説明

ナノインプリンティング装置及び方法

【課題】大面積の基材に対してインプリント可能な装置を提供する。
【解決手段】パターニングされるべき基材20に対してミクロ又はナノメートルサイズのパターンを転写するために2つの回転可能に取り付けたローラを備える。第1のローラ10はパターニングされた周面を有しており、このパターン周面は、当該パターン周面を変形可能な基材と接触させることにより第1のローラから基材にパターンを転写する。第2のローラ30は、第1のローラのパターン周面と対向する円滑な周面を有している。また、第2のローラは、第1と第2のローラを同期回転させるために第1のローラと回転可能に結合される。基材は、これらのローラが互いに対して回転するときにパターン周面が基材と接触し、それにより、このパターンがパターン周面から基材へと転写されるように、第1及び第2のローラ間で移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は、一般にリソグラフィに関し、特に、ミクロ又はナノメートルスケールの構造体のリソグラフィに関連する装置及び方法に関する。特に、本発明は、大面積基材又は対象物に対するナノインプリントリソグラフィに関する。
【関連技術の説明】
【0002】
マイクロエレクトロニクスにおける動向は、これまで、寸法の小型化に向かっている。市販部品は、今日、1ミクロン未満のサイズの構造体を伴って製造されるが、寸法を100nm未満まで更に小さくする必要性がある。ナノ部品に関する研究は、10nm未満の寸法を有する部品において商業的に適用できる製造技術に対する需要を高めてきた。
【0003】
ミクロ及びナノメートル構造体の作製における最も興味深い技術の幾つかは、様々なタイプのリソグラフィを含んでいる。ナノ構造、すなわち、100nm以下程度の構造体を再生するための最も有望な技術のうちの1つは、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術である。例えば米国特許第5,772,905号明細書に記載されるナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術は、原子スケールに近い構造体の大量生産のための基本的な前提条件を打ち出した。これについては、Stephen Y.Chou,Peter R.Krauss,Wei Zhang,Lingjie Guo and Lei Zhuang:“Sub−10nm imprint lithography and application”,J.Vac.Sci.Technol.B,Vol.15,No.6,(1997)を参照されたい。幾つかの研究報告が題材において提示さてきたが、これまで、NIL技術は、全体の面積が小さい部品、一般にたった数平方センチメートルの部品に対するナノインプリンティングに限定されてきた。これについては、Stephen Y.Chou,Peter R.Krauss and Preston J.Renstorm:“Nanoimprint lithography”,J.Vac.Sci.Technol.B,14,4129<RTI(1996);K.Pfeiffer,G.Bleidiessel,G.Gruetzner,H.Schulz,T.Hoffmann,H.−C.Scheer,C.M.Sotomayor Torres and J.Ahopelto:“Suitability of new polymer materials with adjustable glasstemperature for nanoimprinting”,Proceeding of Micro−and Nano−Engineering Conference,(1998);and Leuven.Bo Cui,Wei Wu,Linshu Kong,Xiaoyun Sun and Stephen Y.Chou:“Perpendicular quantized magnetic disks with 45 Gbits on a 4×4 cm2 area”,J.Appl.Phys.85,5534(1999)を参照されたい。
【0004】
従来技術のナノインプリントリソグラフィプロセスでは、パターニングされるべき基材が成形可能な層によって覆われる。基材に対して転写されるべきパターンは、スタンプ又はテンプレート上に3次元で予め画成されている。スタンプが成形可能な層と接触され、また、当該層が好ましくは加熱によって軟化される。その後、スタンプが軟化された層へ向けて垂直動作により移動され、それにより、スタンプが軟化された層へ圧入され、その結果、成形可能な層にスタンプパターンのインプリントが形成される。層は、それが満足できる程度に硬化されるまで冷却され、その後、スタンプが取り外されて除去される。その後、基材のスタンプパターンを複製するためにエッチングが使用される場合がある。このナノインプリンティングプロセスは、大量生産が可能であるが、これまで、全体の面積が小さい部品、一般にたった数平方センチメートルの部品に対するナノインプリンティングに限られてきた。
【0005】
