説明

トナー、現像剤、画像形成装置

【課題】SURF定着方式で定着しても高温オフセットが発生せず、クリーニングブレード方式でクリーニングしてもトナーすり抜けが発生せず、多数枚プリントしてもかぶりが無く、高品質のプリント画像を継続して得ることができるトナー、現像剤及び画像形成装置の提供。
【解決手段】少なくともブレードクリーニング工程と、SURF定着工程を有する画像形成方法に使用するトナーにおいて、該トナーはトナー粒子(A)と樹脂粒子(B)とを有し、該トナー粒子(A)の円形度が0.93〜0.99で、個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0〜8.0μmであり、該樹脂粒子(B)の円形度が0.70〜0.92で、個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子(A)の個数基準におけるメディアン径(D50)の0.15〜0.60倍であることを特徴とするトナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、現像剤、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真画像形成方法では、転写材(例えば、転写紙・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォーマット紙)にトナーを加熱定着させる定着装置として、熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。しかし、近年は、クイックスタートや省エネルギーの観点から固定された加熱体を内包した回同する上ベルトによりトナーを転写材に定着する方法(以下、SURF定着方法とも云う)が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)
一般に電子写真画像形成方式では、像担持体から転写材に転写の際に、転写材に転移せず像担持体上に残ったトナーを像担持体上から除去することが必要である。像担持体上に残ったトナーをクリーニングする方法として、ウレタンゴム等の弾性材料からなるクリーニングブレードのエッジを像担持体表面に接触させる方法が広く用いられている。このとき、クリーニングブレードは一般に、その一端のエッジを像担持体の走行方向に対しカウンター方向に圧接させて使用している。
【0003】
又、電子写真画像形成方法を用いて高画質のプリント画像を得るという要望が高まっている。
【0004】
高画質のプリント画像を得る手段として、画像形成に用いるトナーの球形化と小粒径化が検討されている。
【0005】
球形化したトナーを用いると、上記のようなクリーニングブレードを用いたのではトナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまい、像担持体表面のトナーをクリーニングするのが非常に困難である事が知られている。
【0006】
球形トナーがブレードをすり抜けてしまう現象については、これまで様々な説明がなされている。一般的な説明としては、クリーニングブレードのエッジ(以下、ニップ部とも云う)に集められた球形トナーは、互いに接触面積が大きく互いに同等の粒径であるため、互いを乗り越えて移動することが困難である結果、最密充填状態(隙間無く充填された状態)になり易く、しかも像担持体表面との接触面積が大きいことにより付着力も大きく、あたかも1つの集合体のようにクリーニングブレードのエッジを押し上げる力を持ち、その結果ブレードをすり抜けてしまうというと考えられている。単にクリーニングブレードの圧接力を増しても、その効果は小さく、むしろ像担持体の寿命を低減させてしまう等の不具合により適用できないケースが多い。
【0007】
像担持体上の球形トナーからなる転写残トナーを、クリーニングブレードによりクリーニングする方法が検討されている。
【0008】
詳細には、
(A)像担持体表面の摩擦係数を低減させる潤滑物質を像担持体表面に供給する手段である。像担持体表面の摩擦係数を低減することで、球形トナーが最密充填状態になったとしても像担持体表面を滑るためクリーニングブレードをすり抜けるには至らないという効果を狙ったものである(例えば、特許文献3参照。)。
(B)4色フルカラー画像形成装置において、うち1色の現像器に収容された現像剤を粉砕法で作製した不定形トナーとするという方法である。球形トナーと不定形トナーがニップ部付近で混合し、最密充填状態を生じない構成とし、クリーニングブレードのすり抜けを防止する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
(C)クリーニングブレードのエッジに塗布された粉体潤滑剤と球形トナーよりも平均粒径が小さい不定形トナーとの混合粉体材料を用い、クリーニングブレードのすり抜けを防止する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−330983号公報
【特許文献2】特開2004−233983号公報
【特許文献3】特開平5−188643号公報
【特許文献4】特開平8−254873号公報
【特許文献5】特開2000−267536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、SURF定着方式を採用すると、上ベルトに熱の伝達が良いフィルムを用いることで広い幅のニップの構成を取ることができ、熱がトナーに伝わる時間も長くなる。その結果、トナーが熔融しやすく低粘度化して上ベルトから離型しづらくなり、高温オフセットを生じやすいという問題があった。
【0011】
又、トナーの内部にワックスを内包させ定着時にワックスが染み出させることによって上ベルトとの分離を良くする方法はよく知られているが、SURF定着のような定着装置では上ベルトの加熱部の曲率が下ローラと異なり小さいため、定着出口において上ベルトから転写材を分離時に上ベルト部材とトナーの間の接着力が大きくなりトナーの内部凝集力を破壊し、高温オフセットが生じやすいという問題があった。
【0012】
前記(A)、(B)、(C)についても検討を行った。その結果、
(前記(A)の問題点)
前記(A)では、像担持体表面の摩擦係数を低減させる潤滑物質として提案されているものの多くは高温高湿条件のもとでは吸湿しやすく、像担持体表面に付着した潤滑物質が帯電状態に悪影響を与え、画像に欠損を生じる等の不具合を引き起こすという問題が有った。
【0013】
(前記(B)の問題点)
前記(B)では、複数色の像を担持する像担持体の場合は適用できるが、タンデム方式のカラー画像形成装置の像担持体の場合は適用できない。又、画像形成装置が使用開始初期ではクリーニングブレードのエッジに不定形トナーが十分到達していないので、多量の球形トナーが到達したような場合には、前述のメカニズムによってクリーニングブレードを球形トナーがすりぬけてしまうという問題が有った。
【0014】
(前記(C)の問題点)
前記(C)では、不定形トナーによりせき止め部を形成させているが、せき止め部を形成する粒子とせき止められる粒子が同じトナーであるため、選択的にクリーニングブレードのエッジ先端部に不定形トナーのみが行くことが困難である。このため、十分なせき止め部を形成することができず、球形トナーがすり抜けてしまうという問題が有った。
【0015】
上記のように、クリーニングブレードにより転写残トナーを良好にクリーニングする方法は未だ見つかっていないのが現状である。
【0016】
更に、パッチ像を形成する画像形成方法では、転写残トナーよりクリーニングされるトナー量が多いので、パッチ部を形成するトナー(以下、単にパッチ部トナーともいう)をクリーニングするのに負荷がかかる。
【0017】
パッチ像トナーとは、画像濃度が正常に維持されるよう補正するために用いられるものである。詳細には、1.5cm角程度の各色パッチ像を感光体上に形成し、その後中間転写体に転写し、中間転写体上の各色パッチ像トナーの濃度をパッチセンサで測定し、画像濃度が正常化を確認するために用いられるものである。パッチ像濃度が薄ければ濃くなるように帯電条件や現像条件を制御し、パッチ像濃度が濃ければ薄くなるように帯電条件や現像条件を制御して常に良好なプリント画像が得られるようにする。
【0018】
本発明は、SURF定着方式で定着しても高温オフセットが発生せず、クリーニングブレード方式でクリーニングしてもトナーすり抜けが発生せず、多数枚プリントしてもかぶりが無く、高品質のプリント画像を継続して得ることができるトナー、現像剤、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成できる。
【0020】
1.少なくともブレードクリーニング工程と、SURF定着工程を有する画像形成方法に用いるトナーにおいて、
該トナーはトナー粒子(A)と樹脂粒子(B)とを含有し、
該トナー粒子(A)の円形度が0.93〜0.99で、個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0〜8.0μmであり、
該樹脂粒子(B)の円形度が0.70〜0.92であり、
該樹脂粒子(B)の個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子(A)の個数基準におけるメディアン径(D50)の0.15〜0.60倍であることを特徴とするトナー。
【0021】
2.前記樹脂粒子(B)のDSC測定における1stデータのピークトップ温度が、95〜140℃の範囲にあることを特徴とする前記1に記載のトナー。
【0022】
3.前記樹脂粒子(B)が、ポリエチレン樹脂を有していることを特徴とする前記1または2に記載のトナー。
【0023】
4.前記トナー粒子(A)が、ワックスを含有していることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載のトナー。
【0024】
5.前記トナーが、トナー粒子(A)100質量部に対して樹脂粒子(B)を0.05〜5.0質量部配合したものであることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載のトナー。
【0025】
6.前記1〜5の何れかに記載のトナーとキャリアを用いて調製されたもので有ることを特徴とする現像剤。
【0026】
