説明

トナー容器及びそれを備えた電子写真装置

【課題】 トナー容器と廃トナー容器との識別を容易にし、使用済みトナー容器を廃トナー容器として再利用しても、ユーザーの誤使用や故意による廃トナーの再使用を、安価で簡単な構造で防止できるトナー容器を提供する。
【解決手段】 透明又は半透明の素材のトナー容器にトナーの供給口とは別に逆流防止弁付きの廃トナーの回収口を設け、回収口から受け入れた廃トナーをフレキシブルな素材で出来て、トナー容器外部から認識できるように着色又は文字等が表示された廃トナー収容袋に収容し、収容した廃トナーを供給口とは空間的に隔離するとともに、廃トナーを収容することで膨らんだ廃トナー収容袋に施された着色又は文字等により、ユーザーがこの容器が廃トナーを収容しているトナー容器でる事を容易に認識できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、多機能複合機等の電子写真装置に供給するトナーを収容するトナー容器、及び電子写真装置が排出する廃トナーを収容する廃トナー容器ならびにこれらの容器を備えた電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター、多機能複合機等の電子写真装置では、感光ドラム上に静電潜像を作成し、これを現像装置でトナー像に現像し、用紙に転写後に熱定着する。転写時に用紙に転写されず感光ドラム上に残留したトナーは、クリーニングブレード等のクリーニング装置により感光ドラム上から除去され廃トナー容器に収容される。廃トナー容器は満杯になれば、ユーザーによって電子写真装置から外され破棄される。現像装置のトナーが不足した場合、ユーザーが現像装置にトナー容器から新しいトナーを補充する。
【0003】
従来の電子写真装置では、利便性やリサイクルの観点から、新しいトナーを現像装置に供給した後に空となったトナー容器を廃トナー容器として再利用する方式が一般的であった。
【0004】
しかし、ユーザーから見て未使用の新しいトナーと廃トナーは外観は共に粉末状で同じように見えるため、廃トナーを収容したトナー容器と、未使用の新しいトナーを収容したトナー容器とは判別しにくく、廃トナーを収容した容器を、未使用の新しいトナーを収容した容器と勘違いして、誤って廃トナーを現像装置に供給してしまう恐れがあった。
【0005】
また、廃トナーをユーザーがそのまま再利用が可能と勝手に判断して、トナー代を節約するために、故意に廃トナーを現像装置に供給するということも起こっていた。廃トナーは、一連の電子写真プロセスで用紙に転写されずに残ったトナーであり、トナーとして特性的に劣っている粒子が多く、また紙粉や埃等の不純物を含んでおり、廃トナーをそのまま再利用すると、印字品質の劣化や電子写真装置の故障を引き起こす恐れがあった。
【0006】
このため、廃トナー容器に回収された廃トナーをユーザーが誤使用したり、故意に使用しないようにする構成が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、廃トナーの回収のため電子写真装置の廃トナーパイプに空のトナー容器を装着すると、トナー容器の口の一部を構成する舌片が折れるようにし、舌片が折れた廃トナーを収容したトナー容器を現像器に装着しても現像器の受け入れ口が開かない構成としている。
【0008】
また、特許文献2では、トナー容器に使用履歴を記録できる記録媒体と誤装着防止部材を設け、電子写真装置が記録媒体の使用履歴を読み取り誤装着防止部材を制御することで、廃トナーを収容したトナー容器を現像器に装着できないような構成としている。
【0009】
また、特許文献3および特許文献4では、トナー容器の内部空間をフレキシブルな仕切部材で上下に分け、仕切部材の下部空間に未使用トナーを収容し、トナー容器の下部に設けられたトナー供給口から電子写真装置に未使用トナーを供給し、トナー容器の上部に設けられた廃トナー回収口から、電子写真装置が排出する廃トナーを仕切部材の上部空間に収容するような構成として、未使用トナーと廃トナーが容器内部で混ざらないように別々に収容されるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、トナー容器の舌片を折ってもユーザーがガムテープ等の部材で、トナー容器の舌片を容易に再現できてしまい、故意による廃トナーの再利用が防止できない。また、現像器のトナー受け入れ口の構造が複雑となりコスト的に割高となる問題がある。
