説明

ナノバブルの形成方法

【課題】超音波造影剤を用いるナノバブルの形成方法の提供。
【解決手段】本発明はナノバブルの形成方法を開示するものであり、前記形成方法は公知技術に使用する油水乳化反応とは異なる特徴を持つ。本発明のナノバブルの形成方法は、無機粒子を中心核として、前記中心核の表面に最低一つの第一高分子をコーティングして有機/無機複合粒子を形成する。次に、第一溶剤によって前記有機/無機複合粒子の中心核を溶解して除去し溶剤型ナノ粒子を形成する。続いて冷凍乾燥プロセスにおいて前記第一溶剤を除去し前記溶剤型ナノ粒子に中空ナノ粒子を形成させる。最後に前記中空ナノ粒子を第二溶剤に溶かして前記ナノバブルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブルの形成方法に係り、特に超音波造影剤を用いるナノ級バブルの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波造影剤(Ultrasound Contrast Agent:UCA)は超音波画像形成において画像のコントラスト強化をする為の物質である。一般にはミクロン級直径の包膜マイクロバブルであり、静脈注射が血液循環システムに進入し超音波の反射強度を増強することによって、超音波造影によって形成される画像の解析度を向上させる目的を達成する。
【0003】
超音波造影剤を血管に注入した後、組織の超音波特性(背部方向散乱係数、減衰係数、音声スピード、及び非線形効果)が変化し造影効果が生まれる。増強効果は超音波造影剤の濃度、サイズ、及び超音波の発射周波率によって決まる。それの最も基本的性質は組織のエコー能力を増強できることにあり、超音波画像形成において画像の明晰度とコントラストを高めることが可能となる。前記非線形効果は一定エネルギーの調波量を生じさせ、調波画像形成技術は体内の微小血管血流と組織灌流を測定し、超音波造影剤を含まない組織がベースバンド上で運動し生成されるクラッタ信号を抑制することによりS/N比を大幅に向上させることが可能である。
【0004】
超音波造影剤の研究と応用は1968年Gramiakらによる心臓内への塩水注入後の大動脈根部において雲状コントラストエコー効果が得られた研究に遡る。80年代後期、超音波組織はある困難に遭遇した。それは、ある組織は病理上区別されているが、それらの超音波特性が類似していることにあった。これに対して、組織と血液のエコー能力を増強できる超音波造影剤は非常に大きな注目を浴びている。
【0005】
造影剤は主にマイクロバブル内に含まれる気体の種類によって分類される。第一世代造影剤はマイクロバブル内に空気を含み、包膜は一般にアルブミンまたはガラクトース等の重合体である。第二世代超音波造影剤のマイクロバブルは主に高密度惰性気体(水や血液に溶け難い)を含むもので、その外膜は薄くて柔軟である。前記第一世代造影剤のマイクロバブルの包膜は比較的厚く、弾性に劣り、含まれる空気は水に溶け易い等から、前記第一世代造影剤は破裂し易くライフタイムも短く、臨床応用における観察及び診断時間が制限される。しかし第二世代造影剤のマイクロバブルの直径は2-5um前後にまで縮小することができ、安定時間を延長し、振動及びエコー特性を更に良好にする。
【0006】
近年来、超音波造影剤は既に超音波治療領域で広く応用されている。超音波造影剤中のマイクロバブルにキャビテーション効果が強化され、更に超音波生物効果が促進される故、超音波造影剤は超音波血栓溶解療法、介在遺伝子転移、薬物デリバリー、高密度焦点式超音波療法(HIFU)等への応用にも既に研究が始められている。超音波造影剤の応用範囲は拡大を続け、応用価値もまた向上し続けている。よって、安定性が高く、サイズコントロール性を備え、生物分解性と生物適合性を備えるマイクロバブル超音波造影剤は業界において発展が大きく期待されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はナノバブルの形成方法を提供することにあり、前記形成方法は公知の油水乳化反応とは異なるものである。本発明のナノバブルの形成方法は、無機粒子を中心核として、前記中心核の表面に最低一つの第一高分子をコーティングして有機/無機複合粒子を形成する。次に、第一溶剤によって前記有機/無機複合粒子の中心核を溶解して除去し溶剤型ナノ粒子を形成する。続いて冷凍乾燥プロセスにおいて前記第一溶剤を除去し前記溶剤型ナノ粒子に中空ナノ粒子を形成させる。最後に前記中空ナノ粒子を第二溶剤に溶かして前記ナノバブルを形成する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、無機粒子を中心核として、高分子層コーティングプロセスを行い、前記中心核の表面に最低一つの第一高分子を被覆して有機/無機複合粒子を形成し、
前記有機/無機複合粒子は第一溶剤に接触し、前記第一溶剤で前記有機/無機複合粒子の中心核を溶解して除去し溶剤型ナノ粒子を形成し、前記溶剤型ナノ粒子の内部には前記第一溶剤を内含し、
