説明

ナノ微粒子相を有するマイクロ粒子の水性分散体およびそれを含有するコーティング組成物

【課題】ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を調製するための効率的な方法を提供すること。
【解決手段】ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を調製するための方法であって、(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;(b)該ナノ微粒子を以下と混合して、混和物を形成する工程:(1)1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマー;または(2)1種以上の重合可能な不飽和モノマーと1種以上のポリマーとの混合物;または(3)1種以上のポリマー;(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該混和物をマイクロ粒子に微粒子化する工程;および(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程、を包含する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2003年6月24日に出願された米国仮特許出願第60/482,167号から優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ポリマー相およびナノ微粒子相を有するマイクロ粒子の水性分散体に関し、そしてコーティング組成物中でのこのような分散体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
コーティング組成物は、典型的には、着色剤だけでなく、充填剤顔料粒子を含有し、これらは、得られるコーティングに色および/または性能特性を与えるために、樹脂結合剤系に分散されている。顔料粒子は、互いに強力な親和性を有する傾向があり、例えば、他の物質により分離されないなら、一緒に群がって、集塊物を形成する傾向にある。
【0004】
従来、これらの着色剤および/または充填剤粒子は、これらの顔料粒子を分割するために、高剪断技術を使用して粉砕することにより、樹脂粉砕媒体、および必要に応じて、分散剤に分散されている。顔料および充填剤は、通常、約0.02〜2ミクロン(すなわち、20〜2000ナノメートル)の粒径範囲の固形結晶性粒子からなる。「ナノ微粒子」顔料および充填材料は、通常、300ナノメートル以下の平均粒径を有し、典型的には、100ナノメートル以下の平均粒径を有する。これらのナノ微粒子は、比較的に表面積が大きいので、集塊は、ナノ微粒子顔料および充填材料(例えば、カーボンブラック)にとって、重大な問題である。それゆえ、脱集塊を引き起こしナノ微粒子材料の引き続いた再集塊を防止するために、このようなナノ微粒子材料の許容できる分散体を得るには、典型的には、法外な量の樹脂粉砕媒体および/または分散剤が必要である。
【0005】
しかしながら、最終コーティング組成物中でのこのような高レベルの樹脂粉砕媒体および分散剤の存在は、得られたコーティングに有害となり得る。例えば、高レベルの分散剤(これらは、典型的には、親水性官能基(例えば、カルボン酸基および水酸基)を含有する)は、得られたコーティングの水感受性に寄与することが知られている。また、一部の樹脂粉砕媒体は、コーティング性能特性(例えば、チップ耐性および可撓性)にマイナスの影響を与え得る。
【0006】
従来の顔料粒子および集塊物は、可視光を散乱するのに十分に大きい平均粒径を有し、それにより、コーティングを濁らせたり曇らせる。対照的に、ナノ微粒子形状の顔料は、一般に、中間色を得るために異なる顔料ナノ微粒子を混合したときでさえ、鮮やかで明るい色を生じる。
【0007】
無機顔料装填ポリマーマイクロカプセル系は、当該技術分野で公知であり、これらは、分離した実質的に球形のマイクロカプセル(各々は、固形ポリマーシェルと固形ポリマーコアとを有する)から本質的になる不透明顔料粒子から調製される。分離した無機顔料粒子は、これらのマイクロカプセルのポリマーコアに分散されている。このシェルおよびコアの材料は、異なる材料から構成される。このような無機装填マイクロカプセルは、そのマイクロカプセルの大きさを変えることにより、高い程度の不透明性および所定程度の光沢を基板に与える。これらのマイクロカプセルは、紙基板の不透明化に特に有用である。
【0008】
また、当該技術分野では、消去可能インク組成物も公知であり、これらは、水不溶性ポリマーカプセル化着色粒子を含む固形粒子の分散体を含有する。このような粒子は、固形着色剤粒子の存在下にて、重合可能モノマーを乳化重合することにより、得られる。これらの着色剤粒子は、これらのインク組成物中にて、ポリマーによりカプセル化されているので、このポリマーから粒子が分離して多孔性基板内に移動する機会は殆どないと考えられている。
【0009】
インクジェット記録に適当なインク組成物は、公知である。このような組成物は、着色剤(すなわち、染料または顔料のいずれか)と、着色剤を覆うポリマーと、水および水溶性有機溶媒を含有し、この場合、ポリマーは、その分枝鎖にて、紫外線吸収および/または光安定化活性を有する部位を有する。
【0010】
さらに、当該技術分野では、複合着色剤ポリマー粒子が公知であり、これらは、着色剤相およびポリマー相を有し、この場合、ポリマー相は、着色剤の存在下にて、乳化重合法を使用して、その場で、重合可能モノマーから形成される。このような方法では、そのモノマー混合物は、着色剤混合物に連続して加えられ、この連続乳化重合法によって、この複合ポリマー着色剤粒子が形成される(すなわち、ポリマーおよび着色剤は、微粒子化される)。この方法は、分散体を1重量%の濃度でアセトンに加えたときに20分間まで粒子が固まらないことにより定義されるように、安定な複合着色剤粒子の分散体を生じる。複合着色剤ポリマー粒子のこのような分散体は、インクジェット組成物として有用であり、そしてバッチ法から形成されたものよりも特性を向上するように意図されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記着色剤−ポリマー粒子のいずれも、典型的には、水および/または溶媒中にて顔料分散剤を使って粉砕することにより、それらの着色剤粒子を形成する前に、この着色剤(例えば、顔料)をサブミクロンの大きさまで小さくする必要がある。さらに、これらの複合粒子は、その重合過程それ自体によって、すなわち、重合条件下にて着色剤にモノマーを連続的に加えることにより、あるいは、単に、着色剤粒子をポリマーでコーティング/カプセル化することにより、形成される。コーティング組成物で使用するのに適当な複合材料マイクロ粒子の安定な分散体を形成し、それにより、これらのモノマーおよび/またはポリマー、また、もし必要なら、開始剤が、これらのナノ微粒子と直接混合され、その混和物が、乳化重合以外の手段により微粒子化され、必要に応じて、その後、ラジカル重合条件にかけられる効率的な方法を提供することが望ましい。また、複合材料マイクロ粒子の水性分散体を形成する方法であって、このようなマイクロ粒子を含有する任意のコーティング組成物を過度に水感受性にするのに十分な量の親水性分散剤を必要としない方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を調製するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)該ナノ微粒子を以下と混合して、混和物を形成する工程:
(1)1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマー;または
(2)1種以上の重合可能な不飽和モノマーと1種以上のポリマーとの混合物;または
(3)1種以上のポリマー;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該混和物をマイクロ粒子に微粒子化する工程;および
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程、
を包含する方法。
(項目2)
上記工程(b)が、水性媒体の存在下にて、実行される、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記ナノ微粒子が、色付与ナノ微粒子を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記マイクロ粒子が、複合材料マイクロ粒子を含有し、該複合材料マイクロ粒子が、第一相および第二相を有し、該第一相が、上記1種以上のモノマーおよび/または1種以上のポリマーを含有し、そして該第二相が、上記ナノ微粒子を含有する、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記第二相が、有機ナノ微粒子および/または無機ナノ微粒子を含有する、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記ナノ微粒子が、1〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記ナノ微粒子が、1〜150ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記ナノ微粒子が、1〜50ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記第二相が、無機ナノ微粒子を含有する、項目5に記載の方法。
(項目10)
上記ナノ微粒子が、無機ナノ微粒子を含有し、該無機ナノ微粒子が、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、非晶質シリカ、アルミナ、コロイドアルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイドイットリア、コロイドジルコニア、非晶質ジルコニア、およびそれらの混合物から選択される、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記ナノ微粒子が、混合金属酸化物を含有する、項目9に記載の方法。
(項目12)
上記ナノ微粒子が、10%の最大ヘイズを有する、項目1に記載の方法。
(項目13)
上記第二相が、有機ナノ微粒子を含有する、項目5に記載の方法。
(項目14)
上記有機ナノ微粒子が、有機顔料を含有し、該有機顔料が、ペリレン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリン、ジオキサジン(すなわち、トリフェンジオキサジン)、1,4−ジケトピロロピロール、アントラピリミジン、アンタンスロン、フラバンスロン、インダンスロン、ペリノン、ピランスロン、チオインジゴ、4,4’−ジアミノ−1,1’−ジアントラキノニル、アゾ化合物、それらの置換誘導体、およびそれらの混合物から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記有機ナノ微粒子が、カーボンブラックを含有する、項目13に記載の方法。
(項目16)
上記ナノ微粒子が、上記分散体中に存在している全固形物の重量を基準にして、0.1〜50重量%の範囲の量で、該分散体中に存在している、項目1に記載の方法。
(項目17)
上記ポリマー(3)が、アクリルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエーテルポリマー、ケイ素系ポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーを含有する、項目1に記載の方法。
(項目18)
上記ポリマー(3)が、さらに、アミノプラスト樹脂および/またはポリイソシアネートを含有する、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記水性分散体が、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーと混合して、混和物を形成する工程;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のモノマーを含有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を含有する、工程;および
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程、
により調製される項目1に記載の方法。
(項目20)
上記水性分散体が、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび1種以上のポリマーの混合物と混合して、混和物を形成する工程;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体中に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび該1種以上のポリマーを含有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を含有する、工程;ならびに
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程、
により調製される、項目1に記載の方法。
(項目21)
上記水性分散体が、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上のポリマーと混合して、混和物を形成する工程;および
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体中に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のポリマーを含有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を含有する、工程、
により調製される、項目1に記載の方法。
(項目22)
(1)および/または(2)および/または(3)の酸価が、30mgKOH/g以下である、項目1に記載の方法。
(項目23)
ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体であって、該分散体は、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を以下と混合して、混和物を形成する工程:
(1)1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマー;および/または
(2)1種以上の重合可能な不飽和モノマーと1種以上のポリマーとの混合物;および/または
(3)1種以上のポリマー;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該混和物をマイクロ粒子に微粒子化する工程;ならびに
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程
により調製される、水性分散体。
(項目24)
上記マイクロ粒子が、複合材料マイクロ粒子を含有し、該複合材料マイクロ粒子が、第一相および第二相を有し、該第一相が、上記1種以上のモノマーおよび/または1種以上のポリマーを含有し、そして該第二相が、上記ナノ微粒子を含有する、項目23に記載の水性分散体。
(項目25)
上記ナノ微粒子が、色付与ナノ微粒子を含有する、項目23に記載の水性分散体。
(項目26)
上記第二相が、有機ナノ微粒子および/または無機ナノ微粒子を含有する、項目24に記載の水性分散体。
(項目27)
上記ナノ微粒子が、1〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目23に記載の水性分散体。
(項目28)
上記ナノ微粒子が、1〜150ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目23に記載の水性分散体。
(項目29)
上記ナノ微粒子が、1〜50ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目23に記載の水性分散体。
(項目30)
上記ナノ微粒子が、無機ナノ微粒子を含有する、項目24に記載の水性分散体。
(項目31)
上記ナノ微粒子が、無機ナノ微粒子を含有し、該無機ナノ微粒子が、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、非晶質シリカ、アルミナ、コロイドアルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイドイットリア、コロイドジルコニア、非晶質ジルコニア、およびそれらの混合物から選択される、項目30に記載の水性分散体。
(項目32)
上記無機ナノ微粒子が、混合金属酸化物を含有する、項目30に記載の水性分散体。
(項目33)
上記ナノ微粒子が、10%の最大ヘイズを有する、項目23に記載の水性分散体。
(項目34)
上記第二相が、有機ナノ微粒子を含有する、項目24に記載の水性分散体。
(項目35)
上記有機ナノ微粒子が、有機顔料を含有し、該有機顔料が、ペリレン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリン、ジオキサジン(すなわち、トリフェンジオキサジン)、1,4−ジケトピロロピロール、アントラピリミジン、アンタンスロン、フラバンスロン、インダンスロン、ペリノン、ピランスロン、チオインジゴ、4,4’−ジアミノ−1,1’−ジアントラキノニル、アゾ化合物、それらの置換誘導体、およびそれらの混合物から選択される、項目34に記載の水性分散体。
(項目36)
上記有機ナノ微粒子が、カーボンブラックを含有する、項目34に記載の水性分散体。
(項目37)
上記ナノ微粒子が、上記分散体中に存在している全固形物の重量を基準にして、0.1〜50重量%の範囲の量で、該分散体中に存在している、項目23に記載の水性分散体。
(項目38)
上記ポリマー(3)が、アクリルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエーテルポリマー、ケイ素系ポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーを含有する、項目23に記載の水性分散体。
(項目39)
上記ポリマー(3)が、さらに、アミノプラスト樹脂および/またはポリイソシアネートを含有する、項目38に記載の水性分散体。
(項目40)
以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーと混合して、混和物を形成する工程;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のモノマーを含有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を含有する、工程;ならびに
(d)遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程
を包含する方法により調製される、項目23に記載の水性分散体。
(項目41)
以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび1種以上のポリマーの混合物と混合して、混和物を形成する工程;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のモノマーおよび該1種以上のポリマーを含有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を含有する、工程;ならびに
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程
を包含する方法により調製される、項目23に記載の水性分散体。
(項目42)
以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上のポリマーと混合して、混和物を形成する工程;および
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のポリマーを含有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を含有する、工程
を包含する方法により調製される、項目23に記載の水性分散体。
(項目43)
(1)および/または(2)および/または(3)の酸価が、30mgKOH/g以下である、項目23に記載の水性分散体。
(項目44)
ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を含有するコーティング組成物であって、該水性分散体は、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を以下と混合して、混和物を形成する工程:
(1)1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマー;および/または
(2)1種以上の重合可能な不飽和モノマーと1種以上のポリマーとの混合物;および/または
(3)1種以上のポリマー;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のエチレン性不飽和モノマーを有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を有する、工程;ならびに
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程
により調製される、コーティング組成物。
(項目45)
上記ナノ微粒子が、有機ナノ微粒子および/または無機ナノ微粒子を含有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目46)
上記ナノ微粒子が、無機ナノ微粒子を含有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目47)
上記ナノ微粒子が、有機ナノ微粒子を含有する、項目45に記載のコーティング組成物。
(項目48)
上記ナノ微粒子が、1〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目49)
上記ナノ微粒子が、1〜150ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目50)
上記ナノ微粒子が、1〜50ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目51)
上記無機ナノ微粒子が、無機顔料を含有し、該無機顔料が、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、非晶質シリカ、アルミナ、コロイドアルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイドイットリア、コロイドジルコニア、非晶質ジルコニア、およびそれらの混合物から選択される、項目46に記載のコーティング組成物。
(項目52)
上記無機ナノ微粒子が、混合金属酸化物を含有する、項目46に記載のコーティング組成物。
(項目53)
上記ナノ微粒子が、10%の最大ヘイズ値を有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目54)
上記有機ナノ微粒子相が、有機顔料を含有し、該有機顔料が、ペリレン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリン、ジオキサジン(すなわち、トリフェンジオキサジン)、1,4−ジケトピロロピロール、アントラピリミジン、アンタンスロン、フラバンスロン、インダンスロン、ペリノン、ピランスロン、チオインジゴ、4,4’−ジアミノ−1,1’−ジアントラキノニル、アゾ化合物、それらの置換誘導体、およびそれらの混合物から選択される、項目47に記載のコーティング組成物。
(項目55)
上記有機ナノ微粒子が、カーボンブラックを含有する、項目47に記載のコーティング組成物。
(項目56)
上記ナノ微粒子が、上記分散体中に存在している全固形物の重量を基準にして、0.1〜50重量%の範囲の量で、該水性分散体中に存在している、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目57)
上記1種以上のポリマーが、アクリルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエーテルポリマー、ケイ素系ポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーを含有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目58)
上記1種以上のポリマーが、アミノプラスト樹脂および/またはポリイソシアネートを含有する、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目59)
上記1種以上のポリマーが、上記分散体中に存在している全固形物の重量を基準にして、20〜60重量%の範囲の量で、該水性分散体中に存在している、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目60)
上記水性分散体が、上記コーティング組成物中に存在している全固形物の重量を基準にして、1〜100重量%の範囲の量で、該コーティング組成物中に存在している、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目61)
上記水性分散体が、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーと混合して、混和物を形成する工程;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を含有する、工程;および
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程
を包含する方法を使用して調製される、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目62)
上記水性分散体が、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび1種以上のポリマーの混合物と混合して、混和物を形成する工程;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のエチレン性不飽和モノマーおよび該1種以上のポリマーを有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を有する、工程;ならびに
(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程
を包含する方法を使用して調製される、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目63)
上記水性分散体が、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を、1種以上のポリマーと混合して、混和物を形成する工程;および
(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該マイクロ粒子は、第一相に、該1種以上のポリマーを有し、そして第二相に、該ナノ微粒子を有する、工程
を包含する方法を使用して調製される、項目44に記載のコーティング組成物。
(項目64)
ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を調製するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;
(b)有機溶媒の存在下にて、該ナノ微粒子を1種以上の溶媒保持水分散性ポリマーと混合する工程;
(c)該混和物を、水性媒体の存在下で、高応力剪断状態に晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該複合材料マイクロ粒子は、第一相および第二相を有し、該第一相は、該1種以上のポリマーおよび、必要に応じて、該有機溶媒を含有し、そして第二相は、該ナノ微粒子を含有する、工程
を包含する、方法。
(項目65)
上記溶媒保持水分散性ポリマーが、イオン性塩の基、またはイオン性塩の基を形成できる基を含有する、項目64に記載の方法。
(項目66)
上記マイクロ粒子が、色付与ナノ微粒子を含有する、項目64に記載の方法。
(項目67)
上記ナノ微粒子が、1〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目64に記載の方法。
(項目68)
上記ナノ微粒子が、1〜150ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目64に記載の方法。
(項目69)
上記ナノ微粒子が、1〜50ナノメートルの範囲の平均粒径を有する、項目64に記載の方法。
(項目70)
上記ナノ微粒子が、10%の最大ヘイズを有する、項目64に記載の方法。
(項目71)
上記ナノ微粒子が、有機ナノ微粒子および/または無機ナノ微粒子を含有する、項目64に記載の方法。
(項目72)
上記ナノ微粒子が、無機ナノ微粒子を含有する、項目71に記載の方法。
(項目73)
上記ナノ微粒子が、無機微粒子を含有し、該無機微粒子が、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、非晶質シリカ、アルミナ、コロイドアルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイドイットリア、コロイドジルコニア、非晶質ジルコニア、およびそれらの混合物から選択される、項目72に記載の方法。
(項目74)
上記無機ナノ微粒子が、混合金属酸化物を含有する、項目72に記載の方法。
(項目75)
上記無機ナノ微粒子が、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、およびそれらの混合物を含有する、項目72に記載の方法。
(項目76)
上記ナノ微粒子が、有機ナノ微粒子を含有する、項目71に記載の方法。
(項目77)
上記有機ナノ微粒子が、有機顔料を含有し、該有機顔料が、ペリレン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリン、ジオキサジン、1,4−ジケトピロロピロール、アントラピリミジン、アンタンスロン、フラバンスロン、インダンスロン、ペリノン、ピランスロン、チオインジゴ、4,4’−ジアミノ−1,1’−ジアントラキノニル、アゾ化合物、それらの置換誘導体、およびそれらの混合物から選択される、項目76に記載の方法。
(項目78)
上記有機ナノ微粒子が、カーボンブラックを含有する、項目77に記載の方法。
(項目79)
上記ナノ微粒子が、上記分散体中に存在している全固形物の重量を基準にして、0.1〜50重量%の範囲の量で、該分散体中に存在している、項目64に記載の方法。
(項目80)
項目64に記載の方法により調製されたナノ微粒子を含有する、マイクロ粒子の安定な水性分散体。
(項目81)
水性媒体に分散された樹脂相を含有する電着可能コーティング組成物であって、該樹脂相は、以下:
(a)活性水素含有イオン性基含有電着可能樹脂;
(b)硬化剤であって、該硬化剤は、(a)の該活性水素と反応性である官能基を有する;および
(c)項目64に記載の方法により調製された複合材料マイクロ粒子の安定な水性分散体
を含有する、電着可能コーティング組成物。
(項目82)
導電性基板とコーティングとを含むコーティングされた基板であって、該コーティングは、項目81に記載の電着可能コーティング組成物から、該基板の少なくとも一部の上に形成されている、
コーティングされた基板。
(項目83)
項目64に記載の方法により調製されたマイクロ粒子の安定な水性分散体を含有する、コーティング組成物。
(発明の要旨)
1実施態様では、本発明は、ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体に関する。この分散体は、以下により、調製される:(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を以下と混合して、混和物を形成する工程:(1)1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマー;および/または(2)1種以上の重合可能な不飽和モノマーと1種以上のポリマーとの混合物;および/または(3)1種以上のポリマー;(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該混和物をマイクロ粒子に微粒子化する工程;および(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程。
【0013】