【0011】
特許文献2に記載された構成では、トナー容器に記録媒体と誤装着防止部材を設け、更に電子写真装置に記録媒体のデータを読み取る手段や、誤装着防止部材の移動手段等が必要であり、構造が更に複雑であり、コスト的に割高となる問題がある。また、両方の文献例とも、ユーザーから見て廃トナーを収容した使用済みトナー容器と、未使用のトナーを収容したトナー容器との判別がつきにくいという問題がある。
【0012】
特許文献1及び特許文献2に記載の構成では、電子写真装置にトナーを供給する時と廃トナーを回収する時は電子写真装置の違う位置にトナー容器を装着する構成となっており、未使用のトナーを供給し終わった後の空のトナー容器を廃トナー容器として再利用する方式である。
【0013】
これに対して、特許文献3及び特許文献4に記載の構成では、トナー容器の内部を上下にフレキシブルな素材で出来た仕切部材で分け、仕切部材の下部空間に収容された未使用のトナーをトナー容器の下部の供給口から電子写真装置に供給すると同時に、トナー容器の上部の回収口から電子写真装置が排出する廃トナーを仕切部材の上部空間に収容する構造となっている。
【0014】
このため、電子写真装置の使用中は、未使用トナーと廃トナーが同じトナー容器内に仕切部材を介して上下に分かれて収容され、未使用のトナーが減少するとともに廃トナーの収容量も増大し、未使用のトナーを使い切ってもトナー容器内には廃トナーが収容されており、トナー容器は空とはならない。未使用トナーを使い切りって電子写真装置から取り外したトナー容器は、廃棄までに保存している間、ユーザーから見て、トナー容器内が完全に空ではなく、或る程度の廃トナーの重量が有るため、未使用のトナーを収容した容器なのか廃トナーが収容された容器なのか判別しにくく、あるいは、まだ未使用のトナーが残っているかもと勘違いして、使用済みの廃トナーを収容したトナー容器を、再び電子写真装置に装着してしまう恐れがある。
【0015】
本発明の目的は、コスト的に割高で複雑な構造を必要とせず、安価で簡単な構造で、且つ、使用済みの廃トナーを収容したトナー容器を容易に判別でき、使用済みトナー容器を廃トナー容器として再利用しても、ユーザーが誤って廃トナーを現像器に供給することを防止することが可能なトナー容器及びそれを備えた電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、透明又は半透明の素材からなり、少なくとも電子写真装置に未使用のトナーを供給する供給口と、電子写真装置が排出する使用済み廃トナーを受け入れる回収口と、回収口のみに開口部があり、回収口から受け入れた廃トナーを収容し、トナー容器の外側から見て視認できる着色、又は文字、又は記号、又は絵が表示された廃トナー収容袋と、前記回収口に、通常は閉じられているが、電子写真装置の廃トナー排出パイプを回収口に挿入された時に、容器内部側にのみ開く弁とを有し、空となったトナー容器を廃トナー容器として再利用可能なことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記廃トナー収容袋は、フレキシブルな素材で出来ており、トナー容器に未使用のトナーを収容している時は、未使用のトナーの収容を阻害しないように折りたたまれて容積は小さくなっており、廃トナー収容袋に施されている着色、又は文字、又は記号、又は絵は、収容されている未使用のトナーによってトナー容器の外部から見えにくいように隠されて、廃トナー容器としてトナー容器を再利用した時に、未使用のトナーを収容していた空間と廃トナーを収容する空間をトナー容器内部で共用し、廃トナーの収容量の増大とあわせて廃トナー収容袋が膨らみ、廃トナー収容袋に施されている着色、又は文字、又は記号、又は絵がトナー容器の外側から視認可能なことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記廃トナー収容袋は、トナー容器の内側に、少なくとも1箇所以上固定され、未使用のトナーを電子写真装置に供給する時に、垂れ下がるなどして供給口を塞ぎ、未使用のトナーの供給を阻害しないことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3の手段において、前記トナー容器内部の供給口付近に、格子、網、梁等の構造物を設けたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第5の手段は前記第1ないし第4の手段において、前記トナー容器の供給口にシール材を設け、未使用のトナーをトナー容器内に密閉するとともに、供給口に設けられた前記シール材の上からねじ込み式のキャップを装着する構造とし、前記キャップには空気抜きのための穴を設けたことを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、前記供給口に設けられたキャップの内側の前記空気抜きのための穴に面した部分にフィルターを設けたことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第7の手段は前記第1ないし第6の手段において、電子写真装置に廃トナー容器として装着する時に、トナー容器の供給口が廃トナーを受け入れる回収口よりも高い場所に位置関係となるように前記供給口と回収口とが配置されていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第8の手段は電子写真装置において、前記第1ないし第7の手段のトナー容器によりトナーを供給される現像装置を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は前述のような構成になっており、使用済みの空になったトナー容器を廃トナー容器として再利用しても、容器の供給口から廃トナーが出てくることがなく、誤って廃トナーを現像装置に供給することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係る未使用のトナーが充填されているトナー容器の断面図である。
【図2】本発明の実施例に係る電子写真装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施例に係る廃トナーが充填されているトナー容器の断面図である。
【図4】本発明の実施例に適用される逆流防止弁の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、未使用のトナーを収容している時のトナー容器の断面図である。
【0027】
透明又は半透明の素材で出来たトナー容器1の内部に未使用のトナー10が収容されている。トナー容器1の上部には電子写真装置の現像装置にトナーを供給するための供給口2が設けられている。供給口2にはシール材3が貼られており、内部の未使用のトナー10は容器内に密閉されており、トナー10の吸湿を防いでいる。また、供給口2にはシール材3の上から、ねじ込み式の供給口キャップ4が装着されている。ねじ込み式の供給口キャップ4には空気抜き穴5が設けられており、供給口キャップ4の内側の空気抜き穴5に接している部分にフィルター25が取り付けられている。
【0028】
ユーザーは、未使用のトナー10を現像装置に供給する時は、ねじ込み式の供給口キャップ4を外し、シール材3を剥がして取り除き、供給口2を現像装置のトナー受け入れ口に合わせ、トナー容器1を徐々に傾け、容器内部の未使用のトナー10を現像装置のトナー受け入れ口に注ぐように供給する。最終的にトナー容器1を逆さまにして、トナー容器1を揺する事で容器内部の未使用のトナー10はほぼ排出される。
【0029】
未使用のトナー10を供給し終わりトナー容器1が空になった後、供給口キャップ4を装着する。空のトナー容器1に供給口キャップ4を装着するのは、トナー容器内に完全に排出されなかった未使用のトナー10が残留していた場合に、トナー容器1のその後の取り扱いで残留トナーが容器外部に漏れるのを防ぐ為である。
