説明

ドライパウダー吸入器で使用するためのソフトステロイド組成物

薬物及び薬物の製造方法を開示する。前記薬物はソフトステロイドを含有し、ドライパウダー吸入器による投与に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトステロイドを含む組成物、およびその製造方法に関する。特に、本発明はドライパウダー吸入器での投与に適したソフトステロイド系の薬剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
ステロイドは、いくつかの遺伝子の転写を刺激することによって効果を表し、種々の細胞作用を生み出し、異なったステロイドは異なった遺伝子を活性化する。したがって、ステロイドは広範囲の治療に使用できる。特に、グルココルチコイドのような従来のコルチコステロイドは、炎症性の容態およびアレルギーの治療のための抗炎症薬として一般に使用されてきた。
【0003】
ステロイド治療は、加圧定量吸入器およびドライパウダー吸入器の使用を含む吸入技術の使用によってしばしば行われる。そのような投与技術は、薬剤がまず消化器系を通過しなければならない経口投与とは反対に、薬剤が肺胞を通じて直接血流中に送られるという利点がある。吸入技術による投与は、嚢胞性線維症、肺気腫、気管支炎、喘息などのような肺系統の疾病の治療において、気道内の作用部位に薬剤が直接送達されるというもう一つの利点を提供する。この例は、抗炎症剤としてのコルチコステロイド・ブデソナイドの使用であり、この薬剤は、喘息治療用のドライパウダー吸入器でもっとも一般的に使用される。
【0004】
しかし、従来のステロイド系の薬剤は、その有用性を厳しく限定する望ましくない副作用を起こしかねない。視床下部の下垂体副腎(HPA)軸の抑圧からくる結果の他に、体液および電解質の異常、高血圧、高血糖症、感染感受性の増加、骨粗しょう症、筋疾患、行動障害、白内障、成長停止および脂肪配分のような合併症によっても、コルチコステロイドによる長期の治療が制限される。
【0005】
ソフトドラッグというのは、治療効果を発揮した後、予測可能な代謝を受けて、不活性な代謝産物へ代謝される薬剤を使う新しい治療概念である。したがって、それは、要求される効果の他に、分子が不活性化あるいは無毒化されるべき好ましい方法を分子のなかにつくりあげることによって設計される。理想的には、分子は作用部位(例えば肺)に送達され、つづいて吸収中に不活性化されて副作用の可能性を低下させる。
【0006】
最近、ソフトステロイド(soft steroid)として一般に知られる新しい種類のアンドロステン系のステロイドが開発され、これは付随するひどい全身的な副作用なしに、従来のコルチコステロイドと同等の抗炎症作用を発揮する。抗炎症作用を持つソフトステロイドの例は、US−A−4710495、EP−B−0334853およびUS−A−5981517に開示されている。
【0007】
喘息治療において従来のステロイドを投与するためには、エタノールのような或る種の水系溶媒を含む揮発性の噴霧剤を使った加圧定量吸入器が、ドライパウダー吸入器以上に、好まれて使われる傾向にある。
【0008】
エチプレドノール・ジクロアセテートのような、ブデソナイドの代わりになるソフトステロイドは、薬剤として潜在的に有用であるが、水系溶媒を含む加圧計量投与吸入器を通じて投与された場合、そのようなソフトステロイド系薬剤は、伝統的な溶媒中で不安定であるために、処方するのが難しいことが分かっている。さらに、従来のドライパウダー処方に基づくソフトステロイド薬剤は、喘息治療用のドライパウダー吸入器に使われた場合、効力が低いであろう。
【特許文献1】米国特許公開公報第4710495号
【特許文献2】欧州特許公報第0334853号
【特許文献3】米国特許公開公報第5981517号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、ドライパウダー吸入器のような吸入技術によって患者へ投薬する薬剤として配合されたときに、優れた安定性を示しおよび気道内において作用部位へ医薬を送達する高い効力を示すことができるソフトステロイド系処方を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも一種のソフトステロイドの粒子および少なくとも一種の賦形剤の粒子を含み、ドライパウダー吸入器での使用に適した薬剤に関し、ここで、その少なくとも一種のソフトステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その少なくとも一種の賦形剤粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均体積平均径をもつ。
【0011】
本発明はさらに、ドライパウダー吸入器中での使用に適した薬剤の製造法に関し、該方法はソフトステロイドの粒子および賦形剤の粒子を混合することを含み、この際そのソフトステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。また本発明は、ドライパウダー吸入器によって投与される薬剤で哺乳動物を治療する方法に関し、ここで、前記薬剤はソフトステロイドの粒子および賦形剤の粒子を含み、この際そのソフトステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0012】
本発明はまた、哺乳動物の治療用薬剤を製造するための組成物の使用に関し、ここで、該組成物は一種のソフトステロイドの粒子および一種の賦形剤の粒子を含み、そのソフトステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0013】
本発明はさらに、ソフトステロイドの粒子および賦形剤の粒子から成る組成物を包含する。前記ステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、前記賦形剤粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0014】
ドライパウダー吸入器で使用するためのソフトステロイド系薬剤の効力は、ソフトステロイドおよび付随する賦形剤の両者を一定の範囲の粒子径に調整した薬剤を製造することによって改善できることがわかった。
【0015】
一つの観点において、本発明は一種のソフトステロイドの粒子および一種の賦形剤の粒子を含む、ドライパウダー吸入器での使用に適した薬剤を提供し、ここで、そのステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤の粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0016】
別の観点において、本発明はドライパウダー吸入器での使用に適した薬剤の製造法を提供し、ここにその方法はソフトステロイドの粒子および賦形剤の粒子を混合することを含み、この際そのステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤の粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0017】
別の観点において、本発明はドライパウダー吸入器によって投与される薬剤で哺乳動物を治療する方法を提供し、ここにそのステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0018】
別の観点において、本発明は一種のソフトステロイドの粒子および一種の賦形剤の粒子を含む組成物を提供し、ここにそのステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0019】
別の観点において、本発明は哺乳動物の治療用薬剤を製造するための組成物の使用を提供し、ここにその組成物は一種のソフトステロイドの粒子および一種の賦形剤の粒子を含み、ここにそのステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤の粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0020】
別の観点において、本発明は哺乳動物における気道または肺の疾患あるいは障害の治療への組成物の使用を提供し、ここにその組成物は一種のソフトステロイドの粒子および一種の賦形剤の粒子から成り、ここにそのステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の平均体積平均径をもち、その賦形剤の粒子は約10ないし約1000マイクロメーターの範囲の平均平均径をもつ。
【0021】
本発明の薬剤は、ブリスターおよびカプセル・カートリッジをもつもののような予備計量された吸入器を含むドライパウダー吸入器を用いて、およびエアマックス(アイバックス・コーポレーションの商標)吸入器のような定量吸入器を用いて、経鼻あるいは経口での投与のために処方できる。
【0022】
この薬剤は、好ましくは喘息のような気道または肺系統の疾病あるいは障害の治療のために、好ましくはヒトに投与される。
【0023】
改善された効果に対する可能性のある説明として(限定を意図しない)、微粒子画分(FPF)、すなわち下気道に達しそうな薬剤のパーセンテージは、従前の薬剤を従来の配合で使用する場合の通常条件下では、ソフトステロイドが満足な治療効果を発揮するのには低過ぎると考えられる。しかし、本発明にかかる薬剤を吸入した場合は、ソフトステロイドは肺下部に容易に流入し、それによって肺のなかの非常に多くの潜在的接触部位と接触する。ソフトステロイドが肺の中のより多くの部位と接触することによって、本発明の薬剤は従前の薬剤より改善された効果を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ドライパウダー吸入器によって送達されるとき、向上した効果をもつソフトステロイド薬剤を提供するためには、ソフトステロイドおよびそれに付随する賦形剤の両者が調節された範囲の粒子径になるように提供しなければならない。ソフトステロイド粒子の体積平均径(VMD)は、平均で約20マイクロメーター未満でなければならず、一方、賦形剤粒子のVMDは平均して約10ないし約1000マイクロメーターの範囲にあるべきである。この範囲内で製造された薬剤では、ソフトステロイドを吸入によって投与でき、ソフトステロイド粒子は吸入された空気流によって肺内に深く導入される。したがって、そのような処方は、ソフトステロイドの超微粒子画分を、送達ごとの投与量の均一性高く投与できる、ドライパウダー吸入器による薬剤の送達を可能にする。
【0025】
種々のアンドロステロン系のソフトステロイドが、US−5981517に開示されており、ここに全文を参照として引用する。これは本発明での使用に適した範囲のソフトステロイドを開示しているが、本発明は、それらの化合物だけに限定されない。
【0026】
本発明の薬剤の一部であるソフトステロイドは、下記の構造式で定義されるものから構成される:
【化1】