7.前記1〜5の何れかに記載のトナーを用い、少なくともブレードクリーニング手段と、固定された加熱体を内包した回同する加圧部材によりトナーを画像支持体に定着するSURF定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明のトナー、現像剤、及び画像形成装置は、SURF定着で定着しても高温オフセットが発生せず、クリーニングブレードでクリーニングしてもトナーすり抜けが発生せず、多数枚プリントしてもかぶりが無く、高品質のプリント画像を継続して得ることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】クリーニングブレードの主要パラメータを示す模式図である。
【図2】樹脂粒子(B)がクリーニングブレードのニップ部にせき止め部を形成し、該せき止め部によりトナー粒子(A)がせき止められている状態を示す模式図である。
【図3】トナー粒子(A)の円形度を制御する円形度制御装置の一例を示す概略図である。
【図4】本発明のトナーを用いたカラー画像形成装置の一例を示す断面概要図である。
【図5】SURF定着方式の一例を示す模式図である。
【図6】感光体のクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【図7】中間転写体のクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【図8】二次転写部材のクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者らは、SURF定着方式で定着しても高温オフセットが発生せず、クリーニングブレード方式でクリーニングしてもトナーすり抜けが発生せず、多数枚プリントしてもかぶりが無く、高品質のプリント画像を継続して得ることができるトナーについて鋭意検討を行った。
【0030】
種々検討の結果、SURF定着工程とブレードクリーニング工程を有する画像形成方法の画像形成装置に、特定のトナーを用いると、本発明の目的を達成できることを見出した。
【0031】
特定のトナーとは、少なくともトナー粒子(A)と樹脂粒子(B)とを含有するもので、
トナー粒子(A)の円形度が0.93〜0.99で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0〜8.0μmであり、
樹脂粒子(B)の円形度が0.70〜0.92で個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子(A)の0.15〜0.60倍のものである。
【0032】
トナーを装填してプリントを行うと、本発明の目的を達成できることを見出した。
【0033】
SURF定着工程では、上ベルト部材の表面に表面張力が小さいフッ素樹脂等が用いられ高温オフセットの発生を防止する工夫がされている。しかしながら、上ベルト(以下、加熱部材とも云う)の曲線が小さいために定着出口でトナーの転写材から剥離する力がトナーの内部凝集力より大きくなり高温オフセットが発生すると考えた。
【0034】
高温オフセットの発生を防止するために、トナー粒子(A)に樹脂粒子(B)(例えば、表面エネルギーの低いポリエチレン樹脂粒子)を適量添加することを検討した。これはトナーにワックスを内包するトナー粒子(A)だけでは高温オフセットに対して不十分であると考え、トナー粒子(A)の表面に表面エネルギーが小さく離型効果のある樹脂粒子(B)を存在させることで、定着時に上ベルト(加熱部材)から分離をしやすくする効果を狙ったものである。樹脂粒子(B)は、電子写真プロセスにおいて、定着工程までトナー粒子(A)と同じ動きをする必要があるためトナー粒子(A)と同極であることが好ましい。
【0035】
ブレードクリーニング工程では、クリーニングブレードでクリーニングしてもトナーすり抜けが発生しないように上記のような検討がされている。しかしながら、球形のトナーを用いるとトナーすり抜けの発生が発生していた。
【0036】
球形トナーを用いてもトナーのすり抜けを防止するため、球形のトナー粒子(A)と非球形でトナー粒子より小粒径の樹脂粒子(B)を適量配合したトナーを用いることを検討した。
【0037】
球形のトナー粒子(A)と非球形でトナー粒子より小粒径の樹脂粒子(B)を適量配合したトナーを用いると、クリーニングブレードの先端部(ニップ部)に樹脂粒子(B)が蓄積し、トナー粒子(A)のすり抜けを防止するせき止め部が形成されることによりクリーニング不良の発生を防止できることを見いだした。
【0038】
更に、樹脂粒子(B)としては、DSC測定における1stデータのピークトップが95〜140℃の範囲にあるものが好ましいことを見いだした。95℃以上とすることでSURF定着装置の加熱部材や加圧部材にトナーフィルミングが発生するのを防止でき、140℃以下とすることで定着不良の発生を防止できる。
【0039】
更に、樹脂粒子(B)を構成する樹脂としてポリエチレン樹脂を用いると、ポリエチレン樹脂が低温定着性を阻害せず離型剤としての効果も有し、クリーニング性も確保できることを見いだした。
【0040】
更に、トナー粒子(A)にワックスを含有させると、SURF定着での高温オフセットの発生を防ぐのにより有効であることも見いだした。
【0041】
更に、トナー粒子(A)100質量部に対してと樹脂粒子(B)を0.05〜5.0質量部配合したトナーは、トナーすり抜けの発生防止に有効であることも見いだした。
【0042】
図1は、クリーニングブレードの主要パラメータを示す模式図である。
【0043】
図1において、Lはクリーニングブレードの自由長、tはクリーニングブレードの厚さ、αはクリーニングブレードの転写部材に対する当接角、θは設定角度、dは食い込み量、Nは当接圧、5はクリーニングされる部材、10はブレードホルダ、Bはブレードホルダ10の端部、Aはクリーニングブレードの先端点Aを示す。尚、クリーニングブレードの自由長Lはブレードホルダ10の端部Bから変形しないと仮定したクリーニングブレード(図面では点線で示した)の先端点Aの長さである。
【0044】
図2は、樹脂粒子(B)がクリーニングブレードのニップ部にせき止め部を形成し、該せき止め部によりトナー粒子(A)がせき止められている状態を示す模式図である。
【0045】
図2において、1はクリーニングブレード、2はトナー粒子(A)、3は樹脂粒子(B)、4はニップ部、5はクリーニングされる部材(感光体、中間転写体、二次転写部材)、5はニップ部、7はクリーニングされる部材の移動方向、8はせき止め部を示す。
【0046】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0047】
《トナーの特徴》
本発明のトナーは、特定の円形度と粒径を有するトナー粒子(A)と特定の円形度と粒径を有する樹脂粒子(B)を特定比で配合して得られたものである。
【0048】
《トナーの特性》
〈トナー粒子(A)と樹脂粒子(B)の円形度〉
本発明のトナーを構成するトナー粒子(A)の円形度は0.93〜0.99である。円形度を上記範囲とすることにより、トナー自体に適度な流動性が付与され、画像形成装置内で機械的な負荷を受ける状態が長期にわたり続いてもトナーは破損、劣化しにくくなる。すなわち、トナーに耐久性が付与されることにより、高精細なプリント画像を長期にわたり、安定して形成することが可能になる。
【0049】
又、本発明のトナーを構成する樹脂粒子(B)の円形度は0.72〜0.92である。円形度を上記範囲とすることにより、ブレードニップをすり抜けずにせき止め部を形成することができる。
【0050】
トナー粒子(A)の円形度は、下記式より算出した値である。
【0051】
トナー粒子(A)の円形度=(トナー粒子(A)の像と同じ投影面積を有する円の周囲長)/(トナー粒子(A)の投影像の周囲長)
トナー粒子(A)の円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100(Sysmex社製)」を用いて算出することができる。
【0052】
詳細には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、トナー粒子(A)と樹脂粒子(B)を分離する。分離したトナー粒子(A)を超音波分散で1分間分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数2000〜4000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある同一測定値が得られる。
【0053】
尚、本発明においてトナー粒子(A)の円形度とは、上記で測定して得られた値を云う。
【0054】
樹脂粒子(B)についても、トナー粒子(A)と同様にして算出することができる。
【0055】
〈トナー粒子(A)と樹脂粒子(B)の個数基準におけるメディアン径(D50)〉
トナー粒子(A)の個数基準におけるメディアン径(D50)は3.0〜8.0μm、好ましくは4.0〜6.5μmである。個数基準におけるメディアン径(D50)を上記範囲とすることにより、トナー自体に適度な流動性が付与され、高精細なプリント画像を長期にわたり安定して形成することが可能になる。
【0056】
樹脂粒子(B)の個数基準におけるメディアン径(D50)はトナー粒子(A)の0.15〜0.60倍、好ましくは0.25〜0.50倍である。個数基準におけるメディアン径(D50)の倍率を上記範囲とすることによりせき止め部を良好に形成することができる。
【0057】
詳細には、トナー粒子(A)の個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μmのものを用いるときは、樹脂粒子(B)の個数基準におけるメディアン径(D50)が0.45〜1.8μmのものを用いる。トナー粒子(A)の個数基準におけるメディアン径(D50)が8.0μmのものを用いるときは、樹脂粒子(B)の個数基準におけるメディアン径(D50)が1.2〜4.8μmのものを用いる。
【0058】
トナー粒子(A)と樹脂粒子(B)の個数基準におけるメディアン径(D50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することが可能である。
【0059】
「マルチサイザー3」を用いた個数基準におけるメディアン径(D50)の測定は以下の手順で行う。
(1)トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、トナー粒子(A)と樹脂粒子(B)を分離し、トナー粒子(A)と樹脂粒子(B)の測定試料を調製する。
