説明

トナーカートリッジ

【課題】リサイクル品のトナーカートリッジの作製をより困難なものとして、非純正のトナーが再充填されることをより確実に防ぐ。
【解決手段】ケース本体26内に、トナーが収容されるトナー室28と、廃トナーが収容される廃トナー室29とが設けられており、ケース本体26の外面には、トナー室28内にトナーを充填するための充填口36が開設されており、この充填口36がキャップ37により密閉封止されているトナーカートリッジを対象とする。トナー室28と廃トナー室29とを仕切る隔壁44には、両室28・29に連通する開口45が設けられており、この開口45を塞ぐように閉塞部材46が位置変位可能に配設されている。そして、閉塞部材46とキャップ37とが連結部材40により連結されており、キャップ37を充填口36から引き抜くと、閉塞部材46が位置変位して、開口45に対する閉塞状態が解除されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置内に着脱自在に装着され、現像部にトナーを供給するトナーカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の電子写真方式の画像形成装置においては、トナーカートリッジを交換することでトナーを補給することができる、所謂カートリッジ交換方式と称されるトナー補給システムが広く採用されている。かかる方式のトナーカートリッジの筐体には、トナー室にトナーを充填するための充填口が開設されており、工場からの出荷時においては、トナーの充填後に充填口にキャップを圧入することにより充填口は密閉封止されている。トナー室にトナーを再充填することも可能であり、その場合にはキャップを外してから、充填口からトナーを投入すればよく、また、再びキャップを装着することで、充填口を再び密閉封止状態とすることができる。
【0003】
近年、省資源化が進められる中でサプライ品の回収、再利用が積極的に進められており、これに伴って、製造業者やその正規代理店等以外の所謂リサイクル業者により、使用済のサプライ品が再使用される事態が見受けられる。つまり、リサイクル業者が使用済のトナーカートリッジを回収したうえで、回収されたトナーカートリッジにトナーを再充填し、それを安価なリサイクル品としてユーザが利用するようなケースが見受けられる。
【0004】
しかし、リサイクル業者によって、純正品とは異なるトナーが再充填された場合には、画像形成装置で形成される画像品質が低下しやすい。つまり、この種の画像形成装置に使用されるトナーは、画像形成装置の特性に合わせて、製造業者が厳密に調合・調整した純正のトナーを用いることが望ましく、純正ではないトナーを再充填した場合には、画像形成装置の性能が十分に発揮されず、画像品質が低下することが避けられない。
【0005】
このように非純正のトナーが充填されることを防止し得る公知の手段としては、例えば特許文献1を挙げることができる。そこでは、トナー充填口を密閉封止するキャップを、充填口に係合するキャップ部と、充填口からトナー室内に押し込まれて、分離可能な分離片のツーピース構造としており、キャップを充填口から引き抜くと、分離片がキャップ部から脱落してトナー室内に残り、アジテータによるトナー攪拌動作やトナー供給動作が妨げられるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−85597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のトナーカートリッジの問題は、分離片を回収することができれば、リサイクル品のトナーカートリッジを容易に作製できることにある。つまり、トナーカートリッジを分解するなどして、分離片を回収することができれば、別のキャップ(例えば、汎用の断面ハット形のキャップ)を充填口に取り付けるだけでトナーカートリッジを再利用することが可能であり、リサイクル業者等により非純正のトナーが充填されるおそれが残る。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、リサイクル品のトナーカートリッジの作製をより困難なものとして、非純正のトナーが再充填されることをより確実に防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、ケース本体内に、トナーが収容されるトナー室と、クリーニング部材により回収された廃トナーが収容される廃トナー室とが設けられており、ケース本体の外面には、トナー室内にトナーを充填するための充填口が開設されており、この充填口がキャップにより密閉封止されているトナーカートリッジを対象とする。トナー室と廃トナー室とを仕切る隔壁には、両室に連通する開口が設けられており、この開口を塞ぐように閉塞部材が位置変位可能に配設されている。そして、閉塞部材とキャップとが連結部材により連結されており、該キャップを充填口から引き抜くと、閉塞部材が位置変位して、開口に対する閉塞状態が解除されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の本発明のように、隔壁の上面には、開口を塞ぐ平板状の閉塞部材がスライド移動可能に配設されており、隔壁に、閉塞部材の浮き上がりを規制するストッパーを設けることができる。
