説明

トレー送り機構

【課題】トレーの円滑な送り駆動を容易に実現することのできるトレー送り機構の提供。
【解決手段】トレー2を縦方向走行レール及び横方向走行レール上に支持し、各送りローラを縦方向又は横方向に選択的に切換え、第1のレール3a又は第2のレール3bと同一方向に一致させて、トレー2を縦方向又は横方向に送り駆動するトレー送り機構において、第1のレール3aと第2のレール3bの各交差部3cに十字形の間欠部を形成するとともに、各間欠部3cに、水平方向に揺動自在に軸支され、外周が第1のレール3a及び第2のレール3bの端部と隣接し、かつ、送りローラと係合可能な摺接面が第1のレール3a及び第2のレール3bと面一となるように配設される旋回プレート6を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を格納する機械式駐車場装置や各種物品を格納する自動倉庫設備等にあって、物品を載せるトレーの移動に用いられるトレー送り機構に関する。
【背景技術】
【0002】
各種物品格納装置、中でもパズル式の平面循環型駐車設備では、自動車の格納階層の駐車スペースに自動車を載せる複数のトレーがマトリックス状に配置され(但し、少なくとも1箇所にトレーのない空スペースが設定されて)、これらのトレーが、トレー送り機構によって、前後及び左右の4方向、或いは前後又は左右の2方向に送られるようになっている。
【0003】
この種のものとして、従来、物品を載せる複数のトレーと、各トレー下面に設けられ、縦方向又は横方向に延びる第1のレール、及び第1のレールに対して交差状に横方向又は縦方向に対して延びる第2のレールを有し、第1のレールと第2のレールの各交差部に十字形の間欠部が形成される送り用レールと、各間欠部に回転可能に軸支され、第1のレール又は第2のレールと同一方向に選択的に切換えられる一対の可動レールと、トレーに設けられ、トレーを縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪、トレーを横方向に走行可能に支持する複数の横方向車輪、平面上に設けられ、各縦方向車輪を案内し、トレーを縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール、及び各横方向車輪を案内し、トレーを横方向に走行案内する複数の横方向走行レールを有し、各トレーを平面上で支持走行する複数のトレー支持走行手段と、各トレーの各可動レールに対応して、各可動レールに係合する一対の送りローラ、各送りローラを回転駆動する一対のローラ駆動手段、各送りローラを水平方向に旋回可能に支持する一対の送りローラ方向転換手段、及び送りローラ方向転換手段に作動連結され、各送りローラ方向転換手段を駆動して、各送りローラを前記第1又は第2のレールに向けるローラ方向切換手段を有し、各トレーを送り駆動する複数のトレー駆動装置と、一対の送りローラに近接して併設され、各可動レールを両側方から挟持し、水平方向に回転可能な複数の送りガイドローラとを備え、制御手段の制御プログラムにしたがってローラ方向切換手段を回転駆動し、これに応じて各送りローラが、各送りローラに圧接され、かつ各送りガイドローラに挟持されたトレーの可動レールとともに90度回転し、この状態でローラ駆動手段により各送りローラを回転駆動し、トレーを指定の区画に向けて送り駆動するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−104661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のものでは、各トレーの第1のレールと第2のレールの各交差部に形成される十字形の間欠部には、回転可能に軸支され、第1のレール又は第2のレールと同一方向に選択的に切換えられる可動レールが設けられ、トレー駆動装置の各送りローラは各可動レールにそれぞれ係合するとともに、各可動レールは各送りガイドローラにより挟持されるようになっている。そして、トレーの送り駆動を円滑に行うためには、トレーの送り方向変更に際して各可動レールを第1のレール又は第2のレールに対して正確に位置決めする必要がある。