【0030】
供給口キャップ4には空気抜き穴5が設けられているが、供給口キャップ4内部に取り付けられたフィルター25により空気はトナー容器外部に抜けるが、トナー粒子はフィルター25に吸着され、トナー容器外部に漏れないようになっている。
【0031】
供給口2のトナー容器1の内側には、トナー10の供給時に廃トナー収容袋7が垂れ下がるなどして供給口2を塞いでトナー10の排出を阻害するのを防止するための阻止部材15が設けられている。本実施形態では阻止部材15は細い丸棒状の部材をある一定の間隔で容器の両側面間に渡したような格子構造となっているが、トナー10の排出を阻害せずに、廃トナー収容袋7が供給口2を塞ぐのを防止できれば、格子状でなくとも、網状や梁状、フィルター状であってもよい。
【0032】
しかし、廃トナー収容袋7が垂れ下がるなど移動せず、また大きさが最大に膨らんでも、供給口2を塞がないで、トナーの排出を阻害しないのであれば阻止部材15はなくとも良い。図1のトナー容器1の右上には廃トナーを受け入れる回収口6が設けられている、回収口6のトナー容器1内部には折りたたまれた廃トナー収容袋7の唯一の開口部が接続されており、廃トナー収容袋7の開口部はリング8によりトナー容器1の回収口6に固定されている。リング8のトナー容器1の内側には逆流防止弁14が設けられている。逆流防止弁14はトナー容器1の内側のみに開き、外側には開かない構造となっている。
【0033】
図4は、トナー容器の内側から見た逆流防止弁14を示している。逆流防止弁14は一枚のゴム等の弾力があり復元性がある素材で出来ており、リング8の上部に逆流防止弁14の一部部分が固定されて、通常はリング8に密着しているが、図4のようにクリーニング装置の廃トナー排出パイプ23を回収口6に差し込むことで押されて、トナー容器の内側に開くような構造となっている。回収口6はねじ込み式の回収口キャップ9が設けられている。廃トナー収容袋7はフレキシブルな素材で出来ており、素材としてはビニールやポリエステル又は柔らかい紙材が適しており、トナーと混同しにくくする為、不透明でトナーの色以外の認識しやすい色が付けられていることが好ましい。
【0034】
また、廃トナー収容袋7の表面には「廃トナー収容」、「再利用禁止」の文字が見やすい色で、大きく一面に印刷されている。トナー容器1内に未使用のトナー10が充填されている時は、廃トナー収容袋7は折りたたまれてトナー容器1の回収口側の側面から底にかけて収縮して収容されており、未使用のトナー10の収容を阻害しなで、且つ、廃トナー収容袋7とその表面に印刷されている、「廃トナー収容」、「再利用禁止」の文字は、未使用のトナー10に隠れ、トナー容器1の外部からは殆ど視認できない。
【0035】
また、廃トナー収容袋7は、接着部12と接着部13によってトナー容器1内部の側面と底に固定されている。これは、未使用のトナー10を供給する時に、廃トナー収容袋7が垂れ下がるなど移動して供給口2を塞ぐのを防止するためである。
【0036】
図2は、本発明のトナー容器を電子写真装置に装着した図である。右側に現像装置26があり、トナー容器1が逆さまに装着されており、未使用のトナー10を現像装置26の内部タンクに供給し終えたところである、空になったトナー容器1は、現像装置26から取り外して、供給口2に供給口キャップ4を取り付け、回収口6の回収口キャップ9を外して、廃トナー容器として再利用可能である。
【0037】
図2の左下には、廃トナー容器として電子写真装置に装着した状態が示されており、回収口6にクリーニング装置22の廃トナー排出パイプ23が差し込まれて、逆流防止弁14が押し広げられ、廃トナー排出パイプ23から排出された廃トナー11が廃トナー収容袋7内に溜まっている。
【0038】
この図2の電子写真装置の概略の動作は、この図にはない帯電装置とレーザー光線照射装置によって、感光ドラム16上に静電潜像17が作られる。この静電潜像17は現像装置26によって感光ドラム16上にトナー像18として現像され、その後、トナー像18は用紙19に転写装置20の静電力で転写される。
