説明

ナノ物質基盤歯科診断および口腔癌治療用X線管システムおよびその方法

【課題】本発明は、既存の炭素ナノチューブのX線管を歯科用X線撮影システムに応用に関する。陰極部に装着される炭素ナノチューブ電子放出源の交換が可能である。
【解決手段】ペン形状で製作された本発明に係るX線管システムは、厚さが薄くて人体の口腔内部に挿入が可能であり、これによって診断が必要な口腔内の位置に対する正確なイメージを実現することができるシステムである。さらに、適正量の放射線治療を要する口腔癌治療の際に、患部に放射線の直接照射が可能であるため、他の正常組職に放射線の被爆の憂慮なく接近治療が可能であり、常用化時にその波及効果が極めて高いと判断される。本発明に係る歯科用などの医療用として用いることができるX線管システムは、チップ化させたナノ構造物質(炭素ナノチューブなど)を用いてX線を放出するX線放出モジュールを備え、X線放出モジュールに含まれたナノ構造物質基盤の陰極部を交換するために、X線放出モジュールが本体から分離する構造を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管システムおよびその方法に関し、より詳細には、電子が放出される量子力学的な電界放出(Field emission)原理を用い、電子放出源(electron emitter)として性能が最も優れていると立証された炭素ナノチューブなどのナノ物質を基盤とした歯科診断および口腔癌治療用などの医療用X線管システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、歯科診断や口腔癌治療のためのシステムは、光源を患者の口腔外部から照射して口腔の内側に投影されるイメージを検出し、口腔内の欠陷を判定できるようにする。このような光源としてタングステンフィラメントタイプのX線管を用いる場合に、熱電子の放出によって所望する量だけの電子放出を導出するためには、陰極部側に高電源が必要となる上に、光源の大きさが極めて大きく、歯科用診断および口腔癌治療のためのシステムに適用するには相当な不便を招来する恐れがある。また、既存の炭素ナノチューブ基盤のX線管を用いる場合にも、光源の大きさが比較的大きいため、口腔内に挿入して歯科診断および口腔癌の治療のために使用するには不便を招来する恐れがある。
【0003】
このように、従来の歯科診断用X線管システムや炭素ナノチューブ基盤のX線管は、その大きさが大きいため、診断のために口腔内のX線映像を撮影するときに、所望する部位に対する制約が大きい上に移動が自由でないため、迅速な撮影が困難であるという問題点がある。したがって、このような不便を解消し、所望する局所部位に対する正確な映像を得ることができる歯科診断および口腔癌治療用などの医療用装置が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するためのものであって、既存のX線カメラおよび炭素ナノチューブを基盤とする放射線管の大きさおよび重量を大幅に減らし、便利に用いることができる歯科診断および口腔癌治療用などの医療用X線管システムおよびその方法を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、炭素ナノチューブを基盤とする放射線管の陰極モジュールにおいて、基板のエッジ部分に電界が集中して発生する電気的アーチング(arching)の問題を解消し、寿命が短命であるという炭素ナノチューブ陰極部の課題を解決することによって、寿命が短いことがネックとなった従来の炭素ナノチューブ基盤のX線管の事業化の非現実性を克服することができる歯科診断および口腔癌治療用などの医療用X線管システムおよびその方法を提供することをもう一つの目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、既存のタングステンフィラメントおよび炭素ナノチューブ基盤のX線管で提起されていた安全性と効率性が低いという課題を解決し、既存のタングステンフィラメント基盤の歯科用X線カメラの制限的な機能による多様な大きさおよび厚さの被写体に対するイメージ取得の困難を克服し、所望する局所部位に対する正確な映像を得ることができる歯科診断および口腔癌治療用などの医療用X線管システムおよびその方法を提供することをさらなる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本発明の特徴を要約すれば、上記のような本発明の目的を達成するために、本発明の一態様に係る医療用X線管システムは、チップ化させたナノ構造物質を用いてX線を放出するX線放出モジュールを備え、前記X線放出モジュールが本体から分離する構造を含む。
【0008】
前記X線放出モジュールは、前記本体に形成した回転軸を介して回転する構造を含む。
【0009】
前記医療用X線管システムは、ペンまたはペンシルタイプで製作され、前記X線放出モジュールが口腔内外部を含む人体内外部の局所部位まで近接してX線を放出して、歯科診断および口腔癌治療を含む人体診断および癌治療に用いることができる。
【0010】
前記医療用X線管システムは、前記X線放出モジュールを用いて正常組職以外の癌細胞のみに放射線を投影する近接治療装置として用いることができる。
【0011】
