説明

トルクロッドの結合構造

【課題】車両前後方向に延在する左右一対のシャシフレームと、車幅方向に延在するアクスルの中央部との間を、V字状に結合する2本のトルクロッドの前記アクスル側に対する結合構造において、Vロッドと同様に車幅方向および車両前後方向の揺れを抑制する機能を有するとともに、組み立て、取り外しの作業性を向上するトルクロッドの結合構造を提供すること。
【解決手段】2本のトルクロッド6R、6LをV字状に結合する夫々の端部に設けられた貫通孔36、38が上下方向に同一軸線X上に重合され、前記貫通孔36、38に嵌合して前記2本のトルクロッド6R、6Lを前記アクスルハウジング3に取付ける取付け機構30を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前後方向に延在する左右一対のシャシフレームと、車幅方向に延在するアクスルの中央部との間を、V字状に結合する2本のトルクロッドの前記アクスル側に対する結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
大型トラックにおいては、通常、後車軸のサスペンション装置に、エアスプリングを用いたエアサスペンション装置を装備している。
かかるエアサスペンション装置を装備した車両においては、エアスプリングによる柔軟支持のため、車体フレーム側とアクスル側(車軸側)との間に、車両前後方向の揺れを抑制するラジアスロッド、車幅方向および車両前後方向の揺れを抑制するVロッド、及び車両のローリングを抑制するスタビライザーが装着されている。
【0003】
このうち、車幅方向および車両前後方向の揺れを抑制するVロッドは、基部がアクスルハウジングに取付けられてアクスル側取付部を構成するとともに、両端部が左右一対のシャシフレームに取付けられてフレーム側取付部を構成して前記基部から外側にV字状に拡開されて形成されている。
【0004】
図7は、大型トラックにおけるVロッドの取付構造を示す平面図である。図7において、左右一対のシャシフレーム1、1間に車幅方向に沿ってアクスルハウジング3が設けられ、Vロッド5が、アクスルハウジング3と左右一対のシャシフレーム1、1との間に、基部が前記アクスルハウジング3に取付けられてアクスル側取付部7を構成するとともに、両端部が前記左右一対のシャシフレーム1、1に取付けられてフレーム側取付部9を構成している。このように外側にV字状に拡開されて設けられて、車幅方向の揺れ、前後方向の揺れの両方に対して抑制するものである。
【0005】
さらに、アクスル側取付部7は、アクスルハウジング3から立設されたアクスル側ブラケット11に、Vロッド5の交差部のボス部13に回動可能に支持されたピン部材15の両端部を4本のボルト17によって固定する。
フレーム側取付部9は、シャシフレーム1とクロスメンバ19との交差部分において、コ字状断面形状を有するシャシフレーム1の内側縦壁面に図示しないボルトで車体側ブラケット21が取付けられている。その車体側ブラケット21にVロッド5の先端部に回動可能に支持された支持ピン23の両端部が2本のボルト25によって固定される。左右のシャシフレーム1、1それぞれに対して車体側ブラケット21が取付けられて、同様の構造によって固定する。
【0006】
また、Vロッドの取り付け構造については、特許文献1(特開平10−324124号公報)が知られており、かかる特許文献1の技術は、V字状に拡開して形成されたVロッドのアクスル側端部をアクスル側ハウジングにボルトで固定した後、両端部を左右一対のシャシフレームに固定する構造であり、フレーム側取付部のボルト締め時にVロッドの両端部を車体側ブラケットにあてがう際に、大重量のVロッドを支えておく必要があることから、取付けボルトのうちの1本を車体側ブラケットに植込みボルトとして、該植込みボルトでVロッド側端部の重量を支持させることにより、Vロッドの落下を防止してVロッドの取付作業を容易化している。
【0007】
【特許文献1】特開平10−324124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記したような、Vロッド5を装着したエアサスペンション装置においては、該Vロッド5を取付ける際には、図7に示すようにアクスル側取付部7を作業員によりVロッド5が水平になるように人力で保持した状態で、Vロッド5の対をなす先端部を、車体側ブラケット21にボルト25で固定し、その後、Vロッド5の交差部のピン部材15を、アクスル側取付部7のアクスル側ブラケット11にボルト17によって締着している。
【0009】
また、Vロッド5の対をなす先端部が取付けられる車体側ブラケット21は、シャシフレーム1のコ字状断面形状の内側縦壁面に取付けられるため、図7に示すように、コ字状断面形状の上下壁部27、27が車体側ブラケット21と支持ピン23の取付け面より車幅内側に入り、すなわち、Vロッド5の開き角度θが、左右のシャシフレーム1、1の内側スパンL1に対して大きい状態になっている。
【0010】
