説明

トラフィックグルーミングのための方法、装置、およびシステム

【課題】通信ネットワークにおいてトラフィックグルーミングをより効果的に利用する。
【解決手段】IPレイヤ、下位レイヤ、および波長レイヤを有する複数のネットワーク装置を含むネットワークについて、ネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成する。ネットワークについての要求に対して、使用可能な帯域が要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを補助グラフから削除し、補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、要求のためのパスを見つけ出し、パスに沿って補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除し、パスに対応する下位レイヤ光パスのために補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加し、変換条件が満たされているときに下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに係わり、トラフィックグルーミングのための方法、装置、およびシステムに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークは、ネットワークを介してパケットをルーティングするネットワーク装置を含む。また、通信ネットワークは、ネットワークトラフィックを様々なネットワーク装置へルーティングまたは転送する多数のルータを含むIP(Internet Protocol)バックボーンを有することがある。ネットワーク装置がネットワーク内でまばらに接続されて、直接的なIPの隣接関係を有していないネットワーク装置間でトラフィックの有効部分が通信されることがある。この場合、トラフィックは、1または複数のIPルータを通過しなければならない。ところが、ルータのポートは、特に、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)またはそれに類似の光通信技術を利用するネットワークにおいて、しばしば、ネットワークを構築および維持するためのコストとして、最も「高価」なポートと考えられている。
【0003】
トラフィックグルーミングは、多数の小さな通信フローを、1つのエンティティとして処理可能な大きなユニットにグループ化する処理である。例えば、WDMを利用するネットワークにおいて、同じノードを宛先とする2つのネットワークフローを同じ波長に載せて伝送し、ある光分岐挿入装置(OADM:Optical Add-Drop Multiplexer)においてそれら2つのネットワークフローを一括して分岐することができる。なお、トラフィックグルーミングの目的は、しばしば、ネットワークのコストを抑制または最小化することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A Novel Generic Graph Model for Traffic Grooming in Heterogeneous WDM Mesh Networks, HongyueZhu et al., IEEE/ACM Transaction on Networking, Vol.11, No.2, April 2003, pp285-299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信ネットワークを実装するコストを削減するためにトラフィックグルーミングが利用されることがあるが、従来技術においては、ネットワークの複数の通信レイヤにトラフィックグルーミングが適用されてはいなかった。このため、従来技術では、トラフィックグルーミングの効果が限られていた。
【0006】
本発明の課題は、通信ネットワークにおいてトラフィックグルーミングをより効果的に利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様のトラフィックグルーミング方法においては、IPレイヤ、下位レイヤ、および波長レイヤを有する複数のネットワーク装置を含むネットワークについて、ネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成する。そして、前記ネットワークについての要求に対して、使用可能な帯域が前記要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除し、前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記要求のためのパスを見つけ出し、前記パスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除し、前記パスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加し、変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する。
【発明の効果】
【0008】
上述の態様によれば、通信ネットワークにおいてトラフィックグルーミングをより効果的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る通信ネットワークの一例のブロック図である。
【図2】実施形態に係るネットワーク装置の一例のコンポーネントおよびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るマルチレイヤグルーミング方法の一例を示すフローチャートである。
【図4A】実施形態に係るネットワークの一例のコンポーネントおよびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図(その1)である。
【図4B】実施形態に係るネットワークの一例のコンポーネントおよびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図(その2)である。