異なる形態のナノインプリントリソグラフィ技術がステップ・フラッシュインプリントリソグラフィとして一般に知られている。国際特許出願公開02/067055号パンフレットは、ステップ・フラッシュインプリントリソグラフィを適用するためのシステムを開示している。特に、この文献は、ステッパとも呼ばれるステップ・フラッシュ装置の生産規模の実施に関するものである。そのような装置で使用されるテンプレートは、透明材料、一般的には石英から成る硬質体を有している。テンプレートは屈曲部材によりステッパで支持されており、これにより、テンプレートは、インプリントされる基材表面に対して平行な面内で互いに垂直なX軸及びY軸を中心に回動できる。また、この機構は、テンプレートと基材との間の隙間及び平行性を制御するための圧電アクチュエータも含んでいる。しかしながら、このシステムは、単一のインプリントステップで大面積基材を扱うことができない。市場で提供されるステップ・フラッシュシステムは、Molecular Imprints Inc.(アメリカ、テキサス州78758、オースティン、West Braker Lane 1807−C)により提供されるIMPRIO 100である。このシステムは、約25mm×25mmのテンプレート画像領域を有している。このシステムは最大8インチの基材ウエハを扱うことができるが、X−Y並進ステージを用いて、テンプレートを上昇させ、テンプレートを横へ移動させ、テンプレートを基材へ向けて再び下降させることにより、インプリントプロセスを繰り返さなければならない。したがって、このプロセスは比較的時間がかかり、そのため、大規模生産の目的にもあまり適さない。また、このインプリントプロセスは、前記テンプレートサイズよりも大きい連続構造体を製造することができないという欠点を伴う。全体として見れば、このことは、製造コストが非常に高いことから、特に大面積基材又は対象物上に微細構造デバイスを大規模に製造するためにこの技術に関心を寄せることができないことを意味する。
【発明の開示】
【0006】
以上の説明及び以下の説明を考慮すると、本発明の態様は、1つ以上の前述した技術的欠陥及び欠点を個々に或いは任意の組み合わせ状態で軽減し、緩和し、或いは、排除しようとするナノインプリンティング装置及び方法を提供することである。
【0007】
本発明の幾つかの実施形態の一般的な目的は、ミクロ又はナノメートルスケールの3次元形態を備える構造体の作製を改良するためのナノインプリンティング装置及び方法を提供することである。特に、本発明の幾つかの実施形態の目的は、そのような構造体のパターンを、1インチを超える幅、8インチの幅、12インチの幅、及び、それ以上の幅を有する基材に対して転写するための改良されたナノインプリンティング装置及び方法を提供することである。特に、全体の面積が大きい、通常は約7〜20cmよりも大きい長方形状の面積を有する基材上に構造体をナノインプリンティングするための装置及び方法の幾つかの実施形態が開発されてきた。また、全体の面積が大きい、特に全体の面積が著しく大きい連続基材上に構造体をナノインプリンティングするための装置及び方法の幾つかの実施形態が開発されてきた。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ナノインプリンティング装置は、
パターニングされたパターン周面を有する回転可能に取り付けられた第1のローラであって、前記パターン周面を変形可能な基材と接触させることにより、前記第1のローラから前記基材へとパターンを転写する、第1のローラと、
前記第1のローラのパターン周面と対向する本質的に円滑な周面を有する回転可能に取り付けられた第2のローラであって、第1と第2のローラを同期回転させるために第1のローラと回転可能に結合される第2のローラと、
を備え、
前記第1と第2のローラが互いに対して回転するときに前記第1のローラのパターン周面が前記基材と接触し、それにより、前記パターンが前記パターン周面から前記基材へと転写されるように、前記基材が前記第1と第2のローラ間で移動することができる。
【0009】
一実施形態において、前記第1と第2のローラのうちの少なくとも一方は、前記第1と第2のローラが互いに対して回転するときに他方のローラに対して圧力を加えるように配置されている。
【0010】
一実施形態において、前記圧力は、1〜100barの正圧の範囲内、好ましくは10〜40barの正圧の範囲内である。
【0011】
好ましい一実施形態では、前記第2のローラが特定の圧力を有する媒体のための管状のキャビティを備え、前記キャビティの壁が膜からなり、キャビティから離れる方向に向いている前記膜の一方の側が前記円滑な周面を形成する。
【0012】
一実施形態において、ナノインプリンティング装置は、前記媒体の圧力を1〜100barの正圧の範囲内、好ましくは10〜40barの範囲内の圧力に調整するための手段を更に備える。
【0013】
一実施形態において、前記膜は、可撓性材料、好ましくは高分子材料又は薄い金属、より好ましくはプラスチック、ゴム又は薄い金属から形成されるとともに、最大10mm、好ましくは最大3mm、より好ましくは最大1mmの厚さを有している。
【0014】
一実施形態では、前記媒体がガスを含んでいる。
【0015】
好ましい実施形態では、前記媒体が空気を含んでいる。
【0016】
一実施形態において、前記第1のローラは、最大5m、好ましくは最大2m、より好ましくは最大1mの直径を有している。
【0017】
一実施形態において、前記第1のローラは、最大2.5m、好ましくは最大1.5m、より好ましくは最大1mの長さを有している。
【0018】
一実施形態では、前記第1のローラの直径と長さとの間の比率が1:2である。
【0019】
一実施形態において、前記第2のローラは、最大5m、好ましくは最大2m、より好ましくは最大1mの直径を有している。
【0020】
一実施形態において、前記第2のローラは、最大2.5m、好ましくは最大1.5m、より好ましくは最大1mの長さを有している。
【0021】
一実施形態では、前記第2のローラの直径と長さとの間の比率が1:2である。
【0022】
好ましい実施形態において、ナノインプリンティング装置は、前記基材を加熱するための加熱手段を更に備え、前記加熱手段は、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を移動する前に前記基材を加熱するように配置されている。
【0023】