代替実施態様では、本発明は、ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を調製する方法および該方法により調製される安定な水性分散体に関し、ここで、該方法は、以下の工程を包含する:(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;(b)有機溶媒の存在下にて、該ナノ微粒子を1種以上の溶媒保持水分散性ポリマーと混合する工程;(c)該混和物を、高応力剪断状態に、水性媒体の存在下にて晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程であって、該複合材料マイクロ粒子は、第一相および第二相を有し、該第一相は、該1種以上のポリマーおよび必要に応じて有機溶媒を含有し、そして第二相は、該ナノ微粒子を含有する。
【0014】
さらに他の実施態様では、本発明は、ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の前記水性分散体を含有するコーティング組成物に関する。これらの分散体は、前記方法により、調製される。
【0015】
(発明の詳細な説明)
操作実施例以外、または特に明記しない限り、本明細書および請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数値または表現は、いずれの場合にも、「約」との用語により修飾されることが理解できるはずである。従って、以下の明細書および添付の請求の範囲で述べた数値パラメータは、他にそうでないことが示されていない限り、近似値であり、これは、本発明で得られる所望の特性に依存して、変わり得る。少なくとも、この請求の範囲の等価物の原則の適用に限定しようとするのではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の端数計算技術を適用することにより、解釈すべきである。
【0016】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例で述べた数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それらの各個の試験測定で見られる標準偏差から生じる一定の誤差を含む。
【0017】
また、本明細書中で列挙した任意の数値範囲は、その中に組み込まれる全ての副次範囲を含むと解釈されることが理解できるはずである。例えば、「1〜10」の範囲は、列挙した最小数である1と列挙した最大数である10との間の全ての副次範囲(これらの数を含めて)を含むと解釈され、すなわち、1に等しいかそれより大きい最小数および10以下の最大数を有する。
【0018】
先に述べたように、1実施態様では、本発明は、ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を調製する方法および該方法により調製されるマイクロ粒子の安定な水性分散体に関する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)300ナノメートル以下の平均粒径を有する複数のナノ微粒子を提供する工程;(b)必要に応じて、水性媒体の存在下にて、該ナノ微粒子を以下と混合して、混和物を形成する工程:(1)1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマー;および/または(2)1種以上の重合可能な不飽和モノマーと1種以上のポリマーとの混合物;および/または(3)1種以上のポリマー;(c)該混和物を、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態に晒して、該混和物をマイクロ粒子に微粒子化する工程;および(d)必要に応じて、遊離ラジカル重合条件下にて、該エチレン性不飽和モノマーを重合する工程。
【0019】
本発明で使用するのに適当なナノ微粒子には、当該技術分野で公知の無機材料、有機材料または無機/有機混成材料のいずれかを挙げることができる。
【0020】
これらの粒子の平均粒径が0.05ミクロンより大きい(すなわち、50ナノメートルより大きい)実施態様では、その平均粒径は、公知のレーザー散乱技術に従って、測定できる。例えば、このような粒子の平均粒径は、Horiba Model LA900レーザー回折粒径器具を使用して測定され、これは、633nmの波長のヘリウム−ネオンレーザーを使用して、その粒子の粒径を測定し、この粒子は、球形を有すると仮定する(すなわち、その「粒径」は、この粒子を完全に取り囲む最小の球を意味する)。
【0021】
その粒子の粒径が1ミクロン以下(すなわち、1000ナノメートル未満)である本発明の実施態様では、その平均粒径は、透過型電子顕微鏡(「TEM」)画像の電子顕微鏡写真を視覚検査することにより、その画像での粒子の直径を測定することにより、そしてTEM画像の倍率に基づいて平均粒径を計算することにより、決定できる。当業者は、このようなTEM画像をいかにして作成するかを理解し、このような1方法の説明は、以下で示す実施例で開示している。本発明の非限定的な1実施態様では、105,000Xの倍率のTEM画像が作成され、その倍率を1000で割ることにより、換算係数が得られる。視覚検査すると、これらの粒子の直径は、ミリメーターで測定され、その測定値は、この換算係数を使用して、ナノメーターに変換される。この粒子の直径は、その粒子を完全に取り囲む最小直径の球を意味する。
【0022】
これらの粒子の形状(または形態)は、本発明の特定の実施態様およびその目的用途に依存して、変えることができる。例えば、略球形の形態(例えば、固形ビーズ、マイクロビーズまたは中空球体)だけでなく、立方体、板状または針状(細長または繊維状)である粒子が使用できる。さらに、これらの粒子は、中空、多孔性または空孔なし、または前述のいずれかの組合せ(例えば、多孔性の壁または中実の壁と共に中空の中心部)である内部構造を有することができる。適当な粒子特性に関するそれ以上の情報については、H.Katzら(著)、Handbook of Fillers and Plastics(1987)(その内容は、本明細書中で参考として具体的に援用されている)を参照。
【0023】
本発明の分散体を含有する得られた分散体および/またはコーティング組成物の所望の性質および特性(例えば、コーティングの硬度、引っかき傷耐性、安定性または色)に依存して、当業者は、本発明の方法では、異なる平均粒径を有する1種以上の粒子の混合物が使用できることを認識する。
【0024】
これらのナノ微粒子は、高分子および非高分子無機材料、高分子および非高分子有機材料、複合材料、および前述のいずれかの混合物から選択される材料から形成できる。本明細書中で使用する「から形成された」との用語は、明確な制限のないクレーム用語(例えば、「含む」)である。そういうものとして、列挙した成分のリスト「から形成された」組成物は、少なくとも、これらの列挙した成分を含む組成物であり、さらに、その組成物の形成中にて、列挙されていない他の成分を含有できると解釈される。さらに、本明細書中で使用する「ポリマー」との用語は、オリゴマーを包含する意味であり、これには、単独ポリマーおよびコポリマーの両方が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書中で使用する「高分子無機材料」との用語は、炭素以外の元素に基づいた骨格繰り返し単位を有するポリマー材料を意味する。それ以上の情報については、James Markら、Inorganic Polymers,Prentice Hall Polymer Science and Engineering Series,(1992)の5ページ(その内容は、本明細書中で参考として具体的に援用されている)を参照。さらに、本明細書中で使用する「高分子有機材料」との用語は、合成高分子材料、半合成高分子材料および天然高分子材料を意味し、これらの全ては、炭素に基づいた骨格繰り返し単位を有する。
【0026】
本明細書中で使用する「有機材料」とは、炭素含有化合物を意味し、ここで、その炭素は、典型的には、それ自体に結合され、水素に結合され、しばしば、他の元素にも結合されるが、以下の化合物は除外する:二酸化炭素、炭化物、二硫化炭素などのような二成分化合物;金属シアン化物、金属カルボニル、ホスゲン、硫化カルボニルなどのような三成分化合物;および炭素含有イオン性化合物(例えば、炭酸金属塩(例えば、炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウム))。R.Lewis,Sr.,Hawley’s Condensed Chemical Dictionary,(12版、1993)の761〜762ページおよびM.Silberberg,Chemistry The Molecular Nature of Matter and Change(1996)の586ページ(これらの内容は、本明細書中で参考として具体的に援用されている)を参照。
【0027】
本明細書中で使用する「無機材料」との用語は、有機材料ではない任意の材料を意味する。
【0028】
本明細書中で使用する「複合材料」との用語は、2種またはそれ以上の異なる材料の組合せを意味する。複合材料から形成される粒子は、一般に、その表面の下にある内部の硬度とは異なる表面硬度を有する。さらに具体的には、この粒子の表面は、当該技術分野で周知の任意の様式で変性でき、これには、当該技術分野で公知の技術を使用してその表面特性を化学的または物理的に変えることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
例えば、粒子は、軟らかい表面を有する複合材料粒子を形成するために、1種以上の二次材料でコーティング、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成できる。さらに他の代替実施態様では、複合材料から形成された粒子は、異なる形状の一次材料でコーティング、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成できる。本発明で有用な粒子に関するそれ以上の情報については、G.Wypych,Handbook of Fillers,2版、(1999)の15〜202ページ(これらの内容は、本明細書中で参考として具体的に援用されている)を参照。
【0030】
上述のように、本発明の方法で有用なナノ粒子には、当該技術分野で公知の任意のナノサイズ化無機材料を挙げることができる。適当な粒子は、セラミック材料、金属材料、および前述のいずれかの混合物から形成できる。このような適当なセラミック材料の非限定的な例は、金属酸化物、混合金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、金属ケイ酸塩、金属ホウ化物、金属炭酸塩、および前述のいずれかの混合物を包含できる。金属窒化物の特定の非限定的な例には、窒化ホウ素がある;金属酸化物の特定の非限定的な例には、酸化亜鉛がある;適当な混合金属酸化物の非限定的な例には、ケイ酸アルミニウムおよびケイ酸マグネシウムが挙げられる;適当な金属硫化物の非限定的な例には、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タンタル、二硫化タングステンおよび硫化亜鉛がある;金属ケイ酸塩の適当な非限定的な例には、例えば、ケイ酸アルミニウムおよびケイ酸マグネシウム(例えば、バーミキュライト)がある。
【0031】
本発明の実施態様では、これらのナノ微粒子は、アルミニウム、バリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、セリウム、コバルト、銅、鉄、ランタン、マグネシウム、マンガン、モリブデン、窒素、酸素、リン、セレン、ケイ素、銀、イオウ、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛およびジルコニウム(適用可能な場合、それらの酸化物、それらの窒化物、それらのリン化物、それらのリン酸塩、それらのセレン化物、それらの硫化物、それらの硫酸塩、およびそれらの混合物を含めて)から選択される無機ナノ粒子を包含する。前述の無機マイクロ粒子の適当な非限定的な例には、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、炭化ホウ素、窒素ドープチタニアおよびセレン化カドミウムを挙げることができる。
【0032】
これらのナノ微粒子は、例えば、ほぼ単一の無機酸化物(例えば、コロイド形状、ヒュームド形状または非晶質形状のシリカ、アルミナまたはコロイドアルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイドイットリア、ジルコニア(例えば、コロイドジルコニアまたは非晶質ジルコニア)および前述のいずれかの混合物)のコア;または1種類の無機酸化物の上に他の種類の無機酸化物を堆積したものを含有できる。
【0033】
本発明のナノ微粒子を形成する際に有用な非高分子無機材料は、グラファイト、金属、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、硫化物、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩および水酸化物から選択される無機材料を包含できる。有用な無機酸化物の非限定的な例には、酸化亜鉛がある。適当な無機硫化物の非限定的な例には、二硫化モリブデン、二硫化タンタル、二硫化タングステンおよび硫化亜鉛が挙げられる。有用な無機ケイ酸塩の非限定的な例には、ケイ酸アルミニウムおよびケイ酸マグネシウム(例えば、バーミキュライト)が挙げられる。適当な金属の非限定的な例には、モリブデン、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、銅、金、鉄、銀、前述のいずれかの合金および混合物が挙げられる。
【0034】
本発明の1実施態様では、これらのナノ微粒子は、ヒュームドシリカ、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイドアルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイドイットリア、ジルコニア、コロイドジルコニアおよび前述のいずれかの混合物から選択できる。本発明の他の実施態様では、これらのナノ微粒子は、コロイダルシリカを含む。上で開示したように、これらの材料は、表面処理できるか、未処理であり得る。他の有用なナノ粒子には、米国特許第5,853,809号、6欄、51行目〜8欄、43行目(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されているような表面変性シリカが挙げられる。
【0035】
他の代替例として、ナノ微粒子は、硬い表面を有する複合材料を形成するために、1種以上の二次材料でコーティング、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成できる。あるいは、ナノ微粒子は、さらに他の代替実施態様では、硬い表面を有する複合材料を形成するために、異なる形状の一次材料でコーティング、クラッドまたはカプセル化された一次材料から形成できる。
【0036】
一例では、本発明を限定することなく、無機材料(例えば、炭化ケイ素または窒化アルミニウム)から形成された無機ナノ粒子は、有用な複合材料粒子を形成するために、シリカ、カーボネートまたはナノクレーのコーティングを備えることができる。他の非限定的な例では、アルキル側鎖を備えたシランカップリング剤は、無機酸化物から形成された無機ナノ粒子の表面と相互作用して、「軟らかい」表面を有する有用な複合材料粒子を提供できる。他の例には、異なる非高分子材料または高分子材料を使ってクラッディング、カプセル化またはコーティングされた、非高分子材料または高分子材料から形成された粒子が挙げられる。このような複合材料ナノ粒子の特定の非限定的な例には、DUALITE(商標)があり、これは、炭酸カルシウムでコーティングした合成高分子粒子であり、これは、Buffalo,NYのPierce and Stevens Corporationから市販されている。
【0037】
本発明の非限定的な1実施態様では、これらのナノ粒子は、ラメラ構造を有する。ラメラ構造を有する粒子は、六方晶配列の原子のシートまたはプレートから構成され、そのシート内では、強力な結合があり、シート間では、弱いファンデルワールス結合があり、シート間での剪断強度は、低い。ラメラ構造の非限定的な例には、六方晶結晶構造がある。ラメラフラーレン(すなわち、バッキーボール)構造を有する無機固形粒子もまた、本発明で有用である。
【0038】
本発明の粒子を形成する際に有用なラメラ構造を有する適当な材料の非限定的な例には、窒化ホウ素、グラファィト、金属ジカルコゲニド、マイカ、タルク、石膏、カオリナイト、方解石、ヨウ化カドミウム、硫化銀、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。適当な金属ジカルコゲニドには、二硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、二硫化タンタル、二セレン化タンタル、二硫化タングステン、二セレン化タングステン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
これらのナノ粒子は、非高分子有機材料から形成できる。本発明で有用な非高分子有機材料の非限定的な例には、ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸アルミニウム)、ダイアモンド、カーボンブラックおよびステアロアミドが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施態様では、これらのナノ微粒子は、カーボンブラックを含有する。
【0040】
これらのナノ粒子は、無機高分子材料から形成できる。有用な無機高分子材料の非限定的な例には、ポリホスファゼン、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリゲレマン、高分子イオウ、高分子セレン、シリコーン、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。本発明で使用するのに適当な無機高分子材料から形成された粒子の特定の非限定的な例には、TospealR.J.Perryの「Applications for Cross−Linked Siloxane Particles」Chemtech(1999年2月)の39〜44ページを参照)があり、これは、架橋シロキサンから形成された粒子であり、日本の東芝シリコーン株式会社から市販されている。
【0041】
これらのナノ粒子は、合成有機高分子材料から形成できる。適当な有機高分子材料の非限定的な例には、上述の熱硬化性材料および熱可塑性材料が挙げられるが、これらに限定されない。適当な熱可塑性材料の非限定的な例には、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリイソブテン)、アクリルポリマー(例えば、スチレンとアクリル酸モノマーとのコポリマー)、およびメタクリレート、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ビニルポリマーを含有するポリマー、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。
【0042】
適当な熱硬化性材料の非限定的な例には、熱硬化性ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ材料、フェノール類、アミノプラスト、熱硬化性ポリウレタン、および前述のもののいずれかの混合物が挙げられる。エポキシ材料から形成された合成ポリマー粒子の特定の非限定的な例には、エポキシミクロゲル粒子がある。
【0043】
これらのナノ粒子はまた、高分子および非高分子無機材料、高分子および非高分子有機材料、複合材料、および前述のいずれかの混合物から選択される材料から形成された中空粒子であり得る。これらの中空粒子が形成できる適当な材料の非限定的な例は、上で記述されている。
【0044】
本発明を実施する際に有用な有機材料には、有機顔料、例えば、アゾ(モノアゾ、ジアゾ、β−Naphthol、Naphthol AS塩型アゾ顔料レーキ)、ベンゾイミダゾロン、ジアゾ縮合、イソインドリン、イソインドリン)、および多環式(フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン(インダンスロン、アントラピリミジン、フラバンスロン、ピランスロン、アンタンスロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン)顔料、および前述のいずれかの混合物を挙げることができる。本発明の1実施態様では、この有機材料は、ペリレン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリン、ジオキサジン(すなわち、トリフェンジオキサジン)、1,4−ジケトピロロピロール、アントラピリミジン、アンタンスロン、フラバンスロン、インダンスロン、ペリノン、ピランスロン、チオインジゴ、4,4’−ジアミノ−1,1’−ジアントラキノニルだけでなく、それらの置換誘導体、およびそれらの混合物から選択される。
【0045】
本発明を実施する際に使用されるペリレン顔料は、非置換であり得るか、または置換され得る。置換ペリレンは、例えば、イミド窒素原子で置換され得、置換基には、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1個〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基、およびハロゲン(例えば、塩素)またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸のジイミドおよび二無水物が好ましい。粗ペリレンは、当該技術分野で公知の方法により、調製できる。W.Herbst and K.Hunger,Industrial Organic Pigments(New York:VCH Publishers,Inc.,1993),pages 9 and 467〜475、H.Zollinger,Color Chemistry(VCH Verlagsgessellschaft,1991),pages 227−228 and 297−298、およびM.A.Perkins,「Pyridines and Pyridones」 in The Chemistry of Synthetic Dyes and Pigments,ed.H.A.Lubs(Malabar,Fla.:Robert E.Krieger Publishing Company,1955),pages 481−482(これらの内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照。
【0046】
本発明を実施する際に、フタロシアニン顔料(特に、金属フタロシアニン)が使用され得る。銅フタロシアニンは、容易に入手できるものの、他の金属含有フタロシアニン顔料(例えば、亜鉛、コバルト、鉄、ニッケルおよび他のこのような金属をベースとするもの)もまた、使用され得る。金属を含まないフタロシアニンもまた、適当である。フタロシアニン顔料は、非置換であり得るか、または例えば、1個またはそれ以上のアルキル(これは、1個〜10個の炭素原子を有する)、アルコキシ(これは、1個〜10個の炭素原子を有する)、ハロゲン(例えば、塩素)、またはフタロシアニン顔料に典型的な他の置換基で部分的に置換され得る。フタロシアニンは、当該技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかにより、調製され得る。それらは、典型的には、好ましくは、有機溶媒中にて、無水フタル酸、フタロニトリルまたはそれらの誘導体と、金属供与体、窒素供与体(例えば、尿素またはフタロニトリルそれ自体)および任意の触媒との反応により、調製される。例えば、W.Herbst and K.Hunger,Industrial Organic Pigments(New York:VCH Publishers,Inc.,1993),pages 418−427、H.Zollinger,Color Chemistry(VCH Verlagsgessellschaft,1991),pages 101−104、およびN.M.Bigelow and M.A.Perkins,「Phthalocyanine Pigments」 in The Chemistry of Synthetic Dyes and Pigments,ed.H.A.Lubs(Malabar,Fla.:Robert E.Krieger Publishing Company,1955),pages 584−587を参照;また、米国特許第4,158,572号、第4,257,951号および第5,175,282号、および英国特許第1,502,884号(これらの内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照。
【0047】
本明細書中で使用するキナクリドン顔料には、非置換または置換キナクリドン(これらは、例えば、1個またはそれ以上のアルキル、アルコキシ、ハロゲン(例えば、塩素)、またはキナクリドン顔料に典型的な他の置換基で、置換されている)が挙げられ、そして本発明の実施に適当である。これらのキナクリドン顔料は、当該技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかにより調製され得るが、好ましくは、ポリリン酸の存在下にて、種々の2,5−ジアニリノテレフタル酸前駆体を熱的に閉環させることにより、調製される。例えば、S.S.Labana and L.L.Labana,「Quinacridones」 in Chemical Review,67,1−18(1967)、および米国特許第3,157,659号、第3,256,285号、第3,257,405号および第3,317,539号。
【0048】
イソインドリン顔料(これは、必要に応じて、対称的または非対称的に置換できる)もまた、本発明の実施に適当であり、当該技術分野で公知の方法により、調製できる。例えば、W.Herbst and K.Hunger,Industrial Organic Pigments(New York:VCH Publishers,Inc.,1993),pages 398−415。特に好ましいイソインドリン顔料であるPigment Yellow 139は、イミノイソインドリンとバルビツール酸前駆体との対称付加物である。ジオキサジン顔料(すなわち、トリフェンジオキサジン)もまた、適当な有機顔料であり、そして当該技術分野で公知の方法により、調製できる。例えば、W.Herbst and K.Hunger,Industrial Organic Pigments(New York:VCH Publishers,Inc.,1993),pages 534−537を参照。
【0049】
前記無機ナノ微粒子および有機ナノ微粒子のいずれかの混合物もまた、使用できる。
【0050】
本発明の水性分散体のいずれかで有用なナノ微粒子は、色付与ナノ微粒子を含有できる。「色付与ナノ微粒子」との用語は、可視領域での他の波長を吸収するよりも、可視光の一部の波長(すなわち、400〜700nmの範囲の波長)を著しく吸収するナノ微粒子を意味する。
【0051】
ナノ微粒子の正確な選択は、本発明の水性分散体を含有する任意の組成物の特定の用途および色性能要件に依存している。
【0052】
これらのナノ微粒子は、当該技術分野で公知の多数の種々の方法のいずれかにより、形成できる。1実施態様では、これらのナノ微粒子は、乾燥した微粒子材料を微粉砕し分級することにより、調製できる。例えば、バルク顔料(例えば、上述の無機または有機顔料のいずれか)は、0.5ミリメートル(mm)未満、または0.3mm未満、または0.1mm未満の粒径を有する粉砕媒体を使って、粉砕できる。これらの顔料粒子は、典型的には、高エネルギーミルにて、1種以上の溶媒(水、有機溶媒、または2種の混合物のいずれか)中で、必要に応じて、高分子粉砕媒体の存在下にて、ナノ微粒子サイズに粉砕される。もし必要なら、分散剤、例えば、(もし、有機溶媒中なら)、SOLSPERSE(登録商標)32000または32500(これは、Lubrizol Corporationから入手できる)、または(もし、水中なら)、SOLSPERSE(登録商標)27000(これもまた、Lubrizol Corporationから入手できる)が含有できる。これらのナノ微粒子を製造する他の適当な方法には、結晶化、沈殿、気相縮合、および化学摩滅(すなわち、部分溶解)が挙げられる。ナノ微粒子の再集塊が最小にされるか全く回避されるという条件で、ナノ微粒子を製造する任意の公知の方法が使用できることに注目すべきである。
【0053】
これらのナノ微粒子は、本発明の水性分散体中にて、その分散体に存在している全固形物の重量を基準にして、少なくとも0.1重量パーセントの量で、または少なくとも1重量パーセントの量で、または少なくとも15重量パーセントの量で、または少なくとも10重量パーセントの量で、存在できる。また、これらのナノ微粒子は、本発明の水性分散体中にて、その分散体に存在している全固形物の重量を基準にして、60重量パーセントまでの量で、または50重量パーセントまでの量で、または40重量パーセントの量で、または35重量パーセントの量で、存在できる。本発明の水性分散体に存在しているナノ微粒子の量は、列挙した値(列挙した値を含めて)の組み合わせの間の範囲であり得る。
【0054】
先に述べたように、本発明の実施態様によれば、この水性分散体は、必要に応じて、水性媒体の存在下にて、これらのナノ微粒子を、以下と混合して混和物を形成することにより、調製される:(1)1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマー;および/または(2)1種以上の重合可能な不飽和モノマーと1種以上のポリマーとの混合物;および/または(3)1種以上のポリマー。次いで、この混和物は、水性媒体の存在下にて、高応力剪断状態(以下で詳述する)にかけられて、混和物をマイクロ粒子に微粒子化する。もし存在するなら、次いで、これらのエチレン性不飽和モノマーは、下記の遊離ラジカル条件下にて、重合できる。
【0055】
本発明の方法のいずれかで使用される水性媒体は、一般に、もっぱら水のみである。しかしながら、一部のモノマーおよび/またはポリマー系には、また、例えば、分散されるポリマーの粘度を低下させるのを助けるために、少量の不活性有機溶媒を含有させることが望まれ得る。典型的には、本発明の水性分散体に存在する有機溶媒の量は、その分散体の全重量を基準にして、20重量パーセント未満であり得、または10重量パーセント未満であり得、または5重量パーセント未満であり得、そして2重量パーセント未満であり得る。例えば、もし、その有機相が、25℃で1000センチポアズより高いブルックフィールド粘度、またはWのGardner Holdt粘度を有するなら、一部の溶媒が使用できる。この目的のために混合できる適当な溶媒の例には、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、n−ブタノール、ベンジルアルコールおよびミネラルスピリットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
これらの重合可能なエチレン性不飽和モノマーには、含有されるとき、重合可能なエチレン性不飽和モノマー(当該技術分野で公知のビニルモノマーを含めて)のいずれかを挙げることができる。有用なエチレン性不飽和カルボン酸官能基含有モノマーの非限定的な例には、(メタ)アクリル酸、アクリル酸β−カルボキシエチル、アクリルオキシプロピオン酸、クロトン酸、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書中で使用する「(メタ)アクリル酸」およびそれから派生する用語は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を含むと解釈される。
【0057】
カルボン酸官能基を含まない他の有用なエチレン性不飽和モノマーの非限定的な例には、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ラウリルおよびジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール);ビニル芳香族化合物(例えば、スチレンおよびビニルトルエン);(メタ)アクリルアミド(例えば、N−ブトキシメチルアクリルアミド);アクリロニトリル;マレイン酸およびフマル酸のジアルキルエステル;ハロゲン化ビニルおよびビニリデン;酢酸ビニル;ビニルエーテル;アリルエーテル;アリルアルコール;それらの誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。
【0058】
これらのエチレン性不飽和モノマーには、また、エチレン性不飽和β−ヒドロキシエステル官能性モノマー(例えば、エチレン性不飽和酸官能性モノマー(例えば、モノカルボン酸(例えば、アクリル酸))と、この不飽和酸モノマーの遊離ラジカル開始重合に関与しないエポキシ化合物との反応により誘導されるもの)を挙げることができる。このようなエポキシ化合物の例には、グリシジルエーテルおよびエステルがある。適当なグリシジルエーテルには、アルコールおよびフェノールのグリシジルエーテル(例えば、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなど)が挙げられる。好ましいエポキシ化合物には、以下の構造(I)を有するものが挙げられる:
【0059】
【化1】


