説明

トラクタ

【課題】ブレーキペダルの踏み込みに連動してPTOクラッチをオン・オフする構造において、路上走行中にはブレーキペダルを操作してもPTOクラッチが不測にオンされないようにする。
【解決手段】左右ブレーキペダル140a,140bとPTOクラッチを連係したトラクタにおいて、PTOクラッチの手動入切と自動入切を切換える自動切換手段と、右ブレーキペダル140a及び左ブレーキペダル140bの一体化を検出するブレーキ連結検出手段を設け、前記自動切換手段を自動に切換えかつブレーキ連結検出手段が右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの一体化を検出した場合に、左右ブレーキペダル140a,140bでPTOクラッチのオン・オフ制御を可能に構成したトラクタとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業機械であるトラクタに関する。特に、エンジンからPTO軸への動力伝動経路に介在したPTOクラッチを走行停止操作用のブレーキペダルに連係して、ブレーキペダルだけでPTOクラッチのオン・オフを行えるようにして操縦操作を楽に行えるようにしたトラクタのPTO駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタにおいて、ブレーキペダルの踏み込み操作に連動してPTO軸のクラッチを断続する技術は、特開2008−137436号公報に記載されている。
この従来技術は、PTO軸への伝動経路に介在したPTOクラッチと走行変速用の制御手段とを走行停止操作用のブレーキペダルに連係し、ブレーキペダルの踏み込み量増大に連れて走行速度を減速するよう前記制御手段を作動させ、ブレーキペダルを踏み込み解除された復帰位置から所定量踏み込み操作することに連動して走行停止状態をもたらし、ブレーキペダルを走行停止状態の踏み込み位置から更に所定量踏み込み操作することに連動して前記PTOクラッチを切り状態にするよう構成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−137436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のブレーキペダルとPTOクラッチの連係は、耕耘作業において有効であるが、路上走行中にブレーキペダルを操作すると、PTOクラッチが入りとなって作業機が駆動され近くの作業者を危険な状態にしたり作業機で路面を傷つけたりすることになる。
【0005】
本発明では、このような点に着目してなされたものであって、ブレーキペダルの踏み込みに連動してPTOクラッチをオン・オフする構造において、路上走行中にはブレーキペダルを操作しても、PTOクラッチが不測にオンされないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、左右ブレーキペダル140a,140bとPTOクラッチ18を連係したトラクタにおいて、PTOクラッチ18の手動入切と自動入切を切換える自動切換手段118と、右ブレーキペダル140a及び左ブレーキペダル140bの一体化を検出するブレーキ連結検出手段102を設け、前記自動切換手段118を自動に切換えかつブレーキ連結検出手段102が右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの一体化を検出した場合に、左右ブレーキペダル140a,140bでPTOクラッチ18のオン・オフ制御を可能に構成したことを特徴とするトラクタとする。
【0007】
自動切換手段118を自動にすると、左右ブレーキペダル140a,140bの操作でPTOクラッチ18のオン・オフができる。また、自動切換手段118を手動にすると、 運転者の操作でPTOクラッチ18がオン・オフされる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記自動切換手段118を自動にした場合に、左右ブレーキペダル140a,140bの踏込みで左右ブレーキを利かせると共にPTOクラッチ18をオフし、左右ブレーキペダル140a,140bの踏み込み解除に連動してPTOクラッチ18をオン動作して左右ブレーキを解除することを特徴とする請求項1に記載のトラクタとする。
【0009】
この構成で、自動切換手段118を自動にすると、ブレーキペダル140a,140bの踏込み解除でPTOクラッチ18がオンになってPTO軸が駆動され、作業走行が可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記左右ブレーキペダル140a,140bの踏込み程度を検出して、左右ブレーキペダル140a,140bの踏み込み解除する場合、最大踏込み位置手前でPTOクラッチ18をオンし、この最大踏込み位置手前より踏み込み解除側へ戻すことで左右ブレーキを解除することを特徴とする請求項2に記載のトラクタとする。
