説明

トンネルの構築方法および後行トンネルの構築方法

【課題】 簡易かつ安価に曲線線形を含むトンネルを構築することを可能としたトンネルの構築方法と、並設された複数のトンネルを利用して曲線線形を有した大断面トンネルを構築する場合に、簡易、かつ、確実に後行するトンネルを所定の位置に構築することを可能とした後行トンネルの構築方法を提案する。
【解決手段】 元押しジャッキ3により推進力を付与するとともに中折推進ジャッキ24を伸張させることにより前側胴体の向きを変更させる工程と、元押しジャッキ3により推進力を付与するとともに中折推進ジャッキ24を収縮させることにより後側胴体および後側胴体の後方から追従する推進函体10の向きを前側胴体の向きに変更する工程とを含むトンネルの構築方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの構築方法および先行して構築された先行トンネルに並設して構築される後行トンネルの構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大断面トンネルを構築する方法として、例えば、特許文献1に示すように、並設された複数本の小断面トンネルを利用して行う場合がある。この大断面トンネルの構築方法は、複数本の小断面トンネルを並設した後、各小断面トンネルの不要な覆工を撤去することにより大きな空間を形成しつつ、各小断面トンネルの残置された覆工を利用して外殻を形成して、大断面トンネルを構築するものである。
各小断面トンネルの施工は、推進工法によりそれぞれ隣接する小断面トンネルに接するように行われており、先行して構築されたトンネル(以下、単に「先行トンネル」という場合がある)の函体の側面に形成されたガイド溝に、後行して構築されるトンネル(以下、単に「後行トンネル」という場合がある)の函体の側面に形成された突条を嵌合させながら掘進するものである。
【0003】
このような小断面トンネルに関して、従来、直線と曲線とを組み合わせた路線を構築する場合には、函体同士の接合部に、ソケットを介することにより、このソケットのゆるみの範囲内で折れ角を調整していた。ところが、ソケットを介して小断面トンネルを構築すると、ガイド溝を設置することができなくなるため、大断面トンネルの施工精度の確保が困難となる場合があった。
【0004】
このため、特許文献2には、シールド工法により所定の線形に応じて形成されたセグメントを組み立てて先行トンネルを掘進した後、推進工法により、この先行トンネルのセグメントの側面に構築されたガイド溝に後行トンネルの推進函体の突条を嵌合させながら掘進することにより、大断面トンネルを構築する工法が開示されている。
【0005】
ここで、推進工法とは、トンネルの覆工となる筒状の函体を坑口から順次地中に圧入してトンネルを構築する工法である。なお、函体の先端には、刃口から掘進機などが取り付けられている。推進工法の掘進機は、函体に反力をとって自ら推進するもの(つまり、推進ジャッキを装備しているもの)でもよいし、函体を介して伝達された元押しジャッキの推力により掘進するものであってもよい。一方、シールド工法とは、トンネル切羽に設置された掘削機で地山を掘削するとともに、掘進機の内部でトンネル覆工となるセグメントを組み立ててトンネルを構築する工法である。なお、シールド掘進機は、その内部で組み立てられたセグメントに反力を取って自ら掘進する。
【特許文献1】特開2001−214699号公報([0022]、図1)
【特許文献2】特開2004−250957号公報([0014]−[0017]、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、シールド工法によるトンネルの構築は、一般的に高価であるとともに、推進工法に比べて工期が長くなるという問題点を有していた。また、曲線線形に応じて形成されたセグメント(函体)が配設された先行トンネルの隣に、推進工法により標準形状の函体をずらしながら曲線を形成して後行トンネルを構築する際に、先行トンネルの函体と後行トンネルの函体とが迫りにより損傷する場合があった。また、函体同士が離れてしまうと函体同士の結合作業に手間がかかるという問題点があった。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、簡易かつ安価に曲線線形を含むトンネルを構築することを可能としたトンネルの構築方法と、並設された複数のトンネルを利用して曲線線形を有した大断面トンネルを構築する場合に、簡易、かつ、確実に後行するトンネルを所定の位置に構築することを可能とした後行トンネルの構築方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、前側胴体と後側胴体との接続部に中折れジャッキが配設された掘進機と、前記掘進機の後方に連続して配設された函体を介して前記掘進機に推進力を付与する元押しジャッキと、を利用して地中に前記函体を連続的に配置することにより曲線線形を有したトンネルを構築する方法であって、曲線部において、前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを伸張させることにより前記前側胴体の向きを変更させる工程と、前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを収縮させることにより前記後側胴体および前記後側胴体の後方から追従する函体の向きを前記前側胴体の向きに変更する工程と、を含むことを特徴としている。
