説明

ドセタキセル(Docetaxel)の合成プロセス、その中間体及びその合成法

本発明はドセタキセル1の合成法を開示する。これは、a)化合物2と3の水酸基のアセチル化反応により化合物4を得る工程、b)工程aから得られた化合物4の水酸基のR1の脱保護をし、化合物5を合成する工程、c)工程bから得られた化合物5の1個のtert-ブトキシカルボニルを除去し化合物6を合成する工程、d)工程cから得られた化合物6の1個のアセチル基を除去し化合物1を合成する工程、を含む。R1は、tert-ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、エトキシエチル、テトラヒドロピラニル、トリクロロエトキシカルボニル又はメトキシメチルを表し、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、Phはフェニルである。本発明はまた、ドセタキセルの中間体とその合成法を開示する。本発明の合成法では、使用される保護基は除去が容易であり、当該中間体の精製が容易であり、費用が比較的低く、収率と純度は比較的高い。そして当該方法は商用生産の実施までスケールを大きくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1個の抗癌剤の合成プロセス、その中間体及びその合成法に関する、特にドセタキセル、その中間体及びその合成法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドセタキセル(1)は、パクリタキセル(paclitaxel)に基づく構造修飾により得られる。ドセタキセルは広い範囲の抗白血病及び癌抑制活性を約束し、現在まで、パクリタキセルよりも1.3-12倍の活性を有する最も有効な抗癌剤の一つと考えられている。ドセタキセルは、種々の官能基と不斉中心等、パクリタキセルと同一の複雑な構造をもち、そのため全合成が非常に困難である。半合成は最も有効なドセタキセルの化学的合成法である。

【0003】
参考文献や特許に報告されている半合成法は2つの種類に分けられる。第一は保護された10-デアセチルバカチン(10-deacetylbaccatin) IIIと5員環のオキサゾリジン側鎖の縮合反応の後、この化合物は加水分解により脱保護されドセタキセルを生成する(US6900342).第二は、強塩基(例えばn-ブチルリチウム)の存在下、非常な低温で、保護された10-デアセチルバカチンIIIとβ-ラクタムのカップリング反応の後、この化合物が加水分解により脱保護されドセタキセルを生成する。(以下のスキーム参照。)
第1分類の方法

第2分類の方法

【0004】
第1の方法では、縮合反応条件はより温和である。しかし大量の縮合試薬DCC(N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド)が使用され、その後の精製に多くの問題を引き起こす。
第2の方法では、強塩基を使用するため条件はより厳密である。誤操作は保護された10-デアセチルバカチンIIIを分解させ、高価な原料を無駄にしてしまう。さらに、本法に必要な過剰量の側鎖はその後の精製をより困難にするだけでなく、製造費を高くする。
【発明の概要】
【0005】
ドセタキセルの合成プロセス、その中間体及びその合成法であって、ドセタキセルを合成する既知の方法における精製困難、原料の無駄、高額の製造費用という技術的課題を解決するものを提供することが本発明の目的である。本発明の合成法では、使用される保護基は除去が容易であり、中間体の精製が容易、費用が低く、収量と純度が高く、かつこの製法は商業的実施にまで規模を大きくできる。
本発明は以下の工程を含む、ドセタキセル(化学式1)の合成プロセスに関する。化合物1は化合物6から1個のアセチル基を除去することにより合成された。

【0006】
ここでBocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチル、Phはフェニルである。
ここで、述べられた脱アセチル化の方法と条件は本分野の脱アセチル化と共通の方法と条件でありえる。好ましくは、化合物6の脱アセチル化は有機溶媒中での過酸化水素と重炭酸ナトリウムの作用により行われる。ここで、この有機溶媒は好ましくはジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから選択される1又は数種の溶媒である。テトラヒドロフランが比較的好んで使用される。溶媒と化合物6の容量/質量比は、好ましくは5〜50ml/gである。重炭酸ナトリウムは0.5%〜飽和水溶液の形で使用されることが好ましく、より好ましくは飽和重炭酸水溶液である。重炭酸ナトリウムの使用は化合物6のモル数の2〜10倍が好ましく、より好ましくは、3〜5倍である。過酸化水素は過酸化水素水溶液の形で使用されることが好ましく、その質量パーセントは10〜70%が好ましく、より好ましくは30%である。過酸化水素の使用は化合物6のモル数の2〜10倍が好ましく、より好ましくは3〜5倍である。本反応は0と50℃の間で行われることが好ましく、20℃と35℃の間の温度で行われることがより好ましい。反応時間は反応の終了の検出により決めることが好ましく、普通12〜24時間である。本発明は、またドセタキセルの中間体6に関する。

【0007】
ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、Phはフェニルである。
本発明はさらに、化合物6を合成するプロセスに関するものであり、以下の工程を含む。つまり、化合物5から1個のtert-ブトキシカルボニル(Boc)基を除くことにより化合物5から合成される。

【0008】
ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニル、Acはアセチル及びPhはフェニルである。
ここで、この1個のtert-ブトキシカルボニル基の除去の方法と条件は、本技術分野で、窒素と結合している1個のtert-ブトキシカルボニル基を除去する共通的方法と条件でも良い。好ましくは、化合物5の脱保護は有機溶媒中でトリフルオロ酢酸の作用により行われる。ここで、この有機溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランから選ばれた1種又は数種の溶媒であることが好ましい。ジクロロメタンの使用が比較的好まれる。溶媒と化合物5の容量/質量比率は5〜20ml/gが好ましい。トリフルオロ酢酸の使用は、化合物5のモル数の0.1〜2倍が好ましく、0.2〜0.5倍がより好ましい。本反応は0と50℃の間の温度で行うことが好ましく、20℃と35℃の間の温度で行うことがより好ましい。反応時間は本反応の終了の検出により決めることが好ましく、普通、1〜8時間である。本発明はまた、ドセタキセルの中間体5に関する。

【0009】
ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチル、及びPhはフェニルである。本発明は、さらに化合物5を合成するプロセスに関し、水酸基の保護基R1を除去することにより化合物4から合成される。