【図4C】実施形態に係るネットワークの一例のコンポーネントおよびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図(その3)である。
【図4D】実施形態に係るネットワークの一例のコンポーネントおよびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図(その4)である。
【図4E】実施形態に係るネットワークの一例のコンポーネントおよびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図1〜図4Eを参照しながら説明する。なお、同一または類似の要素には、同じ符号を付して説明する。
図1は、実施形態に係るネットワークの一例(以下、ネットワーク10)のブロック図である。この実施形態では、ネットワーク10は、例えば、イーサネット(登録商標)網である。また、ネットワーク10は、ネットワーク10のコンポーネントによって通信が行われる、1または複数の信号を伝送可能な、1または複数の伝送媒体12を含むようにしてもよい。さらに、コンポーネント間が伝送媒体12によって結合されているネットワーク10は、複数のネットワーク装置(Network Element)102を含むようにしてもよい。図1に示すネットワーク10においては、各ネットワーク装置102は、それぞれ4つのノード(すなわち、他の4つのネットワーク装置102)に結合されている。ただし、ネットワーク10は、任意の好ましい数のネットワーク装置102を有する、任意の好ましい構成で構築することができる。また、図1では、ネットワーク10はメッシュネットワークとして記載されているが、ネットワーク10は、リングネットワーク、ポイント・ツー・ポイントネットワーク、または他の好適な構成、或いはそれらの組合せであってもよい。さらに、ネットワーク10は、短距離メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、長距離都市間ネットワーク、または他の好適なネットワーク、或いはそれらの組合せであってもよい。
【0011】
伝送媒体12は、ネットワーク装置102が通信可能に結合して対応するネットワーク装置102との間で情報をやり取りするように構成された、様々なシステム、デバイス、および/または装置を含むようにしてもよい。例えば、伝送媒体12は、光ファイバ、イーサネットケーブル、T1ケーブル、WiFi信号、ブルートゥース信号、或いは他の好適な媒体を含むようにしてもよい。
【0012】
ネットワーク10は、伝送媒体12を介して情報、すなわち「トラフィック」を通信する。この明細書において「トラフィック」は、ネットワーク10において伝送、格納、または整理された情報を意味する。トラフィックは、音声データ、画像データ、テキストデータ、および/または他の好適なデータをコード化した光信号および/または電気信号を含むようにしてもよい。トラフィックとして伝送されるデータは、リアルタイムデータでもよいし、非リアルタイムデータでもよい。トラフィックは、特に限定されるものではないが、OSI(Open System Interconnection)及びIP(Internet Protocol)などを含む任意の好適な通信プロトコルで通信されるようにしてもよい。さらに、ネットワーク10において通信されるトラフィックは、特に限定されるものではないが、例えば、フレーム、パケットなどの形式で伝送してもよいし、形式化されないビットストリームで伝送してもよい。
【0013】
ネットワーク10に設けられている各ネットワーク装置102は、トラフィックを送信および受信することができる任意の好適なシステムを有する。図1示す実施形態では、各ネットワーク装置102は、1または複数の他のネットワーク装置102に直接的にトラフィックを送信し、1または複数の他のネットワーク装置102から直接的にトラフィックを受信することができる。
【0014】
なお、明細書の開示の範囲内で、ネットワーク10に対して変形、追加、除去を行ってもよい。ネットワーク10のコンポーネントおよび要素は、必要に応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。さらに、ネットワーク10の動作は、より多くのコンポーネント、より少ないコンポーネント、或いは他のコンポーネントにより行われてもよい。
【0015】
図2は、ネットワーク装置102のコンポーネントおよびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図である。なお、ネットワーク装置102は、図2に示すコンポーネント以外のコンポーネントを有していてもよい。
【0016】
ネットワーク装置102は、上述したように、1または複数の伝送媒体12を介して、1または複数の他のネットワーク装置102と結合することができる。すなわち、ネットワーク装置102は、1または複数の他のネットワーク装置102からデータを受信し、1または複数の他のネットワーク装置102へデータを送信するように構成されている。一例においては、ネットワーク装置102は、受信したデータを、当該ネットワーク装置102に結合されている他の装置(すなわち、他のネットワーク装置102)へ転送するように構成されたスイッチを有している。
【0017】
図2に示すように、ネットワーク装置102は、IPレイヤアクセスモジュール104(104a、104b)、下位レイヤアクセスモジュール106(106a、106b)、およびポート110を有する。IPレイヤアクセスモジュール104は、ネットワークトラフィック(例えば、IPパケット)をルーティングおよび/または転送するように構成された任意のシステム、デバイス、または装置を含む。さらに、図2に示すように、ネットワーク装置102は、当該ネットワーク装置102が受信したネットワークトラフィックのための入力IPレイヤアクセスモジュール104a、および当該ネットワーク装置102が送信するトラフィックのための出力IPレイヤアクセスモジュール104bを有する。
【0018】