このため、各可動レールのトレーに対する高精度かつ高剛性な支持、各送りガイドローラによる各可動レールの正確な挟持、及びローラ方向切換手段によるローラ方向転換手段の高精度な駆動が求められるが、経年的に各機器に若干の精度低下があると、各可動レールの第1のレール又は第2のレールに対する位置決めのずれとなって表れ、ひいてはトレーの円滑な送り駆動に支障を来たすという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、トレーの円滑な送り駆動を容易に実現することのできるトレー送り機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、物品を載せる複数のトレーと、各トレー下面に設けられ、縦方向又は横方向に延びる第1のレール、及び前記第1のレールに対して交差状に横方向又は縦方向に対して延びる第2のレールを有する送り用レールと、前記トレー又は平面上のいずれか一方に設けられ、前記トレーを縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪、前記トレーを横方向に走行可能に支持する横方向車輪、他方に設けられ、前記各縦方向車輪を案内し、又は前記各縦方向車輪に案内され、前記トレーを縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール、及び前記各横方向車輪を案内し、又は前記各横方向車輪に案内され、前記トレーを横方向に走行案内する複数の横方向走行レールを有し、前記各トレーを平面上で支持走行する複数のトレー支持走行手段と、前記送り用レールに摺接する一対の送りローラ、各送りローラを回転駆動する一対のローラ駆動手段、前記各送りローラを水平方向に旋回可能に支持する一対の送りローラ方向転換手段、及び前記送りローラ方向転換手段に作動連結され、前記各送りローラ方向転換手段を駆動して、前記各送りローラを前記第1又は第2のレールに向けるローラ方向切換手段を有し、前記各トレーを送り駆動する複数のトレー駆動装置とを備え、前記各送りローラを縦方向又は横方向に選択的に切換え、前記第1又は第2のレールと同一方向に一致させて、前記トレーを縦方向又は横方向に送り駆動するトレー送り機構において、前記第1のレールと前記第2のレールの各交差部に十字形の間欠部を形成するとともに、各間欠部に、水平方向に揺動自在に軸支され、外周が前記第1のレール及び前記第2のレールの端部と隣接し、かつ、前記送りローラと係合可能な摺接面が前記第1のレール及び前記第2のレールと面一となるように配設される旋回プレートを備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明の請求項1に係る発明は、トレーの送り方向を変える場合、各間欠部に備えられる各旋回プレートと各送りローラとを係合させた状態でローラ方向切換手段を回転駆動する。これに応じて各送りローラは、各送りローラと圧接された各旋回プレートとともに90度回転する。次いで、ローラ駆動手段により各送りローラを回転駆動することで、各送りローラは各旋回プレートから第1のレール或いは第2のレールへと摺接位置を変えつつ、トレーを指定の区画に向けて送り駆動する。このように、各送りローラの方向転換位置となる各旋回プレートはその外周が第1のレール及び第2のレールの端部に対して常に隣接する形状であることから、従来のように可動部材の第1のレール及び第2のレールに対する正確な位置決めを要することがなく、したがって、トレーの円滑な送り駆動を簡易な構造で実現することができる。また、各旋回プレートは水平方向に揺動自在に軸支されるものであり、各送りローラとの摩擦係合により各送りローラに同期して回動することから、各送りローラの方向転換を円滑に行うことができる。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記トレー又は平面上のいずれか一方に、前記縦方向走行レールに沿って延設され、前記各縦方向車輪の側面と摺接可能な高さ寸法を有して配設される複数の縦方向ガイドレール、及び前記横方向走行レールに沿って延設され、前記各横方向車輪の側面と摺接可能な高さ寸法を有して配設される複数の横方向ガイドレールを備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明の請求項2に係る発明は、トレーを縦方向に送り駆動する場合、各縦方向車輪は縦方向走行レールを走行するとともに、その側面が縦方向ガイドレールに摺接することで、トレーは横方向にずれることを規制されつつ縦方向に移動案内される。一方、トレーを横方向に送り駆動する場合、各横方向車輪は横方向走行レールを走行するとともに、その側面が横方向ガイドレールに摺接することで、トレーは縦方向にずれることを規制されつつ横方向に移動案内される。