冷凍乾燥プロセスにおいて前記第一溶剤を除去して前記溶剤型ナノ粒子に中空ナノ粒子を形成させ、
溶解プロセスにおいて前記中空ナノ粒子を第二溶剤に溶かしてナノバブルを形成することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項2の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記無機粒子は、金、銀、鉄、及びその他無機材料のナノ粒子のグループの内から何れか一つを選択することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項3の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第一高分子は、ポリ(イソブチレン−アルト−無水マレイン酸)−グラフト−ドデシルアミン(poly(isobutylene-alt-maleic anhydride)-graft-dodecylamine)及びそれに類似する高分子であることを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項4の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第一溶剤は王水であることを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項5の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第二溶剤は、純水及び各種バッファ溶液のグループの何れか一つとすることを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項6の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルの粒径範囲は30nm〜10000nmとすることを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項7の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルの粒径は無機粒子のサイズによりコントロールされることを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項8の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第一高分子層コーティングプロセスを行った後、更にバイオコンジュゲーションプロセスを行い、生物適応性を備える第二高分子を第一高分子層の表面に接合することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項9の発明は、請求項8記載のナノバブルの形成方法において、前記第二高分子はNH2官能基グループを含む分子であることを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項10の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記溶解プロセスには、更に希望する気体気流を中空ナノ粒子上に施用し、並びに中空ナノ粒子を第二溶剤に溶かして希望する気体のナノバブルを形成することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項11の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルを真空にしてナノバブルの包覆する気体を除去し、希望の気体を充填することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項12の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルに含まれる気体は、フッ素化気体、酸素、窒素、アルゴン、ネオン、キセノン、及び空気のグループから何れか一つを選択することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項13の発明は、請求項12記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルに含まれる気体は、CF4、C26、C24、C38、C48、C410、C36、SF6のグループから何れか一つを選択することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項14の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルのライフタイムは25〜30分間であることを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