【0010】
ここで、R1は、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリエチルシリル(TES)、エトキシエチル(EE)、テトラヒドロピラニル(THP)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)またはメトキシメチル(MOM)を表し、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)またはトリエチルシリル(TES)が好ましい。ここで、この水酸基から保護基を除去する方法と条件は、本技術分野で水酸基の保護基について共通の方法と条件でよい。
【0011】
好ましくは、R1がトリクロロエトキシカルボニル(Troc)である場合、化合物4の脱保護は有機溶媒と水中で酢酸と亜鉛の作用により行われる。ここでこの有機溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノールとエタノールから選ばれる1種又は数種の溶媒である。この有機溶媒と化合物4の容量/質量比率は5〜20ml/gが好ましい。酢酸の使用は化合物4のモル数の5〜20倍が好ましく、5〜6倍がより好ましい。亜鉛は亜鉛粉末の形で利用され、その使用は化合物4のモル数の2〜20倍が好ましく、3〜5倍がより好ましい。本反応は0と80℃の間の温度で行うことが好ましく、50と70℃の間の温度で行うことがより好ましい。反応時間は本反応の終了の検出により決めることが好ましく、普通2〜12時間である。
【0012】
R1がトリエチルシリル(TES)である場合、化合物4の脱保護は、有機溶媒におけるフッ化テトラブチルアンモニウムの作用により行われる。ここで、この有機溶媒は好ましくは1種又は数種の、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール及びエタノールから選択される溶媒である。テトラヒドロフランの使用が比較的好まれる。溶媒と化合物4の容量/質量比率は5〜20ml/gが好ましい。フッ化テトラブチルアンモニウムの使用は化合物4のモル数の1〜20倍が好ましく、1.2〜2倍がさらに好ましい。本反応は0と80℃の間の温度で行われることが好ましく、0℃と10℃の間の温度で行われることが更に好ましい。反応時間は、反応の終了の検出により決めることが好ましく、普通、5〜24時間である。
【0013】
R1がtert-ブチルジメチルシリル(TBS)の場合、化合物4の脱保護は有機溶媒中でフッ化テトラブチルアンモニウムの作用により行われ、反応条件は本法の通常の条件である。
【0014】
R1がエトキシエチル(EE)の場合、化合物4の脱保護はエタノールと水からなる溶媒で稀釈された酸の作用により行われる。ここで本反応条件は本法の共通の条件である。
【0015】
R1がテトラヒドロピラニル(THP)の場合、化合物4の脱保護はアルコールと水からなる溶媒に稀釈された酸の作用により行われる。ここで本反応の条件は本法の共通の条件である。
【0016】
R1がメトキシメチル(MOM)の場合、化合物4の脱保護はアルコールと水からなる溶媒で稀釈された酸の作用により行われる。ここで、脱保護は本法の共通の条件である。本発明はまたドセタキセルの中間体4に関する。

【0017】
ここでR1は、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリエチルシリル(TES)、エトキシエチル(EE)、テトラヒドロピラニル(THP)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)又は、メトキシメチル(MOM)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)又はトリエチルシリル(TES)が好ましい。
【0018】
本発明は更に、化合物4を合成する方法に関する。これは以下の工程を含むつまり、化合物4は化合物2と3の、水酸基のアシル化反応により合成される。

【0019】
ここで、R1は、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリエチルシリル(TES)、エトキシエチル(EE)、テトラヒドロピラニル(THP)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)又はメトキシメチル(MOM)を表し、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)又はトリエチルシリル(TES)が好ましい。
【0020】
この水酸基のアシル化反応の方法と条件は本技術分野で水酸基のアシル化反応の共通の方法と条件でも良い。有機溶媒中で化合物3と、4-ジメチルアミノ-ピリジン(DMAP)とトリエチルアミンの作用、又は4-ジメチルアミノ-ピリジン(DMAP)とN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の作用による化合物2の水酸基のアシル化が好ましい。
【0021】
ここで、有機溶媒は、好ましくは1種又は数種の、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール及びエタノールから選択される1種又は数種の溶媒である。トルエンが比較的好まれる溶媒である。
【0022】
溶媒と化合物2の容量/質量比率は5〜20ml/gが好ましい。化合物3の使用は、化合物2のモル数の1〜10倍が好ましく、1.5〜5倍がさらに好ましい。4-ジメチルアミノ-ピリジン(DMAP)は化合物2のモル数の1〜10倍が好ましく、さらに1.5〜5倍がより好ましい。4-ジメチルアミノ-ピリジン(DMAP)の使用は化合物2のモル数の1.2〜20倍が好ましく、1.5〜3倍がさらに好ましい。トリエチルアミンの使用は化合物2のモル数の1.2〜20倍が好ましく、3〜5倍がさらに好ましい。DCCの使用は化合物2のモル数の1.2〜20倍が好ましく、1.5〜2倍がさらに好ましい。
【0023】
本反応は、0℃と100℃の間の温度で行われることが好ましく、20℃と50℃の間で行われることがより好ましい。反応時間は反応の終了の検出により決めることが好ましいが、普通10〜36時間である。本発明で述べられたドセタキセルを合成する最良の方法は以下の工程を含む。

【0024】
a) 化合物4を得るために化合物2と3の水酸基のアシル化反応。
b) 工程a)から得られた化合物4の水酸基のR1を脱保護し化合物5を合成する。
c) 工程b)から得られた化合物5の1個のtert-ブトキシカルボニル基を除去し化合物6を合成する。
d) 工程c)から得られた化合物6の1個のアシル基を除去し化合物1を合成する。
【0025】
ここで、R1はtert-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリエチルシリル(TES)、エトキシエチル(EE)、テトラヒドロピラニル(THP)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)又はメトキシメチル(MOM)を表し、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)又はトリエチルシリル(TES)が好ましい。Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、Phはフェニルである。
【0026】
ここで、各工程での方法と条件は先に述べたものと同一である。本発明はドセタキセルの中間体化合物3にも関する。ここでBocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチル、Phはフェニルである。

【0027】
本発明は、以下の工程を含む、さらに化合物3の合成法に関する。化合物3は有機溶媒中で水酸基のベンジル保護基の除去により化合物9から合成された。

【0028】
ここで、Bocがtert-ブトキシカルボニルであり、Phがフェニルであり、Bnがベンジルである。ここで、この水酸基のベンジル保護基の除去の方法と条件は本技術分野の水酸基のベンジル保護基の除去の共通の方法と条件でも良い。好ましくは、化合物9の水素添加はパラジウム-炭素の作用により行われる。ここで、圧力は1〜10気圧が好ましく、パラジウム炭素におけるパラジウムの質量パーセンテージは1〜20%が好ましく、2〜10%がさらに好ましい。パラジウム炭素の使用は、化合物9の質量の0.01〜0.5倍が好ましく、0.05倍〜0.3倍がより好ましい。本反応は、0と60℃の温度で行われることが好ましく、10℃と30℃の間の温度で行われることがより好ましい。反応時間は反応の終了の検出により決定され、普通2〜24時間である。
【0029】
本発明では、この化合物9は以下の方法により合成されても良い。:化合物9は化合物8から有機溶媒中で、tert-ブトキシカルボニル基を用いてアミノ基を保護する反応により合成された。