式中、R1はC1〜C4アルキルであり、それは無置換か、または、クロロ、フルオロ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルキルスルフィニルおよびC1〜C4アルキルスルフォニルから成る群から選ばれた一つの置換基をもつ、
3は水素、α−ヒドロキシ、β−ヒドロキシ、α−メチル、β−メチル=CH2、またはα−あるいは
【化2】

4は水素、フルオロあるいはクロロ、
5は水素、フルオロ、クロロあるいはメチル、
6は水素、クロロあるいはメチル、 Xは−O−あるいは−S−、
Zはカルボニル、β−ヒドロキシメチレンあるいはβ−クロロメチレン、
および環Aの中の点線は1,2−結合が飽和あるいは不飽和であることを示す。
【0027】
この群の化合物中では、下記のサブグループが好ましい:
(1)R3がH、R4がHあるいはFおよびR5がH、FあるいはCH3である化合物、
(2)R3がα−CH3あるいはβ−CH3、R4がHあるいはFおよびR5がH、FあるいはCH3である化合物、および
(3)R3がα−OH、β−OH、 α−OCOCHCl2あるいはβ−OCOCHCl2、R4がHあるいはFおよびR5がH、FあるいはCH3である化合物。
【0028】
特に好ましい化合物は、下記の構造的特徴を一つ以上もつものである:
(1)R1が無置換のC1〜C4アルキルあるいはクロロメチル、 好ましくはR1が無置換のアルキル、特に好ましくはR1がエチルあるいはメチルである、
(2)Xが−O−である、
(3)Zがβ−ヒドロキシメチレンである、
(4)1,2−結合が不飽和、特にR3、R4およびR5の変数が前節に記載された好ましいものであるとき。
【0029】
特に好ましい化合物の一つの群は、下記の構造式によって定義される:
【化3】