前記ナノ構造物質は、炭素ナノチューブ、カーボンナノファイバ(CNF)、ナノワイヤ(nano−wire)、グラフェン(graphene)、またはナノダイヤモンド(nano−diamond)を含む。
【0012】
前記X線放出モジュールは、固定手段によって固定された陰極とグリッド部を含む電子放出モジュールを備え、真空状態で前記陰極からの電子ビームが前記グリッド部で抽出されて出ることができる。
【0013】
前記X線放出モジュールのホールに結合された真空バキュームラインにケーブル形態のパイプを連結し、前記パイプを介して前記X線放出モジュール内部の空気を吸入して前記真空状態を保持することができる。
【0014】
前記X線放出モジュールは、前記ナノ構造物質を基盤とする電子放出モジュールと、前記電子放出モジュールから出る電子ビームを集束する集束レンズと、前記集束レンズからの電子ビームによってX線を放出する陽極部とを備える。
【0015】
前記陽極部は、ベリリウム(Be)窓にタングステンまたはモリブデン(Molybdenum)を塗布した透過型ターゲット形態を含む。
【0016】
前記医療用X線管システムは、コンピュータシステムによって電源供給と真空状態に対する制御を受け、前記X線放出モジュールから放出されて診断対象を透過したX線がディテクタによって検出され、前記コンピュータシステムと連動するディスプレイ手段で該当する映像を表示することができる。
【0017】
さらに、本発明の他の一態様に係る医療用X線管システムの診断方法は、チップ化させたナノ構造物質を用いてX線を放出して診断対象に投影するステップと、前記診断対象を透過したX線をディテクタによって検出して該当する映像を表示するステップとを含み、ここで、X線放出モジュールに含まれた前記ナノ構造物質を基盤とする陰極部を交換するために、前記X線放出モジュールは、本体から分離する構造のX線管システムを用いる形態を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るX線管システムおよび方法によれば、既存のタングステンフィラメントあるいは炭素ナノチューブ基盤の放射線管の大きさおよび重量を減らし、自由に位置できるようにすることによって、使用者にとって利便性の高い商品として開発することができる。
【0019】
また、本発明に係るX線管システムおよび方法によれば、炭素ナノチューブ陰極部で電子ビームの均等な放出によって管電流の効率を高めることができ、陰極部の長い寿命によって炭素ナノチューブ基盤の放射線管の商業化時期を早めることができる。
【0020】
また、本発明に係るX線管システムおよび方法によれば、電圧および電流量を撮影部位に応じて選択することができ、マニュアル形態での調節も可能であるため、被写体の形状による制約の相当部分を解消することができる。
【0021】
また、本発明に係るX線管システムおよび方法によれば、サブミクロンの微細欠陷計測および検査に対する従来技術の限界性を克服し、既存の輸入にのみ依存していたX線光源を自国の高効率の新技術として開発することで、より低廉な価格で電子医療機器に適用するように供給することができ、経済的かつ産業的な利益を創出することができ、医療診断関連産業への利用性を増大させることができる。さらに、近接治療装置(brachytherapy)に適用し、放射線治療を要する口腔癌患者に用いることで、既存に放射線の直接照射で憂慮されていた正常組職の放射線被爆の恐れを解消することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付の図面および添付の図面に記載された内容を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳細に説明するが、本発明が実施形態によって制限されたり限定されるものではない。各図面に提示された同じ参照符号は、同じ部材を示す。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブ基盤のペン形状の回転が可能なX線管システムを説明するための図である。
【0024】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態に係るX線管システムは、X線放出ウィンドウ1を含んだX線放出モジュール2と、X線放出モジュール分離部3と、X線放出システム本体4と、炭素ナノチューブ陰極部12(図2に表示)とグリッド部14(図2に表示)に電圧印加するためのフィードスルー(feed−through)5と、高圧およびシステム内部に真空雰囲気を造成のためのケーブル6と、炭素ナノチューブ陰極部の上面に位置した炭素ナノチューブ陰極エミッタ13から電子抽出を可能にするグリッド部電源供給スイッチ7と、X線放出モジュール2部分の回転軸8とを備える。
【0025】