【0011】
請求項3記載の本発明のように、充填口に臨むキャップの一面には、一対の通孔が開設されており、連結部材の遊端部を、キャップの一方の通孔から差し込まれて、他方の通孔に至るコ字状に形成することができる。
【0012】
請求項4記載の本発明のように、連結部材は、閉塞部材から連出されるリンク棒と、リンク棒の遊端部に装着されるリンクピースとを含むツーピース構造とすることが望ましい。この場合のリンクピースは、リンク棒の遊端部の圧嵌挿入を許す係合凹部を有する本体部と、該本体部から突出する嵌合凸部とを有する。そして、リンク棒の遊端部が、キャップの一方の通孔を介してリンクピースの係合凹部に圧嵌挿入されるとともに、該リンクピースの嵌合凸部がキャップの他方の通孔に圧嵌挿入されることで、リンク棒とキャップとがリンクピースを介して連結される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明に係るトナーカートリッジにおいては、キャップを充填口から引き抜くと、閉塞部材が位置変位して、トナー室と廃トナー室とを仕切る隔壁に開設された開口の閉塞状態が解除され、両室が連通状態となるように構成した。これによれば、キャップを引き抜くと、廃トナー室内に貯溜されている廃トナーが開口を介してトナー室内に流入して、該廃トナーでトナー室が汚染されるおそれがあり、したがって、トナー室内へのトナーの充填作業に先立って該トナー室内を洗浄する必要が生じて、トナーの充填作業を作業効率良く進めることが困難となる。
加えて、両室が開口を介して繋がった連通状態でトナーの充填作業が行われるため、廃トナー室に未使用のトナーが流入することが避けられない。このように廃トナー室に流入したトナーは、画像形成動作に寄与しないものとなるため、実質的に画像形成動作に供されるトナーが減少し、トナーカートリッジの使用寿命が短くなる不利もある。
【0014】
以上のように本発明に係るトナーカートリッジによれば、キャップの引き抜き後は、実質的にカートリッジとしての用をなさなくなる。このため、リサイクル業者が、使用済のトナーカートリッジにトナーを再充填して、リサイクル品として再生することを効果的に防ぐことができ、したがって、非純正のトナーが再充填された非正規のリサイクルカートリッジを市場から排除することができる。
【0015】
隔壁の上面に開口を塞ぐ閉塞部材を配設した場合には、搬送工程やトナーカートリッジが落下衝撃を受けた際に閉塞部材が浮き上がり、開口の閉塞状態が解除されて、トナー室内に廃トナーが侵入し、該トナー室が廃トナーで汚染されるおそれがある。そこで請求項2記載の本発明のように、隔壁にストッパーを設けていると、閉塞部材の浮き上がりを規制することができるので、トナー室が廃トナーで汚染されることを確実に防ぐことができる。
【0016】
連結部材とキャップとを一点のみで係合或いは固着させた場合には、これら連結部材とキャップとの間の連結強度が弱く、キャップを充填口から引き抜く際に両者が不用意に分離するおそれがある。そこで請求項3記載の本発明のように、連結部材の遊端部を、キャップの一方の通孔から差し込まれて、他方の通孔に至るコ字状に形成していると、連結部材とキャップとの連結状態を確固たるものとして、両者が分離することを確実に防止できる。
【0017】
上述のように連結部材の遊端部をコ字状に形成した場合において、キャップの通孔に遊端部を係合させようとすると、該遊端部を充填口からある程度引き出して、係合作業を行う必要がある。このため、トナーの充填後に遊端部とキャップとの係合作業を行うと、閉塞部材が位置変位して、開口に対する閉塞状態が解除されて、トナー室内のトナーが廃トナー室内に移行するおそれがある。
そこで請求項4記載の本発明のように、連結部材を、閉塞部材から連出されるリンク棒と、該リンク棒の遊端部に装着されるリンクピースとを含むツーピース構造としていると、リンク棒および閉塞部材を動かすことなく、リンク棒とキャップとの連結作業を行うことができる。詳しくは、リンク棒の遊端部を、キャップの一方の通孔を介してリンクピースの係合凹部に圧嵌挿入させ、同時に、リンクピースの嵌合凸部をキャップの他方の通孔に圧嵌挿入させることで、リンク棒とキャップとを連結することができる。これにて、閉塞部材を動かすことなくリンク棒とキャップとの連結作業を行うことができるので、トナー室内のトナーが廃トナー室内に移行する問題を確実に解消できる。
