説明

ドメイン・クロッシング回路および方法。

【課題】本発明は、ドメイン・クロッシング回路の電流消費を減少させるための技術に関するものである。
【解決手段】本発明のドメイン・クロッシング回路は、リセット信号の解除に応答して内部クロックをカウントし内部コードを出力する内部カウンタ610と、リセット信号の入力を受けて内部クロックと外部クロックのタイミング差の分だけ遅延させ出力するレプリカ遅延部602と、レプリカ遅延部602から出力される遅延リセット信号の解除に応答して外部クロックをカウントし外部コードを出力する外部カウンタ620と、内部コードおよび外部コードを利用して外部クロックに同期され入力された外部信号を内部クロックに同期された内部信号に変換する内部信号生成部630と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドメイン・クロッシング(domain crossing)回路に関し、より詳細にドメイン・クロッシング回路の消費電流を減少させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にDDR SDRAM(Double Data Rate Synchronous DRAM)をはじめとする半導体装置は外部クロックに同期して印加される各種命令(command)の入力を受け、内部クロック(内部クロック信号)に同期して動作をし、その結果データを出力する。
【0003】
すなわち、メモリ装置外部から入力される各種命令は、外部クロックに同期して印加されるのに反して、自体が動作をする時には内部クロックに同期して動作をし、データもやはり内部クロックに同期して出力することになる。したがってメモリ装置内部には外部クロックに同期して入力される各種外部命令を内部クロックに同期した内部命令に変換するための回路を備えなければならず、このような回路をドメイン・クロッシング回路という。
【0004】
メモリ装置では、外部から入力されるターミネーション(終端)命令に応答して入・出力パッドをターミネーションさせるターミネーション動作のオン・オフを制御する。したがって外部のターミネーション命令を内部命令に変更しなければならない。
【0005】
また、JEDECで定められたスペックに応じてDDR3 SDRAMからはダイナミックターミネーション(Dynamic ODT)動作が支援されなければならない。ダイナミックターミネーション動作とは、モードレジスタセット等を改めて設定しなくても、ライト命令が入力されるとチップ内部のターミネーション抵抗の抵抗値がデータ入力時に必要なターミネーション抵抗値を有するように設定する動作をいう。そのため外部命令のライト命令もまた内部命令に変更する必要がある。
【0006】
図1は、外部から入力されたターミネーション命令を内部命令に変換する従来のドメイン・クロッシング回路を図示した図である。
【0007】
同図に図示されたように、ドメイン・クロッシング回路は、クロック分配部101、レプリカ遅延部102、内部カウンタ110、外部カウンタ120、および内部信号生成部130を備える。
【0008】
クロック分配部101は、遅延ロックループ(DLL:Delay Locked Loop)を介して供給される内部クロックDLLCLK1の入力を受け、リセット信号RSTが解除されるまで内部クロックDLLCLK2のトグル(toggling)を防ぐ。そしてリセット信号RSTが解除されるとトグルされる内部クロックDLLCLK2を出力する。すなわち、DLLCLK1とDLLCLK2は、同一の内部クロックであるが、DLLCLK2は、リセット信号RSTの解除時まではトグルせず、一定のレベルを維持するという点だけが相異する。リセット信号RSTとは、ドメイン・クロッシング回路が動作しないときはイネーブル(活性化)されていて、ドメイン・クロッシング回路が動作をするときに、ディセーブル(非活性化)される信号をいう。例えば、非同期(asynchronous)モードでは、ドメイン・クロッシング回路が動作する必要がないが、この時はリセット信号RSTがイネーブルされ、ドメイン・クロッシング回路が動作を止め、内部のコード値DLLCNT<2:0>、EXTCNT<2:0>等が初期化されるようにする。
【0009】
レプリカ遅延部102は、内部クロックDLLCLK2と外部クロックEXTCLKとの間に存在する時間差をモデリング(modeling)しておくブロックであり、入力される内部クロックDLLCLK2に外部クロックEXTCLKとの時間差を反映して、外部クロックEXTCLKを出力する。
【0010】
内部カウンタ110は、リセット信号RSTによって初期化されており、リセット信号RSTの解除時点から内部クロックDLLCKL2をカウントし内部コードDLLCNT<2:0>を出力する。内部コードDLLCNT<2:0>の初期値は、キャスライトレイテンシ(CWL:Cas Write Latency)によって決定される初期値を有する。キャスライトレイテンシCWLによって外部命令の印加時点から内部ターミネーション動作の開始時点が変わるためである。キャスライトレイテンシCWLは、その値自体が動作周波数に応じて制限された値を有するようにスペックに規定されているため、キャスライトレイテンシCWLによって初期値が決定されるというのは、動作周波数に応じて初期値が決定されるということと同じ意味を有する。
