説明

ナノ粒子

ナノ粒子は、重合、架橋または硬化可能である重合性部分に連結したコアを含み得る。ナノ粒子は、重合、架橋または硬化反応中の体積収縮を阻害または防止するのに十分な量および分布で、重合、架橋または硬化反応用の組成物中に含まれ得る。また、ナノ粒子は、反応して重合、架橋または硬化した生成物を形成し得るモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと共に、組成物中に含まれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される技術は、ナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、重合は、モノマー分子を化学反応において互いに反応させ、ポリマー鎖を形成することにより生じる。化学化合物において、重合反応は、反応する化合物内に存在する官能基およびそれらの固有の立体効果に起因して複雑性が変動する、様々な反応メカニズムを介して生じる。
【0003】
反応モノマー組成物は、通常、重合プロセス前の第1の体積、および重合後のより小さい第2の体積を有する。具体的なメカニズムに限定されることは意図しないが、これは、1つには、個々のモノマーの間に空隙体積が存在する可能性があり、モノマーが互いに連結する際にその空隙体積が減少し得ることによりもたらされ得る。同様に、反応組成物が、重合性または架橋性のデンドリマー、オリゴマー、および/またはポリマーを含む場合、重合または架橋されたポリマーの体積は、反応組成物の体積より小さい傾向がある。
【0004】
重合および/または架橋中のそのような体積の減少は、寸法不安定性に起因して、各種製造プロセスに不完全性をもたらし得る。ナノテクノロジー、マイクロ電子機器、表示デバイス等における現在の多くの製造プロセスは、特に部品間の配置および間隔に関して精度に依存しており、寸法安定性が重要である。得られる製品は、欠陥、不適当性を有する可能性があり、または完成度が低いとみなされる可能性がある。したがって、反応組成物から最終生成物に至るまで寸法安定性を有する重合、硬化、または架橋反応を有することが望ましくなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、ナノ粒子は、コアと、コアに連結した1個または複数の重合性部分とを有してもよく、重合性部分は、重合、架橋または硬化反応を生じるように構成され得る。一実施形態において、ナノ粒子は、重合、架橋または硬化反応中の体積収縮を防止するために使用され得る。ナノ粒子は、0.1nmから1,000nmの平均直径を有し得る。
【0007】
コアは、ナノ粒子、ナノクラスタ、ナノ粉末、単結晶、ナノ結晶、ナノロッド、ナノ繊維、ナノカップ、コアシェル粒子、またはこれらの組合せ等を含んでもよい。ナノ粒子コアは、ポリマー、脂質、リポソーム、金属、合金、金属酸化物、セラミック、複合材、量子ドットまたはこれらの組合せ等の1種または複数種を含んでもよい。コアは、金、銀、アルミニウム、白金、パラジウム、銅、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、ガドリニウム、モリブデン、シリカ、チタニア、酸化鉄、酸化コバルト、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe、NiFeCo、またはこれらの組合せ等を含んでもよい。コアは、金、銀、アルミニウム、シリカ、もしくはチタニア、またはこれらの組合せ等を含んでもよい。
【0008】
一実施形態において、重合性部分の1個または複数は、コアに連結した反応性部分であってもよく、または、コアに会合した連結基を介してコアに連結した反応性部分を含んでもよい。連結基は、イオン性、共有結合性、親水性、疎水性会合、または任意の他の種類の会合、カップリング、もしくは結合により、コアに会合し得る。連結基は、直線、分岐状もしくは環式の置換もしくは非置換アルキレンオキシド、直線、分岐状もしくは環式の置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、分岐状、非分岐状もしくは環式の置換もしくは非置換アリールアルキレン、またはこれらの組合せ等であってもよい。
【0009】
一実施形態において、重合性部分の1個または複数は、プラズマ重合、逐次重合、連鎖重合、カチオン付加重合、アニオン付加重合、フリーラジカル重合、開環重合、放射線重合、化学開始剤重合、熱重合、チーグラーナッタ触媒重合、ペプチド合成、ヌクレオチド合成、もしくはタンパク質合成、またはポリマーもしくは架橋ポリマーを調製するための任意の他の反応に関与することによって重合するように構成され得る。例えば、重合性部分は、放射線重合性部分、ラジカル重合性部分またはイオン重合性部分であってもよい。
【0010】
一実施形態において、重合性部分は、
−L−X−Y
で表すことができ、式中、Lは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アルキレンオキシド、−(CHλ−O−(CH−を表し、Xは、単結合、−O−、−O−(CH−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−T−または−O−T−C(=O)−を表し、Yは、−Pまたは−CH(3−n)を表し、