一実施形態において、前記加熱手段は、前記基材が貫通して移動できるように配置された加熱チャンバであり、これにより、稼働中、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を移動する前に前記基材の加熱が行なわれるようになっている。
【0024】
一実施形態において、前記加熱手段は、本質的に滑らかな環状の加熱面を有する少なくとも1つの更なる回転可能に取り付けられたローラを備え、前記加熱面は、前記基材が前記加熱面上へ移動できるように配置されており、それにより、稼働中、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を移動する前に前記基材の加熱が前記加熱面によって行なわれるようになっている。
【0025】
好ましい実施形態において、ナノインプリンティング装置は、前記基材を冷却するための冷却手段を更に備え、前記冷却手段は、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を通過した後に前記基材を冷却するように配置されている。
【0026】
一実施形態において、前記冷却手段は、前記基材がそこを通って移動できるように配置された冷却チャンバであり、これにより、稼働中、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を通過した後に前記基材の冷却が行なわれるようになっている。
【0027】
一実施形態において、前記冷却手段は、本質的に滑らかな環状の冷却面を有する少なくとも1つの更なる回転可能に取り付けられたローラを備え、前記冷却面は、前記基材が前記冷却面上へ移動できるように配置されており、それにより、稼働中、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を移動した後に前記基材の冷却が前記冷却面によって行なわれるようになっている。
【0028】
一実施形態では、前記基材が連続基材である。
【0029】
好ましい実施形態では、前記基材が箔又は薄膜である。
【0030】
本発明の他の態様によれば、ナノインプリンティング方法は、パターニングされたパターン周面を有する回転可能に取り付けられた第1のローラであって、前記パターン周面を変形可能な基材と接触させることにより、前記第1のローラから前記基材にパターンを転写する、第1のローラと、前記第1のローラの前記パターン周面と対向する本質的に円滑な周面を有する回転可能に取り付けられた第2のローラであって、前記第1と第2のローラを同期回転させるために前記第1のローラと回転可能に結合される第2のローラとを有する装置によって行なわれ、当該方法は、
前記第1と第2のローラを互いに対して回転させるステップと、
前記第1と第2のローラが互いに対して回転するときに、前記第1のローラのパターン周面が前記基材と接触し、それにより、前記パターンがパターン周面から基材へと転写されるように、前記第1と第2のローラ間で前記基材を移動させるステップと、
を備えている。
【0031】
一実施形態において、本方法は、前記第1と第2のローラが互いに対して回転するときに前記第1と第2のローラの一方又は両方に対して圧力を加えるステップを更に備える。
【0032】
一実施形態では、前記第2のローラが特定の圧力を有する媒体のための管状のキャビティを備え、前記キャビティの壁が膜からなり、キャビティから離れる方向に向いている前記膜の一方の側が前記円滑な周面を形成し、この方法は、
前記媒体の圧力を1〜100barの正圧の範囲内、好ましくは10〜40barの範囲内の圧力に調整するステップを更に備えている。
【0033】
一実施形態では、前記媒体がガスを含んでいる。
【0034】
好ましい実施形態では、前記媒体が空気を含んでいる。
【0035】
一実施形態において、本方法は、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を移動する前に前記基材を加熱するステップを更に備えている。
【0036】
一実施形態において、本方法は、前記基材が前記第1及び第2のローラ間を通過した後に前記基材を冷却するステップを更に備えている。
【0037】
一実施形態では、前記基材が連続基材である。
【0038】
好ましい実施形態では、前記基材が箔又は薄膜である。
【0039】
第3の態様によれば、本明細書及び添付図面に開示されるナノインプリンティング装置が提供される。
【0040】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明の実施形態を更に詳しく説明する以下の本発明の実施形態の詳細な説明から明らかとなろう。
【実施形態の詳細な説明】
【0041】
以下、本発明の実施形態が示される添付図面を参照して、本発明の実施形態について更に十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、また、本明細書中で説明される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示内容が完全且つ完結するように、また、本開示内容が本発明の範囲を当業者に対して十分に伝えるように与えられる。同様の参照符号は、全体にわたって同様の要素を示している。
【0042】
本発明は、一般に、ナノインプリンティング装置及びパターンをテンプレートから基材へ転写するための方法に関する。本発明は、パターニングされるべき基材と接触される回転可能に取り付けられたローラの形態をテンプレートが成しているという点において、ナノインプリンティングの従来技術とは異なる考え方に基づいている。現在のナノインプリンティング装置とは異なり、本発明の幾つかの実施形態は、パターニングされるべき基材に対してミクロ又はナノメートルサイズのパターンを転写するために2つの回転可能に取り付けられたローラを利用することに基づいている。