ここで、Rは、4個〜26個の炭素原子を含有する炭化水素ラジカルである。適当なグリシジルエステルには、CARDURA Eの商品名でShell Chemical Companyから市販されているもの、およびGLYDEXX−10の商品名でExxon Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。あるいは、このβ−ヒドロキシエステル官能性モノマーは、エチレン性不飽和エポキシ官能性モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよびアリルグリシジルエーテル)および飽和カルボン酸(例えば、飽和モノカルボン酸(例えば、イソステアリン酸))から調製できる。
【0060】
先に述べたように、これらのナノ微粒子はまた、1種以上のポリマーと混合できる。本発明の1実施態様では、このポリマーは、アクリルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエーテルポリマー、ケイ素系ポリマー、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択される1種以上のポリマーを含有できる。
【0061】
適当なアクリルポリマーには、上述のエチレン性不飽和および/またはビニルモノマーのコポリマーを挙げることができる。例えば、このアクリルポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸、またはアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、メタクリル酸ヒドロキシエチルまたはアクリル酸ヒドロキシプロピル)と、1種以上の他の重合可能エチレン性不飽和モノマー(例えば、アクリル酸のアルキルエステル(メタクリル酸メチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルを含めて))およびビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエン)とのコポリマーであり得る。
【0062】
エチレン性不飽和モノマーおよび/または他の付加重合可能なモノマーおよび前形成ポリマーを単独重合および共重合する適当な方法は、高分子合成の当業者に周知であり、それらのさらに詳細な論述は、本開示を考慮すると、必要とは考えられない。例えば、これらのエチレン性不飽和モノマーの重合は、バルクで、水溶液中もしくは有機溶媒(例えば、ベンゼンまたはn−ヘキサン)溶液中にて、乳濁液中にて、または水性分散体中にて、実行できる。Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.1(1963) at page 305。この重合は、適当な開始剤系(遊離ラジカル開始剤(例えば、過酸化ベンゾイルまたはアゾビスイソブチロニトリル)、アニオン性開始剤および有機金属開始を含めて)によって、引き起こすことができる。分子量は、溶媒または重合媒体の選択、開始剤またはモノマーの濃度、温度、および連鎖移動剤の使用により、制御できる。もし、情報を追加する必要があるなら、このような重合方法は、Kirk−Othmer,Vol.1 at pages 203−205,259−297および305−307で開示されている。
【0063】
アクリルポリマーのほかに、本発明の水性分散体で使用するのに適当なポリマーには、また、ポリエステルポリマーまたはオリゴマーを挙げることができる。このようなポリマーは、多価アルコールおよびポリカルボン酸を縮合することにより、公知の様式で、調製され得る。適当な多価アルコールには、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが挙げられる。適当なポリカルボン酸には、アジピン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸およびヘキサヒドロフタル酸を挙げることができる。前記ポリカルボン酸のほかに、これらの酸の官能性等価物(例えば、無水物(存在する場合)、またはそれらの酸の低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル))が使用され得る。また、少量のモノカルボン酸(例えば、ステアリン酸)が使用され得る。例えば、ヒドロキシル含有ポリエステルオリゴマーは、ジカルボン酸の無水物(例えば、無水ヘキサヒドロフタル酸)とジオール(例えば、ネオペンチルグリコール)とを1:2のモル比で反応させることにより、調製できる。適当なポリエステルポリマーは、もし望ましいなら、遊離末端水酸基および/またはカルボキシル基を含有するような様式で、調製され得る。
【0064】
もし望ましいなら、適当な乾性油脂肪酸が使用され得、これには、アマニ油、大豆油、トール油、脱水ヒマシ油またはキリ油から誘導されたものが挙げられる。
【0065】
ポリウレタンポリマー(例えば、当該技術分野で公知のポリウレタンポリマー)もまた、適当である。1実施態様では、このポリウレタンポリマーは、末端イソシアネート基または水酸基を含有する。このようなポリウレタンポリオールまたはNCO−末端ポリウレタンには、ポリオール(ポリマーポリオールを含めて)とポリイソシアネートとを反応させることにより調製されるものがある。使用できる末端イソシアネートまたは第一級または第二級アミン基含有ポリ尿素には、ポリアミン(ポリマーポリアミンを含めて)とポリイソシアネートとを反応させることにより調製されるものがある。そのヒドロキシル/イソシアネートまたはアミン/イソシアネート当量比が調整され、そして所望の末端基が得られるように、反応条件が選択される。適当なポリイソシアネートの例には、米国特許第4,046,729号、5欄、26行〜6欄、28行(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されているものがある。適当なポリオールの例には、米国特許第4,046,729号、7欄、52行〜10欄、35行(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されているものがある。適当なポリアミンの例には、米国特許第4,046,729号、6欄、61行〜7欄、32行および米国特許第3,799,854号、3欄、13〜50行で記述されているものがある。
【0066】
他の有用なポリマーには、ポリアミド(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミドおよびN−アルキルメタクリルアミド)を挙げることができる。
【0067】
ポリエーテルはまた、本発明の水性分散体を調製するのに使用できる。適当なポリエーテルポリマーの例には、例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、以下の構造式(II)または(III)を有するポリアルキレンエーテルポリオール)を挙げることができる:
【0068】
【化2】