【0039】
しかし、この時、感光ドラム16上のトナー像が全て用紙19に転写されずに、感光ドラム16上に未転写トナー21が残ってしまう。この未転写トナー21は次の作画プロセスでは邪魔になるため、クリーニング装置22のクリーニングブレード24によって感光ドラム16から除去され、クリーニング装置22の廃トナー排出パイプ23から、廃トナー容器内の廃トナー収容袋7に排出される。廃トナー容器が満杯になった場合、重量センサー等で検知し、ユーザーに告知して、ユーザーが空のトナー容器と交換する。
【0040】
図3は、廃トナー収容袋7が満杯となったトナー容器の一部切欠き断面を示している。廃トナー収容袋7は、クリーニング装置22の廃トナー排出パイプ23から排出される廃トナーの増加によって、徐々に膨らんでいく。廃トナー収容袋7が膨らむことにより、その表面に印刷された、「廃トナー収容」、「再利用禁止」の文字が、トナー容器の外部から視認できるようになり、また、廃トナー収容袋7自体がトナーとは異なる色で着色されている為、ユーザーが廃トナーが収容されたトナー容器であると容易に判断することが出来る。
【0041】
本実施形態では、廃トナーを収容していることを示す「廃トナー収容」、「再利用禁止」、の文字が廃トナー収容袋7に印刷されているが、マニュアルなどでユーザーに意味を告知すれば、廃トナーを収容していることを示す着色、記号、絵などであっても良い。廃トナー収容袋7が膨らむことによって、トナー容器1内部の空気は供給口2に装着された供給口キャップ4の空気抜き穴5からトナー容器1の外部に抜けて、廃トナー収容袋7が膨らむのを阻害しない構造となっている。
【0042】
逆流防止弁14は、廃トナー排出パイプ23が抜かれると自動的に閉まり、回収口キャップ9を未装着の状態で、トナー容器1を逆さまにしても廃トナー収容袋7に収容された廃トナー11を外部に漏らさない構造となっている。
【0043】
満杯となり、電子写真装置から取り外されたトナー容器1は、回収口にねじ込み式の回収口キャップ9を取り付け廃棄されるか、リサイクルされるまで保管される。廃トナーが収容されているトナー容器1は、トナー容器外部から、廃トナー収容袋に表示されている「廃トナー収容」「再利用禁止」の文字や、トナーの色と異なる着色をされている廃トナー収容袋7の色が視認できるため、ユーザーが未使用のトナー容器と混同することはない。その上、廃トナー収容袋7内の廃トナー11は、供給口2とは空間的に隔離されており、万が一、ユーザーが廃トナー11が収容されたトナー容器を電子写真装置の現像装置26に誤って装着しても、供給口2から廃トナー11が供給される事はない。また、ユーザーが故意に回収口6から電子写真装置の現像装置26に廃トナー11を供給しようとしても、逆流防止弁14が開かず廃トナー11を供給することは出来ない。また、トナー容器の回収口6が供給口2よりも低い位置にある為、クリーニング装置22の廃トナー排出パイプ23から手製のパイプ状の部材を使って、排出される廃トナーをトナー容器の供給口2に戻すことは困難である。
【0044】
以上、本実施形態によれば、使用済みトナー容器を廃トナー容器として再利用しても、廃トナーが収容されたトナー容器の識別を容易にし、ユーザーの誤使用や故意による廃トナーの再使用を安価で簡単な構造で防止できるトナー容器を提供することが可能である。
【0045】
そして、透明又は半透明の素材からなり、少なくとも電子写真装置に未使用のトナーを供給する供給口と、電子写真装置が排出する使用済み廃トナーを受け入れる回収口と、回収口のみに開口部があり、回収口から受け入れた廃トナーを収容し、トナー容器の外側から見て視認できる着色、又は文字、又は記号、又は絵が表示された廃トナー収容袋と、前記回収口に、通常は閉じられているが、電子写真装置の廃トナー排出パイプを回収口に挿入された時に、容器内部側にのみ開く弁とを有し、空となったトナー容器を廃トナー容器として再利用可能なことを特徴とするトナー容器により、使用済みの空になったトナー容器を廃トナー容器として再利用しても、回収口から受け入れた廃トナーを、回収口にのみにつながっている廃トナー収容袋に収容することにより、収容された廃トナーが供給口とは空間的に隔離され、ユーザーが廃トナーを収容したトナー容器を、現像器に装着しても、容器の供給口から廃トナーが出てくる事がなく、誤って廃トナーを現像器に供給することを防止することができる。