【0009】
かかるトンネルの構築方法は、掘進機の有する中折れジャッキと、後方に配置された元押しジャッキとのジャッキワークにより、簡易に所定の向きに掘進機と函体とを配置することを可能としている。そのため、曲線線形を含むトンネルの施工を、推進工法により確実に行うことを可能とし、安価なトンネルの施工を可能としている。
つまり、元押しジャッキが函体に押し込み力を付与するとともに、掘進機の中折れジャッキが収縮するため、函体押し込み時の抵抗力が削減され、函体のスラスト分力を最小として、函体の損傷の可能性を最小化することが可能となる。また、中折れジャッキの収縮を調整することにより、函体を回転させて、所定の曲線線形による函体の配置が可能となる。
【0010】
なお、元押しジャッキの両端が、ピン構造であれば、曲線施工において函体を押し込む途上で函体の端面が元押しジャッキとなす角度が変化しても、損傷が生じることなく、押し込むことが可能となる。
さらに元押しジャッキの函体側にスライド板を有していれば、曲線施工におけるジャッキの作用点の移動に容易に対応することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前側胴体と後側胴体との接続部に中折れジャッキが配設された掘進機と、前記掘進機の後方に連続して配設された函体を介して前記掘進機に推進力を付与する元押しジャッキと、前記掘進機に備えられたセンサと、を利用して地中に前記函体を連続的に配置することにより曲線線形を有して先行して構築された先行トンネルに隣接して、後行トンネルを構築する方法であって、前記センサにより先行して構築されたトンネルとの位置関係を測定し、前記位置関係に基づいて、前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを伸張させることにより前記前側胴体の向きを変更させる工程と、前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを収縮させることにより前記後側胴体および前記後側胴体の後方から追従する函体の向きを前記前側胴体の向きに変更する工程と、を含むことを特徴としている。
【0012】
かかる後行トンネルの構築方法は、掘進機の有する中折れジャッキと、後方に配置された元押しジャッキのとのジャッキワークにより、簡易に所定の向きに掘進機と函体とを配置することを可能としている。そのため、曲線線形を含む先行トンネルに隣接して、後行トンネルを正確に施工することを可能とし、高品質な大断面トンネルの構築を可能としている。
【0013】
また、掘進機が備えるセンサにより、掘進中の後行トンネルと先行トンネルとの離隔と相対レベル(高低差)とを検知して、所定の離隔を逸脱しないように姿勢制御することが可能となるため、好適である。
【0014】
また、前記後行トンネルの構築方法において、前記掘進機が、前記掘進機本体の側面から前記先行トンネル方向に張り出すそり部材を備えており、前記センサにより測定された位置関係に基づいて前記そり部材の張り出し量を調節しながら前記先行トンネルに沿って後行トンネルを構築することを特徴としている。
【0015】
かかる後行トンネルの構築方法は、掘進機本体から張り出したそり部材を利用して、先行トンネルの函体に反力をとりつつ、これをガイドとして掘進するため、先行トンネルと所定の間隔を有した状態で、先行トンネルに沿って後行トンネルを構築することを可能とする。そのため、先行トンネルの函体と後行トンネルの函体とが迫りにより損傷することがない。また、先行トンネルに反力を取った状態で後行トンネルを構築することを可能としているため、後行トンネルが先行トンネルから離れることを防止する。つまり、複数本のトンネルを結合する大断面トンネルを構築する際に、各トンネル同士の間隔が広すぎたり狭すぎたりすることがないため、施工性に優れている。
【0016】
また、前記後行トンネルの構築方法において、前記そり部材が、該そり部材に作用する圧力により前記先行トンネルとの位置関係を測定し、該そり部材の張り出し力により前記掘進機の向きを変更させることを特徴としている。
【0017】
かかる後行トンネルの構築方法によれば、そり部材が先行トンネルとの位置関係を計測するセンサと先行トンネルにあわせて後行トンネルの線形を調整するジャッキの役割を果たすため、さらに高品質な施工が可能となる。
【0018】
