説明

トナーシール複合軸受

【課題】トナー漏洩のおそれが低く、製造ならびに回転部品への装着作業性に優れたトナーシール複合軸受を得ることを課題としている。
【解決手段】本発明は、電子写真装置内に回転自在に備えられている回転部品に装着されるトナーシール複合軸受であって、周壁には、内側に向けて突出し、回転軸の挿入方向に沿って延在する複数条のリブが形成されており、該リブの後端部を前記シール部材の前面側に当接させて前記シール部材がすべり軸受部に固定されており、しかも、シール部材が収容された金型を用いてすべり軸受部のインサート成形が実施されることにより前記シール部材がすべり軸受部に固定されていることを特徴とするトナーシール複合軸受を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置において回転自在に備えられている回転部品の軸受としての機能とトナーシールの機能とを併せ持つトナーシール複合軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置には、通常、その現像剤としてカーボントナーなどが用いられており、このカーボントナーなどのトナーを収容するトナー収納容器には、その内部を攪拌するとともにトナーを搬送するための撹拌搬送用スクリューが備えられている。
また、このような攪拌搬送スクリューに加えて、現像ローラーや感光体などといった各種の回転部品は、その表面にトナーを担持する状態で用いられる。
これらの回転部品は、通常、その回転軸がステンレスなどの金属製丸棒で形成されており、その両端部が軸受によって支持されて回転自在な状態で電子写真装置に備えられている。
この電子写真装置における軸受には、回転軸が挿入されるべく回転軸よりも径大な内径となるように形成された軸受孔が形成されており、この軸受孔を形成する壁面を回転軸に摺接させて回転部品を支持するすべり軸受が多く用いられている。
【0003】
このすべり軸受は、転がり軸受のように複雑な機構を有しておらず、構造が単純で製造容易であることから材料コスト、製造コストといったコスト面でのメリットを有し、広く用いられている。
例えば、前記軸受孔をなす部分は、通常、耐摩耗性に優れたポリマー組成物で形成されるが、この部分のみならず全体を同一のポリマー組成物で形成させる態様とすればインサート成形などによる一工程での製造が可能となり、製造コストの低減を図り得る。
【0004】
ところで、前記回転部品は、回転軸の軸端に駆動のための樹脂製歯車などが取り付けられた状態で用いられたりすることから、前記軸受孔は、回転軸の挿入方向に沿って伸び両端を開口させた貫通孔の状態となるように形成されたりしている。
したがって、軸受孔と回転軸の間に設けられたクリアランス部分を通じてトナーを軸端側に漏洩させてしまうおそれがあり、従来、このトナーの漏洩を防止するトナーシールの機構を有するトナーシール複合軸受と呼ばれる軸受が用いられている。
【0005】
このようなトナーシールには、エラストマーやポリ四フッ化エチレン(PTFE)樹脂などのポリマーの弾性を利用したシール部材が用いられており、トナーシール複合軸受に用いられるシール部材としては、前記ポリマーが用いられてなる中抜き円板状のものが知られている。
このシール部材は、中抜き部となる円形開口が、自然状態では挿入される回転軸よりも径小で、且つ回転軸を挿入させたときに拡径され得る弾性を有しており、この円形開口の復元力によってシール性が発揮される。
このようなことから、回転軸の外周面への追従性などの点において、シール部材が耐摩耗性(すべり性)に優れているのみならず柔軟性に富む材料で形成されていることが好ましい。
【0006】
なお、このようなシール部材をすべり軸受と複合一体化させたトナーシール複合軸受としては、例えば、下記特許文献1にも記載されており、下記特許文献1には、トナーシール複合軸受として一体化させることで、シール部材とすべり軸受とを別々に用いる場合に比べて部品点数の削減ができ、製造容易となることが記載されている。
この特許文献1記載のトナーシール複合軸受の製造方法においては、すべり軸受として機能する部分(すべり軸受部)を形成するための金型内にシール部材を収容し、前記金型のあわせ面でシール部材を挟持して位置決めさせた状態ですべり軸受部のインサート成形を実施し、インサート成形によるすべり軸受部の形成と同時にシール部材を固定するものである。
より詳しくは、この特許文献1のトナーシール複合軸受は、軸受孔の手前側に軸受孔よりも径大な内径を有する周壁が備えられており、このトナーシール複合軸受を作製するにあたっては、周壁の根元部分に中抜き円板状のシール部材の外周部を埋設固定させるようにインサート成形を実施している。
【0007】
しかし、特許文献1のトナーシール複合軸受では、軸受孔の開口縁から中心方向に向けて直角にシール部材を突出させてトナーシールに機能するリップ部を形成させていることから、回転軸外周面への追従性を向上させるべく比較的低弾性なシール部材を採用するとインサート成形時におけるポリマー組成物の流動やこのポリマー組成物が固化する際の収縮などによって開口形状が変形してシール性能が低下するおそれがある。