【0046】
また、回収口に設けた廃トナーの排出を防ぐ逆流防止弁により、ユーザーが故意に廃トナーを回収口から現像器に供給することを防止することができる。
【0047】
更に、廃トナー収容袋に施された廃トナーを収容していることを意味する着色、又は文字、又は記号、又は絵は廃トナー容器としてトナー容器を使用した場合に、トナー容器の外部から視認でき、ユーザーがこのトナー容器が廃トナーを収容していることを判別することを可能にする。
【0048】
また、前記廃トナー収容袋は、フレキシブルな素材で出来ており、トナー容器に未使用のトナーを収容している時は、未使用のトナーの収容を阻害しないように折りたたまれて容積は小さくなっており、廃トナー収容袋に施されている着色、又は文字、又は記号、又は絵は、収容されている未使用のトナーによってトナー容器の外部から見えにくいように隠されて、廃トナー容器としてトナー容器を再利用した時に、未使用のトナーを収容していた空間と廃トナーを収容する空間をトナー容器内部で共用し、廃トナーの収容量の増大とあわせて廃トナー収容袋が膨らみ、廃トナー収容袋に施されている着色、又は文字、又は記号、又は絵がトナー容器の外側から視認可能なことを特徴とする。
【0049】
これにより、トナー収容袋の素材にフレキシブルな素材を使用し、未使用のトナーを収容している時は小さく折りたたむことと、未使用のトナーを収容していた空間と廃トナーを収容する空間を、トナー容器内部で共用する構造とすることで、トナー容器を省スペースにすることができる。
【0050】
また、トナー容器に未使用のトナーが収容されている場合、廃トナー収容袋に施されている、廃トナーを収容していることを意味する着色、又は文字、又は記号、又は絵は、収容されている未使用のトナーによってトナー容器の外部から見えにくいように隠されて、廃トナー容器としてトナー容器を再利用した時に、廃トナーの収容量の増大とあわせて廃トナー収容袋が膨らみ、廃トナー収容袋に施されている、廃トナーを収容していることを意味する着色、又は文字、又は記号、又は絵がトナー容器の外側から視認でき、ユーザーがトナー容器を見て、未使用のトナーを収容したトナー容器なのか、廃トナーを収容したトナー容器なのかを容易に判断出来ることを可能にする。
【0051】
また、廃トナー収容袋が、未使用のトナーを電子写真装置の現像装置に供給する時に、垂れ下がるなどして供給口を塞ぎ、未使用のトナーの供給を阻害するのを防止し、作業性を高める効果がある。
【0052】
また、トナー容器の供給口にシール材を設け、未使用のトナーをトナー容器内に密閉することにより、トナーの吸湿を防止し、供給口のシール材の上に装着される、ねじ込み式のキャップの空気抜き穴から未使用のトナーが漏れるのを防ぐことが出来、便利性を高める効果がある。
【0053】
また、ねじ込み式のキャップの空気抜き穴は、トナー容器を廃トナー容器として再利用した場合に、ねじ込み式のキャップを装着しておいても、トナー容器内の空気を、廃トナー収容袋の膨張に伴いトナー容器の外部に逃がし、廃トナー収容袋の膨張を阻害しないで、廃トナーの収容性を高める効果がある。
【0054】
また、キャップの内側の前記空気抜きのための穴に面した部分に設けたフィルターは、使用済みトナー容器を廃トナー容器として使用した時に、容器内部に残留した未使用のトナーが外部に漏れれるのを防ぐことが出来、便利性を高める効果がある。
【0055】
また、トナー容器を電子写真装置に廃トナー容器として装着した時に、トナー容器の供給口が廃トナーを受け入れる回収口よりも、高い場所に位置にする構造としている。これは、ユーザーが電子写真装置の廃トナー排出パイプと、トナー容器の供給口を手製のパイプ状の部材で容易に接続してしまい、廃トナーを再利用するのを防止する効果がある。
【符号の説明】
【0056】