また、前記センサが、磁力検出器であれば、予め先行トンネル側に設置された磁力発生器による磁力を読み取って、先行トンネルと後行トンネルとの位置関係を的確に把握することが可能となるため、好適である。つまり、磁力による検出であるため、先行トンネルと後行トンネルとの間に土砂や充填材等が介在されていた場合でも、確実にその位置関係を把握することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のトンネルの構築方法により、簡易かつ安価に曲線線形を含むトンネルを構築することが可能となった。また、本発明の後行トンネルの構築方法により、並設された複数のトンネルを利用して曲線線形を有した大断面トンネルを構築する場合に、簡易、かつ、確実に後行するトンネルを所定の位置に構築することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係るトンネルの構築方法および後行トンネルの構築方法により構築された大断面トンネルの概略を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る掘進機を示す図であって、(a)は平断面図、(b)は側断面図、(c)は(a)の部分拡大平断面図である。また、図3は、本実施形態に係る元押しジャッキを示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側面図である。さらに、図4は、前記大断面トンネルの詳細を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は(a)のX部分の拡大図である。
【0021】
本実施形態では、図1に示すように、盛土E上に形成された既設道路Rにランプ部を新設する際に、取付道路Raとして既設道路Rの下を通過する曲線線形を有した大断面トンネル(地下構造物)Tを構築する場合ついて説明する。大断面トンネルTは、並設された複数(本実施形態では6本)のトンネル1,1,…を連結することにより構築される(図4(a)参照)。
【0022】
各トンネル1,1,…は、地山を切削する掘進機2(図2参照)と、掘進機2の後方から掘進機2により切削された掘削孔に推進函体(函体)10を押し込む元押しジャッキ3(図3参照)とを備える掘進装置M(図5(b)参照)により構築される。
【0023】
掘進機2は、図2(a)〜(c)に示すように、掘進機本体20と掘進機本体20の前面に配設されてその回転により地山を切削するカッターヘッド21とを有しており、掘進機本体20の側面から先行して構築された函体(以下、単に「先行函体」という場合がある)方向に張り出すそり部材22を備えている。
【0024】
また、掘進機本体20は、先行函体との離隔距離を測定するセンサである磁力検出器(図示省略)を備えている。
掘進機本体20は、図3(a)および(b)に示すように、鋼製の外殻を有しており、掘進機2の駆動系などを保護している。なお、本実施形態では、外殻が前側外殻20aと中央外殻20bと後側外殻20cとに3分割されている。なお、本実施形態では、前側外殻20aと中央外殻20bが請求項における前側胴体に対応し、後側外殻20cが後側胴体に対応する。ここで、掘進機本体20の分割数は3分割に限定されるものではないことはいうまでもなく、例えば、2分割でもよい。
【0025】
また、掘進機2のカッターヘッド21の形態は限定されるものではなく、掘削断面の形状や土質等に応じて適宜公知のカッターヘッド21から選定して使用する。
【0026】
前側外殻20aと中央外殻20bと後側外殻20c(以下、これらを区別しないときは単に「各外殻20a,20b,20c」と称する場合がある)は、後側の外殻の前部が、前側の外殻の後部に挿入された状態で、接合されている。つまり、中央外殻20bの前部は、前側外殻20aの後部の内径よりも小さい外径からなり、前側外殻20aの後方から挿入された状態で、配置されている。また、後側外殻20cの前部は、中央外殻20bの後部の内径よりも小さい外径からなり、中央外殻20bの後方から挿入された状態に構成されている。なお、中央外殻20bの後部および後側外殻20cの後部の外径は、前側外殻20aの外径と同一とする。
【0027】
さらに、前側外殻20aと中央外殻20bとの間には、両者を跨いだ状態で方向修正ジャッキ23が周方向に所定の間隔を有して複数配置されている。また、中央外殻20bと後側外殻20cとの間には、両者を跨いだ状態で中折推進ジャッキ(中折れジャッキ)24が周方向に所定の間隔を有して複数配置されている。
【0028】
方向修正ジャッキ23は、その伸縮により、カッターヘッド21の角度を変化させて掘進機2の切削方向を調整するジャッキであって、シリンダー部とシリンダー部に伸縮可能に内装されたアーム部とから構成されている。方向修正ジャッキ23は、そのシリンダー部が中央外殻20bの前部の内面に固定されており、アーム部が前側外殻20aの内面に形成された取付部材23aに取り付けられている。
【0029】
中折推進ジャッキ24は、トンネル1の曲線線形に応じた切削が可能となるように、伸縮することにより掘進機本体20に折れ点を形成するジャッキである。また、中折推進ジャッキ24は、推進函体10から反力をとりつつ、伸張することで、掘進機2に推進力を付与する機能も備えている。そして、中折推進ジャッキ24の両端は、それぞれ中央外殻20bと後側外殻20cの取付部材に、取り付けられている。なお、中折推進ジャッキ24の両端は、トンネル1の曲線線形に応じて変化する中央外殻20bと後側外殻20cの折れ角に対応して回転可能に取り付けられている。
ここで、掘進機本体20の構成は、前記のものに限定されるものではないことはいうまでもない。例えば、方向修正ジャッキ23および中折推進ジャッキ24の配置や設置数も限定されるものではなく、適宜トンネルの形状や現地の地質条件などに応じて設定するものとする。また、掘進機2の推進力が、元押しジャッキ3のみの推進力で切削が可能であれば、中折推進ジャッキではなく、中折れジャッキを配置すればよいことはいうまでもない。さらに、本実施形態では、中折れ機能と、推進機能とを備えた中折推進ジャッキを使用するものとしたが、中折れジャッキと推進ジャッキとをそれぞれ個別に配置してもよいことはいうまでもない。