また、回転軸を軸受孔に挿入させる際に、シール部材の開口縁部が回転軸と軸受孔との間のクリアランス部分に引き込まれてしまいやすくなって、回転部品への装着作業性を低下させてしまうおそれが生じる。
【0008】
このことに対し、本件発明者は、柔軟なシール部材に関する出願(特願2007−300610)を実施しており、その中でシール部材を、外側(周壁側)から円形開口側に向けて傾斜し、該円形開口側を前方側に向けて突出させたテーパー状となるように固定させることで回転軸への挿入がスムーズに実施され得ることを述べている。
ただし、この特願2007−300610においては、シール部材をインサート成形によって固定させるのではなく、シール部材の前面側から当接されるリング状の固定部材を周壁の内側に圧入させてシール部材の固定を実施している。
このように主要な部分とリング状固定部材とを別々に作製して、後からこれを合体させる工程を実施することはトナーシール複合軸受を作製する上で工程を煩雑にさせやすいことから、必ずしも最適な方法ということはできない。
【0009】
【特許文献1】特開2002−323139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
すなわち、特願2007−300610に記載の発明においては、その製造効率を向上させる余地を残している。
このことについて、軸受孔の開口縁周りに傾斜面が形成されたトナーシール複合軸受のすべり軸受部の形成とシール部材の固定とを特許文献1のようにインサート成形によって一度に実施させることも考え得るが、この場合には、インサート成形における金型での把持領域を広く確保しなければシール部材の位置精度の低下やシール部材の変形を招いてシール性能を低下させるおそれを有する。
ここで、例えば、軸受孔の開口縁から周壁までの間を広く設計して、この間の全ての領域を金型による把持の領域として確保することで、インサート成形時におけるシール部材の位置ずれを防止することができ、シール性能の低下を防止することができる。
一方で、その場合には、シール部材の前面側における固定が、リップ部から大きく離れた外側の位置でなされることから、シール部材を傾斜面に十分沿わせることが難しくなる。
しかも、リング状固定部材のようにシール部材の前面側に当接されるものが殆ど設けられないことになるため、回転軸挿入方向逆向きへの変形を規制することが困難となり、この変形によるトナー漏洩を発生させるおそれを有する。
【0011】
すなわち、従来、トナー漏洩のおそれが低く、製造ならびに回転部品への装着作業性に優れたトナーシール複合軸受を得ることが困難となっており、本願は、このような問題の解決を図るべくなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電子写真装置内に回転自在に備えられている回転部品の回転軸を挿入させ得るように前記回転軸よりも径大な軸受孔を有し、前記軸受孔の内周面を前記回転軸に摺接させて前記回転部品を支持するすべり軸受部と、回転軸と摺接される前記軸受孔へのトナーの進入を防止し得るように、前記回転軸よりも径小な円形開口が形成され、該円形開口が前記回転軸以上の径となるように変形可能な弾性を有する板状のシール部材とを有し、前記すべり軸受部が、軸受孔の開口から外側に向けて後退するように形成された傾斜面と、該傾斜面よりも外側から回転軸挿入方向手前側に向けて立設された周壁とを有しており、前記シール部材が、円形開口を前記軸受孔の開口と重なり合わせ且つ背面側を前記傾斜面に当接させた状態で固定されることにより、円形開口の形成されている箇所を回転軸挿入方向手前側に向けて突出させた状態となるようにすべり軸受部に固定されているトナーシール複合軸受であって、前記周壁には、内側に向けて突出し、回転軸の挿入方向に沿って延在する複数条のリブが形成されており、該リブの後端部を前記シール部材の前面側に当接させて前記シール部材がすべり軸受部に固定されており、しかも、シール部材が収容された金型を用いてすべり軸受部のインサート成形が実施されることにより前記シール部材がすべり軸受部に固定されていることを特徴とするトナーシール複合軸受を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトナーシール複合軸受は、すべり軸受部がインサート成形によって形成されることから容易に製造されうる。
また、周壁には、回転軸の挿入方向に沿って延在するリブが複数条形成されており、該リブの後端部をシール部材の前面側に当接させて軸受孔の開口縁部の傾斜面に沿った突出状態となるようにシール部材が固定されることから、回転部品への装着作業性に優れるとともに、シール部材を柔軟な材料で形成させた場合でもシール部材の変形をリブによって規制させ得る。
しかも、このリブとリブとの間の領域を利用してインサート成形時におけるシール部材の把持を実施することができることからシール部材の位置ずれによるシール性能の低下が抑制されることとなる。
すなわち、本発明によれば、トナー漏洩のおそれが低く、製造ならびに回転部品への装着作業性に優れたトナーシール複合軸受が提供されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るトナーシール複合軸受の実施の形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。