ここにR11はメチル、エチル、 イソプロピルあるいはクロロメチル、好ましくはR11がメチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【0030】
非常に好ましいソフトステロイド化合物は、エチプレドノール・ジクロアセテート(EDA)として知られる17α−ジクロロアセトキシ−11β−ヒドロキシアンドロスタ−1,4−ジエン−3−オン−17β−カルボン酸エチルであり、それは下記の構造式で定義される:
【化4】

【0031】
別の非常に好ましいソフトステロイド化合物は、ロテプレドノール・エタボネート(LE)として知られる17α−エトキシカルボニルオキシ―11β−ヒドロキシアンドロスタ−1,4−ジエン−3−オン−17β−カルボン酸クロロメチルであり、それは下記の構造式で定義される:
【化5】

【0032】
本発明の式の一部であり得るソフトステロイドの別の群は、下記の構造式で定義されるものを包含する:
【化6】


ここにR6はHあるいはCH3、好ましくはR6がCH3である、そして残りの構造変数が上記に定義したとおりである。
【0033】
この群の化合物のなかでは、下記のサブグループが好ましい:
(1)R3がH、R4がHあるいはFおよびR5がH、FあるいはCH3である化合物、
(2)R3がα−CH3あるいはβ−CH3、R4がHあるいはFおよびR5がH、FあるいはCH3である化合物、および
(3)R3がα−OH、β−OH、 α−OCOCHCl2あるいはβ−OCOCHCl2、R4がHあるいはFおよびR5がH、FあるいはCH3である化合物。
【0034】
特に好ましい化合物は、下記の構造的特徴を一つ以上もつものである:
(1)R1が無置換のC1〜C4アルキルあるいはクロロメチル、 好ましくはR1が無置換のアルキル、特に好ましくはR1がエチルあるいはメチルである、
(2)Xが−O−である、
(3)Zがβ−ヒドロキシメチレンである、
(4)1,2−結合が不飽和、好ましくはR3、R4およびR5の変数が前節に記載された好ましいものであるとき。特に最も好ましい誘導体は、下記の構造式によって定義される:
(5)
【化7】