Tは、アリーレンを表し、Pは、反応性部分を表し、lおよびmは、独立して1から20を表し、qは、1から10を表し、nは、1から3を表す。
【0011】
一実施形態において、Pは、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、環式エーテル基、ビニルエーテル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基、またはこれらの組合せ等を表す。
【0012】
一実施形態において、ナノ粒子は、1個から1,000個、または可能な場合はそれ以上の重合性部分を有し得る。
【0013】
一実施形態において、ナノ粒子を作製する方法は、コアを提供することと、1個または複数の重合性部分をコアに連結させることとを含み得る。前記重合性部分は、重合、架橋または硬化反応を生じるように構成され得る。
【0014】
本開示はまた、重合、架橋または硬化反応用の組成物であって、重合、架橋または硬化反応に関与することができるモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと、上述のナノ粒子とを含み、ナノ粒子の重合性部分は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの重合性、架橋性または硬化性官能基と反応することができるように選択される組成物に関連し得る。重合性部分は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマー内の官能基と同じ、または異なる化学構造を含み得る。例えば、ナノ粒子は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの総重量に対して50重量部以下の量で含まれてもよい。
【0015】
本開示はまた、上述のような組成物の重合、架橋または硬化した材料を含む生成物に関する。生成物は、接着剤、粘着剤、ハードコーティングもしくはシーラント、歯科用組成物、硬質プラスチック、フォーム、メモリフォーム、エラストマー、またはプラストマー等であってもよい。
【0016】
本開示はまた、上述のような組成物を重合、架橋または硬化させるための方法であって、初期体積を有する組成物を提供することと、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーをナノ粒子と反応させて、最終体積を有する重合、架橋または硬化した生成物を形成することとを含み、最終体積は、初期体積と実質的に同じである方法に関連し得る。したがって、最終体積は、初期体積と実質的に同じであってもよく、10体積%未満、5体積%未満、1体積%未満または0.5体積%未満の変化であってもよい。
【0017】
上記概要は、例示のみを目的とし、決して限定を意図するものではない。上記の例示的な態様、実施形態および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態および特徴が、図面および以下の発明を実施するための形態を参照することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】重合性部分を備えるナノ粒子の例示的実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の発明を実施するための形態において、本発明の一部を成す添付の図面が参照される。図面において、文脈により異なる解釈が必要とされない限り、類似の符号は、典型的には類似の成分を指している。発明を実施するための形態、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的実施形態は、限定を意図しない。本明細書に示される主題の精神または範囲から逸脱せずに、他の実施形態が利用されてもよく、他の変更がなされてもよい。本明細書において概説され、図に示されるような本開示の態様は、多種多様な構成で配設、置換、結合、分離、および設計することができ、その全てが本明細書において明示的に企図されることが、容易に理解されよう。
【0020】
本明細書に記載の実施形態は、コアと、コアに連結した1個または複数の重合性部分とを含むナノ粒子に関する。重合性部分は、重合、架橋または硬化反応を生じるように構成され得る。一実施形態において、重合性部分は、コアに連結した反応性部分であってもよく、または、コアに会合した連結基を介してコアに連結した反応性部分を含んでもよい。一実施形態において、反応性部分は、重合、架橋または硬化反応を生じる能力を保持する様式でコアに連結した、重合、架橋または硬化反応のための任意の官能基、モノマー部分、オリゴマー部分、ポリマー部分等であってもよい。デンドリマー、オリゴマーおよびポリマーは、さらなる重合、架橋または硬化反応に関与し得るが、そのような実体は、それらの実体がナノ粒子に連結している場合のさらなる重合、架橋または硬化反応の目的で、本明細書に記載のような反応性部分であるとみなすことができる。また、本開示において、重合性部分は、重合性、架橋性および硬化性部分を含むものとみなすことができる。