図1、図2は、本実施形態のトナーシール複合軸受に係る斜視図であり、図3は、トナーシール複合軸受の正面図である。
また、図4は、本実施形態のトナーシール複合軸受に係る背面図であり、図5は、その側面図である。
また、図6は、図3におけるA−A断面図、図7は、同B−B断面図である。
さらに、図8は、使用状態を示す断面図である。
【0015】
本実施形態における、トナーシール複合軸受1は、電子写真装置内に回転自在に備えられている回転部品の回転軸を挿通させた状態で前記回転部品に装着されて用いられるもので、すべり軸受部2とシール部材3とによって構成されているものである。
該すべり軸受部2は、硬質のポリマー組成物が用いられてなり、前記ポリマー組成物が用いられたインサート成形によって形成されたものである。
一方で、前記シール部材3は、柔軟なポリマー組成物が用いられて中央部に円形の開口を有する中抜き円板状に形成されたものである。
【0016】
前記すべり軸受部2は、二重円筒状に形成されており、内外のそれぞれの円筒は、その両端を開口させた状態となるように形成されている。
内側の円筒部21(以下「内筒部21」ともいう)と、外側の円筒部22(以下「外筒部22」)とはその中心軸を共通させており、すべり軸受部2は、その正面視においてこれらが同心円となるように形成されている。
この二重の円筒の内、内筒部21は、外筒部22よりも長さが短く、トナーシール複合軸受1の背面側の端部21a(以下「後端部21a」ともいう)を外筒部22の背面側の端部(以下「後端部22a」ともいう)から僅かに後退する位置にまで突出させている一方で、前面側の端部21b(以下「前端部21b」ともいう)を外筒部22の長さ方向中間部に位置させている。
すなわち、外筒部22の前面側の端部22b(以下「前端部22b」ともいう)よりも凹入させた位置に内筒部21の前端部21bが位置しており、先述のように内筒部21は、外筒部22よりも長さが短く形成されていることから、この凹入深さが、後端部21aの突出高さ(はみ出し長)よりも深くなるように形成されている。
【0017】
前記内筒部21は、その内径が前記回転部品の回転軸の外径よりも僅かに径大となる状態に形成されており、本実施形態においては、この内筒部21の内周面によって形成されている貫通孔が軸受孔21dとして利用される。
なお、本実施形態のトナーシール複合軸受1は、内筒部21の前端部21bの側から回転軸が軸受孔21dに挿入されて用いられるように形成されている。
すなわち、本実施形態のトナーシール複合軸受1は、外筒部22の中間部に位置する内筒部21の前端部21b側から内筒部21の貫通孔(軸受孔21d)に回転部品の回転軸が挿入され、当該回転部品の回転時に回転軸と内筒部21の内周面とが摺接されるように形成されている。
この回転軸が挿入される入り口側(挿入方向手前側)となる前記内筒部21の前端部21bは、その端面が外側に向けて傾斜する傾斜面21eとなっており、より詳しくは、外側に向かうにしたがって、回転軸挿入方向奥側に後退するように傾斜した傾斜面21eが形成されている。
したがって、内筒部21の前端部21bは、逆に、前記軸受孔21dの開口縁21d1が形成されている中心方向に向けては、回転軸挿入方向手前側(前方側)に向けて突出する状態となるように形成されている。
【0018】
前記外筒部22には、後端部22aにおいて外向きに延びるフランジ部22cが形成されており、このフランジ部22cは、外筒部22の後端部22a側の開口周りに等幅となる円環形状の一部を外筒部の外周面22dに接する接線で切り欠くとともにこの切り欠き部と対向する箇所を略三角形となるように外方に突出させた形状を有している。
前記内筒部21の前端部21bがこの外筒部22の中間部に位置させていることから、この外筒部22の前端部22bは、内筒部21の前端部21bよりもさらに前方に突出されており、この突出する部分によって前記内筒部21の貫通孔(軸受孔21d)をその外側で囲む周壁を構成させている。
すなわち、この周壁は、内筒部21と二重円筒を形成する外筒部22によって形成されており、前記内筒部21がその前端部21bを外筒部22の長さ方向中間部分に配していることから、この内筒部21の前端部21bに形成された傾斜面21eを、その外周側で囲み且つ前記回転軸の挿入方向手前側に向けて立設する状態となるように形成されている。
【0019】
また、外筒部22において、周壁をなすべく内筒部21よりも前方に延びた部分においては、その内周面22eの一部が内向きに突出されてリブ22fが形成されており、本実施形態においては、このリブ22fは、8条形成されている。この8条のリブ22fは、全て回転部品の回転軸の挿入方向(外筒部22の前後方向)に沿って延在されており、互いに等間隔に離間して、且つ互いに平行して形成されている。
すなわち、正面視における8条のリブ22fは、外筒部22の中心軸から放射状に配置されており、前記中心軸周りに45度ずつ回転させた位置に相当する箇所に各リブ22fが配置されている。
【0020】
該リブ22fは、その前端側を外筒部22の前端部22bに位置させ、後端側は、前記内筒部21の傾斜面21eを外側に延長させた仮想線と外筒部22との交点よりもやや前方側に位置させている。