ここにR11はメチル、エチル、 イソプロピルあるいはクロロメチル、R31はα−CH3あるいはβ−CH3、R41はHあるいはFおよびR51はHあるいはF、特にR11がメチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【0035】
本発明における使用に適した賦形剤の例は、単糖類、二糖類および多糖類およびそれらの誘導体、例えば乳糖、蔗糖、ぶどう糖、マンニトール、キシリトール、トレハロース、であるが、他の適当な賦形剤も使用できる。特に好ましい賦形剤は、乳糖一水和物である。
【0036】
一つの利点は、ドライパウダー吸入器に適したソフトステロイド、好ましくはエトリプレノール・ジクロアセテートあるいはロテプレドノール・エタボネート、最も好ましくはエトリプレノール・ジクロアセテートを含む薬剤を提供することである。
【0037】
本発明の各観点において、ソフトステロイド粒子の体積平均径は賦形剤粒子の直径より小さいことが好ましい。ソフトステロイド粒子の体積平均径は、賦形剤粒子の平均径の約3分の1未満であることが好ましい。ソフトステロイド粒子の体積平均径は、賦形剤粒子の平均径の約5分の1未満であることが特に好ましい。例えば、ソフトステロイド粒子の体積平均径が約10μm未満であると、賦形剤粒子の体積平均径は少なくとも約50μm、好ましくは少なくとも約80μmである。
【0038】
ソフトステロイド粒子の少なくとも約50重量%は、約10μm未満の直径をもつことが好ましい。ソフトステロイド粒子の少なくとも約50重量%は、約5μm未満の直径をもつことがより好ましい。ソフトステロイド粒子の少なくとも約50重量%は、約3μm未満の直径をもつことが最も好ましい。例えば、ソフトステロイド粒子が約1.5ないし3μmの体積平均径をもつとき、その粒子の少なくとも90重量%は、約3μm未満の平均径をもつであろう。
【0039】
賦形剤粒子の少なくとも約30重量%は、100μm未満の直径をもつことが好ましく、賦形剤粒子の少なくとも約50重量%は、500μm未満の平均径をもつことが好ましい。約10μm未満の直径をもつ賦形剤粒子は、50重量%以下であることが好ましい。たとえば、賦形剤粒子が約60ないし100μmの体積平均径をもつとき、約10μm未満の直径をもつ粒子は、約5ないし15重量%である。
【0040】
別の利点は、ドライパウダー吸入器を通じて送達されることができ、送達ごとの投与量の均一性に優れた薬剤を提供することである。
【0041】
好ましい実施態様のさらに別の利点は、吸入送達において、薬剤の投与に関し優れた効力を提供し、それによってその治療指数を増加させることである。
【0042】
好都合なことに、本発明に係る薬剤は、従来のステロイドに基づく代替品に比べて、ソフトステロイド活性化合物の存在によって、低下した毒性をもち、そのためその治療指数をさらに向上させる。
【0043】
別の利点は、そのドライパウダー製剤中への混和によって薬剤の安定性が向上することである。
【0044】
別の利点は、そのドライパウダー吸入器へ取り込むことによって薬剤の安定性がさらに向上することである。
【0045】
ここに開示した処方およびその製造法のさらなる特徴および利点は、図面および詳細な説明中での開示によって、当業者にさらに自明となるであろう。
【0046】
本発明の最初の実施態様は、例えばドライパウダー吸入器を通じて投与され、局所あるいは全身性の効果を発揮する薬剤として使用されるソフトステロイドを含む処方を提供し、そのソフトステロイドは適切な賦形剤とともに均一に混合されている。
【0047】
ソフトステロイド粒子および賦形剤粒子の均一な混合物の調製は、従来の公知技術で二種の粒子の集団を単に混合することによって達成される。粒子の混合は、拡散性のせん断あるいは対流性混合、好ましくは動的混合によって一般的に行われる。
【0048】
典型的には、均一な混合は、ソフトステロイドを既知の粒子径まで(例えば、図1および図4を参照)公知の技術によって微粒子化あるいは別の手段で粒子径を減じることにより、その後、従来の方法で賦形剤粒子を別に調製して、所望の粒子径を得る(例えば、図2を参照)ことにより達成される。微粒子化したソフトステロイド粒子をつぎに一般的に約250μmのサイズの篩に通す。つぎに、この二種の粒子の集団を混合して、ソフトステロイド粒子を賦形剤粒子の間に分布させる。公知のタイプの動的混合技術を使うのが好ましい。
【0049】
本発明の好ましい実施態様は、賦形剤粒子に対して、約50%以下の範囲、好ましくは約1ないし約10%の範囲、最も好ましくは約3ないし約7%の範囲の濃度のソフトステロイド粒子を含む。ソフトステロイドおよび賦形剤の粒子の均一な分布は、図3の走査電子顕微鏡写真で見ることができる。これは、混合物の種々の場所から採った試料のソフトステロイド濃度を測るという方法でも評価される。
【0050】
本発明の好ましい実施態様は、約20マイクロメーター未満の体積平均径(VMD)をもつソフトステロイド粒子、好ましくは約10マイクロメーター未満のVMDをもつソフトステロイド粒子、より好ましくは約5マイクロメーター未満のVMDをもつソフトステロイド粒子を含むべきであり、ソフトステロイド粒子の平均VMDは約1.5ないし2.5であるのが最も好ましい。所望のVMDのソフトステロイド粒子は、微粒子化、結晶化、蒸気からの凝縮、噴霧乾燥、冷凍乾燥および他の適切な公知の方法のうちのどれによっても得られる。
【0051】
さらに、本発明の好ましい実施態様は、約10ないし約1000マイクロメーターの範囲、好ましくは約15ないし約250マイクロメーターの範囲、最も好ましくは約20ないし約100マイクロメーターの範囲のVMDをもつ賦形剤粒子を含むべきである。正確なVMDの賦形剤粒子は、微粒子化、結晶化、蒸気からの凝縮、噴霧乾燥、冷凍乾燥および他の適切な公知の方法のうちのどれによっても得られる。さらに、種々の等級の賦形剤を混合して、正確な範囲の粒子径を得ることができ、また大きい賦形剤粒子を摩砕あるいは粉砕し、つぎに混合物を種々のサイズ範囲の篩にかけて分画することもできる。
【0052】
粒子の体積平均径は、例えば粒子流で阻止されたとき、検出器上に回折パターンをつくるヘリウム・ネオンレーザーの使用によって、公知のレーザー回折技術によるような従来の光散乱技術で測定できる。コンピューターでコード化された演算法を使って、この回折パターンを粒子径のデータに翻訳することができる。
【0053】
本発明の好ましい処方の好ましい送達投与量において、10ないし5000マイクログラム、好ましくは100ないし500マイクログラム、最も好ましくは約200マイクログラムの活性化合物が投与あたり送達されるであろう。
【0054】
すなわち、本発明の好ましい処方は、ドライパウダー吸入器を通じて、ソフトステロイドの超微粒子画分における送達あたり投与量を、均一性高く送達することができる。
【0055】
本発明の乾式組成物は、ソフトステロイドと水性溶媒から成る組成物に比べて、驚くほど安定である。例えば、本発明による5重量%EDA/95重量%乳糖の乾式混合物(EDAの体積平均径1.58μm/乳糖の体積平均径80μm)は、40℃/75%RHで一ケ月以上安定であることがわかった。それに比べて、2重量%のEDAをa)純メタノール、b)純エタノール、c)メタノール+10重量%水(pH4.5)およびd)エタノール+10重量%水(pH4.5)に溶解して調製した溶液は、それぞれ2日間、2日間、4日間、4日間、安定であった。
【0056】
当業者は、上記の記載を使って、本発明を最高の程度に利用できると思われるが、本発明をさらに例示の方法によって説明する。実施例は単に例示として提供されるものであり、請求項の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0057】
[実施例1]
粉末EDAの調製
エチプレドノール・ジクロアセテート(EDA)の集団を、本発明への使用のために粗原料から調製した。供給されたこの粗原料は、まず微粒子化して粒子の集団が1.5ないし1.7μmの平均体積平均径をもつ粉末を提供し、つぎに250μmの篩を通して、シンパテックHELOSBFマジック・パーチクル・アナライザーを使って従来の光散乱乾式分散法で測定したとき、1.8μmの体積平均径をもつEDA粒子の集団から成る粉末を製造した。微粒子化したエチプレドノール・ジクロアセテートの典型的なバッチの走査電子顕微鏡写真を図1に示す。微粒子化したエチプレドノール・ジクロアセテートのいくつかのバッチ(batches)の粒子径分布を図4に示す。
【0058】
篩を通過した粉末は、もう一度分析したが、10μm未満の平均径をもつ粒子100%から成り、粒子の90%以上は3μm未満の平均径をもつことがわかった。この粉末は、ヘリウム比重計で測定して1.3gcm-3の真密度をもっていた。
【0059】
[実施例2]
粉末乳糖の調製
α−乳糖一水和物粒子の集団を、本発明への使用のために粗原料から調製した。粗原料をまず結晶化し、粉砕し篩にかけて、粒子の集団が約80μmの平均径をもち、粒子の約10%が10μm未満の平均径をもつ粉末を提供した。乳糖の典型的なバッチの走査電子顕微鏡写真を図2に示す。レーザー回折で測定した乳糖のいくつかのバッチの粒子径分布を、表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
[実施例3]
EDA/乳糖混合物の調製
実施例1で生成した篩い済みの粒子を、80μmの平均粒子径および10.5%の微粒子濃度(%<10μm)をもつ乳糖粒子の集団と混合して、4.7重量%のEDAおよび95.3重量%のα−乳糖から成る2.5kgの混合物を調製した。この粒子を約50%の頭部空間をもつ6リットルのステンレス・スチール製の容器内でターブラT10Bを使って20分間32rpmで動的混合にかけた。この混合物をつぎに355μmの篩に通して、本発明の均一な混合物を生成した。この混合物の典型的なバッチの走査電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0062】
[実施例4]
薬学的試験
均一混合物の三つのサンプルを、0.73〜0.77gの充填重量範囲で、三個の多投与ドライパウダー吸入器エアマックスに充填し、各吸入器あたり200回以上発射した。
【0063】
各吸入器からの送達投与量の生涯均一性は、4リットルの体積の装置中での4kPaの圧力低下で、装置寿命のはじめに3回、中間で4回、終わりで3回、合計10回の単一投与量を放出することによって試験した。収集した医薬をつぎに回収し、HPLC分析を使って分析した。
【0064】
混合物中のEDAの空気力学的粒子径分布は、送達投与量測定と同じ条件を使って、多段液体インピンジャー(MSLI)で測定した。MSLIの各段階で沈殿した医薬は、つぎに回収し、HPLC分析を使って定量した。
【0065】
混合物6バッチの薬学的結果を表2に表示する。
【表2】