また、本開示において、重合は、重合、架橋および硬化反応を含むものとみなすことができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、重合、架橋または硬化反応中の体積収縮を防止するために使用され得る。したがって、本明細書に記載の実施形態は、重合、架橋または硬化反応中の体積収縮を防止するためのナノ粒子の使用に関連し得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、重合性部分の1個または複数は、イオン性、共有結合性、親水性、疎水性会合、または任意の他の種類の会合、カップリング、結合等によりコアに会合し得る連結基を介してナノ粒子コアに連結された反応性部分を含み得る。連結基は、直線もしくは分岐状もしくは環式の置換もしくは非置換アルキレンオキシド、直線もしくは分岐状もしくは環式の置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、分岐状もしくは非分岐状もしくは環式の置換もしくは非置換アリールアルキレン、またはこれらの組合せ等を含み得るが、これらに限定されない。
【0023】
一実施形態において、ナノ粒子は、ナノ粒子がモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと反応して、重合、架橋または硬化した生成物を形成するように、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーとの重合反応用の組成物中に含まれてもよい。ナノ粒子は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと同じであるか、またはそれに適合する化学構造である反応性部分を含み得る。また、組成物は、重合、架橋または硬化反応前の第1の体積を有するために十分な量のナノ粒子を含むように調製されてもよく、重合、架橋または硬化反応後、第1の体積と実質的に同じ体積を有する、重合、架橋または硬化した生成物を提供し得る。したがって、プロセスが体積収縮を阻害または防止するため、重合は一定体積重合であるとみなすことができる。例えば、重合、架橋または硬化後の体積は、初期体積と実質的に同じであってもよく、10体積%未満、5体積%未満、1体積%未満または0.5体積%未満の変化であってもよい。したがって、接着剤、粘着剤、ハードコーティングもしくはシーラント、歯科用組成物、硬質プラスチック、フォーム、メモリフォーム、エラストマー、またはプラストマー等の、重合、架橋または硬化した生成物は、重合反応前の組成物と実質的に同じ体積を有し得る。
【0024】
一定体積重合のプロセスは、製造プロセス中の寸法安定性を提供し得る。例えば、マイクロ電子デバイスまたは表示デバイスは、部品またはコンポーネント間に光硬化性シーラントおよび/または接着剤を利用し得る。一定体積重合でない場合、光照射によるそのような光硬化性シーラントの硬化後、生成物の体積が初期体積から減少する可能性があり、接着性または寸法安定性を低下させ、特にコンポーネントの厳密な配置が重要または望ましいデバイスを考慮すると好ましくないものとする。したがって、一定体積重合のプロセスは、重合、架橋または硬化反応用の組成物中のナノ粒子の存在により、収縮を回避することができる。
【0025】
そのような重合性ナノ粒子は、重合性部分、例えばビニル、エポキシ、オキセタン、または他の重合性基に連結し得る任意のナノ粒子を含み得る。重合性ナノ粒子は、ナノ粒子の反応性部分と反応し得る適合性のモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと混合され得る。モノマー中の反応性基が重合を開始することができ、マクロ末端反応種が、ナノ粒子の表面上の反応性部分を介して増殖し得る。ナノ粒子の一定体積およびナノ粒子に対するポリマーの体積配置により、いかなる自由な体積クエンチング挙動も減少され得る。
【0026】
ナノ粒子は、約0.1nmから約1,000nmの範囲の平均直径を有する任意の粒子であってもよい。一実施形態において、ナノ粒子は、約1nmから約950nm、約1nmから約900nm、約1nmから約850nm、約1nmから約800nm、約1nmから約750nm、約1nmから約700nm、約1nmから約650nm、約1nmから約600nm、約1nmから約550nm、約1nmから約500nm、約1nmから約450nm、約1nmから約400nm、約1nmから約350nm、約1nmから約300nm、約1nmから約250nm、約1nmから約200nm、約1nmから約150nm、約1nmから約100nm、約1nmから約90nm、約1nmから約70nm、約1nmから約50nm、約1nmから約30nm、約1nmから約20nm、約1nmから約10nm、または約1nmから約5nmの範囲の平均直径を有し得る。別の実施形態において、ナノ粒子は、約0.1nm、約0.5nm、約1nm、約2nm、約3nm、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nmまたは約1,000nmの平均直径を有し得る。
【0027】
