説明

ドアヒンジへのドア取り付け方法

【課題】自動車の車体本体に予め取り付けられたドアヒンジへのドア取り付け方法において、ドア組み付け工数の削減を図ると共に車体本体へのドアの接触を防止する。
【解決手段】各ドア側ヒンジ取り付け部14,17のネジ孔16,18にガイドピン41の基端側を挿通し、この状態で前記各ドア側ヒンジ取り付け部14,17を各ドアヒンジ21,31に接近させ、前記各ガイドピン41の先端側を各ドアヒンジ21,31における対応するボルト挿通孔27,36に挿通した後、ガイドピン41が挿通されていないネジ孔15,19及びこれに対応するボルト挿通孔26,37間をボルト締結し、その後に前記各ガイドピン41を前記ネジ孔16,18及びボルト挿通孔27,36から抜き取って、当該ネジ孔16,18及びボルト挿通孔27,36間をボルト締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の車体本体に予め取り付けられたドアヒンジへのドア取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の組み立ては、まず溶接工程において、車体本体における一対のネジ孔が開設された上下一対の車体側ヒンジ取り付け部に、同じく上下一対のドアヒンジにおける一対のボルト挿通孔が開設された車体側ヒンジ部材をそれぞれ当接させ、前記各ボルト挿通孔に挿通したボルトを各ネジ孔に螺合し締め込むことで、各ドアヒンジの車体側ヒンジ部材とドアの各車体側ヒンジ取り付け部とを締結する。同様に、各ドアヒンジのドア側ヒンジ部材とドアの各ドア側ヒンジ取り付け部とをそれぞれボルト締結し、もって一対のドアヒンジを介して単一のドアを車体本体に組み付ける。
次いで塗装工程において、ドアが組み付けられた車体に対して適宜の色の塗装を施した後、車体組み立て工程の初工程で車体からドアを一旦取り外す。この取り外しは、ドアの各車体側ヒンジ取り付け部と各ドアヒンジのドア側ヒンジ部材とのボルト締結を解除することで行う。互いに分離された車体本体及びドアは、それぞれの組み立てラインにおいて艤装がなされた後、最終組み立てラインにおいて再度一体に組み付けられる。
従来、上記艤装後のドアの車体本体への組み付けは、上記溶接工程でのそれと同様、各ドアヒンジのドア側ヒンジ部材とドアの各ドア側ヒンジ取り付け部とをボルト締結することで行う。この組み付け作業は、艤装後のドアを作業者が直接支持するか、あるいは下記特許文献1に記載の如くドア保持装置を用いてドアを支持し、ドア側ヒンジ部材のボルト挿通孔とドア側ヒンジ取り付け部のネジ孔との相対位置を合わせながら行う。
【特許文献1】特許平10−045066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、各ドアヒンジのドア側ヒンジ部材とドアの各ドア側ヒンジ取り付け部とのボルト締結は、車体本体とドアとの間の小空間内で行われることから、各ボルト挿通孔と各ネジ孔との相対位置をこれらの軸方向からは確認し難く、ドア組み付け工数が大となり、搬送コンベアのコンベアタクト内でドアの組み付けが完了せずにラインを停止させる等の課題があった。また、各ボルト挿通孔と各ネジ孔との相対位置合わせの際、車体本体におけるフロントフェンダやフロントピラー等にドアが接触することもあり、塗装面を傷付けたりデフォーム(凹み)を形成したりするという課題があった。
そこでこの発明は、自動車の車体本体に予め取り付けられたドアヒンジへのドア取り付け方法において、ドア組み付け工数の削減を図ると共に車体本体へのドアの接触を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車体本体(例えば実施例の車体本体1)に予め取り付けられた少なくとも二つのドアヒンジ(例えば実施例の上下ドアヒンジ21,31)に一つのドア(例えば実施例のドア11)を取り付ける際のドアヒンジへのドア取り付け方法において、前記各ドアヒンジのドア側ヒンジ部材(例えば実施例のドア側ヒンジ部材23,33)は、前記ドアにおける対応するドア側ヒンジ取り付け部(例えば実施例の上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17)に設けた複数のネジ孔(例えば実施例のネジ孔15,16,18,19)に対向する複数のボルト挿通孔(例えば実施例のボルト挿通孔26,27,36,37)を有し、少なくとも二つの前記ドア側ヒンジ取り付け部における少なくとも一つのネジ孔に、先端側を前記ボルト