ナノインプリント用モールド
【課題】微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することと、樹脂にパターン面を押し付ける際にモールドの基体部が樹脂に接触することを抑制することを両立することが可能なナノインプリント用モールドを提供する。
【解決手段】モールド1aは、モールド基体部3とモールド本体部5とを備える。モールド本体部5の表面5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pが形成されたパターン面5S1と、パターン面5S1の外縁5S1X、5S1Yに沿って設けられた副表面5S2とを有する。表面3Sと垂直な方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2は、モールド基体部3の表面3Sと垂直な方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1よりも短く、これらの差D5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さよりも大きい。
【解決手段】モールド1aは、モールド基体部3とモールド本体部5とを備える。モールド本体部5の表面5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pが形成されたパターン面5S1と、パターン面5S1の外縁5S1X、5S1Yに沿って設けられた副表面5S2とを有する。表面3Sと垂直な方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2は、モールド基体部3の表面3Sと垂直な方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1よりも短く、これらの差D5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さよりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント用モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ナノインプリント法による微細パターン形成方法が記載されている。この方法によれば、ナノインプリントに用いるモールドを、光等が透過する材料で構成することにより、ウェハとモールドとのアライメントを行うことが可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−323461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分布帰還型半導体レーザが有する回折格子等の微細パターンを形成する方法として、ナノインプリント法を採用することが検討されている。このような微細パターンをナノインプリント法で形成すれば、分布帰還型半導体レーザ等のデバイスの製造コストを低減させることができる等の利点がある。
【0005】
ナノインプリント法で微細パターンを形成する場合には、まず、半導体基板等の基板上に、微細パターンを形成する半導体層等の加工対象層と、樹脂層とをこの順に形成する。そして、微細パターンのための凹凸パターンを有するモールドをこの樹脂層に押し付け、その状態で樹脂層を硬化させた後にモールドと樹脂層とを離間させる。このようにして、モールドの凹凸パターンを樹脂層に転写する。そして、このようなモールドの凹凸パターンの樹脂層への転写は、通常、ナノインプリントを行う位置を変えながら複数回行われる(ステップアンドリピート方式)。つまり、加工対象層を複数の部分領域に分割し、それぞれの部分領域上の樹脂層に対して順にモールドによる凹凸パターンの転写が行われる。
【0006】
その後、この樹脂層をマスクとして加工対象層をエッチングすると、加工対象層上に残存する樹脂層(樹脂層の残膜)の厚さが薄い領域程、加工対象層の表面が早く露出して深くエッチングされるため、モールドの凹凸パターンを加工対象層に転写することができる。
【0007】
このようなステップアンドリピート方式のナノインプリント法による微細加工を行う際に用いられるモールドは、一般に、平板状の基体部と、その基体部の表面上に設けられたメサ状の本体部とを有する。本体部の表面は、パターン面を構成する。即ち、本体部の表面には、ナノインプリント用の凹凸パターンが形成されている。このような構成のモールドによれば、基体部とパターン面が本体部の高さに相当する距離だけ離間しているため、樹脂層の一部(加工対象層の部分領域に対応する樹脂層の部分領域)にモールドのパターン面を押し付ける際、モールドの基体部が樹脂層に接触することが抑制される。
【0008】
上述のようなモールドの基体部が樹脂層に接触することを抑制する観点からは、モールドの本体部の高さは高い程好ましい。しかしながら、モールドの本体部の高さが高いと、以下のような問題を生じる。
【0009】
即ち、樹脂層の部分領域にモールドのパターン面を押し付けると、樹脂層の一部はモールドのパターン面と樹脂層との接触領域の外側へ押し出される場合がある。そして、この押し出された樹脂層は、モールドのモールド本体部の側面に付着し、バリが生じる場合がある。その後の工程において、このバリも硬化する。このように硬化したバリは、完成品(例えば、分布帰還型半導体レーザ)の歩留まり悪化の原因となるため、例えば、ドライエッチング法等のエッチング法によって、除去することが好ましい。
【0010】
しかしながら、このバリの高さが高くなると、バリを除去するのに時間がかかってしまうため、バリ周辺の領域にダメージを与えてしまうことがある。そして、このバリは、モールドの本体部の高さが高い程、高く形成され易くなる。
【0011】
そのため、モールドのモールド本体部の高さを高くすると、ナノインプリント法による微細パターン形成時に生じる樹脂のバリが高くなってしまうという問題がある。一方、モールドのモールド本体部の高さ低くすると、モールドのパターン面を樹脂に押し付ける際、モールドの基体部が樹脂に接触し易くなってしまうという問題がある。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ナノインプリント用のモールドであって、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することと、樹脂にパターン面を押し付ける際にモールドの基体部が樹脂に接触することを抑制することを両立することが可能なモールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するため、本発明に係るナノインプリント用モールドは、モールド基体部と、モールド基体部の表面に設けられた裏面と、その裏面とは反対側の表面と、を有するモールド本体部と、を備え、モールド基体部の表面と垂直な方向から見て、モールド本体部は、モールド基体部の外縁と離間しており、モールド本体部の表面は、モールド基体部の表面と平行な平面に沿って延びていると共に、ナノインプリント用のパターンが形成されたパターン面と、パターン面の外縁の少なくとも一部に沿って設けられた副表面と、を有し、副表面は、モールド本体部の側面と交差し、モールド基体部の表面と垂直な方向における副表面からモールド基体部の表面までの最長距離は、モールド基体部の表面と垂直な方向におけるパターン面からモールド基体部の表面までの距離よりも短く、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離との差は、ナノインプリント用のパターンの深さよりも大きいことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るナノインプリント用モールドにおいては、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離は、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離よりも短いため、パターン面と副表面との間には、パターン面と副表面とを連結する連結面が形成される。そして、この連結面と副表面は、パターン面を基準とした段差部となる。この段差部はパターン面の外縁の少なくとも一部に沿っている。さらに、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離との差は、ナノインプリント用のパターンの深さよりも大きいため、上記段差部がモールド本体部に規定する凹部の体積は十分に大きくなる。
【0015】
これにより、樹脂にモールドのパターン面を押し付ける際、パターン面と樹脂との接触領域の外側へ押し出された樹脂は、上記段差部に溜まる。そのため、パターン面と樹脂との接触領域の外側へ押し出された樹脂が、モールド本体部の側面に到ることは抑制される。そのため、モールド本体部の高さを高くしても、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することが可能となる。その結果、本発明に係るナノインプリント用モールドによれば、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することと、樹脂にパターン面を押し付ける際にモールドの基体部が樹脂に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドにおいて、副表面は、モールド基体部の表面と平行な平面に沿って延びていることが好ましい。これにより、上記段差部がモールド本体部に規定する凹部の深さが副表面全体に亘って略一定となる。そのため、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さをより抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドは、副表面に固定された凸部材をさらに備え、凸部材は、パターン面と離間しており、モールド基体部の表面と垂直な方向における凸部材の頂部からモールド基体部の表面までの距離は、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と同じか、それよりも小さいことが好ましい。
【0018】
これにより、樹脂にモールドのパターン面を押し付ける際、凸部材は、上記段差部に溜まった樹脂がモールド本体部の側面に移動することを抑制する。その結果、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さをより抑制することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドにおいて、パターン面には、ナノインプリント用のパターンの深さよりも深い凹部が形成されていることが好ましい。これにより、パターン面には、十分な体積の凹部が形成される。そのため、樹脂にモールドのパターン面を押し付ける際、樹脂の一部はこの凹部内に溜まるため、樹脂がモールド本体部の側面に到ることはより抑制される。その結果、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さをより抑制することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドにおいて、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離との上記差は、3μm以下であることが好ましい。これにより、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを十分に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ナノインプリント用のモールドであって、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することと、樹脂にパターン面を押し付ける際にモールドの基体部が樹脂に接触することを抑制することを両立することが可能なモールドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【図3】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図4】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための平面図である。
