トロイダル型無段変速機
【課題】組み立て時に、スラスト玉軸受を構成する保持器10dに設けた複数のポケット11c、11cの径方向の開口部から、各玉9が抜け出す事を防止できる構造を実現する。
【解決手段】
前記各ポケット11c、11cの開口部のうち、径方向外方に開口する開口部は、円周方向幅が前記各玉9の直径よりも小さい。又、軸方向一方の開口部は、円周方向幅が前記各玉9の直径よりも小さい。そして、軸方向他方の開口部は、前記保持器10dの中心軸αに垂直な仮想平面βに対して所定の角度θ1だけ傾斜した方向から前記各玉9を挿通可能な、円周方向の幅を有する。
【解決手段】
前記各ポケット11c、11cの開口部のうち、径方向外方に開口する開口部は、円周方向幅が前記各玉9の直径よりも小さい。又、軸方向一方の開口部は、円周方向幅が前記各玉9の直径よりも小さい。そして、軸方向他方の開口部は、前記保持器10dの中心軸αに垂直な仮想平面βに対して所定の角度θ1だけ傾斜した方向から前記各玉9を挿通可能な、円周方向の幅を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用の変速装置として、或いは、ポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用するトロイダル型無段変速機の改良に関する。具体的には、トロイダル型無段変速機を構成するパワーローラを支持する為のスラスト玉軸受に組み込まれる保持器の構造を工夫する事により、このトロイダル型無段変速機の組立性の向上を、低コストで図れる構造を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、自動車用自動変速装置として使用されるトロイダル型無段変速機の1例を示している。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力ディスク1、1と、同じく出力ディスク2、2との間に、複数個のパワーローラ3、3を挟持して成る。運転時には、前記入力ディスク1、1の回転が、これら各パワーローラ3、3を介して前記出力ディスク2、2に伝達される。これら各パワーローラ3、3は、それぞれトラニオン4、4に回転自在に支持されており、これら各トラニオン4、4は、それぞれ前記両ディスク1、2の中心軸に対し捩れの位置にある枢軸(図示省略)を中心とする揺動変位を自在に支持されている。前記両ディスク1、2同士の間の変速比を変える場合は、前記各パワーローラ3、3の周面と、前記両入力ディスク1、1及び前記両出力ディスク2、2の内側面との転がり接触部(トラクション部)の位置を変更する。
【0003】
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時、前記各パワーローラ3、3は、前記各ディスク1、2から大きなスラスト荷重を受けつつ高速で回転する。この為に、前記各パワーローラ3、3と前記各トラニオン4、4との間に、それぞれスラスト玉軸受5、5を設け、これら各スラスト玉軸受5、5により、前記各パワーローラ3、3に加わる前記スラスト荷重を支承自在としている。従前のスラスト玉軸受5、5は、図10に示す様に、前記各パワーローラ3の外側面(図10の下面)に形成された内輪軌道6と、前記各トラニオン4の内側面に設置された外輪7の内側面(図10の上面)に形成された外輪軌道8と、これら内輪軌道6と外輪軌道8との間に転動自在に設けられた玉9、9と、これら各玉9、9を保持する保持器10とから成る。尚、前記図10に示した構造の場合、前記図9に示した構造とは異なり、前記外輪7を、前記各パワーローラ3を回転自在に支持する為の支持軸16、並びに、これら各パワーローラ3を前記各トラニオン4に、入力、出力各ディスク1、2の軸方向に関する変位を許容した状態で支持する為の枢支軸17と、一体に形成している。又、パワーローラ3の形状に関しても、図9の構造とは異ならせている。但し、これらの相違点は、本発明との関係では、重要ではない。
【0004】
図11は、前述した様なトロイダル型無段変速機を構成するスラスト玉軸受5、5に従来から用いられている保持器10の構造を示している(特許文献1参照)。この保持器10は、金属製で円環状の、所謂もみ抜き型の保持器であり、それぞれが円形である複数のポケット11、11を、円周方向に関して等間隔に配置しており、これら各ポケット11、11内に前記各玉9、9(図9、10参照)を、転動自在に保持する。この様な保持器10によれば、十分な耐久性を確保する事ができる。但し、重量が嵩んでしまう為、軽量化の面からは改良の余地がある。
【0005】
又、図12は、上述した様な軽量化の課題を解消すべく改良された保持器の構造を示している(特許文献1参照)。この保持器10aは、円環状のリム部12と、複数の柱部13、13とを備えている。このうちの各柱部13、13は径方向(保持器の径方向)の内側端部をこのリム部12の径方向外側面の円周方向等間隔に一体に結合し、径方向の外側端部を他の部分に結合しない自由端としている。そして、前記リム部12の径方向外側面と円周方向(保持器の円周方向)に隣り合う柱部13、13の円周方向側面とで三方を囲まれる部分を、それぞれ各玉9、9を転動自在に保持する為のポケット11a、11aとしている。又、これら各ポケット11a、11aの、径方向外方の開口部の円周方向幅Haは、前記各玉9、9の直径D9よりも僅かに大きい(Ha>D9)。又、軸方向(保持器の軸方向)の両開口部の円周方向幅は、前記各玉9、9の直径D9よりも僅かに小さい。従って、前記各ポケット11a、11aに対しては、径方向外方の開口部からのみ前記各玉9、9を挿入可能である。
【0006】
この様な保持器10aの場合、径方向外方にリム部を設けていない分だけ、前述した保持器10と比べて、軽量化を図る事ができる。又、この保持器10aをポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹脂により造れば、更に軽量化を図る事ができる。但し、この保持器10aの各ポケット11a、11aに前記玉9、9を組み付けた後内輪軌道6と外輪軌道8との間(図10参照)に組み付ける以前に、前記保持器10aが傾斜、又は回転等した場合、これら各玉9、9が、径方向外方の開口部から抜け出てしまう事が考えられる。各ポケット内に各玉を、上端開口から挿入する構造を採用すれば、組み付け前に各ポケットから各玉が脱落するのを防止できる。但し、この場合には、保持器の軸方向片側面と相手面とが摺れ合い、スラスト玉軸受の動トルクが大きくなる可能性がある。
【0007】
そこで、この様な組立時の問題を、動トルクを増大させずに解消できる構造として、図13、14に示す保持器10bの構造が従来から知られている(特許文献1参照)。この保持器10bは、金属製、又は合成樹脂製であり、前記保持器10aと同様の基本構造を有している。更に、各柱部13、13の径方向外端面に、係止溝14、14を形成している。そして、これら各係止溝14、14に、金属製、又は合成樹脂製で円環状の止め輪15を係止している。
【0008】