挿通孔に挿通可能なガイドピン(例えば実施例のガイドピン41)の基端側を挿通し、この状態で前記各ドア側ヒンジ取り付け部を各ドアヒンジに接近させ、前記各ガイドピンの先端側を対応するボルト挿通孔に挿通した後、ガイドピンが挿通されていないネジ孔及びこれに対応するボルト挿通孔間をボルト締結し、その後に前記各ガイドピンを前記ネジ孔及びボルト挿通孔から抜き取って、当該ネジ孔及びボルト挿通孔間をボルト締結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、車体本体側に予め取り付けられた各ドアヒンジのドア側ヒンジ部材と、別途支持されたドアの各ドア側ヒンジ取り付け部とを、ガイドピンを目印に相対位置合わせできると共に、各ボルト挿通孔及び各ネジ孔をこれらの軸方向から目視できなくても、各ガイドピンを対応するボルト挿通孔に挿通することのみで、各ボルト挿通孔と各ネジ孔との相対位置合わせを容易かつ確実に行うことができるため、ドア組み付け工数を削減でき、かつ車体本体へのドアの接触を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【0007】
図1は、自動車組み立てラインにおける艤装後の車体本体1の左前部を示し、フロントピラー2下部の車体外側の上下には、それぞれ上下ドアヒンジ21,31が取り付けられる。フロントピラー2の後方に形成される車体側部開口3には、艤装後の左フロントサイドドア(図2参照、以下、単にドアという)11が、上下ドアヒンジ21,31を介して組み付けられる。なお、図中符号4は車体本体1におけるフロントサイドフレームを、符号5はサイドシルを、符号6はフロントフェンダをそれぞれ示す。また、この実施例では車体左前部を説明するが、車体右前部並びに車体左右後部にも同様の構成を適用可能である。
【0008】
上下ドアヒンジ21,31は、それぞれ車体側ヒンジ部材22,32及びドア側ヒンジ部材23,33を概ね上下方向に沿うヒンジ軸24,34を介して相対回動可能に連結してなる。
上ドアヒンジ21の車体側ヒンジ部材22には円形のボルト挿通孔25が前後に一対設けられ、これら各ボルト挿通孔25に挿通したボルトB1をフロントピラー2下部のネジ孔(不図示)に螺合し締め込むことで、車体側ヒンジ部材22とフロントピラー2とが一体に締結される。また、上ドアヒンジ21のドア側ヒンジ部材23には同じく円形のボルト挿通孔26,27が上下に一対設けられ、これら各ボルト挿通孔26,27に挿通したボルトB2をドア11前端部の各ネジ孔15,16に螺合し締め込むことで、ドア側ヒンジ部材23とドア11前端部とが一体に締結される。
【0009】
一方、下ドアヒンジ31の車体側ヒンジ部材32には円形のボルト挿通孔35が上下に一対設けられ、これら各ボルト挿通孔35に挿通したボルトB1をフロントピラー2下部のネジ孔(不図示)に螺合し締め込むことで、車体側ヒンジ部材32とフロントピラー2とが一体に締結される。また、下ドアヒンジ31のドア側ヒンジ部材33には同じく円形のボルト挿通孔36,37が上下に一対設けられ、これら各ボルト挿通孔36,37に挿通したボルトB2をドア11前端部の各ネジ孔18,19に螺合し締め込むことで、ドア側ヒンジ部材33とドア11前端部とが一体に締結される。
各ドアヒンジ21,31は、互いのヒンジ軸24,34が同軸となるように配置され、これら上下ドアヒンジ21,31を介して、ドア11の前端部が車体本体1に前記ヒンジ軸24,34回りに回動可能(開閉可能)に支持される。
【0010】
図2,3に示すように、ドア11は、アウタパネル12a及びインナパネル12bを主とするドア本体12の上方に、ドアガラスを保持するサッシュ部13を一体に設けてなる。ドア本体12の前端部内側(インナパネル12b)には、前後方向と略直交する前壁部12cが形成される。前壁部12cの上下には、ドア本体12内側からナット付きプレート14a,17aが配設されてなる上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17が設けられる。
【0011】
前壁部12c及び上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17は、車体外面を形成するアウタパネル12aの前縁部よりも後方に位置する。アウタパネル12aの前縁部は、前記フロントフェンダ6の後縁部と所定隙を空けて連なる。上下ドアヒンジ21,31は、アウタパネル12a、前記フロントピラー2、及び前壁部12cで囲まれる車体内側の小空間内に配設される。これら上下ドアヒンジ21,31のドア側ヒンジ部材23,33は、前壁部12cの上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17にそれぞれ締結される。