下位レイヤアクセスモジュール106は、トラフィックの転送、多重化、切り替え、管理、および/または監視を行うように構成された、任意のシステム、デバイス、または装置を含む。また、下位レイヤアクセスモジュール106は、任意の好適な標準規格またはプロトコルを実行することができる。例えば、下位レイヤアクセスモジュール106は、ITUのG.709で規定されているOTN(Optical Transport Network)を実行してもよい。他の実施例としては、下位レイヤアクセスモジュール106は、MPLS−TP(Multiprotocol Label Switching Transport Profile)を実行してもよい。さらに、ネットワーク装置102は、図2に示すように、当該ネットワーク装置102が受信したネットワークトラフィックのための入力下位レイヤアクセスモジュール106a、および当該ネットワーク装置102が送信するトラフィックのための出力下位レイヤアクセスモジュール106bを有する。
【0019】
各ポート110は、伝送媒体12と当該ネットワーク装置102との間の物理インタフェースとして動作するように構成された、任意のシステム、デバイス、または装置を含む。例えば、ポート110は、光ポートである。図2に示すように、IPレイヤアクセスモジュール104に対して1組のポート(入力および出力)110が対応付けられている。それらのポート110は、隣接するネットワーク装置102のIPレイヤアクセスモジュール104との間に光パスを提供する。同様に、下位レイヤアクセスモジュール106に対して1組のポート(入力および出力)110が対応付けられている。それらのポート110は、隣接するネットワーク装置102の下位レイヤアクセスモジュール106との間に光パスを提供する。
【0020】
他のポート110は、様々な波長、すなわちWDM信号のチャネル(図2では、波長0〜波長n)に対応付けられている。WDMは、異なる波長のレーザ光を利用することにより、複数の光キャリア信号を1本の光ファイバ中に多重化して異なる信号を伝送する技術である。これにより、1本のファイバの容量を何倍にもできる。なお、WDMの波長に対応付けられているポート110は、ネットワーク装置102のための波長レイヤの一部と考えることができる。
【0021】
ネットワーク装置102の様々なコンポーネント(すなわち、IPレイヤアクセスモジュール104、下位レイヤアクセスモジュール106、ポート110)は、任意の好適な方法で、互いに通信可能に結合している。ネットワーク装置102内での通信可能な結合の例は、図2では、エッジ112で表されている。エッジ112は、ネットワーク装置102のコンポーネント間の接続関係およびエッジを介して流れるトラフィックの向きを表す、補助グラフの有向エッジを構成する。
【0022】
図3は、実施形態に係るマルチレイヤグルーミング方法の一例(以下、マルチレイヤグルーミング方法300、または、単に、方法300)を示すフローチャートである。図4A〜図4Eは、マルチレイヤグルーミング方法300が適用されるネットワークの一例のコンポーネント、およびコンポーネント間の補助グラフを示すブロック図である。
【0023】
なお、図3に示す例では、方法300は、ステップ302から開始される。但し、方法300の開始および各ステップの実行順序は、図3に示す例に限定されるものではない。また、本明細書の開示による教示は、様々なネットワーク構成に適用または実装することができる。そして、方法300の開始および各ステップの実行順序は、選択した実装の形態またはネットワーク構成に依存する。
【0024】
ステップ302において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、複数のネットワーク装置102を含むネットワークの帯域要求を、必要な帯域の下り順でソートする。すなわち、与えられた帯域要求は、下り順にソートされる。
【0025】
ステップ304において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、ネットワークの補助グラフを作成する。ステップ304で作成される補助グラフは、図4Aに表されている。図4Aにおいては、図面を見やすく簡潔にするために、ネットワーク装置102a、102bを有するネットワーク400が描かれている。図4Aに示すように、ネットワーク400の補助グラフは、各ネットワーク装置(例えば、図2に示す)102の個々の補助グラフを含む。補助グラフは、一方のネットワーク装置102の波長レイヤの様々な波長のための出力ポート110と、他方のネットワーク装置102の対応する入力ポート110とを結合する有向エッジ112を含む。
【0026】
ステップ306において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、ネットワーク構成の目的に基づいて、補助グラフの各エッジ112にウエイトを割り当てる。例えば、ネットワーク構成の目的が、必要なトランスポンダ/光パスの数を最小化することであるものとする。この場合、大きなウエイト(高いコストに相当する)は、図4Bにおいて「X」で表記されているエッジ112に割り当てられる。別の実施例として、ネットワーク構成の目的が、IPポート、トランスポンダ、信号再生器のコストを最小化することであるものとする。この場合、大きなウエイトは、図4Bにおいて「X」または「Y」で表記されているエッジ112に割り当てられる。
【0027】
ステップ308において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、ステップ302で行われた帯域要求のソートに基づいて、残っている帯域要求の中で最も高い帯域要求を選択する。
【0028】
ステップ310において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、選択した帯域要求について、使用可能な帯域がその帯域要求において必要とされる帯域よりも低いすべてのエッジ112を、対象としているネットワークの補助グラフから削除する。
【0029】
ステップ312において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、対象としているネットワークの補助グラフ上でパスを見つけ出す。図4Cにおいては、パス402が検出されている。一例としては、そのようなパスは、最短パスルーティング方式(shortest path routing)で得られる。
【0030】