【0011】
外部カウンタ120は、リセット信号RSTによって初期化されており、リセット信号RSTの解除時点から外部クロックEXTCLKをカウントし外部コードEXTCNT<2:0>を出力する。外部コードEXTCNT<2:0>の初期値は0に設定される。
【0012】
内部信号生成部130は、内部命令であるノーマルターミネーション命令ODTENを生成するノーマル制御部132と、内部命令であるダイナミックターミネーション命令DYNAMIC ODTENを生成するダイナミック制御部131を備え構成される。
【0013】
ダイナミック制御部131は、ライト命令(WT_startp、ライト命令によって生成される信号で詳しい事項は後述する)に応答して内部命令であるダイナミックターミネーション命令を生成する。メモリ装置は、内部命令であるダイナミックターミネーション命令DYNAMIC ODTENがイネーブルされると、これに応答してダイナミックターミネーション動作を開始し、ダイナミックターミネーション命令DYNAMIC ODTENがディセーブルされると、これに応答してダイナミックターミネーション動作を止める。
【0014】
ノーマル制御部132は、外部メモリコントローラ(Memory Controller)からの命令(ODT_SARTP、ODT_ENDP、外部コマンドによって生成される信号)に応答してノーマル(normal)ターミネーション命令ODTENを生成する。メモリ装置は、内部命令であるノーマルターミネーション命令ODTENに応答してターミネーション動作の開始時点および終了時点を定めることになる。
【0015】
図2は、図1のダイナミック制御部131の動作を説明するための図である。
【0016】
リセット信号RSTの解除前に内部カウンタ110は動作せず、内部コードDLLCNT<0:2>は5の初期値(前述したように、CWLにより決定される)を有する。同様にリセット信号RSTの解除前に外部カウンタ120も動作せず、外部コードEXTCNT<2:0>は0の初期値を有する。リセット信号RSTが解除されると内部カウンタ110と外部カウンタ120がイネーブルされ、内部クロックDLLCLK2もトグルし始める。外部クロックEXTCLKは、内部クロックDLLCLK2を遅延させて生成するため、内部クロックDLLCLK2より遅くトグルされる。したがって内部コードDLLCNT<2:0>が先にカウントされ始め、レプリカ遅延部102の遅延値の分だけ時間が過ぎた後に外部コードEXTCNT<2:0>がカウントされ始める。
【0017】
内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>がカウントされているうちに外部からライト命令が入力されると、これに応答してWT_startpパルス信号がイネーブルされる。そしてWT_startpパルス信号のイネーブル時点の外部コードEXTCNT<2:0>が保存される(図の場合1を保存)。そして、内部コードDLLCNT<2:0>の値が上記保存された外部コードEXTCNT<2:0>の値(図の場合1)と同じになる時、WT_DLL_startbp信号が「ロー」にイネーブルされ、この信号は内部命令であるダイナミックターミネーション命令DYNAMIC ODTENをイネーブルさせる。
【0018】
ダイナミックターミネーション命令DYNAMIC ODTENがイネーブルされると、メモリ装置のダイナミックターミネーション動作が始まる。
【0019】
続いて、ダイナミックターミネーション命令のディセーブルについて説明する。ライト命令に応答して保存された外部コードEXTCNT<2:0>の値(図の場合1)にはバースト長(BL:Burst Length)により一定値が加えられる。バースト長(BL)が8の場合、8個のデータがクロックの立ち上がり/立ち下がりで入力されるため、データが入力されるために4クロックが必要であり、前後にタイミングマージンを考慮して、全部で6クロックが要求される(スペックに規定される)。また、バースト長(BL)が4の場合にはデータ入力のための2クロックと、前後のマージン2クロックとを加えて、全部で4クロックが要求される(スペックにて規定される)。
【0020】
したがってバースト長(BL)が8の場合には、保存された外部コードEXTCNT<2:0>の値(図の場合1)に6が加えられ(図はBL=8を例示しており、したがって1+6=7の値を有するようになる)、バースト長が4の場合には、保存された外部コードEXTCNT<2:0>に4が加えられる(すなわち、(BL/2)+2の分だけ値が加えられる)。そして一定値が加えられた外部コードEXTCNT<2:0>の値7と内部コードDLLCNT<2:0>との値が比較され、内部コードDLLCNT<2:0>の値が、一定値が加えられた外部コードEXTCNT<2:0>の値7と同じになる時、WT_DLL_endbp信号が「ロー」にイネーブルされてDYNAMIC ODT命令をディセーブルするようになる。これに伴いダイナミックターミネーション動作が終了する。