この様な構造の保持器10bによれば、各ポケット11a、11aに組み付けられた各玉9、9が、内輪軌道6と外輪軌道8との間(図10参照)に組み付ける以前であっても、径方向外方の開口部から抜け出る事を防止できる。但し、この止め輪15を係止する以前の状態で、前記保持器10bが傾斜、又は回転してしまった場合、前記各玉9、9が径方向外方の開口部から抜け出る事を防止する事はできない。又、前記各係止溝14、14を形成したり、前記止め輪15を別部材として設けている為、加工コスト、部品コスト、組立コストが嵩む事が避けられない。
【0009】
一方、図15は、前述した組立時の問題の解消を図った別構造の保持器10cを示している(特許文献1参照)。この保持器10cは、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹脂を射出成形して造っている。又、この保持器10cの各ポケット11b、11bの径方向外方の開口部の円周方向幅Hbは、各玉9、9の直径D9よりも僅かに小さい(Hb<D9)。又、軸方向に開口する両開口部の円周方向幅も、前記各玉9、9の直径D9よりも小さい。
【0010】
この様な保持器10cの場合、前記各ポケット11b、11b内に各玉9、9を組み付ける際には、これら各ポケット11b、11bの円周方向両側を仕切る各柱部13a、13aを弾性変形させる事により、これら各ポケット11b、11bの径方向外方の開口部の円周方向幅Hbを、前記各玉9、9の直径D9よりも大きくなる様に拡げる。そして、円周方向の幅が拡がった径方向外方の開口部から、前記各玉9、9を前記各ポケット11b、11b内に挿入する。又、前記各柱部13a、13aは、これら各玉9、9をこれら各ポケット11b、11b内に挿入した後、弾性的に復元する。この状態では、前記開口部の円周方向幅Hbが前記直径D9よりも小さくなり、前記各玉9、9が前記開口部から抜け出なくなる。
【0011】
この様な構造の保持器10cによれば、前述した保持器10bの様に、別部材である止め輪15を設ける事なく、前記各ポケット11b、11bに組み付けられた各玉9、9が径方向外方の開口部から抜け出る事を防止できる。但し、剛性を確保すべく、金属製の保持器とした場合には、前記柱部13a、13aを弾性変形させる為に大きな力を要し、前記各玉9、9の転動面に、傷等の損傷を生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−275185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、トロイダル型無段変速機の組み立て時に於いて、金属製、又は合成樹脂製の保持器に拘らず、保持器に対して組み付けられた玉が、この保持器のポケットの開口部から不用意に抜け出しにくくして、前記トロイダル型無段変速機の組立性の向上を、低コストで、しかもスラスト玉軸受の動トルクを増大させずに図れる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のトロイダル型無段変速機は、一般に広く知られているハーフトロイダル型のトロイダル型無段変速機と同様に、入力ディスク及び出力ディスクと、複数個のトラニオンと、複数本の支持軸と、複数個のパワーローラと、複数組のスラスト玉軸受とを備える。
このうちの入力ディスク及び出力ディスクは、相対回転を自在として互いに同心に支持されている。
又、前記各トラニオンは、前記両ディスクの軸方向に関してこれら両ディスクの間部分に設けられ、それぞれの両端部に互いに同心に、且つ、これら両ディスクの中心軸に対して捩れの位置に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在とされている。
又、前記各支持軸は、前記各トラニオンの内側面から突出する状態で、これら各トラニオン毎に1本ずつ設けられている。
又、前記各パワーローラは、前記各支持軸の周囲に回転自在に支持された状態で、前記両ディスク同士の間に挟持されている。
更に、前記各スラスト玉軸受は、前記各パワーローラの外側面と前記各トラニオンの内側面との間に設けられている。
【0015】
そして、前記各スラスト玉軸受は、前記各パワーローラの外側面に形成された内輪軌道と、前記各トラニオンの内側面に設置された外輪の内側面に形成された外輪軌道と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とから成る。
【0016】
又、この保持器は、円環状のリム部と、複数の柱部とを備えている。
このうちの、各柱部は、一端部をこのリム部の周面の円周方向等間隔に結合し、他端部を他の部分に結合しない自由端としている。
そして、前記リム部の周面と、円周方向に隣り合う柱部の円周方向側面とで三方を囲まれる部分を、それぞれ前記各玉を転動自在に保持する為のポケットとしている。
【0017】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、径方向及び軸方向に開口した前記保持器のポケットの開口部のうち、径方向の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さい。又、軸方向一方の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さい。そして、軸方向他方の開口部は、軸方向に垂直な仮想平面に対して傾斜した方向からのみ前記各玉を挿通可能な大きさを有する。
【0018】
又、本発明のトロイダル型無段変速機を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記保持器の各柱部の軸方向両側面の直径方向中間部に、これら各柱部の軸方向両側面と前記内輪軌道及び前記外輪軌道との間に存在する空間の一部を塞ぐ凸部を設ける。
又、本発明のトロイダル型無段変速機を実施する場合に、例えば、請求項3に記載した発明の様に、前記保持器を金属製とする。
【発明の効果】
【0019】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機によれば、トロイダル型無段変速機の組み立て時に於いて、保持器のポケットに組み付けられた各玉が、この保持器のポケットの径方向の開口部から抜け出る事を防止して、前記トロイダル型無段変速機の組立性の向上を図る事ができる。即ち、本発明のトロイダル型無段変速機を構成する保持器の各ポケットの径方向に開口する開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さい。この為、これら各ポケットに前記各玉を組付けた後、これら各玉を、パワーローラ外側面の内輪軌道と、外輪内側面の外輪軌道との間に組み付ける以前に、前記保持器が傾斜、又は回転等した場合でも、前記各ポケットの径方向の開口部から前記各玉が抜け出る事を防止できる。
又、前述した従来構造の保持器10bの様に、径方向の開口部から前記各玉が抜け出る事を防止する為の止め輪を設ける必要がない。この為、部品点数を削減する事ができ、部品コスト、組立コストの低減を図る事ができる。
更に、前記各玉を、前記内輪軌道と前記外輪軌道との間に組み付けた後には、前記保持器の軸方向位置を、前記各ポケットの内面と前記各玉の転動面との係合により規制する、転動体案内により規制できる。従って、前記保持器の軸方向側面と相手面とが摺れ合う事を防止して、スラスト玉軸受の動トルクを低く抑えられる。
【0020】