ステップ314において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、ステップ312で得られたパスに沿って、補助グラフの波長レイヤからエッジ112を削除する。例えば、図4Dに示す例では、波長レイヤの波長0に対応するエッジ112が削除されている。
【0031】
ステップ316において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、ステップ312で得られたパスに沿って、新たな下位レイヤ光パスのために補助グラフにエッジ112を追加する。例えば、図4Dに示す例では、下位レイヤ光パス404に対して新たなエッジが追加されている。
【0032】
ステップ318において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、変換条件が満たされている場合には、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する。変換条件は、例えば、図4Eのネットワーク400に描かれているように、変換によってIPポートの数が増加しない場合に下位レイヤ光パスからIPレイヤ光パスへの変換を行う、というようなものである。この条件によれば、IPポートの数を維持しながら、下位レイヤ光パスの使用を減らすことができ、また、帯域要求が、光パスの容量とほぼ同じ必要帯域を有しているときに、この条件は起こり得る。別の例としては、使用されている下位レイヤ光パスのスロットの数が閾値を超えており、且つ、帯域の利用が第2の閾値よりも低いときに変換を行う、というようなものである。この条件によれば、IPポートの数が増加するかも知れないが、下位レイヤおよび波長レイヤのパスを節約しながら光パスの利用率が高くなる。下位レイヤ光パスがIPレイヤ光パスに変換される場合には、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、それに応じて補助グラフを更新する。例えば、補助グラフから下位レイヤ光パスのエッジ112が削除され、IPレイヤ光パスのエッジ112が追加される。
【0033】
ステップ320において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、帯域要求に対応する光パスの構成に基づいて、補助グラフ上の各光パスの使用可能帯域を更新する。例えば、帯域要求があるエッジ112に対して与えられているときは、そのエッジ112の使用可能帯域は、その帯域要求が必要としている帯域の分だけ小さくなる。
【0034】
ステップ322において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、補助グラフから削除されたすべてのエッジ112(たとえば、ステップ310、314で削除されたエッジ)を元に戻す。
【0035】
ステップ324において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、ステップ308〜320の処理が実行されていない帯域要求が残っているか判定する。そのような帯域要求が残っている場合には、方法300の処理はステップ308に戻る。一方、そのような帯域要求が残っていない場合には、方法300の処理はステップ326へ進む。
【0036】
すべての帯域要求について処理が終了した後、ステップ326において、ネットワーク装置102の好適なコンポーネントまたは他のデバイスは、対象とするネットワーク構成の総コストを計算する。一例として、方法300は、対話的に、ステップ306に戻って処理を行ってもよい。この場合、各エッジに新たなウエイトが付与され、ステップ308〜326に従って別の総コストが計算される。これにより、希望する構成として、最もコストの低い構成が選択される。
【0037】
なお、図3に示すフローチャートは、方法300について所定数のステップを含んでいるが、方法300は、図3に示すフローチャートよりも多いステップ、または図3に示すフローチャートよりも少ないステップを実行するようにしてもよい。また、方法300の各ステップは、図3に示す順序で実行されなくてもよく、他の好適な順序で実行してもよい。
【0038】
方法300は、ネットワーク装置102または方法300を実行可能な他の1または複数のシステムを利用して行うようにしてもよい。一例としては、方法300の一部または全部を、メモリに格納されているソフトウェアおよび/またはファームウェアにより実行してもよい。
【0039】
ネットワーク10のコンポーネント、ネットワーク装置102、またはネットワーク400は、インタフェース、論理部、メモリ、および/または他の好適な要素を含んでもよい。インタフェースは、入力を受信し、出力を送信し、入力および/または出力を処理し、および/または他の好適な処理を実行する。また、インタフェースは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。
【0040】
論理部は、コンポーネントの動作を実現する。例えば、論理部は、命令を実行して入力から出力を生成する。論理部は、ハードウェア、ソフトウェア、および/または他の論理部を有する。論理部は、1または複数の実体的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に情報化され、コンピュータによって実行されたときに所定の動作を提供するように実現してもよい。論理部は、例えばプロセッサで実現される場合は、コンポーネントの動作を管理してもよい。プロセッサの例は、1または複数のコンピュータ、1または複数のマイクロプロセッサ、1または複数のアプリケーション、および/または他の論理部である。
【0041】
メモリは、情報を格納する。メモリは、1または複数の実体的な、コンピュータ読み取り可能な、および/またはコンピュータ実行可能な記録媒体を含む。メモリの例は、コンピュータメモリ(例えば、RAMおよび/またはROM)、ACIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programable Gate Array)、大容量媒体(例えば、ハードディスク)、着脱可能記録媒体(例えば、CD、DVD)データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、および/または他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。