請求項15の発明は、請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルは、超音波造影剤、薬物キャリア、遺伝子キャリア、及び臨床における診断と治療に応用することを特徴とするナノバブルの形成方法としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のナノバブルは超音波造影剤、薬物キャリア、遺伝子キャリア、及び臨床における診断と治療に応用できることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に関するナノバブルの合成図である。
【図2】本発明の実施例に関するナノバブルの超音波画像である。
【図3】本発明の実施例に関するナノバブルの動的光散乱グラフである。
【図4】本発明の実施例に関するナノバブルのライフタイム(lifetime)の測定グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明はナノバブルの形成方法を開示する。本発明を徹底的に御理解戴く為に、下記の説明においてステップの詳細及びその構成を提供する。本発明の実施においては当該領域の技術者の熟知する特殊内容に制限されないことは顕著である。また、本発明が不必要に制限されるのを防ぐ為に、周知の組成もしくはステップを詳細内容中に説明しないこととする。本発明の実施例の詳細は次の通りであり、これらの詳細説明の他、本発明はその他実施例に広く応用することが可能であり、しかも本件の発明範囲は制限を受けることはなく、その範囲は下記の特許登録申請の範囲を基準とする。
【0012】
本発明の実施例はナノバブルの形成方法を開示するものであり、前記形成方法は、まず、無機ナノ粒子を中心核として、高分子層コーティングプロセス(polymer coating process)を行い、前記中心核の表面に最低一つの第一高分子を被覆して有機/無機複合粒子を形成する。次に、前記第一高分子はポリ(イソブチレン−アルト−無水マレイン酸)−グラフト−ドデシルアミン(poly(isobutylene-alt-maleic anhydride)-graft-dodecylamine)及びそれに類似する両性高分子とし、次に前記有機/無機複合粒子は第一溶剤に接触し、前記第一溶剤で前記有機/無機複合粒子の中心核を溶解して除去し溶剤型ナノ粒子を形成する。前記溶剤型ナノ粒子には前記第一溶剤を内含する。続いて冷凍乾燥プロセスにおいて前記第一溶剤を除去し前記溶剤型ナノ粒子に中空ナノ粒子を形成させる。前記中空ナノ粒子には空気を内含する。更に前記中空ナノ粒子を第二溶剤に溶かして前記ナノバブルを形成する。
【0013】
また、前記ナノバブルの形成方法には更に、前記第一高分子層コーティングプロセスの後、バイオコンジュゲーションプロセス(bioconjugation process)を含み、生物適合性を備える第二高分子を前記第一高分子層の表面に接合する。前記第二高分子はNH2官能基グループを含む分子であり、例えば1−エチル基3−ジメチル基−カルボジイミド塩酸塩(EDC)である。
前記無機ナノ粒子は、金、銀、鉄、及びその他無機材料のナノ粒子のグループから何れか一つを選択し、しかも第一溶剤は王水とし第一溶剤は純水と各種バッファ溶液とする。
前記ナノバブルの粒径範囲は30nm〜10000nmとし、その粒径の大きさは無機粒子のサイズによりコントロールする。
【0014】
本発明の実施例において前記溶解プロセスには更に、希望する気体気流を前記中空ナノ粒子上に施用し、並びに中空ナノ粒子を前記第二溶剤で溶かし、希望する気体を含む前記ナノバブルの形成を便利にする。
本発明のもう一つの実施例において前記のナノバブルを真空にし前記ナノバブルが包覆する気体を取り除き、並びに希望する気体を充填する。
【0015】
前記ナノバブルの含む気体は下記グループから何れの一つを選択する。即ち、フッ素化気体、酸素、窒素、アルゴン、ネオン、キセノン、及び空気である。その内良好であるのは、CF4、C26、C24、C38、C48、C410、C36、SF6である。本発明に開示するナノバブルは、超音波造影剤、薬物キャリア、遺伝子キャリア、及び臨床における診断と治療に応用することが可能である。並びに、前記ナノバブルは安定したライフタイムを備え、そのライフタイムは25〜30分に到達する。前記のナノバブルのライフタイムは、ナノバブルが特定超音波パラメータによる刺激の下、超音波エコー信号の時間を延長できることを指している。
【0016】
下記に、ナノバブル合成方法を説明する。
[実施例1] 金ナノ粒子の合成
予め以下の溶液を配置する。
(a)ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)溶液:微量用電子天秤を使いDDAB(MW=462.63)を4.63g量り、それを100mLトルエンに加え、振動器で均等に混合する。
(b)塩化金(AuCl3)溶液:微量用電子天秤を使いAuCl3(MW=303.33)を0.15g量り、それを20mLのDDABに加え、振動器で均等に混合する。