又、請求項2に記載した発明によれば、前記保持器を構成する各柱部の軸方向両側面の直径方向中間部のうちで、これら各柱部の軸方向両側面と、内輪軌道及び外輪軌道との間に形成される空間の容積を、これら各柱部の軸方向両側面に凸部を設けない(単に平坦面とした)場合に比べて小さくできる。この為、前記各空間内に滞留可能な潤滑油量を少なくでき、潤滑油の攪拌抵抗を低減して、スラスト転がり軸受のトルク損失を低減できると共に、前記各ポケット内に効率良く潤滑油を送り込む事ができる。
【0021】
又、本発明の場合には、各ポケット内に各玉を挿入する際に、保持器の一部を弾性変形させる必要がない為、請求項3に記載した発明の様に保持器を金属製とした場合でも、各玉の転動面を傷めずに、これら各玉を前記各ポケット内に組み込める。この為、前記保持器の剛性を確保しつつ、組立性の向上を図る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、パワーローラユニットの断面図。
【図2】同じく、保持器を取り出して軸方向から見た状態で示す正投影図。
【図3】同じく、保持器を取り出して径方向から見た状態で示す正投影図。
【図4】同じく、斜視図。
【図5】同じく、ポケットに玉を挿入する状態を説明する為の、図2のX−X断面に相当する図。
【図6】本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の図。
【図7】同じく、図6のY−Y断面図。
【図8】同じく、斜視図。
【図9】従来から知られているトロイダル型無段変速機の断面図。
【図10】同じく、パワーローラユニットの断面図。
【図11】従来から知られている保持器を示す、図2と同様の図。
【図12】軽量化を図った従来構造の保持器を示す、図2と同様の図。
【図13】玉が、保持器のポケットの径方向外方の開口部から抜け出る事の防止を図った保持器の構造を示す、図2と同様の図。
【図14】同じく、保持器の本体部分のみを取り出して示す斜視図。
【図15】玉が、保持器のポケットの径方向外方の開口部から抜け出る事の防止を図った保持器の別構造を示す、図2と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、トロイダル型無段変速機を構成するスラスト玉軸受の保持器の構造を工夫した点にある。このトロイダル型無段変速機のその他の部分の構造及び作用は、前述の図9に示す従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様である。この為、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0024】
本例のトロイダル型無段変速機を構成するスラスト玉軸受の保持器10dは、銅又は真鍮(高力黄銅)等の銅系合金、構造用炭素鋼等の鉄系合金等の金属材料製の素材から削り出し(切削加工)により、或いは、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹脂を射出成形して造っている。又、この保持器10dは、前述した図12〜15に示した、従来から知られている保持器10a、10b、10cと同様に、円環状のリム部12aと、複数の柱部13b、13bとを備えている。このうちの各柱部13b、13bは、一端部(径方向内側端部)を前記リム部12aの外周面の円周方向等間隔位置に結合し、他端部(径方向外側端部)を他の部分に結合しない自由端としている。
【0025】
又、前記保持器10dの径方向に関して、前記各柱部13b、13bの軸方向両側面の中間部に、軸方向に膨出した凸部18a、18bを、それぞれ設けている。又、それぞれが各ポケット11c、11cの内面の一部を構成する、前記各凸部18a、18bの円周方向側面と、前記各柱部13b、13bの本体部分の円周方向側面とは、滑らかに連続している。又、前記各凸部18a、18bは、パワーローラ3の外側面に形成された内輪軌道6、及び、外輪7の内側面に形成された外輪軌道8の各軌道溝に沿う外面形状(部分円筒面形状)を有し、その大部分を、これら各軌道6、8(軌道溝)の内側に入り込ませている。
そして、前記リム部12aの外周面と、円周方向に隣り合う柱部13b、13bの円周方向側面(前記各凸部18a、18bの円周方向側面を含む)とで三方を囲まれる部分を、それぞれ各玉9を転動自在に保持する為の、前記各ポケット11c、11cとしている。
【0026】
又、径方向外方及び軸方向に開口した前記保持器10dの各ポケット11c、11cの開口部のうち、径方向外方に開口する開口部は、円周方向幅Hcが、これら各ポケット10c、10c内に保持すべき、前記各玉9の直径D9(図5参照)よりも小さい(Hc<D9)。従って、本例の保持器10dの場合、径方向外方の開口部から前記各ポケット11c、11cに前記各玉9を挿入する事はできない。又、これら各ポケット11c、11c内に保持された前記各玉11c、11cが、径方向外方に抜け出る事もない。尚、前記円周方向幅Hcと前記各玉9の直径D9との寸法の差は、これら各玉9を、パワーローラ3の外側面の内輪軌道6と、外輪7の内側面の外輪軌道8との間に組み付ける以前に、前記保持器10dが傾斜、又は回転等した場合にも、前記各ポケット11c、11cに挿入された各玉9が、これら各ポケット11c、11cの径方向外方の開口部から抜け出ない程度の大きさとする。従って、前記寸法の差は、製造誤差に拘らず前記大小関係(Hc<D9)を確実に維持できる限り、僅かで良い。
【0027】
又、前記各ポケット11c、11cの軸方向一方(図3の下方)の開口部の、円周方向幅Laは、前記各玉9の直径D9よりも十分に小さい(La≪D9)。この為、前記各ポケット11c、11cに対して、前記各玉9を軸方向一方から挿入する事はできない。又、これら各ポケット11c、11cに組み付けられた各玉9が、この開口部から軸方向一方に抜け出る事もない。
【0028】
一方、各ポケット11c、11cの軸方向他方(図3の上方)の開口部は、軸方向(前記保持器10dの中心軸α)に垂直な仮想平面β(図5参照)に対して所定の角度θ1だけ(例えば30〜60度程度)傾斜した方向から前記各玉9を挿入可能な、円周方向の幅Lb(Lb>D9)を有する。従って、前記各ポケット11c、11cに対して、この所定の角度θ1だけ傾斜した方向(前記保持器10dの外径側上方)からのみ、前記各玉9を挿入する事ができる。
【0029】
尚、この様な構成を有する本発明の保持器10dを製造するのに、例えばこれら保持器10dを金属材料から造る場合には、先ず、円周方向に隣り合う各ポケット11c、11c同士の間に存在する、前記各柱部13b、13bとなるべき部分の円周方向に関する幅寸法を、完成品に比べて幅広に形成した中間素材を形成する。その後、回転式の削り工具により、前記各柱部13b、13bとなるべき部分の円周方向側面を、切削乃至は研削する事により、これら各柱部13b、13bを形成すると同時に、前記各ポケット11c、11cを形成する。又、前記各保持器10dを合成樹脂により造る場合には、前記各ポケット11c、11cの内面形状に整合する外面形状を有する金型を使用し、射出成型後にこの金型をこれら各ポケット11c、11cの内側から前記保持器10dの外径側に引き抜く事により、前記各柱部13b、13b及び前記各ポケット11c、11cを形成する。
又、これら各柱部13b、13bの本体部分を、直径方向に亙り肉厚が一定である一般的な構造として、前記各凸部18a、18bを別個に造った後、これらを接合し、前記保持器10dとする事もできる。