【図5】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図6】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図7】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図8】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図9】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図10】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図11】第2実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【図13】第2実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図14】第2実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図15】第3実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【図17】第3実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図18】第3実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施の形態に係るナノインプリント用モールドについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図であり、図2は、図1のII−II線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施形態のナノインプリント用のモールド1aは、モールド基体部3と、モールド本体部5とを備えている。図1及び図2においては、直交座標系2を示している。なお、図3以降の各図においても、図1及び図2と対応するように直交座標系2を示している。
【0026】
モールド基体部3は、本実施形態においては、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面と平行な表面3Sを有する平板状の部材である。より具体的には、モールド基体部3は、Z軸方向から見て、X軸に沿って延びる一対の外縁辺3XとY軸に沿って延びる一対の外縁辺3Yを有する矩形の平板状の部材である。
【0027】
モールド基体部3のZ軸方向の厚さT3は、特に制限されないが、例えば、10mm以上、100mm以下とすることができる。モールド基体部3のX軸方向の幅W3は、特に制限されないが、例えば、50mm以上、150mm以下とすることができる。モールド基体部3のY軸方向の長さL3は、特に制限されないが、例えば、50mm以上、150mm以下とすることができる。
【0028】
モールド本体部5は、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面に沿って延びる裏面5Bと、裏面5Bとは反対側の表面5Sと、を有している。モールド本体部5の裏面5Bは、モールド基体部3の表面3Sの一部に設けられており、表面3Sの当該一部に固定されている。
【0029】
Z軸方向から見ると、モールド本体部5は、モールド基体部3の外縁から離間している。具体的には、Z軸方向から見ると、モールド本体部5は、モールド基体部3の一対の外縁辺3X及び一対の外縁辺3Yから離間している。本実施形態においては、Z軸方向から見ると、モールド本体部5は、X軸に沿って延びる一対の外縁辺とY軸に沿って延びる一対の外縁辺を有する矩形状の部材である。そして、モールド本体部5の4つの外縁辺は、モールド基体部3の4つの外縁辺(一対の外縁辺3X及び一対の外縁辺3Y)にそれぞれ沿っている。
【0030】
Z軸方向から見て、モールド本体部5のY軸に沿った外縁辺と、モールド基体部3の外縁辺3YとのX軸方向の離間距離A3Xは、例えば、10mm以上、70mm以下とすることができる。Z軸方向から見て、モールド本体部5のX軸に沿った外縁辺と、モールド基体部3の外縁辺3XとのY軸方向の離間距離A3Yは、例えば、10mm以上、70mm以下とすることができる。
【0031】
モールド本体部5の表面5Sは、パターン面5S1と、副表面5S2と、連結面5SRとを有する。
【0032】
表面5Sのパターン面5S1は、XY平面に沿って延びている。本実施形態においては、パターン面5S1は、X軸に沿って延びる一対の外縁辺5S1Xと、Y軸に沿って延びる一対の外縁辺5S1Yを有する矩形状を成しており、一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Yは、モールド基体部3の一対の外縁辺3X及び一対の外縁辺3Yにそれぞれ沿っている。
【0033】
また、パターン面5S1には、ナノインプリント用のパターン5Pが形成されている。本実施形態においては、パターン5Pは、分布帰還型半導体レーザ等が有する回折格子を形成するためのパターンである。具体的には、本実施形態のパターン5Pは、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のライン部と、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のスペース部を有している。パターン5Pは、各ライン部と各スペース部とが交互にX軸方向に配置されたラインアンドスペースパターンである。
【0034】
各ライン部と各スペース部のZ軸方向の高さH5は、例えば、50nm以上、500nm以下とすることができる。各ライン部と各スペース部のY軸方向の幅は、例えば、5mm以上、50mm以下とすることができる。Y軸方向のパターン5Pの周期、即ち、一つのライン部のY軸方向の幅と一つのスペース部のY軸方向の幅の合計値は、例えば、190nm以上、250nm以下とすることができる。
【0035】
パターン面5S1の外縁辺5S1Xの長さは、例えば、4mm以上、40mm以下とすることができる。パターン面5S1の外縁辺5S1Yの長さは、例えば、4mm以上、40mm以下とすることができる。
【0036】
副表面5S2は、パターン面5S1の外縁に沿って設けられている。即ち、Z軸方向から見て、副表面5S2は、パターン面5S1の外縁を取り囲むように設けられている。本実施形態においては、パターン面5S1の外縁は、一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Yからなる。
【0037】
また、本実施形態においては、副表面5S2は、X軸に沿って延びる一対の外縁辺5S2Xと、Y軸に沿って延びる一対の外縁辺5S2Yを有する。副表面5S2の一対の外縁辺5S2Xは、パターン面5S1の一対の外縁辺5S1Xにそれぞれ沿っており、副表面5S2の一対の外縁辺5S2Yは、パターン面5S1の一対の外縁辺5S1Yにそれぞれ沿っている。
【0038】
副表面5S2の外縁辺5S2Xの長さは、例えば、5mm以上、50mm以下とすることができる。副表面5S2の外縁辺5S2Yの長さは、例えば、5mm以上、50mm以下とすることができる。
【0039】
本実施形態においては、副表面5S2は、パターン面5S1の外縁(本実施形態の場合、一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Y)の全体に沿って設けられているが、副表面5S2は、パターン面5S1の外縁の一部に沿って設けられていてもよい。
【0040】
また、副表面5S2は、モールド本体部5の側面5Fと交差する。即ち、副表面5S2と側面5Fは、180度未満の角度θ5を成す。側面5Fは、裏面5Bと副表面5S2との間の面である。本実施形態においては、角度θ5は略90度であるが、鋭角又は鈍角であってもよい。また、副表面5S2には、ナノインプリント用のパターンは形成されていない。
【0041】
また、本実施形態においては、副表面5S2は、XY平面に沿って延びる平面であるが、XY平面と鋭角に交わる方向に延びる平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0042】
本実施形態においては、側面5Fは曲面状である。具体的には、モールド本体部5は、副表面5S2から裏面5Bに向かって末広がり状となっている。モールド本体部5は、裏面5Bから副表面5S2に向かって末広がり状となっていてもよい。また、側面5Fは平面状であってもよい。この場合、副表面5S2と側面5Fの成す角度θ5は、略90度であってもよいし、鋭角又は鈍角であってもよい。
【0043】
また、モールド基体部3の表面3Sと垂直な方向、即ち、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2は、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1よりも短くなっている。
【0044】
上述のように本実施形態においては、副表面5S2は、XY平面に沿って延びる平面であるため、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの距離は、副表面5S2全体に亘って一定となる。副表面5S2がXY平面に沿って延びる平面でない場合(例えば、副表面5S2がXY平面と鋭角に交わる方向に延びる平面である場合や曲面である場合等)、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2は、副表面5S2におけるモールド基体部3の表面3Sから最も離れた点から、表面3SまでのZ軸に沿った方向の距離となる。
【0045】
パターン面5S1と副表面5S2との間の上述の関係に基づき、パターン面5S1と副表面5S2との間には、これらの面を接続する連結面5SRが形成される。本実施形態においては、連結面5SRは曲面状である。具体的には、モールド本体部5は、パターン面5S1から副表面5S2に向かって末広がり状となっている。モールド本体部5は、副表面5S2からパターン面5S1に向かって末広がり状となっていてもよい。また、連結面5SRは平面状であってもよい。この場合、パターン面5S1と連結面5SRの成す角度は、略90度であってもよいし、鋭角又は鈍角であってもよい。