ここで、置換基Rは、水素、または1個〜5個の炭素原子を含有する低級アルキル基(混合置換基を含めて)であり、そしてnは、典型的には、2〜6の範囲の値を有し、そしてmは、8〜100またはそれより高い範囲の値を有する。代表的なポリアルキレンエーテルポリオールには、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシテトラエチレン)グリコール、ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)グリコールおよびポリ(オキシ−1,2−ブチレン)グリコールが挙げられる。
【0069】
種々のポリオール(例えば、グリコール(例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAなど)、または他の高級ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど))のオキシアルキル化から形成されたポリエーテルポリオールもまた、有用である。指定されたように使用できる高級な官能性を有するポリオールは、例えば、スクロースまたはソルビトールのような化合物のオキシアルキル化により、製造できる。1つの一般的な使用されるオキシアルキル化には、酸性または塩基性触媒の存在下でのポリオールとアルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシド)との反応がある。ポリエーテルの特定の例には、TERATHANEおよびTERACOL(これらは、E.I.Du Pont de Nemours and Company,Inc.から入手できる)の名称で販売されているものが挙げられる。
【0070】
先に述べたように、本発明の水性分散体の調製で有用なポリマーには、ケイ素系ポリマーを挙げることができる。本明細書中で使用する「ケイ素系ポリマー」とは、骨格内に1個またはそれ以上の−SiO−単位を含有するポリマーを意味する。このようなケイ素系ポリマーには、ハイブリッドポリマー(例えば、骨格内に1個またはそれ以上の−SiO−単位を備えた有機ポリマー単位を含有するもの)を挙げることができる。
【0071】
一般に、本発明の水性分散体で有用なポリマーは、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィーで決定されるように、1000〜20,000または1500〜15,000または2000〜12,000の重量平均分子量(Mw)を有し得る。本発明の水性分散体の調製で使用するのに適当なポリマーは、熱硬化性または熱可塑性のいずれかであり得る。
【0072】
本発明のマイクロ粒子の水性分散体の調製で有用なポリマーはまた、典型的には、架橋剤と呼ばれる1種以上の物質を含有できる。このような物質には、ブロックドポリイソシアネート(これらは、ヒドロキシルおよび/またはアミン官能基含有物質、および/またはアミノプラスト樹脂を架橋するのに有用である)を挙げることができる。
【0073】
これらのポリイソシアネートは、もし使用するなら、通常、可逆的「ブロックド」ポリイソシアネートである。ここで使用できる適当なポリイソシアネートの例には、可逆的ブロックド(環状)脂肪族ポリイソシアネート(これらは、ビウレット基および/またはイソシアネート基を含有し、必要に応じて、アロファネート基もまた含有し得る)が挙げられる。このようなポリイソシアネートの例には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネート)、2,4−および/または2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン(水素化トルエンジイソシアネート)および4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンが挙げられる。このような可逆的ブロックドポリイソシアネートは、典型的には、当業者に周知の様式で、上記ポリイソシアネートをブロッキング剤で可逆的にブロックすることにより、調製される。
【0074】
本明細書中で使用する「ブロックド」または「可逆的ブロックド」との用語は、ブロッキング剤が高温(すなわち、40℃〜200℃の範囲の温度)でアンブロックまたは解離することを意味すると解釈される。適当なブロッキング剤の例には、低級脂肪族アルコール(例えば、メタノール)、オキシム(例えば、メチルエチルケトキシム)およびラクタム(例えば、カプロラクタム)を挙げることができる。他の適当なブロッキング剤には、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾールおよびイミダゾールが挙げられる。前記ブロッキング剤の混合物もまた、使用できる。本発明の好ましい実施態様では、実質的に疎水性の架橋剤(2)は、3,5−ジメチルピラソールで可逆的にブロックされた1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含有する。
【0075】
アミノプラスト樹脂は、ホルムアルデヒドとアミノ基またはアミド基を備えた物質との縮合生成物をベースにしている。アルコールおよびホルムアルデヒドとメラミン、尿素またはベンゾグアナミンとの反応により得られる縮合生成物は、最も一般的であり、ここで好ましい。しかしながら、他のアミンおよびアミドの縮合生成物(例えば、トリアジン、ジアジン、トリアゾール、グアナジン、グアナミン、このような化合物のおよびアルキル置換およびアリール置換誘導体のアルデヒド縮合物(アルキル置換およびアリール置換尿素およびアルキル置換およびアリール置換メラミンを含めて))もまた、使用できる。このような化合物の一部の例には、N,N’−ジメチル尿素、ベンゾ尿素、ジシアンジアミド、ホルマグアナミン(formaguanamine)、アセトグアナミン、グリコールウリル、アメリン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、3,5−ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2−メルカプト−4,6−ジアミノピリミジン、3,4,6−トリス(エチルアミノ)−1,3,5−トリアジンなどがある。使用されるアルデヒドは、最も普通には、ホルムアルデヒドであるものの、他の類似の縮合生成物は、他のアルデヒド(例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラール、グリオキサールなど)から製造できる。
【0076】
これらのアミノプラスト樹脂は、通常、メチロール基または他のアルキロール基を含有し、大ていの場合、これらのアルキロール基の少なくとも一部は、アルコールとの反応によりエーテル化されて、有機溶媒溶解性樹脂が得られる。この目的のためには、任意の一価アルコールが使用でき、これには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなどだけでなく、ベンジルアルコールおよび他の芳香族アルコール、環状アルコール(例えば、シクロヘキサノール、グリコールのモノエーテル)、およびハロゲン置換または他の置換アルコール(例えば、3−クロロプロパノールおよびブトキシエタノール)が挙げられる。通常使用されるアミノプラスト樹脂は、メタノールまたはブタノールで実質的にアルキル化されている。適当なアミノプラスト樹脂は、例えば、Cytec Industries,Inc.から、CYMEL(登録商標)の商品名で入手できる。
【0077】
これらのナノ微粒子はまた、必要に応じて、水性媒体の存在下にて、1種以上の上記重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび1種以上の上記ポリマーの混合物と混合できる。同様に、もし望ましいなら、上記ポリイソシアネートおよびアミノプラスト樹脂のいずれか一方または両方と上記1種以上のポリマーおよび/または上記1種以上のエチレン性不飽和モノマーとの混合物だけでなく、上記ポリイソシアネートおよびアミノプラスト樹脂の混合物が使用できる。
【0078】
本発明の実施態様では、本発明のマイクロ粒子の水性分散体は、複合材料マイクロ粒子を含有し、これは、第一相および第二相を有し、第一相は、前記1種以上のモノマーおよび/または1種以上のポリマー(およびもし使用するなら、有機溶媒)を含有し、そして第二相は、これらのナノ微粒子を含有する。これらのナノ微粒子を含有する第二相は、前記有機ナノ微粒子および/または無機ナノ微粒子のいずれかを含有できる。
【0079】
これらの1種以上のモノマーおよび/または1種以上のポリマーは、この分散体中にて、その分散体中に存在している全固形物の重量を基準にして、少なくとも10重量パーセントの量で存在でき、または少なくとも20重量パーセントの量で存在でき、そして少なくとも30重量パーセントの量で存在できる。また、この1種以上のモノマーおよび/または1種以上のポリマーは、この分散体中にて、その分散体中に存在している全固形物の重量を基準にして、60重量パーセントまでの量で存在でき、70重量パーセントまでの量で存在でき、そして80重量パーセントまでの量で存在できる。この分散体中に存在している1種以上のモノマーおよび/または1種以上のポリマーの量は、列挙された範囲を含めてこれらの値の組み合わせの間の範囲であり得る。
【0080】
先に述べたように、複合材料色付与粒子を調製する公知方法は、通常、乳化重合法を使用し、それにより、モノマーは、ナノサイズ粒子および/または色付与粒子の存在下にて重合されて、複合材料マイクロ粒子の安定な分散体を形成する。このようなモノマーは、一般に、比較的に高いレベルの親水性モノマー(例えば、カルボン酸基含有モノマー)だけでなく、比較的に高いレベルの親水性界面活性剤または分散剤を含有できる。このような分散体(もし、それらがコーティング組成物に含有されるなら)の親水性は、耐湿性に悪影響を与え得るか、または望ましくない水感受性を与え得る。本発明のナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体は、その結合剤系(すなわち、ポリマーおよび界面活性剤(もしあれば))が、典型的には、40mgKOH/結合剤系1グラム以下の酸価、または30mgKOH/結合剤系1グラム以下の酸価、または20mgKOH/結合剤系1グラム以下の酸価を有するので、前記マイナス効果をできるだけ少なくできるかなくすことができる。
【0081】
本発明のマイクロ粒子の水性分散体を調製する方法では、これらのナノ微粒子を上述の1種以上の重合可能なモノマーおよび/または1種以上のポリマーと混合した後、その混和物は、高応力剪断状態に晒されて、混和物をマイクロ粒子に微粒子化する。この高応力剪断は、当該技術分野で周知の高応力剪断技術のいずれかにより、達成できる。
【0082】
本明細書中で使用する「高応力剪断状態」との用語は、高応力技術(例えば、以下で詳細に述べる液−液衝撃技術)だけでなく、機械的手段による高速剪断技術を含むことを意味する。もし望ましいなら、この混和物のマイクロ粒子への微粒子化および必要な粒径分布を達成するのに十分な応力を加える限り、その混和物に応力を加えるいずれの様式も使用できることが理解できるはずである。
【0083】
この混和物は、MICROFLUIDIZER(登録商標)乳化機(これは、Newton MassachusettsのMicrofluidics Corporationから入手できる)を使用することにより、適当な応力に晒される。このMICROFLUIDIZER(登録商標)高圧衝突乳化機は、米国特許第4,533,254号で詳細に記述されており、その内容は、本明細書中で参考として援用されている。この装置は、高圧ポンプ(約1.4×10kPa(20,000psi)まで)および相互作用チャンバ(この中で、乳化が起こる)からなる。このポンプは、典型的には、水性媒体中の反応物の混和物を、強制的に、このチャンバに入れ、その場所で、それは、少なくとも2つの流れに分割され、これらは、非常に速い速度で、少なくとも2個のスリットを通過し、衝突して、その結果、小粒子が形成され、すなわち、この混和物が「微粒化する」。一般に、この反応混合物は、約3.5×10kPaと約1×10kPaの間(5,000psiと15,000psiの間)の圧力で、この乳化機に1回通される。複数回通すと、さらに小さい平均粒径および狭い粒径分布範囲を得ることができる。前述のMICROFLUIDIZER(登録商標)乳化機を使用するとき、上で記述したように、液−液衝突により、応力が加えられる。上記のように、必要な粒径分布を得るのに十分な応力が加えられる限り、この乳化前混合物に対する他の応力適用モードが利用できる。例えば、1つの代替応力適用様式としては、超音波エネルギーの使用がある。
【0084】
応力は、1単位面積あたりの力として記述される。MICROFLUIDIZER(登録商標)乳化機がこの乳化前混和物に応力を加えて微粒子化する正確な機構は、完全には分かっていないものの、応力は、1より多い様式で加えられると理論づけられている。応力を加える1つの様式は、剪断により、すなわち、その力は、1層または1平面が隣接した平行な平面と平行に移動するようにされると考えられている。応力はまた、束になった圧縮圧力として、全ての側面から加えることができる。この場合、応力は、いずれの剪断もなしに、加えられ得る。強烈な応力を生じるさらに他の様式は、空洞化による。空洞化は、液体内の圧力が蒸発を引き起こすのに十分に低下するときに、起こる。蒸気泡の形成および崩壊は、短時間に激しく起こり、強烈な応力を生じる。いずれの理論によっても束縛するつもりはないが、剪断および空洞化の両方は、この乳化前混合物を微粒化する応力を生じるのに寄与していると考えられる。
【0085】
上述のように、本発明の種々の実施態様では、これらのナノ微粒子は、1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーの混合物、または1種以上の重合可能なエチレン性不飽和モノマーおよび1種以上のポリマーと混合できる。もし、これらの方法のいずれかが使用されるなら、これらの重合可能なエチレン性不飽和モノマー(およびポリマー(もし使用するなら))は、必要に応じて、水性媒体の存在下にて、これらのナノ微粒子とブレンドされて、乳化前混和物を形成する。次いで、この乳化前混和物は、上記水性媒体の存在下にて、高応力状態に晒されて、その混和物は微粒化し、それにより、この水性媒体に分散されたマイクロ粒子が形成される。各粒子内の重合可能種は、もし存在するなら、典型的には、複合材料マイクロ粒子(各々は、第一有機またはポリマー相と、第二ナノ微粒子相とを有する)を生成するために十分な条件下で引き続いて重合されて(すなわち、このポリマーは、典型的には、下記の適当な遊離ラジカル重合条件下にて、その場で形成されて)、これらは、この水性媒体に安定に分散されている。
【0086】
ある場合には、この分散体を安定化するには、界面活性剤または分散剤が存在できる。この界面活性剤は、通常、マイクロ粒子に微粒化する前に上で言及した有機成分を水性媒体と混合するとき、存在している。あるいは、この界面活性剤は、これらのマイクロ粒子が形成された直後に、この媒体に導入できる。
【0087】
本発明の水性分散体の調製で使用するには、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤が適当である。本発明の実施態様では、この界面活性剤は、アニオン性界面活性剤を含有する。当業者に周知の他の物質もまた、ここで使用するのに適当である。一般に、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤の両方が共に使用され、界面活性剤の量は、この水性分散体の全固形物を基準にして、1パーセント〜10パーセントの範囲、典型的には、2パーセント未満であり得る。
【0088】
本発明の目的のために、マイクロ粒子の安定な分散体を生成するのに必要な界面活性剤の量は、しばしば、その分散体の安定性を促進する他の成分を使用することにより、できるだけ少なくできることが理解できるはずである。例えば、アミンで中和されて水分散性ポリマーを形成できる酸官能性を含むポリマーは、これらのナノ微粒子を含有する他の成分を分散するのに使用できる。
【0089】
これらのナノ微粒子(およびポリマー(もし使用するなら))の存在下にて、これらのエチレン性不飽和モノマーの重合を行うために、典型的には、遊離ラジカル開始剤が存在している。水溶性および油溶性の両方の開始剤が使用できる。水溶性開始剤の例には、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよび過酸化水素が挙げられる。油溶性開始剤の例には、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジラウリルおよび2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)が挙げられる。一般に、この反応は、20℃〜80℃の範囲の温度で、実行される。この重合は、バッチ工程または連続工程のいずれかで、実行できる。この重合を実行するのに必要な時間は、その時間が1種以上のエチレン性不飽和モノマーからその場でポリマーを形成するのに十分であるという条件で、10分間〜6時間の範囲であり得る。
【0090】
一旦、これらのマイクロ粒子が形成され、そして重合工程(もしあれば)が完結したなら、得られた生成物は、水性媒体(これは、有機溶媒を含有できる)中のマイクロ粒子の安定な分散体である。この有機溶媒の一部または全部は、例えば、40℃未満の温度で、減圧蒸留により、除去できる。本発明のマイクロ粒子の水性分散体のいずれかを参照して、本明細書中で使用する「安定な分散体」または「安定に分散された」とは、これらのマイクロ粒子が放置したときに水性媒体から沈降も凝固も凝集もしないことを意味する。
【0091】
上で述べたように、本発明のナノ微粒子のマイクロ粒子分散体のいずれかの局面は、上記または下記のように、その粒径が均一に小さいことを意味する。一般に、マイクロ粒子の分散体は、300ナノメートル未満の平均粒径および500ナノメートル未満の最大粒径を有することが望ましい。もし、この分散体が追加安定化材料(例えば、保護コロイド)を含有するなら、またはもし、その分散体の粘度が増大するなら、それより大きい粒径が可能である。明らかに、密集したナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の分散体は、同じ粒径ではあるが密度が低いマイクロ粒子の分散体よりも沈降する傾向が大きく、それゆえ、追加安定材料が必要であり得る。
【0092】
本発明の方法では、分散されたナノ微粒子は、典型的には、10%の最大ヘイズ、または、一部の実施態様では、5%、の最大ヘイズ、または、一部の実施態様では、1%の最大ヘイズ、または、他の実施態様では、0.5%の最大ヘイズを有する。本明細書中で使用する「ヘイズ」とは、ASTM D1003で決定されるような材料の透明性の尺度を意味する。
【0093】
本発明中で記述したナノ微粒子のヘイズ値は、まず、ナノ微粒子を液体(例えば、本明細書中で記述されているように、水、有機溶媒および/または分散剤)に分散させることにより、次いで、Byk−Gardner TCS(The Color Sphere)器具(これは、500ミクロンのセル経路長を有する)を使用して、溶媒(例えば、酢酸ブチル)で希釈された分散体を測定することにより、決定される。液体試料のヘイズ%は、濃度に依存しているので、本明細書中で使用するヘイズ%は、最大吸光度の波長で、約15%〜約20%の透過率で報告されている。比較的に大きい粒子については、それらの粒子と周囲の媒体との間の屈折率の差が小さいとき、許容できるヘイズが達成され得る。逆に、小さい粒子については、その粒子と周囲の媒体の屈折率の差が大きいと、許容できるヘイズが得られる。
【0094】
一般に、10%以下の所望のヘイズ(最小散乱)を達成するために、これらのナノ微粒子は、典型的には、300nm以下、または200nm以下、または150nm以下の平均一次粒径を有する。従って、ある実施態様では、本発明の方法において使用されるナノ微粒子は、このような一次粒径を有する。
【0095】
1実施態様では、本発明は、上記方法のいずれかまたは下記の代替方法のいずれかにより調製されたナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体に関する。
【0096】
さらに他の実施態様では、本発明は、ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体を含有するコーティング組成物に関し、この場合、マイクロ粒子の水性分散体は、上記方法のいずれかまたは下記の代替方法のいずれかにより、調製される。
【0097】
このようなコーティング組成物は、熱可塑性組成物または熱硬化性(すなわち、硬化可能)組成物であり得る。本明細書および請求の範囲中で使用する「熱硬化性材料」または「熱硬化性組成物」とは、硬化または架橋すると非可逆的に「固化する」ものを意味し、ここで、それらのポリマー成分のポリマー鎖は、共有結合で共に結合される。この特性は、通常、その組成物の成分の架橋反応(これは、しばしば、例えば、熱または放射線により誘発される)と関連している。Hawley,Gessner G.,The Condensed Chemical Dictionary,9版、856ページ;Surface Coatings,2巻、Oil and Colour Chemists’ Association,Australia,TAFE Educational Books(1974)。一旦、硬化または架橋すると、熱硬化性材料または組成物は、熱を加えても溶融せず、溶媒に不溶となる。対照的に、「熱可塑性材料」または「熱可塑性組成物」は、共有結合で結合されていないポリマー成分を含有し、それにより、加熱すると液体流れを受けることができ、溶媒に可溶となる。Saunders,K.J.,Organic Polymer Chemistry,41〜42ページ、Chapman and Hall,London(1973)。