【0030】
本例のトロイダル型無段変速機の場合、前記スラスト玉軸受5を構成する、前記保持器10dの各ポケット11c、11cに対して、前記各玉9を挿入できる方向を、この保持器10dの中心軸αに垂直な仮想平面βに対して所定の角度θ1だけ傾斜した方向に規制している。従って、前記前記各玉9が、前記保持器10dの各ポケット11c、11cに組み付けられた後、これら各玉9を、前期内輪軌道6と外輪軌道8との間に組み付ける以前の状態で、前記保持器10dが多少傾斜、又は回転等した場合でも、前記各玉9が、前記各ポケット11c、11cの径方向外方の開口部から抜け出る事を防止できる。即ち、前記保持器10dの傾斜が、前記所定の角度θ1未満であれば、前記各ポケット11c、11cに組み付けられた前記各玉9が、重力により前記軸方向他方の開口部から、不用意に抜け出る事はない。この為、前記トロイダル型無段変速機の組立性の向上を図る事ができる。
【0031】
又、前述した従来構造の保持器10bの様に、径方向外方の開口部から前記各玉9、9が抜け出る事を防止する為の止め輪15を設ける必要がない。この為、部品点数を削減する事ができ、部品コスト及び組立コストの低減を図る事ができる。
【0032】
又、前記各凸部18a、18bと、前記内輪軌道6及び外輪軌道8との間にそれぞれ形成される転動体間空間19、19の容積を、前記各凸部18a、18bを設けない場合と比較して、小さくする事ができる。この結果、これら各転動体間空間19、19内に滞留する潤滑油量を更に少なくできる為、潤滑油の攪拌抵抗、更にはスラスト玉軸受5のトルク損失(回転抵抗)を低減できる。
又、前記保持器10dの軸方向に関する位置決めを、所謂玉案内により規制できる。この為、この保持器10dの軸方向側面(内外両側面)と、相手面となるパワーローラ3の外側面及び外輪7の内側面とが干渉する(摺れ合う)事を有効に防止できる。
【0033】
又、前記保持器10dを金属製としても、前述した従来構造の保持器10cの様な、各柱部を弾性変形して各ポケット内に各玉を挿入する作業を要する事なく、これら各ポケットに各玉を挿入する事ができる。この為、十分な保持器の剛性を確保し、且つ組立性の向上を図る事ができる。又、前記各玉の転動面に、傷等の損傷を生じる事もない。
更に、前記各玉9を、前記内輪軌道6と前記外輪軌道8との間に組み付けた後の状態では、前記保持器10dの軸方向位置が、前記各玉9の転動面と、前記各ポケット11c、11cの内面との係合に基づく、玉案内により規制される。従って、前記保持器10dの軸方向側面が、前記パワーローラ3の外側面や、前記外輪7の内側面と摺れ合う事がない。この為、これら各面同士の摺れ合いに基づく滑り摩擦の発生を防止して、前記スラスト玉軸受5の動トルクを低く抑えられる。又、このスラスト玉軸受5の内部に、潤滑油(トラクションオイル)を効率良く送り込める。
【0034】
[実施の形態の第2例]
図6〜8は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の保持器10eの場合、円周方向に隣り合う柱部13c、13c同士の間に設けられた各ポケット11d、11dは、軸方向他方(図7、8の上方)の開口部を、軸方向(保持器10eの中心軸α)に垂直な仮想平面βに対して所定の角度θ2だけ(例えば30〜60度程度)、この保持器10eの中心軸側に傾斜させている。そして、前記各ポケット11d、11d内に各玉9(図1参照)を、この傾斜した方向(前記保持器10eの内径側上方)から挿入可能とすべく、前記各ポケット11d、11dの、円周方向の幅Lcを規制(傾斜方向に存在する開口部の円周方向の幅Lcのみを、前記玉9の外径よりも大きく)している。又、本例に組み込む保持器10eは、前述の実施の形態の第1例の様な凸部18a、18bは設けていない。その他の構造、及び作用、効果は前記実施の形態の第1例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
前述した各実施の形態に組み込む保持器10d、10eは、複数の柱部を、円環状のリム部の外周面の円周方向等間隔位置に、この外周面から径方向外方へ突出した状態で設けている。但し、本発明は、この様な保持器の構造に限定されず、複数の柱部を、円環状のリム部の内周面の円周方向等間隔位置に、この内周面から径方向内方へ突出した状態で設けた様な構造に適用する事もできる。
【符号の説明】
【0036】
1 入力ディスク
2 出力ディスク
3 パワーローラ
4 トラニオン
5 スラスト玉軸受
6 内輪軌道
7 外輪
8 外輪軌道
9 玉
10、10a、10b、10c、10d、10e 保持器
11、11a、11b、11c、11d ポケット
12、12a リム部
13、13a、13b、13c 柱部
14 係止溝
15 止め輪
16 支持軸
17 枢支軸
18a、18b 凸部
19 転動体空間
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用の変速装置として、或いは、ポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用するトロイダル型無段変速機の改良に関する。具体的には、トロイダル型無段変速機を構成するパワーローラを支持する為のスラスト玉軸受に組み込まれる保持器の構造を工夫する事により、このトロイダル型無段変速機の組立性の向上を、低コストで図れる構造を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、自動車用自動変速装置として使用されるトロイダル型無段変速機の1例を示している。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力ディスク1、1と、同じく出力ディスク2、2との間に、複数個のパワーローラ3、3を挟持して成る。運転時には、前記入力ディスク1、1の回転が、これら各パワーローラ3、3を介して前記出力ディスク2、2に伝達される。これら各パワーローラ3、3は、それぞれトラニオン4、4に回転自在に支持されており、これら各トラニオン4、4は、それぞれ前記両ディスク1、2の中心軸に対し捩れの位置にある枢軸(図示省略)を中心とする揺動変位を自在に支持されている。前記両ディスク1、2同士の間の変速比を変える場合は、前記各パワーローラ3、3の周面と、前記両入力ディスク1、1及び前記両出力ディスク2、2の内側面との転がり接触部(トラクション部)の位置を変更する。
【0003】
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時、前記各パワーローラ3、3は、前記各ディスク1、2から大きなスラスト荷重を受けつつ高速で回転する。この為に、前記各パワーローラ3、3と前記各トラニオン4、4との間に、それぞれスラスト玉軸受5、5を設け、これら各スラスト玉軸受5、5により、前記各パワーローラ3、3に加わる前記スラスト荷重を支承自在としている。従前のスラスト玉軸受5、5は、図10に示す様に、前記各パワーローラ3の外側面(図10の下面)に形成された内輪軌道6と、前記各トラニオン4の内側面に設置された外輪7の内側面(図10の上面)に形成された外輪軌道8と、これら内輪軌道6と外輪軌道8との間に転動自在に設けられた玉9、9と、これら各玉9、9を保持する保持器10とから成る。尚、前記図10に示した構造の場合、前記図9に示した構造とは異なり、前記外輪7を、前記各パワーローラ3を回転自在に支持する為の支持軸16、並びに、これら各パワーローラ3を前記各トラニオン4に、入力、出力各ディスク1、2の軸方向に関する変位を許容した状態で支持する為の枢支軸17と、一体に形成している。又、パワーローラ3の形状に関しても、図9の構造とは異ならせている。但し、これらの相違点は、本発明との関係では、重要ではない。
