説明

トランスレータ装置、アドレス体系変換方法、アドレス体系変換プログラム及び名前解決サーバ

【課題】第1のネットワークと第2のネットワークとの間のアドレスを1対多で割り当てることができ、ポート番号の制約もなく、十分な拡張性を得ることができるようにする。
【解決手段】本発明のトランスレータ装置は、複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第1送受信手段と、1又は複数のサーバが配置された第2ネットワークと接続する第2送受信手段と、転送先サーバアドレステーブルと、各端末からサーバへのアクセス要求を受信すると、各端末との終端後に各端末との第1終端点情報を生成する第1終端点生成手段と、各端末からのパケット情報に基づいて転送先サーバのアドレス情報を検索する転送先検索手段と、その検索結果を用いて各サーバとの終端後に、各サーバとの第2終端点情報を生成する第2終端点生成手段と、第1終端点情報と第2終端点情報とを関連付けてパケット転送処理を行う転送処理手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスレータ装置、アドレス体系変換方法、アドレス体系変換プログラム及び名前解決サーバに関し、例えば、アプリケーションレベルのアドレス変換及びプロトコル変換を外部装置との連携により変換表を作成することで変換処理の拡張性を向上するトランスレータ装置及び名前解決サーバに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
IPv6ネットワークとIPv4ネットワークとの相互接続を実現する技術の1つとしてNAT−PT(Network Address Translation-Protocol Translation)技術があり、非特許文献1にはNAT−PTの標準化技術が記載されている。
【0003】
NAT−PTは、IPv4アドレスとIPv6アドレスとの間のアドレス変換及びプロトコル変換を行う技術である。
【0004】
従来、NAT−PTでは、IPv4アドレスからIPv6アドレスへの変換において、DNS−ALG(DNS Application Layer Gateway)との連携による動的なアドレス情報の割り当てや、若しくは、静的なポートフォワーディングによるアドレス情報の割り当てにより実現される。
【0005】
また、特許文献1には、IPv6onlyクライアントが、トランスレータを経由してIPv4onlyサーバにアクセスする際に、表示されたWebページ(HTTPのメッセージボディ)にIPv4アドレス直書きのURLリンクがある場合に、IPv6アドレス直書きのURLリンクに変換するか、若しくは任意のホスト名のURLリンクに変換する技術が記載されております。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−130477号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】IEFT標準 RFC2766 “Network Address Translation-Protocol Translation(NAT−PT)”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のIPv4アドレスからIPv6アドレスへの変換において、動的なアドレス情報の割り当てでは、IPv4アドレスとIPv6アドレスとは1対1に割り当てられる。そのため、IPv4アドレスとIPv6アドレスとは1対多に割り当てることができない。
【0009】
また、従来の静的なポートフォワーディングによる割り当てでは、1対多でIPアドレスを割り当てることができるが、ポート番号は1対1に割り当てられる。
【0010】
そのため、IPv4のクライアントからIPv6のサーバへのアクセスにおいて、トランスレータ装置は、IPv6のサーバと同数のIPv4アドレスが必要とされたり、ポート番号が制約されたりするため、十分な拡張性を得ることができないという課題がある。
【0011】
また、特許文献1の記載技術は、アプリケーションレベルのアドレス変換方法に関するものであるが、いわゆるHTTP−ALG機能に関するものであり、IPv4端末が、トランスレータを介して、IPv6サーバに対してアクセスする際に、IPv4アドレスとIPv6アドレスとを制約なく、1対多で割り当てることはできない。
【0012】
本発明は、IPv4アドレスとIPv6アドレスとが1対多で割り当てることができ、ポート番号の制約もなく、十分な拡張性を得ることができるトランスレータ装置、アドレス体系変換方法、アドレス体系変換プログラム及び名前解決サーバを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するために、第1の本発明のトランスレータ装置は、(1)複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第1送受信手段と、(2)1又は複数のサーバが配置された第2ネットワークと接続する第2送受信手段と、(3)第2ネットワーク上の各サーバのアドレス情報を格納する転送先サーバアドレステーブルと、(4)第1送受信手段が各端末からサーバへのアクセス要求を受信すると、各端末との終端後に、各端末とのパケット情報に基づいて各端末に関する第1終端点情報を生成する第1終端点生成手段と、(5)各端末からのパケット情報に基づいて、転送先サーバアドレステーブルから転送先サーバのアドレス情報を検索する転送先検索手段と、(6)転送先検索手段により検索されたアドレス情報を用いて、各サーバとの終端後に、各サーバとのパケット情報に基づいて各サーバに関する第2終端点情報を生成する第2終端点生成手段と、(7)第1終端点情報と第2終端点情報とを関連付けて、各端末と各サーバとの間で授受されるパケットのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、パケット転送処理を行う転送処理手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第2の本発明のアドレス体系変換方法は、複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第1送受信手段と、1又は複数のサーバが配置された第2ネットワークと接続する第2送受信手段と、第2ネットワーク上の各サーバのアドレス情報を格納する転送先サーバアドレステーブルとを備え、(1)第1終端点生成手段が、第1送受信手段が各端末からサーバへのアクセス要求を受信すると、各端末との終端後に、各端末とのパケット情報に基づいて各端末に関する第1終端点情報を生成する第1終端点生成工程と、(2)転送先検索手段が、各端末からのパケット情報に基づいて、転送先サーバアドレステーブルから転送先サーバのアドレス情報を検索する転送先検索工程と、(3)第2終端点生成手段が、転送先検索手段により検索されたアドレス情報を用いて、各サーバとの終端後に、各サーバとのパケット情報に基づいて各サーバに関する第2終端点情報を生成する第2終端点生成工程と、(4)転送処理手段が、第1終端点情報と第2終端点情報とを関連付けて、各端末と各サーバとの間で授受されるパケットのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、パケット転送処理を行う転送処理工程とを有することを特徴とする。