【0043】
図1及び図2は、本発明に係るナノインプリンティング装置1の一実施形態を概略的に示している。ここで、図1及び図2に示されるナノインプリンティング装置に関連して、本発明の実施形態の実際のパターン転写ステップ又はインプリントステップの機能及び基本的なプロセスステップについて説明する。
【0044】
ナノインプリンティング装置1は、回転可能に取り付けられた第1のローラ10を備えている。この第1のローラ10はパターニングされた周面(以下「パターン周面」ともいう)11を有しており、この周面には、高さ及び幅が1nm〜数μmの範囲内の形状、場合によりいずれも更に小さく且つ更に大きい形状を成す3次元の突出部及び凹部が形成されている。円柱状のローラ10の直径d1は、一般に、1デシメートル〜5メートルである。直径d1は100〜1000ミリメートルの範囲内であることが好ましい。また、ローラの長さは、一般に、1デシメートル〜5メートルである。好ましくは、ローラ10の長さは1〜3メートルの範囲内である。回転可能なローラの直径と長さとの間の比率は約1:2であることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。本出願の出願日において発明者が知る最良の形態では、直径d1が約600ミリメートルであってもよく、また、長さが約1.5メートルであってもよい。
【0045】
また、ナノインプリンティング装置1は、回転可能に取り付けられた第2のローラ30も備えている。この第2のローラ30は、ローラ10,30の同期回転を行なうことができるように、第1のローラ10と回転可能に結合される。同期回転とは、第1のローラ10の回転速度が第2のローラ30の回転速度と同期されることを意味する。また、第2のローラは、本質的に円滑な周面31を有している。第2の円柱ローラ30の直径d2は、一般に、1デシメートル〜5メートルである。直径d2は100〜1000ミリメートルの範囲内であることが好ましい。また、第2のローラの長さは、一般に、1デシメートル〜5メートルである。好ましくは、直径は1〜3メートルの範囲内である。直径と長さとの間の比率は約1:2であることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。本出願の出願日において発明者が知る最良の形態では、直径d2が約600ミリメートルであってもよく、また、長さが約1.5メートルであってもよい。
【0046】
それぞれのローラ10,30の軸は、それぞれの面11,31が互いに略平行な様式で対向するように、互いに略平行に配置されている。したがって、第1のローラのパターニングされた周面、及び、このパターン周面と対向する第2のローラの本質的に円滑な周面は、これらの面11,31が互いの方へ押し付けられるときに互いに略平行となるように配置される。
【0047】
基材20は、ローラ10,30が互いに対して回転するときにローラ10,30間で移動できる。基材20は、変形可能な基材20、例えば、変形可能な材料から成る基材、又は、変形可能なコーティングによって覆われる基材である。基材は、長方形の形状を有することが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。基材20の幅は、それぞれのローラ10,30の長さに対応するように選択されることが好ましい。好ましい開示された実施形態では、基材が連続基材20である。連続基材20は、薄い膜又は箔であってもよく、例えば高分子箔である。本明細書中で使用される連続基材という用語は、図面に示されているように、その幅よりもかなり長い長さを有する基材を意味するために使用される。連続基材20は、ローラ10,30間に供給装置60から供給されてもよい。好ましい開示された実施形態において、供給装置60は、薄膜ロール又は箔ロール、例えば高分子箔ロールを収容するためのリールである。
【0048】
ナノインプリンティング装置1の稼働中、ローラ10,30が互いに対して回転する際に、基材20が前記ローラ10,30間を移動し或いは通過し、それにより、前記ローラ10,30が互いに対して回転すると、第1のローラ10のパターニングされた周面11が前記基材20と接触し、これにより、パターン周面11から基材20へと前記パターンが転写される。基材20に対するパターンの均一なインプリントを達成するために、それぞれのローラ10,30が互いの方へ向けて有利に押し付けられてもよい。すなわち、第1のローラ10が第2のローラ30に対して押し付けられてもよく、逆もまた同様である。第1及び第2のローラ10,30の一方又は両方は、他方のローラ10,30に対してこの圧力を加えるように配置されてもよい。ナノインプリンティング装置1は、加えられた圧力を制御して調整するための手段を備えていてもよい。圧力を動的に或いは静的に制御して調整できることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。また、加えられた圧力を少なくとも1〜100barの正圧の範囲内で調整できなければならない。基材20上にパターンの十分に均一なインプリントを達成するため、加えられる圧力は、10〜40barの範囲内であることが好ましい。
【0049】
好ましい開示された実施形態において、第2のローラ30は、特定の圧力を有する媒体のための管状キャビティ32を備えている。図面に示されているように、第2のローラ30は内側シリンダ34を備えている。内側シリンダ34上には、膜33が内側シリンダ34の周面の周囲に配置されるように取り付けられている。したがって、管状膜33の幾何学的な回転軸は、内側シリンダ34の回転軸と一致すると言うことができる。膜33は一般に可撓性材料から形成される。当該材料は、高分子材料又は薄い金属であることが好ましく、プラスチック又はゴムであることが更に好ましい。好ましい開示された実施形態では、膜33が約1mmの厚さを有している。しかしながら、他の寸法も同様に可能である。本出願の出願日時点で発明者にとって最良の形態として、膜の厚さは1〜10mmの範囲内にあるべきである。膜は、多くの従来から知られる方法で内側シリンダ34に対して取り付けられてもよい。単なる一例として、膜33は、第2のローラ30のそれぞれの端部側でクランプ手段35により内側シリンダ34に対してクランプされてもよい。クランプ手段35は図7に明示されている。