【0030】
そり部材22は、図2(c)に示すように、伸縮機能を有したそりジャッキ22cの一方の端部に固定されて先行トンネル側に突出可能に構成されている。なお、そりジャッキ22cは、前側外殻20aの内面に形成された取付手段22dに他方の端部が固定されている。
ここで、そり部材22は、五角形に形成されており、突出時に前側外殻20aの外面よりも先行函体10a側に突出して先行函体10aとその面が当接する直線部22aと、直線部22aの前方において後方から前方に向かってそり部材22の突出長を徐々に小さくするテーパー部22bとを備えている。ここで、そり部材22の形状が限定されるものではないことはいうまでもない。また、そり部材22の突出の調整もそりジャッキ22cによるものではなく、適宜取り付け手段等を介して調整する等してもよい。
【0031】
掘進機2のチャンバ25は、掘進機2の前方から後方に向かって、その幅が狭くなるように、両脇にテーパー部25aが形成されており、そり部材22は、このテーパー部25aに沿って前後移動が可能に構成されている。つまり、そりジャッキ22cは、テーパー部25aと同じ角度に伸張するように配置されている。
【0032】
元押しジャッキ3は、トンネル1の坑口から、推進函体10を圧入する装置であって、推進函体10の後端面に均等にジャッキ推力が伝達されるように設置される。
本実施形態に係る元押しジャッキ3は、図3(a)および(b)に示すように、トンネル1の軸方向に設置された複数(本実施形態では8本)のジャッキ30,30,…と、各ジャッキ30,30,…の両端に配設されたジャッキ受け31,31,…と、元押しジャッキ3の推進函体10と接する側の端部に配設された押輪32と、元押しジャッキ3の他方の端部に配設された反力板33とから構成されている。
【0033】
ジャッキ30は、シリンダー部とシリンダー部に伸縮可能に内装されたアーム部とから構成されており、図3(a)に示すように、押輪32に対して等間隔に8本配設されている。また、図3(b)に示すように、ジャッキ30の両端は、その断面積が狭められた状態でジャッキ受け31に当接されたピン構造となっている。
【0034】
ジャッキ受け31,31,…は、各ジャッキ30の両端に配設されて、各ジャッキ30のジャッキ推力を押輪32または反力板33に伝達可能に構成されている。なお、ジャッキ受けの形状および材質は限定されるものではないが、本実施形態では、円形の鋼板により構成する。
【0035】
押輪32は、推進函体10の断面形状と略同形状に形成された部材であって、本実施形態では、矩形状の鋼板の中央部分に開口を有した形状からなり、ジャッキ30,30,…に対応する位置に、ジャッキ受け31,31,…が曲線施工におけるジャッキの作用点の移動に応じてスライド可能に配置されている。なお、押輪32の形状は、推進函体10の形状に応じて適宜設定されることはいうまでもない。また、押輪32を構成する材料も鋼板に限定されるものではない。
【0036】
反力板33は鋼板からなる矩形状の板状部材であって、元押しジャッキ3の後方に構築された図示しない反力壁に固定されて、反力壁から各ジャッキ30,30,…の反力を得ることが可能となるように、構成されている。なお、反力板33には、各ジャッキ30,30,…に対応する位置にジャッキ受け31,31,…が固定されている。ここで、反力板33の材料および形状は限定されるものではないことはいうまでもない。
【0037】
なお、元押しジャッキ3と掘進機2の中折推進ジャッキ24とは、同調しており、元押しジャッキ3による推進函体10の押し込み時に、中折推進ジャッキ24が収縮することで、元押しジャッキ3による押し込み力と中折推進ジャッキ24による引張り力が推進函体10に付与される。
【0038】
推進函体10は、図4(a)および(b)に示すように、鋼板を角筒状に形成した外殻11と、外殻11の内面に鋼材からなる補強部材12が外殻11に沿ってトンネル軸方向および横断方向に配設されることにより構成されている。外殻11の所定の箇所には、ガイド溝13を形成するための隙間11aが形成されている。なお、推進函体10を構成する材質や形状は限定されるものではなく、状況に応じて適宜設定すればよい。
【0039】
また、推進函体10には、ガイド溝13および突部材14の両方または一方が外殻11の隅角部の近傍に取り付けられている。なお、ガイド溝13および突部材14の位置および個数は、トンネル1の配置に応じて適宜設定する。
【0040】
ガイド溝13は、外殻11の内周面において隙間11aに沿って配置されている。また。図4(b)に示すように、ガイド溝13は、外殻11の隙間11aを挟んで対向する一対の対向片131,131と、この一対の対向片131,131のそれぞれの先端部から側方に張り出す張出片132,132と、この張出片132,132に設けられた断面コ字形状(溝形)の形材133とを備えて構成されており、これらによって幅狭部13aと幅広部13bとを備える断面T字形状の溝(いわゆるT溝)が形成されている。なお、対向片131、張出片132および形材133は鋼製の部材からなり、溶接により互いに接合されている。