図1のように、本発明の一実施形態に係るペン形状の歯科用X線管システムは、電子放出素子が装着されるX線放出モジュール2内の陰極部の寿命が短く、一定期間使用した後には交換しなければならないことを考慮し、X線放出モジュール分離部3を用いてX線放出モジュール2を本体から容易に分離および組み立てが可能なようにした。このようなペンまたはペンシルタイプの小さくて簡便な構造でX線を放出できるようにすることによって、口腔内に容易に挿入して撮影して映像を取得することが可能である。すなわち、口腔内の診断が必要な部分に図1のような歯科用X線管システムを挿入し、回転軸8を用いて回転しながらスィッチ7を操作してX線を照射し、外部に設置されたX線ディテクタで映像を検出する形態によって、簡便に歯科診断用として用いることができるようにした。口腔癌治療の際には、口腔内側の患部に直接接近させて適正量の放射線を照射することもできるため、正常組職の被爆がなく、癌細胞のみに放射線の投影が可能な近接治療システム(brachytherapy)など多様な医療用システムに活用される。
【0026】
また、X線放出モジュール2内の電子放出素子である炭素ナノチューブは、チップ化してサイズを規格化して小型化が可能であり、外部の測定システムと連動して簡単なプログラムを用い、簡便なボタン操作で使用者の親和的な使用環境を可能にした。
【0027】
さらに、所定の真空ポンプと常時連結されるようにしてX線放出モジュール2内の真空度が一定に保持されるようにすれば、炭素ナノチューブ基盤の高品質X線発生が可能となり、低線量で歯科診断や口腔癌治療、またはその他の人体診断および癌治療に有効に用いることができるようにした。
【0028】
以下、図2〜4を参照しながら、本発明の一実施形態に係るX線管システムについてより詳細に説明する。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブ基盤電子放出モジュールを説明するための図である。
【0030】
図2を参照すれば、X線放出モジュール2に装着する本発明の一実施形態に係る電子放出モジュールは、固定ホルダ9とホール(hole)10を含むホルダ11と、炭素ナノチューブをチップ化させた陰極部12と、電子放出のための炭素ナノチューブの陰極13と、陰極13から出る電子を抽出するためのグリッド部14と、固定ホルダ兼電源供給ラインモジュール15とを備え、固定ホルダ兼電源供給ラインモジュール15には、グリッド部14の右側部分を固定して電源を供給するためのホルダ兼電源供給ライン16と、陰極部12の右側部分を固定して電源を供給するためのホルダ兼電源供給ライン17とを備える。
【0031】
固定ホルダ9とホルダ兼電源供給ライン16を用いてグリッド部14の左右を固定することができるが、このとき、固定ホルダ9とホルダ兼電源供給ライン16に所定のホールを開け、ここにボルティングが可能な材質などの固定手段を挿入して固定させることができる。ホール10には、陰極部12の左側翼部分を挿入し、ホルダ兼電源供給ライン17に陰極部12右側部分を挿入して陰極部12を固定させることができる。ホルダ兼電源供給ライン16を介してグリッド部14に電源を供給することができ、ホルダ兼電源供給ライン17を介して陰極部12に電源を供給することができる。
【0032】
このような電子放出のための陰極13として用いるための炭素ナノチューブ電界放出源を成長させる前に、エッジが鋭い金属基板の角部分を柔らかく屈曲処理するためにグラインディングすることができる。
【0033】
このとき、スクリーンプリンティング方法(screen printing method)で炭素ナノチューブの陰極を製造する場合に、導電性金属基板の前面にスプレーガンを用いて炭素ナノチューブパウダーを2〜3回繰り返して噴きかけ、適正量の炭素ナノチューブが基板上に塗布されるようにできる。
【0034】
または、炭素ナノチューブをCVD(chemical vapor deposition)方法を介して製作するときには、上述したように角が柔らかく処理された金属基板上にTiNのようなバッファ層(buffer layer)を塗布し、この上にニッケル(Ni)あるいは鉄(Fe)のような触媒物質(catalyst)を塗布した後、アルゴンやヘリウムのようなガスでエッチング作業をしてシード粒子(seed particle)を形成し、この後にC22のような炭素ナノチューブソースガスを注入して炭素ナノチューブを成長させることができる。
【0035】
このとき、電界放出源である炭素ナノチューブを基板に成長させるときに、基板の外側を除いた中心部分のみに炭素ナノチューブが塗布されるようにして陰極を製造することができる。
【0036】
このような炭素ナノチューブは、炭素6個でなされた六角形状の結晶格子が互いに連結して管形状をなしており、管の直径は数〜数十ナノメートルに過ぎず、炭素ナノチューブと呼ばれるようになった。このような炭素ナノチューブは、直径がナノメートルの大きさであり、長さは数十ナノから数十マイクロメートルまで成長が可能であるため、電子の電界放出能力を決定するパラメータであるβ(field enhancement factor)が1000以上と他の物質に比べて大きいため、既存のタングステンフィラメントで熱電子放出で電子を抽出する方法よりも遥かに容易に電子を放出する構造を有し、同量の電子を抽出することにおいて量子力学的な電界放出方式を用いるため、熱電子放出方式に比べて相対的に少ない電力が消費される。
【0037】
したがって、このように、最近電子放出素子として脚光を浴びている炭素ナノチューブを基盤としてX線放出モジュール2が制作され、歯科用X線管システムに装着されて用いられることで、既存のタングステンフィラメントタイプのX線管よりも消費する電力を低減し、高分解能を有する高効率の歯科用診断および口腔癌治療などの人体診断や癌治療のための放射線管(X線管)システムに活用することができる。