【0050】
キャビティ32は、入口チャンネルを介して加圧され得る媒体、好ましくはガス(例えば、空気、窒素又はアルゴン)を収容するようになっている。入口チャンネルは、図7に示されるような入口チャンネル36であってもよい。したがって、内側シリンダ34と膜33との間の空間が媒体によって満たされると、管状キャビティ32が形成される。内側シリンダ34と膜33との間の空間の実際の寸法は大きくする必要はない。むしろ、この空間は、キャビティ32が媒体を収容できるようにミクロン程度であれば十分である。このとき、キャビティ32内に収容された媒体の加圧は、例えば、圧力に非常に小さな変化を与えるようになっている動的な制御によって行なわれてもよい。或いは、キャビティ32内に収容された媒体の圧力が所定の圧力レベルに予め設定されてもよい。キャビティ内の媒体の圧力は、前記媒体の圧力が1〜100barの範囲内、好ましくは10〜40barの範囲内となるように入口チャンネルを介して増大/減少させることができる。キャビティ32内の媒体の圧力が増大されると、膜33が外側に曲がるように配置される。
【0051】
この場合も先と同様に、ナノインプリンティング装置1の稼働中、それぞれのローラ10,30は、基材20がこれらのローラ間で移動する間、互いに対して押し付けられる。同時に、キャビティ32内の媒体の圧力は、増大/減少するように制御及び/又は調整することができる。したがって、前記ローラ10,30間の全体の圧力は、i)互いに接触するローラ10,30によって加えられる圧力と、ii)キャビティ32内に収容される加圧ガスによって加えられる圧力との複合圧力であってもよい。キャビティ32内の媒体の圧力が増大されると、膜33が外側に曲がり、それにより、膜33が第1のローラ10のパターン周面11へ向けて基材20を押圧する。柔軟な膜33を介したキャビティ32からの圧力により、膜33が媒体の圧力に起因して外側へ曲げられる際に第1のローラ10のパターン周面11と基材20との間の接触面全体にわたって力の均一な分布が得られる。これにより、図3に例示的に示されるように、ローラ10、基材20、ローラ30がミクロ又はナノレベルで見ると互いに対して略平行に配置される。
【0052】
図3は、第1のローラ10のパターン周面11が基材20と接触するときのミクロ又はナノサイズレベルでの基材20の一部の断面を示している。図3に示されるように、基材20は上面を有しており、この上面は、パターン周面11と基材20の上面との間の接触の瞬間にテンプレートすなわち第1のローラ10のパターン周面11と略平行又は殆ど平行に配置される。また、膜33(第2のローラ30の表面31を形成する)は、基材20の下面と略平行又は殆ど平行に配置される。このように、膜33は、ミクロサイズ又はナノサイズのパターンを第1のローラ10のパターン周面11から基材20の上面へとインプリントする最中に基材20の下面に対して押圧するための略平行な支持部材としての機能を果たしてもよい。
【0053】
第1のローラ10、基材20、第2のローラ30は(ミクロ又はナノレベルで)互いに対して十分に平行であるため、基材20の上面における凹凸或いは第1のローラ10のパターン周面11上の凹凸の影響を減少させることができ或いは排除することもできる。また、インプリント中に基材20の下面へ向けて作用する柔軟な膜33を介したキャビティ32からの圧力により、ミクロ又はナノサイズのパターンをパターン周面11から変形可能な基材20へと快適にインプリントすることができる。更に、インプリンティングステップがそれぞれのローラ10,30と基材20との間で滑り作用を非常に僅かしか伴わず、或いは全く伴わないように、キャビティ32の媒体の圧力によって柔軟な膜33を外側に曲げることができることが分かった。任意の起こり得る滑り作用を回避するため、それぞれのローラ10,30が同期回転できるように互いに対して回転可能に結合されることが重要となる場合もある。
【0054】
図4〜図6は、図1〜図3に示されるナノインプリンティング装置1の様々な有利な実施形態を示しており、これらの実施形態において、ナノインプリンティング装置1は加熱手段40と冷却手段50とを更に含んでいる。
【0055】
図4に示される実施形態において、加熱手段40は、前記基材が前記第1及び第2のローラ10,30間で移動する前に基材20を加熱するように配置される加熱チャンバである。したがって、前記ローラ10,30が互いに対して回転し且つ第1のローラ10のパターン周面11が基材20と接触する際の第1のローラ10のパターン周面11から基材へのミクロ又はナノサイズパターンのその後のインプリンティング前に、変形可能な基材20の少なくとも上側層を軟化させることができる。加熱チャンバ40内では、1つ以上のヒータが、好ましくは100〜200℃の範囲内、更に好ましくは150〜170℃の範囲内のホットエアを循環させる。また、冷却手段50は、インプリントステップ中に基材20が前記第1及び第2のローラ10,30間を通過した後に基材20を冷却するように配置された冷却チャンバである。したがって、パターン周面11から基材20へのパターンのインプリンティング後、基材は、それが満足できる程度に硬くなるまで冷却される。冷却チャンバ50内には、基材20の温度を下げるために1つ以上のクーラないしは冷却装置が配置されており、それにより、基材は、それが満足できる程度に硬化するまで冷却される。基材20の温度を下げるため、クーラは、130℃以下の温度を有する水又は空気を冷却チャンバ50内で循環させるようになっていてもよい。
