説明

ドアミラーターンランプ

【課題】配光規格を満たしつつ、アウタレンズの外形形状とLED光源の設置場所及びドアミラーのセット角度に課された制約を緩和することができるドアミラーターンランプを提供すること。
【解決手段】ドアミラー本体7に設置され、ハウジング2と前記ドアミラー本体7の前面を車両側方から車両後方に向かって円弧状に覆うアウタレンズ3とで画成される空間の車両後方部にLED光源6を収容して成るドアミラーターンランプ1において、
前記アウタレンズ3の内側にインナレンズ4を配置し、該インナレンズ4の前記LED光源6に対向する部分に該LED光源6からの光を車体後方に配光する第1のレンズカット4aを施し、
前記アウタレンズ3の前記第1のレンズカット4aを挟み前記LED光源6に対向する部分に、第1のレンズカット4aを透過した光を更に車両後方に配光する第2のレンズカット3を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の左右のドアに取り付けられたドアミラーに組み込まれたドアミラーターンランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両の前部には、夜間照明用のヘッドランプ、車両が曲がる方向を表示するためのターンランプ、夜間において対向車や歩行者等に車体の幅を認識させるための車幅灯等が設けられている。
【0003】
ところで、近年、乗用車等には後方視認用のミラーとしては左右のドアに取り付けられたドアミラーが主流を占めており、安全性向上のためにこのドアミラーにもターンランプを設けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、従来のドアミラーターンランプの一例を図5〜図7に示す。
【0005】
即ち、図5は従来のドアミラーターンランプの平面図、図6は図5のC−C線断面図、図7は同ドアミラーターンランプの分解斜視図であり、図示のドアミラーターンランプ101はドアミラー本体107に設置されるものであって、ハウジング102と前記ドアミラー本体107の前面を車両側方から車両後方に向かって円弧状に覆うアウタレンズ103を備えている。そして、ハウジング102とアウタレンズ103によって画成された空間には、アルミ蒸着が施されたエクステンション104とフレキシブル基板105及び該フレキシブル基板105の端部に搭載された上下2つのLED光源106が収容されている。
【0006】
上記エクステンション104は、前記アウタレンズ103の内面に沿うよう円弧曲面状に成形されており、その外端部には矩形の凹部104Aが形成され、この凹部104Aの奥には図6に示すように所定の設置角度α’を成す上下2つの矩形窓104aが開口している(図7参照)。
【0007】
他方、前記フレキシブル基板105の外端部には上下2つの前記LED光源106が搭載されており、これらのLED光源106は、図6に示すように、エクステンション104の外端部に形成された前記凹部104Aの奥に開口する上下2つの矩形窓104aに臨んでいる。そして、前記アウタレンズ103の外端部のLED光源106に対向する図6の示すcの範囲には配光用のレンズカット103aが施されている。尚、レンズカット103aには魚眼フレネルカットやフルートカットが採用されている。
【0008】
ところで、ドアミラーターンランプに関しては欧州規格であるECEReg.No.6−01Category5が適用され、配光範囲(上下方向±15°、左右方向5°〜60°)において0.6cd〜200cdの光度が要求されており、この要求を満たすため、図5〜図7に示す従来のドアミラーターンランプ101においては、LED光源106からの光はアウタレンズ103に形成された前記レンズカット103aによって図6に示す範囲(左右方向5°〜60°の範囲)に配光が制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−001710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
而して、ドアミラーは車両の外観の一部を構成するため、近年、特に乗用車用のドアミラーは美的感覚を満足させるよう造形が施されており、そのセット角度β’(図6参照)が小さくなると、LED光源106の光出射方向を配光範囲に向けるために該LED光源106をアウタレンズ103側に移動させてその設置角度α’を大きくする必要がある。このようにLED光源106の設置角度α’が大きくなると、該LED光源106とアウタレンズ103との間隔が減少して両者が接近するため、アウタレンズ103を外側に膨らませる必要があり、アウタレンズ103の外形形状とLED光源106の設置場所及びドアミラーのセット角度β’に制約を伴う。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、配光規格を満たしつつ、アウタレンズの外形形状とLED光源の設置場所及びドアミラーのセット角度に課された制約を緩和することができるドアミラーターンランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、ドアミラー本体に設置され、ハウジングと前記ドアミラー本体の前面を車両側方から車両後方向かって円弧状に覆うアウタレンズとで画成される空間の車両後方部にLED光源を収容して成るドアミラーターンランプにおいて、
前記アウタレンズの内側にインナレンズを配置し、該インナレンズの前記LED光源に対向する部分に該LED光源からの光を車体後方に配光する第1のレンズカットを施し、
前記アウタレンズの前記第1のレンズカットを挟み前記LED光源に対向する部分に、第1のレンズカットを透過した光を更に車両後方に配光する第2のレンズカットを施した