このため、Vロッド5を左右のシャシフレーム1、1間において真っ直ぐに上下方向から装着しようとするとL2だけVロッド5の先端部が大きく、Vロッド5を斜めにしてVロッド5の両端部を車体側ブラケット21の取付面へ合せるように装着しなければならず、Vロッド5が重量物であることによって前記したような人力による水平状態の維持作業が困難であることに加えて、このような車体側ブラケット21への装着の困難さが、一層、Vロッド5の組み立て、取り外しの作業性を低下する。
さらに、Vロッド5が設けられるリヤアクスル近傍にはブレーキ配管や種々の車両機器が装着されているため、整備点検時において、ブレーキ配管や機器類に損傷を与えないようにVロッド5の取付け取り外しを行わなければならないため、着脱作業が煩雑化し、作業工数を多く要する。
【0011】
また、特許文献1の技術にあっては、フレーム側取付部のボルト締め時にVロッドの両端部を車体側ブラケットにあてがう際に、大重量のVロッドを支えておく必要があることから、取付けボルトのうちの1本を車体側ブラケットに植込みボルトとして、該植込みボルトでVロッド側端部の重量を支持させているが、Vロッドの開き角度が左右のシャシフレームの内側スパンに対して大きい状態になっているため、前記した図7の状態と同様に、Vロッドの組み立て、取り外しの作業性を低下させる問題を有している。
【0012】
そこで、本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、車両前後方向に延在する左右一対のシャシフレームと、車幅方向に延在するアクスルの中央部との間を、V字状に結合する2本のトルクロッドの前記アクスル側に対する結合構造において、Vロッドと同様に車幅方向および車両前後方向の揺れを抑制する機能を有するとともに、組み立て、取り外しの作業性を向上するトルクロッドの結合構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、車両の前後方向に延在する左右一対のシャシフレームと、車幅方向に延在するアクスルの中央部との間を、V字状に結合する2本のトルクロッドの前記アクスル側に対する結合構造において、前記2本のトルクロッドのV字状に結合する夫々の端部に設けられた貫通孔が上下方向に同一軸線上に重合され、前記貫通孔に嵌合して前記2本のトルクロッドを前記アクスルに取付ける取付け機構を備えたことを特徴とする。
【0014】
かかる発明によれば、アクスルの中央部に2本のトルクロッドをV字状に結合する夫々の端部に設けられた貫通孔が上下方向に同一軸線上に重合され、取付け機構によってアクスルに取付ける構造としたので、着脱の際に、2本のトルクロッドを別々に取り扱うことが可能となる。
すなわち、2本のトルクロッドのなす角度を任意に折り畳むことが可能となり、その結果、従来のようなVロッドのなす角が一定の大物に対するよりも取り扱い単位が小さくなるので、ブレーキ配管や種々の車両機器が装着されているリヤアクスル近傍においても、ブレーキ配管や他の機器の影響を受けずに、さらに、V字状の開き角度が、左右のシャシフレームの内側スパンに対して大きい状態であっても、V字状の開き角度の影響を受けずに、着脱作業が容易となり作業工数の低減が可能となる。
【0015】
さらに、V字状に開いて取付けられるそれぞれのトルクロッドは、アクスルの中央部と左右のシャシフレームを連結して車体前後方向に対して斜めに配置されるため、車幅方向および車体前後方向の揺れを抑制する機能を発揮し、V字状に一体に形成されてなるVロッドと同様の車幅方向、車体前後方向の揺れに対する抑制作用を発揮できる。
【0016】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記取付け機構は前記アクスル側に起立した球状部と、前記2本のトルクロッドの端に設けられ、前記球状部に対応した形状を有し、前記球状部に外嵌する結合部とを備え、前記シャシフレームが車両前後方向に延びる車幅中心線を中心に捩れたときに、該捩れを許容するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
かかる請求項2記載の発明によれば、車幅方向中心を中心に車体側またはアクスル側が捩れたときでも、前記2本のトルクロッドの端にはアクスル側に起立した球状部に対応した形状を有して球状部に外嵌する結合部とを備えるため、シャシフレームおよびアクスルには無理な曲げ変形荷重が作用しないため、サスペンション装置の耐久性、信頼性が向上する。
【0018】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記取付け機構は前記貫通孔に遊嵌し、前記2本のトルクロッドを前記アクスル側に取付ける取付ボルトと、前記貫通孔との間に弾性部材を介装したことを特徴とする。
【0019】
かかる請求項3記載の発明によれば、車幅方向中心を中心に車体側またはアクスル側が捩れたときでも、前記2本のトルクロッドを前記アクスル側に取付ける取付ボルトと、前記貫通孔との間に弾性部材を介装したので、シャシフレームおよびアクスルには無理な曲げ変形荷重が作用しないため、サスペンション装置の耐久性、信頼性が向上する。