【0056】
図5及び図6は本発明の好ましい実施形態を示している。図5及び図6に示される実施形態において、加熱手段40は、基材20を加熱するように配置された1つ以上、好ましくは2つの加熱ローラを備えている。また、冷却手段50は、基材を冷却するように配置された1つ以上、好ましくは2つの冷却ローラを備えている。開示された好ましい実施形態では、基材20の加熱/冷却のために2つの加熱ローラ40a,40b及び2つの冷却ローラ50a,50bがそれぞれ利用される。
【0057】
図5及び図6のナノインプリンティング装置1は回転可能に取り付けられた2つの加熱ローラ40a,40bを備えており、それぞれの加熱ローラは、本質的に滑らかな環状の加熱面41a,41bと、前記加熱面の温度を100〜200℃の範囲内の温度、好ましくは150〜170℃の範囲内の温度に調整するための手段とを有している。加熱ローラ40a,40bと第1のローラ10とを同期回転させるため、加熱ローラ40a,40bは、第1のローラ10と回転可能に結合される。その結果、加熱ローラ40a,40b及び第1及び第2のローラ10,30が互いに対して回転する動作中、基材20は加熱面41a,41bと接触することができる。加熱ローラ40a,40bは図5及び図6に示されるように配置されてもよい。そのため、稼働中、基材20の加熱は、前記基材が前記第1及び第2のローラ10,30間で移動する前に行なわれる。また、図5及び図6のナノインプリンティング装置1は、回転可能に取り付けられた2つの冷却ローラ50a,50bを備えており、それぞれの冷却ローラは、本質的に滑らかな環状の冷却面51a,51bと、前記冷却面の温度を130℃以下の範囲内の温度に調整するための手段とを有している。冷却ローラ50a,50bと第1のローラ10とを同期回転させるため、冷却ローラ50a,50bは、第1のローラ10と回転可能に結合される。したがって、冷却ローラ50a,50b及び第1及び第2のローラ10,30が互いに対して回転している間、基材20は冷却面51a,51bと接触することができ、それにより、基材20は、それが満足できる程度に硬化するまで冷却される。
【0058】
図8及び図10は、パターニングされるべき基材に対してミクロ又はナノメートルサイズのパターンを転写するために回転可能に取り付けられたローラを利用することに基づくナノインプリンティング装置1の更なる構成又は実施形態を開示している。
【0059】
本発明に係るナノインプリンティング装置及び方法の幾つかの実施形態は、単一インプリントステップでの大面積インプリントにおいて特に有利であり、それ自体、大面積基材又は対象物に対するナノインプリントリソグラフィにおける公知の技術を越える非常に大きな利点を有する。回転可能に取り付けられた2つのローラにより、大面積基材又は対象物は、連続基材の形態、例えばローラの回転時に2つの回転可能ローラ間で移動できる薄膜又は高分子箔の形態を成すことができる。これにより、ミクロ又はナノメートルスケールの3次元形態を備える構造体の製造を生み出すための高い処理能力を有する連続プロセスが可能となる。本発明の幾つかの実施形態は、全体の面積が400×600mm以上の大面積基材に対してミクロ又はナノサイズパターンを転写するために使用することができる。したがって、例えば、本発明の幾つかの実施形態に係る単一インプリントを用いて、約400×600mm以上のサイズを有するフルフラットパネルディスプレイをパターニングすることができる。そのため、本発明の幾つかの実施形態は、初めて、例えばフルフラットパネルディスプレイなどの用途において大面積基材又は対象物上に微細構造デバイスを大規模製造するのに興味深いナノインプリンティング装置及び方法を提供する。
【0060】
以上、本発明の原理を実施形態の例によって或いは動作形態によって説明してきた。しかしながら、本発明は、限定的ではなく例示的であると見なされるべき前述した特定の実施形態に限定されず、また、これらの実施形態においては、添付の特許請求の範囲によって画成される本発明の範囲から逸脱することなく当業者により変形例を成すことができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係るナノインプリンティング装置の側断面図である。
【図2】図1に示されるナノインプリンティング装置の異なる図である。
【図3】パターンが第1のローラのパターン周面から基材へと転写される瞬間において第1のローラ、第2のローラ、及び、基材が互いに対して略平行に配置されている状態を示すミクロ又はナノレベルの側断面図である。
【図4】ナノインプリンティング装置が加熱チャンバと冷却チャンバとを更に含む場合における、本発明の一実施形態に係るナノインプリンティング装置の側断面図である。
【図5】ナノインプリンティング装置が加熱ローラと冷却ローラとを更に含む場合における、本発明の一実施形態に係るナノインプリンティング装置の側断面図である。
【図6】図5のナノインプリンティング装置の異なる図である。
【図7】図5及び図6に示されるナノインプリンティング装置の第1及び第2のローラの一実施形態の断面図である。
【図8】ナノインプリンティング装置の異なる実施形態を示している。
【図9】ナノインプリンティング装置の異なる実施形態を示している。
【図10】ナノインプリンティング装置の異なる実施形態を示している。
【符号の説明】
【0062】
1…ナノインプリンティング装置、10…第1のローラ、11…パターン周面