【0038】
ここで、ナノ構造物質(nano−structured material)として炭素ナノチューブを例示して説明したが、これに限定されるものではなく、この他にも炭素ナノチューブの代わりにカーボンナノファイバ(CNF)、ナノワイヤ(nano−wire)、グラフェン(graphene)、ナノダイヤモンド(nano−diamond)などの電子放出効率が優れたナノ構造物質を用いることができる。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係る図2の電子放出モジュールが装着されたX線管システムの具体的な図である。
【0040】
図2の電子放出モジュールを含んだX線放出モジュール2は、図1のようにX線管システムの本体上部に装着結合され、ケーブル形態のパイプ18がX線管システムの本体内部を貫通して真空バキュームライン19まで連結され、真空バキュームライン19がX線放出モジュール2の対応するホールと結合する。これにより、パイプ18に真空ポンプを連結して動作させてX線放出モジュール2の内部の空気を吸収し、真空雰囲気を保持するようにできる。
【0041】
このような真空雰囲気で電子放出モジュールの陰極13を介して電子が放出されれば、グリッド部14を通過して出る電子は集束レンズ31で集束され、陽極部32でX線を発生させる。すなわち、陰極13とグリッド部14に印加された電圧によって炭素ナノチューブで電子が発生し、このように発生する電子は、シングルまたはダブルフォーカシングタイプのレンズである集束レンズ31によって集束されながらX線発生のために装着された陽極部32に衝突すると同時に、X線を発生するようになる。
【0042】
X線管システム内部の電子放出モジュールは、チップ化して構成されており、真空のためのパイプ18が連結され、X線管システム内部には十分な真空が形成され、電界放出によって電子発生が可能なようになされている。陽極部32構造は、ベリリウム(Be)窓にタングステンあるいはモリブデン(Molybdenum)のようなX線発生効率が優ぐれた物質を塗布した透過型ターゲット形態でなすことができ、電子ビームがこのような陽極部32と衝突するようになれば、X線は陽極ターゲットを透過して外部に放出されるようになる。このとき、グリッド部14と陽極部32との間に装着された集束レンズ31によって電子ビームが集束されれば、陽極部32では数十マイクロメートル以下の理想的な点光源形態の高分解能のX線を放出することができる。このような構造は、X線顕微鏡にも応用が可能であろう。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態に係る歯科用炭素ナノチューブ基盤の放射線イメージングシステムを説明するための図である。
【0044】
図4を参照すれば、本発明の一実施形態に係る放射線イメージングシステムは、電源供給装置および真空ポンプなどを内蔵するためのボディー20と、イメージング取得のためのコンピュータシステム21と、歯科診断用ポータブル放射線管22と、イメージングディスプレイモニタ23と、内部冷却のためのファン装置24と、X線管システム22に必要な電源を供給するためのケーブルと真空雰囲気造成のためのケーブル形態のパイプ25と、X線管システム22を整理および収納することができるX線管収納装置26とを備える。ポータブル放射線管22は、図1〜3で説明したような構造のX線管システムと、X線管システム22から放出されて口腔組職を通過して出るX線を検出するX線ディテクタとを備えることができる。
【0045】
コンピュータシステム21の所定の応用プログラムと共にポータブル放射線管22を動作することができる。例えば、コンピュータシステム21に搭載された所定のソフトウェアやハードウェアは、ポータブル放射線管22に必要な電源や真空程度を保持するようにコントロールすることができ、口腔内の診断が必要な部分に図1のようなX線管システムを挿入し、回転軸8を用いて回転しながらスィッチ7を操作してX線を照射し、口腔外部ではX線ディテクタで映像を検出するという形態で簡便に口腔診断過程をなすことができる。コンピュータシステム21の制御によってX線ディテクタで検出する映像は、所定のメモリに格納されてイメージングディスプレイモニタ23に表示することができる。
【0046】
このような方法で活用される歯科診断などのための放射線イメージングシステムでは、既存のポータブル放射線システムでは測定し難かった口腔内などに該当する人体の局所部分までにも接近し、これに対するイメージを取得することができ、特に、歯科医師が使用し易いデザインで設計され、関連医療分野に多くの援助を与えることができると期待されている。また、システムの規格が大きくなくて空間活用性が高まるため、より実用的であると言える。現在常用化されている歯科診断用X線カメラの場合は、ある程度便利な面もあるが、その重さが約2kgであり、使用者がレントゲン撮影をするときにぶれが生じて撮影映像がぼけるという問題点などによって活用性が低い。したがって、本発明で提案する放射線システムは、ペンまたはペンシルタイプの形状で重さを相当量減らすことができるため、商用化時に関連分野に多くの特典を提供するものと期待される。