充填口を大きく開いた状態でトナーの充填作業を進めることができるので、作業効率が低下するおそれがない点でも優れている。簡単な構成で以って、確実にリンク棒とキャップとを連結することができるので、コ字状の抜け止め構造を採用したことに伴うトナーカートリッジの製造コストの増加を抑えることができる点でも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1ないし図5に、本発明に係るトナーカートリッジを、コピー機能とファクシミリ機能とを備えた複合機のトナーカートリッジに適用した実施形態を示す。図2に示すように、複合機(画像形成装置)1は、記録紙Pが堆積状に載置される給紙カセット2と、該給紙カセット2から送られてきた記録紙Pに対して画像形成を行う画像記録部3と、画像を読み取って画像記録部3などに送信するためのデータに変換する画像読取部4と、各種操作ボタンを有する操作パネル5と、自動原稿搬送装置(ADF)6とを備える。また、複合機1の内部には、給紙カセット2から画像記録部3を経て排紙部7に至る用紙搬送路Rが形成されている。
なお、本実施形態においては、説明の便宜上、操作パネル5の伸び方向を左右方向と規定する(図2参照)。また、当該左右方向と水平方向で直交する方向を前後方向と規定する(図1参照)。
【0019】
複合機1が画像形成命令を受けると、給紙カセット2の給紙ローラ8が回転駆動し、記録紙Pが搬送路Rに1枚ずつ繰り出される。搬送路Rにおける給紙カセット2と画像記録部3との間には、画像記録部3への給紙タイミングを制御するレジストローラ対9・9が配設されている。
画像記録部3には、記録紙Pに接触してトナーを転写する感光体ドラム(以下、単にドラムと記す)11が設けられている。ドラム11の周囲には、該ドラム11の表面を所定の電位に帯電させる帯電器12、ドラム11の表面を露光して静電潜像を形成するLEDヘッド13、ドラム11にトナーを供給する現像器14、ドラム11に形成されたトナー画像を記録紙Pに転写させるための転写ローラ15、ドラム11の表面から転写後の残存トナーを除去するクリーニング部材16などが配設されている。ドラム11と転写ローラ15との間でトナー画像を転写された記録紙Pは、トナー画像を固着させるための定着器18を経て、排紙部7に排出される。
【0020】
図3に示すように、現像器14を構成する前後横長のハウジング20の内部には、トナーカートリッジ25から供給された現像剤を攪拌および搬送する一対の攪拌搬送スクリュー21・22、ドラム11にトナーを供給するための現像ローラ23、および現像ローラ23に現像剤を供給する供給パドル24などが設けられている。
【0021】
トナーカートリッジ(以下、単にカートリッジと記す)25は、前後横長で上方開口を有するケース本体26と、該ケース本体26の上方開口を封止する上カバー27とで構成されており、複合機1の内部の所定位置に着脱自在に装着される。ケース本体26の内部には、トナーが収容されるトナー室28と、クリーニング部材16により回収された廃トナーが収容される廃トナー室29とが設けられており、トナー室28内のトナーは、トナーホッパー30およびスクリューコンベア(パイプスクリュー)31を介して、現像器14のハウジング20内に供給される。クリーニング部材16によりドラム11の表面から除去された残留トナーは、スクリューコンベア32を介して、廃トナー室29に投入堆積される。符号33は、トナーをトナーホッパー30へ搬送排出する搬送排出スクリューを、符号34は、投入された廃トナーを廃トナー室29内に均一に分散させるための搬送スクリューを、それぞれ示している。
【0022】
図1に示すように、ケース本体26の前面には、トナー室28内にトナーを充填するための充填口36が開設されており、この充填口36を密閉封止するように、キャップ37が着脱可能に装着される。キャップ37は、前方開口を有する有底円筒状の本体部38と、該本体部38の筒壁の前端から外向きに張り出し形成された円環状のフランジ部39とからなり、充填口36内に本体部38が圧入装着されることで、充填口36を密閉封止する。かかる装着状態において、フランジ部39が充填口36の周縁に係合することで、本体部38のトナー室28内への挿入限界が規制される。また、フランジ部39に指等を掛けて、これを手前に引くことで、キャップ37を充填口36から引き抜くことができる。本体部38の円筒内部には、連結部材40を構成するリンクピース41と、前方開口を封止する封口部材42とが装着される。これらの詳細については後述する。
【0023】
図1および図3に示すように、トナー室28と廃トナー室29とを上下に仕切る隔壁44には、両室28・29に連通するように、一つの開口45が設けられており、この開口45を塞ぐように、隔壁44の上面(トナー室28側の面)に、前後方向に長い四角平板状のプラスチック製の閉塞部材46が配設されている。図1および図3において、符号47は、隔壁44の上面に凹み形成された前後方向に長いスライド溝を示しており、このスライド溝47内に閉塞部材46が落とし込み装着されている。スライド溝47の左右方向の幅寸法と、閉塞部材46の左右方向の幅寸法とは、略同寸法に設定されており、また、スライド溝47の前後方向の長さ寸法は、閉塞部材46のそれよりも長く形成されている。以上より閉塞部材46は、前後方向にはスライド変位可能に、しかし左右方向には遊動不能な状態で、スライド溝47内に装着される。