【0046】
本実施形態においては、副表面5S2がパターン面5S1の外縁(一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Y)の全体に沿って設けられているため、連結面5SRもパターン面5S1の外縁の全体に沿っている。副表面5S2がパターン面5S1の外縁の一部に沿っている場合、連結面5SRは、パターン面5S1の外縁の当該一部に沿う。
【0047】
連結面5SRと副表面5S2は、パターン面5S1を基準とした段差部5Cとなる。段差部5Cに隣接する領域は、モールド本体部5に形成された凹部となる。具体的には、段差部5Cは、パターン面5S1の表面3Sからの高さ位置を基準として表面3S方向に凹む凹部をモールド本体部5に規定している。
【0048】
また、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2との差D5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さH5Pよりも大きい。このようにして、段差部5Cがモールド本体部5に規定する上記凹部の体積を、パターン5Pの凹部の体積よりも大きくしている。
【0049】
モールド基体部3及びモールド本体部5は、例えば、石英、ガラス、シリコン等からなる。後述のナノインプリント用の樹脂部として紫外線硬化樹脂を用いる場合、モールド基体部3及びモールド本体部5は、石英、ガラス等の、紫外線に対する透過率が十分に高い材料からなることが好ましい。本実施形態においては、モールド基体部3とモールド本体部5は、同一の材料で構成されているが、互いに異なる材料で構成されていてもよい。また、モールド基体部3とモールド本体部5は、一体形成されていてもよいし、モールド基体部3とモールド本体部5とは別個の部材として形成された後、一体化されていてもよい。
【0050】
次に、本実施形態のモールド1aを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法について説明する。
【0051】
図3、及び、図5〜図10は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図であり、図4は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための平面図である。
【0052】
本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法として、半導体基板上の半導体層に微細パターンとしての回折格子を製造する方法について説明する。このような回折格子としては、例えば、分布帰還型半導体レーザ等の半導体光デバイスが有する回折格子を挙げることができる。
【0053】
まず、図3に示すように、半導体基板13を準備する。半導体基板13は、例えば、円板状の基板とすることができる。半導体基板13は、例えば、SiやGe等の単元素半導体や、InP等のIII−V族化合物半導体等の化合物半導体からなる。
【0054】
そして、図3及び図4に示すように、半導体基板13の表面13S上に、加工対象としての半導体層15を形成する。この半導体層15は、複数の部分領域15Aに分割されている。後の工程において、各部分領域15A上の樹脂部に対して順に、モールド1aによるパターンの転写が行われる(ステップアンドリピート方式)。
【0055】
続いて、図5に示すように、半導体層15の表面15S上に、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂からなる樹脂部17を形成する。樹脂部17は、例えば、半導体層15の表面15S上に、滴下法やスピンコート法によって紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂を含む樹脂液を設けた後、当該樹脂液を所定の温度に加熱処理することにより、形成することができる。半導体層15の表面15S上に形成された樹脂部17は、図5に示される段階においては、流動性を有している。
【0056】
樹脂部17は、図5に示すように、複数の部分に分割された状態で半導体層15の表面15S上に分散していてもよいし、半導体層15の表面15S全体を覆うように層状に形成されていてもよい。また、半導体層15と樹脂部17との密着性を向上させる機能を有する密着層を、半導体層15と樹脂部17との間に介在させてもよい。
【0057】
続いて、図6に示すように、半導体層15の一つの部分領域15Aの表面15Sと、モールド1aのパターン面5S1とを対向させる。この際、半導体層15の表面15Sと、モールド本体部5のパターン面5Sとが、略平行になるようにする。
【0058】
次に、図7に示すように、モールド1aをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5が半導体層15と接触しないように、モールド本体部5のパターン面5S1を当該部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、連結面5SRと副表面5S2からなる段差部5Cに溜まる。
【0059】
そして、この状態で、当該部分領域15Aの表面15S上の樹脂部17を硬化させる。樹脂部17が紫外線硬化樹脂からなる場合、当該樹脂部17に紫外線を照射することにより当該樹脂部17は硬化する。その際、モールド基体部3及びモールド本体部5が紫外線に対する透過率が十分に高い材料からなる場合、紫外線がモールド基体部3及びモールド本体部5を透過してから当該樹脂部17に到達するように、紫外線を当該樹脂部17に照射することができる。樹脂部17が熱硬化樹脂からなる場合、当該樹脂部17を加熱することにより、当該17を硬化させる。
【0060】
その後、図8に示すように、モールド1aと樹脂部17とを離間させる。このようにして、半導体層15の当該部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが形成される。樹脂部17のうち、段差部5Cに溜まっていた樹脂部は、バリ17Bとなる。
【0061】
そして、図9に示すように、図6から図8に示した一連の工程を、半導体層15の他の部分領域15A上の樹脂部17に対して、それぞれ順に行う。このようにして、半導体層15の全ての部分領域15A上の樹脂部17に、微細パターンとしての樹脂パターン17Pが形成される。樹脂パターン17Pは、モールド本体部5のパターン面5S1のパターン5Pが転写されたパターンである。この後、アッシング処理等によって、バリ17Bを除去する工程を行ってもよい。
【0062】
次に、例えば、反応性イオンエッチング法等のドライエッチング法等によって、樹脂パターン17Pが形成された樹脂部17及び半導体層15の一部をエッチングする。すると、樹脂パターン17Pのうち、残膜の厚さが薄い領域程、その領域下の半導体層15の表面15Sは早く露出して深くエッチングされる。そのため、図10に示すように、樹脂パターン17Pを半導体層15に転写することができる。このようにして、微細パターンとしての回折格子15Pを半導体層15に形成することができる。
【0063】
上述のような本実施形態に係るモールド1aにおいては、図1及び図2に示されるように、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの上記最長距離H5S2は、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの上記距離H5S1よりも短いため、パターン面5S1と副表面5S2との間には、パターン面5S1と副表面5S2とを連結する連結面5SRが形成される。そして、この連結面5SRと副表面5S2は、パターン面5S1を基準とした段差部5Cとなる。この段差部5Cはパターン面5S1の外縁辺5S1X及び外縁辺5S1Yに沿っている。さらに、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの上記距離H5S1と、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの上記最長距離H5S2との差D5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さH5Pよりも大きいため、上記段差部5Cがモールド本体部5に規定する凹部の体積は十分に大きくなる。
【0064】
これにより、樹脂部17にモールド1aのパターン面5S1を押し付ける際、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出された樹脂部17は、上記段差部5Cに溜まる(図7参照)。そのため、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出された樹脂部17が、モールド本体部5の側面5Fに到ることは抑制される。そのため、モールド本体部5の高さを高くしても、即ち、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1を長くしても、樹脂パターン17Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することが可能となる(図8及び図9参照)。その結果、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aによれば、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することと、樹脂部17にパターン面5S1を押し付ける際にモールド1aのモールド基体部3が樹脂部17に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0065】
さらに、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aにおいては、副表面5S2は、モールド基体部3の表面3Sと平行なXY面に沿って延びている(図1及び図2参照)。これにより、上記段差部5Cがモールド本体部5に規定する凹部の深さ(即ち、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2との差D5S)が副表面5S2全体に亘って略一定となる(図2参照)。そのため、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さをより抑制することが可能となる。
【0066】
また、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2との差D5Sは、1μm以上、5μm以下であることが好ましい。差D5Sが1μm以上であれば、樹脂パターン17P等の微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを十分に抑制することができ、差D5Sが3μm以下であれば、樹脂パターン17P等の微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bを容易に除去することができるからである。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るナノインプリント用のモールドについて、説明する。図11は、本実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図であり、図12は、図11のXII−XII線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【0068】