【0041】
突部材14は、図4(b)に示すように、外殻11の外周面において隣接する推進函体10のガイド溝13に対応する位置に配置されており、外殻11の外側に突出している。この突部材14は、レール141を外殻11の外周面に溶接接合することにより構成されている。
【0042】
レール141は、熱押形鋼からなり、外殻11の外周面に固定されるフランジ141aと、このフランジ141aから立ち上がるウェブ141bと、このウェブ141bの突端部分に形成された頭部141cとを備えている。レール141のウェブ141bの幅(厚さ)がガイド溝13の幅狭部13aの幅よりも小さくなっており、かつ、頭部141cの断面積がガイド溝13の幅広部13bの断面積よりも小さくなっているので、レール141は、上下左右に動き得るクリアランスをもってガイド溝13の内部に入り込む。つまり、突部材14となるレール141は、ガイド溝13と遊嵌状態で結合することになる。また、レール141の頭部141cは、ガイド溝13の幅狭部13aの幅よりも大きい幅寸法に成形されている。このようにすると、レール141のガイド溝13からの抜け出しが阻止されることから、隣り合う推進函体10,10が必要以上に離間することを防ぐことができる。以下、ガイド溝13と突部材14とからなる継ぎ手を「継手部J」と称する場合がある。
【0043】
以下、本実施形態に係る大断面トンネルTの構築方法について、詳細に説明する。なお、図5は、本実施形態に係る掘進装置によるトンネルの施工状況を示す図であって、(a)は概略平面図、(b)は拡大平面図である。また、図6は、大断面トンネルTを構成する複数のトンネル1の施工手順を示す図である。
【0044】
本実施形態に係る大断面トンネルの構築方法は、図5(a)および(b)に示すように、地中に先行函体10a(推進函体10)を配置して先行トンネル1Aを構築する、先行トンネル構築工程と、掘進機本体20の側面から張り出したそり部材22により、先行函体10aから所定の間隔Sを維持した状態で先行トンネル1Aに沿って掘進することともに、後行函体10b(推進函体10)を配置して後行トンネル1Bを構築する、後行トンネル構築工程とにより、複数本のトンネル1,1,…を構築し、これらの複数本のトンネル1,1,…を連結することにより大断面トンネルTを構築する(図4(a)参照)。
【0045】
複数本のトンネル1,1,…は、図5(a)および図6(a)〜(f)に示すように、計画された曲線線形に対して下段外側のトンネル1aからトンネル1b,1c,1d,1e,1fの順で構築する。
【0046】
6本のトンネルが3本ずつ2段並設される計画に対して、まず、図6(a)に示すように、下段外側(図面における右下側)のトンネル1aの施工を行う。この時、そりジャッキ22cは収縮した状態であり、そり部材22は、掘進機本体20に内装された状態となっている。また、掘進機2は、後方の推進函体10を介して元押しジャッキにより推進力が付与された状態で、計画された曲線線形に対応して、方向修正ジャッキ23によりカッターヘッド21を所定の向きに調整するとともに、中折推進ジャッキ24を伸縮させることにより、所定の向きに回転させられながら掘進する。この時、曲線の外側の中折推進ジャッキ24が内側の中折推進ジャッキ24よりも伸張した状態となる。
【0047】
また、掘進機2により切削された掘削孔への推進函体10の配置は、元押しジャッキ3により押圧力(推進力)を推進函体10へ付与するとともに、掘進機2の中折推進ジャッキ24を収縮させて後側外殻20cを中央外殻20bに引き寄せることにより行う。この時、曲線の外側の中折推進ジャッキ24を内側の中折推進ジャッキ24よりも大きく収縮させることで、推進函体10を回転させて、掘進機2に追従させる。
【0048】
下段外側のトンネル1a(先行トンネル1A)の施工が完了または所定長施工が進行したら、図6(b)に示すように、下段外側のトンネル1aの横隣において、下段中央のトンネル1b(後行トンネル1B)の施工を開始する。この時、掘進機2のそり部材22は、図5(b)に示すように、そりジャッキ22cを伸張することで、掘進機本体20から突出した状態に配置されている。そして、掘進機2は、後方の推進函体10を介して元押しジャッキにより推進力が付与された状態で、先行トンネル1Aの先行函体10aにそり部材22の直線部22aを押し当てて先行函体10aから反力を取りながら、先行函体10aと所定の間隔Sを維持しながら掘進する。また、後行トンネル1B(下段中央のトンネル1b)の後行函体10bの配置は、掘進機2により削孔された掘削孔内に、後行函体10bに形成された突部材14を先行トンネル1A(下段外側のトンネル1a)の先行函体10aのガイド溝13に挿入させた状態で行う。なお、先行トンネル1Aと後行トンネル1Bとの継手部Jは、図6(b)に示すように、先行トンネル1Aと後行トンネル1Bとの設置面の上下2箇所に配置されている。
【0049】
また、先行トンネル1Aの先行函体10aには、磁力発生部材(図示省略)が設置されており、掘進機2に設置された磁力検出部(図示省略)により、磁力発生部材の磁力を検出して、先行トンネル1Aとの離隔を検出しながら掘進を行う。そして、掘進機2による切削が、先行函体10aから所定の離隔距離からはずれた場合は、そりジャッキ22cによるそり部材22の突出長の調整および方向修正ジャッキ23により掘進機2の切削方向の調整を行うことにより、所定の離隔となるように調整する。