【0024】
スライド溝47の左右の縁部には、閉塞部材46の隔壁44からの浮き上がりを規制するためのストッパー48が隔壁44から突設されている。図3に示すようにこれらストッパー48は、隔壁44から上方向に伸びる係合腕49と、係合腕49の上端から左右方向の内向きに伸びる係合片50とからなるL字状を呈しており、係合片50の下面で閉塞部材46の上面を受け止めて、閉塞部材46が隔壁44から浮き上がるのを規制する。
【0025】
また、図1および図4に示すように、閉塞部材46とキャップ37とは、連結部材40により連結される。連結部材40は、閉塞部材46の上面から連出されるリンク棒52と、リンク棒52の遊端部53に装着されるリンクピース41とを含むツーピース構造とされている。リンクピース41は、上下方向に走る本体部54と、該本体部54の後面から突出して、キャップ37の本体部38の底面に開設された通孔55内に抜け止め状に圧嵌挿入される嵌合凸部56とを備え、本体部54には、リンク棒52の遊端部53の圧嵌挿入を許す係合孔(係合凹部)57が通設されている。キャップ37の本体部38の底面には、係合孔57に対応して、リンク棒52の遊端部53の挿通を許す通孔58が通設されている。
【0026】
本実施形態に係るカートリッジ25は、例えば以下の手順によって作製できる。まず、ケース本体26のスライド溝47内に閉塞部材46を装着したうえで、該ケース本体26の上方開口に上カバー27を被せ付けて、カートリッジ25を組み立てる。なお、閉塞部材46の装着に先立って、廃トナー室29には搬送スクリュー34を組み付けておく。次に、図4に示すように、スライド溝47内の後側の側面に閉塞部材46の後端部が当接する差し込み限界位置に閉塞部材46を位置させたうえで、充填口36からトナー室28内にトナーを充填する。このとき、隔壁44の開口45は閉塞部材46により封止されているため、トナー室28内に充填されたトナーが廃トナー室29に流入することはない。
【0027】
トナーの充填作業が終了すると、閉塞部材46とキャップ37とを連結部材40で連結する。具体的には、図4に示すように閉塞部材46が差し込み限界位置に位置している状態で、充填口36に臨むリンク棒52の遊端部53にキャップ37の通孔58を位置合わせして、キャップ37の本体部38を充填口36内に押し込む。次に、キャップ37の通孔58に挿通して本体部38の円筒内部に露出するリンク棒52の遊端部53と、リンクピース41の係合孔57とを位置合わせして、該遊端部53を係合孔57に圧嵌挿入し、同時に、キャップ37の通孔55内にリンクピース41の嵌合凸部56を圧嵌挿入する。以上より、リンク棒52とキャップ37とをリンクピース41を介して連結することができる。最後に、キャップ37の本体部38の円筒内部に封口部材42を押し込み、リンクピース41を覆い隠す。
【0028】
使用済のカートリッジ25をリサイクル業者等が回収し、これにトナーを再充填することを目的としてキャップ37を引き抜いた場合には、廃トナーでトナー室28内が汚染される。より詳しくは、リサイクル業者等がトナーを再充填すべく、キャップ37を充填口36から引き抜くと、図5に示すように、リンク棒52を介して閉塞部材46が前方に姿勢変位される。これにて、トナー室28と廃トナー室29とを仕切る隔壁44の開口45の閉塞状態が解除されて、両室28・29が非独立の連通状態となり、廃トナー室29内の廃トナーがトナー室28内に流入して、トナー室28が廃トナーで汚染される。
したがって、カートリッジ25を再利用するためには、トナー室28内へのトナーの充填作業に先立って、該トナー室28内を洗浄する必要があり、トナーの充填作業を作業効率良く進めることが困難となる。加えて、連通状態でトナーの充填作業が行われるため、廃トナー室29に未使用のトナーが流入することが避けられず、画像形成動作に供されるトナーが減少する不利もある。
【0029】
以上のように本実施形態に係るカートリッジ25によれば、キャップ37の引き抜き後は、実質的にカートリッジとしての用をなさなくなる。このため、リサイクル業者が、使用済のカートリッジ25にトナーを再充填して、リサイクル品として再生することを効果的に防ぐことができ、したがって、非純正のトナーが再充填された非正規のリサイクルカートリッジを市場から排除することができる。
【0030】