【0021】
このような方式でダイナミック制御部131は、ライト命令入力時、一定時間後にダイナミックターミネーション動作をイネーブルさせて、データ入力に必要な時間と一定のマージンを確保した後、ダイナミックターミネーション動作をディセーブルさせる。
【0022】
図3は、図2のWT_startpパルス信号に対する理解を助けるための図である。
【0023】
WT_startpパルス信号は、基本的にライト命令に応答してイネーブルされる信号である。図に図示されたように、ライト命令に該当する外部キャス命令(CAS:Column Address Strobe)が入力され、アディクティブレイテンシ(AL、Addictive Latency)が反映された若干の時間の後にイネーブルされる。
【0024】
詳細にライト命令に該当する外部キャス命令(CAS)が入力されると、コマンド入力バッファでこれをクロック(CLK)に同期して入力を受け、その後、内部回路によって一定の遅延をさせた後にWT_startpパルス信号がイネーブルされる。
【0025】
すなわち、WT_startpパルス信号は、外部からライト命令が入力され、この命令が若干遅延されて生成される信号としてみなすことができる。参考としてWT_startpパルス信号のパルス幅はマージン等に応じて適切に設定すれば良い。
【0026】
図4は、図1のノーマル制御部132の動作を説明するための図である。
【0027】
リセット信号RSTの解除前に内部カウンタ110は動作せず、内部コードDLLCNT<0:2>は5の初期値(前述したように、CWLに応じて決定される)を有する。同様にリセット信号RSTの解除前に外部カウンタ120も動作せず、外部コードEXTCNT<2:0>は0の初期値を有する。リセット信号RSTが解除されると内部カウンタ110と外部カウンタ120とがイネーブルされ、内部クロックDLLCLK2もトグルし始める。外部クロックEXTCLKは、内部クロックDLLCLK2を遅延させて生成するため、内部クロックDLLCLK2より遅れてトグルされる。したがって内部コードDLLCNT<2:0>が先にカウントされ始め、レプリカ遅延部102の遅延値の分だけ時間が過ぎた後に外部コードEXTCNT<2:0>がカウントされ始める。
【0028】
その間に外部メモリコントローラの命令によって生成されるODT_startp信号がイネーブルされる。そしてODT_startpパルス信号のイネーブル時点の外部コードEXTCNT<2:0>が保存される(図の場合1が保存)。そして内部コードDLLCNT<2:0>が、保存された外部コード(EXTCNT<2:0>、1)の値と同じになるとODT_DLL_startbp信号が、「ロー」にイネーブルされる。このイネーブルされたODT_DLL_startbp信号は、ノーマルターミネーション動作を制御する信号であるノーマルターミネーション命令ODTENをイネーブルさせて、ノーマルターミネーション動作が始まるようにする。ノーマルターミネーション動作は、ダイナミックターミネーション動作でない既存の動作を意味する。
【0029】
ノーマルターミネーション命令ODTENのディセーブルもイネーブルと同じ方式でなされる。外部コントローラの命令によって生成されるODT_endp信号によって、そのイネーブル時点の外部コードEXTCNT<2:0>を保存して(図の場合6を保存)、内部コードDLLCNT<2:0>の値が、保存された外部コードEXTCNT<2:0>の値(図の場合6)と同じになると、ODT_DLL_endbp信号が「ロー」にイネーブルされ、この信号は、ノーマルターミネーション命令をディセーブルさせてノーマルターミネーション動作が終了するようにする。
【0030】
すなわち、ノーマルターミネーション動作の開始と終了は共に根本的に外部メモリコントローラによって制御される。
【0031】
図5は、図4のODT_startp信号とODT_endp信号の理解を助けるための図である。
【0032】
ODT_startp信号とODT_endp信号は、基本的に外部メモリコントローラ(Memory controller、外部chipsetともいう)からの入力によって生成される。外部ODT命令は、セットアップホールド条件等を満たすことができるように外部メモリコントローラから入力される信号であり、これはクロックに同期した後、アディティブ(addictive)レイテンシが反映され、一定時間遅延されたODT_COM信号を生成する。そしてODT_COM信号のイネーブル時点とディセーブル時点でパルス形態の信号であるODT_startp信号とODT_endp信号が各々イネーブルされる。