図11及び図12に示す本実施形態のナノインプリント用のモールド1bは、第1実施形態のモールド1aと比較して、凸部材25をさらに備えている点が異なる。
【0069】
本実施形態のモールド1bは、副表面5S2に固定された凸部材25を備えている。凸部材25は、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sと垂直な方向へ突出する部材である。
【0070】
本実施形態においては、凸部材25は、パターン面5S1の外縁の全体に沿って設けられている。具体的には、凸部材25は、パターン面5S1の一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Yに沿って設けられている。凸部材25は、パターン面5S1の外縁の一部に沿って設けられていてもよい。
【0071】
また、Z軸方向から見て、凸部材25はパターン面5S1と離間している。本実施形態においては、凸部材25は、副表面5S2の一対の外縁辺5S2X及び一対の外縁辺5S2Yに沿って設けられている。凸部材25は、副表面5S2の一対の外縁辺5S2X及び一対の外縁辺5S2Yに接するように設けられていることが好ましい。
【0072】
本実施形態においては、Z軸方向における凸部材25の頂部15Tからモールド基体部3の表面3Sまでの距離H25は、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と同じとなっている。Z軸方向における凸部材25の頂部15Tからモールド基体部3の表面3Sまでの距離H25は、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1よりも小さくてもよい。
【0073】
凸部材25は、例えば、石英、ガラス、シリコン等からなる。凸部材25は、モールド本体部5と同一の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0074】
また、凸部材25とモールド本体部5(又は、モールド本体部5及びモールド基体部3)は、一体形成されていてもよいし、凸部材25とモールド本体部5(又は、モールド本体部5及びモールド基体部3)は別個の部材として形成された後、一体化されていてもよい。
【0075】
第1実施形態における場合と同様に、本実施形態においても、連結面5SRと副表面5S2は、パターン面5S1を基準とした段差部5Cとなる。本実施形態においては、段差部5C及び凸部材25に隣接する領域が、モールド本体部5に形成された凹部となる。具体的には、段差部5C及び凸部材25は、パターン面5S1の表面3Sからの高さ位置を基準として表面3S方向に凹む凹部をモールド本体部5に規定している。
【0076】
図13及び図14は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。図13及び図14は、第1実施形態における図7及び図8に示す工程に対応する工程を示している。
【0077】
図13に示すように、モールド1bをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5が半導体層15と接触しないように、モールド本体部5のパターン面5S1を当該部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、連結面5SRと副表面5S2からなる段差部5Cに溜まる。この際、この押し出された樹脂部17の一部は、凸部材25によって、モールド本体部5の側面5Fに移動することがより抑制される。
【0078】
そして、この状態で、当該部分領域15Aの表面15S上の樹脂部17を硬化させる。その後、図14に示すようにモールド1bと樹脂部17とを離間させる。このようにして、半導体層15の当該部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが形成される。樹脂部17のうち、段差部5Cに溜まっていた樹脂部は、バリ17Bとなる。
【0079】
本実施形態に係るモールド1bによれば、第1実施形態に係るモールド1aにおける場合と同様の理由により、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することと、樹脂部17にパターン面5S1を押し付ける際にモールド1aのモールド基体部3が樹脂部17に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0080】
さらに、本実施形態に係るモールド1bによれば、樹脂部17にモールド1bのパターン面5S1を押し付ける際、凸部材25は、段差部5Cに溜まった樹脂部17がモールド本体部5の側面5Fに移動することを抑制する(図13参照)。その結果、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さをより抑制することが可能となる(図14参照)。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るナノインプリント用のモールドについて、説明する。図15は、本実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図であり、図16は、図15のXVI−XVI線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【0082】
図15及び図16に示す本実施形態のナノインプリント用のモールド1cは、第1実施形態のモールド1aと比較して、パターン面5S1に、凹部5Hが形成されている点が異なる。凹部5Hの深さH5Hは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さH5Pよりも深い。これにより、パターン面5S1には、十分な体積の凹部5Hが形成される。凹部5Hの深さH5Hは、例えば、1μm以上、3μm以下とすることができる。
【0083】
本実施形態においては、凹部5Hは、X軸に沿って一方の外縁辺5S1Yから他方の外縁辺5S1Yまで延びる矩形状の溝部である。凹部5HのY軸方向の幅は、例えば、5μm以上、50μm以下とすることができる。また、凹部5Hは、一対の外縁辺5S1Xと離間している。凹部5Hの形状はこのような態様に限られず、例えば、X軸に沿って一方の外縁辺5S1Yから他方の外縁辺5S1Yまで延び、深さ方向に向かって幅が狭まるV字状の溝部であってもよい。また、パターン面5S1に、複数の凹部5Hが形成されていてもよい。
【0084】
図17及び図18は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。図17及び図18は、第1実施形態における図7及び図8に示す工程に対応する工程を示している。
【0085】
図17に示すように、モールド1cをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5が半導体層15と接触しないように、モールド本体部5のパターン面5S1を当該部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、連結面5SRと副表面5S2からなる段差部5Cに溜まる。この際、樹脂部の一部は、凹部5H内に溜まる。
【0086】
そして、この状態で、当該部分領域15Aの表面15S上の樹脂部17を硬化させる。その後、図18に示すようにモールド1bと樹脂部17とを離間させる。このようにして、半導体層15の当該部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが形成される。樹脂部17のうち、段差部5Cに溜まっていた樹脂部は、バリ17Bとなる。
【0087】
本実施形態に係るモールド1cによれば、第1実施形態に係るモールド1aにおける場合と同様の理由により、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することと、樹脂部17にパターン面5S1を押し付ける際にモールド1aのモールド基体部3が樹脂部17に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0088】
さらに、本実施形態に係るモールド1bによれば、樹脂部17にモールド1cのパターン面5S1を押し付ける際、樹脂部17の一部はこの凹部5H内に溜まるため、樹脂部17がモールド本体部5の側面5Fに到ることはより抑制される(図17参照)。その結果、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さをより抑制することが可能となる(図18参照)。
【0089】
本実施形態のモールド1cは、第2実施形態における凸部材25をさらに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1a、1b、1c・・・モールド、3・・・モールド基体部、5・・・モールド本体部、5P・・・ナノインプリント用のパターン、5S・・・モールド本体部の表面、5S1・・・パターン面、5S2・・・副表面、5S1X、5S1Y・・・パターン面の外縁、5S2・・・副表面、H5S2・・・最長距離、H5S1・・・距離、D5S・・・差。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント用モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ナノインプリント法による微細パターン形成方法が記載されている。この方法によれば、ナノインプリントに用いるモールドを、光等が透過する材料で構成することにより、ウェハとモールドとのアライメントを行うことが可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−323461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分布帰還型半導体レーザが有する回折格子等の微細パターンを形成する方法として、ナノインプリント法を採用することが検討されている。このような微細パターンをナノインプリント法で形成すれば、分布帰還型半導体レーザ等のデバイスの製造コストを低減させることができる等の利点がある。
【0005】
ナノインプリント法で微細パターンを形成する場合には、まず、半導体基板等の基板上に、微細パターンを形成する半導体層等の加工対象層と、樹脂層とをこの順に形成する。そして、微細パターンのための凹凸パターンを有するモールドをこの樹脂層に押し付け、その状態で樹脂層を硬化させた後にモールドと樹脂層とを離間させる。このようにして、モールドの凹凸パターンを樹脂層に転写する。そして、このようなモールドの凹凸パターンの樹脂層への転写は、通常、ナノインプリントを行う位置を変えながら複数回行われる(ステップアンドリピート方式)。つまり、加工対象層を複数の部分領域に分割し、それぞれの部分領域上の樹脂層に対して順にモールドによる凹凸パターンの転写が行われる。