【0020】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記2本のトルクロッドのV字状に重合される結合部は、上下方向下側に配置されるトルクロッドの前記端部は略上半分が削除された当接面を有し、上側に配置されるトルクロッドの前記端部は略下半分が削除された当接面を有し、夫々の当接面が当接されて結合されてなることを特徴とする。
【0021】
かかる請求項4記載の発明によれば、上下方向下側に配置されるトルクロッドの前記端部は略上半分が削除された当接面を有し、上側に配置されるトルクロッドの前記端部は略下半分が削除された当接面を有し、夫々の当接面が当接されて結合されるので、結合部の上下方向のロッドが占めるスペースを小さくすることができるので、コンパクトになり、周囲のブレーキ配管や他の機器の影響を受けずに、取付け、取外しができるため着脱作業が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両前後方向に延在する左右一対のシャシフレームと、車幅方向に延在するアクスルの中央部との間を、V字状に結合する2本のトルクロッドの前記アクスル側に対する結合構造において、車幅方向および車両前後方向の揺れを抑制する機能を有するとともに、組み立て、取り外しの作業性を向上するトルクロッドの結合構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0024】
本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は本発明の第1の実施形態にかかるトルクロッドの結合構造を示す平面図である。図2は図1のA−A線断面図である。図3は第2の実施形態を示す平面図である。図4は図3のB−B線断面図である。図5は図3のC−C線断面図である。図6は図3のD−D線断面図である。
【0025】
図1は本発明の第1の実施形態に係る大型トラック用エアサスペンション装置のV字状に配設された2本のトルクロッドの装着部近傍の要部平面図である。なお、図7に示すVロッドの装着部近傍の構成要素と同等の構成要素については同一の符号を付して説明する。
【0026】
図1において、左右一対のシャシフレーム1、1間に車幅方向に沿ってアクスルハウジング(アクスル)3が設けられ、V字状に結合する2本のトルクロッド6R、6Lが、アクスルハウジング3と左右一対のシャシフレーム1、1との間に、一端部が前記アクスルハウジング3に取り付けられてアクスル側取付部8を構成するとともに、他端部が前記シャシフレーム1に取付けられてフレーム側取付部9を構成して結合している。
【0027】
そして、V字状に開いて取付けられるそれぞれのトルクロッド6R、6Lは、アクスルハウジング3の中央部と左右のシャシフレーム1、1を連結して車体前後方向に対して斜めに配置される。このため、トルクロッド6R、6Lはそれぞれ単独で車幅方向および車体前後方向の揺れを抑制する機能を発揮し、V字状に一体に形成されてなるVロッド5と同様の車幅方向、車体前後方向の揺れに対する抑制作用を得ることができるものである。図1のY方向は車体前後方向を示し、Z方向は車幅方向を示す。
【0028】
図2は図1のA−A線断面図であり、図2に示すように、V字状に結合する2本のトルクロッド6R、6Lの交差部分の端部は、球面すべり軸受機構からなる取付け機構30によってアクスルハウジング3側と結合している。
【0029】
図1でV字状の右側に位置するトルクロッド6RのV字状の交差部分の端部には図2に示す下側ソケット31Aが形成され、またV字状の左側に位置するトルクロッド6LのV字状の交差部分の端部には図2に示す上側ソケット31Bが形成されている。
この上側ソケット31Bの内周部は、径方向に凹状の球面形の断面形状からなる貫通孔36が形成され、同様に下側ソケット31Aの内周も、径方向に凹状の球面形の断面形状からなる貫通孔38が形成されている。下側ソケット31Aと上側ソケット31Bによって結合部31を構成している。
【0030】
また、前記上側ソケット31Bの凹状断面形の貫通孔36に内嵌するように、径方向に凸状の球面形の断面形状を有した上側レース33Bが設けられている。また、同様に下側ソケット31Aの凹状断面形の貫通孔38に内嵌するように、径方向に凸状の球面形の断面形状を有した下側レース33Aが設けられている。下側レース33Aと上側レース33Bによって球状部33を構成している。
また、下側レース33A、および上側レース33Bは、上下に同一軸線X上に重合して配置される。
【0031】
前記上側レース33B、下側レース33Aは、それぞれ支柱32に嵌合される円環形状からなり、そのレース33A、33Bそれぞれの上下両側には、それぞれ支柱32に適宜なはめ合いで外嵌される円環状の固定リング34、34が設けられている。そして固定リング34のレース33A、33Bへの当接側にはテーパ面39が形成されている。