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LED光源からの光はインナレンズに形成された第1のレンズカットによって車両後方に向けて1次配光制御され、第1のレンズカットを透過して1次配光制御された光はアウタレンズに形成された第2のレンズカットによって更に車両後方に向けて2次配光制御され、このように配光制御が2段階になされるため、ドアミラーのセット角度が小さくなっても、配光規格を満たすためにはLED光源の設置角度を従来よりも小さく抑えることができる。このため、アウタレンズを外側に大きく膨らませる必要がなく、該アウタレンズの意匠面の飛び出し量と当該ドアミラーターンランプの外形幅を小さく抑えることができるとともに、LED光源の設置場所の自由度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るドアミラーターンランプの平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB部拡大詳細図である。
【図4】本発明に係るドアミラーターンランプの分解斜視図である。
【図5】従来のドアミラーターンランプの平面図である。
【図6】図5のC−C線断面図である。
【図7】従来のドアミラーターンランプの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係るドアミラーターンランプの平面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB部拡大詳細図、図4は同ドアミラーターンランプの分解斜視図である。
【0017】
本発明に係るドアミラーターンランプ1は、車両のフロントドア(不図示)に取り付けられるものであって、車両が曲がる方向を光の点滅によって表示する機能を果たす。尚、本実施の形態では、車両の左側のフロントドアに取り付けられるドアミラーターンランプ1について説明するが、逆側である右側に取り付けられるドアミラーターンランプの基本構成は左側のものと同じであるため、これについての図示及び説明は省略する。
【0018】
本発明に係るドアミラーターンランプ1は、ドアミラー本体7に設置されるものであって、ハウジング2と前記ドアミラー本体7の前面を車両側方から車両後方に向かって円弧状に覆うアウタレンズ3を備えている。そして、ハウジング2とアウタレンズ3によって画成された空間には、透明なインナレンズ4とフレキシブル基板5及び該フレキシブル基板5の外端部に搭載された上下2つのLED光源6が収容されている。ここで、フレキシブル基板5の外端部に搭載されたLED光源6の設置角度は図2に示す角度αに設定されている。尚、フレキシブル基板5は不図示のバッテリに電気的に接続されている。
【0019】
又、前記インナレンズ4は、アウタレンズ3の内面に沿うよう円弧曲面状に成形されており、その外端部の前記LED光源6に対向する部分には、図3に詳細に示すように、配光用の第1のレンズカット4aが図示のaの範囲に亘って形成されている。
【0020】
更に、前記アウタレンズ3の前記第1のレンズカット4aを挟み前記LED光源6に対向する部分には、第1のレンズカット4aを透過した光を更に車両後方に配光する第2のレンズカット3aが形成されている。尚、インナレンズ4に形成された第1のレンズカット4aとアウタレンズ3に形成された第2のレンズカット3aには魚眼フレネルカットやフルートカットが採用されている。
【0021】
而して、本発明に係るドアミラーターンランプ1において不図示のバッテリからフレキシブル基板5を介してLED光源6に電流が供給されると、該LED光源6が断続的に発光して点滅して車両が曲がる方向を表示するが、本発明に係るドアミラーターンランプ1においては、LED光源6からの光はインナレンズ4に形成された第1のレンズカット4aによって車両後方に向けて1次配光制御され、インナレンズ4に形成された第1のレンズカット4aを透過して1次配光制御された光は、アウタレンズ3に形成された第2のレンズカット3aによって更に車両後方に向けて2次配光制御される。
【0022】
このように本発明に係るドアミラーターンランプ1においては、配光制御がインナレンズ4に形成された第1のレンズカット4aとアウタレンズ3に形成された第2のレンズカット3aによって2段階になされるため、ドアミラーのセット角度β(図2参照)が小さくなっても(例えば、従来のセット角度β’(図6参照)が23°であるのに対して本発明のセット角度βは16°に設定されている)、配光規格を満たすためにはLED光源6の設置角度αを従来よりも小さく抑えることができる。このため、アウタレンズ3を外側に大きく膨らませる必要がなく、該アウタレンズ3の意匠面の飛び出し量と当該ドアミラーターンランプ1の外形幅を小さく抑えることができるとともに、LED光源6の設置場所の自由度が高められる。
【0023】
以上の結果、本発明に係るドアミラーターンランプ1によれば、配光規格を満たしつつ、アウタレンズ3の外形形状とLED光源6の設置場所及びドアミラーのセット角度βに課されていた制約を緩和することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0024】
1 ドアミラーターンランプ
2 ハウジング
3 アウタレンズ
3a アウタレンズの第2のレンズカット
4 インナレンズ
4a インナレンズの第1のレンズカット
5 フレキシブル基板
6 LED光源
7 ドアミラー本体
a インナレンズのレンズカット範囲
b アウタレンズのレンズカット範囲
α LED光源の設置角度
β ドアミラーのセット角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアミラー本体に設置され、ハウジングと前記ドアミラー本体の前面を車両側方から車両後方向かって円弧状に覆うアウタレンズとで画成される空間の車両後方部にLED光源を収容して成るドアミラーターンランプにおいて、
前記アウタレンズの内側にインナレンズを配置し、該インナレンズの前記LED光源に対向する部分に該LED光源からの光を車体後方に配光する第1のレンズカットを施し、
前記アウタレンズの前記第1のレンズカットを挟み前記LED光源に対向する部分に、第1のレンズカットを透過した光を更に車両後方に配光する第2のレンズカットを施した
ことを特徴とするドアミラーターンランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−221773(P2010−221773A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69557(P2009−69557)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】