【0006】
その後、この樹脂層をマスクとして加工対象層をエッチングすると、加工対象層上に残存する樹脂層(樹脂層の残膜)の厚さが薄い領域程、加工対象層の表面が早く露出して深くエッチングされるため、モールドの凹凸パターンを加工対象層に転写することができる。
【0007】
このようなステップアンドリピート方式のナノインプリント法による微細加工を行う際に用いられるモールドは、一般に、平板状の基体部と、その基体部の表面上に設けられたメサ状の本体部とを有する。本体部の表面は、パターン面を構成する。即ち、本体部の表面には、ナノインプリント用の凹凸パターンが形成されている。このような構成のモールドによれば、基体部とパターン面が本体部の高さに相当する距離だけ離間しているため、樹脂層の一部(加工対象層の部分領域に対応する樹脂層の部分領域)にモールドのパターン面を押し付ける際、モールドの基体部が樹脂層に接触することが抑制される。
【0008】
上述のようなモールドの基体部が樹脂層に接触することを抑制する観点からは、モールドの本体部の高さは高い程好ましい。しかしながら、モールドの本体部の高さが高いと、以下のような問題を生じる。
【0009】
即ち、樹脂層の部分領域にモールドのパターン面を押し付けると、樹脂層の一部はモールドのパターン面と樹脂層との接触領域の外側へ押し出される場合がある。そして、この押し出された樹脂層は、モールドのモールド本体部の側面に付着し、バリが生じる場合がある。その後の工程において、このバリも硬化する。このように硬化したバリは、完成品(例えば、分布帰還型半導体レーザ)の歩留まり悪化の原因となるため、例えば、ドライエッチング法等のエッチング法によって、除去することが好ましい。
【0010】
しかしながら、このバリの高さが高くなると、バリを除去するのに時間がかかってしまうため、バリ周辺の領域にダメージを与えてしまうことがある。そして、このバリは、モールドの本体部の高さが高い程、高く形成され易くなる。
【0011】
そのため、モールドのモールド本体部の高さを高くすると、ナノインプリント法による微細パターン形成時に生じる樹脂のバリが高くなってしまうという問題がある。一方、モールドのモールド本体部の高さ低くすると、モールドのパターン面を樹脂に押し付ける際、モールドの基体部が樹脂に接触し易くなってしまうという問題がある。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ナノインプリント用のモールドであって、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することと、樹脂にパターン面を押し付ける際にモールドの基体部が樹脂に接触することを抑制することを両立することが可能なモールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するため、本発明に係るナノインプリント用モールドは、モールド基体部と、モールド基体部の表面に設けられた裏面と、その裏面とは反対側の表面と、を有するモールド本体部と、を備え、モールド基体部の表面と垂直な方向から見て、モールド本体部は、モールド基体部の外縁と離間しており、モールド本体部の表面は、モールド基体部の表面と平行な平面に沿って延びていると共に、ナノインプリント用のパターンが形成されたパターン面と、パターン面の外縁の少なくとも一部に沿って設けられた副表面と、を有し、副表面は、モールド本体部の側面と交差し、モールド基体部の表面と垂直な方向における副表面からモールド基体部の表面までの最長距離は、モールド基体部の表面と垂直な方向におけるパターン面からモールド基体部の表面までの距離よりも短く、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離との差は、ナノインプリント用のパターンの深さよりも大きいことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るナノインプリント用モールドにおいては、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離は、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離よりも短いため、パターン面と副表面との間には、パターン面と副表面とを連結する連結面が形成される。そして、この連結面と副表面は、パターン面を基準とした段差部となる。この段差部はパターン面の外縁の少なくとも一部に沿っている。さらに、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離との差は、ナノインプリント用のパターンの深さよりも大きいため、上記段差部がモールド本体部に規定する凹部の体積は十分に大きくなる。
【0015】
これにより、樹脂にモールドのパターン面を押し付ける際、パターン面と樹脂との接触領域の外側へ押し出された樹脂は、上記段差部に溜まる。そのため、パターン面と樹脂との接触領域の外側へ押し出された樹脂が、モールド本体部の側面に到ることは抑制される。そのため、モールド本体部の高さを高くしても、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することが可能となる。その結果、本発明に係るナノインプリント用モールドによれば、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することと、樹脂にパターン面を押し付ける際にモールドの基体部が樹脂に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドにおいて、副表面は、モールド基体部の表面と平行な平面に沿って延びていることが好ましい。これにより、上記段差部がモールド本体部に規定する凹部の深さが副表面全体に亘って略一定となる。そのため、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さをより抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドは、副表面に固定された凸部材をさらに備え、凸部材は、パターン面と離間しており、モールド基体部の表面と垂直な方向における凸部材の頂部からモールド基体部の表面までの距離は、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と同じか、それよりも小さいことが好ましい。
【0018】
これにより、樹脂にモールドのパターン面を押し付ける際、凸部材は、上記段差部に溜まった樹脂がモールド本体部の側面に移動することを抑制する。その結果、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さをより抑制することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドにおいて、パターン面には、ナノインプリント用のパターンの深さよりも深い凹部が形成されていることが好ましい。これにより、パターン面には、十分な体積の凹部が形成される。そのため、樹脂にモールドのパターン面を押し付ける際、樹脂の一部はこの凹部内に溜まるため、樹脂がモールド本体部の側面に到ることはより抑制される。その結果、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さをより抑制することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明に係るナノインプリント用モールドにおいて、パターン面からモールド基体部の表面までの上記距離と、副表面からモールド基体部の表面までの上記最長距離との上記差は、3μm以下であることが好ましい。これにより、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを十分に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ナノインプリント用のモールドであって、微細パターンを形成する際に生じるバリの高さを抑制することと、樹脂にパターン面を押し付ける際にモールドの基体部が樹脂に接触することを抑制することを両立することが可能なモールドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【図3】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図4】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための平面図である。
【図5】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図6】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図7】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図8】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図9】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図10】第1実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図11】第2実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【図13】第2実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図14】第2実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図15】第3実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【図17】第3実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【図18】第3実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施の形態に係るナノインプリント用モールドについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図であり、図2は、図1のII−II線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施形態のナノインプリント用のモールド1aは、モールド基体部3と、モールド本体部5とを備えている。図1及び図2においては、直交座標系2を示している。なお、図3以降の各図においても、図1及び図2と対応するように直交座標系2を示している。
【0026】
モールド基体部3は、本実施形態においては、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面と平行な表面3Sを有する平板状の部材である。より具体的には、モールド基体部3は、Z軸方向から見て、X軸に沿って延びる一対の外縁辺3XとY軸に沿って延びる一対の外縁辺3Yを有する矩形の平板状の部材である。
【0027】