図1は、ナノ粒子の例示的実施形態の概略図を示す。図1を参照すると、ナノ粒子1は、コア10および重合性部分20を含む。一実施形態において、重合性部分20は、重合、架橋または硬化反応に関与する反応性部分40を含み得る。一実施形態において、重合性部分20は、反応性部分40、およびコア10に連結した連結基30を含み得る。
【0028】
コア10は、様々なナノ粒子から、様々な形状、硬度または他の特性で形成され得る。コアは、ナノ粒子、ナノクラスタ、ナノ粉末、単結晶、ナノ結晶、ナノロッド、ナノ繊維、ナノカップ、コアシェル粒子等の形態であってもよい。ナノ粒子は、硬質、展性、球形、多面体、非晶質等であってもよい。ナノ材料は、ポリマー、脂質、リポソーム、金属、合金、金属酸化物、セラミック、複合材、量子ドット等から選択され得る。
【0029】
材料の例は、金属、酸化物または合金材料を含み得る。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属、ランタノイド、アクチノイド等であってもよい。
【0030】
アルカリ金属:リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシウム。アルカリ土類金属:ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、およびラジウム。遷移金属:亜鉛、モリブデン、カドミウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウム、およびウンウンビウム。ポスト遷移金属:アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ウンウントリウム、ウンウンクアジウム、ウンウンペンチウム、およびウンウンヘキシウム。ランタノイド:ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウム。アクチノイド:アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、およびローレンシウム。これらの元素のいくつかは、いくつかの用途においてより好ましくなり得る。他の元素、例えば放射性元素は、ナノ粒子として、放射性ポリマーの生成に有用となり得る。
【0031】
合金は、任意の組合せ、量、または比率の金属から調製され得る。例は、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe、NiFeCo等を含み得る。
【0032】
酸化物は、適切な金属から調製され得る。例は、シリカ、チタニア、酸化鉄、酸化コバルト等を含み得る。
【0033】
一実施形態において、コアは、金、銀、アルミニウム、白金、パラジウム、銅、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、ガドリニウム、モリブデン、シリカ、チタニア、酸化鉄、酸化コバルト、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFeもしくはNiFeCo、またはこれらの組合せ等を含んでもよい。別の実施形態において、コアは、金、銀、アルミニウム、シリカもしくはチタニア、またはこれらの組合せ等を含んでもよい。
【0034】
コアを調製するための方法は限定されず、当技術分野において使用される任意の従来の方法を適用することができる。一実施形態において、コアは、摩耗法により調製され得る。摩耗法において、マクロまたはミクロスケールの粒子は、ボールミル、遊星ボールミル等の様々な摩耗手段、または他のサイズ低下メカニズム、例えば真空チャンバ内で金属を蒸発させ、次いで不活性ガス流で過冷却し、過冷却された金属蒸気がナノメートルサイズの粒子に凝縮する、不活性ガス凝縮により微粒化される。さらに別の実施形態において、コアは、により調製され得る。
【0035】
これに関して、ならびに本明細書に記載の他のプロセスおよび方法に関して、プロセスおよび方法において実行される機能は、異なる順番で実践されてもよいことが、当業者には理解されよう。さらに、概説されたステップおよび操作は、単なる例として提供され、ステップおよび操作のいくつかは、記載された実施形態の本質から逸脱することなく、任意選択であってもよく、組み合わせてステップおよび操作を減らしてもよく、または拡大してステップおよび操作を追加してもよい。
【0036】
コア10は、様々な相互作用、結合、またはカップリングにより、重合性部分20と会合し得る。例えば、コアおよび重合性部分は、イオン相互作用、水素結合、疎水性相互作用、親水性相互作用、共有結合、または任意の他の化学的会合手段により会合し得る。
【0037】
重合性部分20は、コア10との会合を提供し得る連結基30を含んでもよい。連結基30は、コア10と会合し、反応性部分40をコア10から離れるように伸長させる能力を有する、様々な異なる種類のいずれかであってもよい。連結基は、炭化水素(例えばアルキル)、ポリマー、ポリペプチド、ポリヌクレオチド等であってもよい。ポリマー連結基は、星型ポリマー、櫛型ポリマー、ブラシ型ポリマー、ラダー、およびデンドリマーを含み得る。連結基は、均一、連続的、線形、分岐状であってもよく、または、各セグメントが個々の特性および/もしくは反応性部分をコアから隔てる機能性を有するようにセグメント化されてもよい。セグメント化連結基は、タンパク質の折り畳み、脂質集合等と同様の様々な3次元立体構造を自己形成するように構成されてもよい。例えば、個々のセグメントは、イオン性、カチオン性、アニオン性、親水性、疎水性、または他の特性、およびこれらの組合せであってもよい。
