットの付加信号列をバイフェーズ復調して、S、E0、E1、U0、U1の5つの付加情報ビットを得る。
【0062】
本実施の形態2によるデータ転送システムでは、データSRDATAに5ビット分の付加情報を追加して転送するのに必要な転送クロックは、図7に示されるように、Lchで8クロック、Rchで8クロックの合計16クロックであり、上記実施の形態1によるデータ転送システムの半分の数の転送クロックBCLKで同じ量のデータを転送できる。
【0063】
このように本実施の形態2によるデータ転送システムでは、データ送信装置100とデータ受信装置200の間で、転送クロック線、データ線、及び極性信号線の3線を用いてデータの転送を行なうものにおいて、データ送信装置100側で、送信すべきデータの極性を示す極性信号LRCKを、送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号に変調し、該極性変調信号を前記極性信号線を用いて送信することにより、別途に通信線を増加することなく、また、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことなく、データの他に付加情報を同時に転送することができる。
【0064】
また、本実施の形態2によるデータ転送システムでは、付加情報ビットのバイフェーズ変調と、データSRDATA,及び極性変調信号の送受信を、転送クロック(基準クロック)BCLKの立下り及び立上りの両エッジを用いて行うようにしたので、上記実施の形態1によるデータ転送システムの半分の数の転送クロックBCLKで同じ量のデータを転送できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、データの他に付加情報を同時に転送する場合に、付加情報を足した分、転送速度が遅くなってしまうことのないデータ転送システムを提供することができるものであり、CD、MD、DVDなどのメディアからディジタル音声データと付加情報を取り出し、シリアル転送するデータ転送システムの分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1によるデータ転送システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるデータ転送システムのデータ送信装置の具体的な構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるデータ転送システムにおけるシリアルデータ転送の動作を説明するための図である。
【図4】同期ブロックLch Sync/Rch Syncのフォーマット例を示す図である。
【図5】極性信号に含められる付加情報ビットのフォーマット例を示す図である。
【図6】本実施の形態1によるデータ転送システムにおける具体的な送信波形の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2によるデータ転送システムにおけるシリアルデータ転送の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるデータ転送システムにおける具体的な送信波形の例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1によるデータ転送システムのデータ送信装置の変形例の構成を示す図である。
【図10】オーディオ分野における音声データの転送の様子を説明するための図である。
【図11】従来のデータ転送システムの構成を示す図である。
【図12】従来のデータ転送システムにおけるシリアルデータ転送の動作を説明するための図である。
【図13】従来のデータ転送システムの問題点を説明するための図である。
【図14】付加情報ビットへの付加情報の割り付け例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1000 データ転送システム
100 データ送信装置
200 データ受信装置
101 制御信号生成回路
102 データ送信用16ビットバッファレジスタ
103 データ送信用16ビットシフトレジスタ
104 バイフェーズ変調器
105 極性変調信号送信用16ビットバッファレジスタ
106 極性変調信号送信用16ビットシフトレジスタ
201 データ受信用16ビットシフトレジスタ
202 データ受信用16ビットバッファレジスタ
203 極性変調信号受信用16ビットシフトレジスタ
106 極性変調信号受信用16ビットバッファレジスタ
205 復調・同期検出手段
206 バイフェーズ復調器
207 同期,LR検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転送クロック線、データ線、及び極性信号線の3線を用いて、データ送信装置と、データ受信装置との間でデータのシリアル転送を行なうデータ転送システムであって、
前記データ送信装置は、
送信すべきデータの極性を示す極性信号を、前記送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号に変調し、該極性変調信号を前記極性信号線を用いて送信する、
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、
前記データ送信装置は、
前記極性信号を、前記送信すべきデータの開始タイミングを示す同期信号と前記送信すべきデータの極性を検出するための極性検出用信号とを含む同期ブロックと、前記付加情報ビットを含む情報ブロックとからなる極性変調信号に変調する、
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、
前記データ送信装置は、
前記極性信号を、転送クロックによるバイフェーズ変調を用いて変調する、
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項4】
請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、
前記データ送信装置は、
前記付加情報として、送信すべきデータのサブコードデータ、エラーデータ、およびセクタ情報のうちのいずれか1つ、または複数を、前記付加情報ビットにて送信する、
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、
前記付加情報ビットは所定数のビットであり、
前記所定数の付加情報ビットにて送信すべきデータの種類に対応した前記付加情報を送信する、
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項6】
請求項3に記載のデータ転送システムにおいて、
前記データ送信装置は、前記極性信号のバイフェーズ変調を、前記転送クロックの立下り及び立上りの両エッジのタイミングを用いて行い、
前記データ送信装置、及び前記データ受信装置は、前記転送クロックの前記両エッジに同期したタイミングで前記データ及び前記変調した極性信号の送信、及び受信を行う、
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項7】
請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、
前記データ送信装置は、
前記変調後の極性変調信号か、変調前の極性信号か、のいずれかの信号を切り替えて送信する、
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項8】
データ受信装置との間で、転送クロック線、データ線、及び極性信号線の3線を用いてデータのシリアル転送を行なうデータ送信装置において、
送信すべきデータの極性を示す極性信号を、前記送信すべきデータに関する付加情報を示す付加情報ビットを含む極性変調信号に変調し、該極性変調信号を前記極性信号線を用いて送信する、
ことを特徴とするデータ送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−160334(P2008−160334A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345192(P2006−345192)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】