説明

ドアロック

このキーはドアが開錠可能となるようにドアの第1の側面からロックと係合することができ、カードは引き続き第1の側面から離れているドアの第2の側面でのみロックとの係合から取り去ることができる。本発明の記載に関係しているドアの側面は、ドア抱きで保持される事実上の端部の側面というより、ドアまで歩いてくる人が接近する通常のドアの表面と裏面である。キーはカードの形態とすることができる。本発明のロッキング装置においては、キーが一旦ロックに係合すると、ドアが再度施錠されたときにのみ取り去ることができるのが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッキング装置、特に、セキュリティの必要性が増大している場所、たとえば、ホテルおよび多くのユーザが出入りする他の領域で使用されるロッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野においては、種々のロッキング装置が知られている。付加的なセキュリティを付与するロッキング装置の例と、特に、ロックの操作におけるある段階の間ロックのためのキーの保持、および他のセキュリティの特徴が以下に記載されている。
【0003】
特開2002−147074 (SANPO Lock Co Ltd) は、(そのカードが特定の寸法の要件に合致しなければ)ロック内にカードを保留するカードロックを記載している。
【0004】
DE10033043 (NEERINCX Joseph) は、デポジットボックスが安全な部屋に確保されるまではキーがそのデポジットボックス内に保持されるようなデポジットボックスを記載している。
【0005】
US5027553 (VERGARA Florentino) は、ドアが不注意に開けられたままになっている場合にそのドアを閉めるように、所定の遅れの後に動作する自動ドア閉め装置を持つドアを記載している。
【0006】
特開2000−276622 (日立インフォーメーションテクノロジー) は、ロックに対するカードの使用に関し出入情報を記録するために、そのカードがロック内でどのように操作されたかについて、キーカード上に情報が格納されるカードロックを記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記文献から確かめられるように、操作する人が不用意にロック内にキーを残したままにしたり、使用後に不用意にドアを開けたままにしたりしないことを確実にするという問題はセキュリティシステムにおいて公知の問題である。
【0008】
公知のセキュリティシステムの他の問題として、付加的な人が認可された人と一緒にドアを通過する「テールゲート」(tailgating) の現象がある。この問題は、たとえば、セキュリティシステムが認可された人が立ち去った後に残っている付加的な人に気づかないために、セキュリティシステムはビルが空ではないのに空であると示す可能性があることを意味する。さらに、この付加的な人は、単に、例えば、キーを使用して入場する認可された人の仲間ではなく、ドアを通過することを認可されていない可能性がある。
本発明は、ロックとキーを含むドアのロッキング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
キーはドアの第1の側面からロック(錠前)と係合するとドアを解錠(開錠)でき、このキーは引き続き第1の側面から離れているドアの第2の側面でのみロックとの係合から取り去ることができる。また、このキーは一旦ロックに係合すると、前記ドアが再度施錠されたときにのみ取り去ることができる。
【0010】
本発明の記載に関係しているドアの側面は、ドア抱き (door jamb) で保持される事実上の端部の側面というより、ドアまで歩いてくる人が接近する通常のドアの表面と裏面である。関係するドアの第1と第2の側面は、通常の使い方では、ドアが閉じているとき一人の人が同時にはアクセスできない両側面である。
【0011】
本発明のロッキング装置は、一つの囲まれた空間からもう一つの空間に入るための、ドア、囲い、カバー、ふた、窓、ゲート、その他のドアのような手段などの広い範囲のものに適していると考えられる。しかし、本発明の実現に際しては、本ロッキング装置においては、ドアが閉じているときには、ドアの一方の側面を他の側面からアクセスすることは合理的にはできないようなドアが使用されることが要求される。従って、事実上のかんぬきのドア、格子戸、低いゲートなどのように、例えば一人の人がこのようなドアのかんぬきの間から手を差し込んだり、このようなドアの上から腕を回したりして、ドアを開けることなく閉じたドアの他の側から一方の側にアクセスできるようなドアに本発明のロッキング装置を使用することは、本質的に本発明の意図するところではない。この理由は、少なくとも一部において、本ロッキング装置がドアに設置されたとき、本発明のロッキング装置においては、ユーザは、少なくともドアを開けずにキーを使用することはできず、そのキーを取り戻すことができないように、本ドア/ロックのユーザの行動を効果的に制御する方法に関係していることが本発明の有益な点であるからである。従って、ユーザは、例えばドアの他の側をアクセスしなければキーを取り戻すことができず、例えば、他のセキュリティの機能が起動されるとしてもよい。