【0033】
改めて図1を参照すれば、従来のドメイン・クロッシング回路は、内部クロックを遅延させて外部クロックを生成する方式を使用している。そしてリセット信号が解除されて内部クロックがトグリングし始めたとき、外部クロックは、レプリカ遅延部の遅延値の分だけ遅延された後にトグリングが始まるように制御することによって、内部コードおよび外部コードがカウントされ始める時点を調節していた。
【0034】
非同期モードでない同期モードでは、外部コードおよび内部コードが継続してカウントされなければならない。外部命令がいつ入力されるのかを知ることができず、外部命令が入力されれば、すぐに内部命令に変換する動作を行わなければならないためである。したがって同期モードでは外部から命令が入力されても、入力されなくても、レプリカ遅延部では常にトグリングする内部クロックが入力される。
【0035】
内部クロックがトグリングする毎に、レプリカ遅延部は、多くの電流を消費することになり、これは外部から命令が印加されない時にもドメイン・クロッシング回路が消費する電流を大きくするという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明は、前記した従来技術の問題を改善するために提案されたもので、ドメイン・クロッシング回路で消費する電流を減少させることにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
前記した目的を達成するための本発明によるドメイン・クロッシング回路は、リセット信号の解除に応答して内部クロックをカウントし内部コードを出力する内部カウンタと、前記リセット信号の入力を受けて前記内部クロックと外部クロックとのタイミング差の分だけ遅延させて遅延リセット信号を出力するレプリカ遅延部と、該レプリカ遅延部から出力される遅延リセット信号の解除に応答して前記外部クロックをカウントし外部コードを出力する外部カウンタと、前記内部コードおよび前記外部コードを用いて外部信号を内部信号に変換する内部信号生成部を備えることができる。
【0038】
また、本発明によるドメイン・クロッシング回路は、リセット信号の解除に応答して内部クロックをカウントし内部コードを出力する内部カウンタと、前記リセット信号の入力を受けて前記内部クロックと外部クロックとのタイミング差の分だけ遅延させ出力するレプリカ遅延部と、該レプリカ遅延部から出力される遅延リセット信号の解除に応答して前記外部クロックをカウントし外部コードを出力する外部カウンタと、前記内部コードおよび前記外部コードを利用して外部ターミネーション命令を内部ターミネーション命令に変換する内部信号生成部を備えることができる。
【0039】
また、本発明によるドメイン・クロッシング方法は、内部クロックと外部クロックとのタイミング差の分だけリセット信号を遅延させ、遅延リセット信号を生成するステップと、リセット信号の解除に応答して内部クロックをカウントし内部コードを生成するステップと、遅延リセット信号の解除に応答して外部クロックをカウントし外部コードを生成するステップと、内部コードおよび外部コードを利用して外部信号を内部信号に変換するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0040】
従来のドメイン・クロッシング回路では、レプリカ遅延部にトグリングする信号である内部クロックが入力されたため、この部分で多くの電流消費が生じた。
【0041】
しかし本発明のドメイン・クロッシング回路では、レベル信号のリセット信号がレプリカ遅延部に入力される。したがってレプリカ遅延部で消費する電流量が減少し、ドメイン・クロッシング回路全体の電流消費が減少するという長所がある。
【0042】
また、トグリングする信号でなく、レベル信号であるリセット信号を、レプリカ遅延部を介して遅延させる方式で、内部カウンタと外部カウンタとの動作タイミングを設定するため、パワーノイズ等が発生したとしてもレプリカ遅延部の遅延値には格別の影響がないという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】外部から入力されたターミネーション命令を内部命令に変換する従来のドメイン・クロッシング回路を図示した図である。
【図2】図1のダイナミック制御部131の動作を説明するための図である。
【図3】図2のWT_startpパルス信号に対する理解のための図である。
【図4】図1のノーマル制御部132の動作を説明するための図である。
【図5】図4のODT_startp信号とODT_endp信号の理解のための図である。
【図6】本発明によるドメイン・クロッシング回路の一実施形態の構成図である。
【図7】図6のレプリカ遅延部602の一実施形態を図示した図である。
【図8】本発明によるドメイン・クロッシング回路の動作を図示したタイミング図である。