また、支柱32は上下方向にスタッドボルトが設けられ上部スタッドボルト40にはナット41が、下部スタッドボルト42にはナット43が螺合されている。なお、下部スタッドボルト42にナット43を螺合するのではなく、支柱32内に形成された雌螺子部にボルトを螺合するように構成してもよい。
【0032】
そして、上部スタッドボルト40を締付けることで、支柱32の外周に上下に重ねられた上側レース33B、下側レース33Aは、その上側レース33B、下側レース33Aの上下端面に形成されたテーパ面に固定リング34のテーパ面39が圧接して、支柱32に対して上下に位置決めされて固定される。
このように、上側レース33B、下側レース33Aが支柱32に固定された状態でトルクロッド6R、6Lはそれぞれ回動でき、折り畳みできるとともに、上下それぞれのレース33A、33Bの凸状の球面形の外面に対して上下のそれぞれのソケット31A、31Bの凹状の球面形の内面が摺動できるように構成されている。
【0033】
下部スタッドボルト42は、支柱32を支持する支柱ブラケット45にナット43によって固定される。支柱ブラケット45は、支柱ブラケット45の下面に一体に形成された筒部47が、アクスルハウジング3側に設けられた凹陥部49にインロー嵌合されて支柱ブラケット45がアクスルハウジング3に位置決め固定されて、ボルト51によってアクスルハウジング3に取付けられる。
【0034】
2本のトルクロッド6R、6Lを取付けるには、予め支柱ブラケット45に支柱32、左右のトルクロッド6R、6Lのそれぞれのソケット31A、31Bを重ね合わせて組みつけて、ナット41を締め付けて、支柱32に対して左右のトルクロッド6R、6Lをそれぞれ固定する。トルクロッド6R、6Lを折り畳んで交差角度を狭めてθ'として、左右のシャシフレーム1、1の内側スパンL1に対して傾けずに通過して、その後、支柱ブラケット45をアクスルハウジング3に固定し、左右のトルクロッド6R、6Lの先端部を車体側ブラケット21の位置に当接するように交差角度を拡げて、車体側ブラケット21にボルト25で締着する。
【0035】
以上の実施の形態によれば、アクスルハウジング3の中央部に2本のトルクロッド6R、6LをV字状に結合する夫々の端部に設けられた貫通孔36、38が上下方向に同一軸線X上に重合され、球面すべり軸受機構からなる取付け機構30によってアクスルに取付ける構造としたので、着脱の際に、2本のトルクロッド6R、6Lを別々に取り扱うことが可能となる。
すなわち、図1に示すように、2本のトルクロッド6R'、6L'のなす角度をθ'の任意に折り畳むことが可能となり、その結果、従来のようなVロッドのなす角θが一定の大物に対するよりも取り扱い単位が小さくなるので、ブレーキ配管や種々の車両機器が装着されているリヤアクスル近傍においても、ブレーキ配管や他の機器の影響を受けずに、さらに、V字状の開き角度が、左右のシャシフレームの内側スパンに対して大きい状態であっても、V字状の開き角度の影響を受けずに、着脱作業が容易となり作業工数の低減ができる。
【0036】
また、車幅方向中心を中心に車体側またはアクスル側が捩れたときでも、2本のトルクロッド6R、6L端部には、アクスルハウジング3側に起立した上側レース33B、下側レース33Aに対応した形状を有して外嵌する上側ソケット31Bと下側ソケット31Aからなる結合部31を備えるため、シャシフレーム1、1およびアクスルハウジング3には無理な曲げ変形荷重が作用しないため、大型トラック用エアサスペンション装置の耐久性、信頼性が向上する。
【0037】
次に、図3〜図6を参照して、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、取付け機構59が異なり、その他の構成要素は同一であり、同一符号を付して説明を省略する。第2の実施形態による取付け機構59は、取付ボルト61による固定によって構成されている。
【0038】
図3でV字状の右側に位置するトルクロッド60Rと、左側に位置するトルクロッド60Lのそれぞれ端部は、取付ボルト61によって上下に同一軸線X上に重合さけてアクスルハウジング3に取り付けられている。
そして、図4に示すように、V字状に結合するトルクロッド60Lが上側に位置し、トルクロッド60Rが下側に位置し、トルクロッド60Lには貫通孔63が、トルクロッド60Rには貫通孔65がそれぞれ形成され、取付けボルト61と、貫通孔63、65との間に弾性部材67が介装されている。この弾性部材67は、硬質ゴムからなる部材であり、シャシフレーム1、1およびアクスルハウジング3に無理な曲げ変形荷重が作用しないようになっている。
【0039】
このため、車幅方向中心を中心に車体側またはアクスル側が捩れたときでも、2本のトルクロッド60R、60Lをアクスルハウジング3に取付ける取付ボルト61と、貫通孔63、65との間に弾性部材67を介装したので、シャシフレーム1、1およびアクスルハウジング3に無理な曲げ変形荷重が作用しないため、サスペンション装置の耐久性、信頼性が向上する。
【0040】