【0038】
反応性部分は、重合、架橋または硬化反応に関与することができる任意の種類の官能基またはモノマー部分を含み得る。官能基またはモノマー部分は、プラズマ重合、逐次重合、連鎖重合、カチオン付加重合、アニオン付加重合、フリーラジカル重合、開環重合、放射線重合、化学開始剤重合、熱重合、チーグラーナッタ触媒重合、ペプチド合成、ヌクレオチド合成、タンパク質合成、またはその他に関与することができてもよい。官能基またはモノマー部分は、触媒あり、または触媒無しでの重合に関与してもよい。例えば、官能基またはモノマー部分は、アルケン、カルボニル、ホルムアルデヒド、水和ホルムアルデヒド等を含み得る。
【0039】
別の実施形態において、重合性部分20は、放射線重合性部分であってもよい。「放射線」という用語は、本明細書において使用される場合、マイクロ波、赤外線、紫外(UV)線、X線およびγ線等の電磁放射線、ならびに、α粒子ビーム、陽子ビーム、中性子ビームおよび電子ビーム等の粒子ビームを含むが、これらに限定されない。
【0040】
さらに別の実施形態において、重合性部分は、ラジカル重合性部分またはイオン重合性部分であってもよい。ラジカル重合性部分は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基等であってもよい。ラジカル重合性部分は、ビニル基または(メタ)アクリロイル基であってもよい。「(メタ)アクリロイル基」という用語は、本明細書において使用される場合、アクリロイル基およびメタクリロイル基を指す。
【0041】
一実施形態において、重合性部分は、環式エーテル基、ビニルエーテル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基等であってもよい。「環式エーテル」という用語は、本明細書において使用される場合、エポキシ部分、脂環式エポキシ部分およびオキセタン部分を含むが、これらに限定されない。「脂環式エポキシ部分」という用語は、本明細書において使用される場合、3,4−エポキシシクロペンチル基または3,4−エポキシシクロヘキシル基等のエポキシシクロアルキル基を含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、イオン重合性部分は、環式エーテル基またはビニルエーテル基であってもよい。
【0042】
上記の重合性部分において、アルキルは、1個から20個の炭素原子、1個から16個の炭素原子、1個から12個の炭素原子、1個から8個の炭素原子または1個から4個の炭素原子を有するアルキルであってもよい。別の実施形態において、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであってもよい。一実施形態において、アルキルは、線形もしくは分岐状、または環式もしくは非環式構造を有してもよい。
【0043】
上記の重合性部分において、アルキレンは、1個から20個の炭素原子、1個から16個の炭素原子、1個から12個の炭素原子、1個から8個の炭素原子または1個から4個の炭素原子を有するアルキレンであってもよい。別の実施形態において、アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンであってもよい。一実施形態において、アルキレンは、線形もしくは分岐状、または環式もしくは非環式構造を有してもよい。
【0044】
一実施形態において、重合性部分は、以下の式1で表すことができる。
【0045】
[式1]
−L−X−Y
式中、Lは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アルキレンオキシド、−(CHλ−O−(CH−を表し、Xは、単結合、−O−、−O−(CH−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−Tまたは−O−T−C(=O)−を表し、Yは、−PまたはCH(3−n)を表し、Tは、アリーレンを表し、Pは、反応性部分を表し、lおよびmは、独立して1から20、1から15、1から10もしくは1から5、またはさらに1、2、3、4、もしくは5を表し、qは、1から10もしくは1から5、またはさらに1、2、3、4、もしくは5を表し、nは、1、2、または3を表す。
【0046】
本明細書において使用される「単結合」という用語は、「L」と「Y」との間に元素が存在しない、すなわち「L」および」「Y」が直接結合している場合を指す。
【0047】
本明細書において使用される「アリーレン」という用語は、芳香族炭化水素から得られる二価基を指す。一実施形態において、芳香族炭化水素は、6個から22個の環員原子、6個から18個の環員原子、6個から14個の環員原子、または6個から10個の環員原子を有し得る。別の実施形態において、芳香族炭化水素は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等であってもよい。複数環式アリーレンは、22個を超える環原子を含み得る。アリーレンは、置換または非置換であってもよい。
【0048】