【0015】
第3の本発明のアドレス体系変換プログラムは、複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第1送受信手段と、1又は複数のサーバが配置された第2ネットワークと接続する第2送受信手段と、第2ネットワーク上の各サーバのアドレス情報を格納する転送先サーバアドレステーブルとを備えるコンピュータを、(1)第1送受信手段が各端末からサーバへのアクセス要求を受信すると、各端末との終端後に、各端末とのパケット情報に基づいて各端末に関する第1終端点情報を生成する第1終端点生成手段、(2)各端末からのパケット情報に基づいて、転送先サーバアドレステーブルから転送先サーバのアドレス情報を検索する転送先検索手段、(3)転送先検索手段により検索されたアドレス情報を用いて、各サーバとの終端後に、各サーバとのパケット情報に基づいて各サーバに関する第2終端点情報を生成する第2終端点生成手段、(4)第1終端点情報と第2終端点情報とを関連付けて、各端末と各サーバとの間で授受されるパケットのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、パケット転送処理を行う転送処理手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
第4の本発明の名前解決サーバは、(1)複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第3送受信手段と、(2)第2ネットワークを介して、第1の本発明のトランスレータ装置と接続する第4送受信手段と、(3)第2ネットワーク上の各サーバの名称及び第1アドレス情報と、トランスレータ装置の第1送受信手段に付与されている第1ネットワーク上の第2アドレス情報とを対応付けた名前解決データベースと、(4)管理端末から各サーバの名称及び第1アドレス情報を受信し、受信した各サーバの名称及び第1アドレス情報と共に、トランスレータ装置の第2アドレスを対応付けて名前解決データベースに登録する名前解決情報登録手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1のネットワークと第2のネットワークとの間のアドレスを1対多で割り当てることができ、ポート番号の制約もなく、十分な拡張性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態のプッシュ型の転送先サーバアドレス設定を行うネットワークの全体構成を示す全体構成図である。
【図2】第1の実施形態のトランスレータ装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図3】第1の実施形態のHTTP処理プロセスを説明する説明図である。
【図4】第1の実施形態のHTTP処理部の機能構成を示す内部構成図である。
【図5】第1の実施形態のHTTP処理部の動作を説明するフローチャートである。
【図6】第1の実施形態の転送先サーバアドレス情報の検索を説明する説明図である。
【図7】IPv4からIPv6へのアドレス変換及びプロトコル変換処理を説明する説明図である。
【図8】IPv6からIPv4へのアドレス変換及びプロトコル変換処理を説明する説明図である。
【図9】第1の実施形態のDNSサーバの内部構成を示す内部構成図である。
【図10】第1の実施形態のDNSデータベースの構成を示す構成図である。
【図11】第1の実施形態のDNSデータの登録処理を示すシーケンス図である。
【図12】第1の実施形態のサーバアクセス処理を示すシーケンス図である。
【図13】第2の実施形態のプル型の転送先サーバアドレス設定を行うネットワークの全体構成を示す全体構成図である。
【図14】第2の実施形態のHTTP処理部の機能構成を示す内部構成図である。
【図15】第2の実施形態の転送先サーバアドレス情報の検索を説明する説明図である。
【図16】第2の実施形態のサーバアクセス処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明のトランスレータ装置、アドレス体系変換方法、アドレス体系変換プログラム及び名前解決サーバの第1の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】
第1の実施形態では、プッシュ型の転送先アドレス情報設定によるトランスレータ装置に本発明を適用した場合の実施形態を例示する。
【0021】
(A−1)全体構成
図1は、第1の実施形態のネットワークの構成を示すネットワーク構成図である。
【0022】
図1において、第1の実施形態のネットワーク9Aは、アドレス体系をIPv4(第1アドレス体系ともいう)とするIPv4網(第1ネットワークともいう)NT1、アドレス体系をIPv6(第2アドレス体系ともいう)とするIPv6網(第2ネットワークともいう)NT2、トランスレータ装置1、DNSサーバ2とを少なくとも有して構成される。
【0023】
IPv4網NT1は、端末側のネットワークであり、複数のIPv4端末4A、4Bが存在する。図1において、例えば、「V4a」は、IPv4端末4AのIPv4アドレスを示す。
【0024】
IPv6網NT2は、サーバ側のネットワークであり、複数のIPv6サーバ5A、5Bが存在する。また、IPv6網NT2には、IPv6網NT2を管理運用するための管理端末3が存在する。図1において、例えば、「V6a」は、IPv6サーバ5AのIPv6アドレスを示す。
【0025】
トランスレータ装置1は、IPv6網NT2とIPv4網NT1との境界に存在し、IPv6網NT2とIPv4網NT1との間の相互接続を実現するアドレス変換及びプロトコル変換装置である。トランスレータ装置1は、IPv6アドレス及びIPv4アドレスの両方が付与されており、図1の例では、IPv6アドレスとして「V6x」、IPv4アドレスとして「V4x」が付与されている。なお、図1では、IPv6アドレス及びIPv4アドレスのそれぞれ1個が付与されている場合を示すが、それぞれ複数個のIPアドレスが付与されるようにしても良い。
【0026】
DNSサーバ2は、IPv6網NT2上に存在するIPv6サーバ5A、5Bの名前解を行う名前解決サーバである。DNSサーバ2は、IPv6網NT2及びIPv4網NT1の両方に接続しており、IPv6アドレスとして「V6n」、IPv4アドレスとして「V4n」が付与されている。
【0027】
DNSサーバ2は、管理端末3からDNSデータを受け取り、後述するDNSデータベースを生成するものである。また、DNSサーバ2は、DNSデータベースにDNSデータの登録を行うと、DNSデータベースに登録したデータをサーバアドレス情報としてトランスレータ装置1に与えて、サーバアドレス情報の設定をさせるものである。これにより、トランスレータ装置1は、後述する転送先サーバアドレス表141を作成することができる。