また、本実施形態に係る掘進機2は、磁力検出部に加えて、先行函体10aに押し当てられたそり部材22の油圧力により、先行函体10aとの離隔距離を計測する。そして、先行函体10aと掘進機2との距離が近すぎる場合には、そり部材22を押出すことにより先行函体10aから反力をとって、掘進機2の方向を修正する。つまり、本実施形態における掘進機2の方向修正は、磁力検出部とそり部材22による2種類の離隔距離の計測結果に基づき、前側外殻20a(カッターヘッド21の向き)をそり部材22の圧力と方向修正ジャッキ23の伸縮により行い、中央外殻20bをそり部材22により先行函体10aから反力をとった状態で方向修正ジャッキ23を伸縮させるとともに中折推進ジャッキ24を伸張させることにより行い、後側外殻20cを中折推進ジャッキ24と元押しジャッキ3とのジャッキワークにより行う。
【0050】
また、推進函体10の掘削孔への圧入方法は、前記に示した方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0051】
下段中央のトンネル1b(先行トンネル1A)の施工が完了または所定長施工が進行したら、図6(c)に示すように、前記と同様に、下段中央のトンネル1bの横隣において、下段内側(図面における左下側)のトンネル1c(後行トンネル1B)の施工を開始する。なお、先行トンネル1Aと後行トンネル1Bとの継手部Jは、先行トンネル1Aと後行トンネル1Bとの対抗面の上下2箇所に配置されている。
なお、下段内側のトンネル1cの構築に関して、掘進機2よる切削方法と掘進装置Mによるトンネル1の構築方法は、前記と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0052】
そして、下段の3本のトンネル1a,1b,1cの施工が完了または所定延長施工が進行したら、図6(d)に示すように、下段外側のトンネル1aの上隣において、上段外側(図面における右上側)のトンネル1dの施工を開始する。この時、後行トンネル1B(上段外側のトンネル1d)の後行函体10bの下面に形成された突部材14を先行トンネル1A(下段外側のトンネル1a)の先行函体10aの上面に形成されたガイド溝13に挿入させた状態で、後行トンネル1Bの構築を進行させる。この時、掘進機2は、下段外側のトンネル1a側にそり部材を突出させた状態で施工を行ってもよい。この他の掘進機2よる切削方法と掘進装置Mによるトンネル1の構築方法は、前記と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0053】
上段外側のトンネル1dの施工が完了または所定長施工が進行したら、図6(e)に示すように、上段外側のトンネル1dの横隣において、上段中央のトンネル1e(後行トンネル1B)の施工を開始する。この時、後行トンネル1B(上段中央のトンネル1e)の後行函体10bの下面と曲線に対して外側の側面に形成された突部材14を下段中央のトンネル1b(先行トンネル1A)の先行函体10aの上面に形成されたガイド溝13と上段外側のトンネル1d(先行トンネル1A)の曲線に対して内側の側面に形成されたガイド溝13に挿入させた状態で、後行トンネル1Bの施工を進行させる。
なお、下段内側のトンネル1cの構築に関して、掘進機2による切削方法と掘進装置Mによるトンネル1の構築方法は、前記と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0054】
さらに、上段中央のトンネル1eの施工が完了または所定長施工が進行したら、図6(f)に示すように、上段中央のトンネル1eの横隣において、上段内側(図面における左上側)のトンネル1f(後行トンネル1B)の施工を開始する。この時、後行トンネル1B(上段内側のトンネル1f)の後行函体10bの下面と曲線に対して外側の側面に形成された突部材14を下段内側のトンネル1c(先行トンネル1A)の先行函体10aの上面に形成されたガイド溝13と上段中央のトンネル1e(先行トンネル1A)の曲線に対して内側の側面に形成されたガイド溝13に挿入させた状態で、後行トンネル1Bの施工を進行させる。
なお、下段内側のトンネル1cの構築に関して、掘進機2よる切削方法と掘進装置Mによるトンネル1の構築方法は、前記と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0055】
トンネル1a〜1fの構築が完了したら、図4(a)に示すように、大断面トンネルTの断面形状に合せて、トンネル1a〜1fの推進函体10の不要な部分を撤去して大きな空間を形成する。
【0056】
そして、地山との境界(すなわち、大断面トンネルTの外縁)に沿って残置されたトンネル1a〜1fの推進函体10,10,…を利用して本設の頂版TA、底版TBおよび側壁TC,TCを形成すると、大断面トンネルTとなる。なお、推進函体10の不要な部分を全部撤去した後に頂版TA、底版TBおよび側壁TC,TCを形成してもよいし、トンネル1a〜1fの不要な部分の一部を撤去しつつ、大断面トンネルTの頂版TA、底版TBおよび側壁TC,TCを構築してもよい。
【0057】