【0098】
本発明のナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体のいずれかは、このようなコーティング組成物の主要な膜形成成分に相当できるか、あるいは、この水性分散体は、このコーティング組成物中の成分の1つのみに相当できることが理解できるはずである。例えば、本発明の水性分散体に加えて、このようなコーティング組成物はまた、樹脂結合剤系を含有でき、これは、1種以上のフィルム形成ポリマー(これらは、反応性官能基を含有しても含有しなくてもよい)および/またはもし適当なら、このフィルム形成ポリマーの官能基と反応性である官能基を有する架橋剤を含有する。前記のように、これらのマイクロ粒子の調製で使用される1種以上のポリマー、または1種以上のモノマーのその場での重合により形成される1種以上のポリマーは、反応性官能基を含有し得る。反応性基を有するこのようなポリマーは、架橋剤(例えば、このマイクロ粒子の有機相に含まれるアミノプラストまたはポリイソシアネート)との反応、またはコーティング組成物を構成する架橋成分(すなわち、硬化剤(これらは、本明細書中で記述した))のいずれかとの反応に利用できる。
【0099】
これらのコーティング組成物は、種々の用途(例えば、自動車用コーティング組成物、自動車用再仕上げ組成物、工業用コーティング、建築用コーティング、電着コーティング、粉体コーティング、コイルコーティングおよび航空宇宙用コーティング)で使用できる。
【0100】
これらのコーティング組成物中に存在しているナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体の量は、種々の要因(例えば、所望の最終色、使用する硬化方法、所望のコーティング性能特性など)に依存して、広く変えることができることが理解できるはずである。例えば、ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体は、このコーティング組成物中にて、(例えば、顔料ティントペーストとして使用するとき)、0.05重量パーセント程度に低い量で、また、(例えば、このコーティング組成物それ自体として使用するとき)、100重量パーセント程度に高い量で、存在できる。
【0101】
ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体に加えて、本発明のコーティング組成物は、1種以上のフィルム形成ポリマーを含有できる。このコーティング組成物でのこの用途に適当なフィルム形成ポリマーには、例えば、マイクロ粒子の水性分散体に関して上述のポリマーを挙げることができる。
【0102】
本発明の実施態様では、このフィルム形成ポリマーは、反応性官能基を含有し、そして硬化可能コーティング組成物で使用するのに適当である。このようなポリマーは、典型的には、硬化剤と併用され、例えば、水酸基、エポキシ基、カーバメート基、アミノ基またはカルボン酸基含有アクリルポリマー;ヒドロキシルまたはカルボン酸含有ポリエステルポリマーおよびオリゴマー;およびイソシアネートまたはヒドロキシル含有ポリウレタンポリマー、またはアミンまたはイソシアネート含有ポリ尿素(これらは、硬化速度、および硬化されたコーティングの外観および他の物理的特性を高めることができる)を挙げることができる。
【0103】
本発明の硬化可能コーティング組成物で使用するのに適当な硬化剤には、OH、COOH、アミドおよびカーバメート官能基含有物質用の硬化剤として、アミノプラスト樹脂およびフェノプラスト樹脂およびそれらの混合物を挙げることができる。本発明の硬化可能組成物中で硬化剤として適当なアミノプラスト樹脂およびフェノプラスト樹脂の例には、上記のもの、および米国特許第3,919,351号、5欄、22行〜6欄、25行(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたもののいずれかを挙げることができる。
【0104】
また、OHおよび一次および/または二次アミノ基含有物質用の硬化剤として、ポリイソシアネートおよびブロックドポリイソシアネート(上記)も適当である。本発明の硬化可能組成物で硬化剤として使用するのに適当なポリイソシアネートおよびブロックドポリイソシアネートには、上記のもの、および米国特許第4,546,045号、5欄、16〜38行;および米国特許第5,468,802号、3欄、48〜60行(両方の内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたものがある。
【0105】
OHおよび一次および/または二次アミノ基含有物質用の硬化剤としての無水物は、当該技術分野で周知である。本発明の硬化可能組成物で硬化剤として使用するのに適当な無水物の例には、米国特許第4,798,746号、10欄、16〜50行;および米国特許第4,732,790号、3欄、41〜57行(両方の内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたものがある。
【0106】
COOH官能基含有物質用の硬化剤としてのポリエポキシドは、当該技術分野で周知である。本発明の硬化可能組成物で硬化剤として使用するのに適当なポリエポキシドの例には、米国特許第4,681,811号、5欄、33〜58行(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたものがある。
【0107】
エポキシ官能基含有物質用のポリ酸硬化剤は、当該技術分野で周知である。本発明の硬化可能組成物で硬化剤として使用するのに適当なポリ酸の例には、米国特許第4,681,811号、6欄、45行〜9欄、54行(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたものがある。
【0108】
ポリオール(すなわち、1分子あたり平均して2個またはそれ以上の水酸基を有する物質)は、NCO官能基含有材料および無水物およびエステル用の硬化剤として使用でき、そして当該技術分野で周知である。該ポリオールの例には、米国特許第4,046,729号、7欄、52行〜8欄、9行;8欄、29行〜9欄、66行;および米国特許第3,919,315号、2欄、64行〜3欄、33行(両方の内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたものがある。
【0109】
ポリアミンもまた、NCO官能基含有材料用およびカーボネートおよび非障害エステル用の硬化剤として使用でき、そして当該技術分野で周知である。本発明の硬化可能組成物で硬化剤として使用するのに適当なポリアミンの例には、米国特許第4,046,729号、6欄、61行〜7欄、26行(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたものがある。
【0110】
望ましいとき、硬化剤の混合物が使用され得る。このような硬化可能組成物は、1成分組成物として調合でき、この場合、硬化剤(例えば、アミノプラスト樹脂および/またはブロックドイソシアネート化合物(例えば、上記のもの))は、他の組成物成分と混合される。この1成分組成物は、調合したとき、保存安定性であり得る。あるいは、組成物は、2成分組成物として調合でき、この場合、例えば、ポリイソシアネート硬化剤(例えば、上記のもの)は、塗布直前に、他の組成物成分の前形成混和物に加えることができる。この前形成混和物は、硬化剤(例えば、アミノプラスト樹脂および/またはブロックドイソシアネート化合物(例えば、上記のもの))を含有できる。
【0111】
先に述べたように、本発明のコーティング組成物は、熱可塑性組成物であり得る。このような場合、これらの1種以上のポリマー、および/またはマイクロ粒子の水性分散体を形成するために使用されるエチレン性不飽和モノマーからその場で形成されたポリマーは、反応性官能基を含有しても含有しなくてもよい。同様に、これらの熱可塑性コーティング組成物に含有される任意の追加ポリマーは、反応性官能基を含有しても含有しなくてもよい。
【0112】
本発明のコーティング組成物は、さらに、(マイクロ粒子の水性分散体中に存在している上記ナノ微粒子のいずれかに加えて)、1種以上の顔料を含有できる。適当な金属顔料の非限定的な例には、アルミニウム薄片、黄銅薄片、および金属酸化物コーティングマイカが挙げられる。これらの金属顔料の他に、これらのコーティング組成物はまた、表面コーティングで通常使用される非金属着色顔料、例えば、無機顔料(例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛およびカーボンブラック);および有機顔料(例えば、フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーン)を含有できる。充填顔料(例えば、粘土、タルクおよび炭酸カルシウム)もまた、含有できる。
【0113】
本発明のコーティング組成物はまた、任意の成分(例えば、表面コーティングを調合する技術分野で周知のもの)を含有できる。このような任意の成分は、例えば、界面活性剤、流動制御剤、チキソトロープ剤、充填剤、ガス発生防止剤、有機共溶媒、触媒、および他の通例の補助剤を包含できる。これらの物質および適当な量の非限定的な例は、米国特許第4,220,679号;第4,403,003号;第4,147,769号;および第5,071,904号で記述されており、これらの特許の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0114】
本発明のコーティング組成物は、単一コーティング(モノコート)、2層系でのクリアトップコーティングまたはベースコート、またはそれらの両方を形成するのに;または多層系(これは、透明トップコーティング組成物、着色剤層、および/またはベースコーティング組成物、および/またはプライマー層(例えば、電着プライマーおよび/またはプライマー−サーフェサー層を含む)を含む)のうちの1つ以上の層として、使用され得る。
【0115】
当業者が理解するように、塗膜厚および硬化温度および条件は、形成するコーティング層の種類(すなわち、プライマーコーティング、下塗り、モノコート)だけでなく、そのコーティング組成物それ自体(すなわち、熱硬化性か熱可塑性か、室温硬化可能か熱的硬化可能か)、および、もし熱硬化性であるなら、必要な硬化反応の種類に依存している。
【0116】
上述のように、本発明はまた、ナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を調製する代替方法に関する。この代替方法は、(a)複数のナノ微粒子(例えば、上記ナノ微粒子またはそれらの混合物のいずれか)を提供する工程、(b)有機溶媒(下記)の存在下にて、該ナノ微粒子を1種以上の溶媒保持水分散性ポリマーと混合する工程;(c)該混和物を、高応力剪断状態(例えば、上記高応力剪断方法のいずれか)に、上記のような水性媒体の存在下にて晒して、該水性媒体に分散された複合材料マイクロ粒子を形成する工程を包含する。
【0117】
これらのナノ微粒子は、500ナノメートル以下、または300ナノメートル以下、または200ナノメートル以下、または150ナノメートル以下、または100ナノメートル以下、または50ナノメートル以下の平均粒径を有し得る。また、これらのナノ微粒子は、1ナノメートル以上の平均粒径、または5ナノメートル以上の平均粒径、または10ナノメートル以上の平均粒径を有し得る。本発明で使用するのに適当なナノ微粒子の平均粒径は、列挙された値を含めた値の任意の組み合わせの間の範囲であり得る。
【0118】
これらの複合材料マイクロ粒子は、第一相および第二相を有し、該第一相は、1種以上の溶媒保持水分散性ポリマー、および必要に応じて、有機溶媒を含有し、そして該第二相は、ナノ微粒子を含有する。このような水性分散体は、同様に、コーティング組成物(特に、電着コーティング組成物)の成分として、特に有用である。
【0119】
本発明の実施態様では、これらのナノ微粒子は、300ナノメートル以下の平均粒径を有する。適当な有機溶媒の非限定的な例には、グリコールエーテル(例えば、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチル);アルコール(例えば、ブタノール、a−エチルヘキサノール、トリデシルアルコール);ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン);エステル(例えば、酢酸ブチル);芳香族炭化水素(例えば、キシレンおよびトルエン);および脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン)を挙げることができる。
【0120】
すぐ上で記述した代替実施態様で使用するのに適当な1種以上の溶媒保持水分散性ポリマーは、水性媒体に分散性、溶解性または乳化可能な種々のポリマーのいずれかである。このようなポリマーは、親水性基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、またはこのような親水性基の混合物)のいずれかを含有できる。このような親水性基は、このポリマー中に、このポリマーを水性媒体中に分散性、溶解性または乳化可能にするために十分な量で存在し得る。これらのポリマーは、十分に親水性であることによって、または酸または塩基で中和または可溶化して分散を促進することによって、いずれかによって、水性媒体中で分散性にできる。
【0121】
本発明の実施態様では、これらの1種以上のポリマー(すなわち、樹脂)には、イオン性塩の基、または(例えば、酸(カチオン性樹脂の場合)または塩基(アニオン性樹脂の場合)で中和することにより)イオン性塩の基を形成できる基を有するものがある。このようなイオン性樹脂は、電着可能コーティング組成物で特に有用である。広範囲の電着可能ポリマーが公知であり、それらのポリマーが「水分散性」であるかそうなるように適合できる(すなわち、水中で溶解、分散または乳化するように適合できる)限り、本発明の方法で使用できる。このポリマーは、事実上イオン性であるかそうなるように適合でき、すなわち、このポリマーは、負電荷を与えるように、アニオン性官能基を含有するか含有するように適合でき、または正電荷を与えるように、カチオン性官能基を含有するか含有するように適合できる。
【0122】
特定の実施態様では、これらのナノ微粒子は、水性媒体の存在下にてマイクロ粒子に微粒化する前に、有機溶媒の存在下にて、可溶化されていないが水分散性の溶媒保持樹脂と混合される。あるいは、これらのナノ微粒子は、電着可能コーティング組成物に関して下記のイオン性基含有フィルム形成樹脂(すなわち、ポリマー)のいずれかと混合できる。
【0123】
本発明はまた、水性媒体に分散された樹脂相を含有する電着可能コーティング組成物を提供する。該樹脂相は、以下を含有する:(a)活性水素含有イオン性基含有電着可能樹脂;(b)硬化剤であって、該硬化剤は、(a)の該活性水素と反応性である官能基を有する;および(c)上記方法により調製された複合材料マイクロ粒子の安定な水性分散体。
【0124】
アニオン性電着可能コーティング組成物で使用するのに適当なフィルム形成ポリマーの例には、カルボン酸含有ポリマー(例えば、乾性油または半乾性脂肪酸エステルとジカルボン酸または無水物との反応生成物または付加物);および脂肪酸エステル、不飽和酸または無水物および追加不飽和変性物質(これらは、さらに、ポリオールと反応される)の反応生成物がある。また、不飽和カルボン酸のヒドロキシ−アルキルエステル、不飽和カルボン酸および少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマーの少なくとも部分的に中和されたインターポリマーも、適当である。さらに他の適当な電着可能樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル(すなわち、アルキド樹脂およびアミン−アルデヒド樹脂を含有するビヒクル)を含有する。さらに他のアニオン性電着可能樹脂組成物は、樹脂ポリオールの混合エステルを含有する。これらの組成物は、米国特許第3,749,657号、9欄、1〜75行および10欄、1〜13行で詳細に記述されており、それらの全ての内容は、本明細書中で参考として援用されている。当業者に周知であるように、他の酸官能性ポリマー(例えば、リン酸塩化ポリエポキシドまたはリン酸塩化アクリルポリマー)もまた、使用できる。このようなポリマーは、塩基で可溶化でき、酸塩基が形成される。
【0125】
この樹脂は、カチオン性であり得、そしてカソード上に堆積できる。このようなカチオン性樹脂の例には、アミン塩基を含有するか含有するように適合できるポリマー(例えば、ポリエポキシドおよび第一級または第二級アミンの酸可溶化反応生成物(例えば、米国特許第3,663,389号;第3,984,299号;第3,947,338号;および第3,947,339号で記述されたもの))が挙げられる。通常、これらのアミン塩基含有樹脂は、ブロックドイソシアネート硬化剤と併用される。このイソシアネートは、前記米国特許第3,984,299号で記述されているように、完全にブロックできるか、または部分的にブロックされて樹脂骨格(例えば、米国特許第3,947,338号で記述されたもの)と反応できる。また、このフィルム形成ポリマーとして、米国特許第4,134,866号およびDE−OS第2,707,405号で記述された1成分組成物も、使用できる。これらのエポキシ−アミン反応生成物のほかに、フィルム形成樹脂はまた、カチオン性アクリルポリマー(例えば、米国特許第3,455,806号および第3,928,157号で記述されたもの)から選択できる。
【0126】
これらのアミン塩基含有樹脂のほかに、四級アンモニウム塩基含有樹脂もまた、使用できる。これらの樹脂の例には、有機ポリエポキシドと第三級アミン塩とを反応させることにより形成されるものがある。このような樹脂は、米国特許第3,962,165号;第3,975,346号;および第4,001,101号で記述されている。他のカチオン性樹脂の例には、三元スルホニウム塩基含有樹脂および四級ホスホニウム塩基含有樹脂(例えば、それぞれ、米国特許第3,793,278号および第3,984,922号で記述されたもの)がある。また、エステル交換によって硬化するフィルム形成ポリマーも、使用できる。さらに、マンニッヒ塩基から調製されたカチオン性樹脂(例えば、米国特許第4,134,932号で記述されたもの)も、使用できる。
【0127】
本発明が特に効果的である樹脂には、一次および/または二次アミン基を含有する正に荷電された樹脂がある。このような樹脂は、米国特許第3,663,389号;第3,947,339号;および第4,116,900号で記述されている。米国特許第3,947,339号では、ポリアミン(例えば、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラミン)のポリケチミン誘導体は、ポリエポキシドと反応される。その反応生成物が酸で中和され、水に分散されるとき、遊離第一級アミン基が生成される。また、ポリエポキシドが過剰のポリアミン(例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン)と反応され、過剰のポリアミンが反応混合物から真空ストリッピングされるとき、同等の生成物が形成される。このような生成物は、米国特許第3,663,389号および第4,116,900号で記述されている。
【0128】
この電着可能コーティング組成物の樹脂相は、さらに、(b)硬化剤を含有し、これは、すぐ上で記述したイオン性電着可能樹脂(a)の活性水素基と反応するように適合される。ブロックドポリイソシアネートおよびアミノプラスト硬化剤(例えば、上記のもののいずれか)の両方は、この目的のために適当である。
【0129】
このポリイソシアネートは、米国特許第No.3,984,299号、1欄、1〜68行、2欄および3欄、1〜15行で記述されているように、完全にブロックできるか、または米国特許第3,947,338号、2欄、65〜68行、3欄および4欄、1〜30行で記述されているように、部分的にブロックされてポリマー骨格と反応でき、それらの内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0130】
このような電着可能コーティング組成物は、当該技術分野で周知の電着方法のいずれかにより、種々の導電性基板のいずれかに塗布できる。
【0131】
本発明のナノ微粒子を含有するマイクロ粒子の水性分散体を調製する方法は、均一に小さい粒径を有するマイクロ粒子の安定な水性分散体を提供する。マイクロ粒子のこのような水性分散体は、電着可能コーティング組成物を含めたコーティング組成物で有用であり、この場合、それらは、発色および性能特性(例えば、耐湿性、引っかき傷耐性、塗膜透明性など)を向上できる。
【0132】
本発明は、以下の実施例で説明されているが、これらは、本発明をそれらの詳細に限定するものと見なされない。実施例だけでなく本明細書全体にわたって、全ての部およびパーセントは、特に明記しない限り、重量基準である。
【実施例】
【0133】
(実施例A)
(ポリウレタンプレポリマー)
本実施例は、ポリウレタンプレポリマーの調製を記述し、これは、引き続いて、実施例Iの各顔料分散体、および実施例1および2のラテックスを形成するのに使用した。このポリウレタンは、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0134】
【表1】