これによって、トレーをあらかじめ決められた位置まで安定して移動させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1のレールと第2のレールに対して位置決めをする必要のない旋回プレートを第1のレールと第2のレールの各交差部に備え、この各旋回プレートに係合させた状態で各送りローラを方向転換させるとともに、各送りローラを回転駆動することにより、トレーの円滑な送り駆動を簡易な構造で実現することができる。また、縦方向走行レールに沿って延設され、トレーの横方向のずれを規制する縦方向ガイドレール、及び横方向走行レールに沿って延設され、トレーの縦方向のずれを規制する横方向ガイドレールを備えることにより、トレーの移動を円滑かつ確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るトレー送り機構の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係るトレー送り機構の一実施形態を示す平面図、図2はトレー送り機構に用いられるトレーの平面図、図3はトレーに自動車を載置した状態を示す側面図である。
【0013】
トレー送り機構1は図1及び図2に示すように、物品を載せる複数のトレー2と、トレー2下面に設けられ、縦方向に延びる第1のレール3a、及び第1のレール3aに対して交差状に横方向に対して延びる第2のレール3bを有し、第1のレール3aと第2のレール3bの各交差部に十字形の間欠部3cが形成される送り用レール3と、トレー2を平面上で支持走行する複数のトレー支持走行手段4と、トレー2を送り駆動する複数のトレー駆動装置5とを備えている。
【0014】
トレー支持走行手段4は、トレー2又は平面上のいずれか一方に設けられ、トレー2を縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪41と、トレー2を横方向に走行可能に支持する複数の横方向車輪42と、他方に設けられ、縦方向車輪41を案内し、又は各縦方向車輪41に案内され、トレー2を縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール43と、横方向車輪42を案内し、又は横方向車輪42に案内され、トレー2を横方向に走行案内する複数の横方向走行レール44とを備えている。なお、このトレー送り機構1の場合、トレー2に、トレー2を縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪41と、トレー2を横方向に走行可能に支持する横方向車輪42とが設けられ、平面上に、トレー2を縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール43と、トレー2を横方向に走行案内する複数の横方向走行レール44とが設けられている。
【0015】
トレー駆動装置5は、送り用レール3に摺接する一対の送りローラ51と、送りローラ51を回転駆動する一対のローラ駆動手段52と、送りローラ51を水平方向に旋回可能に支持する一対の送りローラ方向転換手段53と、送りローラ方向転換手段53に作動連結され、送りローラ方向転換手段53を駆動して、送りローラ51を第1のレール3a又は第2のレール3bに向けるローラ方向切換手段54とを備えている。
【0016】
トレー2下面の各間欠部3cには、水平方向に揺動自在に軸支され、外周が第1のレール3a及び第2のレール3bの端部と隣接し、かつ、送りローラ51と係合可能な摺接面が第1のレール3a及び第2のレール3bと面一となるように配設される旋回プレート6が設けられている。
【0017】
トレー2又は平面上のいずれか一方に、縦方向走行レール43に沿って延設され、縦方向車輪41の側面と摺接可能な高さ寸法を有して配設される複数の縦方向ガイドレール71と、横方向走行レール44に沿って延設され、横方向車輪42の側面と摺接可能な高さ寸法を有して配設される複数の横方向ガイドレール72とを備えている。なお、このトレー送り機構1の場合、縦方向ガイドレール71及び横方向ガイドレール72は平面上に設けられている。また、各ガイドレール71、72は、各車輪41、42の側面と摺接可能な高さ寸法を有しているものの、その高さ寸法は送り用レール3下面との間に所定の間隙を有するように設定されており、トレー2の縦方向及び横方向の送り駆動の際に各ガイドレール71、72が送り用レール3に接触することを防ぐようになっていることは言うまでもない。
【0018】
