説明

データ通信システム、データ通信端末、データ通信方法、およびプログラム

【課題】複数の電話番号の契約を必要とせずに、Webサービスを起動することができるようにしたデータ通信システム、データ通信端末、データ通信方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】呼制御部11は、IP電話網5を介してサービス操作端末3からの着信を受けた場合、着信時のセッション情報であるSIP/SDPのm行(メディア名と伝送アドレス記述部)に記載されるメディアタイプおよびメディアフォーマットを判別して認証することにより、データ通信のセッションを確立する。呼制御部11は、データ通信確立後、遠隔保守サービス部12またはデータ転送サービス部13のうちのいずれかのWebサービスを起動させるとともに、当該ポート番号を発信側に通知する。これにより、サービス操作端末3は、所望のWebサービス用のポートへのアクセスが可能となり、所望のサービスを利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信システム、データ通信端末、データ通信方法、およびプログラムに関し、特に、複数の電話番号の契約を必要とせずに、Webサービスを起動することができるようにしたデータ通信システム、データ通信端末、データ通信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の回線交換式の電話回線網を、IP(Internet Protocol)技術をベースにしたネットワークに置き換える、次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)の構築に向けた動きが活発化している。
【0003】
NGNは、ネットワーク自体に帯域補償機能、セキュリティ機能を備え、セッション開始プロトコル(SIP:Session Initiation Protocol)を使って、電話サービス、映像通信サービス、データ通信サービスなどを統合的に実現するIPネットワークである。
【0004】
例えば、特許文献1には、メディア転送前のSIP信号を解析してメディア転送方式を決定し、その決定したメディア転送方式に従ってメディア転送を実施するメディア転送装置に関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−24809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、IP電話回線によるデータ通信サービスを利用して、Webサービスを起動するには、音声通信および映像通信を区別するために、発信側または着信側においてデータ通信専用の電話番号を契約する必要があった。
【0007】
また特許文献1に記載の技術では、データ通信専用の電話番号を契約する必要はないものの、発信者電話番号の他に、ログインID番号が必要となる課題があった。
【0008】
本発明の目的は、複数の電話番号の契約を必要とせずに、Webサービスを起動することができるようにしたデータ通信システム、データ通信端末、データ通信方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、第1の通信端末と第2の通信端末の間でネットワークを介して通信を行うデータ通信システムにおいて、前記第1の通信端末は、前記第2の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御手段を備え、前記セッション情報は、SIPを用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、前記メッセージボディには、SDPを用いたセッションに関する情報が記述されることを特徴とする。
【0010】
前記制御手段は、前記メッセージボディに含まれるメディアに関する情報に基づいて、前記所定のWebサービスの起動を制御することができる。
【0011】
前記制御手段は、前記メディアに関する情報に含まれるメディアタイプおよびメディアフォーマットに基づいて、前記所定のWebサービスの起動を制御することができる。
【0012】
前記メディアタイプは、アプリケーション、オーディオ、またはビデオであり、前記メディアフォーマットは、httpまたはオクテット・ストリームである。
【0013】
本発明の一側面は、第1の通信端末と第2の通信端末の間でネットワークを介して通信を行うデータ通信システムのデータ通信方法において、前記第1の通信端末は、前記第2の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御ステップを含み、前記セッション情報は、SIPを用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、前記メッセージボディには、SDPを用いたセッションに関する情報が記述されることを特徴とする。
【0014】
本発明の一側面は、第1の通信端末と第2の通信端末の間でネットワークを介して通信を行うデータ通信システムのデータ通信処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記第2の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記セッション情報は、SIPを用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、前記メッセージボディには、SDPを用いたセッションに関する情報が記述されることを特徴とする。
【0015】