【図9】本発明によるドメイン・クロッシング回路の非同期モード時の動作を図示したタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができるように詳細に説明するために、本発明の好ましい実施形態を、添付した図を参照して説明する。
【0045】
図6は、本発明によるドメイン・クロッシング回路の一実施形態の構成図である。
【0046】
本発明によるドメイン・クロッシング回路は、クロック分配部601、レプリカ遅延部602、内部カウンタ610、外部カウンタ620、および内部信号生成部630を備え構成される。
【0047】
クロック分配部601は、内部クロックDLLCLK1の入力を受けて、リセット信号RSTが解除されるまでクロックDLLCLK2のトグルを止める。そしてリセット信号RSTが解除されるとトグリングする内部クロックDLLCLK2を出力する。すなわち、DLLCLK1とDLLCLK2は、同一の内部クロックであるが、DLLCLK2は、リセット信号RSTの解除まではトグルせず、一定のレベルを維持するという点だけが相異する。
【0048】
背景技術の部分で説明した従来のドメイン・クロッシング回路では、内部クロックDLLCLK2および外部クロックEXTCLKがトグルし始める時点の差によって、内部カウンタ110と外部カウンタ120との動作時点の差を調整した。したがってリセット時に内部クロックDLLCLK2をトグリングできないようにし、リセット信号RSTの解除と同時に内部クロックDLLCLK2をトグリングさせるクロック分配部101が必須の構成要素であった。
【0049】
しかし、本発明のドメイン・クロッシング回路は、リセット信号RSTと遅延されたリセット信号RST_DLY(本発明における「遅延リセット信号」に相当する)の解除時点の差によって、内部カウンタ610と外部カウンタ620との動作時点の差を調整する。したがって、本発明によるドメイン・クロッシング回路は、クロック分配部601なく実施することもできる。すなわち、内部クロックDLLCLK1を直接内部カウンタ610に入力してもかまわない。ただし、クロック分配部601が備えられると、リセット時に内部カウンタ610で入力される内部クロックDLLCLK2のトグリングを防ぎ、むだな電流消費を減少させるため、クロック分配部601を備えるのが電流消費の側面で有利である。
【0050】
レプリカ遅延部602は、リセット信号RSTを内部クロックDLLCLK2と外部クロックEXTCLKのタイミング差の分だけ遅延させ出力する。すなわち、レプリカ遅延部602は、内部クロックDLLCLK2と外部クロックEXTCLKとのタイミング差をモデリング(modeling)しておく遅延回路である。従来のレプリカ遅延部102は、トグリングするクロックDLLCLK2を遅延させたため、多くの電流を消費したが、本発明のレプリカ遅延部602は、レベル信号のリセット信号RSTを遅延させる。したがって電流をほとんど消費せず、パワーノイズ(power noise)等が印加されても遅延値には格別の影響がないという長所がある。リセット信号RSTは、ドメイン・クロッシング回路が動作しない期間ではイネーブルされ、ドメイン・クロッシング回路が動作する期間ではディセーブルされる信号である。例えば、メモリ装置がクロックと関係なく動作する非同期(asynchronous)モードでは、ドメイン・クロッシング回路が動作する必要がないためリセット信号RSTはイネーブルされる。
【0051】
内部カウンタ610は、リセット信号RSTの解除に応答して内部クロックDLLCLK2をカウントし内部コードDLLCNT<2:0>を出力する。
【0052】
リセット信号RSTがイネーブルされている間は、内部カウンタ610は、内部クロックDLLCLK2をカウントせず、内部コードDLLCNT<2:0>は、初期値に初期化されている。内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>は、ドメイン・クロッシング回路が適用されるシステムのタイミングパラメータ値に応じて定められる値の分だけ初期値の差を有する。図示された実施形態では、外部コードEXTCNT<2:0>の初期値は0で固定したまま、内部コードDLLCNT<2:0>の初期値をタイミングパラメータに応じて調整するように構成した。タイミングパラメータとは、レイテンシ(latency)情報などを意味するが、これは内部信号生成部630で変換する信号がいかなる信号なのかによって異なり得る。例えば、内部信号生成部630が、外部ODT命令を内部ODT命令に変換する場合にはキャスライトレイテンシ(CWL:Cas Write Latency)がタイミングパラメータになるものであり、内部信号生成部630が外部リード(read)命令を内部リード命令に変換する場合にはキャスレイテンシ(CL:Cas Latency)がタイミングパラメータになるものである。
【0053】