ポリ(ブチレンオキシド)は、1000の数平均分子量を有していた。
【0135】
このポリウレタンプレポリマーは、四ッ口丸底フラスコ(これには、温度プローブ、機械攪拌機、冷却器および加熱マントルを備え付けた)にて、調製した。このフラスコにて、100℃の温度で、全ての固形物が溶解されるまで、仕込みIを撹拌した。仕込みIIを加え、その混合物を100℃まで再加熱した。3時間にわたって、仕込みIIIを加えた。仕込みIVを使用して、滴下漏斗(これは、このTMXDIを含有する)をリンスし、次いで、その混合物の温度を、100℃で、さらに90分間維持した。仕込みVを加えて、T+のGardner−Holdt粘度および25.8の酸価を有する60%溶液を生成した。
【0136】
(実施例B)
(ポリエステルプレポリマー)
本実施例は、ポリエステルプレポリマーの調製を記述し、これは、引き続いて、実施例1および2のラテックスを形成するのに使用した。このポリエステルは、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0137】
【表2】


Shell Chemical Co.から市販されているブチル化ヒドロキシトルエン。
【0138】
このポリエステルプレポリマーは、四ッ口丸底フラスコ(これには、電子温度プローブ、機械攪拌機、冷却器、乾燥窒素散布および加熱マントルを備え付けた)にて、調製した。このフラスコにて、220℃で、留出物712mlが集められて酸価が4.8KOH/グラムまで低下するまで、仕込みIを撹拌した。この物質を85℃まで冷却し、そして仕込みIIを撹拌した。最終生成物は、淡黄色液体であり、これは、U+のGardner−Holdt粘度、3.8KOH/グラムの酸価、1516の数平均分子量(MN)、2767の重量平均分子量(Mw)、および77.6%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0139】
(実施例C)
(ポリウレタン/尿素プレポリマー)
本実施例は、ポリウレタン/尿素プレポリマーの調製を記述し、これは、引き続いて、実施例3および5のラテックスを形成するのに使用した。このポリウレタン/尿素は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0140】
【表3】


ポリ(ブチレンオキシド)は、1000の数平均分子量を有していた。
【0141】
このポリウレタン/尿素プレポリマーは、四ッ口丸底フラスコ(これには、温度プローブ、機械攪拌機、冷却器および加熱マントルを備え付けた)にて、調製した。このフラスコにて、100℃の温度で、全ての固形物が溶解されるまで、仕込みIを撹拌した。仕込みIIを加え、その混合物を80℃まで冷却した。15分間にわたって、仕込みIIIを加えた。仕込みIVを使用して、滴下漏斗(これは、このイソシアネートを含有する)をリンスし、次いで、その混合物の温度を、90℃で、さらに3時間維持した。10分間にわたって仕込みVを加え、続いて、仕込みVIを加えた。最終溶液は、Z5+のGardner−Holdt粘度、23.6の酸価、および56.3%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0142】
(実施例D)
(アクリル分散体)
本実施例は、アクリル分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例Jの各顔料分散体を形成するのに使用した。このアクリル分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0143】
【表4】


2リットルフラスコ(これは、空気攪拌機、熱電対および共沸蒸留セットアップを備えている)にて、仕込みIを混合した。仕込みIを還流状態まで加熱し、そして水を共沸で除いた。次いで、仕込みIを冷却し、そして窒素ブランケット下に置いた。窒素ブランケットを維持しつつ、仕込みIIおよびIIIを順に加えた。仕込みIVを滴下漏斗に加え、そして添加の前に15分間、窒素散布した。この反応フラスコに仕込みIVを加え、その混合物を、70℃まで、慎重に加熱した。固形分が60.7%まで達したとき、仕込みVを滴下漏斗に充填し、そして15分間にわたって、窒素散布した。70℃の反応温度を維持しつつ、30分間にわたって、その反応物に仕込みVを加えた。この反応物を6時間加熱し、次いで冷却して、窒素ブランケット下にて、一晩撹拌した。その反応混合物をトルエン500gで薄め、次いで、マグネソールの濾過ケークで濾過して、残留している触媒を除去した、真空下にて溶媒を除去して、固形分98.4%で、樹脂を得た。その数平均分子量(M)は、7469であった。その重量平均分子量(M)は、9212であった。M/Mは、1.2であった。
【0144】
(実施例E)
(ポリウレタン/尿素分散剤)
本実施例は、ポリウレタン/尿素分散剤の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例6のラテックスを形成するのに使用した。このポリウレタン/尿素分散剤は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0145】
【表5】


ポリ(ブチレンオキシド)は、1000の数平均分子量を有していた。
【0146】
フラスコにて、100℃の温度で、全ての固形物が溶解するまで、仕込みIを撹拌した。仕込みIIを加え、その混合物を50℃まで再加熱した。15分間にわたって仕込みIIIを加え、得られた混合物を、90℃で、3時間保持した。別のフラスコにて、仕込みIVを撹拌し、そして60℃まで加熱した。仕込みI、IIおよびIIIの反応生成物を仕込みIVに加え、得られた混合物を室温まで冷却した。最終生成物は、白色乳濁液であり、これは、16.3の酸価、763ポアズ(12rpmでスピンドル#5)のブルックフィールド粘度、7.3のpH、および38.8%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0147】
(実施例E1)
(ポリウレタン/尿素分散剤)
本実施例は、ポリウレタン/尿素分散剤の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例7および8のマイクロ粒子の各水性分散体を形成するのに使用した。このポリウレタン/尿素分散剤は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0148】
【表6】


ポリ(ブチレンオキシド)は、1000の数平均分子量を有していた。
【0149】
フラスコにて、100℃の温度で、全ての固形物が溶解するまで、仕込みIを撹拌した。仕込みIIを加え、その混合物を70℃まで再加熱した。15分間にわたって仕込みIIIを加え、続いて、仕込みIVを即座に加えた。得られた混合物を、90℃で、3時間保持し、次いで、仕込みVを加えた。別のフラスコにて、仕込みVIを撹拌し、そして70℃まで加熱した。仕込みI、II、III、IVおよびVの反応生成物を仕込みVIに加え、得られた混合物を室温まで冷却した。最終生成物は、白色乳濁液であり、これは、12.4の酸価、2.9ポアズ(60rpmでスピンドル#2)のブルックフィールド粘度、7.3のpH、および29.2%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0150】
(実施例F)
(ナノサイズ化顔料分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PB 15:3フタロシアニンブルー顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例1の分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0151】
【表7】


Lubrizol Corp.から市販されているSOLSPERSE 27000ハイパー分散剤。
BASF Corp.から市販されているPB 15:3フタロシアニンブルー顔料。
【0152】
上で列挙した成分を、水冷1リットルジャケット付きステンレス鋼ビーカー(これは、9.9cmの内径を有する)で混合した。これらの成分を、Premier Mill Laboratory Dispersator Model 2000(これには、3.8cmのカウルスブレードを備え付けた)を使用して、混合した。その混合物の粉砕媒体として、ガラスビーズ294.8gを使用した。これらのガラスビーズは、71ミクロンの平均直径を有し、そしてPotters Glass,Inc.から市販されている。
【0153】
この混合物を、6000rpmで、25時間粉砕した。試料の可視スペクトルを測定することにより、そして400ナノメートルの波長での吸光度の減少を観察することにより、この粉砕の進行をモニターした。この粉砕の過程において、この混合物に、必要なら、脱イオン水152.0gを追加して、混合物の粘度増加を相殺した。また、この混合物に、上記表で列挙した量に加えて、ガラスビーズ300.0g、Solsperse 27000(33.0g)および2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール0.8gを加えた。この混合物を5ミクロンのフェルトバッグで濾過して、これらのガラスビーズを除去した。生成物は、38.7%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0154】
(実施例G)
(ナノサイズ化PY128黄色顔料分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PY128黄色顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例2の分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0155】
【表8】


CIBAから市販されているPY128黄色顔料。
【0156】
上で列挙した成分を、水冷1リットルジャケット付きステンレス鋼ビーカー(これは、9.9cmの内径を有する)で混合した。これらの成分を、Premier Mill Laboratory Dispersator Model 2000(これには、7.6cmの平滑プラスチックブレードを備え付けた)を使用して、混合した。その混合物の粉砕媒体として、ガラスビーズ300.0gを使用した。これらのガラスビーズは、71ミクロンの平均直径を有していた。これらのビーズは、Potters Glass,Inc.から市販されている。
【0157】
この混合物を、6000rpmで、13時間粉砕した。試料の可視スペクトルを測定することにより、そして500ナノメートルの波長での吸光度の減少を観察することにより、この粉砕の進行をモニターした。この粉砕の過程において、この混合物に、必要なら、脱イオン水230.0gを追加して、混合物の粘度増加を相殺し、また、ガラスビーズ300.0gを追加した。この混合物を5ミクロンのフェルトバッグで濾過して、これらのガラスビーズを除去した。生成物は、29.3%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0158】
(実施例H)
(Emperor2000カーボンブラック顔料分散体)
本実施例は、Emperor2000カーボンブラック顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例3の分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0159】
【表9】


Baker Petroliteから市販されているPetrolite D1038エトキシ化ポリエチレン分散剤
Air Products,Inc.から市販されているSurfynol 104E界面活性剤
Cabot Corp.から市販されているEmperor2000カーボンブラック顔料
Byk Chemieから市販されているByk024ポリシロキサン。
【0160】
これらの成分を、FrymaKoruma Coball−Millにて、1mmのチタン球を使って粉砕した。その混合物を、2500rpmで、9リットル/時間の流速で、30分間粉砕した。生成物は、14.2%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)および30秒の粘度(これは、#4 DINを使用して、測定した)を有していた。
【0161】
(実施例I)
(ナノサイズ化PB 15:3フタロシアニンブルー顔料分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PB 15:3フタロシアニンブルー顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例4の分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0162】
【表10】


Rhodiaから市販されているIGEPAL CO−897非イオン性界面活性剤
ドデシルベンゼンスルホン酸は、イソプロパノール中で70%。
【0163】
これらの成分を、Advantis V15 Draisミル(これは、0.3mm YTZ粉砕媒体を含有する)にて、粉砕した。その混合物を、1650 rpmにて、157分間の全滞留時間わたって、粉砕した。試料の可視スペクトルを測定することにより、そして400ナノメートルの波長での吸光度の減少を観察することにより、この粉砕の進行をモニターした。この粉砕の過程において、この混合物の一部を除去し、そしてSolsperse 27000を少しずつ加えて、12.28%の顔料および2.67%のSolsperse 27000を含有する最終混合物を製造した。
【0164】
(実施例J)
(ナノサイズ化PR122キナクリドン顔料分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PR122キナクリドン顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例5の分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0165】
【表11】


Sun Chemicalから市販されているPR122キナクリドン顔料。
【0166】
これらの成分を、水冷1リットルジャケット付きステンレス鋼ビーカー(これは、9.9cmの内径を有する)中で、Premier Mill Laboratory Dispersator Model 2000(これには、3.8cmのカウルスブレードを備え付けた)を使用して、混合した。その混合物の粉砕媒体として、ガラスビーズ600.0gを使用した。これらのガラスビーズは、71ミクロンの平均直径を有する。これらのビーズは、Potters Glass,Inc.から市販されている。この混合物を、8000rpmで、13時間粉砕した。試料の可視スペクトルを測定することにより、そして400ナノメートルの波長での吸光度の減少を観察することにより、この粉砕の進行をモニターした。この粉砕の過程において、この混合物に、必要なら、脱イオン水25.0gを追加して、混合物の粘度増加を相殺した。この混合物を1ミクロンのフェルトバッグで濾過して、これらのガラスビーズを除去した。生成物は、17.8%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0167】
(実施例K)
(ナノサイズ化PY42黄色透明酸化鉄顔料分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PY42黄色透明酸化鉄顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例2の分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0168】
【表12】


BASFから市販されているPY42Sicotrans Yellow L1916。
【0169】
上で列挙した成分を、水冷1リットルジャケット付きステンレス鋼ビーカー(これは、9.9cmの内径を有する)で混合した。これらの成分を、Premier Mill Laboratory Dispersator Model 2000(これには、7.6cmの平滑プラスチックブレードを備え付けた)を使用して、混合した。その混合物の粉砕媒体として、0.8〜1.2mmのZirconoxビーズ1600.0gを使用した。この混合物を、5000rpmで、2時間粉砕した。この混合物を大フィルターコーンで濾過して、Zirconoxビーズを除去した。生成物は、41.8%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0170】
(実施例L)
(ナノサイズ化PR101赤色透明酸化鉄顔料分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PR101赤色透明酸化鉄顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例2の分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、以下で示した比で、以下の成分の混合物から調製した:
【0171】
【表13】


BASF Corp.から市販されているPR101 Sicotrans Red L2817。
【0172】
上で列挙した成分を、水冷1リットルジャケット付きステンレス鋼ビーカー(これは、9.9cmの内径を有する)で混合した。これらの成分を、Premier Mill Laboratory Dispersator Model 2000(これには、7.6cmの平滑プラスチックブレードを備え付けた)を使用して、混合した。その混合物の粉砕媒体として、0.8〜1.2mmのZirconoxビーズ1600.0gを使用した。
【0173】
この混合物を、5000rpmで、2.5時間粉砕した。この混合物を大フィルターコーンで濾過して、Zirconoxビーズを除去した。生成物は、39.4%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0174】
(マイクロ粒子の水性分散体)
(実施例1)
(10%ナノサイズ化PB 15:3)
本実施例は、ナノサイズ化PB 15:3フタロシアニンブルーを含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0175】
【表14】


ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロパノール中で70%
Cytec Industries,Inc.から市販されているメラミン
Exxon,Inc.から市販されている脂肪族炭化水素。
【0176】
ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。この乳濁液を、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、1時間にわたって、再生利用し、そして四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIIIを加えることにより、続いて、仕込みIVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、37℃まで上昇した。この温度を28℃まで下げ、そして仕込みVを加えた。この分散体の最終pHは、8.2であり、不揮発性物質含量は、37.1%であり、ブルックフィールド粘度は、26cps(スピンドル#1、50rpm)であり、そして平均粒径は、120ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のZetasizer 1000HSを使用して、測定した)であった。
【0177】
(実施例2)
(ナノサイズ化PY128を有する分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PY128を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0178】
【表15】


ドデシルベンゼンスルホン酸は、イソプロパノール中で70%である。
【0179】
ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。この乳濁液を、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、1時間にわたって、再生利用し、そして四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIIIを加えることにより、続いて、仕込みIVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、39℃まで上昇した。この温度を30℃まで下げ、そして仕込みVを加えた。この分散体の最終pHは、8.2であり、不揮発性物質含量は、35.5%であり、ブルックフィールド粘度は、28cps(スピンドル#1、50rpm)であり、そして平均粒径は、94ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のMalvern HHPS(1.10)を使用して、測定した)であった。
【0180】
(実施例3)
(ナノサイズ化カーボンブラック顔料を有する分散体)
本実施例は、ナノサイズ化Emperor 2000カーボンブラック顔料を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0181】
【表16】


ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。この乳濁液を、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、30分間にわたって、再生利用し、そして四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIIIを加えることにより、続いて、仕込みIVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、53℃まで上昇した。この温度を30℃まで下げ、そして仕込みVを加えた。この分散体の最終pHは、8.0であり、不揮発性物質含量は、30.3%であり、ブルックフィールド粘度は、110cps(スピンドル#2、50rpm)であり、そして平均粒径は、65ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のMalvern HHPS(1.10)を使用して、測定した)であった。
【0182】
(実施例4)
(22%ナノサイズ化PB 15:3顔料を有する分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PB 15:3フタロシアニンブルー顔料を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0183】
【表17】


ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。この乳濁液を、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、30分間にわたって、再生利用し、そして四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIIIを加えることにより、続いて、仕込みIVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、51℃まで上昇した。この温度を28℃まで下げ、そして仕込みVを加えた。この分散体の最終pHは、8.0であり、不揮発性物質含量は、38.4%であり、ブルックフィールド粘度は、199cps(スピンドル#2、60rpm)であり、そして平均粒径は、136ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のZetasizer 1000HSを使用して、測定した)であった。
【0184】
このラテックスの固形物は、21.7%の顔料、69.2%のポリマー、4.1%の界面活性剤および4.7%の顔料分散体(Solsperse 27000)からなっていた。
【0185】
(実施例5)
(ナノサイズ化PR122キナクリドン顔料を有する分散体)
本実施例は、ナノサイズ化PR122キナクリドン顔料を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0186】
【表18】


四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)。仕込みIIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIVを加えることにより、続いて、仕込みVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、34℃まで上昇した。この温度を30℃まで下げ、そして仕込みVIを加えた。ロータリーエバポレーターを使用して、この分散体が38.9%の不揮発性物質含量を有するまで、水を除去した。この分散体の最終pHは、7.6であり、ブルックフィールド粘度は、220cps(スピンドル#4、50rpm)であり、そして平均粒径は、267ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のMalvern HHPS(1.10)を使用して、測定した)であった。
【0187】
(実施例6)
(ナノサイズ化Tiona595白色顔料を有する分散体)
本実施例は、ナノサイズ化Tiona595二酸化チタン白色顔料を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0188】
【表19】


Millennium Chemicals,Inc.から市販されているTiona595ルチル二酸化チタン。
【0189】
ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、顔料分散体を調製した。仕込みIIを添加して、前乳濁液を作製した。この前乳濁液を、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、10分間にわたって、再生利用し、そして四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIVを加えることにより、続いて、仕込みVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、47℃まで上昇した。この分散体の最終pHは、7.1であり、不揮発性物質含量は、49.5%であり、ブルックフィールド粘度は、569cps(スピンドル#3、60rpm)であり、そして平均粒径は、276ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のZetasizer 1000HSを使用して、測定した)であった。
【0190】
(実施例7)
(ナノサイズ化PY42透明黄色酸化鉄を有する分散体)
本実施例は、透明黄色酸化鉄顔料PY42を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0191】
【表20】


ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。仕込みIを、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、10分間にわたって、再生利用し、その間、仕込みIIを同時に加えた。合わせた混合物をさらに10分間循環させ、次いで、四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIVを加えることにより、続いて、仕込みVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、55℃まで上昇した。この分散体の最終pHは、7.1であり、不揮発性物質含量は、37.4%であり、ブルックフィールド粘度は、95.4cps(スピンドル#2、60rpm)であり、そして平均粒径は、115ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のZetasizer 1000HSを使用して、測定した)であった。
【0192】
(実施例8)
(ナノサイズ化PR101透明赤色酸化鉄顔料を有する分散体)
本実施例は、透明赤色酸化鉄顔料PR101を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0193】
【表21】


ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。仕込みIを、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、10分間にわたって、再生利用し、その間、仕込みIIを同時に加えた。合わせた混合物をさらに10分間循環させ、次いで、四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIVを加えることにより、続いて、仕込みVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、55℃まで上昇した。この分散体の最終pHは、7.0であり、不揮発性物質含量は、36.3%であり、ブルックフィールド粘度は、145cps(スピンドル#2、60rpm)であり、そして平均粒径は、118ナノメーター(これは、Malvern Instruments,Ltd.製のZetasizer 1000HSを使用して、測定した)であった。
【0194】
(実施例9)
(ナノサイズ化PB15:1フタロブルー顔料を有する分散体)
本実施例は、通常の顔料であるPB15:1を含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0195】
【表22】


BT−729−D Endurphthalo Blue、PB 15:1顔料;Efka Chemicals製のEFKA 4550変性ポリアクリレート分散剤;脱イオン水(20.2/19.6/60.2重量%)。PPG Industriesから市販されている。
【0196】
ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。仕込みIを、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、15分間にわたって、再生利用し、次いで、四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIIIを加えることにより、続いて、仕込みIVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、44℃まで上昇した。この分散体の最終pHは、7.2であり、不揮発性物質含量は、33.6%であり、ブルックフィールド粘度は、1470cps(スピンドル#2、60rpm)であった。
【0197】
(比較例1)
本比較例は、実施例Hのカーボンブラック顔料分散体を標準水性アクリル分散体組成物と混合することによる黒色ベースコート組成物の調製を記述している。この組成物は、穏やかにかき混ぜつつ、以下の成分を順次混合することにより、調製した:
【0198】
【表23】


Setalux 6801水性アクリル分散体(これは、AKZO NOBEL Resinsから市販されている)
ブチルセロソルブ溶媒(これは、Eastmanから市販されている)
Surfynol 104E界面活性剤(これは、Air Products,Inc.から市販されている)
Joncryl 8004水性アクリル分散体(これは、S.C.Johnsonから市販されている)。
【0199】
いくつかの黒色ベースコート組成物を、プライムした電着鋼鉄パネルに噴霧塗布した。これらのベースコート組成物は、T408 Envirobase Black Basecoatおよび9700 Global Black Basecoat(両方は、PPG Industries,Inc.から市販されている)を含有していた。これらのベースコートはまた、比較例1と、実施例3のナノサイズ化カーボンブラック顔料を有する分散体とを含有していた。試験パネルは、冷間圧延鋼パネル(大きさは、4インチ×12インチ(10.16cm×30.48cm))であった。これらの鋼鉄パネルにED5000電着コーティング(これは、PPG Industries,Inc.から入手できる)およびGPXH5379プライマーサーフェサー(これもまた、PPG Industries,Inc.から入手できる)をコーティングした。これらの試験パネルは、Hillsdale,MichiganのACT Laboratories,Inc.製のAPR41428として、入手できる。
【0200】
これらの鋼鉄パネルを、P600グリッドサンドペーパーで湿潤砂やすりにかけ、水で洗浄し、そして乾燥した。そのプライマーは、D824 Prime Fill(これは、PPG Industries,Inc.から入手できる)であった。このプライマーを、製品データシートで提供された指示により示されているように、1:1の容量比で、D852 Prime Fill Catalyst(PPG Industries,Inc.)と混合した。これらのパネルを、140°F(60℃)で、30分間で焼き付け、次いで、室温まで冷却した。これらのパネルを、もう一度、P600グリッドサンドペーパーで砂やすりにかけ、水で洗浄し、そして乾燥した。次いで、これらのパネルを、DX330 Degreaser(これは、PPG Industries,Inc.から入手できる)で拭った。
【0201】
これらの黒色ベースコート組成物を、DeVilbiss GTI HVLP重力供給式スプレーガン(これには、413針、1.2空気ノズルおよびNo.2000エアキャップを備え付けている)を使用して、用意した鋼鉄パネルに手回し噴霧機で塗布した。このガンの基部での空気圧は、28lbs/インチ(2kg/cm)であった。各製品データシートで指示されているように、噴霧塗布には、T408 Envirobase Black Basecoatおよび9700 Global Black Basecoatの両方を用意した。比較例1およびラテックス実施例3を、変更を加えずに、噴霧した。
【0202】
各黒色ベースコート組成物を、約70°F(21℃)の温度および約40%の相対湿度で、コート間の約5分間のフラッシュを行なって、2コートで、塗布した。黒色および白色隠蔽チャートにより、このベースコート塗膜の構築により、その基板の完全な隠蔽が達成されたことが明らかとなった。そのコーティングを、クリアコート塗布の約30分前に、外気フラッシュした。
【0203】
黒色ベースコートに使用したものと同じスプレーガンを使用して、このクリアコートを手回し噴霧機で塗布した。このクリアコートは、Concept(登録商標)DCU2021 Urethane Clear(これは、PPG Industries,Inc.から入手できる)であった。このクリアコートを、3:1:0.5の容量比で、DCX61 High Solids Hardener(PPG Industries,Inc.)およびD871 Medium Thinner(PPG Industries,Inc.)と混合した。このクリアコートを、約70°F(21℃)の温度および約40%の相対湿度で、コート間の約10分間の外気フラッシュを行なって、2コートで、塗布した。約1.97〜2.17ミル(約50〜55マイクロメートル)の乾燥した膜厚が得られた。これらのパネルを、試験前7日間にわたって、水平位置で、外気での硬化にかけた。
【0204】
Minolta CM−3600d分光光度計を使用して、このベースコート層およびクリアコート層の両方を備えた硬化パネルを、ジェットネス(jetness)について測定した。これらのパネルは、D65日光光源下にて、10度の角度で、CIEラボ色測定アプリケーションによって、測定した。
【0205】
CIELab色空間は、L、aおよびbによって、定義される。「L」は、明度/暗度の尺度であり、数が少ないと、暗い色を生じる。「b」は、青色/黄色の尺度であり、数が少ないと、より青みのある色を生じる。「a」は、赤色/緑色の尺度であり、数が少ないと、より緑がかった色を生じる。L、aおよびbは、以下の等式に基づいて、測定した三刺激値X、Y、Zから、自動的に計算した:L=116f(Y/Yn)−16;a=500[f(X/Xn)−f(Y/Yn)];b=200[f(Y/Yn)−f(Z/Zn)]であって、ここで、Xn、YnおよびZnは、使用前の器具を較正するのに使用される標準白色試料の座標である。(Colloins,P.et al.,New Chemical Modification Technology Offers Breakthrough in Carbon Black Pigments for Automotive Coatings,Paper No.980714(1998).)。
【0206】
「黒度」のヒト知覚を表わす測定値を得るために、K.Lippok−Lohmerにより、color Dependent Black Value(Mc)が開発された。(Lippok−Lohmer,K.,Farbe+Lacke,92,p1024(1986)を参照)。
【0207】
Mc=100[log(Xn/X)−log(Zn/Z)+log(Yn/Y)]であって、この場合、高いMc値は、高いジェットネスのヒト知覚に相関している。Mc値は、分光光度計測定から作成されたL、aおよびbの値を使用して、以下で報告されている。
【0208】
【表24】


*は、比較例を示す。
T408 Envirobase Black Basecoatは、PPG Industries,Inc.から市販されている。
Global D9700 Basecoat Blackは、PPG Industries,Inc.から市販されている。
【0209】
上記表1で提示されたジェットネスの測定は、実施例3のナノサイズ化カーボンブラックらを含有する本発明の分散体が同じ測定によって評価された黒色ベースコートの最も高いMc値を有することを示している。この高い値は、高いジェットネスのヒト知覚と相関している。
【0210】
(実施例10)
実施例7および8のマイクロ粒子の水性分散体を使用して、それぞれ、噴霧用途のために、試料1および2(下記)の液体コーティング組成物を調製した。穏やかにかき混ぜつつ、表2の成分を混合することにより、それらのコーティングを調製した。
【0211】
【表25】


Aquaflow NLS 210レオロジー調節剤(これは、Hercules,Inc.から市販されている)を使用して、以下の前溶液を調製した:それぞれ、20/5/20の重量比の脱イオン水;ジエチレングリコールモノブチルエーテル;Aquaflow NLS 210
Baysilone 3739(Bayer Corporationから市販されているポリエーテル変性メチルポリシロキサン)
水希釈性ポリウレタン樹脂であって、これは、ジメチルエタノールアミン、メチルエチルケトンおよび脱イオン水(2.6/0.8/96.6の重量比)中にて、37.5%の固形分で、アジピン酸二水和物、ジメチロールプロピオン酸、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、イソホロンジイソシアネート(3.0/6.1/68.2/22.7の重量比)から形成される。
【0212】
試料1および試料2のコーティング組成物を、DeVilbiss GTI HVLP重力供給式スプレーガン(これには、413針、1.2空気ノズルおよびNo.2000エアキャップを備え付けている)を使用して、研磨したアルミニウム合金5252パネルに手回し噴霧機で塗布した。このガンの基部での空気圧は、28lbs/インチ(2kg/cm)であった。試料1および試料2は、変更を加えずに、噴霧した。
【0213】
各液体コーティングを、約70°F(21℃)の温度および約68%の相対湿度で、コート間の約10分間のフラッシュを行なって、2コートで、塗布した。これらのパネルを、試験前に4日間、水平位置で、外気での硬化にかけた。
【0214】
硬化したパネルを、20度光沢、乾燥膜厚およびケーニッヒ硬度について、試験した。硬化した塗膜の一般的な目視観察もまた、記した。20度光沢は、BYK Gardner マイクロ−TRI−光沢計を使用して、測定した。乾燥膜厚は、Fisherscope MMS(マルチ測定系)機器を使用して、測定した。適当なプローブを選択して、各コーティングの乾燥膜厚を測定した。その値は、表2にて、ミルで報告する。Byk Gardner Pendulum Hardness Testerを使用して、ケーニッヒ硬度を測定した。
【0215】
ケーニッヒ硬度試験を実行する手順は、ガラスブロック標準をスタンドに置くことにより、開始する。この装置は、水平でなければならない。次いで、ミネラルスピリットで濡らした軟ティッシュで拭うことにより、そして、それらを完全に乾燥させることにより、その振り子の支点ボールを清浄にした。この振り子を、ガラスブロック標準の上に穏やかに低下させる。次に、この支点を側方に移動させることなく、この振り子を6度偏向させ、そして装置のスタンド上のストップに寄り掛ける。この振り子を解除し、計数器を同時に始動する。時間(秒)を記録し、これは、装置が仕様内にあることを保証するために、250+/−10秒であるべきである。
【0216】
一旦、検証が完結すると、塗膜を上にして、その試験パネルをスタンドの上に置く。この装置を検証するのに使用したものと同じ手順を繰り返して、試験パネルを測定する。この時間(秒)は、塗膜硬度に相当している。大きい数は、硬い塗膜に相当している。
【0217】
記載した試験の結果は、以下の表3で報告する。
【0218】
【表26】


試料1および試料2の両方のコーティング組成物は、研磨したアルミニウム基板の上に、視覚的に透明な外観を有しており、これは、それぞれ、黄銅および銅金属の効果を与えた。
【0219】
(実施例11)
実施例9の分散体を使用して、試料3の液状コーティング組成物を調製した。そのコーティングは、穏やかにかき混ぜつつ、以下の成分を順次混合することにより、調製した:
【0220】
【表27】


試料3の組成物を、1:1の青色顔料重量とアルミニウム顔料重量との比で、Envirobase T483 Medium Aluminum(これは、PPG Industries,Inc.から市販されている)と手で混合し、試料5の組成物を生成した。試料5を比較例4(これは、以下の表5で示したように、調製した)と比較した。比較例4を、同様に、1:1の青色:アルミニウム顔料重量比で、混合した。また、比較例4は、試料5と同じ顔料(BT−729−D Endurphthalo Blue、15:1)を使用する。
【0221】
【表28】


Envirobase T412、Transparent Blueは、PPG Industries,Inc.から市販されている。
T412は、BT−729−D Endurphthalo Blue、15:1顔料を含有する。
Envirobase T483、Medium Aluminumは、PPG Industries,Inc.から市販されている。
【0222】
比較例4および試料5のコーティング組成物を電着した鋼鉄パネルに噴霧塗布した。これらのパネルは、冷間圧延鋼パネル(大きさは、4インチ×12インチ(10.16cm×30.48cm))であった。これらの鋼鉄パネルにED6060電着コーティング(これは、PPG Industries,Inc.から入手できる)および1177225Aプライマーサーフェサー(これもまた、PPG Industries,Inc.から入手できる)をコーティングした。これらの試験パネルは、Hillsdale,MichiganのACT Laboratories,Inc.製のAPR43731として、入手できる。
【0223】
これらの鋼鉄パネルを、P600グリッドサンドペーパーで湿潤砂やすりにかけ、水で洗浄し、そして乾燥した。
【0224】
比較例4および試料5の組成物を、DeVilbiss GTI HVLP重力供給式スプレーガン(これには、413針、1.2空気ノズルおよびNo.2000エアキャップを備え付けている)を使用して、用意した鋼鉄パネルに手回し噴霧機で塗布した。このガンの基部での空気圧は、28lbs/インチ(2kg/cm)であった。比較例4の組成物は、噴霧前に、脱イオン水で10重量%少なくし、そして試料5の組成物は、変更を加えずに、噴霧した。
【0225】
各液状コーティング組成物を、約70°F(21℃)の温度および約68%の相対湿度で、コート間の約5分間のフラッシュを行なって、2コートで、塗布した。黒色および白色隠蔽チャートにより、このベースコート塗膜の構築により、その基板の完全な隠蔽が達成されたことが明らかとなった。そのコーティングを、クリアコート塗布の約30分前に、外気フラッシュした。
【0226】
他のコーティングに使用したものと同じスプレーガンを使用して、このクリアコートを手回し噴霧機で塗布した。このクリアコートは、Concept(登録商標)DCU2055 Clear(これは、PPG Industries,Inc.から入手できる)であった。このクリアコートを、3:1:0.5の容量比で、DCX61 High Solids Hardener(PPG Industries,Inc.)およびD871 Medium Thinner(PPG Industries,Inc.)と混合した。このクリアコートを、約70°F(21℃)の温度および約68%の相対湿度で、コート間の約10分間の外気フラッシュを行なって、2コートで、塗布した。約1.75〜1.90ミルの乾燥した膜厚が得られた。これらのパネルを、試験前7日間にわたって、水平位置で、外気での硬化にかけた。
【0227】
硬化したパネルを、乾燥膜厚、20度光沢、画像の明瞭性、ケーニッヒ硬度および接着性について、試験した。硬化した塗膜の一般的な目視観察もまた、記した。乾燥膜厚は、Fisherscope MMS(マルチ測定系)機器を使用して、測定した。適当なプローブを選択して、各コーティングの乾燥膜厚を測定した。その値は、表6にて、ミルで報告する。20度光沢は、BYK Gardner マイクロ−TRI−光沢計を使用して、測定した。画像の明瞭性(DOI)は、「C−Box」 Model GB11−8 from Instruments for Research and Industries(12R)of Cheltenham、PAを使用して、測定した。ケーニッヒ硬度は、実施例10で記述した機器および手順を使用して、測定した。
【0228】
DOIを測定する手順は、C−Boxの下にある平坦な表面にコーティングされた基板を置くことを包含する。C−Boxの内側の光を出し、コーティング表面の反射率を使用して、C−Boxの下面でのLandoltリング(「C」)の画像を読み取ることができる。コーティング表面を、25〜30センチメートル(10〜12インチ)の距離で、垂直から約15〜30度で、視覚的に検査した。一連の各リングは、対応する数値(10ずつ増やして、10〜100)を有し、100は、最も小さいリングサイズを表わし、そして10は、最も大きいリングサイズを表わす。このコーティング表面は、まず、最も高い値を決定することにより、DOI測定値を割り当て、この場合、「C」の全ての群は、コーティング表面の反射率で識別可能であった。第二に、次の最も小さいサイズを観察した。もし、目に見える「C」の開口部は少数にすぎない場合、完全に目に見えるパターンの評点を記録した。もし、「C」開口部の少なくとも50%が小さいサイズのパターンで目に見えるなら、2つのパターンの間の評点を記録した。
【0229】
刃先を使用して、硬化したコーティングを通って基板へと2つのセットの10本の平行線を切断することにより、この基板に対する各硬化コーティングの接着性を測定した。まず、10本の平行線を、スペーシングテンプレートの助けを借りて、2ミリメートルの間隔で、切断した。各線は、約2インチの長さであった。次いで、第一セットとは垂直に、第二セットの10本の線を切断した。各線もまた、約2インチの間隔であった。その結果、100個の正方形のグリッドが得られた。3M Tape #898(約3インチの長さ)の小片を、線を刻みつけたグリッドに置き、良好な接触を保証するために、十分に滑らかにした。テープを塗布して90秒以内に、このテープを、1回の連続した動作で、急速に引き離した。このテープを60度の角度にできるだけ近く保持して、この引き離し行為を試験実行者に向けた。報告した値は、この基板上に残っている塗膜の割合を表わす。従って、100は、失敗がないことを意味する。
【0230】
上記試験の結果は、表6で分かる。
【0231】
【表29】