図5、図6に示すように、2本のトルクロッド60R、60LのV字状に重合される結合部は、上下方向下側に配置されるトルクロッド60Rの端部は略上半分が削除された当接面71を有し、上側に配置されるトルクロッド60Lの端部は略下半分が削除された当接面73を有し、夫々の当接面71、73が当接されて結合されるようになっている。
【0041】
従って、結合部を構成する上下方向のトルクロッド60R、60Lによって占めるスペースを、小さくすることができるので、コンパクトになり、周囲のブレーキ配管や他の機器の影響を受けずに、取付け、取外しができるため着脱作業が容易となる。
【0042】
2本のトルクロッド60R、60Lを取付けるには、それぞれのトルクロッド60R、60Lを別々に単独で一端部をアクスルハウジング3の取付け面と、他端部を車体側ブラケット21に当接して、車体側ブラケット21にボルト25で他端部を締結して、その後左右のトルクロッド60R、60Lの一端部を取付ボルト61で固定する。
【0043】
以上の第2の実施形態によれば、第1実施形態と同様に、2本のトルクロッド60R、60Lのなす角度を任意に折り畳むことが可能となり、従来のようなVロッドのなす角が一定の大物に対するよりも取り扱い単位が小さくなるので、ブレーキ配管や種々の車両機器が装着されているリヤアクスル近傍においても、ブレーキ配管や他の機器の影響を受けずに着脱作業が容易となり作業工数の低減が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、Vロッドと同様に車幅方向および車両前後方向の揺れを抑制する機能を有するとともに、組み立て、取り外しの作業性を向上するトルクロッドの結合構造を提供することができるので、車両前後方向に延在する左右一対のシャシフレームと、車幅方向に延在するアクスルの中央部との間を、V字状に結合する2本のトルクロッドの前記アクスル側に対する結合構造への適用に際して有益である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるトルクロッドの結合構造を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】第2の実施形態にかかるトルクロッドの結合構造を示す平面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図3のC−C線断面図である。
【図6】図3のD−D線断面図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 シャシフレーム
3 アクスルハウジング(アクスル)
6R、6L、60R、60L トルクロッド
8 アクスル側取付部
9 フレーム側取付部
30 取付け機構
31 結合部
31A 下側ソケット
31B 上側ソケット
33 球状部
33A 下側レース
33B 上側レース
36、38、63、65 貫通孔
67 弾性部材
71、73 当接面
X 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延在する左右一対のシャシフレームと、車幅方向に延在するアクスルの中央部との間を、V字状に結合する2本のトルクロッドの前記アクスル側に対する結合構造において、
前記2本のトルクロッドのV字状に結合する夫々の端部に設けられた貫通孔が上下方向に同一軸線上に重合され、前記貫通孔に嵌合して前記2本のトルクロッドを前記アクスルに取付ける取付け機構を備えたことを特徴とするトルクロッドの結合構造。
【請求項2】
前記取付け機構は前記アクスル側に起立した球状部と、前記2本のトルクロッドの端に設けられ、前記球状部に対応した形状を有し、前記球状部に外嵌する結合部とを備え、前記シャシフレームが車両前後方向に延びる車幅中心線を中心に捩れたときに、該捩れを許容するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のトルクロッドの結合構造。
【請求項3】
前記取付け機構は前記貫通孔に遊嵌し、前記2本のトルクロッドを前記アクスル側に取付ける取付ボルトと、前記貫通孔との間に弾性部材を介装したことを特徴とする請求項1記載のトルクロッドの結合構造。
【請求項4】
前記2本のトルクロッドのV字状に重合される結合部は、上下方向下側に配置されるトルクロッドの前記端部は略上半分が削除された当接面を有し、上側に配置されるトルクロッドの前記端部は略下半分が削除された当接面を有し、夫々の当接面が当接されて結合されてなることを特徴とする請求項1記載のトルクロッドの結合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−162507(P2008−162507A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356580(P2006−356580)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】