説明

ナノ構造体製造方法、ナノ構造体、磁性ナノ構造体、磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置

【課題】ナノサイズの磁性粒子を所望の形状やサイズで製造する。
【解決手段】有機溶媒での溶解処理で溶解することができるレジスト512からなり、ナノサイズの凹凸を有する型510を作成し(ステップS101〜ステップS102)、MBE法によりCoの膜とPdの膜とを型510上に交互に積層して磁性膜530を形成し(ステップS103)、型510の凹部内に堆積した磁性膜530を、有機溶媒での溶解処理によってレジスト512を除去することで取り出すことで磁性粒子211を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、ナノサイズの構造体を製造するナノ構造体製造方法、そのようなナノ構造体製造方法で製造されたナノ構造体、そのようなナノ構造体製造方法で製造された磁性ナノ構造体、そのようなナノ構造体製造方法で製造されたナノサイズの磁性材料の構造体を利用した磁気記憶媒体を製造する磁気記憶媒体製造方法、そのような磁気記憶媒体製造方法で製造された磁気記憶媒体、そのような磁気記憶媒体が搭載された情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)は、データの高速アクセス及び高速転送が可能な大容量記憶装置として、情報記憶装置の主流になっている。このHDDについては、これまでも高い年率で面記録密度が高まっており、現在でもさらなる記録密度向上が求められている。
【0003】
近年、このようなHDDに搭載される次世代の磁気記憶媒体として、高い記録密度と安定的な情報記録や情報再生が期待される、例えばFePt等の磁性材料で形成されたナノサイズの磁性粒子が基板上に配列された構造を有する磁気記憶媒体が研究されている。
【0004】
ここで、一般的な磁気記憶媒体としては、基板上に磁性材料で連続的に形成された記録層を有するいわゆる連続媒体や、基板上に磁性材料で連続的に形成された複数のトラックを有し、各トラック間が非磁性材料で分離されたいわゆるディスクリートメディアや、各々が磁性材料で形成され情報の最小単位が記録される複数のビットが等間隔で並べられたいわゆるビットパターンドメディア等が知られている。ここで、上記の次世代の磁気記憶媒体の構造は、これら連続媒体やディスクリートメディアやビットパターンドメディアのいずれにも応用することができる。
【0005】
例えば、連続媒体への応用では、上記のような磁性粒子を基板上に稠密構造で配列することで、連続媒体における記録層が得られることとなる。また、ディスクリートメディアへの応用では、上記のような磁性粒子をトラックとなるべき箇所のみに稠密構造で配列することで、ディスクリートメディアにおける複数のトラックが得られることとなる。さらに、ビットパターンドメディアへの応用では、上記のような各磁性粒子が、情報の最小単位が記録されるビットとして利用されることとなる。
【0006】
このような次世代の磁気記憶媒体の構造が実現されれば、個々の磁性粒子がナノサイズであって非常に微小であることや、磁性粒子が基板上に整然と配列されていること等から、磁気記憶媒体への熱揺らぎに対する高い耐性の付与や、情報記録や情報再生の際の媒体ノイズの低減が実現され、延いては、高い記録密度や安定的な情報記録および情報再生が実現されることとなる。
【0007】
ここで、従来、このようなナノサイズの磁性粒子の多くは、化学合成等によって製造され、ほとんどの場合、粒子形状が球形となっている。
【0008】
一般的に、磁気記憶媒体では、情報が磁化の向きとして記録される記録層の全体に亘って、磁化容易軸が、例えば媒体表面に対して垂直な方向や媒体表面と平行な方向等に揃っている必要がある。ところが、球形の磁性粒子を、各磁性粒子が有する磁化容易軸を一方向に揃えて基板上に配列することは非常に困難である。このように、現状で得られるナノサイズの磁性粒子の多くが球形であることが、このような磁性粒子の配列による磁気記憶媒体の実現を阻害する大きな要因となっている。例えば円板形状の粒子等であれば、基板上に、円板の厚み方向が基板表面に対して垂直となるように配列することは比較的に容易である。このため、円板形状等といった所望の形状でナノサイズの磁性粒子を製造できる製造方法が望まれている。
【0009】
また、上記のビットパターンドメディアへの応用では、各ビットの形状が球形であると仮定したときの各ビットの大きさは、各ビットに対して情報記録や情報再生を行うヘッドの大きさに応じて、直径が数10nm台であることが好ましい。しかし、上記の化学合成等によるナノサイズの磁性粒子の製造方法では、10nmを超えたサイズの粒子を製造することは容易ではなく、ナノサイズの磁性粒子について、所望の形状だけでなく、所望のサイズでの製造が可能な磁性粒子の製造方法が望まれている。
【0010】
磁気記録媒体における磁性粒子の磁気特性は、熱安定性を維持するために、微細であるほど結晶磁気異方性が大きい必要がある。しかしながら磁化反転に必要な磁界強度も増大し、記録密度とともに微細化する磁気ヘッドでの記録が困難になる。そこで近年の磁気記録連続媒体では熱安定性を維持する磁性層と記録を容易にする磁性層を組み合わせた複合材料で所望の特性を達する試みがされている。例えば、Graded媒体やECC媒体はその一例であり、結晶磁気異方性の高い層と低い層を適度な交換結合力で結合し組み合わせることが提案されている。このような構造は、磁性粒子の内部で達成する必要があるが、従来の粒子形成方法では、粒子の形成後に表面を化学的に改質したり、層を形成するなど、内核と外殻で材料を変化させる方法がとられてきた。このような方法では形状に対し特定の方向に結晶や磁化容易軸を向けることは困難であり、新しい方法が求められている。
【0011】
ここで、リソグラフィ法により形成されたナノサイズの鋳型を使って、ナノサイズの粒子を所望の形状やサイズで製造する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、リソグラフィ法により所望の形状やサイズの鋳型を形成することができるので、そのような所望の形状やサイズの粒子を得ることができる。しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術は、ナノサイズの鋳型上に、金属酸化物等の膜を化学的に形成し、その後に鋳型を除去することでナノサイズの粒子を得るというものであり、この技術を使って、例えば、多層膜構造におけるエピタキシャル成長を利用した結晶構造等による磁気異方性を有した磁性粒子を製造すること等は不可能である。
【0012】
現状において実現可能なナノサイズの構造を有する磁気記憶媒体としては、上記のようにナノサイズの磁性粒子を基板上に配列したものではなく、例えば陽極酸化法等によって基板表面にナノサイズの穴の配列を形成し、各穴の中にメッキ法等によって磁性材料を充填して形成される磁気記憶媒体等が挙げられる。
【特許文献1】特開2004−351608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、ハードディスク装置に搭載される磁気ディスクの表面全体等といった広範な範囲に亘って、大きさの揃った均一なナノサイズの穴を陽極酸化法等で設け、FePtなど任意の合金材料結晶を均一にエピタキシャル成長させて媒体を作成する技術は確立していない。また、このようなナノサイズの穴を精度良く形成する方法としては電子線描画等が挙げられるが、電子線描画で上記のような広範な範囲に亘ってナノサイズの穴を形成すると時間がかかり過ぎてしまう。
【0014】
結局、ナノサイズの構造を有する磁気記憶媒体としては、ナノサイズの磁性粒子を基板上に配列したものが好ましいが、このような磁気記憶媒体に適した形状やサイズでナノサイズの磁性粒子を製造することができる現実的な方法が無いことが、このような磁気記憶媒体の実現上のネックとなっている。
【0015】