【0028】
さらに、DNSサーバ2は、IPv4端末4A、4BからのDNS要求を受けて、IPv6サーバ5A、5Bのアドレス情報を応答するものである。この場合の詳細処理については後述するが、DNSサーバ2はIPv6サーバ5A、5Bと接続するトランスレータ装置1のIPv4アドレスをIPv4端末4A、4Bに応答する。
【0029】
IPv4端末4A、4Bは、例えばHTTP(HyperText Transfer Protocol)により、転送先サーバとの間の通信を実現するものである。なお、IPv4端末4A、4Bからトランスレータ装置1へのHTTPは、IPv4端末4A、4Bのブラウザにプロキシ設定が行われていないダイレクトなWebアクセスである。
【0030】
(A−2)トランスレータ装置1の内部構成
図2は、トランスレータ装置1の内部構成を示す内部構成図である。図2において、トランスレータ装置1は、送受信部11、IPv4処理部12、TCP処理部13、HTTP処理部14、TCP処理部15、IPv6処理部16、送受信部17、管理部18を少なくとも有する。
【0031】
図2において、トランスレータ装置1の内部構成は、HTTP処理部14を挟んで、IPv4側とIPv6側のTCP処理部と送受信処理部に分かれる構成である。
【0032】
管理部18は、トランスレータ装置1のコンフィグレーション設定や設定情報の参照処理を管理するものである。
【0033】
送受信部11は、IPv4網NT1との間でパケットの授受を行う通信手段である。送受信部11には、例えばIPv4網NT1との間で通信を行うためのIPv4アドレス「V4x」が付与されている。送受信部11は、IPv4網NT1側から受信した受信パケットをIPv4処理部12に与える。
【0034】
IPv4処理部12は、送受信部11又はTCP処理部13からのパケットに対してIPv4処理を行い、TCP処理部13又は送受信部11に与えるものである。
【0035】
TCP処理部13は、IPv4処理部12又はHTTP処理部14からのパケットに対してTCP処理を行い、HTTP処理部14又はIPv4処理部12に与えるものである。また、TCP処理部13は、IPv4端末4との間のTCP終端後、IPv4処理部12からのIPv4パケットのヘッダに含まれている情報から、IPv4網NT1側のTCP終端点(第1終端点情報ともいう)を生成する。
【0036】
ここで、IPv4網NT1側のTCP終端点の生成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2において、「H1」は、TCP処理のアソシエーションに必要となるIPv4端末4側のパケットのパケットヘッダに含まれる情報例である。
【0037】
例えば、図2の場合、ヘッダ情報H1は、送信先アドレス情報として「DA:V4x」、送信先ポート番号として「Dp:80」、送信元アドレス情報として「SA:V4a」、送信元ポート番号として「Sp:4000」を有する。この場合、図3に示すように、TCP処理部13は、ヘッダ情報H1が有する「DA:V4x」、「Dp:80」、「SA:V4a」、「Sp:4000」を、1つのTCP終端点「Tv4」として生成する。なお、TCP処理部13は、IPv4端末4との間のTCP終端を行うたびにTCP終端点を生成する。
【0038】
送受信部17は、IPv6網NT2との間でパケットの授受を行う通信手段である。送受信部17には、例えばIPv6網NT2との間で通信を行うためのIPv6アドレス「V6x」が付与されている。
【0039】
IPv6処理部16は、送受信部17又はTCP処理部15からのパケットに対してIPv6処理を行い、TCP処理部15又は送受信部17に与えるものである。
【0040】
TCP処理部15は、IPv6処理部16又はHTTP処理部14からのパケットに対してTCP処理を行い、HTTP処理部14又はIPv6処理部16に与えるものである。また、TCP処理部15は、HTTP処理部14により検索されたIPv6サーバ5のアドレス情報を用いて、当該IPv6サーバ5との間のTCP接続を行い、TCP終端後に、IPv6サーバ5との間のパケットのアドレス情報を用いて、IPv6網NT2側のTCP終端点(第2終端点情報ともいう)を生成する。
【0041】
ここで、IPv6網NT2側のTCP終端点は、IPv4網NT1側のTCP終端点と同様の観点から生成する。
【0042】
例えば、図2において、「H2」は、TCP処理のアソシエーションに必要となるIPv6サーバ5側のパケットのパケットヘッダに含まれる情報例である。ヘッダ情報H2は、送信先アドレス情報として「DA:V6a」、送信先ポート番号として「Dp:80」、送信元アドレス情報として「SA:V6x」、送信元ポート番号として「Sp:5000」を有する。この場合、図3に示すように、TCP処理部15は、ヘッダ情報H2が有する「DA:V6a」、「Dp:80」、「SA:V6x」、「Sp:5000」を、1つのTCP終端点「Tv6」として生成する。なお、TCP処理部13は、IPv6サーバ5のTCP終端のたびにTCP終端点を生成する。
【0043】
HTTP処理部14は、OSI参照モデルのアプリケーション層に相当するアプリケーションレベルの処理を行うものである。
【0044】
図4は、HTTP処理部14の機能構成を示す内部構成図である。図4において、HTTP処理部14は、転送先サーバアドレス表作成部142、HTTP処理プロセス検索部143、転送先サーバアドレス検索部144、HTTP処理プロセス生成部145、転送先サーバアドレス表141、HTTP処理プロセス140−1〜140−n(nは正の整数)を少なくとも有する。
【0045】
転送先サーバアドレス表作成部142は、IPv6網NT2を介して、DNSサーバ2からサーバアドレス情報を受け取り、このサーバアドレス情報を用いて転送先サーバアドレス表141を作成するものである。
【0046】
HTTP処理プロセス生成部145は、IPv4端末4側とIPv6サーバ5側との間の転送処理に係るTCP終端点を1対1に関連付けてHTTP処理を行うHTTP処理プロセスを生成するものである。
【0047】
TCP処理部13及びTCP処理部15では、IPv4端末4及びIPv6サーバ5とトランスレータ装置1との間で接続されたTCP処理のアソシエーションが保持されている。HTTP処理プロセス生成部145は、図3に示すように、それぞれ対応するTCP終端点Tv4とTCP終端点Tv6とを1対1に関連付けてHTTP処理を行うHTTP処理プロセス140−1〜140−n(nは正の整数)を生成する。なお、TCP終端点Tv4及びTV6とHTTP処理プロセス140−1〜140−nとの関連付けは、例えば、対応テーブルを用いて対応付けを行ったりすることで実現できる。
【0048】
HTTP処理プロセス140−1〜140−nは、1対1に関連付けられたTCP終端点Tv4及びTv6に関して、IPv4とIPv6との間のアドレス変換及びプロトコル変換を行うものである。これにより、IPv4とIPv6との間のアドレス変換及びプロトコル変換を、IPv4網NT1側の終端点とIPv6網NT2側の終端点との間の転送毎に個別に行うことができる。