【0004】
図11は、前述した様なトロイダル型無段変速機を構成するスラスト玉軸受5、5に従来から用いられている保持器10の構造を示している(特許文献1参照)。この保持器10は、金属製で円環状の、所謂もみ抜き型の保持器であり、それぞれが円形である複数のポケット11、11を、円周方向に関して等間隔に配置しており、これら各ポケット11、11内に前記各玉9、9(図9、10参照)を、転動自在に保持する。この様な保持器10によれば、十分な耐久性を確保する事ができる。但し、重量が嵩んでしまう為、軽量化の面からは改良の余地がある。
【0005】
又、図12は、上述した様な軽量化の課題を解消すべく改良された保持器の構造を示している(特許文献1参照)。この保持器10aは、円環状のリム部12と、複数の柱部13、13とを備えている。このうちの各柱部13、13は径方向(保持器の径方向)の内側端部をこのリム部12の径方向外側面の円周方向等間隔に一体に結合し、径方向の外側端部を他の部分に結合しない自由端としている。そして、前記リム部12の径方向外側面と円周方向(保持器の円周方向)に隣り合う柱部13、13の円周方向側面とで三方を囲まれる部分を、それぞれ各玉9、9を転動自在に保持する為のポケット11a、11aとしている。又、これら各ポケット11a、11aの、径方向外方の開口部の円周方向幅Haは、前記各玉9、9の直径D9よりも僅かに大きい(Ha>D9)。又、軸方向(保持器の軸方向)の両開口部の円周方向幅は、前記各玉9、9の直径D9よりも僅かに小さい。従って、前記各ポケット11a、11aに対しては、径方向外方の開口部からのみ前記各玉9、9を挿入可能である。
【0006】
この様な保持器10aの場合、径方向外方にリム部を設けていない分だけ、前述した保持器10と比べて、軽量化を図る事ができる。又、この保持器10aをポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹脂により造れば、更に軽量化を図る事ができる。但し、この保持器10aの各ポケット11a、11aに前記玉9、9を組み付けた後内輪軌道6と外輪軌道8との間(図10参照)に組み付ける以前に、前記保持器10aが傾斜、又は回転等した場合、これら各玉9、9が、径方向外方の開口部から抜け出てしまう事が考えられる。各ポケット内に各玉を、上端開口から挿入する構造を採用すれば、組み付け前に各ポケットから各玉が脱落するのを防止できる。但し、この場合には、保持器の軸方向片側面と相手面とが摺れ合い、スラスト玉軸受の動トルクが大きくなる可能性がある。
【0007】
そこで、この様な組立時の問題を、動トルクを増大させずに解消できる構造として、図13、14に示す保持器10bの構造が従来から知られている(特許文献1参照)。この保持器10bは、金属製、又は合成樹脂製であり、前記保持器10aと同様の基本構造を有している。更に、各柱部13、13の径方向外端面に、係止溝14、14を形成している。そして、これら各係止溝14、14に、金属製、又は合成樹脂製で円環状の止め輪15を係止している。
【0008】
この様な構造の保持器10bによれば、各ポケット11a、11aに組み付けられた各玉9、9が、内輪軌道6と外輪軌道8との間(図10参照)に組み付ける以前であっても、径方向外方の開口部から抜け出る事を防止できる。但し、この止め輪15を係止する以前の状態で、前記保持器10bが傾斜、又は回転してしまった場合、前記各玉9、9が径方向外方の開口部から抜け出る事を防止する事はできない。又、前記各係止溝14、14を形成したり、前記止め輪15を別部材として設けている為、加工コスト、部品コスト、組立コストが嵩む事が避けられない。
【0009】
一方、図15は、前述した組立時の問題の解消を図った別構造の保持器10cを示している(特許文献1参照)。この保持器10cは、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹脂を射出成形して造っている。又、この保持器10cの各ポケット11b、11bの径方向外方の開口部の円周方向幅Hbは、各玉9、9の直径D9よりも僅かに小さい(Hb<D9)。又、軸方向に開口する両開口部の円周方向幅も、前記各玉9、9の直径D9よりも小さい。
【0010】
この様な保持器10cの場合、前記各ポケット11b、11b内に各玉9、9を組み付ける際には、これら各ポケット11b、11bの円周方向両側を仕切る各柱部13a、13aを弾性変形させる事により、これら各ポケット11b、11bの径方向外方の開口部の円周方向幅Hbを、前記各玉9、9の直径D9よりも大きくなる様に拡げる。そして、円周方向の幅が拡がった径方向外方の開口部から、前記各玉9、9を前記各ポケット11b、11b内に挿入する。又、前記各柱部13a、13aは、これら各玉9、9をこれら各ポケット11b、11b内に挿入した後、弾性的に復元する。この状態では、前記開口部の円周方向幅Hbが前記直径D9よりも小さくなり、前記各玉9、9が前記開口部から抜け出なくなる。
【0011】
この様な構造の保持器10cによれば、前述した保持器10bの様に、別部材である止め輪15を設ける事なく、前記各ポケット11b、11bに組み付けられた各玉9、9が径方向外方の開口部から抜け出る事を防止できる。但し、剛性を確保すべく、金属製の保持器とした場合には、前記柱部13a、13aを弾性変形させる為に大きな力を要し、前記各玉9、9の転動面に、傷等の損傷を生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−275185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、トロイダル型無段変速機の組み立て時に於いて、金属製、又は合成樹脂製の保持器に拘らず、保持器に対して組み付けられた玉が、この保持器のポケットの開口部から不用意に抜け出しにくくして、前記トロイダル型無段変速機の組立性の向上を、低コストで、しかもスラスト玉軸受の動トルクを増大させずに図れる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のトロイダル型無段変速機は、一般に広く知られているハーフトロイダル型のトロイダル型無段変速機と同様に、入力ディスク及び出力ディスクと、複数個のトラニオンと、複数本の支持軸と、複数個のパワーローラと、複数組のスラスト玉軸受とを備える。
このうちの入力ディスク及び出力ディスクは、相対回転を自在として互いに同心に支持されている。
又、前記各トラニオンは、前記両ディスクの軸方向に関してこれら両ディスクの間部分に設けられ、それぞれの両端部に互いに同心に、且つ、これら両ディスクの中心軸に対して捩れの位置に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在とされている。