【0011】
この構成で、機体の移動をブレーキで防ぎながら作業機を駆動して作業を開始することが出来る。
請求項4に記載の発明は、前記左右ブレーキペダル140a,140bの踏み込みで、ブレーキ制動とPTOクラッチ18のオフを略同時に行うことを特徴とする請求項2に記載のトラクタとする。
【0012】
この構成で、作業中に左右ブレーキペダル140a,140bを踏んで走行を停止すると、作業機の駆動停止が略同時に行われる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項4に記載の構成で、路上走行中は自動切換手段を手動にすることで、PTOクラッチが不測に入って作業機が駆動されることが無く、安全に走行できる。また、圃場内で作業走行中は自動切換手段を自動にすることで、左右ブレーキペダルの操作でPTOクラッチのオン・オフが可能となり、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】ミッションケースの伝動線図である。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】ブレーキペダルの側面図、ブレーキペダルの操作範囲と制御図である。
【図5】ブレーキペダルの動作タイムチャート図である。
【図6】H−Lクラッチと主変速の組み合わせ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に示す実施例に基づいて、本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の実施例として示すトラクタの全体側面図で、機体前部のボンネット1内に搭載したディゼルエンジン2の動力をミッションケース3内で適宜に変速して前輪軸4と後輪軸5に伝動して前輪6と後輪7の両方或は後輪7のみを駆動し、機体上に設ける座席10に座った作業者が中央に立設するステアリングハンドル8を操作して前輪6を操向しながら走行する。機体の後方へ突出するヒッチ9には、ロータリ耕運機などの作業機12を装着し、ミッションケース3から後方へ向かって突出するPTO軸11で作業機12を駆動する。
【0016】
操縦席10の前側に立設するステアリングハンドル8の左側に前後進レバー141を設け、右側に主変速レバー143を設け、操縦席10の左側部に副変速レバー144とPTO軸11の変速を行うPTO変速レバー145を配置している。
【0017】
ステアリングハンドル8の下側床面近くには、左右の前後輪6,7をそれぞれ制動する右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bを設け、その右側にエンジン2の回転を制御するアクセルペダル142を設けている。
【0018】
なお、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bはそれぞれ踏み込みで左右のブレーキを制動するが、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bを連結して一体的ブレーキペダルとして使用する場合もある。
【0019】
なお、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bを一体化した状態での制御状態は、後で詳しく説明する。
ステアリングハンドル8の前側には、走行速度と変速段を表示するメータパネル95(図3)や作業機の使用状況等を表示する操作パネル96(図3)を配置したフロントパネル146を設けている。
【0020】
図2は、ミッションケース3の動力伝動線図で、エンジン2の出力軸13に固着の出力ギヤ14が第一走行軸17に固着の走行第一ギヤ15とPTOクラッチ18のPTO第一ギヤ16に噛み合って動力を伝動する。出力ギヤ14の回転速度がエンジン回転センサ78で検出される。
【0021】
まず、第一走行軸17の回転が第二ギヤ19と第三ギヤ20で第二走行軸23の第一H−Lクラッチ21と第三走行軸24の第二H−Lクラッチ22に分配して伝動される。第二走行軸23の回転が主変速(1−3)クラッチ25を介して1速と3速に変速され第四走行軸27に伝動され、第三走行軸24の回転が主変速(2−4)クラッチ26を介して2速と4速に変速され第四走行軸27に伝動される。これらの第一H−Lクラッチ21と第二H−Lクラッチ22と主変速(1−3)クラッチ25と主変速(2−4)クラッチ26の変速を主変速レバー143の動きを検出して自動的に第一H−Lクラッチ21或いは第二H−Lクラッチ22を切った状態で主変速(1−3)クラッチ25或いは主変速(2−4)クラッチ26をシフトして行う。
【0022】
即ち、第一H−Lクラッチ21と主変速(1−3)クラッチ25の組み合わせで4段変速となり、第二H−Lクラッチ22と主変速(2−4)クラッチ26の組み合わせで4段変速となる。
【0023】