上記の式1中、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたはアルキレンオキシドは、1個から20個の炭素原子、1個から16個の炭素原子、1個から12個の炭素原子、1個から8個の炭素原子または1個から4個の炭素原子を有する任意の炭素鎖を含み得る。例えば、アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであってもよい。アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたはアルキレンオキシドは、線形もしくは分岐状、または環式もしくは非環式構造を有してもよい。アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたはアルキレンオキシドは、置換または非置換であってもよい。
【0049】
上記の式1中、アルキレンオキシドは、−(A−O)−または−(O−A)−で表すことができ、Aは、アルキレンを表し、pは、1から10、1から8、1から6、1から4または1から2の範囲内である。
【0050】
上記の式1中、Xは、単結合、−O−、−O−(CH−、−O−C(=O)−、−O−T−または−O−T−C(=O)−であってもよく、Tは、フェニレンまたはナフチレンを表し、qは、1から4を表す。
【0051】
上記の式1中、Pは、放射線重合性部分、ラジカル重合性部分、イオン重合性部分等の反応性部分であってもよい。例えば、反応性部分は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、環式エーテル基、ビニルエーテル基、ヒドロキシアルキル基、またはポリオキシアルキレン基を含み得る。さらに別の実施形態において、Pは、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタン基またはビニルエーテル基であってもよい。
【0052】
一実施形態において、重合性部分は、少なくとも1個の置換基、例えば「n」個の置換基で置換されていてもよい。置換基は、水素、ハロゲンもしくはアルキル、またはアリール基であってもよい。
【0053】
一実施形態において、ナノ粒子は、可能な限り多くの、または、1個の重合性部分が存在する限り所望に応じてより少ない任意の数の重合性部分を有してもよい。例えば、ナノ粒子は、1個から1,000個、1個から900個、1個から800個、1個から700個、1個から600個、1個から500個、1個から400個、1個から300個、1個から200個、または1個から100個の重合性部分を含んでもよい。別の実施形態において、ナノ粒子は、4個から70個、4個から50個、4個から30個、4個から20個、4個から10個の重合性部分を含んでもよい。さらに別の実施形態において、ナノ粒子は、16個から70個、16個から50個、16個から30個、または16個から20個の重合性部分を含んでもよい。さらに別の実施形態において、ナノ粒子は、4個、7個、10個、13個、16個、19個、21個または24個の重合性部分を含んでもよい。
【0054】
ナノ粒子を調製するための方法は、特に限定されない。一実施形態において、ナノ粒子は、コアを提供すること、および1個または複数の重合性部分をコアに連結させることにより調製され得る。一実施形態において、重合性部分は、コアおよび以下の式2で表される化合物を、適切な媒体中で接触させることにより、コアに連結され得る。
【0055】
[式2]
Q−L−X−Y
式中、Qは、コアの表面への結合または相互作用を形成することができる部分を表し、L、XおよびYは、式1において説明されたものと同じである。
【0056】
上記の式2中、コアの表面への結合または相互作用を形成することができる部分の種類は特に限定されず、コアの種類を考慮して選択され得る。例えば、部分は、チオール(HS)、カルボキシ(COOH)、ヒドロキシ(OH)、シアノ(CN)、ハロゲン、ハロゲンで置換されたアルキル等であってもよいが、これらに限定されない。コアが金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)またはパラジウム(Pd)等の金属または合金材料である場合、Qは、チオール(SH)またはシアノ基(CN)であってもよい。また、コアがシリカまたはチタニア等の酸化物である場合、Qは、ヒドロキシ(OH)、カルボキシ(COOH)、または臭素(Br)等のハロゲンであってもよい。
【0057】
コアおよび式2で表される化合物がその中で接触する媒体の種類は限定されず、反応を維持するために十分な任意の溶媒を含み得る。媒体は、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、オクチルエーテルもしくはデシルエーテル等のエーテル;ピリジンもしくはテトラヒドロフラン等のヘテロ環;トルエン、キシレン、メシチレンもしくはベンゼン等の芳香族化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ジメチルホルムアミド等のアミド;オクチルアルコールもしくはデカノール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンもしくはヘキサデカン等の炭化水素;または水等の水性媒体であってもよい。