モールド基体部3のZ軸方向の厚さT3は、特に制限されないが、例えば、10mm以上、100mm以下とすることができる。モールド基体部3のX軸方向の幅W3は、特に制限されないが、例えば、50mm以上、150mm以下とすることができる。モールド基体部3のY軸方向の長さL3は、特に制限されないが、例えば、50mm以上、150mm以下とすることができる。
【0028】
モールド本体部5は、Z軸方向を厚さ方向とし、XY平面に沿って延びる裏面5Bと、裏面5Bとは反対側の表面5Sと、を有している。モールド本体部5の裏面5Bは、モールド基体部3の表面3Sの一部に設けられており、表面3Sの当該一部に固定されている。
【0029】
Z軸方向から見ると、モールド本体部5は、モールド基体部3の外縁から離間している。具体的には、Z軸方向から見ると、モールド本体部5は、モールド基体部3の一対の外縁辺3X及び一対の外縁辺3Yから離間している。本実施形態においては、Z軸方向から見ると、モールド本体部5は、X軸に沿って延びる一対の外縁辺とY軸に沿って延びる一対の外縁辺を有する矩形状の部材である。そして、モールド本体部5の4つの外縁辺は、モールド基体部3の4つの外縁辺(一対の外縁辺3X及び一対の外縁辺3Y)にそれぞれ沿っている。
【0030】
Z軸方向から見て、モールド本体部5のY軸に沿った外縁辺と、モールド基体部3の外縁辺3YとのX軸方向の離間距離A3Xは、例えば、10mm以上、70mm以下とすることができる。Z軸方向から見て、モールド本体部5のX軸に沿った外縁辺と、モールド基体部3の外縁辺3XとのY軸方向の離間距離A3Yは、例えば、10mm以上、70mm以下とすることができる。
【0031】
モールド本体部5の表面5Sは、パターン面5S1と、副表面5S2と、連結面5SRとを有する。
【0032】
表面5Sのパターン面5S1は、XY平面に沿って延びている。本実施形態においては、パターン面5S1は、X軸に沿って延びる一対の外縁辺5S1Xと、Y軸に沿って延びる一対の外縁辺5S1Yを有する矩形状を成しており、一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Yは、モールド基体部3の一対の外縁辺3X及び一対の外縁辺3Yにそれぞれ沿っている。
【0033】
また、パターン面5S1には、ナノインプリント用のパターン5Pが形成されている。本実施形態においては、パターン5Pは、分布帰還型半導体レーザ等が有する回折格子を形成するためのパターンである。具体的には、本実施形態のパターン5Pは、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のライン部と、X軸に沿って延び、それぞれY軸方向の幅及びZ軸方向の高さが同一の複数のスペース部を有している。パターン5Pは、各ライン部と各スペース部とが交互にX軸方向に配置されたラインアンドスペースパターンである。
【0034】
各ライン部と各スペース部のZ軸方向の高さH5は、例えば、50nm以上、500nm以下とすることができる。各ライン部と各スペース部のY軸方向の幅は、例えば、5mm以上、50mm以下とすることができる。Y軸方向のパターン5Pの周期、即ち、一つのライン部のY軸方向の幅と一つのスペース部のY軸方向の幅の合計値は、例えば、190nm以上、250nm以下とすることができる。
【0035】
パターン面5S1の外縁辺5S1Xの長さは、例えば、4mm以上、40mm以下とすることができる。パターン面5S1の外縁辺5S1Yの長さは、例えば、4mm以上、40mm以下とすることができる。
【0036】
副表面5S2は、パターン面5S1の外縁に沿って設けられている。即ち、Z軸方向から見て、副表面5S2は、パターン面5S1の外縁を取り囲むように設けられている。本実施形態においては、パターン面5S1の外縁は、一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Yからなる。
【0037】
また、本実施形態においては、副表面5S2は、X軸に沿って延びる一対の外縁辺5S2Xと、Y軸に沿って延びる一対の外縁辺5S2Yを有する。副表面5S2の一対の外縁辺5S2Xは、パターン面5S1の一対の外縁辺5S1Xにそれぞれ沿っており、副表面5S2の一対の外縁辺5S2Yは、パターン面5S1の一対の外縁辺5S1Yにそれぞれ沿っている。
【0038】
副表面5S2の外縁辺5S2Xの長さは、例えば、5mm以上、50mm以下とすることができる。副表面5S2の外縁辺5S2Yの長さは、例えば、5mm以上、50mm以下とすることができる。
【0039】
本実施形態においては、副表面5S2は、パターン面5S1の外縁(本実施形態の場合、一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Y)の全体に沿って設けられているが、副表面5S2は、パターン面5S1の外縁の一部に沿って設けられていてもよい。
【0040】
また、副表面5S2は、モールド本体部5の側面5Fと交差する。即ち、副表面5S2と側面5Fは、180度未満の角度θ5を成す。側面5Fは、裏面5Bと副表面5S2との間の面である。本実施形態においては、角度θ5は略90度であるが、鋭角又は鈍角であってもよい。また、副表面5S2には、ナノインプリント用のパターンは形成されていない。
【0041】
また、本実施形態においては、副表面5S2は、XY平面に沿って延びる平面であるが、XY平面と鋭角に交わる方向に延びる平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0042】
本実施形態においては、側面5Fは曲面状である。具体的には、モールド本体部5は、副表面5S2から裏面5Bに向かって末広がり状となっている。モールド本体部5は、裏面5Bから副表面5S2に向かって末広がり状となっていてもよい。また、側面5Fは平面状であってもよい。この場合、副表面5S2と側面5Fの成す角度θ5は、略90度であってもよいし、鋭角又は鈍角であってもよい。
【0043】
また、モールド基体部3の表面3Sと垂直な方向、即ち、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2は、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1よりも短くなっている。
【0044】
上述のように本実施形態においては、副表面5S2は、XY平面に沿って延びる平面であるため、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの距離は、副表面5S2全体に亘って一定となる。副表面5S2がXY平面に沿って延びる平面でない場合(例えば、副表面5S2がXY平面と鋭角に交わる方向に延びる平面である場合や曲面である場合等)、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2は、副表面5S2におけるモールド基体部3の表面3Sから最も離れた点から、表面3SまでのZ軸に沿った方向の距離となる。
【0045】
パターン面5S1と副表面5S2との間の上述の関係に基づき、パターン面5S1と副表面5S2との間には、これらの面を接続する連結面5SRが形成される。本実施形態においては、連結面5SRは曲面状である。具体的には、モールド本体部5は、パターン面5S1から副表面5S2に向かって末広がり状となっている。モールド本体部5は、副表面5S2からパターン面5S1に向かって末広がり状となっていてもよい。また、連結面5SRは平面状であってもよい。この場合、パターン面5S1と連結面5SRの成す角度は、略90度であってもよいし、鋭角又は鈍角であってもよい。
【0046】
本実施形態においては、副表面5S2がパターン面5S1の外縁(一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Y)の全体に沿って設けられているため、連結面5SRもパターン面5S1の外縁の全体に沿っている。副表面5S2がパターン面5S1の外縁の一部に沿っている場合、連結面5SRは、パターン面5S1の外縁の当該一部に沿う。
【0047】
連結面5SRと副表面5S2は、パターン面5S1を基準とした段差部5Cとなる。段差部5Cに隣接する領域は、モールド本体部5に形成された凹部となる。具体的には、段差部5Cは、パターン面5S1の表面3Sからの高さ位置を基準として表面3S方向に凹む凹部をモールド本体部5に規定している。
【0048】
また、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2との差D5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さH5Pよりも大きい。このようにして、段差部5Cがモールド本体部5に規定する上記凹部の体積を、パターン5Pの凹部の体積よりも大きくしている。
【0049】
モールド基体部3及びモールド本体部5は、例えば、石英、ガラス、シリコン等からなる。後述のナノインプリント用の樹脂部として紫外線硬化樹脂を用いる場合、モールド基体部3及びモールド本体部5は、石英、ガラス等の、紫外線に対する透過率が十分に高い材料からなることが好ましい。本実施形態においては、モールド基体部3とモールド本体部5は、同一の材料で構成されているが、互いに異なる材料で構成されていてもよい。また、モールド基体部3とモールド本体部5は、一体形成されていてもよいし、モールド基体部3とモールド本体部5とは別個の部材として形成された後、一体化されていてもよい。
【0050】
次に、本実施形態のモールド1aを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法について説明する。
【0051】
図3、及び、図5〜図10は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図であり、図4は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための平面図である。
【0052】
本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法として、半導体基板上の半導体層に微細パターンとしての回折格子を製造する方法について説明する。このような回折格子としては、例えば、分布帰還型半導体レーザ等の半導体光デバイスが有する回折格子を挙げることができる。
【0053】
まず、図3に示すように、半導体基板13を準備する。半導体基板13は、例えば、円板状の基板とすることができる。半導体基板13は、例えば、SiやGe等の単元素半導体や、InP等のIII−V族化合物半導体等の化合物半導体からなる。
【0054】
そして、図3及び図4に示すように、半導体基板13の表面13S上に、加工対象としての半導体層15を形成する。この半導体層15は、複数の部分領域15Aに分割されている。後の工程において、各部分領域15A上の樹脂部に対して順に、モールド1aによるパターンの転写が行われる(ステップアンドリピート方式)。
【0055】
続いて、図5に示すように、半導体層15の表面15S上に、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂からなる樹脂部17を形成する。樹脂部17は、例えば、半導体層15の表面15S上に、滴下法やスピンコート法によって紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂を含む樹脂液を設けた後、当該樹脂液を所定の温度に加熱処理することにより、形成することができる。半導体層15の表面15S上に形成された樹脂部17は、図5に示される段階においては、流動性を有している。