【0049】
HTTP処理プロセス検索部143は、TCP処理部13又はTCP処理部15からTCP終端点Tv4又はTv6を受け取り、当該TCP終端点Tv4又はTv6に対応するHTTP処理プロセス140−1〜140−nが存在するか否かを判断するものである。HTTP処理プロセス140−1〜140−nが存在する場合、当該HTTP処理プロセス140−1〜140−nによりHTTP処理を実行させる。
【0050】
転送先サーバアドレス検索部144は、TCP処理部13からのTCP終端点Tv4について、関連するHTTP処理プロセス140−1〜140−nが存在しない場合、IPv4端末4からのパケットペイロードのHTTPヘッダに記載されているHost行からホスト名を取り出し、転送先サーバアドレス表から当該ホスト名に対応する転送先サーバのアドレス情報(IPv6アドレス)を検索するものである。これにより得られた転送先サーバのアドレス情報を用いて、TCP処理部15はIPv6サーバ5との間でTCP接続を行う。
【0051】
(A−3)HTTP処理部14における動作
次に、HTTP処理部14における処理の動作を図面を参照しながら説明する。
【0052】
図5は、HTTP処理部14におけるHTTP処理プロセスの生成処理を説明するフローチャートである。図5では、IPv4端末4とIPv6サーバ5との間で接続する場合を想定する。
【0053】
図5において、TCP処理部13は、IPv4端末4との間でTCP接続を行い、TCP終端後、当該IPv4端末4側のパケットのヘッダ情報に基づいてTCP終端点Tv4を生成する(ステップS101)。
【0054】
HTTP処理部14では、HTTP処理プロセス検索部143が、TCP処理部13からのTCP終端点Tv4に対応するHTTP処理プロセス140−1〜140−nが存在するか否かを判断する(ステップS102)。
【0055】
HTTP処理プロセス140−1〜140−nが有る場合、当該HTTP処理プロセス140−1〜140−nが、関連付けられたTCP終端点Tv4及びTv6に対してアドレス変換及びプロトコル変換処理を行う(ステップS103)。なお、パケット変換処理については後述する。
【0056】
一方、HTTP処理プロセス140−1〜140−nが無い場合、転送先サーバアドレス検索部144が、IPv4端末4からのパケットペイロードに含まれているHTTPヘッダに記載されているHost行からホスト名を取り出し、転送先サーバアドレス表141から、当該ホスト名に対応する転送先サーバのアドレス情報を検索する(ステップS104)。
【0057】
例えばIPv4端末4側からGETリクエストを受信した場合には、HTTP処理プロセス140−1〜140−nが無い状態と考えられる。このような場合、GETリクエストの受信を契機として転送先サーバアドレスを解決し、IPv4側のTCP終端点Tv4と、IPv6側のTCP終端点Tv6とを1対1で関連付けたHTTP処理プロセス140−1〜140−nを生成することができる。
【0058】
ここで、転送先サーバアドレス情報の検索処理を図6を参照しながら説明する。図6は、転送先サーバアドレス情報の検索を説明する説明図である。図6には、IPv4端末4側から受信したIPv4パケットのパケット構成例を示す。
【0059】
図6に示すIPv4パケットは、ペイロード(HTTP)、TCPヘッダ、IPv4ヘッダ等を有している。TCPヘッダには、送信元ポート番号(Sp)、送信先ポート番号(Dp)が記載されており、IPv4ヘッダには、送信元アドレス情報(例えばSA:V4a)、送信先アドレス情報(例えばDA:V4x)が記載されている。
【0060】
転送先サーバアドレス検索部144は、IPv4パケットのペイロードからGETリクエストであることを判断すると、ペイロードのHTTPヘッダに記載されているHost行からホスト名「www.aaa.com」を抽出する。そして、当該ホスト名「www.aaa.com」に基づいて転送先サーバアドレス表141の識別列を検索することで、該当する識別列に対応するアクション列から転送先IPアドレス「V6a」を特定する。
【0061】
ステップS104により転送先サーバのアドレス情報が検索されると、この転送先サーバのアドレス情報を用いて、IPv6サーバ5との間のTCP接続を行い(ステップS105)、IPv6サーバ5とのTCP終端後、TCP処理部15が、当該IPv6サーバ5のアドレス情報に基づいてTCP終端点Tv6を生成する(ステップS106)。
【0062】
また、HTTP処理部14では、HTTP処理プロセス生成部145が、当該転送処理に係るTCP終端点Tv4とTCP終端点Tv6とを1対1で関連付けたHTTP処理プロセス140−1〜140−nを生成する(ステップS107)。
【0063】
なお、IPv6サーバ5からIPv4端末4に向けたパケットを受信した場合、TCP処理部15は、IPv6サーバ5との間TCP終端後にTCP終端点Tv6を生成し、HTTP処理部14は、当該TCP終端点Tv6に関連するHTTP処理プロセス140−1〜140−nの検索を行い、検索したHTTP処理プロセスによりアドレス変換及びプロトコル変換を実行させる。
【0064】
次に、IPv4パケットとIPv6パケットとの間のパケット変換処理を、図7及び図8を参照しながら説明する。なお、パケット変換処理は、各HTTP処理プロセス140が実施する。
【0065】
図7は、IPv4パケットからIPv6パケットへの変換を説明する説明図である。図7(A)は、IPv4端末4から受信したIPv4パケットの構成例を示す。TCP処理部13では、IPv4端末4とのTCP終端後、TCP終端点Tv4が生成される。
【0066】
HTTP処理プロセス140は、図7(B)に示すように、IPv4パケットからIPv4ヘッダを削除する。そして、図7(C)に示すように、IPv4ヘッダが削除されたペイロードに、TCP終端点Tv4と対応付けられたTCP終端点Tv6を用いて、IPv6ヘッダを付与する。すなわち、IPv4ヘッダに含まれる「SA:V4a」、「DA:V4x」が削除され、「SA:V6x」、「DA:V6a」が含まれるIPv6ヘッダがペイロードが付与される。
【0067】
これにより、IPv4パケットに含まれるペイロード(HTTP)にIPv6ヘッダが付与されたIPv6パケットに変換することができる。
【0068】
図8は、IPv6パケットからIPv4パケットへの変換を説明する説明図である。図8(C)は、IPv6サーバ5から受信したIPv6パケットの構成を示す。TCP処理部15では、IPv6サーバ5とのTCP終端後、TCP終端点Tv6が生成される。
【0069】
HTTP処理プロセス140は、図8(B)に示すように、IPv6パケットからIPv6ヘッダを削除する。そして、図8(A)に示すように、IPv6ヘッダが削除されたペイロードに、TCP終端点Tv6と対応付けられたTCP終端点Tv4を用いて、IPv4ヘッダを付与する。すなわち、IPv6ヘッダに含まれる「SA:V6a」、「DA:V6x」が削除され、「SA:V4x」、「DA:V4a」が含まれるIPv4ヘッダがペイロードが付与される。
【0070】