(c)ドデカニック酸(Dodecanic acid)溶液:微量用電子天秤を使いドデカニック酸(MW=172.26)を1.376g量り、それを80mLのトルエンに加え、振動器で均等に混合する。
(d)テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)溶液:微量用電子天秤を使いテトラブチルアンモニウムブロマイド(MW=257.31)を0.15g量り、それを1.08mLのDDABに加え、振動器で均等に混合する。
(e)トリオクチルホスフィン(trioctylpyosphine:TOP)溶液:0.17mLのTOPを3.8mLのトルエンに加え振動器で均等に混合する。TBAB溶液は金ナノ粒子を合成した活性化剤である故、合成が必要な時にその場で配合する。
【0017】
磁石を20mLの試料フラスコ中に入れ、2.5mLのドデカニック酸溶液と1mLのTBAB溶液を20mLの試料フラスコ中に入れ、磁石攪拌器を使い適当な回転速度で持続的に攪拌し、続いて、0.8mLのAuCl3溶液を加え、2時間反応させる(先ず10uL加え、更に素早く790uL加える)。次に、70℃水浴で5分間加熱し、温度のバランスが取れた後40uLのTOP溶液を加えて5分間反応させる。その後、磁石を取り出し、メチルアルコールを溶液に混濁が出現するまで加える。更に、3000rpmの回転速度で5分間遠心し、小分子と小さな雑質を除去する。その後、上澄み液を取り除いた後にクロロホルム(chloroform)で沈殿した金ナノ粒子を再懸濁する。最後に、更に3000rpmの回転速度で5分間遠心させて比較的大きな金ナノ粒子と大きな雑質を除去し、並びに、上澄み液をきれいな試料フラスコ中に回収する。
【0018】
[実施例2] 高分子コーティング(polymer coating)
先ず下記薬品を配置する。
(a)高分子溶液:3.084g(20mmole)のポリ(イソブチレン−アルト−無水マレイン酸)(Mw〜6,000)粉末を取り、丸底フラスコ中に置く。2.78g(15mmole)のドデシルアミン(dodecylamine)を100mLのトテラヒドロフラン(Tetrahydrofuran:THF)溶液中に溶かす。ドデシルアミン溶液とポリ(イソブチレン−アルト−無水マレイン酸)の粉末を迅速に均等混合して混合溶液を作る。次に減圧濃縮器の温度を60℃に設定し、適当な回転速度で10分間反応させて、前記の混合溶液を透明状態にする。続いて、圧力を200mbarに設定し24時間反応させる。溶液を完全に抜き取った後、25mLのクロロホルムを加え、前記で合成した高分子溶液を溶解する。前記高分子溶液(monomer)濃度は0.8Mであり、各高分子単体は25%の無水マレイン酸グループ(maleic anhydride groups)及び75%の疎水性炭化水素鎖を含む。
(b)ホウ酸ナトリウムバッファ液(Sodium borate buffer:SBB):微量用電子天秤を使い3.09gのホウ酸(Boric Acid, MW=61.83Da, 50mM)と19.07gの四ホウ酸ナトリウム十水和物(Sodium Tetraborate Decahydrate, W=381.37Da, 50mM)を量り、続いて1000mLの二次水(pH=9.0)に溶解し室温下に保存する。
(c)5×TBEバッファ液:微量用電子天秤を使い54gのトリス塩基(Tris Base)と27.5gのホウ酸を量った後、980mLの二次水に溶かし、続いて20mLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA, 0.5M, pH=8.0)を加え、並びに磁石で均等攪拌した後、室温下で保存する。使用時は0.5×希釈した後に使用する。
(d)2%のアガロースゲル(agarose gel):ゲル製作トレイをゲルキャスティングトレイに入れ、並びに電気泳動コームをゲルキャスティングトレイ上に架設する。微量用電子天秤を使い2.4gのアガロースゲルを量り250mLの三角フラスコに入れ、120mLの0.5×TBEバッファを加え、続いてマイクロウェーブでアガロースが完全に溶解するまで加熱し、均等に揺らし、温度が若干下がった後、ゆっくり溶液を架設したゲルキャスティング槽に流し込み、その後、常温でアガロースが冷却凝固するまで静置し、最後に、電気泳動コームを抜き取り電気泳動槽に入れる。
(e)ローディングバッファ(Loading buffer):グリセリンと二次水を混合する(v:v=1:10)。
【0019】
光吸収スペクトル測定器を使い合成後の6nm金ナノ粒子の備える520nmの吸収ピーク値を測定する。ベールの法則(Beer’s Law):A=εbcを使って金ナノ粒子の濃度(6nmの金ナノ粒子のモル吸収係数は2.905E7)を算出する。前記のAは吸収値、εはモル吸収係数(L/mol cm)、bは光路径厚さ(cm)、cは容積モル濃度(mol/L)である。
【0020】