【0012】
本発明に係わるロッキング装置は、カードの形をしたキーを使用できる。カードを使用することには利点がある。カードキーは相対的に断面積が小さく、ドアに容易に穴を設けることができ、穴がドアを大きく侵食することなく、ドアの構造を弱くすることなく、ドアの一方の側から途方の側にカードを通過させることができる。加えるに、カードキーは、クレジットカードの形式のように、ユーザがより容易に持ち運びでき、また、ロックの使用に関する情報をカードに記録するとか、ドアのユーザを識別するためにセキュリティシステムでカードから情報を記録する等の追加の機能をロックの用途に容易に組み合わせられる。
【0013】
本発明のロッキング装置の使用を容易にするドア、戸口あるいはドア抱きの通し穴には、予期せぬ物が穴を通過するのを防ぐように封じ手段を設けても良い。例えば、火事のときに穴を塞ぐように膨張する素材を使ってもよい。これには、耐火性の防火戸が穴を塞がれて開錠できなくなるという利点がある。同様に、ある時間の間時間外のアクセス等を防止するよう閉鎖することができる。
【0014】
本発明に係わるロッキング装置は、キーが一旦ロックに係合すると、ドアが再度施錠されたときにのみ取り去ることができるように動作する。従って、一人の人が本発明に係わるロッキング装置を備えているドアを使用するとき、キーをドアの第1の側面に挿入すると、ドアを開けて再度閉じて施錠して、初めてキーを取り去ることが可能となる。キーを取り出すのがドアの第2の側面からのみ可能なので、キーの使用者は、キーを取り戻して保持するために、ドアを開けて、開いた出入り口を通過することが必要となる。本発明のロッキング装置を備えたドアを効果的に使用するためにユーザの所定の行動が要求されるので、これは本発明の大きな利点である。特に、もしユーザが他の人のために自分のキーを使ってドアを開けるとすると、本人自身もドアを通過しなければキーを取り戻すことができない。更に、ドアが回転式入り口の形式でできていると、回転式入り口(ドア)は一度に一人しか通過できないので、もしキーの所持者が他の人のためにキーを使うと、ドアを通してキーを戻すことができない他人だけがキーをアクセスできることになり、キーの所持者は事実上キーを失うことになるのが確実にでき、ドアの性質を本発明の利点を実現するのに適したものとする。
【0015】
これまで述べてきたロッキング装置は、ドアの第2の側面から第1の側面へのアクセスに関している。しかし、上記の概念が満たされるならば、ユーザはどちらの方向にも自由にドアを通過できる、又はドアの一方から他方にそれから再度戻るという上述の要件に係わるロッキング機構を提供することは本発明の範囲となる。
【0016】
本発明に係わるロッキング装置は、キーが第1の側面から第2の側面にむけて使用可能であるように、第2の側面から第1の側面にむけて使用可能である。
【0017】
多くの状況、特に、幾人かの人が夫々キーを持って一つの場所に共通に出入りする場合に、このようなキーの所持者はドアの一方から他方に自由に通り、必要なら再度戻ることができるのが便利である。しかし、本発明の利するところは、ユーザはキーを入れた後ではキーを取り戻すのに少なくともドアを開けなければならない、又、再度キーを取り戻すまでには、ドアを開け、ドアを通り、ドアを閉じて施錠しなければならないことである。このことは、第三者がキーの所持者を伴わずに出入りするにはキーの所持者を制約することになる。これにより、例えば刑務所のような所の訪問者のように、入場に付き添いが必要とされる状況では、ドアに本発明のロッキング装置を使用することが特に好都合となる。
【0018】
本発明に係わるロッキング装置は、キーの引き続きの使用に際して、ロックの第1の側面と第2の側面の機能が交互に入れ替わるように構成されている。
【0019】
このような機能は、ドアの向こうのセキュリティエリアへの出入りのように、ドアの他方側に入った人がそのドアを通って戻るまで、ドアを通過するのに1個のキーの使用だけが可能であり、再度更に第1の側から第2の側にドアを通過することが可能になるという点で特に都合がよい。このことは、セキュリティエリアでは、セキュリティエリアにいる人がその場所に閉じ込められている間に2度目のアクセスは起こることはないというのが重要なことであり、更にアクセスがあると、例えば、強盗や窃盗の可能性があるというように、種々の状況において特に有益である。他の例としては、ホテルの1室を1人の人だけに貸している場合、数人の人が個々にその部屋を使用することは、人が同時に出入りするのでなければ実施できない。他にトイレの個室に使用すると有益である。ここでは、例えば、料金を支払うとユニバーサルキーが与えられるが、一旦個室が占有されると、この個室のユニバーサルキーを所持している他の人は、この個室がもう一度空きになるまで不意にアクセスすることはできない。