外部カウンタ620は、レプリカ遅延部602を介して遅延されたリセット信号RST_DLYの解除に応答して外部クロックEXTCLKをカウントし外部コードを出力する。リセット信号RST_DLYがイネーブルされている間は外部クロックEXTCLKをカウントせず、外部コードEXTCNT<2:0>もやはり初期値に初期化されている。本発明での外部カウンタは、レプリカ遅延部を介して遅延されたリセット信号の解除に応答して外部クロックをカウントし始める。したがって、外部カウンタ620は、内部カウンタ610が動作を始めて外部クロックEXTCLKと内部クロックDLLCLK2とのタイミング差が反映された時間が経過した後にカウントされ始める。
【0054】
外部クロックEXTCLKは、外部から入力されるクロックを、クロックバッファ回路を介してCMOSレベルに変更させたクロックを意味する。例えば、メモリ装置のコマンドバッファ(command buffer)等では外部から入力されるクロックを利用してコマンド(命令)を受けるが、外部クロックEXTCLKとは、外部から入力されコマンドバッファ等で使用される前記クロックのことである。内部クロックDLLCLK1は外部から入力されたクロックが遅延ロックループ(DLL)等を介して加工されたクロックであるのに反して、外部クロックEXTCLKは、そのような加工がなされていないという点で内部クロックDLLCLK1と外部クロックEXTCLKとは互いに異なる。
【0055】
メモリ装置内には種々の外部クロックが使用されるが、外部カウンタに入力される外部クロックEXTCLKとしては、非同期モード時にはトグルしないクロックを使用するのが好ましい。非同期モード時にもトグルするクロックを使用するとクロックのトグルによって、むだな電流が浪費され得るためである。
【0056】
内部信号生成部630内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>を利用し外部信号を内部信号に変換して出力する。
【0057】
外部信号は、チップ外部から入力される外部クロック基準のタイミング情報を有している信号を意味し、内部信号は、そのような外部信号を内部クロック基準のタイミングに変換した信号を意味する。
【0058】
例えば、メモリ装置の外部から外部クロックに同期したリード命令が印加されると、メモリ装置はこれに応じてリード動作を行わなければならないが、メモリ装置は内部クロックを基準として動作をするため、リード動作の時点を内部的に規定するための内部リード命令が必要である。ここでの外部リード命令が前記外部信号に対応し、内部リード命令が前記内部信号に対応する。
【0059】
ドメイン・クロッシング回路が、外部ODT命令を内部ODT命令に変換するドメイン・クロッシング回路であれば、背景技術の部分で説明したように内部信号生成部は、内部命令のノーマルターミネーション命令ODTENを生成するノーマル制御部132と、内部命令であるダイナミックターミネーション命令DYNAMIC ODTENを生成するダイナミック制御部131とを備え構成され得る。
【0060】
ドメイン・クロッシング回路が、どのような外部の信号を内部の信号に変換するのかに応じて内部信号生成部630の構成は種々に変わり得る。どのような信号を変換したとしても一般的に内部信号生成部は、内部コードDLLCNT<2:0>が、外部信号の印加時点での外部コードEXTCNT<2:0>と同じになる時点で内部信号を活性化する方法を使用して、外部信号を内部信号に変換する。カウントされた内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>を利用して外部の信号命令等を内部の信号命令等に変換する内部信号生成部630を、変換しようとする信号にふさわしく構成するのは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者ならば容易にできるものに該当するため、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0061】
図7は、図6のレプリカ遅延部602の一実施形態を図示した図である。
【0062】
図に示された通り、レプリカ遅延部602は、リセット信号RSTを内部クロックDLLCLK1に同期させて出力する同期化部710と、同期化部710から出力される信号RST_ALIGNを遅延させ出力する遅延部720を備え構成され得る。
【0063】
レプリカ遅延部602は、内部クロックDLLCLK1と外部クロックEXTCLKとのタイミング差を反映する所で、内部クロックDLLCLK1のカウント開始時点からどれだけの時間後に外部クロックEXTCLKのカウントを開始するのかを決定する所である。したがって同期化部710を利用してリセット信号RSTを内部クロックに同期させた後、遅延部720を利用して遅延をさせると、内部クロックDLLCLK1と外部クロックEXTCLKとの時間差は、一層正確に反映され得る。
【0064】
レプリカ遅延部602の同期化部710は、図示されたようにDフリップフロップDFFと同じ回路で構成され得る。
【0065】
図8は、本発明によるドメイン・クロッシング回路の動作を図示したタイミング図である。