【0012】
図4を併せて参照し、上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17は、それぞれ前記ナット付きプレート14a,17aと共に上下一対のネジ孔15,16,18,19を構成する。なお、各ネジ孔15,16,18,19の呼び径(内径)は同一とする。上ドア側ヒンジ取り付け部14の上下ネジ孔15,16は、上ドアヒンジ21のドア側ヒンジ部材23の上下ボルト挿通孔26,27にそれぞれ対向し、下ドア側ヒンジ取り付け部17の上下ネジ孔18,19は、下ドアヒンジ31のドア側ヒンジ部材33の上下ボルト挿通孔36,37にそれぞれ対向する。なお、各ボルト挿通孔26,27,36,37は同一内径とする。
【0013】
そして、車体本体1への組み付け前の単体のドア11において、その上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17の各ネジ孔15,16,18,19の内、他方のドア側ヒンジ取り付け部側に位置するもの(具体的には、上ドア側ヒンジ取り付け部14においては下ネジ孔16、下ドア側ヒンジ取り付け部17においては上ネジ孔18)には、車体本体1へのドア11の組み付けをガイドするガイドピン41が挿脱可能に取り付けられる。
【0014】
図5に示すように、ガイドピン41は円柱状の鋼材からなり、各ネジ孔の内周に整合する比較的小径の基端側円柱部42と、各ボルト挿通孔の内周に整合する比較的大径の先端側円柱部43とを一体に形成してなる。基端側円柱部42は、各ネジ孔に対して同軸かつ概ねガタ無く挿通可能であり、先端側円柱部43は、各ボルト挿通孔に対して同軸かつ概ねガタ無く挿通可能である。基端側円柱部42の基端周縁部には、各ネジ孔への挿通を容易にするべくテーパ形状42aが形成され、先端側円柱部43の先端周縁部には、ボルト挿通孔への挿通を容易にするべくテーパ形状43aが形成される。
【0015】
そして、前述の如く上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17における他方側(上下方向内側)に位置するネジ孔16,18にガイドピン41の基端側円柱部42を挿通し、この状態で上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17を予め車体本体1に取り付けられた上下ドアヒンジ21,31に接近させ、各ガイドピン41の先端側円柱部43を対応するボルト挿通孔(上下ドアヒンジ21,31の各ボルト挿通孔の内、他方のドアヒンジ側に位置するもの、具体的には、上ドアヒンジ21においては下ボルト挿通孔27、下ドアヒンジ31においては上ボルト挿通孔36)に挿通する。
【0016】
これにより、上下ドア側ヒンジ部材23,33の各ボルト挿通孔27,36と上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17の各ネジ孔16,18とが同軸に位置決めされ、もって全てのボルト挿通孔とネジ孔とが対応するもの同士で同軸に位置決めされる。この状態で、ガイドピン41が挿通されていないネジ孔(上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17の各ネジ孔の内、他方のドア側ヒンジ取り付け部と反対側に位置するもの、具体的には、上ドア側ヒンジ取り付け部14においては上ネジ孔15、下ドア側ヒンジ取り付け部17においては下ネジ孔19)及びこれに対応するボルト挿通孔(上下ドアヒンジ21,31の各ボルト挿通孔の内、他方のドアヒンジと反対側に位置するもの、具体的には、上ドアヒンジ21においては上ボルト挿通孔26、下ドアヒンジ31においては下ボルト挿通孔37)間をボルト締結する。
【0017】
その後、各ガイドピン41を前記ネジ孔16,18及びボルト挿通孔27,36から抜き取り、当該ネジ孔16,18及びボルト挿通孔27,36間をボルト締結する。このとき、各ガイドピン41は、その先端側(ドアヒンジ側)が大径であることから、ドアヒンジ側に容易に抜き取ることが可能である。
以上により、上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17への上下ドアヒンジ21,31の取り付けが完了し、もって車体本体1へのドア11の組み付けが完了する。