又、前記各支持軸は、前記各トラニオンの内側面から突出する状態で、これら各トラニオン毎に1本ずつ設けられている。
又、前記各パワーローラは、前記各支持軸の周囲に回転自在に支持された状態で、前記両ディスク同士の間に挟持されている。
更に、前記各スラスト玉軸受は、前記各パワーローラの外側面と前記各トラニオンの内側面との間に設けられている。
【0015】
そして、前記各スラスト玉軸受は、前記各パワーローラの外側面に形成された内輪軌道と、前記各トラニオンの内側面に設置された外輪の内側面に形成された外輪軌道と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とから成る。
【0016】
又、この保持器は、円環状のリム部と、複数の柱部とを備えている。
このうちの、各柱部は、一端部をこのリム部の周面の円周方向等間隔に結合し、他端部を他の部分に結合しない自由端としている。
そして、前記リム部の周面と、円周方向に隣り合う柱部の円周方向側面とで三方を囲まれる部分を、それぞれ前記各玉を転動自在に保持する為のポケットとしている。
【0017】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、径方向及び軸方向に開口した前記保持器のポケットの開口部のうち、径方向の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さい。又、軸方向一方の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さい。そして、軸方向他方の開口部は、軸方向に垂直な仮想平面に対して傾斜した方向からのみ前記各玉を挿通可能な大きさを有する。
【0018】
又、本発明のトロイダル型無段変速機を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記保持器の各柱部の軸方向両側面の直径方向中間部に、これら各柱部の軸方向両側面と前記内輪軌道及び前記外輪軌道との間に存在する空間の一部を塞ぐ凸部を設ける。
又、本発明のトロイダル型無段変速機を実施する場合に、例えば、請求項3に記載した発明の様に、前記保持器を金属製とする。
【発明の効果】
【0019】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機によれば、トロイダル型無段変速機の組み立て時に於いて、保持器のポケットに組み付けられた各玉が、この保持器のポケットの径方向の開口部から抜け出る事を防止して、前記トロイダル型無段変速機の組立性の向上を図る事ができる。即ち、本発明のトロイダル型無段変速機を構成する保持器の各ポケットの径方向に開口する開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さい。この為、これら各ポケットに前記各玉を組付けた後、これら各玉を、パワーローラ外側面の内輪軌道と、外輪内側面の外輪軌道との間に組み付ける以前に、前記保持器が傾斜、又は回転等した場合でも、前記各ポケットの径方向の開口部から前記各玉が抜け出る事を防止できる。
又、前述した従来構造の保持器10bの様に、径方向の開口部から前記各玉が抜け出る事を防止する為の止め輪を設ける必要がない。この為、部品点数を削減する事ができ、部品コスト、組立コストの低減を図る事ができる。
更に、前記各玉を、前記内輪軌道と前記外輪軌道との間に組み付けた後には、前記保持器の軸方向位置を、前記各ポケットの内面と前記各玉の転動面との係合により規制する、転動体案内により規制できる。従って、前記保持器の軸方向側面と相手面とが摺れ合う事を防止して、スラスト玉軸受の動トルクを低く抑えられる。
【0020】
又、請求項2に記載した発明によれば、前記保持器を構成する各柱部の軸方向両側面の直径方向中間部のうちで、これら各柱部の軸方向両側面と、内輪軌道及び外輪軌道との間に形成される空間の容積を、これら各柱部の軸方向両側面に凸部を設けない(単に平坦面とした)場合に比べて小さくできる。この為、前記各空間内に滞留可能な潤滑油量を少なくでき、潤滑油の攪拌抵抗を低減して、スラスト転がり軸受のトルク損失を低減できると共に、前記各ポケット内に効率良く潤滑油を送り込む事ができる。
【0021】
又、本発明の場合には、各ポケット内に各玉を挿入する際に、保持器の一部を弾性変形させる必要がない為、請求項3に記載した発明の様に保持器を金属製とした場合でも、各玉の転動面を傷めずに、これら各玉を前記各ポケット内に組み込める。この為、前記保持器の剛性を確保しつつ、組立性の向上を図る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、パワーローラユニットの断面図。
【図2】同じく、保持器を取り出して軸方向から見た状態で示す正投影図。
【図3】同じく、保持器を取り出して径方向から見た状態で示す正投影図。
【図4】同じく、斜視図。
【図5】同じく、ポケットに玉を挿入する状態を説明する為の、図2のX−X断面に相当する図。
【図6】本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の図。
【図7】同じく、図6のY−Y断面図。
【図8】同じく、斜視図。
【図9】従来から知られているトロイダル型無段変速機の断面図。
【図10】同じく、パワーローラユニットの断面図。
【図11】従来から知られている保持器を示す、図2と同様の図。
【図12】軽量化を図った従来構造の保持器を示す、図2と同様の図。
【図13】玉が、保持器のポケットの径方向外方の開口部から抜け出る事の防止を図った保持器の構造を示す、図2と同様の図。
【図14】同じく、保持器の本体部分のみを取り出して示す斜視図。
【図15】玉が、保持器のポケットの径方向外方の開口部から抜け出る事の防止を図った保持器の別構造を示す、図2と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、トロイダル型無段変速機を構成するスラスト玉軸受の保持器の構造を工夫した点にある。このトロイダル型無段変速機のその他の部分の構造及び作用は、前述の図9に示す従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様である。この為、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0024】
本例のトロイダル型無段変速機を構成するスラスト玉軸受の保持器10dは、銅又は真鍮(高力黄銅)等の銅系合金、構造用炭素鋼等の鉄系合金等の金属材料製の素材から削り出し(切削加工)により、或いは、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の合成樹脂を射出成形して造っている。又、この保持器10dは、前述した図12〜15に示した、従来から知られている保持器10a、10b、10cと同様に、円環状のリム部12aと、複数の柱部13b、13bとを備えている。このうちの各柱部13b、13bは、一端部(径方向内側端部)を前記リム部12aの外周面の円周方向等間隔位置に結合し、他端部(径方向外側端部)を他の部分に結合しない自由端としている。
【0025】