【0020】
本発明に係わるロッキング装置は、ロックとキーを有している。このロックは、キーを使うとそのキーをドアの第1の側から第2の側へと通過させるように、ドアそのものに設けられているのが便利である。また、本発明の範囲に入るものとして、ロックがドア抱きに設けられている場合がある。ここでは、キーに係合するドアの第1と第2の側面の用語はより広く解釈して、ドアの第1の側と等価なドア抱きの第1の側に置かれ、ドアの第2の側と等価なドア抱きの第2の側から取り戻される(かつ同様なアクセス性の概念を有する)カードキーのようなキーは、等価な動作であると解釈される。同様に、ロックがドアとドア抱きの両方に設けられている場合も、本発明の範囲に入るロックの位置の置き換え例に含まれる。ドア抱きの用語は、側面、戸の上の横木(まぐさ lintel)、ドアの周囲の足板(foot-board) を含む。
【0021】
ロックが設けられている位置に応じて、キーは、ドアの第1の側から第2の側へ通る際、ロック、ロックの隣、又はロック部の間を通過する。
【0022】
ロックをドア抱きに設けることには利点がある。更なるセキュリティシステムへの関連の配線や電気回路は、例えばロッキング装置からコンピュータのような他の機器への情報通信のための可動のドアとドア抱きの間の跳び越し配線 (flying lead) の必要がなくなる。
【0023】
本発明のロッキング装置は、キーの1個以上の切込みによってロックと係合するキーを使用することができる。1個のみ、2又は3個の切り込みでもよい。
【0024】
キーは、通常ロックと係合する切込みを有する構成となっている。本発明に関連して、切込みの使用が特に有利なのは、切り込みは、キーが一旦ロックに挿入されるとロックの中のラッチによりキーを取り戻すのを阻止する便利な手段を提供しており、キーがロックに係合すると第1の側にキーを取り戻すのが防止される。
【0025】
キーの1個以上の切り込みはロックと係合し、ロック装置の中の鋸歯状車によってそのようになる。
【0026】
キーを鋸歯状車と機械的に係合させるのは便利な方法である。つまり、典型的にはドアの面に垂直にロックにキーを挿入する直線的な動作によって、機械的動きが90度程伝えられ、ボルトなどをロックに引き込ませてドアを開錠する。従って、鋸歯状車はロックを操作してドアを施錠および/または開錠するのに役立っている。
【0027】
本発明のロッキング装置においては、ロッキング装置の動作の一部の間、キーが取り去られるのを防止するように、ロックの中にキーを保持させるためにキーの1個以上の切込みを利用することができる。
【0028】
本発明のロッキング装置の動作を効果的にするため、ドアの第1の側面から離れている第2の側面からキーを取り出す前にドアの第1の側面からキーを取り去るのを防止することが必要である。多くの場合、キーの一部が突き出ているように一部だけをロックに挿入することによって、全体が物理的に存在するとしてロックを起動することができるのが適切である。そこで、キーがロック中に保持されて力ずくで抜き取れない機構にしておくのが便利である。キーがカードの形をしていて、キーにある切込みでキーをドア中に保持させ、もしドアの第1の側からキーを取り去ろうとして過度の力が加えられると、取り去ることが可能となる前にキーがドアの中で破損するようにすることが特に重要である。このような作用にしておくとドアの中に証拠を残すのに役立つ。このキーの1個以上の切り込みはキーの端部に設けられるのが望ましい。キーがカードキーで、平面の端部に切り込みを設けることでカードが弱くなり、ロックの中に保持されているカードを抜き取ろうとして力を加えると、もしかするとカードが一端から多端に向けて引き裂かれるであろう。
【0029】
カードをドアの中に保持する代替の手段としては、ロックが開錠されるようカードを十分に挿入したとき、キーがもはやドアの第1の側面からアクセスできない程度に、キーをロックに係合させることが必要となるようにロッキング装置を構成することである。そこで、キーは第2の側面から突き出て続いて取り出すことができるか、或いは、例えばハンドルを回してドアを開けたときだけ第2の側面に出てくるようにしてもよい。
【0030】
上記カードをドアの中に保持する代替の手段は、キーをドアに機械的に保持することと組み合わせることができる。キーのドア内への機械的保持としては、前述したキーの切込みを使用するだけでなく、キーの固定手段(例えば横からの固定)を含んでもよい。
【0031】