このリブ22fの後端側には、前記内筒部21の傾斜面21eと平行となる傾斜が設けられており、22fの後端部の端面は、前記傾斜面21eと平行する傾斜面となっている。
このリブ22fは、その断面形状等が特に限定されるものではないが、通常、突出部分の断面形状(外筒部22の中心軸に直交する平面による断面形状)が略矩形となるように形成されうる。
そして、8条全てが、同じ高さで同じ幅となるように形成されていることが好ましい。
すなわち、本実施形態のトナーシール複合軸受1は、後段において詳述するが、このすべり軸受部2がインサート成形によって形成され、このインサート成形におけるリブ22fの形成によってシール部材3が固定されて形成されたものである。
したがって、前記傾斜が設けられたリブ後端部がシール部材3の前面側3aに当接されることから、このリブ22fの形状を互いに異ならせると、インサート成形時におけるポリマーの流れや、ポリマーが固化する際の収縮等においてリブ間に差異が生じ、シール部材3に歪みを生じさせるおそれがある。
したがって、リブ形状を統一しておくことによってシール部材3の歪みを防止することができ、シール性能の低下をより一層防止することができる。
【0021】
また、リブ22fの高さ(h)は、その先端が、内筒部21の開口縁21d1に到達する高さ以下であれば、特に限定されるものではないが、少なくとも、前記内筒部21の傾斜面21eに到達する高さに形成されることが好ましい。
すなわち、このトナーシール複合軸受1の正面視において、リブ22fの内側先端部分が、内筒部21の外側輪郭線よりも中心寄りに侵入し、且つ内筒部21の内側輪郭線よりも外方に位置させるように形成されていることが好ましい。
また、リブ22fの幅(W)は、すべり軸受部2のインサート成形におけるシール部材3の把持領域を広く確保できる点においては、より狭幅であることが好ましいが、あまりに狭幅とすると、リブ22fの強度を低下させるおそれがあるばかりでなく、シール部材3を内筒部21の傾斜面21eに沿った突出状態に保持することが困難となるおそれを有する。
したがって、リブ22fの幅(W)と高さ(h)によって求められるリブによる固定面積(W×h)とシール部材3が露出している部分の面積との割合(固定面積/露出面積)が、正面視において、1/2〜1/10のいずれかとなるように調整されていることが好ましい。
【0022】
この内筒部21と外筒部22とは、軸方向に沿って延びる板状の連結部によって連結されており、該板状連結部23は、内筒部21と外筒部22との二重筒構造が形成されている部分に略全体にわたって設けられている。
すなわち、本実施形態においては、板状連結部23の後端部23aは、外筒部22の後端部22aから前記フランジ部22cの厚み分凹入させた箇所に位置し、前端部23bを内筒部21の前端部21bにまで到達させている。
この板状連結部23の前端部23bにおいては、前記内筒部21の前端部21bに形成されている傾斜面21eと連続する傾斜が設けられており、前記傾斜面21eと板状連結部23の前端の傾斜面とは面一な状態となっている。したがって、内筒部21の傾斜面21eから外筒部22の内周面22eにいたるまでの間には一定の角度で傾斜する傾斜面が形成されていることとなる。
また、この板状連結部23は、内筒部21の外周面と外筒部22の内周面とを連結すべく8箇所設けられており、正面視において内筒部21と外筒部22との連結方向が中心軸から放射状となるように配されている。
そして、これら8つの板状連結部23は、互いに等間隔に離間し且つ互いに平行して配置されており、内筒部21の中心軸周りに45度ずつ回転させた位置にそれぞれの板状連結部23が配置されている。
また、この板状連結部23は、前記リブ22fの形成箇所に対して中心軸周りに22.5度ずらせた位置に形成されており、本実施形態のトナーシール複合軸受1の正面視において、8条のリブ22fの中間位置にそれぞれ配された状態となるように形成されている。
しかも、正面視においてこれら8つのリブ22fと、8つの板状連結部23との間に隙間を形成させるべく、板状連結部23は、周壁のリブ間の間隙部以下の幅に形成されている。
【0023】
このような内筒部21、外筒部22、及び板状連結部23を有するすべり軸受部2を構成する材料としては、インサート成形可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、耐摩耗性(すべり性)に優れた成形品の形成が可能となるよう配合材料が調整された樹脂組成物が挙げられる。
【0024】
この樹脂組成物としては、自己潤滑性樹脂としてのポリアセタール等をベースポリマーとする含油樹脂組成物が挙げられる。
この含油樹脂組成物に用いられる自己潤滑性樹脂としては、ポリアセタールの他に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ四フッ化エチレン等が挙げられる。自己潤滑性樹脂とは、固体状又は液状の潤滑剤を添加しない状態でも潤滑性を有し、比較的低い摩擦係数を示す樹脂を指している。
含油樹脂組成物中に占める前記自己潤滑性樹脂の量は、40容積%以上98容積%以下が好ましく、55容積%以上85容積%以下が特に好ましい。
自己潤滑性樹脂の量が上記範囲未満であると、すべり軸受として必要な機械的強度が低下し、回転軸との摺接による摩耗量を増大させてしまうおそれを有する。