【0066】
各吸入器からの薬学的なデータは、混合物を含む各吸入器が一貫して作動あたりの目標EDA投与量を送達することを示した。相対標準偏差は約8〜11%であり、これは他のドライパウダー吸入器のRSD(約20%)よりかなり低く、この混合物が吸入器の寿命の間、精密で正確な投与量の送達を行うことを示唆する。混合物の各バッチは、典型的に50%の微粒子画分をもたらし、これは他のドライパウダー吸入器のFPF(約25%)よりかなり高い。したがって、この組成物は喘息治療のためのソフトステロイドの投与に非常に適する。
【0067】
[実施例5]
[安定性の試験]
均一混合物を含むエアマックス多投与量ドライパウダー吸入器を、加速条件、すなわち40℃/75%相対湿度で一ケ月間、無保護で貯蔵した。吸入器をつぎに広範な薬学的試験にかけた。
【0068】
表3に加速条件で一ケ月間貯蔵する前と後の混合物の結果を示す。
【表3】

【0069】
この結果は、吸入器が、貯蔵前の吸入器と同じように、送達投与量の均一性の点で一貫性があり、正確であり、微粒子画分の点で有効であることを示している。加速条件に一ケ月間暴露した後でも混合物の性能に劣化はない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】2000倍での微粒子化されたエチプレドナール・ジクロアセテート(EDA)を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図2】200倍の典型的なラクトースの画分を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図3】100倍での乳糖およびソフトステロイドであるエチプレドノールを含む典型的な混合物を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図4】エチプレドナール・ジクロアセテートの数種の画分の粒子径分布である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のソフトステロイドの粒子および少なくとも一種の賦形剤の粒子を含む組成物であって、前記少なくとも一種のソフトステロイド粒子は、約20マイクロメーター未満の体積平均径を持ち、前記少なくとも一種の賦形剤粒子は、約10〜約1000マイクロメーターの体積平均径を持つ、組成物。
【請求項2】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が、前記賦形剤粒子の平均径より小さい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が、前記賦形剤粒子の平均径の約3分の1未満である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が、前記賦形剤粒子の平均径の5分の1未満である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも50重量%が、約10μm未満の直径をもつ、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも50重量%が、約5μm未満の直径をもつ、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも50重量%が、約3μm未満の直径をもつ、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも90重量%が、約3μm未満の直径をもつ、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が約10μm未満である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ソフトステロイド粒子が、約5μm以下の平均体積平均径をもつ、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記ソフトステロイド粒子が、約0.5〜約5μmの平均体積平均径をもつ、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ソフトステロイド粒子が、約1.5〜約3μmの平均体積平均径をもつ、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記賦形剤粒子が、約15〜約250μmの範囲の平均体積平均径をもつ、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記賦形剤粒子が、約20〜約100μmの範囲の平均体積平均径をもつ、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記賦形剤粒子の少なくとも約30重量%が100μm未満の直径をもつ、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記賦形剤粒子の約50重量%以下が、約10μm未満の直径をもつ、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記賦形剤粒子の少なくとも約50重量%が、500μm未満の直径をもつ、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、乾式の均一な混合物である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、前記ソフトステロイド粒子および賦形剤粒子の混合によって形成される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ソフトステロイド粒子の濃度が、前記賦形剤粒子に対して約50重量%以下である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ソフトステロイド粒子の濃度が、前記賦形剤粒子に対して約1〜約10重量%の範囲にある、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ソフトステロイド粒子の濃度が、前記賦形剤粒子に対して約3〜約7重量%の範囲にある、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ソフトステロイドが、下記の構造式で定義される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物:
【化1】