【0018】
次に、この実施例におけるドアヒンジへのドア取り付け方法の作用について図4,6を参照して説明する。
まず、図4に示すように、艤装後のドア11の上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17における他方側に位置するネジ孔16,18に、それぞれガイドピン41の基端側円柱部42を挿通する。このとき、基端側円柱部42の基端周縁部にテーパ形状42aが形成されることで、ネジ孔に挿通後のガイドピン41のガタを無くした上でその挿通作業を容易にできる。また、ガイドピン41における比較的小径の基端側円柱部42と比較的大径の先端側円柱部43との間の段差により、ガイドピン41のネジ孔への挿通方向での位置決めを容易にできる。
【0019】
次いで、ガイドピン41を取り付けたドア11を、作業者又はドア保持装置が支持した状態で、艤装後の車体本体1に対して概ね全開状態で接近させ、その前端部の上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17を予め車体に取り付けられた上下ドアヒンジ21,31に接近させる。上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17と上下ドアヒンジ21,31との相対位置は、全開状態のドア11の前端部後側(車内側)から目視により確認することとなる。
【0020】
このとき、上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17は、フロントピラー2下部外側の小空間内に向いており、ドア11前端部後側から直接目視することは困難であるが、前述の如く一部のネジ孔16,18にガイドピン41を取り付けておくことで、該ガイドピン41におけるネジ孔16,18から突出した先端側円柱部43を目印にし、上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17を上下ドアヒンジ21,31に接近させることができるため、ドア11前端部と車体本体1との接触を容易に防止できる。
【0021】
そして、図6(a)に示すように、各ガイドピン41の先端側円柱部43を対応するボルト挿通孔27,36に挿通することで、各ネジ孔及びボルト挿通孔をこれらの軸方向で目視できなくても、これらの相対位置合わせを容易かつ確実に行うことができる。このとき、先端側円柱部43の先端周縁部にテーパ形状43aが形成されることで、ボルト挿通孔に挿通後のガイドピン41のガタを無くした上でその挿通作業を容易にできる。また、上下のドア側ヒンジ取り付け部14,17及びドアヒンジ21,31に跨ってガイドピン41による位置決めを行うことで、ドア11全体の位置決めをバランス良く行うことができる。
【0022】
次いで、図6(b)に示すように、ガイドピン41が挿通されていない側のネジ孔15,19に対し、対応するボルト挿通孔26,37に挿通したボルトB2を螺合し締め込むことで、当該ネジ孔15,19及びボルト挿通孔26,37間の締結を行う。このとき、各ネジ孔と各ボルト挿通孔との間の相対位置合わせが確実になされていることで、これらの間の相対位置ずれによるボルト斜め挿通によるネジ孔の損傷を防止できる。
【0023】
その後、図6(c)に示すように、各ガイドピン41をネジ孔16,18から抜き取り、当該ネジ孔16,18に対して対応するボルト挿通孔27,36に挿通したボルトB2を螺合し締め込むことで、当該ネジ孔16,18及びボルト挿通孔27,36間の締結を行う。ガイドピン41は、ボルト挿通孔に挿通される先端側円柱部43の方が大径であることから、ボルト挿通孔側から容易に抜き取ることが可能である。
以上により、全てのネジ孔及びボルト挿通孔間がボルト締結され、上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17への上下ドアヒンジ21,31の取り付けが完了し、もって車体本体1へのドア11の組み付けが完了する。
【0024】