20…基材、30…第2のローラ、32…キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターニングされたパターン周面(11)を有する回転可能に取り付けられた第1のローラ(10)と、
前記第1のローラ(10)の前記第1の面(11)と対向する本質的に円滑な周面(31)を有する回転可能に取り付けられた第2のローラ(30)と
を備え、
前記第1のローラ(10)が、前記パターン周面(11)を変形可能な基材(20)と接触させることにより、該第1のローラ(10)から前記基材(20)にパターンを転写し、前記第2のローラ(30)が、前記第1のローラ(10)及び該第2のローラ(30)を同期回転させるために前記第1のローラ(10)と回転可能に結合されている、ナノインプリンティング装置(1)であって、
前記第1のローラ(10)及び前記第2のローラ(30)が互いに対して回転するときに、前記第1のローラ(10)の前記パターン周面(11)が前記基材(20)と接触し、もって、前記パターンが前記パターン周面(11)から前記基材(20)に転写されるように、前記基材(20)が前記第1のローラ(10)と前記第2のローラ(30)との間で移動可能となっている、ナノインプリンティング装置。
【請求項2】
前記第1のローラ(1)及び前記第2のローラ(30)のうちの少なくとも一方が、前記第1のローラ(1)及び前記第2のローラ(30)が互いに対して回転するときに他方のローラ(10,30)に対して圧力を加えるように配置されている、請求項1に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項3】
前記圧力が1〜100barの正圧の範囲内、好ましくは10〜40barの正圧の範囲内である、請求項2に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項4】
前記第2のローラ(30)が特定の圧力を有する媒体のための管状のキャビティ(32)を備え、前記キャビティ(32)の壁が膜(33)からなり、前記キャビティ(32)から離れる方向に向いている前記膜の一方の側が前記円滑な周面(31)を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノインプリンティング装置(1)。
【請求項5】
前記媒体の圧力を1〜100barの正圧の範囲内、好ましくは1〜40barの範囲内の圧力に調整するための手段を更に備える、請求項4に記載のナノインプリンティング装置(1)。
【請求項6】
前記膜(33)が、可撓性材料、好ましくは高分子材料又は薄い金属、より好ましくはプラスチック、ゴム又は薄い金属から形成されるとともに、最大10mm、好ましくは最大3mm、より好ましくは最大1mmの厚さを有している、請求項4又は5に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項7】
前記媒体がガスを含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項8】
前記媒体が空気を含む、請求項7に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項9】
前記第1のローラ(10)の直径が、最大5m、好ましくは最大2m、より好ましくは最大1mである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項10】
前記第1のローラ(10)の長さが、最大2.5m、好ましくは最大1.5m、より好ましくは最大1mである、請求項9に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項11】
前記第1のローラ(10)の直径と長さとの間の比率が1:2である、請求項10に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項12】
前記第2のローラ(30)の直径が、最大5m、好ましくは最大2m、より好ましくは最大1mである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項13】
前記第2のローラ(30)の長さが、最大2.5m、好ましくは最大1.5m、より好ましくは最大1mである、請求項12に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項14】
前記第2のローラ(30)の直径と長さとの間の比率が1:2である、請求項13に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項15】
前記基材(20)を加熱するための加熱手段(40)を更に備え、
前記加熱手段が、前記基材が前記第1のローラ(10)と前記第2のローラ(30)との間を移動する前に前記基材(20)を加熱するように配置されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項16】
前記加熱手段が加熱チャンバであり、
前記加熱チャンバは、前記基材(20)が該加熱チャンバを通って移動できるように配置されたものであり、稼働中、前記基材が前記第1のローラ(10)と前記第2のローラ(30)との間を移動する前に前記基材(20)の加熱が行なわれるようになっている、請求項15に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項17】
前記加熱手段が、本質的に滑らかな環状の加熱面(41a,41b)を有する少なくとも1つの更なる回転可能に取り付けられたローラ(40a,40b)を備え、前記加熱面(41a,41b)が、前記基材(20)が該加熱面(41a,41b)上に移動できるように配置されており、それにより、稼働中、前記基材が前記第1のローラ(10)と前記第2のローラ(30)との間を移動する前に前記基材(20)の加熱が前記加熱面(41a,41b)によって行なわれるようになっている、請求項15に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項18】