本発明の一側面は、ネットワークを介して他の通信端末との間で通信を行うデータ通信端末において、前記他の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御手段を備え、前記セッション情報は、SIPを用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、前記メッセージボディには、SDPを用いたセッションに関する情報が記述されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の電話番号の契約を必要とせずに、Webサービスを起動することができるようにしたデータ通信システム、データ通信端末、データ通信方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係るデータ通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】データ通信システムにおけるWebサービスの自動切り替え処理を説明するフローチャートである。
【図3】図2の処理例を説明するための図である。
【図4】図2の他の処理例を説明するための図である。
【図5】図2のステップ3のサービス選択処理の詳細を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本実施の形態について]
図1は、本実施形態に係るデータ通信システムの構成例を示すブロック図である。このデータ通信システムは、ボタン電話交換装置1がルータ2を介してIP(Internet Protocol)電話網5に接続されているとともに、サービス操作端末3がルータ4を介してIP電話網5に接続されていることにより構成されている。なお、ボタン電話交換装置1およびサービス操作端末3の数は任意であり、複数設けることも勿論可能である。
【0019】
ボタン電話交換装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータシステムであり、呼制御部11、遠隔保守サービス部12、およびデータ転送サービス部13の機能を有する。
【0020】
呼制御部11は、IP電話網5を介してサービス操作端末3からの着信を受けた場合、着信時のセッション情報であるSIP/SDP(Session Initiation Protocol/Session
Description Protocol)のm行(メディア名と伝送アドレス記述部)に記載されるメディアタイプおよびメディアフォーマットを判別して認証することにより、データ通信のセッションを確立する。呼制御部11は、データ通信確立後、遠隔保守サービス部12またはデータ転送サービス部13のうちのいずれかのWebサービスを起動させるとともに、当該ポート番号を発信側に通知する。これにより、サービス操作端末3は、所望のWebサービス用のポートへのアクセスが可能となり、所望のサービスを利用することができる。
【0021】
ここで、SIPは、マルチメディアセッションを確立・変更・切断するためのプロトコルであり、リクエスト行、ヘッダ、およびメッセージボディから構成されている。このうち、メッセージボディには、SDPというプロトコルによってマルチメディアセッションに関する情報が記述されている。
【0022】
例えば、「m=値」の形式で、メディアに関する情報として、メディアの種類(application(アプリケーション)、audio(オーディオ)、video(ビデオ)など)、メディアを受信するポート番号、メディア受信に用いるトランスポートプロトコル(RTP(Real−time Transport Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)など)が記述される。
【0023】
また、例えば、「c=値」の形式で、コネクション情報として、ネットワーク種別、IPバージョン(IPv(Internet Protocol Version)4、IPv6など)、メディアを受信するIPアドレスが記述される。
【0024】
遠隔保守サービス部12は、呼制御部11による制御に応じて、遠隔保守サービスを起動する。データ転送サービス部13は、呼制御部11による制御に応じて、データ転送サービスを起動する。
【0025】
サービス操作端末3は、CPU、ROM、およびRAMよりなる制御部、キーボードやマウスよりなる入力部、ディスプレイやスピーカよりなる出力部、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリよりなる記憶部、ネットワーク通信部などを有している。サービス操作端末3は、ユーザによる指示を受けて、ルータ4およびIP電話網5を介してボタン電話交換装置1に発信し、データ通信確立後、ボタン電話交換装置1から提供されるWebサービス(遠隔保守サービスまたはデータ転送サービスなど)を利用することができる。
【0026】
ルータ2は、ボタン電話交換装置1とIP電話網5とを接続する通信機器である。ルータ4は、サービス操作端末3とIP電話網5とを接続する通信機器である。
【0027】
IP電話網5は、次世代ネットワークやインターネットなどを含むネットワークである。
【0028】
次に、図2のフローチャートを参照して、データ通信システムにおけるWebサービスの自動切り替え処理について説明する。図2の説明に当たり、図3および図4を参照し、具体的なデータに対応する処理例も説明する。
【0029】
ステップS1において、サービス操作端末3の制御部は、ユーザによってダイヤルされた電話番号を相手宛先に、また自IPアドレス、音声やデータのメディアタイプ、およびポート番号をSIP/SDPに設定したINVITEリクエストを、ルータ4を介してIP電話網5に送信する。
【0030】
INVITEリクエストは、通話要求を行い、セッションを開始するためのリクエストである。INVITEリクエストは、テキスト形式で、リクエスト行、ヘッダ、およびボディから構成されている。