【0056】
樹脂部17は、図5に示すように、複数の部分に分割された状態で半導体層15の表面15S上に分散していてもよいし、半導体層15の表面15S全体を覆うように層状に形成されていてもよい。また、半導体層15と樹脂部17との密着性を向上させる機能を有する密着層を、半導体層15と樹脂部17との間に介在させてもよい。
【0057】
続いて、図6に示すように、半導体層15の一つの部分領域15Aの表面15Sと、モールド1aのパターン面5S1とを対向させる。この際、半導体層15の表面15Sと、モールド本体部5のパターン面5Sとが、略平行になるようにする。
【0058】
次に、図7に示すように、モールド1aをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5が半導体層15と接触しないように、モールド本体部5のパターン面5S1を当該部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、連結面5SRと副表面5S2からなる段差部5Cに溜まる。
【0059】
そして、この状態で、当該部分領域15Aの表面15S上の樹脂部17を硬化させる。樹脂部17が紫外線硬化樹脂からなる場合、当該樹脂部17に紫外線を照射することにより当該樹脂部17は硬化する。その際、モールド基体部3及びモールド本体部5が紫外線に対する透過率が十分に高い材料からなる場合、紫外線がモールド基体部3及びモールド本体部5を透過してから当該樹脂部17に到達するように、紫外線を当該樹脂部17に照射することができる。樹脂部17が熱硬化樹脂からなる場合、当該樹脂部17を加熱することにより、当該17を硬化させる。
【0060】
その後、図8に示すように、モールド1aと樹脂部17とを離間させる。このようにして、半導体層15の当該部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが形成される。樹脂部17のうち、段差部5Cに溜まっていた樹脂部は、バリ17Bとなる。
【0061】
そして、図9に示すように、図6から図8に示した一連の工程を、半導体層15の他の部分領域15A上の樹脂部17に対して、それぞれ順に行う。このようにして、半導体層15の全ての部分領域15A上の樹脂部17に、微細パターンとしての樹脂パターン17Pが形成される。樹脂パターン17Pは、モールド本体部5のパターン面5S1のパターン5Pが転写されたパターンである。この後、アッシング処理等によって、バリ17Bを除去する工程を行ってもよい。
【0062】
次に、例えば、反応性イオンエッチング法等のドライエッチング法等によって、樹脂パターン17Pが形成された樹脂部17及び半導体層15の一部をエッチングする。すると、樹脂パターン17Pのうち、残膜の厚さが薄い領域程、その領域下の半導体層15の表面15Sは早く露出して深くエッチングされる。そのため、図10に示すように、樹脂パターン17Pを半導体層15に転写することができる。このようにして、微細パターンとしての回折格子15Pを半導体層15に形成することができる。
【0063】
上述のような本実施形態に係るモールド1aにおいては、図1及び図2に示されるように、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの上記最長距離H5S2は、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの上記距離H5S1よりも短いため、パターン面5S1と副表面5S2との間には、パターン面5S1と副表面5S2とを連結する連結面5SRが形成される。そして、この連結面5SRと副表面5S2は、パターン面5S1を基準とした段差部5Cとなる。この段差部5Cはパターン面5S1の外縁辺5S1X及び外縁辺5S1Yに沿っている。さらに、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの上記距離H5S1と、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの上記最長距離H5S2との差D5Sは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さH5Pよりも大きいため、上記段差部5Cがモールド本体部5に規定する凹部の体積は十分に大きくなる。
【0064】
これにより、樹脂部17にモールド1aのパターン面5S1を押し付ける際、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出された樹脂部17は、上記段差部5Cに溜まる(図7参照)。そのため、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出された樹脂部17が、モールド本体部5の側面5Fに到ることは抑制される。そのため、モールド本体部5の高さを高くしても、即ち、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1を長くしても、樹脂パターン17Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することが可能となる(図8及び図9参照)。その結果、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aによれば、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することと、樹脂部17にパターン面5S1を押し付ける際にモールド1aのモールド基体部3が樹脂部17に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0065】
さらに、本実施形態に係るナノインプリント用のモールド1aにおいては、副表面5S2は、モールド基体部3の表面3Sと平行なXY面に沿って延びている(図1及び図2参照)。これにより、上記段差部5Cがモールド本体部5に規定する凹部の深さ(即ち、Z軸方向におけるパターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と、Z軸方向における副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2との差D5S)が副表面5S2全体に亘って略一定となる(図2参照)。そのため、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さをより抑制することが可能となる。
【0066】
また、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sまでの最長距離H5S2との差D5Sは、1μm以上、5μm以下であることが好ましい。差D5Sが1μm以上であれば、樹脂パターン17P等の微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを十分に抑制することができ、差D5Sが3μm以下であれば、樹脂パターン17P等の微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bを容易に除去することができるからである。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るナノインプリント用のモールドについて、説明する。図11は、本実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図であり、図12は、図11のXII−XII線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【0068】
図11及び図12に示す本実施形態のナノインプリント用のモールド1bは、第1実施形態のモールド1aと比較して、凸部材25をさらに備えている点が異なる。
【0069】
本実施形態のモールド1bは、副表面5S2に固定された凸部材25を備えている。凸部材25は、副表面5S2からモールド基体部3の表面3Sと垂直な方向へ突出する部材である。
【0070】
本実施形態においては、凸部材25は、パターン面5S1の外縁の全体に沿って設けられている。具体的には、凸部材25は、パターン面5S1の一対の外縁辺5S1X及び一対の外縁辺5S1Yに沿って設けられている。凸部材25は、パターン面5S1の外縁の一部に沿って設けられていてもよい。
【0071】
また、Z軸方向から見て、凸部材25はパターン面5S1と離間している。本実施形態においては、凸部材25は、副表面5S2の一対の外縁辺5S2X及び一対の外縁辺5S2Yに沿って設けられている。凸部材25は、副表面5S2の一対の外縁辺5S2X及び一対の外縁辺5S2Yに接するように設けられていることが好ましい。
【0072】
本実施形態においては、Z軸方向における凸部材25の頂部15Tからモールド基体部3の表面3Sまでの距離H25は、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1と同じとなっている。Z軸方向における凸部材25の頂部15Tからモールド基体部3の表面3Sまでの距離H25は、パターン面5S1からモールド基体部3の表面3Sまでの距離H5S1よりも小さくてもよい。
【0073】
凸部材25は、例えば、石英、ガラス、シリコン等からなる。凸部材25は、モールド本体部5と同一の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0074】
また、凸部材25とモールド本体部5(又は、モールド本体部5及びモールド基体部3)は、一体形成されていてもよいし、凸部材25とモールド本体部5(又は、モールド本体部5及びモールド基体部3)は別個の部材として形成された後、一体化されていてもよい。
【0075】
第1実施形態における場合と同様に、本実施形態においても、連結面5SRと副表面5S2は、パターン面5S1を基準とした段差部5Cとなる。本実施形態においては、段差部5C及び凸部材25に隣接する領域が、モールド本体部5に形成された凹部となる。具体的には、段差部5C及び凸部材25は、パターン面5S1の表面3Sからの高さ位置を基準として表面3S方向に凹む凹部をモールド本体部5に規定している。
【0076】
図13及び図14は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。図13及び図14は、第1実施形態における図7及び図8に示す工程に対応する工程を示している。
【0077】
図13に示すように、モールド1bをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5が半導体層15と接触しないように、モールド本体部5のパターン面5S1を当該部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、連結面5SRと副表面5S2からなる段差部5Cに溜まる。この際、この押し出された樹脂部17の一部は、凸部材25によって、モールド本体部5の側面5Fに移動することがより抑制される。
【0078】