本発明のロッキング装置と使用するのに適したカードには種々の形式があるが、カードキーを使用するのが望ましく、情報の格納に適したキーの形式のカードキーを使用するのがより望ましい。情報の格納に適したカードを使用すると、キーをロックに係合させたときカードとロックの間の格納された情報の転送ができる。キー又はロックに情報を格納する望ましい手段は、ディジタルの形式である。情報をディジタルに保持するのに適した形式には、キー上の磁気ストリップや電気的又は前述の切り込みの使用を含む。
【0032】
本発明のロッキング装置と使用するキーはユーザ特有のものとすることができる。各ユーザがそれぞれのキーを持ち、全てが同じロッキング装置で操作できる。外部に接続されているコンピュータのようなロッキング装置の一部にユーザ特有のキーの使用状況を記録することができる。
【0033】
ロッキング装置がコンピュータにリンクされていると、本発明のロッキング装置に使用するキーが使用されていない場合は、ロッキング装置により使用不可能として記録される。キーが使用されていないときは、ユーザコードによりアクセス可能である装置内に保持される。このような変形態様はスタッフの交代がある高度のセキュリティエリアにおいて特に適している。
【0034】
本発明のロッキング装置の一部として使用されるロックは彫込み錠 (mortise lock)でもよい。本発明のロッキング装置の一部として使用されるロックはデッドロック機構として作用しても良い。更に、本発明のロッキング装置と使用するロックにはラッチがあってもよい。これは、本発明を使用しても、ユーザが依然としてドアやラッチを閉じた後にロックからキーを取り去るのを忘れるような場合に特に都合がよい。それで、もしユーザがドアからキーを取り去るのを忘れると、ドアは少なくともラッチにより閉じたままに維持される。キーを使用しなければラッチの係合を外せないかもしれない。更に、ラッチがあることによって、もしキーのユーザがドアを開けてドアを通過しないでドアが再度閉じたとすると、そのユーザはもはやキーを取り戻すことができない。このことは、セキュリティシステムを効果的に運用することが要求されるとき、ユーザに所定の行動を要求する手段として本発明のロッキング装置を使用することを更に促進することになる。ドアを開け、および/または施錠されていないとき、ユーザにドアを開けたままにしないよう、或いはキーを取り去ることに気付かせるよう、このロッキング装置に音による警報を設けることができる。
【0035】
本発明のロッキング装置のロックは、ソレノイドで動作するボルトによってしっかり閉じるよう動作させてもよい。
【0036】
本発明のロッキング装置のロックは、回転等によりドアを開放させるためのドアハンドルの操作を止めるよう働いてもよい。
【0037】
本発明に係わるロッキング装置は、多くの他の特徴と都合良く組み合わせてもよい。他の特徴には、ドアが開いている状態のときやドアが所定の時間より長い間開いているときに動作して、ユーザにドアを閉じ、施錠し、キーを取り戻す必要性を警告するよう、聴覚、視覚または触覚にうったえる信号を使用することを含む。
【0038】
本発明の別の局面としてセキュリティシステムがある。システムが、ドアが閉鎖された位置にあるかどうかを検知するセンサを有するとき、セキュリティシステムは前記のようなロッキング装置からなる。セキュリティシステムのこのようなセンサやその他の部分が、ホテルや刑務所や他の機関において共通に使用されている中央のコンピュータ制御装置にリンクされている。これにより中央の制御装置はドアやシステムの他の特徴へのアクセスを中央から監視および/または調整することができる。このようなシステムの他の特徴には、キーカード等を元の状態へ再プログラムする能力を含む。本発明に係わるセキュリティシステムには、ドアが開いている状態のときや、および/またはドアが閉じている位置にあるのにキーがロックの中にあるとき、ユーザがドアを閉じること、および/またはドアが閉じているときには施錠すること、および/または施錠されているときにはキーをドアから取り出すことを確実に思い出させるように動作する聴覚、視覚または触覚信号の発生手段を備えることができる。
【0039】
本発明の別の局面によれば、修正されたキュリティシステムは、前記のロッキング装置と、ロックが搭載されているドアと、ユーザの存在を検知する検知手段と、前記検知手段からデータを受け取り、前記ロックを制御することができるコンピュータ制御装置とから成り、キーからコンピュータ制御装置に渡されたデータが前記検知手段からコンピュータ制御装置に渡されたデータと相関があるときにのみ、前記キーが前記ロックから取り出し可能であることを特徴とする。
【0040】
前記検知手段は、光カーテン、又は重量感知パッド、又は圧力感知パッド、又はこれらの組み合わせとすることができる。ドアは、ユーザが第1のドアからキーを取り出した後でのみ更なるドアの通過が可能となるように、第1のドアに通路で接続されている更なるドアと関連しているようにしてもよい。
【0041】