これにより、IPv6パケットに含まれるペイロード(HTTP)にIPv4ヘッダが付与されたIPv4パケットに変換することができる。
【0071】
(A−4)DNSサーバ2の内部構成
次に、DNSサーバ2の内部構成を説明する。図9は、DNSサーバ2の内部構成を示す内部構成図である。
【0072】
図9において、DNSサーバ2は、送受信部21、DNSクエリ応答部22、DNSデータ生成部23、サーバアドレス情報生成部24、DNSデータ登録部25、送受信部26を少なくとも有する。
【0073】
送受信部21は、IPv4網NT1との間でパケットの授受を行う通信手段である。送受信部21には、例えばIPv4網NT1との間で通信を行うためのIPv4アドレス「V4n」が付与されている。送受信部21は、IPv4網NT1から受信したパケットをDNS応答部22に与える。
【0074】
送受信部26は、IPv6網NT2との間でパケットの授受を行う通信手段である。送受信部26は、例えばIPv6網NT2との間で通信を行うためのIPv6アドレス「V6n」が付与されている。
【0075】
また、送受信部26は、IPv6網NT2を通じて管理端末3からDNSデータを受け取ると、当該DNSデータをDNSデータ登録部25に与える。さらに、送受信部26は、IPv6網NT2を通じてトランスレータ装置1から受信したパケットをDNSクエリ応答部22に与える。
【0076】
DNSクエリ応答部22は、送受信部21又は送受信部26から受け取ったIPv4端末4側又はトランスレータ装置1側からのDNSクエリに対する応答を行うものである。DNSクエリ応答部22は、送受信部21又は送受信部26からDNSクエリを受け取ると、DNSデータ生成部23に当該DNSクエリを与える。DNSデータ生成部23では後述するようにDNSデータベース231を有しており、DNSクエリ応答部22は、当該DNSクエリに対する応答データをDNSデータ生成部23から受け取り、この応答データを送受信部21又は送受信部26に与える。
【0077】
DNSデータ生成部23は、IPv6網NT2上のIPv6サーバ5に関するDNSデータを登録するDNSデータベース231を有する。DNSデータ生成部23は、DNS登録部25を通じて管理端末3からDNSデータを受信すると、当該受信したDNSデータをDNSデータベース231に登録する。また、DNSデータ生成部23は、DNSクエリ応答部22からDNSクエリを受け取ると、DNSデータベース231を参照して、当該DNSクエリで要求したホスト名に対するアドレス情報を応答する。
【0078】
ここで、図10は、DNSデータベース231の構成例を示す構成図である。図10に示すように、DNSデータベース231は、識別列としてホスト名と、アクション列としてサーバIPv6アドレス及びサーバIPv4アドレスとを対応付けた構成である。
【0079】
サーバIPv6アドレスは、各IPv6サーバ5のIPv6アドレスであり、サーバIPv4アドレスは、全ての行においてトランスレータ装置1のIPv4網側の送受信部11に付与されているIPv4アドレスが設定される。例えば、図10の第1行目の場合、「ホスト名:www.aaa.com」と、「サーバIPv6アドレス:V6a」と、「サーバIPv4アドレス:V4x」とが対応付けられている。
【0080】
DNSデータ生成部23は、受け取ったDNSクエリで要求するホスト名に対応するサーバIPv6アドレス、サーバIPv4アドレスを、DNSデータベース231から検索して応答する。
【0081】
DNSデータ登録部25は、送受信部26を通じて管理端末36からDNSデータを受け取ると、当該DNSデータをDNSデータ生成部23に与えて、DNSデータベース231に登録させるものである。また、DNSデータ登録部25は、管理端末36からDNSデータを受け取ると、そのDNSデータをサーバアドレス情報生成部24に与える。
【0082】
サーバアドレス情報生成部24は、DNSデータ登録部25からDNSデータを受け取ると、そのDNSデータに基づいてサーバアドレス情報を生成し、当該サーバアドレス情報をDNS登録部25に与え、送受信部26を介してトランスレータ装置1に送信させる。
【0083】
ここで、サーバアドレス情報は、上述したように、トランスレータ装置1の転送先サーバアドレス表141を作成させるための情報である。サーバアドレス情報生成部24は、受け取ったDNSデータから、IPv6サーバ5のホスト名とサーバIPv6アドレスとを対応付けた情報を、サーバアドレス情報とする。
【0084】
管理部27は、DNSサーバ2のコンフィグレーションの設定や設定情報の参照処理等を管理するものである。
【0085】
(A−5)DNSデータ登録処理の動作
次に、DNSデータの登録処理の動作を図11を参照して説明する。図11は、DNSデータの登録処理の一例を示すシーケンス図である。
【0086】
図11は、管理端末3からDNSサーバ2にDNSデータが登録された後、DNSサーバ2がトランスレータ装置1にサーバアドレス情報を設定するプッシュ型のシーケンスを示している。
【0087】
まず、管理端末3は、IPv6網NT2上に存在するIPv6サーバ5に関するDNSデータをDNSサーバ2に送信する(ステップS201、S202)。
【0088】
例えば、図11の例の場合、管理端末3は、IPv6サーバ5Aに関するDNSデータと、IPv6サーバ5Bに関するDNSデータとを送信する。このとき、管理端末3が送信するDNSデータは、IPv6サーバ5のホスト名とIPv6アドレスとを含むものであり、例えば、IPv6サーバ5Aのホスト名(www.aaa.com)とIPv6アドレス(V6a)とを有するデータがDNSサーバ2に送信される。
【0089】
DNSサーバ2では、受信したDNSデータに基づいてDNSデータベース231を生成する(ステップS203)。
【0090】
このとき、DNSデータ登録部25は、次のようにしてDNSデータベース231にDNSデータを登録する。上述したように、DNSデータには、IPv6サーバ5のホスト名とIPv6アドレスとが含まれている。
【0091】
DNSデータ登録部25は、当該DNSデータに含まれるIPv6サーバ5のホスト名を、DNSデータベース231の識別列(ホスト名)に登録し、この識別列に対応するアクション列のサーバIPv6アドレスに、DNSデータに含まれるIPv6サーバ5のIPv6アドレスを登録する。さらに、DNSデータ登録部25は、トランスレータ装置1の送受信部11に付与されているIPv4アドレスを、アクション列のサーバIPv4アドレスに登録する。
【0092】
なお、アクション列のサーバIPv4アドレスには、予めトランスレータ装置1の送受信部11のIPv4アドレスを登録しておいても良いし、DNSデータの登録のたびに登録するようにしても良い。
【0093】
また、DNSサーバ2では、サーバアドレス情報生成部24が、受信したDNSデータに基づいてサーバアドレス情報を生成する(ステップS204)。
【0094】
そして、サーバアドレス情報生成部24が生成したサーバアドレス情報は、送受信部26を介して、トランスレータ装置1に送信される(ステップS205、S206)。サーバドレス情報は、IPv6サーバ5のホスト名とIPv6アドレスとを含むものであり、例えば、IPv6サーバ5Aのホスト名(www.aaa.com)とIPv6アドレス(V6a)とを有するデータがトランスレータ装置1に送信される。