【0058】
一実施形態において、コアと式2で表される化合物との間の接触は、約10℃から200℃、または約25℃から150℃の温度で進行され得る。
【0059】
一実施形態において、コアと式2で表される化合物との間の接触は、約1時間から40時間、または約6時間から約24時間進行され得る。
【0060】
これに関して、ならびに本明細書に記載の他のプロセスおよび方法に関して、プロセスおよび方法において実行される機能は、異なる順番で実践されてもよいことが、当業者には理解されよう。さらに、概説されたステップおよび操作は、単なる例として提供され、ステップおよび操作のいくつかは、記載された実施形態の本質から逸脱することなく、任意選択であってもよく、組み合わせてステップおよび操作を減らしてもよく、または拡大してステップおよび操作を追加してもよい。
【0061】
一実施形態において、ナノ粒子は、反応性組成物中で、重合、架橋または硬化反応用のモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと混合されてもよい。モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーは、重合性ナノ粒子内の重合性部分と同一の構造もしくは官能基を有してもよく、または、異なるが適合性の構造もしくは官能基を有してもよい。また、キットは、混合可能な形式で互いから分離されたナノ粒子およびモノマーを含み得る。キットはまた、重合触媒、促進剤、または増進剤を、別個に、またはナノ粒子もしくはモノマーとともに含んでもよい。
【0062】
例えば、重合性モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス−フェノールのジグリシジルメタクリレート(Bis−GMA)、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート、分子量200〜500のポリエチレングリコールのビス−アクリレートおよびビス−メタクリレート、アクリル化モノマーの共重合性混合物および共重合性アクリル化オリゴマー、リン酸誘導体、エチレン性不飽和モノマーのカルボン酸誘導体、ビニル化合物、スチレン、フタル酸ジアリル、コハク酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、フタル酸ジビニルまたは他のモノマーを含み得る。さらに、所望によりこれらの重合性モノマーの2種以上の混合物が使用されてもよい。しかしながら、これは重合性モノマーの網羅的な列挙ではなく、本開示に従い、他の重合性モノマーが使用されてもよいことを認識されたい。
【0063】
一実施形態において、ナノ粒子は、重合反応を行うために十分なモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと共に組成物中に含まれてもよい。組成物は、組成物中のナノ粒子とモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーとの間で重合が生じるような条件で、および任意の他の重合試薬とともに維持され得る。反応は、ナノ粒子;モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマー;および任意の他の試薬または溶媒の量または比率が、初期体積V1および最終体積V2を有するように行われる。V1およびV2は、反応中に体積が変化しないように同一となり得る。また、最終ポリマーが所望通りに機能することができ、妥当な標準偏差内であるとみなされ得る用途に、重合反応を利用することができるように、V1とV2との間の変化は無視できる、または十分に小さい量となり得る。例えば、いくつかの場合において、V1からV2の変化が10%未満、5%未満、1%未満、または0.1%未満であることが望ましくなり得る。したがって、ナノ粒子は、重合プロセス中の体積収縮を阻害または防止するために使用され得る。
【0064】
上述のようにナノ粒子の存在下で重合プロセスが進行する場合、反応は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマー内の官能基間、およびモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマー内の官能基とナノ粒子内の重合性部分との間の両方において生じることができ、それにより体積収縮が阻害または防止され得る。
【0065】
ナノ粒子内に含有される重合性部分は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの重合性、架橋性または硬化性官能基と反応することができるように選択され得る。一実施形態において、ナノ粒子の重合性部分は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの官能基と同一の化学構造を有してもよい。
【0066】
上記の組成物において、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの種類は特に限定されず、重合プロセスを考慮して選択され得る。モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーは、ラジ重合プロセス、ラジカル重合プロセスまたは他の重合プロセス等において、ナノ粒子との反応に十分となるように選択され得る。