ここに使用されているように、光カーテンは、領域の上の光源と、光の検出器とから成り、人又は物体が領域に存在するのを検出し、電子的形態で通信する。重量感知パッドは、パッド上の物体の重量を測定し電子的形態で通信する装置である。圧力感知パッドは、足のような対象物が上に載っている表面の領域を検知し、その情報を電子的形態で通信する装置である。
【0042】
本発明のロッキング装置は、ドアに使用されるが、1個のロックとそのロックに対する1個以上のカードキーを含む一揃いの部品として売ることができ、前述のように動作する。本発明に係わるセキュリティシステムとロッキング装置においては、例えば、ロッキング装置が故障の際、或いは緊急の場合にドアへのアクセスがなお可能であるように、オーバーライド・マスターキー形 (over ride and master key type)の操作を含むのは、本発明の範囲内にあると考えられる。更に、本発明のロッキング装置においては、ロッキング装置の起動、つまり施錠又は開錠するのに2個以上のキーを同時に又は順次に利用する必要があると解釈することができる。かかる同時の使用は、ドアの同じ側から、或いは対抗する側からであってもよい。
【0043】
本発明のロッキング装置またはセキュリティシステムの他の特徴として、キーをドアの第1の側からドアの第2の側へ通すことが必要であるときに、ドアの第2の側は依然としてアクセスできなく、かつ第2の人が、ドアが開錠できる前に、ドアの第2の側でドアの第1の側に向けてキーを使う、即ち、返送制度 (pass-back arrangement) がロッキング装置の動作モードとしてあっても良い。これには、キーがドアの施錠または開錠する働きだけではなく、例えば通行許可証 (identity pass) の形で、ドアを開けることができる前にチェックのためにドアの第2の側のセキュリティ担当者にキーを安全に渡されるという利点がある。これにより、セキュリティ担当者がカードを第2の側からドアの第1の側へ返送し、カードがキーの所有者に戻り、キーの所有者がアクセスできるようになったときだけドアが開けられる。本発明のこの局面によれば、ドアの第2の側のセキュリティ担当者がキーを保持し、ドアの第1の側の人と連絡を取ることなくドアの第1の側の人へのアクセスを拒むのに都合がよく、例えば高度にセキュリティが要求される場合に適している。
【0044】
本発明のロッキング装置は、最低限ロックとキーを含むとしているが、ドアといずれのボルト保持手段もまた含まれると考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図面において、同一の番号は同一の要素を表す。
図1、2,3について説明するが、これらは総合して見るように書かれている。図中の機械要素は全て略図で表されている。
【0046】
図1は、本発明によるロッキング装置の一部を形成するロック/ドア組み2の側面の立面図である。ロック4はドア10に設けられており、ドア10はそれ自体、例えばヒンジ(図示せず)によってドア抱き12に設けられている。
【0047】
ドアの第1の側面14と共通の面のロックの第1の側面24に垂直に、カードスロット16が配置されている。また、ロックは、ハンドル30を備え、手で回すことにより、ドア抱き12にあるドアボルト保持手段44と係合するドアボルト40と係合し引き込ませることができる。ハンドル30の回転は、他に、ロッキングソレノイド58の起動により決められる。代替の方法として、このようなソレノイドはボルト40と係合するように使用され、或いは他の例としては、ソレノイドを使わずに、ハンドル30、ボルト40、ロックのほかの部分との間の純粋に機械的作用でドア10の施錠、開錠を行うようにもできる。
【0048】
ロック4は、カードキー6と係合可能なカードスロット16を備えている。カードスロット16は磁気ストリップ読み取り手段50の形式のカードキー読み取り手段に関連しており、また、カードキーをカードスロット16に挿入したとき、カードキーと係合するカードクランプ手段52を備えることもある。カードキー6をロック4に挿入すると開錠される。ロック4からカードキー6を抜き取ると、ユーザがキーを保持し、ドアが施錠されるのを待つこととなる。本発明の電気式ロッキング装置を使用している場合、ドアが閉じると、カードを抜き取ることによってドアが施錠される。
【0049】
図2は本発明のロッキング装置に使用されるカードキー6を示している。カードキー6はプラスチックのクレジットカード型のキーであり、下端にはロックとかみ合うように複数の切り込み26がある。カードキー6は、また、ロックの磁気ストリップ読み取り手段50で読み取られる磁気ストリップ56を有す。
【0050】