そして、この状態で、当該部分領域15Aの表面15S上の樹脂部17を硬化させる。その後、図14に示すようにモールド1bと樹脂部17とを離間させる。このようにして、半導体層15の当該部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが形成される。樹脂部17のうち、段差部5Cに溜まっていた樹脂部は、バリ17Bとなる。
【0079】
本実施形態に係るモールド1bによれば、第1実施形態に係るモールド1aにおける場合と同様の理由により、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することと、樹脂部17にパターン面5S1を押し付ける際にモールド1aのモールド基体部3が樹脂部17に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0080】
さらに、本実施形態に係るモールド1bによれば、樹脂部17にモールド1bのパターン面5S1を押し付ける際、凸部材25は、段差部5Cに溜まった樹脂部17がモールド本体部5の側面5Fに移動することを抑制する(図13参照)。その結果、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さをより抑制することが可能となる(図14参照)。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るナノインプリント用のモールドについて、説明する。図15は、本実施形態に係るナノインプリント用のモールドの斜視図であり、図16は、図15のXVI−XVI線に沿ったナノインプリント用のモールドの断面図である。
【0082】
図15及び図16に示す本実施形態のナノインプリント用のモールド1cは、第1実施形態のモールド1aと比較して、パターン面5S1に、凹部5Hが形成されている点が異なる。凹部5Hの深さH5Hは、ナノインプリント用のパターン5Pの深さH5Pよりも深い。これにより、パターン面5S1には、十分な体積の凹部5Hが形成される。凹部5Hの深さH5Hは、例えば、1μm以上、3μm以下とすることができる。
【0083】
本実施形態においては、凹部5Hは、X軸に沿って一方の外縁辺5S1Yから他方の外縁辺5S1Yまで延びる矩形状の溝部である。凹部5HのY軸方向の幅は、例えば、5μm以上、50μm以下とすることができる。また、凹部5Hは、一対の外縁辺5S1Xと離間している。凹部5Hの形状はこのような態様に限られず、例えば、X軸に沿って一方の外縁辺5S1Yから他方の外縁辺5S1Yまで延び、深さ方向に向かって幅が狭まるV字状の溝部であってもよい。また、パターン面5S1に、複数の凹部5Hが形成されていてもよい。
【0084】
図17及び図18は、本実施形態のモールドを用いたナノインプリント法によって、微細パターンを製造する方法を説明するための断面図である。図17及び図18は、第1実施形態における図7及び図8に示す工程に対応する工程を示している。
【0085】
図17に示すように、モールド1cをZ軸正方向に移動させて、モールド本体部5が半導体層15と接触しないように、モールド本体部5のパターン面5S1を当該部分領域15A上の樹脂部17に押し付ける。すると、樹脂部17のうちの一部は、パターン面5S1と樹脂部17との接触領域の外側へ押し出される場合がある。この押し出された樹脂部17の一部は、連結面5SRと副表面5S2からなる段差部5Cに溜まる。この際、樹脂部の一部は、凹部5H内に溜まる。
【0086】
そして、この状態で、当該部分領域15Aの表面15S上の樹脂部17を硬化させる。その後、図18に示すようにモールド1bと樹脂部17とを離間させる。このようにして、半導体層15の当該部分領域15A上の樹脂部17に、樹脂パターン17Pが形成される。樹脂部17のうち、段差部5Cに溜まっていた樹脂部は、バリ17Bとなる。
【0087】
本実施形態に係るモールド1cによれば、第1実施形態に係るモールド1aにおける場合と同様の理由により、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さを抑制することと、樹脂部17にパターン面5S1を押し付ける際にモールド1aのモールド基体部3が樹脂部17に接触することを抑制することを両立することが可能となる。
【0088】
さらに、本実施形態に係るモールド1bによれば、樹脂部17にモールド1cのパターン面5S1を押し付ける際、樹脂部17の一部はこの凹部5H内に溜まるため、樹脂部17がモールド本体部5の側面5Fに到ることはより抑制される(図17参照)。その結果、回折格子15Pのような微細パターンを形成する際に生じるバリ17Bの高さをより抑制することが可能となる(図18参照)。
【0089】
本実施形態のモールド1cは、第2実施形態における凸部材25をさらに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1a、1b、1c・・・モールド、3・・・モールド基体部、5・・・モールド本体部、5P・・・ナノインプリント用のパターン、5S・・・モールド本体部の表面、5S1・・・パターン面、5S2・・・副表面、5S1X、5S1Y・・・パターン面の外縁、5S2・・・副表面、H5S2・・・最長距離、H5S1・・・距離、D5S・・・差。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド基体部と、
前記モールド基体部の表面に設けられた裏面と、当該裏面とは反対側の表面と、を有するモールド本体部と、
を備え、
前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向から見て、前記モールド本体部は、前記モールド基体部の外縁と離間しており、
前記モールド本体部の前記表面は、
前記モールド基体部の前記表面と平行な平面に沿って延びていると共に、ナノインプリント用のパターンが形成されたパターン面と、
前記パターン面の外縁の少なくとも一部に沿って設けられた副表面と、
を有し、
前記副表面は、前記モールド本体部の側面と交差し、
前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向における前記副表面から前記モールド基体部の前記表面までの最長距離は、前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向における前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの距離よりも短く、
前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの前記距離と、前記副表面から前記モールド基体部の前記表面までの前記最長距離との差は、前記ナノインプリント用のパターンの深さよりも大きいことを特徴とするナノインプリント用モールド。
【請求項2】
前記副表面は、前記モールド基体部の前記表面と平行な平面に沿って延びていることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項3】
前記副表面に固定された凸部材をさらに備え、
前記凸部材は、前記パターン面と離間しており、
前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向における前記凸部材の頂部から前記モールド基体部の前記表面までの距離は、前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの前記距離と同じか、それよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項4】
前記パターン面には、前記ナノインプリント用のパターンの深さよりも深い凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項5】
前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの前記距離と、前記副表面から前記モールド基体部の前記表面までの前記最長距離との前記差は、3μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項1】
モールド基体部と、
前記モールド基体部の表面に設けられた裏面と、当該裏面とは反対側の表面と、を有するモールド本体部と、
を備え、
前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向から見て、前記モールド本体部は、前記モールド基体部の外縁と離間しており、
前記モールド本体部の前記表面は、
前記モールド基体部の前記表面と平行な平面に沿って延びていると共に、ナノインプリント用のパターンが形成されたパターン面と、
前記パターン面の外縁の少なくとも一部に沿って設けられた副表面と、
を有し、
前記副表面は、前記モールド本体部の側面と交差し、
前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向における前記副表面から前記モールド基体部の前記表面までの最長距離は、前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向における前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの距離よりも短く、
前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの前記距離と、前記副表面から前記モールド基体部の前記表面までの前記最長距離との差は、前記ナノインプリント用のパターンの深さよりも大きいことを特徴とするナノインプリント用モールド。
【請求項2】
前記副表面は、前記モールド基体部の前記表面と平行な平面に沿って延びていることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項3】
前記副表面に固定された凸部材をさらに備え、
前記凸部材は、前記パターン面と離間しており、
前記モールド基体部の前記表面と垂直な方向における前記凸部材の頂部から前記モールド基体部の前記表面までの距離は、前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの前記距離と同じか、それよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項4】
前記パターン面には、前記ナノインプリント用のパターンの深さよりも深い凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールド。
【請求項5】
前記パターン面から前記モールド基体部の前記表面までの前記距離と、前記副表面から前記モールド基体部の前記表面までの前記最長距離との前記差は、3μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−35578(P2012−35578A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179700(P2010−179700)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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