【0031】
リクエスト行には、リクエストの種類(INVITE)、リクエストの宛先を示すためのURI(Uniform Resource Identifier)、SIPのバージョンが記述される。INVITEリクエストのヘッダには、このリクエストの概要を示すための情報が含まれ、「ヘッダ名:値」という形式で複数のヘッダが並ぶ。
【0032】
INVITEリクエストのボディには、SDPによって、この後の通話に関する情報が記述される。SDPを使用することで、セッションを識別するための情報、セッションで伝送されるデータの種別などを記述することができる。これらの情報は、「タイプ=値」という形式で記述される。本実施の形態で用いるタイプには、c行、m行、a行がある。
【0033】
c行は、コネクション情報を示すタイプであり、ネットワーク種別、アドレス種別、送信元のホスト名あるいはIPアドレスが記述される。
【0034】
m行は、メディアについての情報を示すタイプであり、メディアタイプ、ポート番号、プロトコル、メディアフォーマットが記述される。
【0035】
メディアタイプには、送信するメディアのタイプによって、Audio、Video、Text、Application、Messageなどが記述される。ポート番号には、RTPでメディアを受信する際の受信先ポート番号が記述される。プロトコルには、メディア送信に用いるプロトコルが記述される。メディアフォーマットには、使用するメディアのフォーマットが記述される。
【0036】
a行は、様々な属性を示すためのタイプである。
【0037】
図3の例の場合、INVITEリクエストのデータD1には、「TO:tel:」に相手宛先の電話番号「03××××0003」が記述され、SDPのc行のネットワーク種別に「IN」、アドレス種別に「IP4」、送信元のIPアドレスに「aaa.bbb.ccc.2」が記述され、SDPのm行のメディアタイプに「Application」、ポート番号に「9」、プロトコルに「TCP」、メディアフォーマットに「http」が記述され、SDPのa行に「setup:active」、「connection:new」が記述される。
【0038】
図4の例の場合、INVITEリクエストのデータD3には、「TO:tel:」に相手宛先の電話番号「03××××0003」が記述され、SDPのc行のネットワーク種別に「IN」、アドレス種別に「IP4」、送信元のIPアドレスに「aaa.bbb.ccc.2」が記述され、SDPのm行のメディアタイプに「Application」、ポート番号に「9」、プロトコルに「TCP」、メディアフォーマットに「octet−stream(オクテット・ストリーム)」が記述され、SDPのa行に「setup:active」、「connection:new」が記述される。
【0039】
IP電話網5は、INVITEリクエストの相手宛先(電話番号)からボタン電話交換装置1のIPアドレス(aaa.bbb.ccc.2)を抽出して、ボタン電話交換装置1宛てのリクエストと判断して、当該INVITEリクエストをボタン電話交換装置1に転送する。
【0040】
ステップS2において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、ルータ2を介してINVITEリクエストを受信する。そして、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、発信側であるサービス操作端末3に対し、INVITEリクエストを受信して処理中であることを知らせる暫定応答(Tryingレスポンス)として、「100 Trying」を、ルータ2を介してIP電話網5に送信する。
【0041】
Tryingレスポンスは、INVITEリクエストと似ており、テキスト形式で、レスポンス行およびヘッダから構成されている。レスポンス行は、ステータス行とも呼ばれ、SIPのバージョン、ステータスコード、理由フレーズが記述される。ヘッダは、INVITEリクエストのものをほぼそのまま使用することができる。図2の例では、Tryingレスポンスのステータスコードが「100」、理由フレーズが「Trying」とされる。
【0042】
IP電話網5は、Tryingレスポンス内のセッション情報から、当該Tryingレスポンスを、リクエスト送信元であるサービス操作端末3に転送する。
【0043】
ステップS3において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、受信したINVITEリクエストに含まれる、電話番号、SDPのメディアタイプ、メディアフォーマットの解析を行う。そして、詳細は、図5のフローチャートを参照して後述するが、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、解析結果に応じて、所定のサービスを選択し、そのサービスを起動させる。
【0044】
例えば、図3に示すように、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、INVITEリクエストに含まれるメディアタイプが「Application」であり、メディアフォーマットが「http」」であることを確認すると、遠隔保守サービス部12の遠隔保守サービスのアプリケーションを起動させるとともに、矢印A1に示すように、遠隔保守サービス部12のWebポートの開放を行う。
【0045】
また例えば、図4に示すように、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、INVITEリクエストに含まれるメディアタイプが「Application」であり、メディアフォーマットが「octet−stream」であることを確認すると、データ転送サービス部13のデータ転送サービスのアプリケーションを起動させるとともに、矢印A2に示すように、データ転送サービス部13のWebポートの開放を行う。