図3はドア10の端部20の側面の立面図である。ロック4はドア10に設けられており、ドアの第1の面14の上に設けられているロックの第1の面24からと、ロック4の第2の面64が表れるドア10の第2の面54とからアクセス可能となっている。従って、カード6は、カードスロット16によりロックの第1の面24で係合して、ドアの第2の側面54上のロック4の第2の面64から出すことができる。星車46がロック機構中にあり、カードキーがロックの第1の面24と第2の面64の間にあるカードスロット16に入れられて横断通過するとき、星車46はカードキーの底面にある切り込み26と係合している。星車46は保持機構42と係合可能であり、保持機構42はカードキー6がロック4のカードスロット16をそれ以上横断通過しないように星車46の回転を防止できる。ロック4がキー6を正当であると認識したら、ユーザはスピンドル32上にあるハンドル30を回して、ボルト40が、ドア10の側面20に対してロック内に引っ込めるか、又は、ロックから突き出すかする。星車46は鋸歯状車の形をしている。
【0051】
使用に際して、カードキー6がカードスロット16に挿入されると、カードキー6は、カードキーがロックに完全に係合するまで星車46を回転させる。その地点で、星車46は保持機構42によって回転を止められる。そこで、キーがロックで認識されると、ボルト40はハンドル30の回転で引き込められる。ドアが開けられ、キーの所有者がドア10を通過し、ドア10を閉じて、ハンドル30‘を使ってボルト40を突き出してドアを施錠する。そこで、保持手段42が星車46を開放し、カードキー6をドアの第2の側面54から抜き取ることができる。ロック4の操作中、切り込み26が星車46と係合した後は挿入側14からカードキー6を抜き取ることができない。係合した星車46が一旦ラチェット機構で保持されると、カードキー6はカードスロット16にさらに差し込むことができるだけで、ロック4の第1の側面24から取り戻すことができない。
【0052】
図4は、先に述べたロッキング装置4から成る本発明による第1のセキュリティシステムの概略図である。このセキュリティシステムはドアロック制御部100を有し、制御部100はカードキー6を読み取るカードリーダ102とカードロッキングソレノイド104を含む多くのほかの要素とインターフェースされている。ソレノイド104はドア制御部100からの信号を受けてドア10の中にカードキー6を保持する手段と係合させる。ドア制御部100は、また、ドア10を施錠および/または開錠するためのドアロックソレノイド106、ドア10が開き又は閉じている状態にあるかを検知するドア位置センサ108、本セキュリティシステムの操作中ユーザに視覚、聴覚その他の感知信号を与えるドアアラーム110ともインターフェースされている。ドアロック制御部100は、マスターコンピュータ112ともインターフェースされている。マスターコンピュータ112は制御インターフェース114を有し、オペレータはドア制御部100と先に述べたような他の類似のロッキング装置を遠隔操作することができる。また、マスターコンピュータ112にはカードプログラマ116がインターフェースされており、これによりカードキー6が、場合によっては、ドア制御部100で認識されるようにプログラム又は再プログラムできる。
【0053】
図5は、本発明による第2のセキュリティシステム200の概略図である。このシステム200は、入り口ドア210と出口ドア220がある回廊を有す。両方のドア210、220には図1と図2に示す形式4の通過式カードロック214、224が備わっている。回廊には、ドア210、220の間の廊下234に光カーテン230が設けられている。
【0054】
使用に際して、入り口ドアの入り口232に立っているユーザが、カードキー6をロック214に入れ、ドア210を開け、出入り口、光カーテン230の下を通り廊下234に入る。そこでユーザは入り口ドア210を閉じ、望ましくは施錠し、カードキー6の抜き取りを試みる。もし光カーテン230が一人だけの通過を示すように遮られると、カードキー6をドアから抜き取ることができる。加えるに、出口ドア220は自動的に開錠されるか、更なるロッキング装置224にカードキー6を使うことにより開錠されるかして、ユーザは安全な領域236へと通ることができる。従って、本発明のこのシステムは、個々のユーザだけが個々のユーザキー6によって、一領域232から他の領域236へ通過できる手段を提供する。従って、「テールゲート」の問題は克服される。
【0055】
図6は、本発明による第3のセキュリティシステム300の概略図である。このシステム300は、入り口ドア310と出口ドア320がある回廊を有す。両方のドア310、320には図1と2に示す形式4の通過式カードロック314、324が備わっている。回廊には、入り口ドア310の入り口332に第1の重量感知パッド330と、入り口ドア310と出口ドア320の間の廊下334の床全体を覆う第2の重量感知パッド331が設けられている。
【0056】