この変速制御で、主変速(1−3)クラッチ25或いは主変速(2−4)クラッチ26をシフトする途中のニュートラル時に第一H−Lクラッチ21或いは第二H−Lクラッチ22を一度接続して切る回転合わせのダブルクラッチ動作をするようにすると変速ショックを少なく出来る。
【0024】
第四走行軸27に固着の第四ギヤ28がF−Rクラッチ29の第五ギヤ30に噛み合って正回転で伝動され、同第四走行軸27に固着の第六ギヤ31が第一アイドルギヤ32を介してF−Rクラッチ29の第七ギヤ33に噛み合って逆回転が伝動される。F−Rクラッチ29は、前後進レバー141で操作される。
【0025】
F−Rクラッチ29で伝動される第五走行軸34の回転が第一副変速クラッチ35と第二副変速クラッチ36で四段に変速して第六走行軸37に伝動される。第一副変速クラッチ35に出力するクラッチ出力ギヤ80の回転速度がリバースクラッチ出力回転センサ79で検出される。第一副変速クラッチ35と第二副変速クラッチ36が副変速レバー144で操作される。
【0026】
ここまでで、第一走行軸17の回転が正回転と逆回転で2×4×4=32によって、32段に変速されて第六走行軸37に伝動されることになる。
前述した、第一H−Lクラッチ21,第二H−Lクラッチ22,主変速(1−3)クラッチ25,主変速(2−4)クラッチ26、及びF−Rクラッチ29の組み合わせを図6に示している。
【0027】
例えば、前進1速の場合は、F−Rクラッチ29を前進(F)側にして、第一H−Lクラッチ21のL(ロー)側を選択し、主変速(1−3)クラッチ25の1速を選択すると、前進1速となる。これらの組み合わせは、前進1速から前進8速、後進1速から後進8速である。そして、前述したように、副変速については、第一副変速クラッチ35と第二副変速クラッチ36で4段変速となっているので、この副変速と組み合わせると、前進32段、後進32段となる。
【0028】
第六走行軸37に固着の第一ベベルギヤ38がデフケース39の第二ベベルギヤ40に噛み合い、デフ軸41に固着の第八ギヤ42が後輪軸5に固着の第九ギヤ43に噛み合って、後輪7を駆動するようになる。
【0029】
前輪6への伝動は、次のように行われる。
第六走行軸37に固着の第十ギヤ44が第十一ギヤ45と第十二ギヤ46を介して増速クラッチ47の第十三ギヤ48に伝動される。増速クラッチ47ではアイドル軸50のギヤとの噛み合わせで、等速・増速・切に変速され、第一前走行軸49の回転が前延長軸51,52を介して第二前走行軸53に伝動され、第二前走行軸53の第一前べベルギヤ54から前デフケース55の第二前ベベルギヤ56に伝動され、前デフ軸57から前縦軸58を介して前輪軸4に伝動されて前輪6が駆動される。
【0030】
PTO軸11の駆動は、次のように行われる。
前記PTOクラッチ18のPTO第一ギヤ16に伝動された回転がクラッチを入れると、第一PTO軸60に伝動され、変速部74で四段と逆転に変速され、第二PTO軸70へ伝動される。すなわち第一PTOギヤ61からPTO第一アイドルギヤ67を経てPTOアイドル軸72の第二PTOギヤ65に伝動する変速が逆転で、第一PTOギヤ61から直接第二PTOギヤ65に伝動する変速が二速で、第三PTOギヤ62から第四PTOギヤ66に伝動する変速が四速で、第五PTOギヤ63から第六PTOギヤ68に伝動する変速が一速で、第七PTOギヤ64から第八PTOギヤ69に伝動する変速が三速である。これらの変速操作をPTO変速レバー145で行う。
【0031】
そして、変速されたPTOアイドル軸72の回転が第九PTOギヤ75から第十PTOギヤ76に伝動されて第二PTO軸70が回転する。第二PTO軸70の回転が第十一PTOギヤ71から第十二PTOギヤ72でPTO軸11に伝動される。
【0032】
次に、図9の制御ブロック図で、制御信号の流れを説明する。
作業機昇降コントローラ81には、作業機昇降レバーに設けるポジションセンサ82の操作信号とリフトアームセンサ83の昇降信号と上げ位置規制ダイアル84の上げ位置規制信号と下げ速度ダイアル85の降下速度設定信号がそれぞれ入力し、メイン上昇ソレノイド86とメイン下降ソレノイド87に作業機昇降信号が出力し作業機昇降シリンダ88を作動する。
【0033】
また、左右角速度センサ89から作業機12の左右角速度とストロークセンサ90から、作業機水平シリンダ92のストロークと傾斜センサ91から作業機12の左右傾きが作業機昇降コントローラ81に入力し、この作業機昇降コントローラ81から水平比例伸びソレノイド93と水平比例縮みソレノイド94に水平制御信号が出力して作業機水平シリンダ92を作動する。
【0034】
この作業機昇降コントローラ81と後述する走行系コントローラ100は制御信号が交信されて、メータパネル95に作業機の昇降状態や走行装置の走行速度等が表示され、操作パネル96に各レバーやペダルの操作位置等が表示される。
【0035】