【0046】
ステップS4において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、発信側であるサービス操作端末3に、INVITEリクエストが成功したことを知らせる応答(OKレスポンス)を、ルータ2を介してIP電話網5に送信する。
【0047】
OKレスポンスは、テキスト形式で、ステータス行、ヘッダ、およびボディから構成されている。ステータス行には、SIPのバージョン、ステータスコード、理由フレーズが記述される。ヘッダは、INVITEリクエストのものをほぼそのまま使用することができる。ボディには、INVITEリクエストと同様に、SDPによって、この後の通話に関する情報が記述される。
【0048】
図3の例の場合、OKレスポンスのデータD2には、ステータス行のステータスコードに「200」、理由フレーズに「OK」が記述され、ボディのc行のネットワーク種別に「IN」、アドレス種別に「IP4」、送信元のIPアドレスに「aaa.bbb.ccc.1」が記述され、ボディのm行のメディアタイプに「Application」、ポート番号に「8082」、プロトコルに「TCP」、メディアフォーマットに「http」が記述され、ボディのa行に「setup:passive」、「connection:new」が記述される。なお、ヘッダの図示は省略されている。
【0049】
図4の例の場合、OKレスポンスのデータD4には、ステータス行のステータスコードに「200」、理由フレーズに「OK」が記述され、ボディのc行のネットワーク種別に「IN」、アドレス種別に「IP4」、送信元のIPアドレスに「aaa.bbb.ccc.1」が記述され、ボディのm行のメディアタイプに「Application」、ポート番号に「8082」、プロトコルに「TCP」、メディアフォーマットに「octet−stream」が記述され、ボディのa行に「setup:passive」、「connection:new」が記述される。なお、ヘッダの図示は省略されている。
【0050】
IP電話網5は、OKレスポンスからサービス操作端末3のIPアドレス(aaa.bbb.ccc.1)を抽出して、サービス操作端末3宛てのレスポンスと判断して、当該OKレスポンスを、リクエスト送信元であるサービス操作端末3に転送する。
【0051】
ステップS5において、サービス操作端末3の制御部は、ルータ4を介してOKレスポンスを受信する。そして、サービス操作端末3の制御部は、INVITEリクエストに対してOKレスポンスを受信したことを確認するためのリクエストとして、ACKリクエストを、ルータ4を介してIP電話網5に送信する。
【0052】
ACKリクエストは、テキスト形式で、リクエスト行およびヘッダから構成されている。リクエスト行には、リクエストの種類(ACK)、リクエストの宛先を示すためのURI、SIPのバージョンが記述される。ヘッダには、このリクエストの概要を示すための情報が含まれ、「ヘッダ名:値」という形式で複数のヘッダが並ぶ。
【0053】
IP電話網5は、ACKリクエストからボタン電話交換装置1のIPアドレス(aaa.bbb.ccc.2)を抽出して、ボタン電話交換装置1宛てのリクエストと判断して、当該ACKリクエストをボタン電話交換装置1に転送する。
【0054】
以上のステップS1〜S5までの処理によって、ステップS6において、サービス操作端末3とボタン電話交換装置1の所定サービス(遠隔保守サービス部12またはデータ転送サービス部13)との間に、IP電話網5を経由したセッションが確立される。
【0055】
セッション確立後、サービス操作端末3とボタン電話交換装置1の遠隔保守サービス部12とは、IP電話網5を介したHTTP(あるいはoctet−stream)でのデータ通信中となる。これにより、サービス操作端末3は、IP電話網5を介して、HTTPでの遠隔保守サービス(あるいはoctet−streamでのデータ転送サービス)の操作を行うことが可能となる。
【0056】
サービス操作端末3の制御部は、所望サービスの実行後、ステップS7において、通話の終了要求を行い、セッションを終了するためのリクエストとして、SIP/SDPに設定したBYEリクエストを、ルータ4を介してIP電話網5に送信する。
【0057】
BYEリクエストは、テキスト形式で、リクエスト行およびヘッダから構成されている。リクエスト行には、リクエストの種類(BYE)、リクエストの宛先を示すためのURI、SIPのバージョンが記述される。ヘッダには、このリクエストの概要を示すための情報が含まれ、「ヘッダ名:値」という形式で複数のヘッダが並ぶ。
【0058】
IP電話網5は、BYEリクエストからボタン電話交換装置1のIPアドレス(aaa.bbb.ccc.2)を抽出して、ボタン電話交換装置1宛てのリクエストと判断して、当該BYEリクエストをボタン電話交換装置1に転送する。
【0059】
ステップS8において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、ルータ2を介してBYEリクエストを受信する。そして、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、受信したBYEリクエストに基づいて、遠隔保守サービ部12が起動している遠隔保守サービス(あるいはデータ転送サービス部13が起動しているデータ転送サービス)を停止させる。
【0060】
ステップS9において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、発信側であるサービス操作端末3に対し、BYEリクエストが成功したことを知らせる応答(OKレスポンス)として、「200 OK」を、ルータ2を介してIP電話網5に送信する。