【0030】
ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Phはフェニルであり、Acはアセチルであり、Bnはベンジルである。
【0031】
ここで、このtert-ブトキシカルボニル基を使用するアミノ基を保護する反応の方法と条件は、本分野でのtert-ブトキシカルボニル基を使用するアミノ基を保護する反応の共通の方法と条件である。4-ジメチルアミノ-ピリジン(DMAP)とジ-t-ブチルジカーボネート(Boc2O)の作用による化合物8の反応が行われる。ここで、有機溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから選ばれた1つ又は数種が好ましい。アセトニトリルの使用が比較的好まれる。有機溶媒と化合物8の容量/質量比は5〜50ml/gが好ましい。4-ジメチルアミノ-ピリジンは、化合物8のモル数の1〜10倍が好ましく、1.2〜2.5倍がさらに好ましい。ジ-t-ブチルジカーボネート(Boc2O)は化合物8のモル数の1〜10倍が好ましく、さらに2〜5倍が好ましい。本反応は0℃と80℃の間の温度で行われることが好ましく、さらに50℃と60℃の間の温度で行われることが好ましい。反応時間は、反応の終了を検出して決められ、2〜24時間が好ましい。
【0032】
ここで、化合物8は以下の方法により合成されても良い。:化合物8は水酸基のアセチル化により化合物7から合成される。

【0033】
ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニル、Phはフェニル、Acはアセチル、Bnはベンジルである。ここでこの水酸基のアセチル化の方法と条件は本技術分野の水酸基のアセチル化の共通の方法と条件である。化合物7のアセチル化は有機溶媒中での酢酸無水物の作用により行われる。ここで、好ましくはこの有機溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、ピリジン、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから選ばれる1種又は数種の溶媒である。ジクロロメタン及び/又はピリジンが比較的好ましい。溶媒と化合物7の容量/質量比は5〜50ml/gが好ましく、5〜10ml/gがさらに好ましい。
【0034】
酢酸無水物は化合物7のモル数の1〜10倍が好ましく、さらに1.5〜3倍が好ましい。本反応は0と60℃の間の温度で行われることが好ましく、さらに0℃と25℃の間の温度で行われることが好ましい。反応時間は本反応の終了の検出により決まるが、好ましくは、2〜12時間である。
【0035】
本発明は、またドセタキセルの中間体9にも関し、ここでBocはtert-ブトキシカルボニルであり、Phはフェニルであり、Acはアセチルであり、Bnはベンジルである。

【0036】
試薬と原料は特に限定がある場合を除き、市販品から購入しても良い。
【0037】
本発明の利点は:本発明の合成で使用される保護基が容易に除去されること、各中間体の精製が容易であること、費用が低く、収率と純度が高く、本製法が商業的実施にまで規模を大きくされても良いことである。
発明の詳細な説明
【発明を実施するための形態】
【0038】
下記の実施例は本発明の非限定的説明として与えられる。ここで、実施例3〜9の2a, 4a, 2b及び4bは実施例1と2のものと同じである。

実施例1
工程1

ジクロロメタン(5000mL)中の化合物2a(50g、55.84mmol)と化合物3(50g、117.9mmol)の溶液に、DMAP(10g, 81.97mmol)とトリエチルアミン(100mL、772mmol)が加えられる。この混合物を40℃に加熱し、本反応の終了まで8時間撹拌する。その後、この混合物は、ろ過されジクロロメタンが真空で除去される。残留物がカラムクロマトグラフィーで精製され化合物4aを得る(45g, 収率:62.0%)
【0039】
HNMR(500 MHz, CDCl3)δ:8.08(d,J=8.5Hz,2H),7.68-7.14(m,8H),6.20(m,1H),6.01(d,J=10.8Hz,1H),5.88(m,1H),5.62(m,2H), 5.55(m,1H),4.96(m,1H),4.90(m,1H),4.75(m,2H),4.58(d,J=11.8Hz,1H),4.29(d,J=8.5Hz,1H),4.12
(m,1H),4.03(m,1H),3.84(d,J=7.1Hz,1H),3.48(m,2H),2.54(m,1H),2.45(s,3H),2.21(m,1H),2.17(s,3H),1.89(s,3H),1.80(s,3H),1.59(s,9H),1.45(s,9H),1.25(s,3H),1.21(s,3H)
工程2

【0040】
化合物4a(40g,30.75mmol)、酢酸(500mL,8.74mol)と50%(v/v)メタノール水溶液(100mL)の溶液に亜鉛粉末(50g,769mmol)を加えた。この混合物を還流下(80℃)、1時間加熱した。つぎに、この混合物を冷却し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し中性にした。真空下、この溶媒を除去した後、残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として化合物5を得た(23g、収率78.9%)。
【0041】
HNMR(500 MHz, CDCl3)δ:8.11(d,J=8.5Hz,2H)、7.60-7.13(m,8H)、6.28(m,1H)、6.11(d,J=10.5, 1H)、5.78(m,1H)、5.65(m,1H)、4.88(m,1H)、4.80(m,1H)、4.63(d,J=11.0 Hz,1H)、4.26(d,J=8.9Hz,1H)、4.08 (m,1H)、4.00(m,1H)、3.85(d,J=7.1Hz,1H)、3.55(m,2H)、2.56(m,1H)、2.43(s,3H)、2.16(m,1H)、2.10(s,3H)、1.86(s,3H)、1.77(s,3H)、1.58(s,9H)、1.40(s,9H)、1.23(s,3H)、1.18(s,3H)
工程3

【0042】
ジクリロメタン中(500mL)の化合物5(23g,24.21mmol)の溶液に、2mlのトリフルオロ酢酸(3.08g,27.02mmol)を加えた。この混合物は原料が消失するまで25℃で撹拌された。この混合物を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、水洗し、乾燥し、真空下で濃縮した後、残留物は、カラムクロマトグラフィーで精製され化合物6を白色固体として与えた(18g、収率:87.5%)。
【0043】
HNMR(CDCl3,500 MHz)δ:8.10(m,1H)、7.62(m,2H)、7.48(m,2H)、7.36(m,5H)、6.20(t, J=9.1Hz,1H)、5.65(d, J=7.1Hz,1H)、5.48(d, J=9.1Hz,1H)、5.25(d, J=9.2Hz,1H)、5.20(s,1H)、4.96(d, J=9.1Hz,1H)、4.64(m,1H)、4.30(d, J=9.1Hz,1H)、4.24(m,1H)、4.18(d,J-9.1Hz,1H)、3.94(d,J=7.1Hz,1H)、2.56(m,1H)、2.45(s,3H)、2.39(s,3H)、2.26(m,2H)、1.87(s,3H)、1.76(s,3H)、1.34(s,9H)、1.24(s,3H)、1.10(s,3H);
工程4