トレー2は、縦長の長方形状の板材で、物品を安定して載置可能な平面形状を有しており、ここでは、図3に示すように特に機械式駐車場装置に使用する自動車載置用のトレーが例示されている。そして、このトレー2には、トレー2を縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪41と、及びトレー2を横方向に走行可能に支持する横方向車輪42が設けられており、縦方向車輪41はトレー2の下面の略四隅に1輪ずつ、横方向車輪42は各縦方向車輪41に近接して1輪ずつ配置されている。
【0019】
縦方向走行レール43には、横方向走行レール44に近接する位置に、トレー2の担持部材として、担持ローラ431がその回転軸を縦方向走行レール43の伸長方向に向けて軸支される。同様に、横方向走行レール44には、担持部材として、担持ローラ441がその回転軸を横方向走行レール44の伸長方向に向けて軸支される。なお、各縦方向走行レール43の走行面、各横方向走行レール44の走行面、各担持ローラ431、441の頂部は同じレベルに設定される。
【0020】
送りローラ51はフリクションローラからなり、第1のレール3a、第2のレール3b、及び旋回プレート6に圧接され、垂直方向に回転可能に構成される。また、ローラ駆動手段52は、2つの駆動モータ521により構成される。さらに、送りローラ方向転換手段53は、送りローラ51を支持するローラ支持部材531と、ローラ支持部材を水平方向に旋回可能に軸支する回転支持部材532とを備えている。このようにして送りローラ51の組み立てユニットが対となり、図1に示すように縦方向走行レール43と横方向走行レール44とにより区切られた区画にその中心に対して前後両側に、水平方向に旋回可能に設置される。
【0021】
さらにまた、ローラ方向切換手段54は、駆動モータ541と、複数のリンク542、543、544、545とにより構成される。駆動モータ541は各送りローラ51の組み立てユニットの中間に固定される。この場合、駆動モータ541の回転軸が垂直方向に向けられる。また、複数のリンクは第1〜第4のリンク542、543、544、545からなり、これらのリンク542、543、544、545は略同じ所定の長さを有し、第1のリンク542はその一端が駆動モータ541の回転軸に水平方向に回転可能に取付けられている。第2、第3のリンク543、544はそれぞれ、各送りモータ51の組み立てユニットのローラ支持部材531に一側部から外方に突出して取付けられる。第4のリンク545は、第1〜第3のリンク542、543、544間に連結される。このようにして駆動モータ541の回転駆動により第1のリンク542が縦方向に対して所定の角度の斜めの方向に向けられると、第4のリンク545の案内により第2、第3のリンク543、544が縦方向に対して所定の角度の斜め方向に向けられて、各送りローラ51が縦方向に向けられる。一方、駆動モータ541により第1のリンク542の案内により第2、第3のリンク543、544が横方向に対して所定の角度の斜めの方向に向けられて、各送りローラ51が横方向に向けられるように組み立てられている。
【0022】
このように構成された本実施形態のトレー送り機構にあっては、動作前のトレー2はトレー停止区画で停止され、縦方向車輪41が担持ローラ431上に乗り、横方向車輪42が担持ローラ441上に乗り、旋回プレート6下面が送りローラ51に圧接され、トレー2がトレー停止区画上のセンタに位置決めされる。このトレー停止区画のトレー2は、図示しない制御手段の制御プログラムにしたがってトレー駆動装置5により縦方向又は横方向に送り駆動される。例えばローラ方向切換手段54の駆動モータ541が縦方向案内位置から横方向案内位置まで90度回転されると、この回転運動が第1、第2、第3、第4のリンク542、543、544、545により伝達されて、各送りローラ51は、各送りローラ51に圧接された旋回プレート6とともに縦方向から横方向に90度回転される。これに併せて、トレー2の次の送り先のトレー停止区画でも、トレー駆動装置5が同様に作動される。このようにしてトレー2の送り先が決められ、また、トレー2は常にトレー停止区画上のセンタに位置決めされて、このローラ方向切換手段54の動作が停止される。なお、トレー2の送り方向を変えない場合は、この動作は行われることなく、次の動作から開始される。
【0023】