【0061】
IP電話網5は、OKレスポンスからサービス操作端末3のIPアドレス(aaa.bbb.ccc.1)を抽出して、サービス操作端末3宛てのレスポンスと判断して、当該OKレスポンスを、リクエスト送信元であるサービス操作端末3に転送する。
【0062】
以上のステップS7〜S9までの処理によって、サービス操作端末3とボタン電話交換装置1の遠隔保守サービス部12(あるいはデータ転送サービス部13)との間で確立していたセッションが切断される。
【0063】
図5は、図2のステップS3のサービス選択処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0064】
ステップS31において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、サービス操作端末3から、IP電話網5およびルータ2を介してSIP/SDPのINVITEリクエスト(図3のデータD1、図4のデータD3)の着信を受ける。
【0065】
ステップS32において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、ステップS31の処理で着信したINVITEリクエストに含まれるメディアタイプが「Application」であるか、あるいは、「Audio」や「Video」であるかを判定し、メディアタイプが「Application」であると判定した場合、ステップS33に進む。
【0066】
ステップS33において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、ステップS31の処理で着信したINVITEリクエストに含まれるメディアフォーマットが「http」であるか、「octet−stream」であるかを判定し、メディアフォーマットが「http」であると判定した場合、ステップS34に進む。なお、ステップS33の処理では、メディアフォーマットとして、「http」または「octet−stream(オクテット・ストリーム)」を用いて判定するが、これは一例であり、他のメディアフォーマットを用いても勿論良い。
【0067】
ステップS34において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、遠隔保守サービス部12の遠隔保守サービスのアプリケーションを起動させるとともに、遠隔保守サービス部12のWebポートの開放を行う(図3の矢印A1)。そしてボタン電話交換装置1の呼制御部11は、開放したWebポートのポート番号を含むOKレスポンス(図3のデータD2)を、ルータ2およびIP電話網5を介してサービス操作端末3に通知する。これにより、SIP/SDPのINVITEリクエストを発信したサービス操作端末3は、ボタン電話交換装置1の遠隔保守サービス用ポートへのアクセスが可能となり、遠隔保守サービスを利用することができる。
【0068】
ステップS33において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、ステップS31の処理で着信したINVITEリクエストに含まれるメディアフォーマットが「octet−stream」であると判定した場合、ステップS35に進む。
【0069】
ステップS35において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、データ転送サービス部13のデータ転送サービスのアプリケーションを起動させるとともに、データ転送サービス部13のWebポートの開放を行う(図4の矢印A2)。そしてボタン電話交換装置1の呼制御部11は、開放したWebポートのポート番号を含むOKレスポンス(図4のデータD4)を、ルータ2およびIP電話網5を介してサービス操作端末3に通知する。これにより、SIP/SDPのINVITEリクエストを発信したサービス操作端末3は、ボタン電話交換装置1のデータ転送サービス用ポートへのアクセスが可能となり、データ転送サービスを利用することができる。
【0070】
ステップS32において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、ステップS31の処理で着信したINVITEリクエストに含まれるメディアタイプが「Audio」や「Video」であると判定した場合、ステップS36に進む。
【0071】
ステップS36において、ボタン電話交換装置1の呼制御部11は、サービス操作端末3からの着信が音声通信によるもの、または映像通信によるものと判断し、IP電話網5を介したオーディオ信号やビデオ信号の送受信が可能なストリーム(オーディオストリームやビデオストリーム)を開設させる。
【0072】
[発明の実施の形態における効果]
1.以上のように、1つの電話番号で、音声通信、映像通信、およびデータ通信を行うことができる。
【0073】
2.データ通信の場合、1つの電話番号で複数のWebサービスを選択して起動することができる。
【0074】
3.SDPのメディアタイプ、メディアフォーマットの制御であるため、従来の限定された情報要素による着信先の振り分け制御よりも、自由度が高く、より確実に通信制御を行うことができる。また、メディアフォーマットが可変であるため、ボタン電話交換装置1に記録するメディアフォーマットを追加することで、本発明を利用して起動するWebサービスの数を増やすことが可能となる。
【0075】
4.以上においては、データ通信システムにおける着信側のサービス操作端末3は、SIPの終端が可能なネットワーク機器であれば何でもよい。SIPによって通信を確立することで、ネットワーク機器で利用できるWebサービスの起動が可能となる。
【0076】