【0044】
テトラヒドロフラン(500mL)の化合物6(15g,17.65mmol)溶液に飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を加え、25mlの30%過酸化水素水溶液を滴下した。この混合物を原料が消失するまで25℃で撹拌した。過剰の過酸化水素を薄い亜硫酸ナトリウム水溶液で中和した後、混合物をジクロロメタンで抽出し、通常の方法で後処理をし、真空下で濃縮された。残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され白色固体としてドセタキセル(12g,収率:84.4%)を与えた。
【0045】
m.p. 232-234℃
IR(KBr):3400, 2900, 1710cm-1;
[α]D25:-36.2°
HNMR(500 MHz, CDCl3)δ:8.12(m,1H)、7.60(m,2H)、7.50(m,2H)、7.38(m,5H)、6.22(t,J=9.0Hz,1H)、5.68(d,J=7.0,1H)、5.46(d,J=9.0,1H)、5.26(d,J=9.0Hz,1H)、5.22(s,1H)、4.94(d,J=9.0Hz,1H)、4.62(m,1H)、4.32(d,J=9.0Hz,1H)、4.26(m,1H)、4.19(d,J=9.0Hz,1H)、3.91(d,J=7.0Hz,1H)、2.58(m,1H)、2.37(s,3H)、2.28(m,2H)、1.88(s,3H)、1.75(s,3H)、1.35(s,9H)、1.23(s,3H)、1.11(s,3H)
13C NMR (CDCl3, 125M) δ211.1, 172.7, 170.3, 167.0, 155.5, 138.6, 138.5, 136.0, 133.0, 130.2, 129.3, 128.7, 127.9, 127.4, 126.9, 84.4, 81.1, 80.2, 78.9, 77.3, 75.1, 74.5, 73.9, 72.3, 71.8, 57.7,56.6,46.6,43.1,36.7,35.8,28.2,26.5,22.5,20.7,14.3,9.9.
【0046】
実施例2
第1工程

ジクロロメタン(5000mL)中の化合物2b(50g, 64.67mmol)と化合物3(50g)の溶液に、DMAP(1g)とDCC(100g,0.49mol)を加える。この混合物を80℃まで加熱し、反応が終了するまで8時間撹拌する。次に、この混合物はろ過を受け、ジクロロメタンが真空下で除去される。この残留物はカラムクロマトグラフィーにより精製し化合物4bを与える(55g、収率:72.1%)。
【0047】
HNMR(500 MHz, CDCl3)δ:8.18(d,J=8.5Hz, 2H), 7.88-7.30(m, 8Hz), 6.26(m,1H),6.01(d,J=10.8Hz,1H),5.85(m,1H),5.58(m,1H),4.96(m,1H),4.88(m,1H),4.56(d,J=11.5Hz,1H),4.25(d,J=8.7Hz,1H),4.18(m,1H),4.05(m,1H),3.85(d,J=7.3Hz,1H),3.45(m,2H), 2.56(m,1H), 2.44(s,3H), 2.21(m,1H), 2.17(s,3H), 1.89(s,3H), 1.80(s,3H), 1.59(s,9H), 1.45(s,9H),1.45(s,9H),1.25(s,3H),1.21(s,3H),0.97(t,J=7.8Hz,9H),0.95(t,J=7.8Hz,9H),0.68(q,J=7.9Hz,6H),0.65(q,J=7.9Hz,6H)