金ナノ粒子外層の有機分子の厚さが1.1nmであるなら、全金ナノ粒子の表面積が推測できる。1nm2が200個の高分子単体(monomer units)を必要とするのなら、高分子溶液に加える必要のある体積を算出可能である。実験の始めに計算後の高分子溶液と5mLのクロロホルムを三角フラスコ中で均等混合し、続いて金ナノ粒子溶液を加えて手で5分間揺らし、金ナノ粒子溶液と高分子溶液を均等混合する。減圧濃縮器(200millibar 回転速度100rpm)を使用して溶液を全て抜き取る。溶液を全て抜き取った後、大気圧に戻し更に1mbarまでエアを抜き取る。溶液を完全に抽出したことが確定した後、更に0.1Nの水酸化ナトリウム(NaOH)を加え、高分子改質を経た金ナノ粒子を迅速に溶解する。続いて、5mLの注射器を使って0.2umの濾過膜に通し、更に100KDaの分子ストッパーを使って小さい分子を除去し、溶剤をホウ酸ナトリウムバッファ液(SBB)に置き換える。
【0021】
アガロース純化によって高分子コーティングを経た金ナノ粒子をローディングバッファと混合をする(v:v=10:1)。その内、2%のアガロースゲルを電気泳動槽のTBEバッファ中に置いて純化を行い(電圧100V、所要時間1時間)、未反応の高分子を除去する。続いて金ナノ粒子をアガロースゲルから取り出し、透析膜中に置き、電圧100Vの電気泳動槽内で電場を使って金ナノ粒子とアガロースゲルを分離させる。試料を回収した後、0.22umの濾過膜で濾過し、更に100KDa分子ストッパーで試料を濃縮し、並びに純化した金ナノ粒子をホウ酸ナトリウムバッファ液中で保存する。最後に電気泳動で純化した両性高分子コーティングナノ金粒子を超高速の遠心機50000rpmで20分間遠心した後、上澄み液を除去し、更にホウ酸ナトリウムバッファ液で沈殿したナノ金粒子を再懸濁する(3回繰り返し)。
【0022】
[実施例3] バイオコンジュゲーション(Biocompatible layer conjugation)
高分子コーティングを経た金ナノ粒子とポリエチレングリコール(Polyethyleneglycol:PEG)及び1−エチル基3−ジメチル基−カルボジイミド塩酸塩(EDC)を混合して([Au]/[PEG]=1/200,Au:PEG:EDC=v:v:v=1:1:1)2時間反応させる。その後100KDaタンパク質濾過管(MCWO)で未反応のPEGを除去し、並びに試料を1uMまで濃縮し、SBB(pH=9)で保存する。
【0023】
[実施例4]
実施例2、実施例3を経た試料中に溶液が無色透明状態になるまで王水を落とし、100KDaタンパク質濾過管で溶液中の王水をSBB(pH=9)に置き換え、更にSBBを脱イオン水に置き換える。最後に冷凍乾燥機で溶液を完全に抜き取り、試料を白色固体にする。超音波で刺激する場合は、脱イオン水を加えて前記白色固体を直接溶解すればよく、これによりナノバブルが完成する。前記ナノバブルの合成図は図1に示す通りであり、エアコア(Air Core)中の気体は空気と各種惰性気体とし、良好なのはC3F8、C4F10、SF6である。
【0024】
超音波でナノバブルを刺激した超音波画像は図2に示す通りであり、バブル粒径は10μmである。図3に示す通り、前記バブルは動的光散乱(Dynamic Light Scattering: DLS)を使用して測定したものである。更に、図4に示す通り、前記バブルのライフタイムは20分間である。超音波は25MHzのディテクターを使用してBモード画像を形成し5900によって自動的に送受信する。
【0025】
超音波パラメータ
PRT: EXT-BNC Gain: 40dB Energy:32μJ
Damping:50 Ohm High Pass: 10MHz
Low Pass:50 MHz Lab View インターフェースパラメータ
Sample Number:512 Scan
Sequence:512PRF:512
Mode: B-scan
Sample rate: 120M Vectors:4mm Dynamic range:1V Speed:slow
Delay time:0.0147 C scan Trig Type: positive swept
Depth: 1mm interval:1μm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子を中心核として、高分子層コーティングプロセスを行い、前記中心核の表面に最低一つの第一高分子を被覆して有機/無機複合粒子を形成し、
前記有機/無機複合粒子は第一溶剤に接触し、前記第一溶剤で前記有機/無機複合粒子の中心核を溶解して除去し溶剤型ナノ粒子を形成し、前記溶剤型ナノ粒子の内部には前記第一溶剤を内含し、
冷凍乾燥プロセスにおいて前記第一溶剤を除去して前記溶剤型ナノ粒子に中空ナノ粒子を形成させ、