【0095】
トランスレータ装置1では、HTTP処理部14の転送先サーバアドレス表作成部142が、IPv6網NT2を介して、DNSサーバ2から受信したサーバアドレス情報を、転送先サーバアドレス表141に登録することで、転送先サーバアドレス表を生成する(ステップS207)。
【0096】
(A−6)サーバアクセス処理の動作
次に、第1の実施形態のネットワーク9Aにおけるサーバアクセス処理の動作について図12を参照して説明する。
【0097】
図12は、IPv4端末4Aが、IPv6サーバ5A及び5Bの2つのサーバにアクセスするときの一例を示すシーケンス図である。
【0098】
まず、IPv4端末4Aは、DNSサーバ2に対して、「www.aaa.com」のIPv4アドレスをDNSクエリを送信して問い合わせを行う(ステップS301)。DNSサーバ2は、問い合わせを受けたホスト名「www.aaa.com」に対応するサーバIPv4アドレスを、DNSデータベース231から検索し、検索により得られたIPv4アドレス「V4x」をIPv4端末4Aに応答する(ステップS302)。
【0099】
IPv4端末4Aは、DNSサーバ2から得られたIPv4アドレス「V4x」を送信先アドレスとしてTCP接続を行い(S303)、サーバへのアクセス要求(GETリクエスト)をトランスレータ装置1に送信する(ステップS304)。
【0100】
トランスレータ装置1では、HTTP処理部14が、IPv4端末4AからのGETリクエストに基づいて、転送先サーバアドレスを検索して、当該転送先サーバのIPv6アドレスを特定する(ステップS305)。この場合、GETリクエストのHost行からホスト名「www.aaa.com」に基づいて、転送先サーバアドレス表141から転送先IPアドレス「V6a」を特定する。
【0101】
トランスレータ装置1は、特定した転送先IPアドレス「V6a」を送信先アドレスとしてTCP接続を行う(ステップS306)。また、TCP終端点Tv4によるTCP終端後、HTTP処理部14が生成したHTTP処理プロセス140が、IPv4端末4Aからのパケットについて、TCP終端点Tv6を用いてIPv4からIPv6へのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、送信先アドレスを「V6a」としたGETリクエストを送信する(ステップS307)。
【0102】
そして、IPv6サーバ5AがHTTP応答をトランスレータ装置1に送信し(ステップS308)、トランスレータ装置1がIPv6からIPv4へのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、HTTP応答をIPv4端末4Aに送信する(ステップS309)。
【0103】
その後、IPv6サーバ5Aとトランスレータ装置1との間のTCP接続を切断し(ステップS310)、またトランスレータ装置1とIPv4端末4Aとの間のTCP接続を切断する(ステップS311)。
【0104】
なお、ステップS312〜ステップS322は、IPv4端末4AがIPv6サーバ5Bのホスト名「www.bbb.com」に基づいてDNSサーバ2に名前解決の問い合わせを行い、サーバアクセスする場合の処理であり、上述したステップS301〜ステップS311で説明した処理と同様である。
【0105】
(A−7)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、トランスレータ装置1にて転送先サーバアドレス表141を保持し、HTTPヘッダのHost行からホスト名を取り出し、転送先IPアドレスを特定することで、トランスレータ装置1のIPv4網NT1側の送受信部11に付与された1つのIPv4アドレスで多数のIPv6サーバ5ヘのアクセスを実現できる。つまり、IPv4アドレスとIPv6アドレスは1対多で割り当てられ、ボート番号の制約もなく、十分な拡張性を得ることができる。
【0106】
また、第1の実施形態によれば、管理端末3からDNSサーバ2ヘのDNSデータ登録を契機にトランスレータ装置1にプッシュ型でサーバアドレス情報設定することで、転送先サーバアドレス表141のアドレス情報を最新の状態で保持することができる。
【0107】
(B)第2の実施形態
次に、本発明のトランスレータ装置、アドレス体系変換方法、アドレス体系変換プログラム及び名前解決サーバの第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0108】
第2の実施形態では、プル型の転送先アドレス情報設定によるトランスレータ装置に本発明を適用した場合の実施形態を例示する。
【0109】
(B−1)全体構成
図13は、第2の実施形態のネットワーク9Bの全体構成を示す全体構成図である。
【0110】
図13において、第2の実施形態のネットワーク9Bも、ネットワーク9Aと同様に、IPv4網NT1、IPv6網NT2、トランスレータ装置1、DNSサーバ2とを少なくとも有して構成される。
【0111】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、トランスレータ装置1が、プル型の転送先サーバアドレス情報設定を行う点である。すなわち、トランスレータ装置1による転送先サーバアドレス情報の特定処理が第1の実施形態と異なる点である。
【0112】
そこで、以下では、第2の実施形態に特有の構成及び動作を中心に説明することとし、第1の実施形態で説明した構成及び動作についての詳細な説明は省略する。
【0113】
(B−2)HTTP処理部の内部構成及び動作
図14は、トランスレータ装置1のHTTP処理部14の機能構成を示す内部構成図である。
【0114】
図14において、HTTP処理部14は、転送先サーバアドレス表作成部142、HTTP処理プロセス検索部143、転送先サーバアドレス検索部144、HTTP処理プロセス生成部145、転送先サーバアドレス表141、HTTP処理プロセス140−1〜140−nを少なくとも有する。
【0115】
図14に示すように、HTTP処理部14の転送先サーバアドレス検索部144は、DNSクエリ処理部51を有する。
【0116】
DNSクエリ処理部51は、IPv4端末4との間のTCP終端後、受信パケットのペイロードからHTTPヘッダに含まれるHost行のホスト名を取り出し、これに基づいてDNSクエリを生成するものである。このDNSクエリは、IPv6網NT2を介してDNSサーバ2に送信される。
【0117】
また、DNSクエリ処理部51は、IPv6網NT2を介して、DNSサーバ2からDNSクエリ応答を受け取り、DNSクエリ応答に含まれるデータを、転送先サーバアドレス表作成部142に与える。
【0118】
転送先サーバアドレス表作成部142は、DNSクエリ処理部51から受け取ったDNSクエリ応答のデータに基づいて、転送先サーバアドレス表141を作成する。
【0119】
図15は、転送先サーバアドレス情報の検索を説明する説明図である。