走行系コントローラ100に入力する制御信号は、ブレーキ操作検出センサ101からブレーキペダルの踏み込みを検出する信号が入力し、ブレーキ連結検出センサ102から左右ブレーキペダルの連結信号が入力し、前記エンジン回転センサ78から出力軸13の回転速度が入力し、前記リバースクラッチ出力回転センサ79から第五走行軸34の回転速度が入力する。
【0036】
また、油温センサ103からミッションオイルの温度が入力し、調整モードスイッチ104から調整モードのオン・オフ信号が入力し、主変速(1−3)位置センサ105から主変速(1−3)クラッチ25の切換位置信号が入力し、主変速(2−4)位置センサ106から主変速(2−4)クラッチ26の切換位置信号が入力し、F−Rクラッチ圧力スイッチ(F)107とF−Rクラッチ圧力スイッチ(R)108からF−Rクラッチ29の切換位置信号が入力する。
【0037】
また、H−L(1)クラッチ圧力スイッチ(L)109とH−L(1)クラッチ圧力スイッチ(H)110から第一H−Lクラッチ21の切換位置信号が入力し、H−L(2)クラッチ圧力スイッチ(L)111とH−L(2)クラッチ圧力スイッチ(H)112から第二H−Lクラッチ22の切換位置信号が入力する。
【0038】
また、クラッチペダルセンサ113からクラッチペダルの踏込み信号が入力し、主変速レバー位置センサ114から主変速レバーの変速位置が入力し、副変速位置センサ115から副変速レバーの変速位置が入力し、前後進レバー位置センサ116から前後進レバーの変速位置が入力する。
【0039】
さらに、PTO回転センサ117からPTO軸11の回転速度が入力し、PTO自動・手動切換スイッチ118から切換信号が入力し、走行・作業切換スイッチ119の切換信号が入力し、前後傾斜センサ120から車体の前後傾斜角が入力し、PTO入・切スイッチ121からPTOクラッチ18の入・切信号が入力する。
【0040】
走行系コントローラ100から出力する制御信号は、F−Rクラッチ29の油圧バルブを駆動する前後進切換sol(F)122と前後進切換sol(R)123へ切換信号を出力し、前後進昇圧sol124に昇圧信号を出力し、主変速切換sol(1)125と主変速切換sol(2)126と主変速切換sol(3)127と主変速切換sol(4)128に切換信号を出力し、第一H−Lクラッチ21の油圧バルブを駆動するH−L(1)切換sol(Lo)129とH−L(1)切換sol(Hi)130に切換信号を出力し、第二H−Lクラッチ22の油圧バルブを駆動するH−L(2)切換sol(Lo)131とH−L(2)切換sol(Hi)132に切換信号を出力する。
【0041】
さらに、増速クラッチ47の油圧バルブを駆動する4WDsol133と前輪増速sol134に切換信号を出力し、右ブレーキの油圧バルブを駆動するブレーキ右sol135と左ブレーキの油圧バルブを駆動するブレーキ左sol136に作動信号を出力し、PTOクラッチ18の油圧バルブを駆動するPTOクラッチsol137にオン・オフ信号を出力する。
【0042】
図4は、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bを連結具147で一体的に連結した場合の制御を示し、連結具147で連結したことを検出しブレーキ操作検出センサ101で右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの踏込み角度を検出する。
【0043】
そして、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bを連結しPTO自動・手動切換スイッチ118を自動にした条件で、軽く踏み込んだ位置B1でF−Rクラッチ29をオフにして走行駆動を断つと共に、PTOクラッチ18をオフしてPTO軸11の駆動を断ち、最後まで踏み込んだ位置B3で左右のブレーキを共に効かせて走行を停止する。
【0044】
右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの踏込みを少し戻した位置B2は、最後まで踏み込んだ位置B3から踏み込みを緩めて戻す際にPTOクラッチ18がオンしてPTO軸11の駆動が開始される位置で、左右のブレーキがまだ効いた状態で、作業機12駆動されても機体の走行が開始されなく、さらに踏み込みを緩めることで左右ブレーキを解除し、F−Rクラッチ29をオンして走行可能にする。
【0045】
また、PTOクラッチ18をオンして接続する場合には、クラッチ圧を徐々に高めるようにするか軽く踏み込んだ位置B1と踏込みを少し戻した位置B2の間でペダル位置に応じたクラッチ圧にすることで、動力伝動の調整が楽に行える。また、軽く踏込みを少し戻した位置B2から右ブレーキペダル140aと完全に戻した位置B4でPTOクラッチ18をペダル位置に応じたクラッチ圧で接続するようにしても良い。さらに、軽く踏込みを少し戻した位置B2から完全に戻した位置B4で圧力を徐々に高める自動昇圧制御ラインを設け、この自動昇圧制御ラインの圧とペダル位置に応じたクラッチ圧を比較し、低い方の圧で制御するようにして変速ショックを少なくするようにしても良い。