本件は、上記事情に鑑み、ナノサイズの磁性粒子を所望の形状やサイズで製造することができるナノ構造体製造方法、そのようなナノ構造体製造方法で製造されたナノ構造体、そのようなナノ構造体製造方法で製造された磁性ナノ構造体、そのようなナノ構造体製造方法を利用して磁気記憶媒体を製造する磁気記憶媒体製造方法、そのような磁気記憶媒体製造方法で製造された磁気記憶媒体、および、そのような磁気記憶媒体を搭載した情報記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するナノ構造体製造方法の基本形態は、
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成する型作成過程と、
上記型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性がその材料よりも高い耐性材料の粒子を上記型に向かって飛ばして、その耐性材料をその型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させる堆積過程と、
凹部内に上記耐性材料が堆積された型を上記除去処理によって除去する型除去過程とを有したことを特徴とする。
【0017】
ここで、上記にいう堆積過程は、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法やスパッタ法等の材料堆積技術を使って材料の粒子を飛ばして型上に材料を堆積させる技術のことを意味する。
【0018】
このナノ構造体製造方法の基本形態によれば、ナノサイズの凹部を有する型を使って、その型の凹部の形状やサイズに応じた形状やサイズを有する構造体が製造される。このため、その型における凹部の形状やサイズを、所望の形状やサイズに形成することで、ナノサイズの構造体として、所望の形状やサイズの粒子等を得ることができる。また、このナノ構造体製造方法の基本形態によれば、上記の型上への材料の堆積が、例えばMBE法やスパッタ法等の材料堆積技術を使って行われる。これらの技術によれば、上記材料として磁性材料を用い、その磁性材料を均一にエピタキシャル成長させて上記型上に所望の結晶構造で堆積させることで、所望の方向に磁化容易軸を有する等といった望ましい磁気特性を持った堆積層を形成させることができる。そして、その堆積層のうち、上記凹部内に堆積した部分を取り出すことで、そのような望ましい磁気特性を持ったナノサイズの磁性粒子を得ることができる。つまり、このナノ構造体製造方法の基本形態によれば、ナノサイズの磁性粒子を所望の形状やサイズで製造することができ、さらに、その磁性粒子に所望の磁気特性を持たせることもできる。
【0019】
また、上記目的を達成するナノ構造体の基本形態は、
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、その型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性がその材料よりも高い耐性材料の粒子をその型に向かって飛ばして、その耐性材料をその型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、その凸部上及び/又はその凹部内に上記耐性材料が堆積された型を上記除去処理によって除去し、その除去処理の後に残った、上記凸部上又は上記凹部内に堆積した上記耐性材料からなることを特徴とする。
【0020】
また、上記目的を達成する磁性ナノ構造体の基本形態は、
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、その型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性がその材料よりも高い磁性材料の粒子をその型に向かって飛ばして、その磁性材料をその型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、その凸部上及び/又はその凹部内に上記磁性材料が堆積された型を上記除去処理によって除去し、その除去処理の後に残った、上記凸部上又は上記凹部内に堆積した上記磁性材料からなることを特徴とする。
【0021】
これらの基本形態によれば、ナノ構造体や磁性ナノ構造体について所望の形状やサイズや磁気特性を容易に実現することができる。
【0022】
また、上記目的を達成する磁気記憶媒体製造方法の基本形態は、
ナノサイズの凹部を有する型を所定材料で作成する型作成過程と、
上記型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性がその材料よりも高い磁性材料の粒子を上記型に向かって飛ばして、その磁性材料をその型の凹部内に堆積させる堆積過程と、
凹部内に上記磁性材料が堆積された型を上記除去処理によって除去する型除去過程と、
上記型除去処理の後に残った、上記凹部内に堆積した上記磁性材料からなる構造体を、所定基板上に配列する配列過程とを有したことを特徴とする。
【0023】
この磁気記憶媒体製造方法の基本形態によれば、ナノサイズの磁性粒子を所望の形状やサイズで製造することができる上述のナノ構造体製造方法によって、磁性材料からなるナノサイズの構造体が得られる。このため、ナノサイズの構造体として、円板形状等といった、磁化容易軸を一方向に揃えて基板上に配列すること等に適した望ましい形状の磁性粒子を得ることができるので、そのような磁性粒子を上記基板上に確実に配列して、ナノサイズの構造によって熱揺らぎに対する高い耐性や媒体ノイズの低減が実現された好ましい磁気記憶媒体を得ることができる。
【0024】
また、上記目的を達成する磁気記憶媒体の基本形態は、
基板と、
ナノサイズの凹部を有する型を所定材料で作成し、その型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性がその材料よりも高い磁性材料の粒子をその型に向かって飛ばして、その磁性材料をその型の凹部内に堆積させ、その凹部内に上記磁性材料が堆積された型を上記除去処理によって除去し、その除去処理の後に残った、上記凹部内に堆積した上記磁性材料からなる構造体であって上記基板上に配列された構造体とを備えたことを特徴とする。
【0025】
この磁気記憶媒体の基本形態は、ナノサイズの磁性粒子を所望の形状やサイズで製造することができる上述のナノ構造体製造方法によって上記構造体が製造されたものとなっている。このため、この磁気記憶媒体の基本形態によれば、そのような構造体(磁性粒子)の配列によって熱揺らぎに対する高い耐性や媒体ノイズの低減が実現され、延いてはさらなる記録密度の向上が可能となる。
【0026】
また、上記目的を達成する情報記憶装置の基本形態は、
基板と、
ナノサイズの凹部を有する型を所定材料で作成し、その型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性がその材料よりも高い磁性材料の粒子をその型に向かって飛ばして、その磁性材料をその型の凹部内に堆積させ、その凹部内に上記磁性材料が堆積された型を上記除去処理によって除去し、その除去処理の後に残った、上記凹部内に堆積した上記磁性材料からなる構造体であって上記基板上に配列された構造体とを備えた磁気記憶媒体;および、
上記磁気記憶媒体に対して情報記録及び/又は情報再生を行うヘッド;
を備えたことを特徴とする。
【0027】
この情報記憶装置の基本形態によれば、さらなる記録密度の向上が可能な上述の磁気記憶媒体が備えられていることから、さらなる大容量での情報の記録が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
以上、説明したように、本件によれば、ナノサイズの磁性粒子を所望の形状やサイズで製造することができるナノ構造体製造方法、そのようなナノ構造体製造方法で製造されたナノ構造体、そのようなナノ構造体製造方法で製造された磁性ナノ構造体、そのようなナノ構造体製造方法を利用して磁気記憶媒体を製造する磁気記憶媒体製造方法、そのような磁気記憶媒体製造方法で製造された磁気記憶媒体、および、そのような磁気記憶媒体を搭載した情報記憶装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、上記に基本形態について説明したナノ構造体製造方法、ナノ構造体、磁性ナノ構造体、磁気記憶媒体製造方法、磁気記憶媒体、および情報記憶装置の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、基本形態について説明した情報記憶装置の具体的な一実施形態に相当するハードディスク装置(HDD)を示す図である。