又、前記保持器10dの径方向に関して、前記各柱部13b、13bの軸方向両側面の中間部に、軸方向に膨出した凸部18a、18bを、それぞれ設けている。又、それぞれが各ポケット11c、11cの内面の一部を構成する、前記各凸部18a、18bの円周方向側面と、前記各柱部13b、13bの本体部分の円周方向側面とは、滑らかに連続している。又、前記各凸部18a、18bは、パワーローラ3の外側面に形成された内輪軌道6、及び、外輪7の内側面に形成された外輪軌道8の各軌道溝に沿う外面形状(部分円筒面形状)を有し、その大部分を、これら各軌道6、8(軌道溝)の内側に入り込ませている。
そして、前記リム部12aの外周面と、円周方向に隣り合う柱部13b、13bの円周方向側面(前記各凸部18a、18bの円周方向側面を含む)とで三方を囲まれる部分を、それぞれ各玉9を転動自在に保持する為の、前記各ポケット11c、11cとしている。
【0026】
又、径方向外方及び軸方向に開口した前記保持器10dの各ポケット11c、11cの開口部のうち、径方向外方に開口する開口部は、円周方向幅Hcが、これら各ポケット10c、10c内に保持すべき、前記各玉9の直径D9(図5参照)よりも小さい(Hc<D9)。従って、本例の保持器10dの場合、径方向外方の開口部から前記各ポケット11c、11cに前記各玉9を挿入する事はできない。又、これら各ポケット11c、11c内に保持された前記各玉11c、11cが、径方向外方に抜け出る事もない。尚、前記円周方向幅Hcと前記各玉9の直径D9との寸法の差は、これら各玉9を、パワーローラ3の外側面の内輪軌道6と、外輪7の内側面の外輪軌道8との間に組み付ける以前に、前記保持器10dが傾斜、又は回転等した場合にも、前記各ポケット11c、11cに挿入された各玉9が、これら各ポケット11c、11cの径方向外方の開口部から抜け出ない程度の大きさとする。従って、前記寸法の差は、製造誤差に拘らず前記大小関係(Hc<D9)を確実に維持できる限り、僅かで良い。
【0027】
又、前記各ポケット11c、11cの軸方向一方(図3の下方)の開口部の、円周方向幅Laは、前記各玉9の直径D9よりも十分に小さい(La≪D9)。この為、前記各ポケット11c、11cに対して、前記各玉9を軸方向一方から挿入する事はできない。又、これら各ポケット11c、11cに組み付けられた各玉9が、この開口部から軸方向一方に抜け出る事もない。
【0028】
一方、各ポケット11c、11cの軸方向他方(図3の上方)の開口部は、軸方向(前記保持器10dの中心軸α)に垂直な仮想平面β(図5参照)に対して所定の角度θ1だけ(例えば30〜60度程度)傾斜した方向から前記各玉9を挿入可能な、円周方向の幅Lb(Lb>D9)を有する。従って、前記各ポケット11c、11cに対して、この所定の角度θ1だけ傾斜した方向(前記保持器10dの外径側上方)からのみ、前記各玉9を挿入する事ができる。
【0029】
尚、この様な構成を有する本発明の保持器10dを製造するのに、例えばこれら保持器10dを金属材料から造る場合には、先ず、円周方向に隣り合う各ポケット11c、11c同士の間に存在する、前記各柱部13b、13bとなるべき部分の円周方向に関する幅寸法を、完成品に比べて幅広に形成した中間素材を形成する。その後、回転式の削り工具により、前記各柱部13b、13bとなるべき部分の円周方向側面を、切削乃至は研削する事により、これら各柱部13b、13bを形成すると同時に、前記各ポケット11c、11cを形成する。又、前記各保持器10dを合成樹脂により造る場合には、前記各ポケット11c、11cの内面形状に整合する外面形状を有する金型を使用し、射出成型後にこの金型をこれら各ポケット11c、11cの内側から前記保持器10dの外径側に引き抜く事により、前記各柱部13b、13b及び前記各ポケット11c、11cを形成する。
又、これら各柱部13b、13bの本体部分を、直径方向に亙り肉厚が一定である一般的な構造として、前記各凸部18a、18bを別個に造った後、これらを接合し、前記保持器10dとする事もできる。
【0030】
本例のトロイダル型無段変速機の場合、前記スラスト玉軸受5を構成する、前記保持器10dの各ポケット11c、11cに対して、前記各玉9を挿入できる方向を、この保持器10dの中心軸αに垂直な仮想平面βに対して所定の角度θ1だけ傾斜した方向に規制している。従って、前記前記各玉9が、前記保持器10dの各ポケット11c、11cに組み付けられた後、これら各玉9を、前期内輪軌道6と外輪軌道8との間に組み付ける以前の状態で、前記保持器10dが多少傾斜、又は回転等した場合でも、前記各玉9が、前記各ポケット11c、11cの径方向外方の開口部から抜け出る事を防止できる。即ち、前記保持器10dの傾斜が、前記所定の角度θ1未満であれば、前記各ポケット11c、11cに組み付けられた前記各玉9が、重力により前記軸方向他方の開口部から、不用意に抜け出る事はない。この為、前記トロイダル型無段変速機の組立性の向上を図る事ができる。
【0031】
又、前述した従来構造の保持器10bの様に、径方向外方の開口部から前記各玉9、9が抜け出る事を防止する為の止め輪15を設ける必要がない。この為、部品点数を削減する事ができ、部品コスト及び組立コストの低減を図る事ができる。
【0032】
又、前記各凸部18a、18bと、前記内輪軌道6及び外輪軌道8との間にそれぞれ形成される転動体間空間19、19の容積を、前記各凸部18a、18bを設けない場合と比較して、小さくする事ができる。この結果、これら各転動体間空間19、19内に滞留する潤滑油量を更に少なくできる為、潤滑油の攪拌抵抗、更にはスラスト玉軸受5のトルク損失(回転抵抗)を低減できる。
又、前記保持器10dの軸方向に関する位置決めを、所謂玉案内により規制できる。この為、この保持器10dの軸方向側面(内外両側面)と、相手面となるパワーローラ3の外側面及び外輪7の内側面とが干渉する(摺れ合う)事を有効に防止できる。
【0033】
又、前記保持器10dを金属製としても、前述した従来構造の保持器10cの様な、各柱部を弾性変形して各ポケット内に各玉を挿入する作業を要する事なく、これら各ポケットに各玉を挿入する事ができる。この為、十分な保持器の剛性を確保し、且つ組立性の向上を図る事ができる。又、前記各玉の転動面に、傷等の損傷を生じる事もない。
更に、前記各玉9を、前記内輪軌道6と前記外輪軌道8との間に組み付けた後の状態では、前記保持器10dの軸方向位置が、前記各玉9の転動面と、前記各ポケット11c、11cの内面との係合に基づく、玉案内により規制される。従って、前記保持器10dの軸方向側面が、前記パワーローラ3の外側面や、前記外輪7の内側面と摺れ合う事がない。この為、これら各面同士の摺れ合いに基づく滑り摩擦の発生を防止して、前記スラスト玉軸受5の動トルクを低く抑えられる。又、このスラスト玉軸受5の内部に、潤滑油(トラクションオイル)を効率良く送り込める。
【0034】
[実施の形態の第2例]
図6〜8は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の保持器10eの場合、円周方向に隣り合う柱部13c、13c同士の間に設けられた各ポケット11d、11dは、軸方向他方(図7、8の上方)の開口部を、軸方向(保持器10eの中心軸α)に垂直な仮想平面βに対して所定の角度θ2だけ(例えば30〜60度程度)、この保持器10eの中心軸側に傾斜させている。そして、前記各ポケット11d、11d内に各玉9(図1参照)を、この傾斜した方向(前記保持器10eの内径側上方)から挿入可能とすべく、前記各ポケット11d、11dの、円周方向の幅Lcを規制(傾斜方向に存在する開口部の円周方向の幅Lcのみを、前記玉9の外径よりも大きく)している。又、本例に組み込む保持器10eは、前述の実施の形態の第1例の様な凸部18a、18bは設けていない。その他の構造、及び作用、効果は前記実施の形態の第1例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