本発明の水性分散体を含有する試料5の組成物は、比較試料4よりも良好な全体的接着性およびDOIを有していた。ケーニッヒ硬度は、試料5の高い乾燥膜厚により説明できるように、僅かに柔軟であった。20度光沢は、両方の塗膜について、許容できた。
【0232】
比較試料4および試料5のコーティングの視覚検査により、試料5は、パネルの表面には明るくてより鮮明な青色の外観があり、また、このパネルを45度の角度で見たとき、それより暗いフロップ(flop)があった。
【0233】
(実施例AA)
本実施例は、ポリウレタン/尿素分散剤の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例DDの各水性分散体を形成するのに使用した。このポリウレタン/尿素分散剤は、以下の成分から調製した:
【0234】
【表30】


1000の数平均分子量を有するポリ(ブチレンオキシド)。
【0235】
フラスコにて、100℃の温度で、全ての固形物が溶解するまで、仕込みIを撹拌した。仕込みIIを加え、その混合物を70℃まで再加熱した。15分間にわたって仕込みIIIを加えた。仕込みIVを加え、得られた混合物を、90℃で、3時間保持した。仕込みVを加えた。別のフラスコにて、仕込みVIを撹拌し、そして70℃まで加熱した。仕込みI、II、III、IVおよびVの反応生成物を仕込みVIに加え、得られた混合物を室温まで冷却した。最終生成物は、白色乳濁液であり、これは、15.2の酸価、80センチポアズ(60rpmでスピンドル#3)のブルックフィールド粘度、7.4のpH、および28.4%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有していた。
【0236】
(実施例BB)
本実施例は、アクリル分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例Cの各顔料分散体を形成するのに使用した。このアクリル分散体は、示した比で、以下の成分から調製した:
【0237】
【表31】


2リットルフラスコ(これは、空気攪拌機、熱電対および共沸蒸留セットアップを備えている)にて、仕込みIを混合した。仕込みIを還流状態まで加熱し、そして水を共沸で除いた。次いで、仕込みIを冷却し、そして窒素ブランケット下に置いた。窒素ブランケットを維持しつつ、仕込みIIおよびIIIを順に加えた。仕込みIVを滴下漏斗に加え、そして添加の前に15分間、窒素散布した。この反応フラスコに仕込みIVを加え、その混合物を、70℃まで、慎重に加熱した。固形分が60.7%まで達したとき、仕込みVを滴下漏斗に充填し、そして15分間にわたって、窒素散布した。70℃の反応温度を維持しつつ、30分間にわたって、その反応物に仕込みVを加えた。この反応物を6時間加熱し、次いで冷却して、窒素ブランケット下にて、一晩撹拌した。その反応混合物をトルエン500gで薄め、次いで、マグネソールの濾過ケークで濾過して、残留している触媒を除去した。真空下にて溶媒を除去して、固形分98.4%で、樹脂を得た。その数平均分子量(M)は、7469であった。その重量平均分子量(M)は、9212であった。M/Mは、1.2であった。
【0238】
(実施例CC)
本実施例は、(15:3のP:B)でのナノサイズ化フタロシアニンブルー顔料分散体の調製を記述し、これは、引き続いて、実施例13の水性分散体を形成するのに使用した。この顔料分散体は、示した比で、以下の成分の混合物のバッチから調製した:
【0239】
【表32】


BASF Corp.から市販されているPB 15:3フタロシアニンブルー顔料。
【0240】
これらの成分を、Advantis V15 Draisミル(これは、0.3mm YTZ粉砕媒体を含有する)にて、粉砕した。その混合物を、1650 rpmにて、218分間の全滞留時間わたって、粉砕した。試料の可視スペクトルを測定することにより、そして400ナノメートルの波長での吸光度の減少を観察することにより、この粉砕の進行をモニターした。この粉砕の過程において、水4535.9gおよびプロピレングリコールモノブチルエーテル544.3gを加えて、24.4%の不揮発性物質含量(これは、110℃で、1時間測定した)を有する最終混合物を製造した。その粒径は、139nmであった。そのヘイズパーセントは、1.0%であり、これは、上記のような最大吸光度の波長で、約17.5%の透過率で測定した。
【0241】
(実施例DD)
本実施例は、ナノサイズ化PB 15:3フタロシアニンブルーを含有するマイクロ粒子の水性分散体の調製を記述している。この分散体は、以下の成分から調製した:
【0242】
【表33】


ステンレス鋼ビーカーにて、カウルスブレードを使って、仕込みIを撹拌することにより、前乳濁液を製造した。この乳濁液を、Microfluidizer(登録商標)M 110Tにて、8000psiで、1時間にわたって、再生利用し、そして四ッ口丸底フラスコ(これは、オーバーヘッド攪拌機、冷却器、電子温度プローブおよび窒素雰囲気を備え付けている)に移した。仕込みIIを使用して、このMicrofluidizer(登録商標)をリンスし、このフラスコに加えた。このマイクロ乳濁液の温度を30℃に調節した。仕込みIIIを加えることにより、続いて、仕込みIVを30分間加えることにより、重合を開始した。その反応物の温度は、43℃まで上昇した。この分散体の最終pHは、7.0であり、不揮発性物質含量は、32.6%であり、ブルックフィールド粘度は、56cps(スピンドル#2、60rpm)であった。
【0243】
実施例DDのマイクロ粒子の水性分散体を使用して、下記の実施例EEとして、保護コーティング組成物を調製した。
【0244】
(実施例EE)
本実施例は、保護コーティング組成物の調製を記述する。穏やかにかき混ぜつつ、以下で示した順序で、以下の成分を加えた:
【0245】
【表34】


14Aquaflow NLS 210レオロジー調節剤(これは、Hercules,Inc.から市販されている)を使用して、それぞれ、20/5/20の重量比で、以下の前溶液を調製した:脱イオン水;ジエチレングリコールモノブチルエーテル;Aquaflow NLS 210
15Baysilone 3739、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン(これは、Bayer Corporationから市販されている)
16水希釈性ポリウレタン樹脂であって、これは、アジピン酸ジヒドラジン、ジメチロールプロピオン酸、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、イソホロンジイソシアネート(ジメチルエタノールアミン、メチルエチルケトンおよび脱イオン水(2.6/0.8/96.6の重量比)中にて、37.5%固形分で、3.0/6.1/68.2/22.7の重量比)から形成した。
【0246】
上記実施例EEの組成物を、Envirobase T412 Transparent Blue Basecoat(これは、PPG Industries,Inc.から市販されている)(比較例FFと命名した)に対して評価した。両方のコーティング組成物を4×12インチ電着パネル(これは、ACT Laboratories,Inc.of Hillsdale,Michiganから、APR 43741として入手できる)に噴霧塗布した。これらのパネルを、P600グリッドサンドペーパーで湿潤砂やすりにかけ、水で洗浄し、そして乾燥した。これらの青色ベースコート組成物の各々を、DeVilbiss GTI HVLP重力供給式スプレーガン(これには、413針、1.2空気ノズルおよびNo.2000エアキャップを備え付けている)を使用して、用意したパネルに手回し噴霧機で塗布した。このガンの基部での空気圧は、28lbs/インチ(2kg/cm)であった。各製品データシートで指示されているように、噴霧塗布には、Envirobase T412 Transparent Blue Basecoat(比較例FF)を用意した。各コーティング組成物の各々を、約70°F(21℃)の温度および約68%の相対湿度で、コート間の約5分間のフラッシュを行なって、2コートで、塗布した。そのコーティングを、クリアコート塗布の約30分前に、外気フラッシュした。
【0247】
次いで、下塗りしたパネルに、Concept(登録商標)DCU2055 Clear coat(これは、PPG Industries,Inc.から入手できる)を塗布した。このクリアコートを、3:1:0.5の容量比で、DCX61 High Solids Hardener(PPG Industries,Inc.)およびD871 Medium Thinner(PPG Industries,Inc.)と混合した。このクリアコートを、約70°F(21℃)の温度および約40%の相対湿度で、コート間の約10分間の外気フラッシュを行なって、2コートで、塗布した。約1.50〜1.90ミル(36.8〜48.3マイクロメートル)の乾燥した膜厚が得られた。これらのパネルを、試験前7日間にわたって、水平位置で、外気での硬化にかけた。これらのパネルを、乾燥膜厚、初期20度光沢、初期接着性だけでなく、耐湿性試験の10日後の20度光沢および接着性について、試験した。
【0248】
乾燥膜厚は、Fisherscope MMS(マルチ測定系)機器を使用して、測定した。適当なプローブを選択して、各コーティングの乾燥膜厚を測定した。その値は、以下の表にて、ミルで報告する。20度光沢は、BYK Gardner マイクロ−TRI−光沢計を使用して、測定した。
【0249】
刃先を使用して、硬化したコーティングを通って基板へと2つのセットの6本の平行線を切断することにより、この基板に対する硬化コーティングの接着性を測定した。まず、これらの6本の平行線を、スペーシングテンプレートの助けを借りて、2ミリメートルの間隔で、切断した。各線は、約2インチの長さであった。次いで、第一セットとは垂直に、第二セットの6本の線を切断した。各線もまた、約2インチの間隔であった。その結果、25個の正方形のグリッドが得られた。3M Tape #898(約3インチの長さ)の小片を、線を刻みつけたグリッドに置き、良好な接触を保証するために、十分に滑らかにした。テープを塗布して90秒以内に、このテープを、1回の連続した動作で、急速に引き離した。このテープを60度の角度にできるだけ近く保持して、この引き離し行為を試験実行者に向けた。報告した値は、この基板上に残っている塗膜の割合を表わし、すなわち、100%は、失敗がないことを意味する。
【0250】
試験パネルを95%〜100%の相対湿度および40℃(104°F)の温度の環境に晒すことにより、耐湿性を試験した。これらのパネルを、この環境で、10日間保持し、次いで、試験のために取り除いた。この試験が終わった時点から1時間以内に、全ての試験を実行した。試験結果は、以下の表で提示する。
【0251】
【表35】


(実施例GG)
本実施例は、有機溶媒中での色付与ナノ微粒子分散体(これは、以下では、「ティント」と呼ぶ)の調製を記述している。この分散体は、以下にて、以下の成分から調製した。
【0252】
【表36】


最大吸光度の波長における約17.5%の透過率でのヘイズ割合
**最終固形分%値および顔料%値を得るように調節されたティント。
Solsperse(登録商標)(Lubrizol Corporation,Wickliffe,OH)。PY 128,Cromophtal(登録商標)Yellow 8GN(Ciba Specialty Chemicals,Inc.High Point,NC)。PR 122,Hostaperm(登録商標)Pink EB Trans(Clariant Corporation,Charlotte,NC)。PB 15:3,Heliogen(登録商標)Blue L 7081 D(BASF Corporation,Mount Olive,NJ)。
【0253】
上で示したように、Pigment Yellow 128(PY 128)を粉砕し、そしてAdvantis(登録商標)ミル(Draiswerke,Inc.,Mahwah,NJ)で分散した。その最終ティントの特性もまた、提供されている。分析のために、この最終ティントをプロピレングリコールn−プロピルエーテルで希釈した。そのヘイズ%は、Byk−Gardner TCS(The Color Sphere)機器(これは、500ミクロンのセル経路長を有する)で測定した。
【0254】
(実施例HH)
本実施例は、有機溶媒を保持した水分散性ポリマーの調製を記述しており、これは、本発明に従って、以下の実施例IIのマイクロ粒子の水分散体を調製するのに、使用される。このポリマーは、以下の成分から、下記のようにして、調製した。
【0255】
【表37】


アゾビス2,2−(2−メチルブチロニトリル)(これは、DuPont de Nemours and Companyから入手できる)
t−ブチルペロオクトテート(peroctoate)(これは、Atofina Chemical Inc.から入手できる)
メチルエチルケトキシムブロックドイソホロンジイソシアネートトリマー(これは、Degussa AGから入手できる)。
【0256】
3リットルのフラスコ(これは、窒素注入口、冷却器、攪拌機および熱電対を備え付けている)に仕込み1を充填し、そして120℃の温度まで加熱した。この仕込みを120℃で保持し、この重合段階中に撹拌した。この反応容器に、均一速度で、180分間の時間にわたって、仕込み2(モノマー供給原料)を供給した。次いで、10分間にわたって、仕込み3を加え、さらに15分後、10分間にわたって、仕込み4を加えた。その反応混合物を、さらに15分間撹拌した。次いで、溶媒洗浄液を加え、そして撹拌を30分間継続して、この重合段階を完結した。フラスコの内容物を90℃の温度まで冷却し、そして27.4gの蒸留水を加えた。このフラスコにディーン−スターク冷却器を取り付け、その温度を128℃まで上げ、そして76gの留出物を集めた。90℃まで冷却した後、次いで、仕込み5を加え、フラスコの内容物を128℃の温度まで加熱した。この温度を90分間維持した。90℃まで冷却した後、仕込み6を加えた。Vestanat Bが完全に溶解するまで、激しい撹拌を維持した。次いで、仕込み7および溶媒希釈剤(solvent thin)加え、その混合物が均一になるまで、撹拌を継続した。
【0257】
(実施例II)
本実施例は、本発明に従って上記実施例GGのナノ微粒子分散体を含有するマイクロ粒子のカチオン性水性分散体の調製を記述している。この水性分散体は、以下の成分から、下記のようにして調製した:
【0258】
【表38】


88%水溶液。
【0259】
プラスチックビーカーに、実施例HHのポリマー(これは、2重量%未満の水を含有する)を充填した。次いで、このポリマーに実施例GGの溶媒保持ナノ顔料分散体を加え、そしてハイリフトブレードを使用して、撹拌を開始した。剪断下にて5分後、この溶液は、均一であるように見えた。次いで、剪断を継続しつつ、この混合物に、乳酸を加えた。次いで、水が連続相となり、この水相中にポリマー/ナノ微粒子が分散されるように、その混合物が相を反転させるまで、撹拌を続けながら混合物に脱イオン水をゆっくりと加えた。脱イオン水でマイクロ粒子分散体を10重量%の非揮発性物質となるまで希釈すると、50cps未満の粘度、4.85のpHおよび約550マイクロシーメンスの導電率を有するコーティング浴が得られた。10%固形分の浴は、粒子の凝集または集塊の目に見える徴候を示さなかった。
【0260】
(用途)
合金5252の研磨したアルミニウム基板(これは、大阪市中央区の住友金属工業株式会社から入手できる)を、60秒の持続時間にわたって、80°Fの浴温度および50Vの電圧を使用して、実施例IIの水性マイクロ粒子分散体で電着コーティングした。次いで、コーティングしたパネルを脱イオン水でリンスし、そして電気オーブンにて320°F(160℃)の温度で30分間加熱することにより、硬化した。Fisherscope(登録商標)MMS機器を使用して、硬化したパネルについて、0.70ミル(17.2マイクロメートル)の乾燥膜厚を測定した。実施例IIのコーティングは、平滑性、透明性、光沢および画像の明瞭性について、ナノ微粒子分散体を含有しない類似の組成物から同様の条件下にて電着されたコーティングと、視覚的に類似している。
【0261】
(実施例JJ)
本実施例は、本発明に従って上記実施例GGのナノ微粒子分散体を含有するマイクロ粒子のアニオン性水性分散体の調製を記述している。この水性分散体は、以下の成分から、下記のようにして調製した:
【0262】
【表39】


PPG Industries,Inc.から市販されているアニオン性電着可能樹脂成分
アクリル酸n−ブチル62重量%、スチレン22%重量およびメタクリル酸16重量%のアクリルコポリマー(これは、n−ブチルアルコールおよび2−ブトキシエタノール(58:42の重量比)の溶媒混合物中にて、79.7%の固形分含量を有する)。
【0263】
このアクリルポリマーをプラスチックビーカーに充填した。次いで、実施例GGの溶媒保持ナノ顔料分散体を加え、そしてハイリフトブレードを使用して、剪断を開始した。5分後、その混和物は、均一であるように見えた。別の容器にて、AR−210を充填し、そしてハイリフトブレードで撹拌した。次いで、この混和物を、剪断下にて、AR210にゆっくりと加えた。次いで、この樹脂混合物を10分間撹拌した。次いで、十分な脱イオン水を加えて、10重量%の電着可能浴を形成した。この浴は、顔料の凝集のいずれの目に見える徴候も示さず、そして8.43のpH、約550マイクロシーメンスの導電率および50cps未満の粘度を有していた。
【0264】
(用途)
合金5252の研磨したアルミニウム基板(これは、大阪市中央区の住友金属工業株式会社から入手できる)を、60秒の持続時間にわたって、80°F(26.7℃)の浴温度および50Vの電圧を使用して、実施例JJのアニオン性電着浴で電着コーティングした。次いで、コーティングした基板を脱イオン水でリンスし、そして電気オーブンにて325°F(160℃)の温度で30分間加熱することにより、硬化した。Fisherscope(登録商標)MMS機器を使用して、硬化したパネルについて、0.75ミル(18.4マイクロメートル)の乾燥膜厚を測定した。実施例JJのコーティングは、平滑性、透明性、光沢および画像の明瞭性について、ナノ微粒子分散体を含有しない類似の組成物から同様の条件下にて電着されたコーティングと、視覚的に類似している。
【0265】
上記実施態様に対して、その広義の発明的な概念から逸脱することなく、変更を行うことができることを、当業者は理解する。従って、本発明は、開示された特定の実施態様には限定されず、添付の請求の範囲で規定されている本発明の精神および範囲内にある改良を含むと解釈されることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される方法

【公開番号】特開2009−91589(P2009−91589A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312775(P2008−312775)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【分割の表示】特願2006−517657(P2006−517657)の分割
【原出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】