第2工程

【0048】
テトラヒドロフラン(2000mL)中、化合物4b(50g,42.43mmol)の溶液へ、2Nのフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(50mL, 0.1mol)を加える。この混合物は室温(25℃)で一夜撹拌される。通常の方法での後処理と溶媒の留去の後、残留物は、カラムクロマトグラフィーで精製され化合物5を与えた(35g, 収率:86.9%)。このHNMRデータは実施例1のそれと同一である。
第3工程と第4工程は、同定データとともに実施例1と同一である。
【0049】
実施例3
第1工程
酢酸エチル(100mL)、メタノール(100mL)及びアセトニトリル(50mL)の混合溶媒の化合物2a(50g,55.84mmol)と化合物3(24g, 55.84mmol)の溶液に、DMAP(8.2g,67.00mmol)とトリエチルアミン(6.8g, 67.00mmol)を加える。この混合物は100℃で加熱され、反応が終了するまで8時間、撹拌された。次に、この混合物はろ過され、溶媒が真空下、留去される。残留物がカラムクロマトグラフィーにより精製され化合物4a(44.3g, 収率:61.0%)を与えた。
【0050】
第2工程
水(50mL)、エタノール(50mL)、アセトニトリル(50mL)、アセトン(100mL)の混合溶媒の化合物4a(40g, 30.75mmol)と酢酸(9.2g, 153.75mmol)の溶液へ亜鉛粉末(4g,61.5mmol)を加える。この混合物はTLCの検出により反応が終了する迄、0℃で撹拌された。次に、この混合物は飽和重炭酸ナトリウムで洗浄され中性とされた。溶媒が真空下で除去された後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、白色固体として化合物5(22.2g, 収率:75.9%)を与えた。
【0051】
第3工程
酢酸エチル(80mL)とアセトニトリル(50mL)の化合物5(23g, 24.21mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(247mg, 2.4mmol)が加えられた。本混合物は原料が消失するまで0℃で撹拌された。混合物を飽和重炭酸ナトリウム、水で洗浄、乾燥、真空下濃縮後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され白色固体として化合物6(18.9g,収率:78%)を与えた。
【0052】
第4工程
酢酸エチル(30mL)とジクロロメタン(45mL)の化合物6の溶液に、0.5%(m/m)重炭酸ナトリウム水溶液(590ml,35.3mmol)が加えられ、次に10%の過酸化水素水溶液(7ml, 35.3mmol)を滴下した。この混合物は原料が消失するまで0℃で撹拌された。過剰の過酸化水素が稀釈された亜硫酸ナトリウム水溶液で中和された後、この混合物はジクロロメタンで抽出され、通常の方法で後処理を受け、真空下で濃縮された。この残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、白色固体としてドセタキセル(12g,収率:84.4%)を与える。
【0053】
実施例4
第1工程:
テトラヒドロフラン(500mL)とトルエン(500mL)の化合物2b(50g, 64.67mmol)と化合物3(274g, 646.7mmol)の溶液に、DMAP(157g, 1.29mol)とDCC(157g,77.604mmol)が加えられる。この混合物は40℃まで加熱され、TLCでの検出により反応が終了するまで撹拌された。その後、この混合物はろ過され溶媒は真空下で留去された。残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され化合物4b(52.6g, 収率:69%)を与える。
【0054】
第2工程:
アセトン(50mL)、アセトニトリル(100mL)、メタノール(100mL)の混合溶媒の化合物4b(50g,42.43mmol)の溶液に2Nのフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(50mL、0.1mol)が加えられた。この混合物は室温(25℃)で一夜撹拌された。通常の方法での後処理、溶媒留去の後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され化合物5(32.6g, 収率:80.9%)を与え、そのHNMRデータは実施例1のそれと同一である。
【0055】
第3工程:
ジエチルエーテル(230mL)とイソプロピルエーテル(230mL)の化合物5の溶液へトリフルオロ酢酸(5.5g, 48.42mmol)を加える。この混合物は原料が消失するまで50℃で撹拌される。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム、水で洗浄し、乾燥し真空下濃縮後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、白色固体として化合物6を与える(16g, 収率:78%)。
【0056】
第4工程
ジエチルエーテル(350mL)とイソプロピルエーテル(400mL)の化合物6の溶液へ、15%(m/m)の重炭酸ナトリウム水溶液(100ml、176.5mmol)、次いで70%の過酸化水素水溶液(5ml, 176.5mmol)が滴下された。この混合物は原料が消失するまで50℃で撹拌された。過剰な過酸化水素を稀釈した亜硫酸ナトリウム水溶液で中和した後、混合物はジクロロメタンで抽出され、通常の方法で後処理を受け、真空下濃縮された。残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、白色固体としてドセタキセル(11.4g、収率:80%)を与えた。
【0057】
実施例5
第1工程:
ジエチルエーテル(500mL)とイソプロピルエーテル(50mL)、及びアセトン(50mL)の混合溶媒の化合物2a(50g, 55.84mmol)と化合物3(50g, 117.9mmol)の溶液に、DMAP(68g, 558.4mmol)とトリエチルアミン(101g、1mol)が加えられる。この混合物は100℃まで加熱され、反応が終了するまで8時間撹拌される。次に、この混合物はろ過され、溶媒は真空下で留去された。残留物がカラムクロマトグラフィーで精製され化合物4a(44.3g, 収率:61.0%)を与えた。
【0058】
第2工程
酢酸(37g,615mmol)、水(50mL)、ジエチルエーテル(240mL)とテトラヒドロフラン(240mL)の混合溶液中の化合物4a(40g, 30.75mmol)の溶液へ、亜鉛粉末(39g,615mmol)を加える。この混合物は、TLCの検出により反応が終了するまで40℃で撹拌される。次に、この混合物は飽和重炭酸ナトリウムで洗浄され中性とされる。溶媒を真空下で留去した後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、白色固体として化合物5(21.3g, 収率:73%)を与える。
【0059】
第3工程
テトラヒドロフラン(299mL)の化合物5(23g、24.21mmol)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(274mg, 2.4mmol)が加えられえる。この混合物は原料の消失まで0℃で撹拌された。この混合物が飽和重炭酸ナトリウム、水で洗浄され、乾燥され、真空下で濃縮された後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され白色固体として化合物6(17.0g,収率:78%)を与える。
【0060】
第4工程
アセトン(30mL)とアセトニトリル(45mL)の化合物6の溶液へ、0.5%(m/m)の重炭酸ナトリウム水溶液(1780ml、105.9mmol)を加え、次に10%過酸化水素水溶液(21mL, 105.9mmol)を滴下した。この混合物は原料が消失するまで25℃で撹拌された。過剰の過酸化水素が稀釈した亜硫酸ナトリウム水溶液で中和された後、この混合物はジクロロメタンで抽出され、通常の方法で後処理を受け、真空下で濃縮された。この残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、白色固体としてドセタキセル(11.4g, 収率:80%)を与えた。
【0061】
実施例6
第1工程
ジエチルエーテル(500mL)とイソプロピルエーテル(50mL)、及びアセトン(50mL)の混合溶媒中の化合物2a(50g, 55.84mmol)と化合物3(50g, 117.9mmol)の溶液に、DMAP(68g、558.4mmol)とトリエチルアミン(101g, 1mol)が加えられる。この混合物を100℃まで加熱し、反応が終了するまで8時間撹拌された。次に、この混合物はろ過され、溶媒は真空下で留去される。残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、化合物4a(44.3g、収率:61.0%)を与える。
【0062】
第2工程
酢酸(12.9g, 215.25mmol)、水(50mL)、ジクロロメタン(200mL)、酢酸エチル(100mL)及びトルエン(180mL)の混合溶媒の化合物4a(40g, 30.75mmol)の溶液に亜鉛粉末(11.7g, 184.5mmol)を加える。混合物はTLC検出により反応が終了するまで40℃で撹拌される。次にこの混合物は飽和重炭酸ナトリウムで洗浄され中性とされる。溶媒を真空下で除去した後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、白色固体として化合物5を与える(21.3g,収率:73%)
【0063】
第3工程
トルエン(150mL)とアセトン(159mL)の化合物5(23g、24.21mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(274mg,2.4mmol)が加えられる。この混合物は原料が消失するまで0℃で撹拌される。混合物が飽和重炭酸ナトリウム、水で洗浄され、乾燥され、真空下で濃縮された後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され白色固体として化合物6(17.0g,収率:78%)を与える。
【0064】
第4工程
トルエン(30mL)とテトラヒドロフラン(45mL)の化合物6の溶液に、0.5%(m/m)の重炭酸ナトリウム水溶液(1780ml、105.9mmol)を加え、次に10%過酸化水素水溶液(21ml,105.9mmol)を滴下する。この混合物は原料が消失するまで25℃で撹拌される。過剰の過酸化水素が稀釈した亜硫酸ナトリウム水溶液で中和された後、この混合物はジクロロメタンで抽出され、通常の方法で後処理され、真空下で濃縮される。残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され白色固体としてドセタキセル(11.4g、収率:80%)を与える。
【0065】
実施例7
第1工程
テトラヒドロフラン(500mL)とトルエン(500mL)中の化合物2b(50g、64.67mmol)と化合物3(50g)の溶液に、DMAP(157g, 1.29mmol)とDCC(15.7g, 77.604mmol)を加える。混合物を40℃まで加熱し、TLCの検出により反応が終了するまで撹拌される。次に、この混合物はろ過され、溶媒は真空下で留去される。残留物はカラムクロマトグラフィーにより精製され化合物4b(52.6g,収率:69%)を与える。
【0066】
第2工程
酢酸エチル(300mL)、ジエチルエーテル(400mL)及びイソプロピルエーテル(300ml)の混合溶媒の化合物4b(50g, 42.43mmol)の溶液へ、2Nフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(21mL, 42.43mol)が加えられる。この混合物は0℃で一夜撹拌される。通常の方法で後処理し、溶媒を留去した後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され化合物5(32.6g, 収率:80.9%)を与える。そのHNMRデータは実施例1のそれと同一である。
【0067】
第3工程