逆に、自己潤滑性樹脂の量が上記範囲を超えると、含油樹脂組成物によって形成される成形体として高い硬度のもの以外のものが得られ難くなり、トナー等の微粉末の侵入によって摺動抵抗を増大させてしまうおそれがある。
【0025】
この含油樹脂組成物には、上記自己潤滑性樹脂に加えて、潤滑油が配合され得る。
この潤滑油の配合量は、含油樹脂組成物100容積%に対し1容積%以上40容積%以下が好ましく、10容積%以上30容積%以下が特に好ましい。
潤滑油としては、一般的に潤滑油として使用されているものを挙げることができ、例えば(a)スピンドル油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の芳香属系潤滑油、(b)ナフテン系潤滑油、(c)パラフィン系潤滑油、(d)炭化水素、エステル、ポリグリコール、シリコーン等の合成油等が挙げられる。
【0026】
前記含油樹脂組成物には、この潤滑油の担体として、ポリノリボルネン系エラストマー、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、EPDM、スチレンブタジエンゴム等をさらに含有させることができる。
このポリノリボルネン系エラストマーの配合量は、含油樹脂組成物100容積%中に0.1容積%以上20容積%以下となる割合で含有されることが好ましく、5容積%以上15容積%以下とされることが特に好ましい。
【0027】
この含油樹脂組成物には、補強充填材として、繊維長2μm〜50μm、繊維径0.2μm〜3μmの酸化亜鉛ウイスカーが配合され得る。
また、青銅、りん青銅、ホワイトメタル、鉛青銅、ケルメット(銅鉛合金)等の銅系金属等の金属粉未を含油樹脂組成物に配合して、得られるすべり軸受部2の熱膨張係数を調整することもできる。
【0028】
このようなすべり軸受部2に収容固定される前記シール部材3は、自然状態で平板状に形成されており、中央部に円形開口が形成された、いわゆる平ワッシャーのような板状形状を有している。
この中抜き円板状のシール部材3の外径は、前記外筒部22におけるリブ22fの形成されていない箇所における内径よりも僅かに径大とされており、中抜き部31(以下「円形開口31」ともいう)の径は、挿入される回転部品の回転軸の外径よりも僅かに径小に形成されている。
このシール部材3は、前記内筒部21の傾斜面21eならびに板状連結部23の前端側に形成されている傾斜面にその背面3bを当接させており、しかも、外縁部32を外筒部22の内周面側から外筒部22に進入させて固定されている。
【0029】
また、このシール部材3の円形開口31と前記内筒部21の前端部21bの開口とが同心円となるように重ね合わせた状態でシール部材3がすべり軸受部に固定されており、内筒部21の貫通孔(軸受孔21d)の開口径が回転軸よりも僅かに径大で、シール部材3の円形開口31が回転軸よりも僅かに径小となっていることから、軸受孔21dの開口縁21d1から内向きやや前方に向けてシール部材3の開口縁部を突出させている。
なお、この突出部分(リップ部)の突出長さは、軸受孔21dの開口縁21d1全周にわたって略均一とされている。
【0030】
このように、本実施形態のトナーシール複合軸受1においては、シール部材3が、背面を内筒部21の傾斜面21eに当接させて、この傾斜面21eに沿った形状となるように固定されており、円形開口31の部分を回転軸の挿入される方向とは逆向きとなる前方側に向けて突出させている。
また、このシール部材3は、板状連結部23の傾斜面にも沿った状態で固定されていることから、全体的な形状が円錐台(切頭円錐)の側面形状となるように前方側に向けて突出する形状をなしてすべり軸受部2に固定されている。
【0031】
なお、このシール部材3の前面3aには、周壁に形成された前記リブ22fの後端部が当接されており、このリブ22fの後端部に形成された傾斜面が当接されている。
すなわち、シール部材3は、内筒部21の傾斜面21e及び板状連結部23の傾斜面と、これらの傾斜面と平行なリブ後端部の傾斜面とによって前後から挟持された状態となっており、このことによって内筒部21の傾斜面21e及び板状連結部23の傾斜面に沿った突出形状が保持されている。
【0032】
前記シール部材3は、その形状を僅かな外力で変形させ得るように、柔軟な材料が用いられて形成されており、このシール部材3を形成させる形成材料としては、熱硬化性ポリウレタンがベースポリマーとして含有されているポリウレタン樹脂組成物を用いることが好ましい。
このポリウレタン樹脂組成物としては、基本的には、電子写真装置のトナークリーニングブレードなどに使用されている配合内容のものを採用することができる。
トナーのクリーニング部材として実績があり、優れた耐摩耗性を有する素材としてのポリウレタンの構造としては、エーテル系やエステル系のものが挙げられる。
なかでも、エステル系の熱硬化性ポリウレタンの方が耐摩耗性に優れる傾向が高く、長寿命化を図り得ることからより好適である。
また、成形時における型材からの離型抵抗の制約を受けずに、低硬度の硬化物を得られやすく、回転トルクが低く、軸の振れに対して追従性が高く、耐久性にも優れたトナーシール複合軸受の提供を行いうる点においてもシール部材3の形成に用いられるポリウレタン樹脂組成物のベースポリマーとしては上記のポリウレタンが好適である。