(2)測定試料0.02gを界面活性剤溶液20mlで十分なじませた後、超音波分散処理を1分間行って測定試料の分散液を作製する。
(3)この測定試料の分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカに、測定濃度5〜10%になるまでピペットで注入する。(4)測定機カウントを2500個に設定して測定を開始する。なお、マルチサイザー3のアパーチャー径は20μmのものを使用する。
【0060】
〈樹脂粒子(B)のDSC測定における1stデータのピークトップ温度〉
本発明おいて、DSC測定における1stデータのピークトップ温度とは、「示差熱分析装置」(DSC)により樹脂粒子(B)を測定したときの吸熱ピーク温度の値である。DSC測定はASTM D3418−8に準じて行われる。本発明においてはDSC測定で得られたDSC曲線における主体極大ピーク点における温度を吸熱ピーク温度と称している。
【0061】
吸熱ピーク温度の測定は、示差熱分析装置「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いて行う。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い、対照用には空のパンをセットし、昇温速度は10℃/minとし、ワックス融解にともなう吸熱ピークを測定する。その後、0〜200℃まで昇温する。その後、10℃/minで冷却し、0℃までに発生する発熱ピークを求める。
【0062】
次に、トナー粒子(A)、樹脂粒子(B)、トナーの作製について説明する。
【0063】
〈トナー粒子(A)の作製〉
本発明に係るトナー粒子(A)は、少なくとも樹脂と着色剤、必要に応じワックスを含有してなる粒子より構成されるものである。本発明に係るトナー粒子(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来のトナーの製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナー粒子(A)を作製するいわゆる粉砕トナーの製造方法(粉砕法)や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合トナーの製造方法(例えば、乳化重合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法等)を適用することにより作製可能である。
【0064】
この中でも、重合法による作製は、その製造工程で粒子の形状や大きさを制御しながら所望のトナー粒子(A)を形成することが可能であることから好ましい製造方法である。
【0065】
その中でも、乳化重合法や懸濁重合法により予め120nm前後の樹脂粒子を形成しておき、この樹脂粒子を凝集させる工程を経て粒子形成を行う乳化会合法は有効な製造方法の1つといえる。
【0066】
以下に、乳化会合法によるトナー粒子(A)の作製の例を説明する。乳化会合法では概ね以下の様な手順を経てトナー粒子(A)を作製する。すなわち、
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
(3)樹脂粒子の凝集・融着工程
(4)熟成工程
(5)冷却工程
(6)洗浄工程
(7)乾燥工程
必要に応じ
(8)外添剤処理工程
を経て作製することができる。
【0067】
以下、各工程について説明する。
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
この工程は、樹脂粒子を形成する重合性単量体を水系媒体中に投入して重合を行うことにより120nm程度の大きさの樹脂粒子を形成する工程である。樹脂粒子にワックスを含有させたものを形成することも可能で、この場合、ワックスを重合性単量体に溶解あるいは分散させておき、これを水系媒体中で重合させることにより、ワックスを含有してなる樹脂粒子が形成される。
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
水系媒体中に着色剤を分散させ、110nm程度の大きさの着色剤粒子分散液を作製する工程である。
(3)樹脂粒子の凝集・融着工程
この工程は、水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を凝集させ、凝集させたこれらの粒子を融着させて粒子を得る工程である。この工程では、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上であって、かつ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで凝集を進行させると同時に樹脂粒子同士の融着を行う。詳細には、前述の手順で作製した樹脂粒子と着色剤粒子とを反応系に添加し、塩化マグネシウム等の凝集剤を添加することにより、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させると同時に粒子同士を融着させて粒子形成を行う。そして、粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
(4)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより粒子の形状が所望の円形度になるまで熟成を行う工程である。
(5)冷却工程
この工程は、前記粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(6)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された粒子分散液から粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのケーキ状集合体にした粒子から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程からなる。
【0068】
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
(7)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された粒子を乾燥処理し、乾燥された粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0069】
又、乾燥された粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(8)外添剤処理工程
この工程は、乾燥された粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナー粒子(A)を作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0070】
又、本発明に係るトナー粒子(A)は、粉砕法により作製した粒子を加熱処理することにより円形度を制御して作製されるものでもよい。詳細には、下記に示す手順により作製することができる。
【0071】
粉砕法によるトナー粒子(A)の作製は、最初に、バインダー樹脂、荷電制御剤、及び、着色剤等のトナー構成物を、ヘンシェルミキサ等を用いて混合した後、混合物を2軸押出混練機等の混練機に投入して混練を行う(混練工程)。
【0072】
混練物を冷却後、フェザーミル、ハンマーミル等で疎粉砕し、さらに、クリプトロン等の機械式粉砕機やジェットミル等の気流式粉砕機で微粉砕する(粉砕工程)。
【0073】
次に、微粉砕処理したものを機械式あるいは気流式の分級機に投入し、分級処理を行って、所望の粒径を有する粒子を得る(分級工程)。
【0074】
さらに、上記工程を経て作製された粒子を、円形度制御装置を用いて加熱処理することにより、粒子の円形度を制御する。円形度を制御する装置としては、たとえば、粒子に熱風を接触させて円形度制御を行う「サフュージョンシステム(NPK社製)」等が代表的なものである。
【0075】
トナー粒子(A)の円形度を制御する円形度制御装置について説明する。
【0076】
図3は、トナー粒子(A)の円形度を制御する円形度制御装置の一例を示す概略図である。
【0077】
円形度制御装置は、図3に示すように、トナー等のトナー粒子(A)を熱処理する処理槽410の上部に筒状の熱風供給部材420を設け、熱風供給部材420の周囲に分散室430が設けられる。この分散室430の外周側には、トナー粒子(A)を分散させてなる分散気流を分散室430内に吹き込む原料供給部材431が接続され、一方、分散室430の内周側には、その周方向に所定間隔を介して複数の原料噴射ノズル432が設けられる。尚、図3において、Tはトナー粒子(A)を示す。
【0078】
上記熱風供給部材420より処理槽410内に熱風を噴射させ、一方、上記原料供給部材431よりトナー粒子(A)を分散させた分散気流が分散室430内に吹き込まれる。分散室430内に吹き込まれた分散気流は、上記熱風供給部材420より噴射される熱風に向かって各原料噴射ノズル432より処理槽410内に噴射される。
【0079】
上記各原料噴射ノズル432より噴射する分散気流を前記熱風に向けて噴射させるとき、分散気流と熱風とでなす角度が大きくなることがある。この場合、分散気流が熱風を横切るように噴射されるので、分散気流は熱風と衝突し易い状態となり、分散気流中のトナー粒子(A)が凝集し易くなる。
【0080】
一方、各原料噴射ノズル432より噴射される分散気流と熱風供給部材420より噴射される熱風とでなす角度が小さくなることがある。この場合、分散気流は熱風中に十分に取り込まれにくくなり易いので、分散気流中のトナー粒子(A)は十分な熱処理が行われなくなる。以上の見解から、各原料噴射ノズル432より噴射される分散気流と熱風供給部材420より噴射される熱風との間の角度は20〜40°、好ましくは25〜35°の範囲とすることが好ましい。
【0081】
図3に示す熱処理装置には、熱風供給部材420から処理槽410内に噴射する熱風を整流する整流手段が設けられている。詳細には、熱風供給部材420内に設けられた仕切り部材で、この仕切部材を設けることにより、熱風供給部材420内の熱風の通路は複数の小さな通路より構成されている。この様に、熱風供給部材420内に設けられた仕切り部材により、熱風供給部材420内を通過する熱風は、仕切り部材で仕切られた複数の小さな通路を通過することにより熱風の乱れが是正され、整流された状態で処理槽410内に供給されることになる。