トルエン(2mL)、ジエチルエーテル(2mL)、イソプロピルエーテル(5mL)、アセトン(5mL)及びジクロロメタン(446mL)中の化合物5(23g, 24.21mmol)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(5.5g, 48.42mmol)が加えられる。この混合物は、原料が消失するまで50℃で撹拌される。この混合物は、飽和重炭酸ナトリウム、水で洗浄され、乾燥され、真空下で濃縮された後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製を受け白色固体として化合物6(16g、収率:78%)を与える。
【0068】
第4工程
トルエン(5mL)、ジエチルエーテル(5mL)、イソプロピルエーテル(4mL)、アセトン(5mL)、アセトニトリル(5mL)、ジクロロメタン(726mL)の化合物6(15g, 17.65mmol)の溶液へ、15%(m/m)の重炭酸ナトリウム水溶液(100mL、176.5mmol)を加え、次に、70%過酸化水素水(5ml、176.5mmol)が滴下される。この混合物は原料が消失するまで50℃で撹拌される。過剰の過酸化水素が稀釈亜硫酸ナトリウム水溶液により中和された後、この混合物はジクロロメタンで抽出され、普通の方法で後処理を受け、真空下で濃縮される。残留物はカラムクロマトグラフィーにより精製され白色固体としてドセタキセル(11.4g、収率:80%)を与える。
【0069】
実施例8
第1工程
テトラヒドロフラン(500mL)とトルエン(500mL)の化合物2b(50g, 64.67mmol)と化合物3(50g, 646.7mmol)の溶液に、DMAP(157g, 1.29mol)とDCC(157g、77.604mmol)を加える。この混合物は40℃にまで加熱され、TLCにより検出で反応が終了するまえ撹拌される。残留物はカラムクロマトグラフィーにより精製され化合物4b(52.6g, 収率:69%)を与える。
【0070】
第2工程
トルエン(500mL)とエタノール(500mL)の混合溶媒中の化合物4b(50g,42.43mmol)の溶液に2Nフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(425mL,0.85mol)を加える。この混合物は80℃で一夜撹拌される。通常の方法で後処理をし、溶媒を留去の後、残留物はカラムクロマトグラフィーにより精製され化合物5(32.6g、収率:80.9%)を与える。HNMRデータは実施例1のそれと同一である。
【0071】
第3工程
トルエン(2mL)、ジエチルエーテル(2mL)、イソプロピルエーテル(5mL)、アセトン(5mL)及びジクロロメタン(446mL)中の化合物5(23g, 24.21mmol)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(5.5g, 48.42mmol)が加えられる。この混合物は原料が消失するまで50℃で撹拌される。混合物が飽和重炭酸ナトリウム、水で洗浄され、乾燥され、真空下で濃縮された後、残留物はカラムクロマトグラフィーにより精製され白色固体として化合物6(16g, 収率:78%)を与える。
【0072】
第4工程
トルエン(5mL)、ジエチルエーテル(5mL)、イソプロピルエーテル(4mL)、アセトン(5mL)、アセトニトリル(5mL)、及びジクロロメタン(726mL)中の化合物6(15g, 17.65mmol)の溶液へ、15% (m/m)重炭酸ナトリウム水溶液(100ml, 176.5mmol)を加え、70%過酸化水素水(5ml,176.5mmol)を滴下する。この混合物は原料が消失するまで、50℃で撹拌される。過剰の過酸化水素が稀釈亜硫酸ナトリウム水溶液により中和された後、本混合物は、ジクロロメタンで抽出され、普通の方法で後処理を受け、真空下濃縮される。残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され白色固体としてドセタキセル(11.4g,収率;80%)を与える。
【0073】
実施例9
第1工程
テトラヒドロフラン(500mL)とトルエン(500mL)中の化合物2b(50g, 64.67mmol)と化合物3(50g)の溶液に、DMAP(157g,1.29mol)とDCC(15.7g,77.604mmol)を加える。この混合物は40℃にまで加熱され、TLCで反応の終了を検出するまで撹拌する。次にこの混合物はろ過され、溶媒は真空下、留去される。残留物がカラムクロマトグラフィーにより精製され化合物4bを与える(52.6g、収率:69%)。
【0074】
第2工程
無水テトラヒドロフラン(600mL)の化合物4b(50g, 42.43mmol)の溶液に2Nのフッ化テトラブチルアンモニウム溶液(212mL,424.3mmol)を加える。この混合物は40℃で一夜撹拌された。通常の方法で後処理し、溶媒を留去した後、残留物はカラムクロマトグラフィーで精製され、化合物5を与え(32.2g、収率:80%)、そのHNMRデータは実施例1のそれと同一である。
【0075】
第3工程
トルエン(2mL)、ジエチルエーテル(2mL)、イソプロピルエーテル(5mL)、アセトン(5mL)及びジクロロメタン(446mL)中の化合物5(23g, 24.21mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5.5g, 48.42mmol)を加える。この混合物は原料が消失するまで50℃で撹拌する。この混合物は飽和重炭酸ナトリウム、水で洗浄され、乾燥され真空下で濃縮される。この残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として化合物6(16g, 収率:78%)を与える。
【0076】
第4工程
トルエン(5mL)、ジエチルエーテル(5mL)、イソプロピルエーテル(4mL)、アセトン(5mL)、アセトニトリル(5mL)及びジクロロメタン(726mL)の化合物6の溶液へ15%(m/m)の重炭酸ナトリウム水溶液(100ml、176.5mmol)を加え、次に70%過酸化水素水(5ml, 176.5mmol)を滴下する。この混合物は原料が消失するまで50℃で撹拌される。過剰の過酸化水素が稀釈した亜硫酸ナトリウム水溶液で中和された後、混合物はジクロロメタンで抽出され、通常の方法で後処理を受け、真空下で濃縮される。残留物はカラムクロマトグラフィーにより精製され白色固体としてドセタキセル(11.4g、収率;80%)を与える。
【0077】
実施例10
化合物3の合成
無水ピリジンの(2R,3S) -3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸ベンジル(化合物7, 371g, 1mol)の溶液に無水酢酸(200ml、2.1mol)を滴下する。この混合物はTLCでの検出により原料が消失するまで25〜30℃で撹拌する。この混合物を氷-水(1000mL)に注ぎ、pHを6N塩酸により5〜6に調節する。水層を酢酸エチルで抽出し、抽出液は稀塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、溶媒を圧下除去し、オイルの生成物を得る。アセトニトリル(1L)中のこのオイル生成物の溶液へ、Boc2O(300g、1.38mol)と4-ジメチルアミノ-ピリジン(DMAP、150g)を加える。TLCにより反応の終了を検出後、アセトニトリルを除き、残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、オイル生成物を与える。酢酸エチルのこのオイル生成物の溶液へ、5%パラジウム炭素(50g)を加える。水素添加反応を3気圧の水素で水素が吸収されなくなるまで行う。この混合物をろ過し、酢酸エチルの大部分を除去する。この残留物を石油に加え、白色固体として生成物を沈殿させる(350g、収率:82.7%)。
【0078】
HNMR(500MHz、DMSO)δ:13.26(s,1H)、7.40-7.30(m,5H)、5.80(d,J=10.8Hz,1H)、5.53(d, J=10.7Hz,1H)、2.07(s,3H)、1.36(s,18H)
【0079】
実施例11 化合物3の合成
アセトン(500mL)、アセトニトリル(500mL)とテトラヒドロフラン(855mL)の(2R、3S)- 3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸ベンジル(化合物7,371g, 1モル)溶液に酢酸無水物(100ml, 1mol)が滴下される。この混合物はTLCで原料が消失するまで0℃で撹拌される。この混合物は氷-水(1000mL)へ注ぎ、pHを6N塩酸により5〜6とする。水層は酢酸エチルで抽出し、抽出液は希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、溶媒を減圧下、除去しオイル生成物を得る。テトラヒドロフラン(1000mL)とアセトン(1065mL)中のこのオイル生成物の溶液へ、0℃でBoc2O(218g、1mol)と4-ジメチルアミノ-ピリジン(DMAP、122g、1mol)を加える。TLCで反応終了後、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製しオイル生成物を与える。酢酸エチルのこのオイル生成物の溶液に、0℃で1%パラジウム炭素(5.14g)を加えた。水素添加反応は水素が吸収されなくなるまで1気圧の水素で行われた。この混合物はろ過され酢酸エチルの大部分が除去された。この残留物が石油に加えられ白色固体として生成物(346g, 収率:81.7%)を沈殿させた。
【0080】
実施例12
化合物3の合成
ジクロロメタン(10L)、酢酸エチル(4L)及びトルエン(4.55L)の(2R、3S)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸ベンジル(化合物7,371g, 1mol)溶液に無水酢酸(1000ml,10モル)を滴下した。この混合物をTLCにより原料が消失するまで60℃で撹拌した。この混合物を氷-水(20L)へ注ぎ、pHを6N塩酸により5〜6とした。水層を酢酸エチルで抽出し、抽出液は希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、溶媒を圧下、除去しオイル生成物を得た。ジクロロメタン(10L)、酢酸エチル(8L)とトルエン(2.65L)中のこのオイル生成物の溶液へ、Boc2O(2180g, 10mol)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP,1220g,10mol)を80℃で加えた。TLCで反応終了後、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで精製しオイル生成物を与えた。酢酸エチルのこのオイル生成物の溶液に、20%パラジウム炭素(256.5g)を60℃で加えた。水素添加反応が水素が吸収されなくなるまで水素圧10気圧で行われた。この混合物はろ過され酢酸エチルの大部分が除去された。この残留物を石油へ加え、白色固体として生成物を沈殿させた(341.5g;収率:80.7%)。
【0081】
実施例13 化合物3の合成
ジエチルエーテル(4000mL)とイソプロピルエーテル(4162mL)の(2R、3S) -3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロピオン酸ベンジル(化合物7,371g, 1mol)溶液に、無水酢酸(500mL、5mol)を滴下した。この混合物はTLCで原料が消失するまで30℃で撹拌した。この混合物を氷-水(1000mL)へ注ぎ、pHを6N塩酸により5〜6とした。水層を酢酸エチルで抽出し、抽出液は希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し溶媒を圧下除去し、オイル生成物を得た。ジエチルエーテル(4000mL)とイソプロピルエーテル(4086mL)のオイル生成物の溶液へ、Boc2O(1090g, 5mol)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP,610g, 5mol)を40℃で加えた。TLCにより反応の終了を検出後、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで精製しオイル生成物を与えた。酢酸エチルのこのオイル生成物の溶液へ、30℃で10%パラジウム炭素(128.5g)を加えた。水素添加反応を水素が吸収されなくなるまで水素圧6気圧で行われた。この混合物はろ過され、酢酸エチルの大部分が除去された。残留物が石油へ加えられ、白色固体として生成物(338.6g:収率:80%)を沈殿させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドセタキセル1を合成する方法であって、化合物1がアセチル基1個を除去することにより化合物6から合成される工程を含み、

ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニル、Acはアセチル、Phはフェニルであるものである方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、当該方法が、化合物6の脱アセチル化が有機溶媒中での過酸化水素と重炭酸ナトリウムの作用により行われる工程を含むことにより特徴付けられる方法であり、当該有機溶媒がジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランから選ばれる1個又は数個の溶媒であり、当該溶媒と化合物6の容量/質量の比率は5〜50ml/gであり、当該重炭酸ナトリウムは0.5%〜飽和水溶液として使用され、重炭酸ナトリウムの当該使用は、化合物6のモル数の2〜10倍であり、過酸化水素は過酸化水素水溶液として使用され、その質量パーセントは10〜70%であり、過酸化水素の使用は化合物6のモル数の2〜10倍であり、当該反応は0と50℃の間の温度で行われ、当該反応時間は当該反応の終了の検出により決定される工程を含むことにより特徴付けられる、方法。
【請求項3】
ドセタキセルの中間体6

であって、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、Phはフェニルであるものである化合物。
【請求項4】
化合物6を合成する方法であって、化合物6が1個のtert-ブトキシカルボニル基を除去することにより化合物5から合成される方法であり、

ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、Phはフェニルである工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項4の方法であって、当該方法は、化合物5の脱保護が有機溶媒中のトリフルオロ酢酸の作用により行われ、当該溶媒がジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、及びテトラヒドロフランから選択される1個又は数個の溶媒であり、当該溶媒と化合物5の容量/質量比率は5〜20ml/gであり、トリフルオロ酢酸の使用は化合物5のモル数の0.1〜2倍であり、当該反応は0と50℃の間の温度で行われ、当該反応時間は当該反応の終了の検出により決定される工程を含むことにより特徴づけられる、方法。
【請求項6】
ドセタキセルの中間体5であって、

ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、Phはフェニルである化合物。
【請求項7】
化合物5を合成する方法であって、化合物5は水酸基の保護基R1の除去により化合物4から合成され、