【0031】
この図1に示すHDD10のハウジング101には、回転軸102に装着されて回転する磁気ディスク200と、磁気ディスク200に対して情報記録と情報再生とを行なう磁気ヘッド103を先端に保持したヘッドジンバルアセンブリ104と、このヘッドジンバルアセンブリ104が固着されてアーム軸105を中心に磁気ディスク200の表面に沿って移動するキャリッジアーム106とキャリッジアーム106を駆動するアームアクチュエータ107とが収納されている。ここで、磁気ディスク200が、上述の基本形態における磁気記憶媒体の一例に相当し、磁気ヘッド103が、その基本形態におけるヘッドの一例に相当する。
【0032】
磁気ディスク200への情報の記録および磁気ディスク200に記録された情報の再生に当たっては、アームアクチュエータ107によってキャリッジアーム106が駆動されて、磁気ヘッド103が、回転する磁気ディスク200上の所望の位置に位置決めされる。そして、この磁気ヘッド103は、回転に伴って直下を通過する磁気ディスク200に複数の情報を順次に記録する。
【0033】
また、本実施形態では、磁気ディスク200のディスク面に対して垂直な方向の磁化によって情報が記録される垂直磁気記録方式が採用されている。このため、磁気ディスク200は、ディスク面に対して垂直な方向を磁化容易軸とした磁気異方性を持つ後述の記録層を有している。そして、情報は、磁化が磁気ディスク200の表面側を向いた状態と、裏面側を向いた状態との2状態を利用して記録層に記録される。
【0034】
情報の記録時には、磁気ディスク200に近接した磁気ヘッドに電気的な記録信号が入力され、磁気ヘッド103により、その記録信号に応じた極性の磁界が磁気ディスク200に印加される。そして、記録層中の磁化が、磁気ディスク200の表面側と裏面側のうちの、その印加された磁界の極性に応じた側を向くことで情報が記録される。また、情報の再生時には、磁気ヘッド103によって、記録層中の磁化が発する微小磁界が検出され、情報が、その微小磁界の極性に応じた電気的な再生信号として取り出される。
【0035】
ここで、本実施形態では、各々がナノサイズの多数の磁性粒子の配列によって、磁気ディスク200の記録層が形成されている。
【0036】
図2は、図1に示す磁気ディスクの内部構造を模式的に示す図である。
【0037】
この図2のパート(a)には、図1に示す磁気ディスク200の記録層210の一部を模式的に示す上面拡大図が示されており、パート(b)には、磁気ディスク200の一部についての拡大断面図である。
【0038】
磁気ディスク200は、非磁性材料のディスク基板201と、ディスク基板201上に軟磁性材料で形成された裏打ち層202、裏打ち層202上に非磁性材料で形成された中間層203、中間層203上に各々がナノサイズの多数の磁性粒子211が配列されて形成された記録層210、記録層210上にダイヤモンドライクカーボン(DLC)で形成された保護層204、および、保護層204の表面に対するフッ素コーティングで形成された潤滑層205を備えている。ディスク基板201は、上述の基本形態における基板の一例に相当し、記録層210を形成する磁性粒子211は、上述の基本形態における構造体の一例に相当する。また、この磁性粒子211は、基本形態について上述したナノ構造体及び磁性ナノ構造体の各実施形態にも相当している。
【0039】
ここで、本実施形態では、記録層210を形成する磁性粒子211は、直径が30nmで厚みが10nmの円板であり、円板の厚み方向にCoの膜とPdの膜とが交互に積層された人工格子構造を有している。そして、磁性粒子211には、この人工格子構造によって、円板の厚み方向を磁化容易軸とする磁気異方性が付与されている。磁気ディスク200では、記録層210における各磁性粒子211における磁気異方性によって、上述の垂直磁気記録方式での情報記録が実現されている。
【0040】
次に、この図2の磁気ディスク200を製造する磁気ディスク製造方法について説明する。
【0041】
本実施形態では、磁気ディスク製造方法は、上記の記録層210を構成するナノサイズの磁性粒子211を形成する磁性粒子形成過程と、その磁性粒子211を配列する配列過程とを有している。ここで、磁気ディスク製造方法が、基本形態について上述した磁気記憶媒体製造方法の一実施形態に相当し、磁性粒子形成過程が、基本形態について上述したナノ構造体製造方法の一実施形態に相当する。
【0042】
また、上述の基本形態に対し、
「上記耐性材料が磁性材料である」という応用形態は好適である。
【0043】
この応用形態によれば、上記の円板状等といった所望の形状のナノサイズの磁性粒子を得ることができる。また、この応用形態によれば、例えばMBE法やスパッタ法等の材料堆積技術を使って、所望の結晶構造や所望の磁気特性を実現することも可能である。
【0044】
本実施形態の磁性粒子形成過程は、このような好適な応用形態の一実施形態にも相当している。
【0045】
まず、図2の磁気ディスク200を製造する本実施形態の磁気ディスク製造方法のうちの磁性粒子形成過程について説明する。
【0046】
図3は、磁性粒子形成過程における一連の処理の流れを示す図である。
【0047】
この図3に示す磁性粒子形成過程では、まず、ステップS101において、所定材料の型基板511に、紫外線照射によって硬化するレジスト512が未硬化状態で塗布されたものと、直径が30nmで高さが40nmの円柱状の突起521が、複数配列されたモールド520とが用意される。本実施形態では、モールド520として、NiやガラスやSi等の材料で形成されたものが用いられる。また、モールド520における上記の突起521は、例えば電子線描画等といった所望の形状の加工が可能な加工方法によって形成されたものである。電子線描画以外の方法としては、アルミナナノホールやブロックコポリマを用いてナノサイズの規則配列した穴やピラーを元に形状を作る方法や、不規則配列のまま利用する方法がある。一方で大きさが大きければ光学的手法も用いることができる。
【0048】
また、このモールド520の大きさは、電子線描画等で現実的な時間内に加工可能な大きさとなっている。このモールド520の大きさは、図3に示す磁性粒子形成過程によって得られる磁性粒子の数を左右する。ここで、この図3に示す磁性粒子形成過程は、後述の配列過程で並べる複数の磁性粒子を形成する過程であるが、本実施形態では、磁気ディスク200の製造に要する多数の磁性粒子を一度に形成する必要はなく、この図3に示す磁性粒子形成過程を何回か繰返して、最終的に、必要な数の磁性粒子が得られれば良い。このため、本実施形態では、このモールド520の大きさを、上記のように現実的な時間内に加工可能な大きさとすることができる。
【0049】
続いて、このステップS101において、未硬化状態のレジスト512に対するモールド520の押付けが行われ、モールド520における凹凸がレジスト512に転写される。次のステップS102では、上記のレジスト512に対する紫外線UVの照射によるレジスト512の硬化が行われる。本実施形態では、この紫外線UVの照射は、モールド520がレジスト512に押し付けられた状態で行われる。モールド520がガラス等の紫外線を透過させる材料で形成されている場合には、この紫外線UVの照射は、モールド520越しに行われる。また、モールド520がNi等の紫外線を透過させない材料で形成され、型基板511がガラス等の紫外線を透過させる材料で形成されている場合には、紫外線UVの照射は、型基板511越しに行われる。その後、硬化状態のレジスト512に対するモールド520の引き剥がしが行われる。本実施形態では、予めモールド520にはレジスト512に対する剥離剤が塗布されており、上記の引き剥がしの容易化が図られている。その結果、表面に直径が30nmで深さが40nmのナノサイズの穴510aを複数有する型510が得られる。