以上、本発明のトンネルの構築方法によれば、曲線線形を有したトンネルの構築を中折推進ジャッキ24と元押しジャッキ3とのジャッキワークにより、簡易かつ確実に行うことが可能となる。そのため、シールド工法による施工に比べて、早期かつ安価にトンネルを構築することが可能となった。
【0058】
また、掘進機2のそり部材22により、後行トンネル1Bの構築を、先行トンネル1Aと所定の間隔を維持した状態で構築することが可能なため、好適である。つまり、推進函体同士の迫りによる破損を防止することが可能となり、好適である。
【0059】
また、そり部材22により先行トンネル1Aの先行函体10aから反力を取った状態で、掘進を進行させれば、先行トンネル1Aに沿った後行トンネル1Bの構築を、詳細な測量等を要することなく行うことが可能となる。
【0060】
また、そり部材22は、そりジャッキ22cにより、掘進機2からの突出長を調節可能に構成されているため、方向修正ジャッキ23とともに、掘進機2の掘進方向の調整に利用することにも使用可能である。
【0061】
また、そり部材22は、直線部22aにより面で先行函体10aに当接するため、先行函体10aから確実に反力をとることができる。さらに、そり部材22は、直線部22aの前方にテーパー部22bを有しているため、先行函体10aと滑らかに当接することが可能となり、そり部材22が先行函体10aの継手等の引っ掛ることにより掘進の妨げとなることがない。
【0062】
また、本発明の掘進機2は、磁力検出器であるセンサを備えているため、先行函体10aに予め設置された、磁力発信部材からの磁力を検出して、先行トンネル1Aと掘進機2の離隔距離や相対レベル(高低差)を算出し、随時掘進機2の方向の確認を行うため、高精度な施工を可能としている。
そして、このセンサとそり部材22との2系統による離隔距離の測定を行うため、正確な施工を行うことを可能としている。
【0063】
また、本発明の掘進装置Mは、推進函体10の配置の際に、元押しジャッキ3による押圧力とともに、掘進機2の中折推進ジャッキによる引張り力を推進函体10に付与するため、推進函体10の曲線線形に合わせた向きへの回転を容易にし、スラスト分散して、推進函体10への負荷を軽減して破損を防止する。
【0064】
また、本発明の元押しジャッキ3は、ジャッキ30の両端がピン構造であるため、トンネル1の線形が曲線であるために、推進函体10と元押しジャッキ3との設置面の角度が、押し込む途中で変化する場合であっても、ジャッキ30が破損することなく、所定の押圧力を付与することを可能としている。
【0065】
また、先行トンネル1Aのガイド溝13に後行トンネル1Bの突部材14を挿入しながら後行トンネル1Bを構築するため、簡易且つ高品質に複数のトンネル1,1,…からなる大断面トンネルTを構築することを可能としている。
【0066】
また、突部材14がガイド溝13の内部に遊嵌されるように形成されていれば、先行トンネル1Aが蛇行し、あるいは捩れている場合や、後行トンネル1Bの掘進機2にローリングやピッチング等が発生した場合であっても、これらの影響が両トンネル1A,1Bの継手部Jで吸収されることになるので、その施工を確実に行うことが可能となる。
つまり、後行トンネル1Bとなる後行函体10bを先行トンネル1Aに沿って押し出す際には、後行函体10bのレール141は、先行函体10aのガイド溝13の内部にトンネル軸方向から挿入されことになるが、このレール141がガイド溝13の内部に遊嵌状態で入り込むので、先行トンネル1Aが蛇行等していても、あるいは、後行トンネル1Bの掘進機2にローリング等が生じていても、ガイド溝13とレール141とが直ちに競ってしまうというような不都合が発生することがなく、その結果、後行函体10bをスムーズに押し出すことが可能となる。
【0067】
また、図1(b)に示すように、このガイド溝13およびレール141は、遊嵌状態で結合してトンネル1の蛇行等に対応可能に構成されている一方で、レール141の頭部141c(すなわち、突部材14の突端部分)がガイド溝13の幅狭部13aの幅(ガイド溝13の開口幅)よりも大きい幅寸法に成形されているので、隣り合う推進函体10,10が必要以上に離間することがなく、その結果、寸法精度の高い大断面トンネルTを構築することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態のトンネルの構築方法および後行トンネルの構築方法によれば、図1に示すように、グランドアーチが形成されにくい土被りが小さい盛土Eにおいて、急曲線線形の大断面トンネルTを構築する際に、大断面トンネルを複数のトンネル1,1,…に分割して施工するため、安全に施工を行うことを可能としている。
【0069】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、既設の盛土を貫通するトンネルについて、本発明のトンネルの構築方法および後行トンネルの構築方法を採用するものとしたが、例えば、大深度トンネルの施工や山岳地帯におけるトンネル施工など、本発明のトンネルの構築方法および後行トンネルの構築方法の適用箇所は限定されるものではないことはいうまでもない。
【0070】
また、推進函体を構成する部材は限定されるものではなく、例えば、鋼製の部材や球状黒鉛鋳鉄製の部材で構成されているものであってもよく、さらには、鉄筋コンクリート製の部材で構成されているものであってもよい。