隔壁44の上面に開口45を塞ぐ閉塞部材46を配設した場合には、搬送工程やカートリッジ25が落下衝撃を受けた際に閉塞部材46が浮き上がり、開口45の閉塞状態が解除されて、トナー室28内に廃トナーが流入して、トナー室28が廃トナーで汚染されるおそれがある。そこで、本実施形態のように隔壁44にストッパー48を設けて、該ストッパー48で閉塞部材46の浮き上がりを規制するようにしていると、トナー室28内に廃トナーが流入することを確実に防ぐことができる。
【0031】
連結部材40を、閉塞部材46から連出されるリンク棒52と、該リンク棒52の遊端部53に装着されるリンクピース41とを含むツーピース構造としていると、リンク棒52および閉塞部材46を動かすことなく、リンク棒52とキャップ37との連結作業を行うことができる。これにて、トナー室28と廃トナー室29とを仕切る隔壁44の開口45の閉塞状態が確実に維持されるため、トナー室28内のトナーが廃トナー室29内に移行するおそれがない。また、キャップ37の通孔58に挿通して本体部38の円筒内部に露出するリンク棒52の遊端部53を、リンクピース41の係合孔57に圧嵌挿入し、同時に、キャップ37の通孔55内にリンクピース41の嵌合凸部56を圧嵌挿入した、所謂抜け止め構造にしていると、キャップ37を充填口36から引き抜く際に、リンク棒52とキャップ37とが分離することを確実に防止できる。
【0032】
上記実施形態においては、隔壁44に一つの開口45を設けていたが、開口45は二以上設けることができる。連結部材40の形態は上記のものに限られず、要は、キャップ37の引き抜き動作に伴って閉塞部材46が位置変位すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジの要部の縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジが適用される画像形成装置を示す図である。
【図3】感光体ドラムの周辺部とトナーカートリッジとを示す縦断構成図である。
【図4】トナーの充填口を封止するキャップの分解図である。
【図5】キャップが充填口から分離した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
25 トナーカートリッジ
26 ケース本体
28 トナー室
29 廃トナー室
36 充填口
37 キャップ
40 連結部材
41 リンクピース
44 隔壁
45 開口
46 閉塞部材
48 ストッパー
52 リンク棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体内に、トナーが収容されるトナー室と、クリーニング部材により回収された廃トナーが収容される廃トナー室とが設けられており、
前記ケース本体の外面には、前記トナー室内にトナーを充填するための充填口が開設されており、この充填口がキャップにより密閉封止されているトナーカートリッジにおいて、
前記トナー室と前記廃トナー室とを仕切る隔壁には、両室に連通する開口が設けられており、この開口を塞ぐように閉塞部材が位置変位可能に配設されており、
前記閉塞部材と前記キャップとが連結部材により連結されており、該キャップを充填口から引き抜くと、前記閉塞部材が位置変位して、前記開口に対する閉塞状態が解除されるように構成されていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
前記隔壁の上面には、前記開口を塞ぐ平板状の閉塞部材がスライド移動可能に配設されており、
前記隔壁に、前記閉塞部材の浮き上がりを規制するストッパーが設けられている請求項1記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記充填口に臨む前記キャップの一面には、一対の通孔が開設されており、
前記連結部材の遊端部が、前記キャップの一方の通孔から差し込まれて、他方の通孔に至るコ字状に形成されている請求項1または2記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記連結部材は、前記閉塞部材から連出されるリンク棒と、該リンク棒の遊端部に装着されるリンクピースとを含むツーピース構造とされており、
前記リンクピースは、前記リンク棒の遊端部の圧嵌挿入を許す係合凹部を有する本体部と、該本体部から突出する嵌合凸部とを有し、
前記リンク棒の遊端部が、前記キャップの一方の通孔を介して前記リンクピースの係合凹部に圧嵌挿入されるとともに、該リンクピースの嵌合凸部が前記キャップの他方の通孔に圧嵌挿入されることで、前記リンク棒と前記キャップとが前記リンクピースを介して連結されている請求項3記載のトナーカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−299125(P2008−299125A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145674(P2007−145674)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】