【0082】
整流された熱風を熱風供給部材420より処理槽410内に噴射すると、熱風による乱れがないので、分散気流中のトナー粒子(A)の一部が熱風から遠ざけられたり、あるいは、熱風中で局所的に集合されたりする様なことがなくなり、トナー粒子(A)が均一に熱処理される。又、処理槽410の上面に設けられた空気導入口411より処理槽410内に導入される冷風で熱処理されたトナー粒子(A)を冷却する際、適切な冷却が行われ、トナー粒子(A)同士の不要な結合も抑制される。
【0083】
そして、上記手順を経て作製された粒子に、必要に応じ外添剤を添加してトナー粒子(A)を作製する。外添剤処理を施す装置としては、ヘンシェルミキサやコーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
【0084】
次に、トナー粒子(A)を作製するのに用いられる部材(樹脂、ワックス、着色剤等)について説明する。
【0085】
〈樹脂〉
トナー粒子(A)を構成する樹脂としては、下記(1)〜(10)に示す様なビニル系単量体に代表される重合性単量体を重合して作製される重合体が代表的なものである。好ましくは、下記に示すビニル系単量体を単独あるいは複数種類組み合わせて重合を行って得られるものが挙げられる。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)ビニル化合物類
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等
(10)アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等。
【0086】
又、樹脂を構成する重合性単量体として、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて使用することも可能である。イオン性解離基としては、たとえば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基が挙げられ、イオン性解離基を有する重合性単量体はこれらの置換基を有するものである。
【0087】
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例を以下に挙げる。
【0088】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等。
【0089】
さらに、樹脂を構成する重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも可能である。多官能性ビニル類の例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等を挙げることができる。
【0090】
〈ワックス〉
トナー粒子(A)の作製に用いられるワックスとしては、従来公知のものが挙げられ、ワックスの例としては、以下のものが挙げられる。
(1)長鎖炭化水素系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等
(2)エステル系ワックス
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(3)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
(4)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(5)その他
カルナウバワックス、モンタンワックス等。
【0091】
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。ワックスの融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保され、同時に、低温での定着を行う場合でもコールドオフセット等を発生させずに安定したトナー画像形成が行える。又、トナー粒子(A)中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
【0092】
〈着色剤〉
トナー粒子(A)を構成する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。好ましくは、以下の着色剤を挙げることができる。
【0093】
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
【0094】
又、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、ピグメントレッド48;3、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0095】
又、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
【0096】
又、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0097】
上記の着色剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
着色剤の添加量はトナー粒子(A)に対して1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
【0099】
又、着色剤としては、表面改質されたものを使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などが好ましく用いることができる。
【0100】
〈荷電制御剤〉
本発明に係るトナー粒子(A)中には、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
【0101】
〈外添剤〉
本発明に係るトナー粒子(A)は、必要に応じ外添剤を混合して用いることもできる。
【0102】
外添剤の粒径は、トナー粒子(A)の個数基準におけるメディアン径(D50)の0.14倍以下が好ましい。
【0103】
外添剤の添加により、トナー粒子(A)の流動性や帯電性が改良され、又、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に挙げる無機微粒子や有機微粒子、及び、滑剤が挙げられる。
【0104】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましいものとして挙げられる。
【0105】
又、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
【0106】
シリカ微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0107】
チタニア微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0108】
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0109】
又、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。好ましくは、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0110】
これら外添剤の添加量は、トナー粒子(A)に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。又、外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウターミキサ、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
【0111】
〈樹脂粒子(B)の作製〉
本発明に係る樹脂粒子(B)は、樹脂粉末を機械式粉砕装置で粉砕し、その後、分級して作製したものが好ましい。粉砕条件と分級条件により個数基準におけるメディアン径(D50)と円形度を制御することができる。
【0112】
樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル・スチレン樹脂を挙げることができる。
【0113】
樹脂粒子(B)のDSC測定における1stデータのピークトップ温度は、樹脂の種類やその分子量の異なるものを選択することにより変えることができる。
【0114】
尚、樹脂粒子(B)は、トナー粒子(A)と同様、外添剤を添加して作製されたものでも良い。
【0115】
〈トナーの作製〉
本発明のトナーは、少なくともトナー粒子(A)と樹脂粒子(B)を特定比率で配合して作製することができる。
【0116】
トナー粒子(A)に樹脂粒子(B)を配合する配合比は、トナー粒子(A)100質量部に対して樹脂粒子(B)0.05〜5.0質量部が好ましい。
【0117】
トナー粒子(A)と小粒子(B)を混合する混合装置としては、公知のヘンシェルミキサ、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0118】
《現像剤の調製》
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、又、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
【0119】
本発明に係る二成分現像剤は、キャリア100質量部にトナー3〜10質量部を機械式混合機で混合して調製することができる。
【0120】
混合方法は、特に限定されず公知の混合機を用いて混合することができる。
【0121】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄やフェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂などによって被覆した樹脂被覆キャリア、あるいは樹脂と磁性粉とを混合して得られる樹脂分散型キャリアいずれのものでも良い。キャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μm程度が好ましい。
【0122】
《画像形成》