【0050】
以上に説明した上記のステップS101からステップS102までの処理が、上述の基本形態における型作成過程の一例に相当し、上記の型510が、上述の基本形態における型の一例に相当する。
【0051】
型510の形成が終了すると、次のステップS103において、型510の表面に対して、MBE法によるCoの膜(膜厚nm)の形成とPdの膜(膜厚nm)の形成とが、全体の膜厚が10nmに達するまで複数回交互に繰り返されて、この型510の表面上に、Coの膜とPdの膜とが交互に積層され積層方向を磁化容易軸とした磁気異方性を有する人工格子構造の、厚さが10nmの磁性膜530が形成される。このステップS103が、上述の基本形態における堆積過程の一例に相当する。
【0052】
次のステップS104では、上記の型510上の磁性膜530に対して、Arイオン等を衝突させて切削を行うイオンミリングが行なわれる。ここで、このステップS104でのイオンミリングは、磁性膜530に対して斜め方向からイオンを衝突させるように行なわれる。例えば磁性膜の垂線から60度程度傾斜させる。その結果、型510上の磁性膜530のうち、上記の穴510aの内部における磁性膜530を残したままで、型510の凸部上の磁性膜530が除かれることとなる。
【0053】
そして、この図3に示す磁性粒子形成過程における最後のステップS105において、穴510aの内部に磁性膜530が残っている状態の型510が、アセトンに浸けられてレジスト512が溶解される。その後、型基板511が、ナノサイズよりは目が粗いフィルタを用いて取り除かれ、さらに、アセトンが揮発等によって除かれて、上記の型510の穴510aの内部における磁性膜530が、直径30nmで厚みが10nmというナノサイズの磁性粒子211として取り出される。このステップS105が、上述の基本形態における型除去過程の一例に相当する。
【0054】
尚、本実施形態では、上述の基本形態における型除去過程の一例として、アセトンによる溶解方法を採用した上記のステップS105を例示した。しかし、この基本形態における型除去過程で使われる溶解方法はこれに限るものではない。例えば、アセトン以外の、DMA(N−N−ジメチルアセトアミド)等の有機溶媒による溶解方法であっても良い。さらに、例えば、レジスト除去剤、各種の酸、アルカリ等による化学的除去方法であっても良い。また、超音波洗浄、水蒸気洗浄、オゾン溶解、酸素プラズマアッシング、硫酸・過酸化水素混合液処理等の物理化学的処理等であっても良い。いずれの処理を採用するかは、溶解対象の材料(本実施形態では上記の型510のレジスト512)に対する有効度合いと、溶解によって取り出されるナノ構造体(本実施形態では上記の磁性粒子211)に対する影響の少なさとのトレードオフによって決められる。
【0055】
また、本実施形態では、このステップS105において、上記のフィルタを用いたフィルタリングによって不要物である型基板511が除去されている。本実施形態では、このフィルタリングにより、ナノサイズの磁性粒子211のみの取得について確実化が図られている。このことは、上述の基本形態に対し、
「上記型のナノサイズの凹凸よりも目が粗いフィルタを用い、上記型除去過程の後で、上記耐性材料からなるナノサイズの構造体以外の不要物を除去するフィルタリング過程を有する」という応用形態が好適であることを意味している。
【0056】
ステップS105の処理は、上述の基本形態における型除去過程における型除去過程と、この応用形態におけるフィルタリング過程とを合わせた処理の一例にも相当している。
【0057】
ここで、以上に説明した本実施形態での磁性粒子形成過程では、上述したように、型510上の磁性膜530のうちの不要部分である、型510の凸部上の磁性膜530が、レジスト512の溶解処理の前に除去される。しかし、基本形態について上述したナノ構造製造方法は、このような形態に限るものではなく、例えば、この不要部分が型510と同じ広さを有しナノサイズの貫通孔が複数空いた形状をしていることに着目して、レジスト512の溶解処理については不要部分を残したままで行い、その後に、上記の目が粗いフィルタを用いて型基板511と一緒にこの不要部分を取り除くという形態であっても良い。磁性膜530の形成時に、磁性粒子211として利用される穴510aの内部の磁性膜530が、凸部上の不要部分と繋がらないように凹凸の深さを大きくすることが好ましい。ただし、条件によって繋がってしまう可能性もあり、その場合には、型510上の磁性膜530のうちの不要部分のみをフィルタ等で除くことが困難となってしまう。そのため、この不要部分については、本実施形態のように、レジスト512の溶解処理の前に除去されることが好ましい。
【0058】
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記堆積過程が、上記型に対し、上記凹部と上記凸部との双方に上記耐性材料を堆積させる過程であり、
上記型の凸部に堆積した上記耐性材料を除去する材料除去過程を有し、
上記型除去過程が、上記材料除去過程の後で実行される過程である」という応用形態が好適であることを意味している。
【0059】
図3のステップS104での不要部分の除去処理は、この応用形態における材料除去過程の一例に相当し、ステップS105の処理は、この応用形態における型除去過程の一例にも相当している。
【0060】
また、本実施形態では、型510の凸部上の不要部分がイオンミリングによって除去される。イオンミリングは、ナノスケールでの切削加工を簡単かつ確実に行える加工方法として知られており、上記の不要部分のように厚さが10nmしかない薄膜の除去に適した加工方法である。
【0061】
このことは、上述の材料除去過程を有したタイプの応用形態に対し、
「上記材料除去過程が、イオンビームによるミリングで上記耐性材料を除去する過程である」という応用形態がさらに好適であることを意味している。
【0062】
図3のステップS104での不要部分の除去処理は、このさらに好適な応用形態における材料除去過程の一例に相当している。
【0063】
ここで、上記の不要部分を簡単かつ確実に行える加工方法としては、本実施形態のようなイオンミリング以外にも、以下に幾つか例示する別の加工方法が挙げられる。
【0064】
図4は、型の凸部上の不要部分を除去する、図3の加工方法とは別の加工方法を示す図である。
【0065】
この図4に示す加工方法は、型510の凸部上の不要部分を、所定の研磨パッド601を用いた化学研磨処理で除去するという加工方法である。化学研磨処理も、ナノスケールでの切削加工を簡単かつ確実に行える加工方法として知られており、上記の不要部分の除去に適した加工方法である。
【0066】
このことは、上述の材料除去過程を有したタイプの応用形態に対し、
「上記材料除去過程が、化学研磨処理で上記耐性材料を除去する過程である」という応用形態もさらに好適であることを意味している。
【0067】
図4に示す不要部分の除去処理は、このさらに好適な応用形態における材料除去過程の一例に相当している。
【0068】
図5は、型の凸部上の不要部分を除去する、図3および図4の加工方法とは別の加工方法を示す図である。
【0069】
この図5に示す加工方法は、型510の凸部上のみに、レジスト512については溶解することがない溶媒に溶ける所定材料からなる下地膜602を予め形成しておき、磁性膜530の形成後に、上記の溶媒でこの下地膜602を溶解することで、凸部上の不要部分を型510から浮かせて取り除くリフトオフと呼ばれる加工方法である。ここで、型510の凸部上のみに下地膜602を予め形成する方法としては、例えば平坦な状態で硬化させたレジスト512上に一様に下地膜602を形成し、その形成後に、電子線描画等によって穴510aを穿つという方法が挙げられる。このような方法によれば、穴510aの内部には下地膜602が存在せず、凸部上のみに下地膜602が存在するという状態が得られることとなる。以上に説明したリフトオフと呼ばれる加工方法は、主に薄膜の除去を簡単かつ確実に行える加工方法として知られており、この加工方法も、上記の不要部分の除去に適した加工方法であると言える。