式中、R1はC1〜C4アルキルであり、それは無置換であるか、あるいはクロロ、フルオロ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルキルスルフィニルおよびC1〜C4アルキルスルホニルから成る群から選ばれた一個の置換基を含み、
3は水素、α−ヒドロキシ、β−ヒドロキシ、α−メチル、β−メチル=CH2、またはα−あるいは
【化2】

であり、
4は 水素、フルオロあるいはクロロであり、
5は 水素、フルオロ、クロロあるいはメチルであり、
6は 水素、クロロあるいはメチルであり、
Xは−O−あるいは−S−であり、
Zはカルボニル、β−ヒドロキシメチレンあるいはβ−クロロメチレンであり、及び
環A中の点線は、1,2−結合が飽和あるいは不飽和であることを示す。
【請求項24】
3がHであり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3であるか、またはR3がα−CH3あるいはβ−CH3であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3であるか、またはR3がα−OH、β−OH、α−OCOCHCl2あるいはβ−OCOCHCl2であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ソフトステロイドが、下記の構造特性を一以上含む、請求項23に記載の組成物:
(5)R1が無置換のC1〜C4アルキルあるいはクロロメチルであり、特にR1が無置換のアルキル、さらにはR1がエチルあるいはメチルである、
(6)Xが−O−である、
(7)Zがβ−ヒドロキシメチレンである、
1,2−結合が不飽和である、および
(4)R6がClである。
【請求項26】
前記ソフトステロイドが下記の構造式で定義される、請求項23に記載の組成物:
【化3】


式中、R11はメチル、エチル、イソプロピルあるいはクロロメチルであり、特にR11がメチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【請求項27】
前記ソフトステロイドがエチプレドノール・ジクロアセテートである、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記ソフトステロイドがロテプレドノール・エタボネートである、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記ソフトステロイドが、下記の構造式で定義される、請求項23に記載の組成物:
【化4】


式中、R6はHあるいはCH3、特にCH3
1はC1〜C4アルキルであり、それは無置換であるか、あるいはクロロ、フルオロ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルキルスルフィニルおよびC1〜C4アルキルスルホニルから成る群から選ばれた一個の置換基を含み、
3は水素、α−ヒドロキシ、β−ヒドロキシ、α−メチル、β−メチル=CH2、またはα−あるいは
【化5】

であり、
4は 水素、フルオロあるいはクロロであり、
5は 水素、フルオロ、クロロあるいはメチルであり、
6は 水素、クロロあるいはメチルであり、
Xは−O−あるいは−S−であり、
Zはカルボニル、β−ヒドロキシメチレあるいはβ−クロロメチレンであり、及び
環A中の点線は、1,2−結合が飽和あるいは不飽和であることを示す。
【請求項30】
前記ソフトステロイドが、下記のサブグループを包含する、請求項23に記載の組成物:
(4)R3がHであり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である化合物、または
(5)R3がα−CH3あるいはβ−CH3であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である化合物、または
(6)R3がα−OH、β−OH、α−OCOCHCl2あるいはβ−OCOCHCl2であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である化合物。
【請求項31】
前記ソフトステロイドが、下記の構造的特長の一つ以上を含む、請求項23に記載の組成物:
(6)R1が無置換のC1〜C4アルキルあるいはクロロメチルであり、特にR1が無置換のアルキル、さらにはR1がエチルあるいはメチルである、
(7)Xが−O−である、
(8)Zがβ−ヒドロキシメチレンである、
前記1,2−結合が不飽和である。
【請求項32】
前記ソフトステロイドが、下記の構造式で定義される、請求項23に記載の組成物:
【化6】


式中、R11はメチル、エチル、イソプロピルあるいはクロロメチルであり、R6はHあるいはCH3であり、特にR11がメチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【請求項33】
前記ソフトステロイドが、下記の構造式で定義される、請求項23に記載の組成物:
【化7】