本発明のトナーは、少なくともクリーニングブレードを用いたクリーニング手段とSURF定着装置を用いた定着手段とを有する画像形成装置に用いることができる。詳細には、白黒画像形成装置やカラー画像形成装置に装填して用いることができる。
【0123】
カラー画像形成装置では、一定プリントごとにパッチ像を中間転写体上に形成し、このパッチ像の反射濃度を測定し、反射濃度が規定された値になるよう帯電や現像条件を制御し、継続して高品質のプリント画像を得ている。
【0124】
詳細には、感光体上に形成されたパッチ像は、中間転写体にそのまま転写され、パッチ像の反射濃度が中間転写体周上に設置された検知センサにより測定され、検知センサにより測定されたパッチ像の濃度により帯電条件や現像条件が制御され、安定した高品質のプリント画像が継続して得られるようになっている。
【0125】
パッチ像の反射濃度が測定された後、中間転写体上のパッチ像トナーは、下記で示す中間転写体のクリーニング手段によりクリーニングされるか、或いは、中間転写体から二次転写部材に転写された後、二次転写部材のクリーニング手段によりクリーニングされる。
【0126】
以下、本発明のトナーが好ましく用いられるカラー画像形成方法、画像形成装置について説明する。
【0127】
本発明で用いられるカラー画像形成方法は、少なくともクリーニングブレードを用いたクリーニング手段、SURF定着装置を用いた定着手段を有する。
【0128】
図4は、本発明のトナーを用いたカラー画像形成装置の一例を示す断面概要図である。
【0129】
先ず、検知センサ、二次転写装置70が装着されているカラー電子写真用の画像形成装置GSについてその概略を説明する。
【0130】
画像形成装置GSは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、中間転写体の移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン及び黒色の各カラートナー像を形成する画像形成ユニットを配置し、各画像形成ユニットの像担持体上に形成したカラートナー像を中間転写体上に多重転写して重ね合わせた後、転写材上に一括転写するものである。
【0131】
図において、画像形成装置GSの上部を占める位置に配設される画像読取装置SC上に載置された原稿画像が光学系により走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれ、ラインイメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込手段としての露光光学系3に画像データ信号を送る。
【0132】
中間転写体としてはドラム式のものや無端ベルト式のものがあり、何れも同じような機能を有するものである。
【0133】
又図において、中間転写体6の周縁部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色(K)の各色毎の画像形成用として4組のプロセスユニット100がカラートナー像の形成手段として、図の矢印で示す鉛直方向の中間転写体6の回転方向に対して、中間転写体6に沿って垂直方向に縦列配置され、Y、M、C、Kの順に配置されている。
【0134】
4組のプロセスユニット100は何れも共通した構造であり、それぞれ、像担持体である感光体ドラム1と、帯電手段としての帯電器2と、画像書込手段としての露光光学系3と、現像装置4と、像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置190とからなっている。
【0135】
像担持体である感光体ドラム1は、例えば外径が40〜100mm程度のアルミニウム等の金属性の部材によって形成される円筒状の基体の外周に、感光体層厚として層厚(膜厚)20〜40μm程度の有機感光体層(OPC)の光導電層を形成したものである。感光体ドラム1は、図示しない駆動源からの動力により、導電層を接地された状態で矢印の方向に、例えば80〜280mm/s程度で、好ましくは220mm/sの線速度で回転される。
【0136】
感光体ドラム1の周りには、帯電手段としての帯電器2、画像書込手段としての露光光学系3、現像装置4を1組とした画像形成部が、図の矢印にて示す感光体ドラム1の回転方向に対して配置される。
【0137】
帯電手段としての帯電器2は、感光体ドラム1の回転軸に平行な方向で感光体ドラム1と対峙し近接して取り付けられる。帯電器2は、感光体ドラム1の有機感光体層に対し所定の電位を与えるコロナ放電電極としての放電ワイヤを備え、トナーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態においてはマイナス帯電)を行い、感光体ドラム1に対し一様な電位を与える。
【0138】
画像書込手段である露光光学系3は、不図示の半導体レーザ(LD)光源から発光されるレーザ光を、回転多面鏡(符号なし)により主走査方向に回転走査し、fθレンズ(符号なし)、反射ミラー(符号なし)等を経て感光体ドラム1上を画像信号に対応する電気信号による露光(画像書込)を行い、感光体ドラム1の表面の感光体層に原稿画像に対応する静電潜像を形成する。
【0139】
現像手段としての現像装置4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性に帯電されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)若しくは黒色(K)の各色の2成分現像剤を収容し、例えば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの円筒状の非磁性のステンレスあるいはアルミ材で形成された現像剤担持体である現像ローラ4aを備えている。現像ローラ4aは、突き当てコロ(不図示)により感光体ドラム1と所定の間隙、例えば100〜1000μmをあけて非接触に保たれ、感光体ドラム1の回転方向と同方向に回転するようになっており、現像時、現像ローラ4aに対してトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳する現像バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1上の露光部に対して反転現像が行われる。
【0140】
中間転写体6は、体積抵抗率が1.0×10〜1.0×10Ω・cm程度で、表面抵抗率が1.0×1010〜1.0×1012Ω/□程度の半導電性の無端状(シームレス)の樹脂ベルト部材が用いられ、例えば変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散した厚さ0.05〜0.5mmの半導電性の樹脂フィルム基体である。中間転写体6の基体としては、この他に、シリコーンゴム或いはウレタンゴム等に導電材料を分散した厚さ0.5〜2.0mmの半導電性ゴムベルトを使用することもできる。中間転写体6はテンションローラ6a及び二次転写ローラと対峙するバックアップローラ6Bを含む複数のローラ部材により巻回され、鉛直方向に回動可能に支持されている。中間転写体としてはドラム状のものを用いることも可能である。
【0141】
各色毎の第1の転写手段としての一次転写ローラ7は、例えばシリコーンやウレタン等の発泡ゴムを用いたローラ状の導電性部材からなり、中間転写6を挟んで各色毎の感光体ドラム1に対向して設けられ、中間転写6の背面を押圧して感光体ドラム1との間に転写域を形成する。一次転写ローラ7には定電流制御によりトナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流定電流が印加され、転写域に形成される転写電界によって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写体6上に転写される。
【0142】
中間転写体6上の残留トナーをクリーニングするために、クリーニング装置190Aが設けられている。
【0143】
さらに、二次転写部材7A上のパッチ像トナーをクリーニングするために、二次転写装置70が設けられている。
【0144】
次に、画像形成工程(画像形成プロセス)について説明する。
【0145】
画像記録のスタートにより不図示の感光体駆動モータの始動によりYの感光体ドラム1が図の矢印で示す方向へ回転され、Yの帯電器2によってYの感光体ドラム1に電位が付与される。Yの感光体ドラム1は電位を付与された後、Yの露光光学系3によって第1の色信号すなわちYの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Yの感光体ドラム1上にイエロー(Y)の画像に対応する静電潜像が形成される。この潜像はYの現像装置4により反転現像され、Yの感光体ドラム1上にイエロー(Y)のトナーからなるトナー像が形成される。Yの感光体ドラム1上に形成されたYのトナー像は一次転写手段としての一次転写ローラ7により中間転写体6上に転写される。
【0146】
次いで、Mの帯電器2によってMの感光体ドラム1に電位が付与される。Mの感光体ドラム1は電位を付与された後、Mの露光光学系3によって第1の色信号すなわちMの画像データに対応する電気信号による露光(画像書込)が行われ、Mの感光体ドラム1上にマゼンタ(M)の画像に対応する静電潜像が形成される。この潜像はMの現像装置4により反転現像され、Mの感光体ドラム1上にマゼンタ(M)のトナーからなるトナー像が形成される。Mの感光体ドラム1上に形成されたMのトナー像は、一次転写手段としての一次転写ローラ7によりYのトナー像に重ね合わせて中間転写体6上に転写される。
【0147】
同様のプロセスにより、Cの感光体ドラム1上に形成されたシアン(C)のトナーからなるトナー像と、Kの感光体ドラム1上に形成された黒色(K)のトナーからなるトナー像が順次中間転写体6上に重ね合わせて形成され、中間転写体6の周面上に、Y、M、C及びKのトナーからなる重ね合わせのカラートナー像が形成される。
【0148】
転写後のそれぞれの感光体ドラム1の周面上に残ったトナーは感光体クリーニング装置190によりクリーニングされる。
【0149】
一方、給紙カセット20A、20B、20C内に収容された転写材Pは、給紙カセット20A、20B、20Cにそれぞれ設けられる送り出しローラ21及び給紙ローラ22Aにより給紙され、搬送路22上を搬送ローラ22B、22C、22Dによって搬送され、レジストローラ23を経て、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加される二次転写手段としての二次転写ローラ7Aに搬送され、二次転写ローラ7Aの転写域において、中間転写体6上に形成された重ね合わせのカラートナー像(カラー画像)が転写材P上に一括して転写される。