このようにしてローラ方向切換手段54によりトレー2の送り方向が横方向に決められると、各送りローラ51の各ローラ駆動手段52が正転方向又は逆転方向に作動される。例えば2つの駆動モータ521が正転方向に駆動されると、各送りローラ51が正転方向に回転駆動され、これらの送りローラ51に押付けられて、摩擦係合されたトレー2下面の旋回プレート6が右方向に送り駆動されるとともに、この横(右)送りが横方向走行レール44に沿って延設される横方向ガイドレール72に案内されて、トレー2の移動が開始される。次いで、旋回プレート6から、トレー2の、進行方向後側の第2のレール3bが各送りローラ51により横方向に送り駆動される。
【0024】
このようにしてトレー2は、あらかじめ定められたトレー停止区画に向けて送り駆動されていく。続いて、トレー2は初めのトレー停止区画から次の送り先のトレー停止区画に進入し、そのトレー停止区画の各送りローラ51まで移動されると、トレー2の各第2のレール3bが初めのトレー停止区画の各送りローラ51と次のトレー停止区画の各送りローラ51に跨って係合される。このようにしてトレー2が次の送り先のトレー停止区画に移動されていくと、各第2のレール3bは間もなく初めのトレー停止区画のトレー駆動装置5から引き離され、次の送り先のトレー停止区画のトレー駆動装置5にのみ係合して駆動されていく。トレー2が次の送り先のトレー停止区画で停止する場合は、初めのトレー停止区画と次のトレー停止区画との中間地点で、両トレー停止区画の各トレー駆動装置5が低速に減速され、トレー2は次のトレー停止区画に達し、各車輪41、42が各担持ローラ431、441の頂部に乗り上げたところで各トレー駆動装置5の停止により停止される。この場合、トレー2は下面の旋回プレート6とトレー駆動装置5の各送りローラ51の摩擦係合により、各担持ローラ431、441の上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次の送り先のトレー停止区画が指定区画でない場合は、トレー2はさらに次の送り先のトレー停止区画に向けて同様にして送り駆動される。そしてトレー2が指定区画に進入すると、同様に減速地点で各トレー駆動装置5が低速に減速され、そのトレー停止区画の各担持ローラ431、441の頂部に各車輪41、42が乗り上げたところでトレー駆動装置5の停止により確実かつ安定して停止される。
【0025】
これに対して、ローラ方向切換手段54によりトレー2の送り方向が、図1に示すように縦方向に決められて、例えば各ローラ駆動手段52の2つの駆動モータ521が正転方向に駆動されると、各送りローラ51が正転方向に回転駆動され、これらの送りローラ51に押付けられて、摩擦係合されたトレー2下面の旋回プレート6が前方向に送り駆動されるとともに、この縦(前)送りが縦方向走行レール43に沿って延設される縦方向ガイドレール71に案内されて、トレー2の移動が開始される。次いで、旋回プレート6から、トレー2の、進行方向後側の第1のレール3aが各送りローラ51により縦方向に送り駆動される。このようにしてトレー2は、あらかじめ定められたトレー停止区画に向けて送り駆動されていく。
【0026】
続いて、トレー2は初めのトレー停止区画から次の送り先のトレー停止区画に進入し、そのトレー停止区画の各送りローラ51まで移動されると、トレー2の各第1のレール3aが初めのトレー停止区画の一方の送りローラ51と次のトレー停止区画の各送りローラ51に跨って係合され、縦方向ガイドレール71に案内されつつ駆動されていく。このようにしてトレー2が次の送り先のトレー停止区画に移動されていくと、第1のレール3aは間もなく初めのトレー停止区画のトレー駆動装置5から引き離され、次の送り先のトレー停止区画のトレー駆動装置5にのみ係合して駆動されていく。トレー2が次の送り先のトレー停止区画で停止する場合は、初めのトレー停止区画と次のトレー停止区画との中間地点で、両トレー停止区画の各トレー駆動装置5が低速に減速され、トレー2は次のトレー停止区画に達し、各車輪41、42が各担持ローラ431、441の頂部に乗り上げたところで各トレー駆動装置5の停止により停止される。この場合、トレー2は下面の旋回プレート6とトレー駆動装置5の各送りローラ51の摩擦係合により、各担持ローラ431、441の上に確実に停止され、この停止状態が安定して維持される。また、次の送り先のトレー停止区画が指定区画でない場合は、トレー2はさらに次の送り先のトレー停止区画に向けて同様にして送り駆動される。そしてトレー2が指定区画に進入すると、同様に減速地点で各トレー駆動装置5が低速に減速され、そのトレー停止区画の各担持ローラ431、441の頂部に各車輪41、42が乗り上げたところでトレー駆動装置5の停止により確実かつ安定して停止される。
【0027】