式中、R11はメチル、エチル、イソプロピルあるいはクロロメチルであり、R31はα−CH3あるいはβ−CH3であり、R41はHあるいはFであり、R51はHあるいはFであり、R6はHあるいはCH3であり、特にR11が メチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【請求項34】
前記賦形剤が、乳糖、蔗糖、グルコース、マンニトール、キシリトール、トレハロース、あるいは他の単糖類、二糖類あるいは多糖類あるいはそれらの誘導体の一以上を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
前記賦形剤が、乳糖一水和物である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
少なくとも一種のソフトステロイドの粒子および少なくとも一種の賦形剤の粒子を含む、ドライパウダー吸入器での使用に適した薬剤であって、前記少なくとも一種のソフトステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の体積平均径をもち、前記少なくとも一種の賦形剤粒子は約10〜約1000マイクロメーターの体積平均径をもつ、薬剤。
【請求項37】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が、前記賦形剤粒子の平均径より小さい、請求項36に記載の薬剤。
【請求項38】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が、前記賦形剤粒子の平均径の約3分の1未満である、請求項37に記載の薬剤。
【請求項39】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が、前記賦形剤粒子の平均径の5分の1未満である、請求項38に記載の薬剤。
【請求項40】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも50重量%が、約10μm未満の直径をもつ、請求項36に記載の薬剤。
【請求項41】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも50重量%が、約5μm未満の直径をもつ、請求項40に記載の薬剤。
【請求項42】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも50重量%が、約3μm未満の直径をもつ、請求項41に記載の薬剤。
【請求項43】
前記ソフトステロイド粒子の少なくとも90重量%が、約3μm未満の直径をもつ、請求項42に記載の薬剤。
【請求項44】
前記ソフトステロイド粒子の体積平均径が約10μm未満である、請求項36に記載の薬剤。
【請求項45】
前記ソフトステロイド粒子が、約5μm以下の体積平均径をもつ、請求項44に記載の薬剤。
【請求項46】
前記ソフトステロイド粒子が、約0.5〜約5μmの体積平均径をもつ、請求項45に記載の薬剤。
【請求項47】
前記ソフトステロイド粒子が、約1.5〜約3μmの体積平均径をもつ、請求項45に記載の薬剤。
【請求項48】
前記賦形剤粒子が、約15〜約250マイクロメーターの範囲の体積平均径をもつ、請求項36に記載の薬剤。
【請求項49】
前記賦形剤粒子が、約20〜約100マイクロメーターの範囲の体積平均径をもつ、請求項48に記載の薬剤。
【請求項50】
前記賦形剤粒子の少なくとも約30重量%が、100μm未満の直径をもつ、請求項36に記載の薬剤。
【請求項51】
前記賦形剤粒子の約50重量%以下が、約10μm未満の直径をもつ、請求項50に記載の薬剤。
【請求項52】
前記賦形剤粒子の少なくとも約50重量%が、500μm未満の直径をもつ、請求項36に記載の薬剤。
【請求項53】
前記薬剤が、前記ソフトステロイド粒子および前記賦形剤粒子の乾式の均一な混合物を含むか、あるいはそれらから成る、請求項36に記載の薬剤。
【請求項54】
前記薬剤が、前記ソフトステロイド粒子および賦形剤粒子を混合することによって形成される、請求項53に記載の薬剤。
【請求項55】
前記ソフトステロイド粒子の濃度が、前記賦形剤粒子に対して約50重量%以下である、請求項36に記載の薬剤。
【請求項56】
前記ソフトステロイド粒子の濃度が、前記賦形剤粒子に対して約1〜約10重量%の範囲にある、請求項55に記載の薬剤。
【請求項57】
前記ソフトステロイド粒子の濃度が、前記賦形剤粒子に対して約3〜約7重量%の範囲にある、請求項56に記載の薬剤。
【請求項58】
前記ソフトステロイドが、下記の構造式で定義される、請求項36に記載の薬剤:
【化8】


式中、R1はC1〜C4アルキルであり、それは無置換であるか、あるいはクロロ、フルオロ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルキルスルフィニルおよびC1〜C4アルキルスルホニルから成る群から選ばれた一個の置換基を含み、
3は水素、α−ヒドロキシ、β−ヒドロキシ、α−メチル、β−メチル=CH2、またはα−あるいは
【化9】

であり、
4は 水素、フルオロあるいはクロロであり、
5は 水素、フルオロ、クロロあるいはメチルであり、
6は 水素、クロロあるいはメチルであり、
Xは−O−あるいは−S−であり、
Zはカルボニル、β−ヒドロキシメチレンあるいはβ−クロロメチレンであり、及び
環A中の点線は、1,2−結合が飽和あるいは不飽和であることを示す。
【請求項59】
3がHであり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3であるか、または
3がα−CH3あるいはβ−CH3であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3であるか、または
3がα−OH、β−OH、α−OCOCHCl2あるいはβ−OCOCHCl2であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である、請求項58に記載の薬剤。
【請求項60】
前記ソフトステロイドが、下記の構造特性を一以上含む、請求項59に記載の薬剤:
1が無置換のC1〜C4アルキルあるいはクロロメチルであり、特にR1が無置換のアルキル、さらにはR1がエチルあるいはメチルである、
Xが−O−である、
Zがβ−ヒドロキシメチレンである、
1,2−結合が不飽和である、及び
6がClである。
【請求項61】
前記ソフトステロイドが、下記の構造式で定義される、請求項58に記載の薬剤:
【化10】