【0150】
カラー画像が転写された転写材Pは、SURF定着装置17の上ベルト(加熱部材)17aと加圧ローラ17bとにより形成される定着ニップ部NAにおいて加熱加圧されて定着され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0151】
以上は転写材Pの片側である第1面への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は、排紙切換部材26が切り替わり、シート案内部26Aが開放され、転写材Pは破線矢印の方向に搬送される。
【0152】
更に、搬送機構27Aにより転写材Pは下方の搬送路27Bに搬送され、シート反転部27Cによりスイッチバックさせられ、分岐部27Dで搬送路を切り換え、今までの転写材Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
【0153】
転写材Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写材Pは再給紙され、前記搬送路22に案内される。
【0154】
そして再び、上述したように二次転写ローラ7Aの方向に転写材Pが搬送され、転写材Pの裏面である第2面にトナー画像を転写し、定着装置17で定着した後、排紙トレイ25上に排紙する。
【0155】
又、二次転写手段としての二次転写ローラ7Aにより転写材P上にカラー画像が転写された後、転写材Pを曲率分離した中間転写体6上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置190Aによりクリーニングされる。
【0156】
さらに、二次転写ローラ7A上のパッチ像トナーは、二次転写装置70のクリーニング手段71によりクリーニングされる。
【0157】
《SURF定着装置》
本発明のトナーは転写体へSURF定着装置を用いて定着される。
【0158】
SURF定着装置とは、回転する耐熱性フィルムで囲まれた上ベルトと加圧ローラを少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、加圧ローラと耐熱フィルムからなる上ベルトを挟ませてニップ部を形成させ、該上ベルトと加圧ローラとの間に転写材を狭持搬送して転写材のトナー画像を加熱し定着画像を形成する装置である。
【0159】
図5は、SURF定着装置の一例を示す模式図である。
【0160】
このSURF定着装置は、上ベルトと、これに対向して設けられる加圧ローラ10とを有する。加熱部材4は、フッ素樹脂等をコートしたポリイミドからなる厚さ50μm前後の円筒状の耐熱性フィルム5と、その内部にセラミックヒータ(加熱手段)7と、このヒータに接触させて配接し加熱温度を調節するサーミスタ等の温度検知素子6とを有する。加圧ローラ10は、アルミニウム合金製の芯金9と、その周面外側にシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の、離型性及び耐熱性に優れる樹脂組成物で被覆したゴムローラ8とを有する。
【0161】
加圧ローラ10は、セラミックヒータ7の加熱面に向けて、例えば不図示のバネ等の付勢手段によって付勢して設けられている。耐熱性フィルム5は、セラミックヒータの加熱面上を通る無端形状の軌道(図示の形態では円形の軌道)を移動自在に設けられている。耐熱性フィルム5は、セラミックヒータ7と加圧ローラ10とに挟まれており、加圧ローラ10との間にニップ部を形成している。このニップ部に、未定着トナー画像を有する転写材を導入することにより、転写材上のトナーが融け、転写材に定着トナー画像が形成される。
【0162】
《クリーニングブレード》
本発明で用いられるクリーニングブレードは、特定の反発弾性率を有し、特定の自由長を有するものである。
【0163】
クリーニングブレードの反発弾性率は、常温(20℃)において35〜60%であるものが好ましい。
【0164】
反発弾性率が35%以上であるとブレードの振動のエネルギーが充分でクリーニング効果が発現でき、クリーニング不良による画像かぶり、ポチ故障や筋故障が発生しない。又、反発弾性率が60%以下であるとブレードの振動のエネルギーが過大とならず、ブレードが感光体上ではねる現象を防止でき、横線かぶり(黒筋)が発生しない。尚、反発弾性率は、JIS k7311に規定する測定法により測定される。
【0165】
クリーニングブレードの自由長は6〜15mmであるものが好ましい。
【0166】
自由長が6mm以上であるとブレードの振動のエネルギーが充分でクリーニング効果が発現でき、クリーニング不良による画像かぶり、ポチ故障や筋故障が発生しない。又、自由長が15mm以下であるとブレードの振動のエネルギーが過大とならず、ブレードが感光体上ではねる現象を防止でき、横線かぶり(黒筋)が発生しない。
【0167】
クリーニングブレードの厚さは0.5〜10mmが好ましい。
【0168】
クリーニングブレードの材質としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。これらの中では、ウレタンゴムが、摩耗特性が優れている点で好ましい。
【0169】
クリーニングブレードの材質、反発弾性率、自由長及び厚さは、トナーの特性、感光体の特性、クリーニングブレードの当接角や当接圧等の種々の条件により選定することが好ましい。
【0170】
次にクリーニングブレードによりクリーニングされる部材(感光体、中間転写体、二次転写部材)について説明する。
【0171】
《クリーニングされる部材(感光体、中間転写体、二次転写部材)》
〈感光体〉
本発明で用いられる感光体は、公知のものを用いることができ、詳細には基体上に感光層を含む塗膜を形成して得られたもの、或いは表面保護層を有するものを挙げることができる。
【0172】
〈中間転写体〉
中間転写体は、体積抵抗が10〜1012Ω・cmの無端ベルトであり、例えばポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂材料や、EPDM、NBR、CR、ポリウレタン等のゴム材料にカーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりしたものが用いられ、厚みは、樹脂材料の場合50〜200μm程度、ゴム材料の場合は300〜700μm程度の設定にすることが好ましい。
【0173】
〈二次転写部材〉
二次転写部材としては、二次転写ローラ、二次転写ベルトを用いることができる。
【0174】
二次転写ローラは、ステンレス等の導電性芯金の周面に、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、体積抵抗が10〜10Ω・cm程度のソリッド状態又は発泡スポンジ状態で、厚さが5mm、ゴム硬度が20〜70°程度(Asker−C)の半導電弾性ゴムを被覆して形成されたものである。
【0175】
二次転写ベルトは、中間転写体と同じ材質のもので形成されたものである。
【0176】
〈感光体のクリーニング手段〉
図6は、感光体のクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【0177】
図6において、感光体は1、クリーニングブレード当接角はθで表される。クリーニングブレード16の自由長Lはブレードホルダ17の端部Bから変形しないと仮定したブレード(図面では点線で示した)の先端点A’の長さを表す。hはクリーニングブレードの厚さを示す。クリーニングブレード当接角θは感光体の当接点Aにおける接線Xと変形しないと仮定したクリーニングブレードとのなす角を表す。食い込み量aは感光体外周Sの半径rと変形しないと仮定したクリーニングブレードの先端点A’を一点とする感光体と同一中心軸Cを中心とした円S11の半径r11との差である。該クリーニングブレードの感光体への当接角θは5〜35°が好ましい。当接角を前記範囲とすることで残存トナーのクリーニング不良がなく、ブレード捲れ(ブレード先端部がカウンター方向から、感光体の回転方向と同方向にもっていかれた状態)も発生せず好ましい。
【0178】
感光体のクリーニングを容易にするために感光体表面を除電する除電手段を付加することができる。この除電手段による除電は、例えば交流コロナ放電を生じさせる除電器により行われる。
【0179】
〈中間転写体のクリーニング手段〉
図7は、中間転写体のクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【0180】
図7において、601はケーシングで、クリーニング手段190Aを構成する各部材を取り付け、かつ、中間転写体6から除去したトナーを収容する収容部を有する。
【0181】
602は、ウレタンゴム等の弾性体からなるクリーニングブレードで、ブレードホルダ603に接着剤等により固定されている。
【0182】
ブレードホルダ603はケーシング601に設けられた支持軸604に回動自在に取り付けられている。
【0183】
605は押圧バネで、ブレードホルダ603が支持軸604の周りに反時計方向に回動するように付勢し、クリーニングブレード602の先端が、中間転写体6の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向いた状態で、バックアップローラ75にバックアップされた中間転写体6に圧接位置Cで圧接するように配設されている。
【0184】
608はスポンジローラからなるトナーガイド部材であり、中間転写体6の図の矢印で示す回転方向にみて、クリーニングブレード602と中間転写体6との圧接位置Cより上流側で、中間転写体6に当接するように配設されている。
【0185】
スポンジローラ608は、図示しない回転手段により、中間転写体6との当接位置において、中間転写体6と同方向に回転し、かつ、スポンジローラ608の周速が中間転写体70の周速よりも早くなるように構成されている。
【0186】
609は、PETシートからなるトナー排出規制部材であり、その一端は、スポンジローラ608の表面に、スポンジローラ608と中間転写体70との当接位置と反対側の位置で当接し、他端は、スポンジローラ608の上方に設けられたシート保持部材610に両面テープ等により固定されている。