5.上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0077】
汎用のコンピュータは、CPU,ROM,RAMなどの制御部、キーボードやマウスなどの入力部、ディスプレイなどの表示部、半導体メモリや磁気ディスクなどの記憶部、LANカードやモデムなどの通信部、および、リムーバブルメディアを駆動するドライブから構成されている。このように構成されるコンピュータでは、CPUが、例えば、記憶部に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0078】
コンピュータ(制御部)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)など)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディアに記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0079】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたときなどの必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0080】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたりすることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 ボタン電話交換装置
3 サービス操作端末
5 IP電話網
11 呼制御部
12 遠隔保守サービス部
13 データ転送サービス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信端末と第2の通信端末の間でネットワークを介して通信を行うデータ通信システムにおいて、
前記第1の通信端末は、前記第2の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御手段を備え、
前記セッション情報は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、
前記メッセージボディには、SDP(Session Description Protocol)を用いたセッションに関する情報が記述される
ことを特徴とするデータ通信システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記メッセージボディに含まれるメディアに関する情報に基づいて、前記所定のWebサービスの起動を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記メディアに関する情報に含まれるメディアタイプおよびメディアフォーマットに基づいて、前記所定のWebサービスの起動を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のデータ通信システム。
【請求項4】
前記メディアタイプは、アプリケーション、オーディオ、またはビデオであり、
前記メディアフォーマットは、httpまたはオクテット・ストリームである
ことを特徴とする請求項3に記載のデータ通信システム。
【請求項5】
第1の通信端末と第2の通信端末の間でネットワークを介して通信を行うデータ通信システムのデータ通信方法において、
前記第1の通信端末は、前記第2の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御ステップを含み、
前記セッション情報は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、
前記メッセージボディには、SDP(Session Description Protocol)を用いたセッションに関する情報が記述される
ことを特徴とするデータ通信方法。
【請求項6】
第1の通信端末と第2の通信端末の間でネットワークを介して通信を行うデータ通信システムのデータ通信処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記第2の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記セッション情報は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、
前記メッセージボディには、SDP(Session Description Protocol)を用いたセッションに関する情報が記述される
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
ネットワークを介して他の通信端末との間で通信を行うデータ通信端末において、
前記他の通信端末から送信されてくるセッション情報に基づいて、所定のWebサービスの起動を制御する制御手段を備え、
前記セッション情報は、SIP(Session Initiation Protocol)を用いた情報であり、リクエスト行、ヘッダ、メッセージボディから構成され、
前記メッセージボディには、SDP(Session Description Protocol)を用いたセッションに関する情報が記述される
ことを特徴とするデータ通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−209801(P2012−209801A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74525(P2011−74525)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】