【0033】
また、シール部材3として成形された際に、JIS−A硬度(JIS K7312 タイプAデュロメータ硬さ)で50〜80度であることが好ましく、55〜75度であることがより好ましく、60〜70度であることが最も好ましい。
この硬度範囲よりも硬いと、軸の回転トルクが増大し、軸の振れに対する追従性が悪くなるおそれを有しトナーシール性が悪化するおそれがある。
また、この硬度範囲より軟らかいと、組立時、軸をトナーシール部材に挿入する際に開口縁であるリップ部の反転(軸受孔21dと回転軸とのクリアランス部分への噛み込み)を起こしやすくなり、組み付け作業性を低下させるおそれを有する。また、シール部材3の表面粘着性が増すことから、回転軸の回転トルクを増大させるおそれもある。
【0034】
シール部材3の形成に用いるポリウレタン樹脂組成物には、回転軸との潤滑性を向上させるために、オイル状潤滑剤を添加することが出来る。
使用できるオイルとしては、市販品を採用することができ、例えば、出光興産社製鉱物油「ダフニースーパーメカニックオイル100」 、東レ・ダウコーニング社製シリコーン油「SH200」等を0.5〜1.5phrのいずれかの割合でポリウレタン樹脂組成物に含有させることで優れた潤滑効果を得ることが出来る。
【0035】
このようなトナーシール複合軸受1は、トナーシール性に対する要望の強い、トナー撹拌搬送用スクリューや現像ローラーに好適に用いられうる。
例えば、図8に示すように、トナー撹拌搬送用スクリューの回転軸を軸受孔21dに挿入させるとともに、トナーシール複合軸受の外筒部22を嵌入させうる貫通孔が設けられたトナー収容容器の側壁部に、この外筒部22を嵌入させ、しかも、前記フランジ部22cをこのトナー収容容器の側壁面に当接させた状態でトナー収容容器の側壁に接着固定されて用いられうる。
この回転軸の挿入によりシール部材3は、その円形開口31の開口径を回転軸の外径と等しくさせるべく前記円形開口31の開口縁部(リップ部)を弾性変形させ、この弾性変形に抗する復元力によって回転軸の外周に密着されてシール性能を発揮する。
さらに、本実施形態のトナーシール複合軸受においては、リブ先端部を円形開口31の開口縁近傍に位置させていることから、このリブ22fがシール部材3と回転軸との密着力をバックアップし、シール性の向上が図られている。
【0036】
通常の電子写真装置において、このようなトナー撹拌搬送用スクリューや現像ローラーなどの回転部品に装着される場合には、前記内筒部21の内径(軸受孔21dの径)が2〜8mm程度とされ、外筒部22の内径(リブ22fの形成されていない箇所の径)が5〜20mm程度となる大きさに形成される。
また、上記のようなJIS−A硬度で50〜80度の硬度を有するシール部材が用いられる場合には、通常、その厚みが0.1〜1.0mmのいずれかとなる中抜き円板状に形成されたシール部材をトナーシール複合軸受に採用することができ、前記リップ部の突出長さは、通常、0.1〜0.5mm程度とされる。
また、前記傾斜面21eの傾斜角(外周側から中心部に向けた仰角)は、通常、30〜70度とされる。
さらに、前記リブ22fの高さ(h)は、通常、軸受孔21dの開口縁21d1から外側に0.1〜1.0mm後退した箇所に到達する高さとされ、幅は、0.1〜1.0mm程度とされる。
また、リブの本数については、上記例示においては8本の場合を示しているが、3〜20本程度の間で適宜選択が可能である。
【0037】
次いで、このようなトナーシール複合軸受の製造方法について説明する。
まず、中抜き円板状のシール部材3を作製するとともにすべり軸受部2を形成するための樹脂組成物(含油樹脂組成物)を準備し、図9、図10に示す金型を利用してインサート成形を実施する。
この図9、図10について説明すると、これらは金型の断面を示す図であり、この図にも示されているように、この金型は、下型100と上型200とが備えられている。
下型100には、トナーシール複合軸受の外形に相当する凹入部を有する下型本体101が備えられており、該下型本体101の凹入部をなす底面101aの中心部には、コアピン102が立設されている。
このコアピン102は、シール部材3の位置決めを行うべく、その上端部がシール部材3の円形開口31よりも細径の丸棒状に形成されており、下端部が円形開口よりも僅かに太い丸棒状に形成されている。
そして、その中間部には、細径から太径へと徐々に拡径する拡径部が形成されており、シール部材3の円形開口31をこの細径部分に通してシール部材3を落下させた際には、円形開口31の開口径と同じ径となる箇所にてシール部材3が略水平状態に保持されて前記拡径部でコアピン102に係止されることとなる。
【0038】
また、この下型本体101の底面101aには、前記コアピン102の周囲に8つの突片103が立設されており、該突片103は、コアピン102との間に殆どクリアランスがない状態で配されており、下型100の凹入部101を形成する側壁101bから、一定距離内側となるように配されている。