本実施形態によれば、第1のレール3aと第2のレール3bに対して位置決めをする必要のない旋回プレート6を第1のレール3aと第2のレール3bの各交差部に備え、この各旋回プレート6に係合させた状態で各送りローラ51を方向転換させるとともに、各送りローラ51を回転駆動することにより、トレー2の円滑な送り駆動を簡易な構造で実現することができる。また、縦方向走行レール43に沿って延設され、トレー2の横方向のずれを規制する縦方向ガイドレール71、及び横方向走行レール44に沿って延設され、トレー2の縦方向のずれを規制する横方向ガイドレール72を備えることにより、トレー2の移動を円滑かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るトレー送り機構の一実施形態を示す平面図である。
【図2】トレー送り機構に用いられるトレーの平面図である。
【図3】トレーに自動車を載置した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 トレー送り機構
2 トレー
3 送り用レール
3a 第1のレール
3b 第2のレール
3c 間欠部
4 トレー支持走行手段
5 トレー駆動装置
6 旋回プレート
41 縦方向車輪
42 横方向車輪
43 縦方向走行レール
44 横方向走行レール
51 送りローラ
52 ローラ駆動手段
53 ローラ方向転換手段
54 ローラ方向切換手段
71 縦方向ガイドレール
72 横方向ガイドレール
431 担持ローラ
441 担持ローラ
521 駆動モータ
531 ローラ支持部材
532 回転支持部材
541 駆動モータ
542 第1のリンク
543 第2のリンク
544 第3のリンク
545 第4のリンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載せる複数のトレーと、各トレー下面に設けられ、縦方向又は横方向に延びる第1のレール、及び前記第1のレールに対して交差状に横方向又は縦方向に対して延びる第2のレールを有する送り用レールと、前記トレー又は平面上のいずれか一方に設けられ、前記トレーを縦方向に走行可能に支持する複数の縦方向車輪、前記トレーを横方向に走行可能に支持する横方向車輪、他方に設けられ、前記各縦方向車輪を案内し、又は前記各縦方向車輪に案内され、前記トレーを縦方向に走行案内する複数の縦方向走行レール、及び前記各横方向車輪を案内し、又は前記各横方向車輪に案内され、前記トレーを横方向に走行案内する複数の横方向走行レールを有し、前記各トレーを平面上で支持走行する複数のトレー支持走行手段と、前記送り用レールに摺接する一対の送りローラ、各送りローラを回転駆動する一対のローラ駆動手段、前記各送りローラを水平方向に旋回可能に支持する一対の送りローラ方向転換手段、及び前記送りローラ方向転換手段に作動連結され、前記各送りローラ方向転換手段を駆動して、前記各送りローラを前記第1又は第2のレールに向けるローラ方向切換手段を有し、前記各トレーを送り駆動する複数のトレー駆動装置とを備え、前記各送りローラを縦方向又は横方向に選択的に切換え、前記第1又は第2のレールと同一方向に一致させて、前記トレーを縦方向又は横方向に送り駆動するトレー送り機構において、
前記第1のレールと前記第2のレールの各交差部に十字形の間欠部を形成するとともに、各間欠部に、水平方向に揺動自在に軸支され、外周が前記第1のレール及び前記第2のレールの端部と隣接し、かつ、前記送りローラと係合可能な摺接面が前記第1のレール及び前記第2のレールと面一となるように配設される旋回プレートを備えたことを特徴とするトレー送り機構。
【請求項2】
前記トレー又は平面上のいずれか一方に、前記縦方向走行レールに沿って延設され、前記各縦方向車輪の側面と摺接可能な高さ寸法を有して配設される複数の縦方向ガイドレール、及び前記横方向走行レールに沿って延設され、前記各横方向車輪の側面と摺接可能な高さ寸法を有して配設される複数の横方向ガイドレールを備えたことを特徴とする請求項1記載のトレー送り機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−213961(P2008−213961A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49641(P2007−49641)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000227043)日精株式会社 (68)
【Fターム(参考)】