【0070】
このことは、上述の材料除去過程を有したタイプの応用形態に対し、
「上記型作成過程が、上記型として、上記凸部上に、上記除去処理とは別の第2の除去処理に対する耐性がその型の材料と上記耐性材料とのいずれよりも低い材料からなる下地膜を有するものを作成する過程であり、
上記材料除去過程が、上記第2の除去処理で上記下地膜を除去することで、上記凸部に堆積した上記耐性材料を除去する過程である」という応用形態もさらに好適であることを意味している。
【0071】
図5を参照して説明したリフトオフと呼ばれる加工方法において、下地膜602付きの型510を形成する処理が、このさらに好適な応用形態における型作成過程の一例に相当し、下地膜602を溶媒で溶かして除去する処理が、このさらに好適な応用形態における材料除去過程の一例に相当する。
【0072】
図6は、型の凸部上の不要部分を除去する、図3から図5の加工方法とは別の加工方法を示す図である。
【0073】
この図6に示す加工方法は、型510の凸部状の不要部分を、型510から物理的に引き剥がすという加工方法であり、以下の手順によって行われる。
【0074】
この図6に示す加工方法では、まず、ステップS201において、紫外線UVを透過させる材料で形成された紫外線透過板611に未硬化状態のレジスト612が塗布された剥離板610が用意され、その剥離板610が、磁性膜530が形成済みの型510に、レジスト612を向けて押付けられる。
【0075】
続くステップS202において、紫外線透過板611越しにレジスト612に紫外線UVが照射されて、このレジスト612の硬化が行われる。これにより、型510の凸部状の不要部分がレジスト612によって剥離板610に固着される。
【0076】
最後のステップS203において、剥離板610が型510から引き剥がされる。上記のステップS202において、不要部分が剥離板610に固着されているので、ステップ203での剥離板610の引き剥がしにより、不要部分が剥離板610とともに型510から引き剥がされることとなる。
【0077】
以上に説明した図6の加工方法も、主に薄膜の除去を簡単かつ確実に行える加工方法として知られており、この加工方法も、上記の不要部分の除去に適した加工方法であると言える。
【0078】
このことは、上述の材料除去過程を有したタイプの応用形態に対し、
「上記材料除去過程が、上記凸部と上記耐性材料との接着性よりも高い接着性でその耐性材料を接着する接着性材料が表面に塗布された部材のその表面を上記型に向けて押し付け、さらに、その部材をその型から剥離することで、上記凸部に堆積した上記耐性材料を除去する過程である」という応用形態もさらに好適であることを意味している。
【0079】
図6の加工方法の加工方法は、このさらに好適な応用形態における材料除去過程の一例に相当する。また、図6に示す剥離板610が、このさらに好適な応用形態における「接着性材料が表面に塗布された部材」の一例に相当する。
【0080】
ここで、図3に示した本実施形態での磁性粒子形成過程では、上述したように、型510における、ナノサイズの磁性材料530の形状に対応した穴510aが複数配列されたナノサイズの凹凸構造が、電子線描画等で形成されたモールド520における凹凸構造をレジスト512に転写することで形成される。このような転写によるナノサイズの凹凸構造の形成方法はナノインプリントと呼ばれ、ナノサイズの凹凸構造を手軽に形成できるか形成方法として知られている。また、このナノインプリントと呼ばれる形成方法を利用した、図3に示す本実施形態の磁性粒子形成過程によれば、モールド520があれば上記のような型510を繰返し短時間で作成することができるので、上記のような型510自体を例えば電子線描画によって作成する方法等に比べて、多数の磁性粒子211を効率的に製造することができる。
【0081】
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記凹部に対応した凸形状を有したモールドを準備し、そのモールドの凸形状を上記型の材料に転写することでその型を形成する過程である」という応用形態が好適であることを意味している。
【0082】
図3に示すステップS101からステップS102までの処理は、この応用形態における型作成過程の一例にも相当し、上記のモールド520が、この応用形態におけるモールドの一例に相当する。
【0083】
以上、図3を参照して説明した本実施形態の磁性粒子形成過程、および図4から図6を参照して説明した、不要部分を除去する加工方法が本実施形態とは別形態となる磁性粒子形成過程によれば、いずれの形態でも、直径が30nmで厚みが10nmという、図2に示す磁気ディスク200に適した円板形状といった所望の形状で所望のサイズの磁性粒子211を得ることができる。さらに、これらの磁性粒子形成過程によれば、磁性粒子211の元となる磁性膜530が、MBE法という、材料粒子を成膜対象に向かって飛ばして材料を堆積させる成膜方法で形成される。このMBE法によれば、互いに構成材料が異なる複数の膜からなる積層構造の膜等を手軽に形成することができ、本実施形態では、このMBE法によってCoの膜とPdの膜とが交互に積層された人工格子構造の磁性膜530を形成することで、磁性粒子211に対する、円板形状の厚み方向を磁化容易軸とした磁気異方性といった所望の磁気特性の付与が実現されている。
【0084】
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記堆積過程が、MBE法により、上記耐性材料の粒子を上記型に向かって飛ばす過程である」という応用形態も好適であることを意味している。
【0085】
図3を参照して説明した本実施形態の磁性粒子形成過程におけるステップS103の処理は、この応用形態における堆積過程の一例にも相当する。
【0086】
尚、基本形態について上述したナノ構造体製造方法の一実施形態として、ここまでナノサイズの穴510aを複数有する型510を用い、その穴510aの中に堆積した磁性膜530を磁性粒子211として利用するという磁性粒子形成過程について説明してきた。しかしながら、基本形態について上述したナノ構造体製造方法は、このような形態に限るものではない。基本形態について上述したナノ構造体製造方法は、例えば、各々がナノサイズで島状に孤立した複数の突起を有する型を用い、その突起上に堆積した磁性膜を上記の磁性粒子211として利用するという形態であっても良い。
【0087】
この形態の場合、突起上を除く低部に堆積した磁性膜が不要物となる。この不要物は、各突起が島状に孤立したものであることから、突起に対応したナノサイズの貫通孔が複数開いた、型の外形と同じ寸法の広い磁性膜となる。そこで、この形態の場合には、不要物であるこの広い磁性膜が、型の除去後に上述のフィルタリングと同様の処理によって除かれることとなる。その結果、各突起状に堆積した磁性膜のみが上記の磁性粒子211として確実に取得されることとなる。
【0088】
以上、説明したように、ナノ構造体製造方法の実施形態としては、ナノサイズの凹部に堆積した材料をナノサイズの構造体として利用する形態と、凸部に堆積した材料をナノサイズの構造体として利用する形態とが挙げられる。即ち、上述した基本形態にいう「ナノサイズの凹凸」とは、型の凹部と凸部のいずれか一方がナノサイズとなっている凹凸のことを意味している。
【0089】
次に、図2の磁気ディスク200を製造する本実施形態の磁気ディスク製造方法のうちの、磁性粒子211を配列する配列過程について説明する。
【0090】
図7は、ナノサイズの磁性粒子を配列する配列過程を示す模式図である。
【0091】
本実施形態では、この配列過程に先立って、ディスク基板201上に、裏打ち層202および中間層203が各々スパッタ法によって形成される。これら裏打ち層202および中間層203の形成については、公知の技術であるので説明を割愛する。
【0092】
そして、図3を参照して説明した本実施形態の磁性粒子形成過程で製造された多数のナノサイズの磁性粒子211が、中間層203の表面に、以下に説明する移流集積法によって配列される。