以上説明したように、上記実施例における方法は、車体本体1に予め取り付けられた上下一対のドアヒンジ21,31に一つのドア11を取り付ける際のドアヒンジへのドア取り付け方法において、前記各ドアヒンジ21,31のドア側ヒンジ部材23,33は、前記ドア11における対応する上下ドア側ヒンジ取り付け部14,17に設けた複数のネジ孔15,16,18,19に対向する複数のボルト挿通孔26,27,36,37を有し、前記各ドア側ヒンジ取り付け部14,17における他方側に位置するネジ孔16,18に、先端側を前記ボルト挿通孔27,36に挿通可能なガイドピン41の基端側を挿通し、この状態で前記各ドア側ヒンジ取り付け部14,17を各ドアヒンジ21,31に接近させ、前記各ガイドピン41の先端側を対応するボルト挿通孔27,36に挿通した後、ガイドピン41が挿通されていないネジ孔15,19及びこれに対応するボルト挿通孔26,37間をボルト締結し、その後に前記各ガイドピン41を前記ネジ孔16,18及びボルト挿通孔27,36から抜き取って、当該ネジ孔16,18及びボルト挿通孔27,36間をボルト締結するものである。
【0025】
この構成によれば、車体本体1側に予め取り付けられた各ドアヒンジ21,31のドア側ヒンジ部材23,33と、別途支持されたドア11の各ドア側ヒンジ取り付け部14,17とを、ガイドピン41を目印に相対位置合わせできると共に、各ボルト挿通孔及び各ネジ孔をこれらの軸方向から目視できなくても、各ガイドピン41を対応するボルト挿通孔に挿通することのみで、各ボルト挿通孔と各ネジ孔との相対位置合わせを容易かつ確実に行うことができるため、ドア組み付け工数を削減でき、かつ車体本体1へのドア11の接触を防止することができる。
【0026】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、ガイドピンを挿通するネジ孔は、各ドア側ヒンジ取り付け部の他方側のものではなく、前記他方と反対側のものであってもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。また、ドアヒンジが三つ以上の場合に適用してもよく、かつドア側ヒンジ部材のボルト挿通孔及びドア側ヒンジ取り付け部のネジ孔が三つ以上の場合に適用してもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施例における艤装後の車体本体の左前部の斜視図である。
【図2】左サイドドアの側面図である。
【図3】図2の前面図である。
【図4】ドアヒンジ及びドアの斜視図である。
【図5】ガイドピンの斜視図である。
【図6】ドアヒンジへのドアの組み付け説明図であり、(a)はドアに取り付けたガイドピンをドアヒンジ側のボルト挿通孔に挿通した状態を、(b)は(a)の状態からガイドピンを取り付けていないネジ孔にボルトを螺着した状態を、(c)は(b)の状態からガイドピンを抜き取り当該ネジ孔にボルトを螺着した状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0028】
1 車体本体
11 ドア
14 上ドア側ヒンジ取り付け部
15,16 ネジ孔
17 下ドア側ヒンジ取り付け部
18,19 ネジ孔
21 上ドアヒンジ
23 ドア側ヒンジ部材
26,27 ボルト挿通孔
31 下ドアヒンジ
33 ドア側ヒンジ部材
36,37 ボルト挿通孔
41 ガイドピン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体本体に予め取り付けられた少なくとも二つのドアヒンジに一つのドアを取り付ける際のドアヒンジへのドア取り付け方法において、
前記各ドアヒンジのドア側ヒンジ部材は、前記ドアにおける対応するドア側ヒンジ取り付け部に設けた複数のネジ孔に対向する複数のボルト挿通孔を有し、
少なくとも二つの前記ドア側ヒンジ取り付け部における少なくとも一つのネジ孔に、先端側を前記ボルト挿通孔に挿通可能なガイドピンの基端側を挿通し、この状態で前記各ドア側ヒンジ取り付け部を各ドアヒンジに接近させ、前記各ガイドピンの先端側を対応するボルト挿通孔に挿通した後、ガイドピンが挿通されていないネジ孔及びこれに対応するボルト挿通孔間をボルト締結し、その後に前記各ガイドピンを前記ネジ孔及びボルト挿通孔から抜き取って、当該ネジ孔及びボルト挿通孔間をボルト締結することを特徴とするドアヒンジへのドア取り付け方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−137478(P2008−137478A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325400(P2006−325400)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】