【0066】
リセット信号RST、RST_DLYがイネーブルされている間、内部カウンタ610および外部カウンタ620はカウント動作をせず、内部コードDLLCNT<2:0>は5の値に、外部コードEXTCNT<2:0>は0の値に初期化される。まず内部カウンタ610に入力されるリセット信号RSTがディセーブルされ、内部コードDLLCNT<2:0>がカウントされ始める。そしてレプリカ遅延部602を経たリセット信号RST_DLYがディセーブルされ、これに応答して外部コードEXTCNT<2:0>がカウントされ始める。
【0067】
本発明は、従来と異なりリセット信号RSTがレプリカ遅延部602を介するようにする方式を使用し内部カウンタ610および外部カウンタ620の動作時点を決定するが、結局、内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>は従来と同様に生成される。したがってこのような内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>を使用すれば、従来のように外部信号を内部信号に変換することができる。
【0068】
図9は、本発明によるドメイン・クロッシング回路の非同期モード時の動作を図示したタイミング図である。
【0069】
ドメイン・クロッシング回路が内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>をカウントする間に、ドメイン・クロッシング回路が適用されたメモリ装置が非同期モード(asynchronous mode)に入ると、リセット信号(RST、RST_DLY)はイネーブルされる。その結果、内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>は、5と0の初期値に初期化される。
【0070】
そして、非同期モードが終了し、改めて同期モード(synchronous mode)に入ると、リセット信号RST、RST_DLYが順にディセーブルされ、内部コードDLLCNT<2:0>が先にカウントされ始め、次いで外部コードEXTCNT<2:0>がカウントされ始める。
【0071】
すなわち、本発明の内部カウンタ610および外部カウンタ620は、動作中に非同期モードに入り、改めて同期モードに入ったとしても、内部コードDLLCNT<2:0>および外部コードEXTCNT<2:0>を正しく生成することが可能である。その結果、本発明のドメイン・クロッシング回路は、同期モードにおいて、常に、外部信号を内部信号に正しく変換することができる。
【0072】
本発明の技術思想は、前記望ましい実施形態によって具体的に記述されたが、前記した実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためであるものではないことを注意しなければならない。また、本発明の技術分野の通常の専門家ならば、本発明の技術思想の範囲内で多様な実施形態が可能であることが分かるであろう。
【符号の説明】
【0073】
601 クロック分配部
602 レプリカ遅延部
610 内部カウンタ
620 外部カウンタ
630 内部信号生成部
720 遅延部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセット信号の解除に応答して内部クロックをカウントし内部コードを出力する内部カウンタと、
前記リセット信号の入力を受けて、前記リセット信号を前記内部クロックと外部クロックとのタイミング差の分だけ遅延させた遅延リセット信号を出力するレプリカ遅延部と、
該レプリカ遅延部から出力される前記遅延リセット信号の解除に応答して前記外部クロックをカウントし外部コードを出力する外部カウンタと、
前記内部コードおよび前記外部コードを利用して外部信号を内部信号に変換する内部信号生成部と、
を備えることを特徴とするドメイン・クロッシング回路。
【請求項2】
前記内部コードの初期値と前記外部コードの初期値とには差があり、
前記初期値の差は、前記ドメイン・クロッシング回路が適用されるシステムのタイミングパラメータに応じて定められることを特徴とする請求項1に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項3】
前記タイミングパラメータは、レイテンシ情報であることを特徴とする請求項2に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項4】
前記レプリカ遅延部は、
前記リセット信号を前記内部クロックに同期させて出力する同期化部と、
前記同期化部から出力される信号を遅延させる遅延部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項5】
前記内部信号生成部は、前記内部コードの値が前記外部信号の印加時点での外部コードの値と同一となる時点で、前記内部信号をイネーブルすることを特徴とする請求項1に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項6】