【0093】
移流集積法は、図2のパート(a)に模式的に示した規則的な稠密構造を、ナノサイズの微粒子等が基本的には外部からの制御なしに自発的に作り出す自己組織化現象を利用した配列方法である。
【0094】
本実施形態では、まず、多数のナノサイズの磁性粒子211が所定の液体に懸濁された懸濁液540が用意される。そして、ディスク基板201と裏打ち層202と中間層203との積層物が懸濁液540に垂直に浸され、次いで、その積層物が、毎秒数μm程度の超低速で図中の矢印A方向に引き上げられる。すると、図7に示すように、気液界面で自己組織化現象が起こり、円板形状を有する磁性粒子211が、上記の積層物の表面に自発的に稠密構造で並んで行くこととなる。堆積物表面の濡れ性により懸濁液と粒子の付着が決まるため、表面に濡れ性の異なる領域(化学的表面パターン)を用意することで付着領域を制御できる。尚、積層物が引き上げられた段階では、磁性粒子211は、中間層203上だけでなく、ディスク基板201における中間層203側とは反対側の裏面や、積層物の側面等にも付着する可能性があるが、これら中間層203上以外の箇所に付着した磁性粒子211については濡れ性制御で付着を抑制し、付着する場合は適宜に洗浄し拭い取られる。
【0095】
本実施形態では、図7を参照して説明した配列過程によって中間層203上に磁性粒子211が稠密構造で配列されることで、図2の記録層210が形成される。その後に、スパッタ法による保護層204およびフッ素コーティングによる潤滑層205の形成が行なわれて磁気ディスク200が完成するが、保護層204および潤滑層205の形成についても公知の技術であるので説明を割愛する。
【0096】
以上に説明した本実施形態の磁気ディスク製造方法によれば、上述の磁性粒子製造過程によって直径が30nmで厚みが10nmという所望の形状やサイズを有するナノサイズの磁性粒子211が製造され、そのような望ましい磁性粒子211が配列されたナノサイズの構造によって熱揺らぎに対する高い耐性や媒体ノイズの低減が実現され更なる高記録密度化が可能な磁気ディスク200を得ることができる。その結果、その磁気ディスク200が搭載されたHDD10(図1参照)は、更なる大容量での情報記録を行うことができる。
【0097】
尚、上記では、基本形態について上述したナノ構造体製造方法の一実施形態として、図2に示す磁気ディスク200に適した円板形状を有したナノサイズの磁性粒子211を製造する磁性粒子製造過程を例示した。しかしながら、基本形態について上述したナノ構造体製造方法は、このような円板形状の粒子を形成する形態に限るものではなく、以下に例示するような、円板形状の粒子以外の、様々な形状の構造体を製造する方法であっても良い。
【0098】
図8は、横長の板形状の構造体を示す図であり、図9は、直方体形状やリング状や星形や矢印形等といった任意形状の構造体を示す図である。例えば、板状、ワイヤ状など各辺の比率の違いや、円板、直方体、三角錐に加え、リングや多角形、円と多角形など、さらにそれらの合成、組み合わせ、立体的な重ね合わせを作成することが考えられる。それらの構造が異なる材料からなる多層構造であっても良い。
【0099】
図8の構造体651や、図9の構造体652,653,…,657の形状は、例えば、上述のナノインプリントで使われるモールドの形状を、電子線描画等によって、これらの構造体の形状に対応した形状に加工することや、型自体を、電子線描画等によって、これらの構造体の形状に対応した形状に加工することによって容易に実現することができる。
【0100】
これら図8の構造体651や、図9の構造体652,653,…,657も、基本形態について上述したナノ構造体の一実施形態に相当する。
【0101】
しかしながら、基本形態について上述したナノ構造体製造方法は、このような形態に限るものではなく、例えば、軟磁性材料の層と硬磁性材料の層とが積層された多層構造の磁性粒子、金などの金属材料の層と磁性材料の層とが積層された多層構造の磁性粒子、MgOやアルミナ、TiOなどの絶縁層と磁性層が積層された多層構造の粒子、磁性層が積層された多層構造の粒子、誘電体層と磁性層が積層された多層構造の粒子等といった、人工格子構造以外の種々の構造の磁性粒子を形成する形態等であっても良い。磁性材料としては、酸化鉄など一般的に知られる安価な材料が、硬磁性材料としては、Fe−Pt合金、Co−Pt合金など一般的に知られる高結晶磁気異方性材料が考えられる。さらに粒子を保護する材料で覆うことは必要に応じて行われてもよい。
【0102】
また、上記では、基本形態について上述したナノ構造体製造方法の一実施形態として、Coの膜とPdの膜とが交互に積層された人工格子構造を有する磁性膜のみからなる単層構造の磁性粒子211を製造する磁性粒子製造過程を例示した。しかしながら、基本形態について上述したナノ構造体製造方法は、このような形態に限るものではなく、例えば、軟磁性材料の層と硬磁性材料の層とが積層された多層構造の磁性粒子、誘電体層と磁性層が積層された多層構造の粒子等といった、人工格子構造以外の種々の構造の磁性粒子を形成する形態等であっても良い。硬磁性材料としては、Fe−Pt合金、Co−Pt合金など一般的に知られる高結晶磁気異方性材料が考えられる。
【0103】
以下、基本形態について上述したナノ構造体製造方法の別実施形態として、上記のような多層構造の磁性粒子を製造する別の磁性粒子製造過程について説明する。
【0104】
尚、この別の磁性粒子製造過程については、基本的な処理の流れは、図3に示す一連の処理の流れと同じである。そこで、図示については、多層構造の磁性粒子の図示に止めることとする。
【0105】
図10は、多層構造の磁性粒子を示す模式図である。
【0106】
この図10に示す磁性粒子710は、Pd製の下地層711と、Coの膜とPdの膜とが交互に積層された人工格子構造の硬磁性層712と、ここでは特定しない一般的な軟磁性材料で形成された軟磁性層713とが積層された多層構造の磁性粒子である。この図10に示す磁性粒子710も、基本形態について上述したナノ構造体や磁性ナノ構造体の一実施形態に相当する。
【0107】
この図10に示す磁性粒子710を形成する別の磁性粒子製造過程では、図3のステップS103で実行されるMBE法による膜形成が、下地層711、硬磁性層712、軟磁性層713の順で、順次に材料を変えて3段階に亘って実行される。
【0108】
この3段階の膜形成では、まず、Pd製の下地層711上に人工格子構造の硬磁性層712が形成されることで、この硬磁性層712に、図中の積層方向に沿った垂直な方向を磁化容易軸とした磁気異方性をもたらす結晶成長の確実化が図られることとなる。さらに、硬磁性層712上に軟磁性層713が形成されることで、硬磁性層712での高い保磁力による高い熱安定性と、軟磁性層713による磁化反転の補助による記録容易性とが両立されることとなる。
【0109】
このように、磁性粒子を多層構造で形成することで、所望の結晶成長や所望の磁気特性等の一層の確実化が図られる。このことは、上述の基本形態に対し、
「上記堆積過程が、上記耐性材料として、互いに異なる複数種類の耐性材料を用いて、その複数種類の耐性材料それぞれの粒子を上記型に向かって順次に飛ばして積層することで、その型の凸部上及び/又は凹部内に多層構造の膜を形成する過程である」という応用形態が好適であることを意味している。
【0110】
図10に示す磁性粒子710の形成に当たって実行される上記の3段階の膜形成は、この応用形態における堆積過程の一例に相当する。
【0111】
また、この応用形態の堆積過程で形成される多層構造の構造体は、図10の磁性粒子710のように円板形状に限られるものではなく、単層構造の構造体について図8や図9に例示した様々な形状であっても良い。
【0112】
図11は、多層構造を有する板形状やワイヤ形状の構造体を示す図であり、図12は、多層構造を有する直方体形状やリング状や星形や矢印形、半球型等といった任意形状の構造体を示す図である。
【0113】
これらの各図に示す構造体も、基本形態について上述したナノ構造体の一実施形態に相当する。
【0114】