この突片103は、隣接する突片間の空間部に含油樹脂組成物を流入させてトナーシール複合軸受1のリブ22fを形成するためのものであり、この突片103の部分がリブ間の空隙箇所を形成するものである。したがって、本実施形態においては、この突片103は、その水平断面が扇型となるように形成されており、この突片間にはリブ22fを形成させるための断面矩形の空間部が形成されている。
そして、該突片103の上端面は、外側に向けて傾斜する傾斜面とされており、該傾斜面は、上型200が下りてきた場合に、該コアピン102に係止されているシール部材3の下面側に当接され、シール部材3の外周側を持ち上げ、上方に向けて広がるラッパ状にシール部材3を保持するためのものである。
【0039】
前記上型200には、その中央部に円筒部201が形成されており、該円筒部201の内側は、前記下型100のコアピン102に相当する形状とされている。
また、この円筒部201は、軸受孔21dとなる空間を形成させるべく用いられものであり、その外径が、形成される軸受孔21dの径と同径で、前記コアピン102の太径部よりも僅かに径小となるように形成されている。
また、この円筒部201の下端は、前記コアピン102の拡径部に面接可能な傾斜面が内側部分に形成されており、外側には、下型100の突片103の先端に形成された傾斜面と平行となる傾斜面が形成されている。
この外側の傾斜面は、下型100と上型200とを閉じた際に、シール部材3に上方から当接され下型100の突片103とともにシール部材3を上方に向けて広がるラッパ状に保持すべく機能するものである。
また、この円筒部201は、下型100のコアピン102とともに下型100と上型200との位置あわせに機能するものである。
【0040】
前記上型200には、前記円筒部201の外側に、8本の棒状突起202が立設されており、この棒状突起202は、前記円筒部201から、一定距離外側に離れた箇所に立設されている。
しかも、この棒状突起202は、下型100と上型200とを閉じた際に、下型100の凹入部を形成する側壁101bから、一定距離内側に離れた箇所に位置するように立設されており、その外側と側壁101bとの間が、下型100の突片103の外側と側壁101bとの間と同じ距離隔てた状態となるように立設されている。
すなわち、この棒状突起202は、その内側面と前記円筒部201の外側面との間に含油樹脂組成物を流入させてすべり軸受部2の内筒部21を形成させ、その外側面と下型100の側壁101bとの間に含油樹脂組成物を流入させて外筒部22を形成させるとともに、互いの間の空間に含油樹脂組成物を流入させて板状連結部23を形成させ得るように備えられている。
したがって、本実施形態における棒状突起202は、水平断面が扇型となるように形成されているとともに棒状突起間の空間部の断面が矩形となるように形成されている。
【0041】
また、この棒状突起202はその先端面が、前記円筒部201の外側に形成された傾斜面を外側に延長させた平面と面一となる傾斜面が形成されている。
したがって、この棒状突起202の先端の傾斜面も、前記下型100の突片103の先端に形成された傾斜面と平行するようになっており、この突片103の傾斜面ならびに円筒部201外側の傾斜面と共働してシール部材3を上方に向けて広がるラッパ状に保持すべく機能する。
【0042】
しかも、本実施形態における金型は、正面視においてリブ22fと板状連結部23との間に隙間が形成されるように板状連結部23の幅がリブ間の間隙よりも狭幅に形成されているトナーシール複合軸受1を作製するためのものであり、前記棒状突起202は、上型200と下型100とを合せた場合に、前記突片103の間に配置され、しかも、その先端面の一側端部を突片の先端面の一側端部に対向させるとともに他側端部を前記突片と隣接する突片の先端面の側端部に対向させるように配置されている。
【0043】
このような金型を用いてトナーシール複合軸受を作製するには、まず、前記コアピン102にシール部材3を係止させた状態で、上型200と下型100とを閉じることによって、上型200の円筒部201の内側傾斜面とコアピン102の拡径部とを当接させて上型200と下型100との位置決めを行うとともに、円筒部201の外側傾斜面と棒状突起202の先端傾斜面をシール部材3の上面に当接させ且つシール部材3の下面を下型100の突片103先端の傾斜面に当接させてシール部材3を上方に向けて広がるラッパ状に保持させて金型を完全に閉じた状態とさせる。
【0044】
このように金型のあわせ面の内、突片103先端の傾斜面、円筒部201の外側傾斜面、及び棒状突起202の先端傾斜面各傾斜面を利用してシール部材3を挟持して位置決めを行い、その状態で、下型100と上型200との間に形成されている空間部に加熱溶融させた含油樹脂組成物を流入させて充填する。
流入された含油樹脂組成物は、金型によって冷却固化されすべり軸受部2の全体形状を形成することとなる。
このとき、先端に傾斜面21eを有する内筒部21や、リブ22fが設けられた外筒部22が形成されることによりシール部材3を金型による固定形状のままの状態ですべり軸受部2に固定させることができる。
すなわち、一工程で軸受孔21dを有するすべり軸受部2を形成するとともに軸受孔21dの開口縁部に形成された傾斜面21eに沿って円形開口31の外周部分を前方に突出させた状態となるようにシール部材3を固定させることができる。
【0045】