前述した各実施の形態に組み込む保持器10d、10eは、複数の柱部を、円環状のリム部の外周面の円周方向等間隔位置に、この外周面から径方向外方へ突出した状態で設けている。但し、本発明は、この様な保持器の構造に限定されず、複数の柱部を、円環状のリム部の内周面の円周方向等間隔位置に、この内周面から径方向内方へ突出した状態で設けた様な構造に適用する事もできる。
【符号の説明】
【0036】
1 入力ディスク
2 出力ディスク
3 パワーローラ
4 トラニオン
5 スラスト玉軸受
6 内輪軌道
7 外輪
8 外輪軌道
9 玉
10、10a、10b、10c、10d、10e 保持器
11、11a、11b、11c、11d ポケット
12、12a リム部
13、13a、13b、13c 柱部
14 係止溝
15 止め輪
16 支持軸
17 枢支軸
18a、18b 凸部
19 転動体空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対回転を自在として互いに同心に支持された入力ディスク及び出力ディスクと、これら両ディスクの軸方向に関してこれら両ディスクの間部分に設けられ、それぞれの両端部に互いに同心に、且つ、これら両ディスクの中心軸に対して捩れの位置に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在とされた複数個のトラニオンと、これら各トラニオンの内側面から突出する状態で、これら各トラニオン毎に1本ずつ設けられた支持軸と、これら各支持軸の周囲に回転自在に支持された状態で前記両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラの外側面と前記各トラニオンの内側面との間に設けられたスラスト玉軸受とを備え、これら各スラスト玉軸受は、前記各パワーローラの外側面に形成された内輪軌道と、前記各トラニオンの内側面に設置された外輪の内側面に形成された外輪軌道と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とから成るものであり、この保持器は、円環状のリム部と、複数の柱部とを備え、これら各柱部は、一端部をこのリム部の周面の円周方向等間隔位置に結合し、他端部を他の部分に結合しない自由端としており、前記リム部の周面と円周方向に隣り合う柱部の円周方向側面とで三方を囲まれる部分に、それぞれ前記各玉を転動自在に保持する為のポケットを備えたものであるトロイダル型無段変速機に於いて、
径方向及び軸方向に開口した前記保持器のポケットの開口部のうち、径方向の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さく、軸方向一方の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さく、軸方向他方の開口部は、軸方向に垂直な仮想平面に対して傾斜した方向からのみ前記各玉を挿通可能な大きさの開口部を有する事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
【請求項2】
前記保持器の各柱部の軸方向両側面の直径方向中間部に、これら各柱部の軸方向両側面と前記内輪軌道及び前記外輪軌道との間に存在する空間の一部を塞ぐ凸部が設けられている、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
【請求項3】
前記保持器が、金属製である、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したトロイダル型無段変速機。
【請求項1】
相対回転を自在として互いに同心に支持された入力ディスク及び出力ディスクと、これら両ディスクの軸方向に関してこれら両ディスクの間部分に設けられ、それぞれの両端部に互いに同心に、且つ、これら両ディスクの中心軸に対して捩れの位置に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在とされた複数個のトラニオンと、これら各トラニオンの内側面から突出する状態で、これら各トラニオン毎に1本ずつ設けられた支持軸と、これら各支持軸の周囲に回転自在に支持された状態で前記両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワーローラの外側面と前記各トラニオンの内側面との間に設けられたスラスト玉軸受とを備え、これら各スラスト玉軸受は、前記各パワーローラの外側面に形成された内輪軌道と、前記各トラニオンの内側面に設置された外輪の内側面に形成された外輪軌道と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を保持する保持器とから成るものであり、この保持器は、円環状のリム部と、複数の柱部とを備え、これら各柱部は、一端部をこのリム部の周面の円周方向等間隔位置に結合し、他端部を他の部分に結合しない自由端としており、前記リム部の周面と円周方向に隣り合う柱部の円周方向側面とで三方を囲まれる部分に、それぞれ前記各玉を転動自在に保持する為のポケットを備えたものであるトロイダル型無段変速機に於いて、
径方向及び軸方向に開口した前記保持器のポケットの開口部のうち、径方向の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さく、軸方向一方の開口部は、円周方向幅が前記各玉の直径よりも小さく、軸方向他方の開口部は、軸方向に垂直な仮想平面に対して傾斜した方向からのみ前記各玉を挿通可能な大きさの開口部を有する事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
【請求項2】
前記保持器の各柱部の軸方向両側面の直径方向中間部に、これら各柱部の軸方向両側面と前記内輪軌道及び前記外輪軌道との間に存在する空間の一部を塞ぐ凸部が設けられている、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
【請求項3】
前記保持器が、金属製である、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したトロイダル型無段変速機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−112508(P2012−112508A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264527(P2010−264527)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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