これら図11の板形状の多層構造体720やワイヤ形状の多層構造体730、図12の様々な形状の多層構造体740,750,…,800は、所望の形状に形成された型に対して各層の材料の粒子を飛ばして堆積させることで実現される。そして、これらの各図に示す構造体の形成に当たって実行される複数段階の膜形成も、上記の多層構造に対応した応用形態における堆積過程の一例に相当する。
【0115】
以上で、多層構造の磁性粒子を製造する別の磁性粒子製造過程についての説明を終了する。
【0116】
また、上記では、基本形態について上述したナノ構造体製造方法の一実施形態として、型上にMBE法で磁性膜を形成する磁性粒子製造過程を例示した。しかしながら、基本形態について上述したナノ構造体製造方法は、このような形態に限るものではなく、例えば、材料の粒子が型に向かうように粒子の飛散方向に指向性を持たせたスパッタ法で磁性膜等を形成する形態等であっても良い。
【0117】
また、上記では、上述の基本形態における磁気記憶媒体の一例として、磁性粒子が稠密構造で中間層上に全面的に配列された磁気ディスク200を例示したが、基本形態における磁気記憶媒体はこれに限るものではなく、基本形態における磁気記憶媒体は、いわゆるディスクリートメディアやビットパターンドメディア等であっても良い。上述の基本形態が適用されたディスクリートメディアでは、上記のように形成された複数の磁性粒子が稠密構造でトラック状に配列されて、ディスクリートメディアのトラックが形成されることとなる。また、上述の基本形態が適用されたビットパターンドメディアでは、上記のように形成された複数の磁性粒子が等間隔で並べられることで、ビットパターンドメディアを構成するビットが形成されることとなる。
【0118】
また、上記では、上述の基本形態における磁気記憶媒体の一例として、磁性粒子が稠密構造で中間層上に全面的に配列された磁気ディスク200を例示したが、基本形態における磁気記憶媒体はこれに限るものではなく、基本形態における磁気記憶媒体は、非磁性材料のテープ上に磁性粒子が配列された磁気テープ等であっても良い。
【0119】
また、上記では、基本形態について説明した磁性ナノ構造体の一実施形態として、円板形状を有し、円板面に対して垂直な磁化容易軸を持つ磁性粒子211を例示したが、基本形態について説明した磁性ナノ構造体はこれに限るものではない。即ち、この実施形態は、円板形状であれば必ず円板面に対して垂直な磁化容易軸を持つ等というように形状と磁化容易軸の方向との間の対応関係を限定するものではない。基本形態について説明した磁性ナノ構造体は、例えば、円板形状を有し、円板面に沿った面内方向に磁化容易軸を持つもの等であっても良い。磁化容易軸は、基本形態について説明した磁性ナノ構造体の用途に応じて所望の方向に向けることができる。
【0120】
また、上記では、型に堆積した不要な材料を除去する材料除去過程の一例として、イオンミリングによって不要材料を除去する方法を例示したが、この材料除去過程は、このような方法に限るものではない。この材料除去過程は、型における特定の箇所の不要材料を、他の箇所に悪影響を与えずに除去できる方法であれば良く、例えば、エッチングによって不要材料を除去する方法等であっても良い。
【0121】
以下、上述した基本形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0122】
(付記1)
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成する型作成過程と、
前記型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い耐性材料の粒子を前記型に向かって飛ばして、該耐性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させる堆積過程と、
凸部上及び/又は凹部内に前記耐性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去する型除去過程とを有したことを特徴とするナノ構造体製造方法。
【0123】
(付記2)
前記堆積過程が、前記型に対し、前記凹部と前記凸部との双方に前記耐性材料を堆積させる過程であり、
前記型の凸部に堆積した前記耐性材料を除去する材料除去過程を有し、
前記型除去過程が、前記材料除去過程の後で実行される過程であることを特徴とする付記1記載のナノ構造体製造方法。
【0124】
(付記3)
前記材料除去過程が、イオンビームによるミリングで前記耐性材料を除去する過程であることを特徴とする付記2記載のナノ構造体製造方法。
【0125】
(付記4)
前記材料除去過程が、化学研磨処理で前記耐性材料を除去する過程であることを特徴とする付記2記載のナノ構造体製造方法。
【0126】
(付記5)
前記型作成過程が、前記型として、前記凸部上に、前記除去処理とは別の第2の除去処理に対する耐性が該型の材料と前記耐性材料とのいずれよりも低い材料からなる下地膜を有するものを作成する過程であり、
前記材料除去過程が、前記第2の除去処理で前記下地膜を除去することで、前記凸部に堆積した前記耐性材料を除去する過程であることを特徴とする付記2記載のナノ構造体製造方法。
【0127】
(付記6)
前記材料除去過程が、前記凸部と前記耐性材料との接着性よりも高い接着性で該耐性材料を接着する接着性材料が表面に塗布された部材の該表面を前記型に向けて押し付け、さらに、該部材を該型から剥離することで、前記凸部に堆積した前記耐性材料を除去する過程であることを特徴とする付記2記載のナノ構造体製造方法。
【0128】
(付記7)
前記型作成過程が、前記凹部に対応した凸形状を有したモールドを準備し、該モールドの凸形状を前記型の材料に転写することで該型を形成する過程であることを特徴とする付記2から6のうちいずれか1項記載のナノ構造体製造方法。
【0129】
(付記8)
前記堆積過程が、MBE法により、前記耐性材料の粒子を前記型に向かって飛ばす過程であることを特徴とする付記2から7のうちいずれか1項記載のナノ構造体製造方法。
【0130】
(付記9)
前記堆積過程が、前記耐性材料として、互いに異なる複数種類の耐性材料を用いて、該複数種類の耐性材料それぞれの粒子を前記型に向かって順次に飛ばして積層することで、該型の凸部上及び/又は凹部内に多層構造の膜を形成する過程であることをことを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項記載のナノ構造体製造方法。
【0131】
(付記10)
前記型のナノサイズの凹凸よりも目が粗いフィルタを用い、前記型除去過程の後で、前記耐性材料からなるナノサイズの構造体以外の不要物を除去するフィルタリング過程を有することを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項記載のナノ構造体製造方法。
【0132】
(付記11)
前記耐性材料が磁性材料であることをことを特徴とする付記1から10のうちいずれか1項記載のナノ構造体製造方法。
【0133】
(付記12)
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い耐性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該耐性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記耐性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記耐性材料からなることを特徴とするナノ構造体。
【0134】
(付記13)
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなることを特徴とする磁性ナノ構造体。
【0135】
(付記14)
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成する型作成過程と、