【0047】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブ基盤のペン形状の回転が可能なX線管システムを説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る炭素ナノチューブ基盤電子放出モジュールを説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子放出モジュールが装着されたX線管システムの具体的な図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る歯科用炭素ナノチューブ基盤の放射線イメージングシステムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0049】
1:X線放出ウィンドウ
2:X線放出モジュール
3:X線放出モジュール分離部
4:X線放出システム本体
5:フィードスルー
6:ケーブル
7:グリッド部電源供給スイッチ
8:回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ化させたナノ構造物質を用いてX線を放出するX線放出モジュールを備え、
前記X線放出モジュールが本体から分離する構造を含むことを特徴とする医療用X線管システム。
【請求項2】
前記X線放出モジュールは、
前記本体に形成した回転軸を介して回転する構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項3】
前記医療用X線管システムは、ペンまたはペンシルタイプで製作され、
前記X線放出モジュールは、口腔内外部を含む人体内外部の局所部位まで近接してX線を放出し、歯科診断および口腔癌治療を含む人体診断および癌治療に用いられることを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項4】
前記医療用X線管システムは、
前記X線放出モジュールを用いて正常組職以外の癌細胞のみに放射線を投影する近接治療装置として用いられることを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項5】
前記ナノ構造物質は、
炭素ナノチューブ、カーボンナノファイバ(CNF)、ナノワイヤ(nano−wire)、グラフェン(graphene)、またはナノダイヤモンド(nano−diamond)を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項6】
前記X線放出モジュールは、
固定手段によって固定された陰極とグリッド部を含む電子放出モジュールを備え、
真空状態で前記陰極からの電子ビームが前記グリッド部で抽出されて出ることを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項7】
前記X線放出モジュールのホールに結合された真空バキュームラインにケーブル形態のパイプを連結し、前記パイプを介して前記X線放出モジュール内部の空気を吸入して真空状態が保持されることを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項8】
前記X線放出モジュールは、
前記ナノ構造物質を基盤とする電子放出モジュールと、
前記電子放出モジュールから出る電子ビームを集束する集束レンズと、
前記集束レンズからの電子ビームによってX線を放出する陽極部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項9】
前記陽極部は、
ベリリウム(Be)窓にタングステンまたはモリブデン(Molybdenum)を塗布した透過型ターゲット形態を含むことを特徴とする請求項8に記載の医療用X線管システム。
【請求項10】
前記医療用X線管システムは、
コンピュータシステムによって電源供給と真空状態に対する制御を受け、
前記X線放出モジュールから放出されて診断対象を透過したX線がディテクタによって検出され、前記コンピュータシステムと連動するディスプレイ手段で該当する映像が表示されることを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管システム。
【請求項11】
チップ化させたナノ構造物質を用いてX線を放出して診断対象に投影するステップと、
前記診断対象を透過したX線をディテクタによって検出して該当する映像を表示するステップと、
を含み、
X線放出モジュールに含まれた前記ナノ構造物質を基盤とする陰極部を交換するために、前記X線放出モジュールが本体から分離する構造のX線管システムを用いることを特徴とする医療用X線管システムの診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−297490(P2009−297490A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196627(P2008−196627)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(500581814)コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティチュート (14)
【Fターム(参考)】