【0187】
シート保持部材610は、ケーシング601の突起部611にネジ等により固定されている。
【0188】
この様な構成により、中間転写体70、クリーニングブレード602、スポンジローラ608、及び、トナー排出規制部材609は、空間Sを形成する。
【0189】
612はケーシング601の底部に設けられた回収スクリュウであり、ケーシング601の底部に貯溜したトナーを図の紙面に対し垂直方向に搬送し、ケーシング601外へ排出する。
【0190】
613は、図に示すように、一端が中間転写体6に対向するケーシング601の底部に接着され、他端が中間転写体70に軽く接触するPETからなるトナー受けシートで、ケーシング601内部のトナーが下方に落下することを防止する。
【0191】
〈二次転写部材のクリーニング手段〉
図8は、二次転写部材のクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【0192】
二次転写装置70の二次転写部材の形状は特に限定されず、ローラ状のものでもベルト状のものでも用いることができる。
【0193】
図8の(a)は、二次転写部材として用いられる二次転写ローラ7Aのクリーニング手段の一例を示す手段を示す。
【0194】
図8の(a)では二次転写ローラ7Aが中間転写体6を介して、バックアップローラ6Bに、又、クリーニングブレード71が二次転写ローラ7Aに圧着された状態を示す。
【0195】
二次転写装置70は、前記二次転写ローラ7Aとそのクリーニング手段部71を有し、前記二次転写ローラ7Aの回転軸7Cの位置と前記クリーニング部71におけるクリーニングブレード71のクリーニング保持部73Hの回動支軸73Cの位置と該クリーニング保持部73Hに一端を掛けられたバネ74の他端を固定する固定ピン74Pの位置との各位置が、前記二次転写装置70の筐体72に固定されている。
【0196】
上述の実施の形態においては弾性部材としてのバネ74から形成され、その一端がクリーニング保持部73Hに固定され、他端が筐体72に固定されている。
【0197】
図8の(b)は、二次転写部材として用いられる無端ベルト7Dのクリーニング手段の一例を示す概略図である。
【実施例】
【0198】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。
【0199】
《トナーの作製》
以下のようにしてトナーを作製した。
【0200】
〈トナー粒子(A)の作製〉
(樹脂粒子分散液1の作製)
スチレン201質量部、ブチルアクリレート117質量部、メタクリル酸18.3質量部を混合し、このモノマー混合液を攪拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル172質量部を徐々に添加して溶解した。
【0201】
次いで、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」3質量部を純水1182質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記モノマー溶液を加えて、高速撹拌を行い、モノマー分散液を調製した。
【0202】
次いで、撹拌装置、冷却管、温度センサ、窒素導入管を備えた重合装置に純水867.5質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記モノマー分散液を投入し、過硫酸カリウム8.55質量部を純水162.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
【0203】
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン5.2質量部を35分間かけて添加し、さらに80℃で重合を2時間行った。さらに、過硫酸カリウム9.96質量部を純水189.3質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン366.1質量部、ブチルアクリレート179.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.2質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した。前記モノマー溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温まで冷却し「樹脂粒子分散液1」を作製した。
【0204】
(シェル用樹脂粒子分散液の作製)
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサを備えた反応装置に、純水2948質量部、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」1質量部を添加して撹拌溶解させた後、窒素気流下で80℃に加温した。次いで、スチレン520質量部、ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部、n−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合したモノマー溶液と、過硫酸カリウム10.2質量部を純水218質量部に溶解した重合開始剤水溶液を用意した。重合開始剤水溶液を前記反応装置に投入後、前記モノマー混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行った後、室温まで冷却して、「シェル用樹脂粒子分散液」を作製した。シェル用樹脂粒子の重量平均分子量は13,200、質量平均粒径は82nmであった。
【0205】
(シアン着色剤分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水1600質量部に溶解し、C.I.ピグメントブルー15:3 25質量部を徐々に添加し、次いで、「クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて個数基準におけるメディアン径(D50)153nmの「シアン着色剤分散液」を調製した。
【0206】
(マゼンタ着色剤分散液の調製)
前記シアン着色剤分散液の調製において、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド122に変えた他は同様の手順により、個数基準におけるメディアン径(D50)183nmの「マゼンタ着色剤分散液」を調製した。
【0207】
(イエロー着色剤分散液の調製)
前記シアン着色剤分散液の調製において、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー74に変えた他は同様の手順により、個数基準におけるメディアン径(D50)177nmの「イエロー着色剤分散液」を調製した。
【0208】
(カーボンブラック分散液の調製)
前記シアン着色剤分散液の調製において、C.I.ピグメントブルー15:3をカーボンブラック「モーガルL」に変えた他は同様の手順により、個数基準におけるメディアン径(D50)167nmの「カーボンブラック分散液」を調製した。
【0209】
〈トナー粒子(A)Cの作製〉
(トナー粒子(A)C1の作製)
上記で作製した「樹脂粒子分散液1」を固形分換算で357質量部、ポリエステルアイオノマー樹脂「ファインテックスES−2200」の粒子分散液を固形分換算で68質量部、イオン交換水900質量部、前記「シアン着色剤分散液」を固形分換算で200質量部を、撹拌装置、温度センサ、冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調製した。
【0210】
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、75℃まで昇温させて前記粒子を凝集、融着させた。このまま「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用い、個数基準におけるメディアン径(D50)が5.3μmになるまで加熱撹拌を続けた。
【0211】
個数基準におけるメディアン径(D50)が5.3μmに到達した時点で、「シェル用樹脂粒子分散液」を固形分換算で210質量部添加し、1時間撹拌を行ってシェル用粒子を表面に融着させた。さらに、30分間そのまま撹拌を継続させてシェルが完全に形成された後、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を添加し、内温を78℃に昇温して撹拌を1時間続けた後、室温(25℃)に冷却して粒子を形成した。生成した粒子をイオン交換水で繰り返し洗浄した後、35℃の温風で乾燥して、「乾燥粒子C1」を作製した。
【0212】
「乾燥粒子C1」100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒径12nm、疎水化度68)を1質量部、及び、疎水性酸化チタン(数平均一次粒径20nm、疎水化度64)を1質量部添加した。ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製)を用いて混合処理を行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、「トナー粒子(A)C1」を作製した。
【0213】
得られたトナー粒子(A)C1の個数基準におけるメディアン径(D50)を「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用いて測定したところ5.5μmであった。又、粒子の円形度を「FPIA2100(シスメックス社製)」で測定したところ0.97であった。
【0214】
(トナー粒子(A)C2〜C5の作製)
トナー粒子(A)C1の作製において、凝集、融着条件を変更した以外は同様にして「トナー粒子(A)C2〜5」を作製した。
【0215】
(トナー粒子(A)C6の作製)
アクリル・スチレン樹脂100質量部、「C.I.ピグメントブルー15:3」3.5質量部、サルチル酸亜鉛塩(帯電制御剤)2質量部、カルナウバワックス5質量部をヘンシェルミキサ混合機により充分に混合した後、連続式の2軸押出し機「神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機」を用いて混合材料をよく混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機により分級して樹脂粒子を得た。この樹脂粒子を円形度制御装置で球形化処理を行い「トナー粒子(A)C6」を作製した。