前記型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を前記型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させる堆積過程と、
凸部上及び/又は凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去する型除去過程と、
前記型除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなる構造体を、所定基板上に配列する配列過程とを有したことを特徴とする磁気記憶媒体製造方法。
【0136】
(付記15)
基板と、
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなる構造体であって前記基板上に配列された構造体とを備えたことを特徴とする磁気記憶媒体。
【0137】
(付記16)
基板と、
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなる構造体であって前記基板上に配列された構造体とを備えた磁気記憶媒体;および、
前記磁気記憶媒体に対して情報記録及び/又は情報再生を行うヘッド;
を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】基本形態について説明した情報記憶装置の具体的な一実施形態に相当するハードディスク装置(HDD)を示す図である。
【図2】図1に示す磁気ディスクの内部構造を模式的に示す図である。
【図3】磁性粒子形成過程における一連の処理の流れを示す図である。
【図4】型の凸部上の不要部分を除去する、図3の加工方法とは別の加工方法を示す図である。
【図5】型の凸部上の不要部分を除去する、図3および図4の加工方法とは別の加工方法を示す図である。
【図6】型の凸部上の不要部分を除去する、図3から図5の加工方法とは別の加工方法を示す図である。
【図7】ナノサイズの磁性粒子を配列する配列過程を示す模式図である。
【図8】横長の板形状の構造体を示す図である。
【図9】直方体形状やリング状や星形や矢印形等といった任意形状の構造体を示す図である。
【図10】多層構造の磁性粒子を示す模式図である。
【図11】多層構造を有する板形状やワイヤ形状の構造体を示す図である。
【図12】多層構造を有する直方体形状やリング状や星形や矢印形等といった任意形状の構造体を示す図である。
【符号の説明】
【0139】
10 HDD
101 ハウジング
102 回転軸
103 磁気ヘッド
104 ヘッドジンバルアセンブリ
105 アーム軸
106 キャリッジアーム
107 アームアクチュエータ
200 磁気ディスク
201 ディスク基板
202 裏打ち層
203 中間層
204 保護層
205 潤滑層
210 記録層
211,710 磁性粒子
510 型
510a 穴
511 型基板
512 レジスト
520 モールド
530 磁性膜
540 懸濁液
601 研磨パッド
602 下地膜
610 剥離板
611 紫外線透過板
612 レジスト
651,652,653,654,655,656,657,720,730,740,750,760,770,780,790,800 構造体
711 下地層
712 硬磁性層
713 軟磁性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成する型作成過程と、
前記型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い耐性材料の粒子を前記型に向かって飛ばして、該耐性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させる堆積過程と、
凸部上及び/又は凹部内に前記耐性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去する型除去過程とを有したことを特徴とするナノ構造体製造方法。
【請求項2】
前記堆積過程が、前記型に対し、前記凹部と前記凸部との双方に前記耐性材料を堆積させる過程であり、
前記型の凸部に堆積した前記耐性材料を除去する材料除去過程を有し、
前記型除去過程が、前記材料除去過程の後で実行される過程であることを特徴とする請求項1記載のナノ構造体製造方法。
【請求項3】
前記材料除去過程が、イオンビームによるミリングで前記耐性材料を除去する過程であることを特徴とする請求項2記載のナノ構造体製造方法。
【請求項4】
前記材料除去過程が、化学研磨処理で前記耐性材料を除去する過程であることを特徴とする請求項2記載のナノ構造体製造方法。
【請求項5】
前記型作成過程が、前記型として、前記凸部上に、前記除去処理とは別の第2の除去処理に対する耐性が該型の材料と前記耐性材料とのいずれよりも低い材料からなる下地膜を有するものを作成する過程であり、
前記材料除去過程が、前記第2の除去処理で前記下地膜を除去することで、前記凸部に堆積した前記耐性材料を除去する過程であることを特徴とする請求項2記載のナノ構造体製造方法。
【請求項6】
前記耐性材料が磁性材料であることをことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載のナノ構造体製造方法。
【請求項7】
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い耐性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該耐性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記耐性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記耐性材料からなることを特徴とするナノ構造体。
【請求項8】
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなることを特徴とする磁性ナノ構造体。
【請求項9】
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成する型作成過程と、
前記型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を前記型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させる堆積過程と、
凸部上及び/又は凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去する型除去過程と、
前記型除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなる構造体を、所定基板上に配列する配列過程とを有したことを特徴とする磁気記憶媒体製造方法。
【請求項10】
基板と、
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなる構造体であって前記基板上に配列された構造体とを備えたことを特徴とする磁気記憶媒体。
【請求項11】
基板と、
ナノサイズの凹凸を有する型を所定材料で作成し、該型を構成した材料を除去する除去処理に対する耐性が該材料よりも高い磁性材料の粒子を該型に向かって飛ばして、該磁性材料を該型の凸部上及び/又は凹部内に堆積させ、該凸部上及び/又は該凹部内に前記磁性材料が堆積された型を前記除去処理によって除去し、該除去処理の後に残った、前記凸部上又は前記凹部内に堆積した前記磁性材料からなる構造体であって前記基板上に配列された構造体とを備えた磁気記憶媒体;および、
前記磁気記憶媒体に対して情報記録及び/又は情報再生を行うヘッド;
を備えたことを特徴とする情報記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−135014(P2010−135014A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310891(P2008−310891)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】