溶解プロセスにおいて前記中空ナノ粒子を第二溶剤に溶かしてナノバブルを形成することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項2】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記無機粒子は、金、銀、鉄、及びその他無機材料のナノ粒子のグループの内から何れか一つを選択することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項3】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第一高分子は、ポリ(イソブチレン−アルト−無水マレイン酸)−グラフト−ドデシルアミン(poly(isobutylene-alt-maleic anhydride)-graft-dodecylamine)及びそれに類似する高分子であることを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項4】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第一溶剤は王水であることを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項5】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第二溶剤は、純水及び各種バッファ溶液のグループの何れか一つとすることを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項6】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルの粒径範囲は30nm〜10000nmとすることを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項7】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルの粒径は無機粒子のサイズによりコントロールされることを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項8】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記第一高分子層コーティングプロセスを行った後、更にバイオコンジュゲーションプロセスを行い、生物適応性を備える第二高分子を第一高分子層の表面に接合することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項9】
請求項8記載のナノバブルの形成方法において、前記第二高分子はNH2官能基グループを含む分子であることを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項10】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記溶解プロセスには、更に希望する気体気流を中空ナノ粒子上に施用し、並びに中空ナノ粒子を第二溶剤に溶かして希望する気体のナノバブルを形成することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項11】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルを真空にしてナノバブルの包覆する気体を除去し、希望の気体を充填することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項12】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルに含まれる気体は、フッ素化気体、酸素、窒素、アルゴン、ネオン、キセノン、及び空気のグループから何れか一つを選択することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項13】
請求項12記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルに含まれる気体は、CF4、C26、C24、C38、C48、C410、C36、SF6のグループから何れか一つを選択することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項14】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルのライフタイムは25〜30分間であることを特徴とするナノバブルの形成方法。
【請求項15】
請求項1記載のナノバブルの形成方法において、前記ナノバブルは、超音波造影剤、薬物キャリア、遺伝子キャリア、及び臨床における診断と治療に応用することを特徴とするナノバブルの形成方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−163393(P2010−163393A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7241(P2009−7241)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(506255902)私立中原大學 (14)
【Fターム(参考)】