【0120】
図15に示すIPv4パケットは、ペイロード(HTTP)、TCPヘッダ、IPv4ヘッダ等を有している。TCPヘッダには、送信元ポート番号(Sp)、送信先ポート番号(Dp)が記載されており、IPv4ヘッダには、送信元アドレス情報(例えばSA:V4a)、送信先アドレス情報(例えばDA:V4x)が記載されている。
【0121】
転送先サーバアドレス検索部144において、DNS処理部51が、IPv4パケットのペイロードからGETリクエストであることを判断すると、ペイロードのHTTPヘッダに記載されているHost行からホスト名「www.aaa.com」を抽出する。
【0122】
DNSクエリ処理部51は、当該ホスト名「www.aaa.com」を含むDNSクエリを生成し、IPv6処理部16及び送受信部17を通じて、DNSクエリをDNSサーバ2に送信する。
【0123】
DNSサーバ2に名前解決処理が行なわれ、ホスト名「www.aaa.com」のIPv6サーバ5のIPv6アドレス「V6a」を含むDNSクエリ応答がDNSクエリ処理部51に与えられる。
【0124】
DNSクエリ処理部51は、DNSクエリ応答に含まれるデータを解析して、転送先サーバアドレス表作成部142により、DNSクエリ応答に含まれるホスト名「www.aaa.com」のIPv6サーバ5のIPv6アドレス「V6a」を、転送先サーバアドレス表141に書き込む。このようにして、IPv4端末4が要求する転送先サーバのアドレス情報を検索する。
【0125】
(B−3)サーバアクセス処理の動作
次に、第2の実施形態のネットワーク9Bにおけるサーバアクセス処理の動作について図16を参照して説明する。
【0126】
図16は、IPv4端末4Aが、IPv6サーバ5A及び5Bの2つのサーバにアクセスするときの一例を示すシーケンス図である。
【0127】
まず、IPv4端末4Aは、DNSサーバ2に対して、「www.aaa.com」のIPv4アドレスをDNSクエリを送信して問い合わせを行う(ステップS401)。DNSサーバ2は、問い合わせを受けたホスト名「www.aaa.com」に対応するサーバIPv4アドレスを、DNSデータベース231から検索し、検索により得られたIPv4アドレス「V4x」をIPv4端末4Aに応答する(ステップS402)。
【0128】
IPv4端末4Aは、DNSサーバ2から得られたIPv4アドレス「V4x」を送信先アドレスとしてTCP接続を行い(S403)、サーバへのアクセス要求(GETリクエスト)をトランスレータ装置1に送信する(ステップS404)。
【0129】
トランスレータ装置1では、HTTP処理部14において、DNSクエリ処理部51が、IPv4端末4AからのGETリクエストに含まれるHost行からホスト名「www.aaa.com」を取り出してDNSクエリを生成し(ステップS405)、DNSクエリをDNSサーバ2に送信する(ステップS406)。
【0130】
DNSサーバ2は、トランスレータ装置1側から問い合わせを受けたホスト名「www.aaa.com」に対応するサーバIPv6アドレスを、DNSデータベース231から検索し、検索により得られたIPv6アドレス「V6a」をトランスレータ装置1に応答する(ステップS407)。
【0131】
トランスレータ装置1では、受信したDNSクエリ応答に基づいて、転送先サーバアドレス表141を作成する。また、HTTP処理部14の転送先サーバアドレス検索部143が、転送先サーバアドレス表141を検索して、当該転送先サーバのIPv6アドレスを特定する(ステップS408)。この場合、GETリクエストのHost行からホスト名「www.aaa.com」に基づいて、転送先サーバアドレス表141から転送先IPアドレス「V6a」を特定する。
【0132】
トランスレータ装置1は、特定した転送先IPアドレス「V6a」を送信先アドレスとしてTCP接続を行う(ステップS409)。また、TCP終端後、HTTP処理部14が生成したHTTP処理プロセス140が、IPv4端末4Aからのパケットについて、IPv4からIPv6へのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、送信先アドレスを「V6a」としたGETリクエストを送信する(ステップS410)。
【0133】
そして、IPv6サーバ5AがHTTP応答をトランスレータ装置1に送信し(ステップS411)、トランスレータ装置1がIPv6からIPv4へのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、HTTP応答をIPv4端末4Aに送信する(ステップS412)。
【0134】
その後、IPv6サーバ5Aとトランスレータ装置1との間のTCP接続を切断し(ステップS413)、またトランスレータ装置1とIPv4端末4Aとの間のTCP接続を切断する(ステップS414)。
【0135】
なお、ステップS415、S416以降の処理は、IPv4端末4AがIPv6サーバ5Bのホスト名「www.bbb.com」に基づいてDNSサーバ2に名前解決の問い合わせを行い、サーバアクセスする場合の処理であり、上述したステップS401〜ステップS414で説明した処理と同様に行う。
【0136】
(B−4)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、IPv4端末4からのサーバアクセスを契機にHTTPヘッダのホスト名を用いてDNSプロトコルでサーバアドレスの問合せを行い、プル型でサーバアドレス情報設定することで、新規にDNSサーバ2を設置することなく、既存のDNSサーバ2にて当該システムを構成することができる。これにより、システム構築のコストを抑制することができる。
【0137】
(C)他の実施形態
第1及び第2の実施形態において、トランスレータ装置及びDNSサーバのそれぞれの処理は、いわゆるソフトウェア処理により実現されるものである。例えば、トランスレータ装置及びDNSサーバは、CPU、ROM、RAM等を有して構成されるものであり、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより、第1及び第2の実施形態で説明した処理を実現する。
【符号の説明】
【0138】
1…トランスレータ装置、
11…送受信部、12…IPv4処理部、13…TCP処理部、
14…HTTP処理部、15…TCP処理部、16…IPv6処理部、
17…送受信部、18…管理部、
140−1〜140−n…HTTP処理プロセス、141…転送先サーバアドレス表、
142…転送先サーバアドレス表作成部、143…HTTP処理プロセス検索部、
144…転送先サーバアドレス検索部、145…HTTP処理プロセス生成部、
51…DNSクエリ処理部、
2…DNSサーバ、
21…送受信部、22…DNSクエリ応答部、23…DNSデータ生成部、
231…DNSデータベース、24…サーバアドレス情報生成部、
25…DNSデータ登録部、26…送受信部、
3…管理端末、4(4A、4B)…IPv4端末、5(5A、5B)…IPv6サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第1送受信手段と、