前記基材(20)を冷却するための冷却手段(50)を更に備え、
前記冷却手段(50)が、前記基材が前記第1のローラ(10)と前記第2のローラ(30)との間を通過した後に前記基材(20)を冷却するように配置されている、請求項1〜17のいずれか一項に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項19】
前記冷却手段(50)が冷却チャンバであり、
前記冷却チャンバは、前記基材(20)が該冷却チャンバを通って移動できるように配置されたものであり、稼働中、前記基材が第1のローラ(10)と前記第2のローラ(30)との間を通過した後に前記基材(20)の冷却が行なわれるようになっている、請求項18に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項20】
前記冷却手段(50)が、本質的に滑らかな環状の冷却面(51a,51b)を有する少なくとも1つの更なる回転可能に取り付けられたローラ(50a,50b)を備え、前記冷却面(51a,51b)が、前記基材(20)が前記冷却面(51a,51b)上へ移動できるように配置されており、それにより、稼働中、前記基材が前記第1のローラ(10)と前記第2のローラ(30)との間を移動した後に前記基材(20)の冷却が前記冷却面(51a,51b)によって行なわれるようになっている、請求項18に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項21】
前記基材が連続基材である、請求項1〜20のいずれか一項に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項22】
前記基材が箔又は薄膜である、請求項21に記載のナノインプリンティング装置。
【請求項23】
パターニングされたパターン周面を有する第1の回転可能に取り付けられた第1のローラと、前記第1のローラの前記パターン周面と対向する本質的に円滑な周面を有する回転可能に取り付けられた第2のローラとを備える装置であり、前記第1のローラが、前記パターン周面を変形可能な基材と接触させることにより該第1のローラから前記基材にパターンを転写し、前記第2のローラが、前記第1のローラ及び該第2のローラを同期回転させるために前記第1のローラと回転可能に結合されている、前記装置によって行なわれるナノインプリンティング方法であって、
前記第1のローラ及び前記第2のローラを互いに対して回転させるステップと、
前記第1のローラ及び前記第2のローラが互いに対して回転するときに、前記第1のローラの前記パターン周面が前記基材と接触し、それにより、前記パターンが前記パターン周面から基材に転写されるように、前記第1のローラと前記第2のローラとの間で前記基材を移動させるステップと
を備えるナノインプリンティング方法。
【請求項24】
前記第1のローラ及び前記第2のローラが互いに対して回転するときに前記第1のローラ及び前記第2のローラの一方又は両方に対して圧力を加えるステップを更に備える、請求項23に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項25】
前記第2のローラが特定の圧力を有する媒体のための管状のキャビティを備え、前記キャビティの壁が膜からなり、前記キャビティから離れる方向に向いている前記膜の一方の側が前記円滑な周面を形成し、
前記媒体の圧力を1〜100barの正圧の範囲内、好ましくは10〜40barの範囲内の圧力に調整するステップを更に備える、請求項23又は24に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項26】
前記媒体がガスを含む、請求項25に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項27】
前記媒体が空気を含む、請求項26に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項28】
前記基材が前記第1のローラと前記第2のローラとの間を移動する前に前記基材を加熱するステップを更に備える、請求項23〜27のいずれか一項に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項29】
前記基材が前記第1のローラと前記第2のローラとの間を通過した後に前記基材を冷却するステップを更に備える、請求項23〜28のいずれか一項に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項30】
前記基材が連続基材である、請求項23〜29のいずれか一項に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項31】
前記基材が箔又は薄膜である、請求項30に記載のナノインプリンティング方法。
【請求項32】
明細書及び図面に従ったナノインプリンティング装置及び方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−284873(P2008−284873A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−66470(P2008−66470)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(500414888)オブデュキャット、アクチボラグ (12)
【氏名又は名称原語表記】OBDUCAT AB
【Fターム(参考)】