【0216】
トナー粒子(A)C6の個数基準におけるメディアン径(D50)を「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用いて測定したところ5.5μmであった。又、トナー粒子(A)C6の円形度を「FPIA2100(シスメックス社製)」で測定したところ0.94であった。
【0217】
〈トナー粒子(A)Mの作製〉
(トナー粒子(A)M1〜M5の作製)
トナー粒子(A)C1〜C5の作製で用いたシアン着色剤分散液を「マゼンタ着色剤分散液」に変更した以外は同様にして「トナー粒子(A)M1〜M5」を作製した。
【0218】
(トナー粒子(A)M6の作製)
トナー粒子(A)C6の作製で用いたC.I.ピグメントブルー15:3を、「C.I.ピグメントレッド122」に変更した以外は同様にして「トナー粒子(A)M6」を作製した。
【0219】
〈トナー粒子(A)Yの作製〉
(トナー粒子(A)Y1〜Y5の作製)
トナー粒子(A)C1〜C5の作製で用いたシアン着色剤分散液を「イエロー着色剤分散液」に変更した以外は同様にして「トナー粒子(A)Y1〜Y5」を作製した。
【0220】
(トナー粒子(A)Y6の作製)
トナー粒子(A)C6の作製で用いたC.I.ピグメントブルー15:3を、「C.I.ピグメントイエロー74」に変更した以外は同様にして「トナー粒子(A)Y6」を作製した。
【0221】
〈トナー粒子(A)Kの作製〉
(トナー粒子(A)K1〜K5の作製)
トナー粒子(A)C1〜C5の作製で用いたシアン着色剤分散液を「カーボンブラック分散液」に変更した以外は同様にして「トナー粒子(A)K1〜K5」を作製した。
【0222】
(トナー粒子(A)K6の作製)
トナー粒子(A)C6の作製で用いたC.I.ピグメントブルー15:3を、「モーガルL」に変更した以外は同様にして「トナー粒子(A)K6」を作製した。
【0223】
表1に、「トナー粒子(A)C1〜C6」の円形度、個数基準におけるメディアン径(D50)を示す。
【0224】
【表1】

【0225】
尚、表1において、円形度、個数基準におけるメディアン径(D50)は前記の方法で測定して得られた値である。
【0226】
「トナー粒子(A)M1〜M6」、「トナー粒子(A)Y1〜Y6」、「トナー粒子(A)K1〜K6」の個数基準におけるメディアン径(D50)、円形度は「トナー粒子(A)C1〜C6」と同じであったので省略する。
【0227】
〈樹脂粒子(B)の作製〉
(樹脂粒子(B)1の作製)
ポリエチレン樹脂粉末を機械式粉砕装置で粉砕し、その後分級し、個数基準におけるメディアン径(D50)が2.0μm、円形度が0.80、DSC測定における1stデータのピークトップ温度(Tm)が105℃の「樹脂粒子(B)1」を作製した。
【0228】
(樹脂粒子(B)2〜7、9〜11の作製)
樹脂粒子(B)1の作製に用いたポリエチレン樹脂と粉砕、分級条件を変更して「樹脂粒子(B)2〜7、9〜11」を作製した。
【0229】
(樹脂粒子(B)8の作製)
アクリル・スチレン樹脂粉末を機械式粉砕装置で粉砕し、その後分級し、個数基準におけるメディアン径(D50)が2.0μm、円形度が0.80、DSC測定における1stデータのピークトップ温度(Tm)が95℃の「樹脂粒子(B)8」を作製した。
【0230】
表2に、「樹脂粒子(B)1〜11」の円形度、個数基準におけるメディアン径(D50)、1stデータのピークトップ温度(Tm)を示す。
【0231】
【表2】

【0232】
〈トナーの作製〉
上記で作製したトナー粒子(A)と樹脂粒子(B)を表3に示すような割合で配合し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、20℃、50%RHの環境で、収速40m/sで5分間混合して「トナーC1〜C15」を作製した。
【0233】
表3に、作製したトナーの配合比を示す。
【0234】
【表3】

【0235】
尚、「トナーC1〜C15」の作製で用いたトナー粒子(A)Cを、トナー粒子(A)Mに変更した以外は同様にして「トナーM1〜M15」、トナー粒子(A)Yに変更した以外は同様にして「トナーY1〜Y15」、トナー粒子(A)Kに変更した以外は同様にして「トナーK1〜K15」を作製した。
【0236】
《現像剤の調製》
上記で作製した各色トナー(A)の各々とフェライト粒子をスチレンアクリル樹脂で樹脂被覆した平均粒径35μmのキャリアとをトナー濃度が8質量%となる様になるよう混合処理して、「各色現像剤1〜15」を調製した。
【0237】
《評価》
評価用画像形成装置として、ブレードクリーニング装置とSURF定着装置を装着した市販のデジタルプリンタ「bizhub Pro C500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株))製」に、図4に示すパッチ像の検知センサ、二次転写部材のクリーニング装置を取り付けたものを用いた。
【0238】
上記画像形成装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填し、20℃、50%RHのプリント環境で、印字率10%の文字画像をA4判の上質紙に40万枚プリントした。
【0239】
尚、パッチ像の大きさは4色とも15mm×15mmとし、パッチ像の形成は1000枚プリント毎に行った。パッチ像トナーは、中間転写体から二次転写部材に転写させるように設定した。
【0240】
〈トナーすり抜け〉
トナーすり抜けの評価は40万枚プリント修了後、印字率10%の文字画像とパッチ像を形成し、転写残トナーのトナーすり抜け(クリーニング性)は中間転体の表面を、トナーパッチ部のトナーすり抜け(クリーニング性)は二次転写部材の表面を目視観察し評価した。
【0241】
評価基準
◎:トナーすり抜けの発生なく良好
○:トナーすり抜けがやや見られるが実用上問題なし
×:トナーすり抜けが発生し、実用上問題あり。
【0242】
〈高温セット〉
プリントの初期に、定着ベルトの表面温度を150℃に設定し、印字率10%の文字画像を100枚連続してプリントを行い、プリント画像上に発生した高温オフセットの程度を目視で判定した。
【0243】
評価基準
◎:高温オフセットの発生が見られず良好
○:高温オフセットの発生が少し見られるが、実用上問題ないレベル
×:高温オフセットの発生がはっきりみられ、実用上問題となるレベル。
【0244】
〈かぶり〉
クリーニング不良に起因するかぶりは、40万枚プリント修了後、印字率10%の文字画像とプリント間に1.5mm角のパッチ像を形成し、文字画像とパッチ像に相当する場所のかぶり濃度と転写材の白紙濃度の差で評価した。
【0245】
転写材の白紙濃度はA4サイズの20カ所を測定し、その平均値を白紙濃度とする。
【0246】
文字画像部とパッチ像部のかぶり濃度は、中間転写体の文字画像部と二次転写部材のパッチ像部に相当する場所のかぶりを各々4カ所測定し、その平均値をかぶり濃度とする。尚、濃度測定は反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて行った。
【0247】
尚、かぶりは、文字画像部とパッチ像部とも0.03未満を合格とする。
【0248】
表4に、評価結果を示す。
【0249】
【表4】

【0250】
表4の評価結果から、本発明の「実施例1〜10」は全ての評価項目で問題無いことが判る。一方本発明の「比較例1〜5」は評価項目の何れかに問題が有り、本発明の目的を達成できていないことが判る。
【符号の説明】
【0251】
1 クリーニングブレード
2 トナー粒子(A)
3 樹脂粒子(B)
4 ニップ部
5 クリーニングされる部材(感光体、中間転写体、二次転写部材)
7 クリーニングされる部材の移動方向
8 せき止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともブレードクリーニング工程と、SURF定着工程を有する画像形成方法に用いるトナーにおいて、
該トナーはトナー粒子(A)と樹脂粒子(B)とを含有し、
該トナー粒子(A)の円形度が0.93〜0.99で、個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0〜8.0μmであり、
該樹脂粒子(B)の円形度が0.70〜0.92であり、
該樹脂粒子(B)の個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子(A)の個数基準におけるメディアン径(D50)の0.15〜0.60倍であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記樹脂粒子(B)のDSC測定における1stデータのピークトップ温度が、95〜140℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記樹脂粒子(B)が、ポリエチレン樹脂を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子(A)が、ワックスを含有していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のトナー。
【請求項5】
前記トナーが、トナー粒子(A)100質量部に対して樹脂粒子(B)を0.05〜5.0質量部配合したものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のトナー。
【請求項6】
前記請求項1〜5の何れかに記載のトナーとキャリアを用いて調製されたもので有ることを特徴とする現像剤。
【請求項7】
前記請求項1〜5の何れかに記載のトナーを用い、少なくともブレードクリーニング手段と、固定された加熱体を内包した回同する加圧部材によりトナーを画像支持体に定着するSURF定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−160480(P2010−160480A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275441(P2009−275441)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】