【0042】
本明細書の開示の範囲を外れない限りにおいて、ネットワーク10、ネットワーク装置102、および/またはネットワーク400に変更、追加、削除を行ってもよい。ネットワーク10、ネットワーク装置102、および/またはネットワーク400は、統合されてもよいし、分離されていてもよい。また、ネットワーク10、ネットワーク装置102、および/またはネットワーク400の動作は、より多くのコンポーネントにより、又はより少ないコンポーネントにより、或いは他のコンポーネントにより行われるようにしてもよい。さらに、ネットワーク10、ネットワーク装置102、および/またはネットワーク400の動作は、任意の好適な論理で実行してもよい。なお、この明細書において、「各」は、複数の要素を有する集合の中のそれぞれの要素、または複数の要素を有する集合の中のそれぞれのサブ集合を意味する。
【0043】
この明細書は、幾つかの実施形態に関して記載されているが、実施形態の交換および置換えは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明は、実施形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の精神および範囲から外れない限りにおいて、様々な変形、置換え、交換が可能である。
【0044】
このように、実施形態の方法または構成によれば、1または複数の技術的な利点が得られる。技術的な利点は、複数の通信レイヤにおけるトラフィックグルーミングをサポートするネットワークである。他の1または複数の技術的な利点は、当業者であれば、本出願に含まれている図面、明細書、特許請求の範囲から明らかと思われる。
【0045】
以上記載した各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
IPレイヤ、下位レイヤ、および波長レイヤを有する複数のネットワーク装置を含むネットワークについて、ネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成し、
前記ネットワークについての要求に対して、
使用可能な帯域が前記要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除し、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記要求のためのパスを見つけ出し、
前記パスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除し、
前記パスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加し、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する
ことを特徴とするトラフィックグルーミング方法。
(付記2)
前記補助グラフの各有向エッジにウエイトを割り当てる
ことを特徴とする付記1に記載のトラフィックグルーミング方法。
(付記3)
前記見つけ出す処理は、前記ウエイトに基づいてパス見つけ出す処理を含む
ことを特徴とする付記2に記載のトラフィックグルーミング方法。
(付記4)
前記要求に対応する光パスの構成に基づいて、前記補助グラフ上の光パスに対応する各有向エッジの使用可能な帯域を更新する
ことを特徴とする付記1に記載のトラフィックグルーミング方法。
(付記5)
前記補助グラフにおいて削除されたエッジを元に戻し、
第2の要求を選択し、
前記第2に要求に対して、
使用可能な帯域が前記第2の要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除し、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記第2の要求のための第2のパスを見つけ出し、
前記第2のパスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除し、
前記第2のパスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加し、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する
ことを特徴とする付記1に記載のトラフィックグルーミング方法。
(付記6)
前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について総コストを決定する
ことを特徴とする付記5に記載のトラフィックグルーミング方法。
(付記7)
前記有向エッジのウエイトを変更し、
変更したウエイトに基づいて、前記要求および前記第2の要求のそれぞれに対して、前記削除するステップ、前記見つけ出すステップ、前記追加するステップ、前記変換するステップを実行し、
変更したウエイトに基づいて、前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について第2の総コストを決定し、
前記総コストと前記第2の総コストとの比較に基づいて、ネットワークの構成を選択する
ことを特徴とする付記6に記載のトラフィックグルーミング方法。
(付記8)
複数のIPレイヤアクセスモジュールを有するIPレイヤと、
複数の下位レイヤアクセスモジュールを有する下位レイヤと、
波長分割多重された複数の波長を利用する通信をサポートする波長レイヤと、
ネットワーク装置および第2のネットワーク装置を含むネットワークについて、前記ネットワーク装置および前記第2のネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成する論理部と、
前記ネットワークについての要求を選択する論理部と、
使用可能な帯域が前記要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除する論理部と、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記要求のためのパスを見つけ出す論理部と、
前記パスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除する論理部と、