しかも、シール部材3が、突片103、円筒部201、及び棒状突起202といったそれぞれ広い傾斜面を有する部材で把持された状態でインサート成形が行われ、しかも、この突片103、円筒部201、及び棒状突起202は、シール部材3の両面前面にわたって広く分散された状態で当接されることから、インサート成形時におけるシール部材3の位置ずれを抑制させ得る。
また、特にシール性能に大きく影響を与える円形開口31近傍には、リブ22fの先端部が形成されるのみで、インサート成形時における溶融樹脂の流動も僅かである。
したがって、この樹脂流動による変形も抑制され、しかも、この樹脂組成物が冷却固化する際の収縮の影響も抑制される。
仮に、形成されたリブ22fに収縮が生じたとしても、全てのリブ22fの幅、高さを共通させることで、その影響を均等化させることができ、結果、歪みなどが表れにくくなってシール性能の低下が防止されうる。
【0046】
なお、上記においては、コアピン102の拡径部に係止させてシール部材3をセットする場合を例示しているが、金型の割れ方向を上下に制限することなく、左右割れとすることができる。
【0047】
また、ここでは詳述しないが、従来公知のインサート成形に係る技術事項を、本発明の効果が著しく損なわれない範囲において適宜採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係るトナーシール複合軸受の第一の斜視図。
【図2】同第二の斜視図。
【図3】同正面図
【図4】同背面図
【図5】同側面図
【図6】図3におけるA−A線断面図
【図7】図3におけるB−B線断面図
【図8】使用状態を示す参考図
【図9】本実施形態に係るトナーシール複合軸受を製造するためのインサート成形金型の型開時を示す断面図
【図10】本実施形態に係るトナーシール複合軸受を製造するためのインサート成形金型の型閉時を示す断面図
【符号の説明】
【0049】
2 すべり軸受部
3 シール部材
3a (シール部材の)前面
3b (シール部材の)背面
21 内筒部
21a (内筒部の)後端部
21b (内筒部の)前端部
21d 軸受孔
21d1 開口縁
21e 傾斜面
22 外筒部
22a (外筒部の)後端部
22b (外筒部の)前端部
22c フランジ部
22d 外周面
22e 内周面
22f リブ
23 板状連結部
23a (板状連結部の)後端部
23b (板状連結部の)前端部
31 円形開口
32 外縁部
100 含油樹脂組成物
100 下型
101 下型本体
102 コアピン
103 突片
200 上型
201 円筒部
202 棒状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真装置内に回転自在に備えられている回転部品の回転軸を挿入させ得るように前記回転軸よりも径大な軸受孔を有し、前記軸受孔の内周面を前記回転軸に摺接させて前記回転部品を支持するすべり軸受部と、
回転軸と摺接される前記軸受孔へのトナーの進入を防止し得るように、前記回転軸よりも径小な円形開口が形成され、該円形開口が前記回転軸以上の径となるように変形可能な弾性を有する板状のシール部材とを有し、
前記すべり軸受部が、軸受孔の開口から外側に向けて後退するように形成された傾斜面と、該傾斜面よりも外側から回転軸挿入方向手前側に向けて立設された周壁とを有しており、
前記シール部材が、円形開口を前記軸受孔の開口と重なり合わせ且つ背面側を前記傾斜面に当接させた状態で固定されることにより、円形開口の形成されている箇所を回転軸挿入方向手前側に向けて突出させた状態となるようにすべり軸受部に固定されているトナーシール複合軸受であって、
前記周壁には、内側に向けて突出し、回転軸の挿入方向に沿って延在する複数条のリブが形成されており、該リブの後端部を前記シール部材の前面側に当接させて前記シール部材がすべり軸受部に固定されており、しかも、シール部材が収容された金型を用いてすべり軸受部のインサート成形が実施されることにより前記シール部材がすべり軸受部に固定されていることを特徴とするトナーシール複合軸受。
【請求項2】
前記複数条のリブが、互いに等しい幅且つ等しい高さとなるように形成されている請求項1記載のトナーシール複合軸受。
【請求項3】
前記シール部材が熱硬化型ポリウレタンによって形成されている請求項1又は2記載のトナーシール複合軸受。
【請求項4】
JIS−A硬度で50〜80度のいずれかの硬度を有するシール部材が用いられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナーシール複合軸受。
【請求項5】
前記回転部品がトナー撹拌搬送用スクリュー又は現像ローラーである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナーシール複合軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−71443(P2010−71443A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242416(P2008−242416)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】