1又は複数のサーバが配置された第2ネットワークと接続する第2送受信手段と、
上記第2ネットワーク上の上記各サーバのアドレス情報を格納する転送先サーバアドレステーブルと、
上記第1送受信手段が上記各端末から上記サーバへのアクセス要求を受信すると、上記各端末との終端後に、上記各端末とのパケット情報に基づいて上記各端末に関する第1終端点情報を生成する第1終端点生成手段と、
上記各端末からのパケット情報に基づいて、上記転送先サーバアドレステーブルから転送先サーバのアドレス情報を検索する転送先検索手段と、
上記転送先検索手段により検索されたアドレス情報を用いて、上記各サーバとの終端後に、上記各サーバとのパケット情報に基づいて上記各サーバに関する第2終端点情報を生成する第2終端点生成手段と、
上記第1終端点情報と上記第2終端点情報とを関連付けて、上記各端末と上記各サーバとの間で授受されるパケットのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、パケット転送処理を行う転送処理手段と
を備えることを特徴とするトランスレータ装置。
【請求項2】
上記転送先サーバアドレステーブルは、上記第2ネットワーク上の上記各サーバの名称とアドレス情報とが対応付けられたものであり、
上記転送先検索手段が、上記各端末から受信したパケットに含まれる転送先サーバの名称を抽出し、この転送先サーバの名称に対応するアドレス情報を上記転送先サーバアドレステーブルから検索するものであることを特徴とする請求項1に記載のトランスレータ装置。
【請求項3】
上記各サーバの名前解決を行う名前解決サーバから、上記各サーバの名称とアドレス情報を含むサーバアドレス情報を受信すると、当該受信した上記サーバアドレス情報に基づいて、上記転送先サーバアドレステーブルを作成する転送先サーバアドレステーブル作成手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスレータ装置。
【請求項4】
上記各端末との終端後、上記各端末から受信したパケットに含まれる転送先サーバの名称を抽出して、当該転送先サーバのアドレス情報を名前解決サーバに問い合わせを行う転送先アドレス問い合わせ手段と、
上記名前解決サーバから上記転送先サーバのアドレス情報を含む応答を受け、上記転送先サーバの名称と上記アドレス情報とに基づいて、上記転送先サーバアドレステーブルを作成する転送先サーバアドレステーブル作成手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスレータ装置。
【請求項5】
複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第1送受信手段と、
1又は複数のサーバが配置された第2ネットワークと接続する第2送受信手段と、
上記第2ネットワーク上の上記各サーバのアドレス情報を格納する転送先サーバアドレステーブルと
を備え、
第1終端点生成手段が、上記第1送受信手段が上記各端末から上記サーバへのアクセス要求を受信すると、上記各端末との終端後に、上記各端末とのパケット情報に基づいて上記各端末に関する第1終端点情報を生成する第1終端点生成工程と、
転送先検索手段が、上記各端末からのパケット情報に基づいて、上記転送先サーバアドレステーブルから転送先サーバのアドレス情報を検索する転送先検索工程と、
第2終端点生成手段が、上記転送先検索手段により検索されたアドレス情報を用いて、上記各サーバとの終端後に、上記各サーバとのパケット情報に基づいて上記各サーバに関する第2終端点情報を生成する第2終端点生成工程と、
転送処理手段が、上記第1終端点情報と上記第2終端点情報とを関連付けて、上記各端末と上記各サーバとの間で授受されるパケットのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、パケット転送処理を行う転送処理工程と
を有することを特徴とするアドレス体系変換方法。
【請求項6】
複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第1送受信手段と、
1又は複数のサーバが配置された第2ネットワークと接続する第2送受信手段と、
上記第2ネットワーク上の上記各サーバのアドレス情報を格納する転送先サーバアドレステーブルと
を備えるコンピュータを、
上記第1送受信手段が上記各端末から上記サーバへのアクセス要求を受信すると、上記各端末との終端後に、上記各端末とのパケット情報に基づいて上記各端末に関する第1終端点情報を生成する第1終端点生成手段、
上記各端末からのパケット情報に基づいて、上記転送先サーバアドレステーブルから転送先サーバのアドレス情報を検索する転送先検索手段、
上記転送先検索手段により検索されたアドレス情報を用いて、上記各サーバとの終端後に、上記各サーバとのパケット情報に基づいて上記各サーバに関する第2終端点情報を生成する第2終端点生成手段、
上記第1終端点情報と上記第2終端点情報とを関連付けて、上記各端末と上記各サーバとの間で授受されるパケットのアドレス変換及びプロトコル変換を行い、パケット転送処理を行う転送処理手段
として機能させることを特徴とするアドレス体系変換プログラム。
【請求項7】
複数の端末が配置された第1ネットワークと接続する第3送受信手段と、
第2ネットワークを介して、請求項1〜4のいずれかに記載のトランスレータ装置と接続する第4送受信手段と、
上記第2ネットワーク上の上記各サーバの名称及び第1アドレス情報と、上記トランスレータ装置の上記第1送受信手段に付与されている上記第1ネットワーク上の第2アドレス情報とを対応付けた名前解決データベースと、
管理端末から上記各サーバの名称及び上記第1アドレス情報を受信し、受信した上記各サーバの名称及び上記第1アドレス情報と共に、上記トランスレータ装置の上記第2アドレスを対応付けて上記名前解決データベースに登録する名前解決情報登録手段と
を備えることを特徴とする名前解決サーバ。
【請求項8】
上記名前解決情報登録手段による上記名前解決データベースへの登録が行なわれると、上記各サーバの名称及び上記第1アドレス情報を、上記トランスレータ装置に与えることを特徴とする請求項7に記載の名前解決サーバ。
【請求項9】
上記各端末又は上記トランスレータ装置から転送先サーバのアドレス情報の問い合わせを受けると、上記転送先サーバの名称に対応する上記第2アドレス情報又は上記第1アドレス情報を、上記名前解決データベースから検索して、上記各端末又は上記トランスレータ装置に応答する名前解決処理手段を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の名前解決サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−151606(P2011−151606A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11130(P2010−11130)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】