【0071】
また、突部材を溶接により推進函体の側面に取り付ける構成としたが、例えばレールのフランジ部を推進函体の側面にボルトとナットを介して締着してもよく、突部材の取り付け方法は限定されるものではない。
また、前記実施形態では、突部材を熱押形鋼からなるレールにより形成するものとしたが、例えば鋼板を組み合わせて形成してもよく、突部材の形成方法は限定されるものではない。同様に、前記実施形態では、ガイド溝について形鋼を組み合わせて形成するものとしたが、ガイド溝の形成方法も限定されるものではないことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施形態に係るトンネルの構築方法および後行トンネルの構築方法により構築された大断面トンネル(地下構造物)の概略を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る掘進機を示す図であって、(a)は平断面図、(b)は側断面図、(c)は(a)の部分拡大平断面図である。
【図3】本実施形態に係る元押しジャッキを示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側面図である。
【図4】本実施形態にかかる大断面トンネルの詳細を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は(a)のX部分の拡大図である。
【図5】本実施形態に係る掘進装置によるトンネルの施工状況を示す図であって、(a)は概略平面図、(b)は拡大平面図である。
【図6】大断面トンネルを構成する複数のトンネルの施工手順を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 トンネル
10 推進函体
13 ガイド溝
14 突部材
2 掘進機
20 掘進機本体
21 カッターヘッド
22 そり部材
23 方向修正ジャッキ
24 中折推進ジャッキ(中折れジャッキ)
3 元押しジャッキ
M 掘進装置
T 大断面トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側胴体と後側胴体との接続部に中折れジャッキが配設された掘進機と、
前記掘進機の後方に連続して配設された函体を介して前記掘進機に推進力を付与する元押しジャッキと、
を利用して地中に前記函体を連続的に配置することにより曲線線形を有したトンネルを構築する方法であって、
曲線部において、
前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを伸張させることにより前記前側胴体の向きを変更させる工程と、
前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを収縮させることにより前記後側胴体および前記後側胴体の後方から追従する函体の向きを前記前側胴体の向きに変更する工程と、
を含むことを特徴とする、トンネルの構築方法。
【請求項2】
前側胴体と後側胴体との接続部に中折れジャッキが配設された掘進機と、
前記掘進機の後方に連続して配設された函体を介して前記掘進機に推進力を付与する元押しジャッキと、
前記掘進機に備えられたセンサと、
を利用して地中に前記函体を連続的に配置することにより曲線線形を有して先行して構築された先行トンネルに隣接して、後行トンネルを構築する方法であって、
前記センサにより先行して構築されたトンネルとの位置関係を測定し、前記位置関係に基づいて、前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを伸張させることにより前記前側胴体の向きを変更させる工程と、
前記元押しジャッキにより推進力を付与するとともに前記中折れジャッキを収縮させることにより前記後側胴体および前記後側胴体の後方から追従する函体の向きを前記前側胴体の向きに変更する工程と、
を含むことを特徴とする、後行トンネルの構築方法。
【請求項3】
前記掘進機が、前記掘進機本体の側面から前記先行トンネル方向に張り出すそり部材を備えており、前記センサにより測定された位置関係に基づいて前記そり部材の張り出し量を調節しながら前記先行トンネルに沿って後行トンネルを構築することを特徴とする、請求項2に記載の後行トンネルの構築方法。
【請求項4】
前記そり部材が、該そり部材に作用する圧力により前記先行トンネルとの位置関係を測定し、該そり部材の張り出し力により前記掘進機の向きを変更させることを特徴とする、請求項3に記載の後行トンネルの構築方法。
【請求項5】
前記センサが、磁力検出器であることを特徴とする、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の後行トンネルの構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−16559(P2007−16559A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202012(P2005−202012)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】