R1は、tert-ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、エトキシエチル、テトラヒドロピラニル、トリクロロエトキシカルボニル又はメトキシメチルである工程を含むものである、方法。
【請求項8】
請求項7の方法であって、当該方法が、
R1がトリクロロエトキシカルボニルである場合、化合物4の脱保護は有機溶媒と水において酢酸と亜鉛の作用により行わる工程を含み、当該溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールから選ばれる1個又は数個の溶媒であり、当該溶媒と化合物4の容量/質量比は5〜20ml/gであり、酢酸の当該使用は化合物4のモル数の5〜20倍であり、当該亜鉛は亜鉛粉末の形で使用され、その使用は、化合物4のモル数の2〜20倍であり、当該反応は0と80℃の間の温度で行われ、当該反応時間は当該反応の終了の検出により決定される工程を含み、
R1がトリエチルシリルである場合、化合物4の脱保護は有機溶媒中でフッ化テトラブチルアンモニウムの作用により行われ、当該有機溶媒がジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール及びエタノールから選択される1個又は数個の溶媒であり、当該溶媒と化合物4の容量/質量比は5〜20ml/gであり、フッ化テトラブチルアンモニウムの使用は化合物4のモル数の1〜20倍であり、当該反応は0と80℃の間の温度で行われ、当該反応時間は当該反応の終了の検出により決定される工程を含み、
R1がtert-ブチルジメチルシリルである場合、化合物4の脱保護は有機溶媒中でフッ化テトラブチルアンモニウムの作用により行われ、ここで当該反応条件は本法の当該共通の条件である工程を含み、
R1がエトキシエチルである場合、化合物4の脱保護はアルコールと水の溶媒中で希塩酸の作用により行われ、ここで当該反応条件は本法の当該共通の条件である工程を含み、
R1がテトラヒドロピラニルである場合、化合物4の脱保護はアルコールと水からなる溶媒中で希塩酸の作用により行われ、ここで、当該反応条件は本法の当該共通の条件である工程を含み、
R1がメトキシメチルの場合、化合物4の脱保護はアルコールと水からなる溶媒中で希塩酸の作用により行われ、当該反応条件は本法の当該共通の条件である工程を含む、
ことにより特徴付けられる方法。
【請求項9】
ドセタキセルの中間体4であって、

R1はtert-ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、エトキシエチル、テトラヒドロピラニル、トリクロロエトキシカルボニル又はメトキシメチルである化合物。
【請求項10】
化合物4を合成する方法であって、化合物4は化合物2と3の水酸基のアシル化反応により合成され、

ここで、R1はtert-ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、エトキシエチル、テトラヒドロピラニル、トリクロロエトキシカルボニル又はメトキシメチルを表す、工程を含む方法。
【請求項11】
請求項10の方法であって、当該方法は、化合物2と3の当該水酸基のアシル化反応が、有機溶媒中で、4-ジメチルアミノ-ピリジンとトリエチルアミン、又は4-ジメチルアミノピリジンとN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドの作用により行われ、ここで当該有機溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノールとエタノールから選択される1個又は数個の溶媒であり、当該溶媒と化合物2の容量/質量の比は、5〜20ml/gであり、化合物3の使用は化合物2のモル数の1〜10倍であり、4-ジメチルアミノピリジンの使用は化合物2のモル数の1.2〜20倍であり、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドの使用は化合物2のモル数の1.2〜20倍であり、当該反応は0と100℃の間の温度で行われ、当該反応時間は当該反応の終了を検出して決められる工程を含む、ことにより特徴付けられる方法。
【請求項12】
ドセタキセル1を合成する方法であって、

a) 化合物2と3の水酸基のアシル化反応により化合物4を与え、
b) a)工程から得られた化合物4の水酸基のR1の脱保護を行い化合物5を合成し、
c) b)工程から得られた化合物5の1個のtert-ブトキシカルボニル基を除去して化合物6を合成し、
d)工程c)から得られた化合物6の1個のアセチル基を除去し、化合物1を合成するものであり、R1は、tert-ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、エトキシエチル、テトラヒドロピラニル、トリクロロエトキシカルボニル又はメトキシメチルを表し、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、及びPhはフェニルである工程を含むものである、方法。
【請求項13】
ドセタキセルの中間体3であって、

Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Acはアセチルであり、Phはフェニルである化合物。
【請求項14】
化合物3の合成法であって、化合物3は有機溶媒中で水酸基のベンジル保護基の除去により化合物9から合成され、

ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニルであり、Phはフェニルであり、Acはアセチルであり、Bnはベンジルである工程を含む、方法。
【請求項15】
請求項14の方法であって、当該方法は、化合物9の水素添加がパラジウム炭素の作用により行われ、当該圧力は1〜10気圧であり、パラジウム炭素中のパラジウムの質量パーセントは1〜20%であり、パラジウム炭素の使用は、化合物9の質量の0.01〜0.5倍であり、当該反応は0と50℃の間の温度で行われ、当該反応時間は当該反応の終了の検出により決定される工程を含むことにより特徴付けられる、方法。
【請求項16】
請求項14又は15による方法であって、化合物9が、有機溶媒中でtert-ブトキシカルボニル基を使用するアミノ基を保護する反応により化合物8から合成され、

ここで、Bocはtert-ブトキシカルボニル、Phはフェニル、Acはアセチル、及びBnはベンジルである、ことにより特徴付けられる方法。
【請求項17】
請求項16の方法であって、化合物8とジ-t-ブチルジカーボネートの反応が、4-ジメチルアミノ-ピリジンの作用により行われ、当該有機溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセトニトリルとテトラヒドロフランから選ばれる1個又は数個の溶媒であり、当該溶媒と化合物8の容量/質量比は5〜50ml/gであり、4-ジメチルアミノ-ピリジンの当該使用は化合物8のモル数の1〜10倍であり、ジ-t-ブチルジカーボネートの使用は化合物8のモル数の1〜10倍であり、当該反応は0と80℃の間の温度で行われ、当該反応時間は当該反応の終了の検出により決定される、方法により化合物9が合成されることにより特徴づけられる方法。
【請求項18】
請求項16の方法であって、化合物8は化合物7から水酸基のアセチル化(Bocはtert-ブトキシカルボニル、Phはフェニル、Acはアセチル及びBzはベンジルである)により合成されることにより特徴付けられる方法。

【請求項19】
請求項18の方法であって、化合物7のアセチル化が有機溶媒中での酢酸無水物の作用により行われ、当該有機溶媒はジクロロメタン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、ピリジン、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから選ばれた1個又は数個の溶媒であり、当該溶媒と化合物7の容量/質量比は5〜50mi/gであり、酢酸無水物の使用は化合物7のモル数の1〜10倍であり、当該反応は0と60℃の間の温度で行われ、当該反応時間は、当該反応の終了の検出により決定される、方法により化合物8が合成されることにより特徴付けられる方法。
【請求項20】
ドセタキセルの中間体9

(Bocはtert-ブトキシカルボニル、Phはフェニル、Acはアセチル、及びBnはベンジル)

【公表番号】特表2011−510027(P2011−510027A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543367(P2010−543367)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【国際出願番号】PCT/CN2009/071939
【国際公開番号】WO2010/057378
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(510083142)上海百霊医薬科技有限公司 (1)
【Fターム(参考)】