前記パスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加する論理部と、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する論理部と、
を有することを特徴とするネットワーク装置。
(付記9)
前記補助グラフの各有向エッジにウエイトを割り当てる論理部をさらに有する
ことを特徴とする付記8に記載のネットワーク装置。
(付記10)
前記見つけ出す論理部は、前記ウエイトに基づいてパス見つけ出す論理部を含む
ことを特徴とする付記9に記載のネットワーク装置。
(付記11)
前記要求に対応する光パスの構成に基づいて、前記補助グラフ上の光パスに対応する各有向エッジの使用可能な帯域を更新する論理部をさらに有する
ことを特徴とする付記8に記載のネットワーク装置。
(付記12)
前記補助グラフにおいて削除されたエッジを元に戻す論理部と、
第2の要求を選択する論理部と、
使用可能な帯域が前記第2の要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除する論理部と、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記第2の要求のための第2のパスを見つけ出す論理部と、
前記第2のパスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除する論理部と、
前記第2のパスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加する論理部と、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する論理部と、をさらに有する
ことを特徴とする付記8に記載のネットワーク装置。
(付記13)
前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について総コストを決定する論理部をさらに有する
ことを特徴とする付記12に記載のネットワーク装置。
(付記14)
前記有向エッジのウエイトを変更する論理部と、
変更したウエイトに基づいて、前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について第2の総コストを決定する論理部と、
前記総コストと前記第2の総コストとの比較に基づいて、ネットワークの構成を選択する論理部と、をさらに有する
ことを特徴とする付記13に記載のネットワーク装置。
(付記15)
IPレイヤ、下位レイヤ、および波長レイヤを有する複数のネットワーク装置を含むネットワークについて、ネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成する論理部と、
前記ネットワークについての要求を選択する論理部と、
使用可能な帯域が前記要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除する論理部と、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記要求のためのパスを見つけ出す論理部と、
前記パスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除する論理部と、
前記パスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加する論理部と、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する論理部と、
を有することを特徴とするネットワークシステム。
(付記16)
前記補助グラフの各有向エッジにウエイトを割り当てる論理部をさらに有する
ことを特徴とする付記15に記載のネットワークシステム。
(付記17)
前記見つけ出す論理部は、前記ウエイトに基づいてパス見つけ出す論理部を含む
ことを特徴とする付記16に記載のネットワークシステム。
(付記18)
前記要求に対応する光パスの構成に基づいて、前記補助グラフ上の光パスに対応する各有向エッジの使用可能な帯域を更新する論理部をさらに有する
ことを特徴とする付記15に記載のネットワークシステム。
(付記19)
前記補助グラフにおいて削除されたエッジを元に戻す論理部と、
第2の要求を選択する論理部と、
使用可能な帯域が前記第2の要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除する論理部と、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記第2の要求のための第2のパスを見つけ出す論理部と、
前記第2のパスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除する論理部と、
前記第2のパスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加する論理部と、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する論理部と、をさらに有する
ことを特徴とする付記15に記載のネットワークシステム。
(付記20)
前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について総コストを決定する論理部をさらに有する
ことを特徴とする付記19に記載のネットワークシステム。
(付記21)
前記有向エッジのウエイトを変更する論理部と、
変更したウエイトに基づいて、前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について第2の総コストを決定する論理部と、
前記総コストと前記第2の総コストとの比較に基づいて、ネットワークの構成を選択する論理部と、をさらに有する
ことを特徴とする付記20に記載のネットワークシステム。
【符号の説明】
【0046】
10、400 ネットワーク
12 伝送媒体
102 ネットワーク装置
104 IPレイヤアクセスモジュール
106 下位レイヤアクセスモジュール
110 ポート