【0046】
また、踏込みを少し戻した位置B2から完全に戻した位置B4の間で、走行駆動のオン・オフを行うF−Rクラッチ29の昇圧を徐々に高める自動昇圧制御ラインを設け、この自動昇圧制御ラインの圧とペダル位置に応じたクラッチ圧を比較し、低い方の圧で制御するようにするのも良い。
【0047】
また、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの踏込みで一旦PTOクラッチ18をオフにすると踏み込みを戻してもPTOクラッチ18がオンになることが無く、完全に踏み込んで走行を停止した後に右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの踏込みを戻すことで、PTOクラッチ18をオン出来るようにする。
【0048】
また、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの踏込みを少し戻した位置B2を越えてPTOクラッチ18をオンした場合は、軽く踏み込んだ位置B1を越えて戻すか再度最後まで踏み込んだ位置B3にしないとPTOクラッチ18をオフに出来ないようにする。
【0049】
なお、PTO自動・手動切換スイッチ118を手動にしていると、例え右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bを連結していても、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bの踏込みではPTOクラッチ18をオフにしなく、踏込み解除でPTOクラッチ18をオンにしない。
【0050】
図5は、右ブレーキペダル140aと左ブレーキペダル140bによる自動制御時の出力タイムチャートで、PTOクラッチ18とF−Rクラッチ29の出力が制御される。
以上の左右ブレーキの作動を自動制御するシステムで、一旦停止後に、第一H−Lクラッチ21と第二H−Lクラッチ22のどちらかがニュートラル状態で、前輪軸4或いは後輪軸5の回転を検出すると、左右ブレーキを制動状態にすることで、ブレーキのかけ忘れによる走行を防ぐことが出来る。
【符号の説明】
【0051】
18 PTOクラッチ
102 ブレーキ連結検出手段(ブレーキ連結検出センサ)
118 PTOクラッチの手動入切と自動入切を切換える自動切換手段
140a 右ブレーキペダル
140b 左ブレーキペダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右ブレーキペダル(140a),(140b)とPTOクラッチ(18)を連係したトラクタにおいて、PTOクラッチ(18)の手動入切と自動入切を切換える自動切換手段(118)と、右ブレーキペダル(140a)及び左ブレーキペダル(140b)の一体化を検出するブレーキ連結検出手段(102)を設け、前記自動切換手段(118)を自動に切換えかつブレーキ連結検出手段(102)が右ブレーキペダル(140a)と左ブレーキペダル(140b)の一体化を検出した場合に、左右ブレーキペダル(140a),(140b)でPTOクラッチ(18)のオン・オフ制御を可能に構成したことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
前記自動切換手段(118)を自動にした場合に、左右ブレーキペダル(140a),(140b)の踏込みで左右ブレーキを利かせると共にPTOクラッチ(18)をオフし、左右ブレーキペダル(140a),(140b)の踏み込み解除に連動してPTOクラッチ(18)をオン動作して左右ブレーキを解除することを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
【請求項3】
前記左右ブレーキペダル(140a),(140b)の踏込み程度を検出して、左右ブレーキペダル(140a),(140b)の踏み込み解除する場合、最大踏込み位置手前でPTOクラッチ(18)をオンし、この最大踏込み位置手前より踏み込み解除側へ戻すことで左右ブレーキを解除することを特徴とする請求項2に記載のトラクタ。
【請求項4】
前記左右ブレーキペダル(140a),(140b)の踏み込みで、ブレーキ制動とPTOクラッチ(18)のオフを略同時に行うことを特徴とする請求項2に記載のトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176711(P2012−176711A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41464(P2011−41464)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】