使用に際して、入り口ドアの入り口232に立っているユーザは、第1の重量感知パッド330によって重量が測られ、カードキー6をロック214に入れる。もし、カードキー6からシステム300に伝えられる重量情報が重量感知パッド330からの重量情報と、あらかじめ定義された形で相関があるなら、ロック314は開錠される。そこでユーザはドア210を開け、出入り口を通り、廊下234に入り、入り口ドア210を閉じ、カードキー6の抜き取りを試みる。もし重量が、第2の重量感知パッド331で計られたとき、先の重量情報と相関があるなら、カードキー6をドアから取り戻すことができる。加えるに、出口ドア320は自動的に開錠されるか、更なるロッキング装置324にカードキー6を使うことにより開錠されるかして、ユーザは安全な領域336へと通ることができる。用語の「相関」が示しているのは、計算工程がとられて、二つの情報が比較されたとき、最大の重量の変化のように所定のパラメータによる定義によって、等しければ、それらは相関があると言う。従って、本発明のこのシステムは、個々のユーザだけが個々のユーザキー6によって、一領域332から他の領域336へ通過できる別の手段を提供する。従って、「テールゲート」の問題は克服される。
【0057】
本発明による第3のセキュリティシステム300の変形態様として、重量感知パッドを、「歩み」、即ちパッド上の足跡の数を測定する圧力感知パッドに置き換えることができる。歩みが、一人がいるときに生ずるものと相関があるときだけ、必要とする相関があるとして、ロック314,324が開けられるように、又はカード6が開放されるようになる。
【0058】
上記第1の変形態様の上に第3のセキュリティシステムの他の変形態様として、入り口のパッド(例えば330)を関連する制御機能とともに省略することもできる。
【0059】
図7は、本発明による第4のセキュリティシステム400の概略図である。このシステム400は、入り口ドア410と出口ドア420がある回廊を有す。両方のドア410、420には図1と2に示す形式4の通過式カードロック414、424が備わっている。回廊には、ドア410、420の間で、どちらかの側に廊下434、436がある回転ドア430が設けられており、回転ドア430には4個の部屋(図示せず)があって、各部屋は一人だけが入れるようになっている。
【0060】
使用に際して、入り口ドアの入り口432に立っているユーザが、カードキー6をロック414に入れ、ドア410を開け、出入り口を通り廊下434に入る。そこでユーザは入り口ドア410を閉じて施錠し、カードキー6を抜き取る。そこで、回転ドア430が起動されて1/4回転し、廊下434、436の間のドア430を人が通りにける。場合によっては、出口ドア420があって、ユーザが同様の方法で、セキュリティシステムで保護された領域438へ出られる。従って、本発明のこのシステムは、個々のユーザだけが個々のユーザキー6によって、一領域232から他の領域236へ通過できる手段を提供する。
【0061】
第2から第4までのセキュリティシステムでは、第1セキュリティシステムの動作で説明された部分のような補助的な機器を使用することができる。これらのセキュリティシステムにより、「テールゲート」の問題を克服することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明は次の図面によって示されるであろう。
【図1】本発明によるロッキング装置のロック形成部を備えたドアの一方の側の立面図である。
【図2】本発明のロッキング装置のカードキーを示す。
【図3】本発明によるロッキング装置のロック形成部を備えたドアの端部の側面図である。
【図4】本発明による第1のセキュリティシステムを表す概略図である。
【図5】本発明による第2のセキュリティシステムを表す概略図である。
【図6】本発明による第3のセキュリティシステムを表す概略図である。
【図7】本発明による第4のセキュリティシステムを表す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックとキーとを備えているドア用ロッキング装置において、該キーはドアが開錠可能となるように該ドアの第1の側面で該ロックと係合可能であり、前記キーは引き続き前記第1の側面から離れている該ドアの第2の側面でのみロックとの係合から取り去ることができ、また、前記キーは一旦ロックに係合すると、前記ドアが再度施錠されたときにのみ取り去ることができるドア用ロッキング装置。
【請求項2】
前記キーはカードの形態をしている請求項1に記載のロッキング装置。
【請求項3】
前記ドアは、前記第2の側面から前記第1の側面にアクセスできないように、ドアが閉鎖された位置にあるときにのみ施錠することができる請求項1〜2のいずれか1項に記載のロッキング装置。
【請求項4】
前記キーは、前記第1の側面から前記第2の側面にむけて使用可能であるように、前記第2の側面から前記第1の側面にむけて使用可能である請求項1〜3のいずれか1項に記載のロッキング装置。
【請求項5】