1:トナー容器、2:供給口、3:シール材、4:供給口キャップ、5:空気抜き穴、6:回収口、7:廃トナー収容袋、8:リング、9:回収口キャップ、10:未使用のトナー、11:廃トナー、12:接着部、13:接着部、14:逆流防止弁、15:阻止部材、16:感光ドラム、17:静電潜像、18:トナー像、19:用紙、20:転写装置、21:未転写トナー、22:クリーニング装置、23:廃トナー排出パイプ、24:クリーニングブレード、25:フィルター、26:現像装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開平8−114976号公報
【特許文献2】特開2008−197595号公報
【特許文献3】特開2008−216898号公報
【特許文献4】特開2002−148924号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の素材からなり、少なくとも電子写真装置に未使用のトナーを供給する供給口と、電子写真装置が排出する使用済み廃トナーを受け入れる回収口と、回収口のみに開口部があり、回収口から受け入れた廃トナーを収容し、トナー容器の外側から見て視認できる着色、又は文字、又は記号、又は絵が表示された廃トナー収容袋と、前記回収口に、通常は閉じられているが、電子写真装置の廃トナー排出パイプを回収口に挿入された時に、容器内部側にのみ開く弁とを有し、空となったトナー容器を廃トナー容器として再利用可能なことを特徴とするトナー容器。
【請求項2】
前記廃トナー収容袋は、フレキシブルな素材で出来ており、トナー容器に未使用のトナーを収容している時は、未使用のトナーの収容を阻害しないように折りたたまれて容積は小さくなっており、廃トナー収容袋に施されている着色、又は文字、又は記号、又は絵は、収容されている未使用のトナーによってトナー容器の外部から見えにくいように隠されて、廃トナー容器としてトナー容器を再利用した時に、未使用のトナーを収容していた空間と廃トナーを収容する空間をトナー容器内部で共用し、廃トナーの収容量の増大とあわせて廃トナー収容袋が膨らみ、廃トナー収容袋に施されている着色、又は文字、又は記号、又は絵がトナー容器の外側から視認可能なことを特徴とする請求項1記載のトナー容器。
【請求項3】
前記廃トナー収容袋は、トナー容器の内側に、少なくとも1箇所以上固定され、未使用のトナーを電子写真装置に供給する時に、垂れ下がるなどして供給口を塞ぎ、未使用のトナーの供給を阻害しないことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー容器。
【請求項4】
前記トナー容器内部の供給口付近に、格子、網、梁等の構造物を設けたことを特徴とする請求項1及至3の何れか1項に記載のトナー容器。
【請求項5】
前記トナー容器の供給口にシール材を設け、未使用のトナーをトナー容器内に密閉するとともに、供給口に設けられた前記シール材の上からねじ込み式のキャップを装着する構造とし、前記キャップには空気抜きのための穴を設けたことを特徴とする請求項1及至4の何れか1項に記載のトナー容器。
【請求項6】
前記供給口に設けられたキャップの内側の前記空気抜きのための穴に面した部分にフィルターを設けたことを特徴とする請求項5に記載のトナー容器。
【請求項7】
電子写真装置に廃トナー容器として装着する時に、トナー容器の供給口が廃トナーを受け入れる回収口よりも高い場所に位置関係となるように前記供給口と回収口とが配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のトナー容器。
【請求項8】
請求項1及至7の何れか1項に記載のトナー容器によりトナーを供給される現像装置を備えることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−181705(P2010−181705A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26024(P2009−26024)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】