式中、R11はメチル、エチル、イソプロピルあるいはクロロメチルであり、特にR11はメチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【請求項62】
前記ソフトステロイドが、エチプレドノール・ジクロアセテートである、請求項36に記載の薬剤。
【請求項63】
前記ソフトステロイドが、ロテプレドノール・エタボネートである、請求項36に記載の薬剤。
【請求項64】
前記ソフトステロイドが下記の構造式で定義される、請求項58に記載の薬剤:
【化11】


式中、R6は HあるいはCH3、特にCH3であり、
1はC1〜C4アルキルであり、それは無置換であるか、あるいはクロロ、フルオロ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルキルスルフィニルおよびC1〜C4アルキルスルホニルから成る群から選ばれた一個の置換基を含み、
3は水素、α−ヒドロキシ、β−ヒドロキシ、α−メチル、β−メチル=CH2、またはα−あるいは
【化12】

であり、
4は 水素、フルオロあるいはクロロであり、
5は 水素、フルオロ、クロロあるいはメチルであり、
Xは−O−あるいは−S−であり、
Zはカルボニル、β−ヒドロキシメチレンあるいはβ−クロロメチレンであり、及び
環A中の点線は、1,2−結合が飽和あるいは不飽和であることを示す。
【請求項65】
前記ソフトステロイドが、下記のサブグループ化合物
3がHであり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である化合物、または
3がα−CH3あるいはβ−CH3であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である化合物、
またはR3がα−OH、β−OH、α−OCOCHCl2あるいはβ−OCOCHCl2であり、R4がHあるいはFであり、R5がH、FあるいはCH3である化合物
を含む、請求項58に記載の薬剤。
【請求項66】
前記ソフトステロイドが、下記の構造特性を一以上含む、請求項58に記載の薬剤:
1が無置換のC1〜C4アルキルあるいはクロロメチルであり、特にR1が無置換のアルキル、さらにはR1がエチルあるいはメチルである、
Xが−O−である、
Zがβ−ヒドロキシメチレンである、
1,2−結合が不飽和である。
【請求項67】
前記ソフトステロイドが下記の構造式で定義される、請求項58に記載の薬剤:
【化13】


式中、R11はメチル、エチル、イソプロピルあるいはクロロメチルであり、R6はHあるいはCH3である、特にR11がメチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【請求項68】
前記ソフトステロイドが下記の構造式で定義される、請求項58に記載の薬剤:
【化14】


式中、R11はメチル、エチル、イソプロピルあるいはクロロメチルであり、R31はα−CH3あるいはβ−CH3であり、R41はHあるいはFであり、R51はHあるいはFであり、R6はHあるいはCH3であり、特にR11が メチル、エチルあるいはイソプロピルである。
【請求項69】
前記賦形剤が、乳糖、蔗糖、グルコース、マンニトール、キシリトール、トレハロース、あるいは他の単糖類、二糖類あるいは多糖類あるいはそれらの誘導体の一以上を含む、請求項36に記載の薬剤。
【請求項70】
前記賦形剤が、乳糖一水和物である、請求項36に記載の薬剤。
【請求項71】
請求項1に記載の組成物を含む薬剤。
【請求項72】
請求項1に請求された組成物を含む、ドライパウダー吸入器での使用に適した薬剤。
【請求項73】
せん断あるいは動力学的混合条件下で、前記ソフトステロイドおよび前記賦形剤の粒子を混合することを含む、請求項36に記載の薬剤を調製する方法。
【請求項74】
ドライパウダー吸入器により投与される薬剤で哺乳動物を治療する方法であって、前記薬剤が少なくとも一種のソフトステロイドの粒子および少なくとも一種の賦形剤の粒子を含み、前記少なくとも一種のソフトステロイド粒子は約20マイクロメーター未満の体積平均径をもち、前記少なくとも一種の賦形剤粒子は約10〜約1000マイクロメーターの範囲の体積平均径をもつことを特徴とする方法。
【請求項75】
前記薬剤が、喘息のような哺乳動物における気道あるいは肺系統の疾患あるいは障害の治療のために投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記薬剤が、前記哺乳動物に約10〜約5000マイクログラム量のソフトステロイドを送達する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記薬剤が、前記哺乳動物に約100〜約500マイクログラム量のソフトステロイドを送達する、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記薬剤が、前記哺乳動物に約200マイクログラム量のソフトステロイドを送達する、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
少なくとも一種のソフトステロイドの粒子および少なくとも一種の賦形剤の粒子を含む組成物の使用であって、哺乳動物の気道または肺の疾患あるいは障害の治療のための薬剤の調製において、前記少なくとも一種のソフトステロイド粒子が約20マイクロメーター未満の体積平均径をもち、前記少なくとも一種の賦形剤粒子は約10〜約1000マイクロメーターの範囲の体積平均径をもつ、組成物の使用。
【請求項80】
前記薬剤が、喘息治療用である、請求項79に記載の使用。
【請求項81】
前記賦形剤がソフトステロイドの安定性を向上させる、請求項36に記載の薬剤。

【公表番号】特表2007−510723(P2007−510723A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539602(P2006−539602)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/036477
【国際公開番号】WO2005/041980
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(502062928)ノートン ヘルスケアー リミテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】NORTON HEALTHCARE  LTD.
【Fターム(参考)】