前記キーの引き続きの使用に際して、ロックの前記第1の側面と前記第2の側面の機能が交互に入れ替わる先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置。
【請求項6】
前記キーが、キーの1個以上の切込みによって前記ロック装置と係合する先行するいずれかの請求項に記載のドア用ロッキング装置。
【請求項7】
前記キーの1個以上の切込みが前記ロック装置の鋸歯状車によって前記ロックと係合する請求項6に記載のロッキング装置。
【請求項8】
前記鋸歯状車が、施錠されたドアの開錠または開錠されたドアを施錠するように前記ロックを操作するのに役立つ請求項7に記載のロッキング装置。
【請求項9】
前記1個以上の切込みが前記キーの端部にある請求項7または請求項8のいずれかに記載のロッキング装置。
【請求項10】
前記キーの1個以上の切込みが、前記ロッキング装置の動作の一部の間前記ロックから前記キーが取り去られるのを防止するように、前記ロックの中に前記キーを保持させるのに役立つ請求項6〜9のいずれか1項に記載のロッキング装置。
【請求項11】
前記キーがもはや前記ドアの第1の側面からアクセスできない程度に、前記ロックを開錠するように前記キーを前記ロックに挿入することを必要とする先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置。
【請求項12】
前記キーがもはや前記ドアの第1の側面からアクセスできない程度に、前記ドアを開錠するように前記キーを前記ロックに挿入することを必要とする先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置。
【請求項13】
前記キーの操作が、格納されている情報の前記カードと前記ロックの間の転送を伴う先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置。
【請求項14】
前記格納されている情報の転送が、前記キーの磁気ストリップに格納されている情報に関係している請求項15に記載のロッキング装置。
【請求項15】
前記キーが彫込み錠である先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置。
【請求項16】
前記ロックが掛け金を有している先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置。
【請求項17】
先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置を内部に備えているドア。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のロッキング装置を内部に備えているドア抱き。
【請求項19】
先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置を備えるとともに、前記ドアが閉鎖された位置にあるかどうかを検知するセンサを有するセキュリティシステム。
【請求項20】
前記ロッキング装置から離れているマスター制御部と通信状態にある先行するいずれかの請求項に記載のロッキング装置を備えているセキュリティシステム。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のロッキング装置と、前記ロックが搭載されているドアと、ユーザの存在を検知する検知手段と、前記検知手段と前記キーとからデータを受け取り、前記ロックを制御することができるコンピュータ制御装置とから成るセキュリティシステムにおいて、前記キーからコンピュータ制御装置に渡されたデータが前記検知手段からコンピュータ制御装置に渡されたデータと相関があるときにのみ、前記キーが前記ロックから取り出し可能であるセキュリティシステム。
【請求項22】
前記検知手段が、光カーテン、および/または重量感知パッド、および/または圧力感知パッドである請求項21に記載のセキュリティシステム。
【請求項23】
さらに関連する更なるドアと、更なるロックとを有し、前記キーが前述の第1のドアから取り出された後でのみ該更なるドアを通過可能とするように該更なるロックも前記コンピュータ制御装置で制御される請求項21または請求項22に記載のセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−522884(P2006−522884A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506104(P2006−506104)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001547
【国際公開番号】WO2004/090267
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505379674)
【Fターム(参考)】