112 エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPレイヤ、下位レイヤ、および波長レイヤを有する複数のネットワーク装置を含むネットワークについて、ネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成し、
前記ネットワークについての要求に対して、
使用可能な帯域が前記要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除し、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記要求のためのパスを見つけ出し、
前記パスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除し、
前記パスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加し、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する
ことを特徴とするトラフィックグルーミング方法。
【請求項2】
前記補助グラフの各有向エッジにウエイトを割り当てる
ことを特徴とする請求項1に記載のトラフィックグルーミング方法。
【請求項3】
前記見つけ出す処理は、前記ウエイトに基づいてパス見つけ出す処理を含む
ことを特徴とする請求項2に記載のトラフィックグルーミング方法。
【請求項4】
前記要求に対応する光パスの構成に基づいて、前記補助グラフ上の光パスに対応する各有向エッジの使用可能な帯域を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載のトラフィックグルーミング方法。
【請求項5】
前記補助グラフにおいて削除されたエッジを元に戻し、
第2の要求を選択し、
前記第2に要求に対して、
使用可能な帯域が前記第2の要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除し、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記第2の要求のための第2のパスを見つけ出し、
前記第2のパスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除し、
前記第2のパスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加し、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する
ことを特徴とする請求項1に記載のトラフィックグルーミング方法。
【請求項6】
前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について総コストを決定する
ことを特徴とする請求項5に記載のトラフィックグルーミング方法。
【請求項7】
前記有向エッジのウエイトを変更し、
変更したウエイトに基づいて、前記要求および前記第2の要求のそれぞれに対して、前記削除するステップ、前記見つけ出すステップ、前記追加するステップ、前記変換するステップを実行し、
変更したウエイトに基づいて、前記要求および前記第2の要求に対応する光パスの構成について第2の総コストを決定し、
前記総コストと前記第2の総コストとの比較に基づいて、ネットワークの構成を選択する
ことを特徴とする請求項6に記載のトラフィックグルーミング方法。
【請求項8】
複数のIPレイヤアクセスモジュールを有するIPレイヤと、
複数の下位レイヤアクセスモジュールを有する下位レイヤと、
波長分割多重された複数の波長を利用する通信をサポートする波長レイヤと、
ネットワーク装置および第2のネットワーク装置を含むネットワークについて、前記ネットワーク装置および前記第2のネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成する論理部と、
前記ネットワークについての要求を選択する論理部と、
使用可能な帯域が前記要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除する論理部と、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記要求のためのパスを見つけ出す論理部と、
前記パスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除する論理部と、
前記パスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加する論理部と、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する論理部と、
を有することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項9】
IPレイヤ、下位レイヤ、および波長レイヤを有する複数のネットワーク装置を含むネットワークについて、ネットワーク装置のコンポーネント間の接続を表す複数の有向エッジを含む補助グラフを作成する論理部と、
前記ネットワークについての要求を選択する論理部と、
使用可能な帯域が前記要求において必要とされる帯域よりも小さい有向エッジを前記補助グラフから削除する論理部と、
前記補助グラフ上に残されている有向エッジを通過する、前記要求のためのパスを見つけ出す論理部と、
前記パスに沿って前記補助グラフの波長レイヤから少なくとも1つの有向エッジを削除する論理部と、
前記パスに対応する下位レイヤ光パスのために、前記補助グラフに下位レイヤ光パスエッジを追加する論理部と、
変換条件が満たされているときに、下位レイヤ光パスをIPレイヤ光パスに変換する論理部と、
を有することを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公開番号】特開2012−105264(P2012−105264A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240873(P2011−240873)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】