前記リセット信号の解除前には前記内部カウンタに前記内部クロックを供給せず、前記リセット信号の解除以後に前記内部カウンタに前記内部クロックを供給するクロック分配部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項7】
前記外部クロックは、非同期モードの動作時にはディセーブルされて前記外部カウンタに入力されることを特徴とする請求項1に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項8】
前記リセット信号は、前記ドメイン・クロッシング回路が動作しない期間の間にイネーブルされ、該期間は非同期モードの期間を含むことを特徴とする請求項1に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項9】
リセット信号の解除に応答して内部クロックをカウントし内部コードを出力する内部カウンタと、
前記リセット信号の入力を受けて、前記リセット信号を前記内部クロックと外部クロックとのタイミング差の分だけ遅延させた遅延リセット信号を出力するレプリカ遅延部と、
該レプリカ遅延部から出力される前記遅延リセット信号の解除に応答して前記外部クロックをカウントし外部コードを出力する外部カウンタと、
前記内部コードおよび前記外部コードを利用して外部ターミネーション命令を内部ターミネーション命令に変換する内部信号生成部と、
を備えるドメイン・クロッシング回路。
【請求項10】
前記内部コードの初期値と前記外部コードの初期値とには差があり、
前記初期値の差は、キャスライトレイテンシ(CWL)に応じて定められることを特徴とする請求項9に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項11】
前記レプリカ遅延部は、
前記リセット信号を前記内部クロックに同期させ出力する同期化部と、
前記同期化部から出力される信号を遅延させる遅延部と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項12】
前記内部信号生成部は、
外部ノーマルターミネーション命令を変換してノーマルターミネーション命令を生成し、
外部ライト命令を変換して内部ダイナミックターミネーション命令を生成することを特徴とする請求項9に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項13】
前記リセット信号の解除前には前記内部カウンタに前記内部クロックを供給せず、前記リセット信号の解除以後に前記内部カウンタに前記内部クロックを供給するクロック分配部をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項14】
前記外部クロックは、非同期モードの動作時には非活性化されて前記外部カウンタに入力されることを特徴とする請求項9に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項15】
前記リセット信号は、前記ドメイン・クロッシング回路が動作しない期間の間にイネーブルされ、該期間は非同期モードの期間を含むことを特徴とする請求項9に記載のドメイン・クロッシング回路。
【請求項16】
内部クロックと外部クロックとのタイミング差の分だけリセット信号を遅延させた遅延リセット信号を生成する第aステップと、
前記リセット信号の解除に応答して前記内部クロックをカウントし内部コードを生成する第bステップと、
前記遅延リセット信号の解除に応答して前記外部クロックをカウントし外部コードを生成する第cステップと、
前記内部コードおよび前記外部コードを利用して外部信号を内部信号に変換する第dステップと、
を含むことを特徴とするドメイン・クロッシング方法。
【請求項17】
前記内部コードの初期値と前記外部コードの初期値とには差があり、
前記初期値の差は、システムのタイミングパラメータに応じて定められることを特徴とする請求項16に記載のドメイン・クロッシング方法。
【請求項18】
前記タイミングパラメータは、レイテンシ情報であることを特徴とする請求項17に記載のドメイン・クロッシング方法。
【請求項19】
前記第dステップでは、前記内部コードの値が前記外部信号の印加時点での前記外部コードの値と同一となる時点で、前記内部信号をイネーブルすることを特徴とする請求項16に記載のドメイン・クロッシング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−15666(P2010−15666A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115391(P2009−115391)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】