【0067】
一実施形態において、ラジカル重合プロセスは、室温よりすぐ上の温度で2個のラジカルに分解され得るある特定の化合物、例えば有機過酸化物もしくはアゾ化合物;光の影響下で励起状態となる、もしくは他の分子と反応してラジカルを形成する感光性分子;または反応中に1個の電子の移動を伴う酸化還元系等により開始され得る。
【0068】
典型的には、フリーラジカル重合は、フリーラジカルを生成するために開始剤を必要とする。様々な種類の開始剤が、光、熱、または化学薬品に暴露されるとフリーラジカルを生成し得る。開始剤化合物は、重合または架橋を開始する、またはその速度を速めるために効果的な量で、組成物中に提供される。
【0069】
光開始剤は、特定波長を有する光に暴露された際にフリーラジカルを生成する化合物の群である。したがって、重合を開始させる光の波長に依存して、異なる光開始剤を選択することができる。光開始剤の例は、ベンゾフェノン、ベンゾイン、9,10−フェナントレンキノン、ジアセチル、フリル、アニシル、4,4’−ジクロロベンジル、4,4’−ジアルコキシベンジル、フェニルプロパンジオン、アシルホスフィンオキシド、カンファーキノン、これらの誘導体等を含み得る。光重合は、例えば、約400nmから約500nmの波長を有する光の照射により開始され得る。
【0070】
熱開始剤は、熱硬化系内で使用され得る。いくつかの熱開始剤は、150℃未満の温度で活性化され得る。熱開始剤の例は、過酸化t−ブチル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過オクタン酸t−ブチル、過安息香酸t−ブチル等を含み得る。
【0071】
一方、ある特定の用途において、典型的にはフリーラジカルを生成する少なくとも2種の共開始剤である化学開始剤が、重合を誘導するために使用され得る。これらの化学開始剤系は、反応対、例えばN,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、および他の同様のアミンと組み合わせた過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、または過酸化ジベンゾイルを使用する。あるいは、光開始剤、熱開始剤および/または化学開始剤を含む、組み合わせた系を使用することができる。
【0072】
開始剤の濃度は、ナノ粒子、およびモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの濃度に依存し得る。さらに、開始剤の濃度は、開始剤の種類に依存し得る。例えば、反応性組成物は、約0.001重量%から約5重量%の範囲、約0.01重量%から約2.5重量%の範囲、または約0.1重量%から約1重量%の範囲で開始剤を含み得る。しかしながら、開始剤の濃度は、開始剤の種類および/または樹脂の種類、ならびに組成物および最終生成物の所望の特性に依存して変動し得る。
【0073】
別の実施形態において、モノマーは、カチオン重合プロセス等のイオン重合プロセスにおいて使用されるものであってもよい。イオン重合プロセスにおいて、ポリマー鎖の成長は、各成長ステップの最後に反応部位(複数可)の再生を伴うモノマー(複数可)とポリマー上の反応部位(複数可)との間の反応(複数可)により進行し得る。
【0074】
上記の組成物において、ナノ粒子の量は特に限定されず、反応の種類、所望の生成物等を考慮して決定され得る。特定の重合における体積収縮の阻害または防止に十分なナノ粒子の量または比率は、本明細書に記載の、および/または当技術分野において知られている標準試験を使用して決定され得る。反応組成物は、反応組成物の50重量もしくは体積%未満、25重量もしくは体積%未満、10重量もしくは体積%未満、または5重量または体積%未満、または1重量または体積%未満を含み得る。例えば、ナノ粒子は、モノマーの総重量に対して約20重量部以下、約15重量部以下、約10重量部以下、約5重量部以下、もしくは約3重量部から5重量部、または、モノマー、デンドリマー、オリゴマーもしくはポリマー、または全反応組成物の総重量に対して、約3重量部または約2重量部の量で含まれてもよい。
【0075】
いくつかの場合において、50%超、および恐らくは75%超等の高い量を有することが有益となり得るが、これは膨潤をもたらして体積を増加させる可能性がある。いくつかの場合において、体積の増加をもたらすことが有利となり得るため、ナノ粒子は、膨潤または体積膨張をもたらして、1%、10%まで、25%まで、または50%増加させる量で使用され得る。さらに、膨潤のために、約100%のナノ粒子で反応を行うことも可能である。
【0076】
一実施形態において、重合、架橋または硬化反応用の組成物は、各反応において使用可能な従来の添加剤、例えば開始剤、連鎖移動剤、阻害剤、安定剤、架橋剤、硬化剤等をさらに含んでもよい。
【0077】
一実施形態において、ナノ粒子およびモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーを用いた重合反応を行うことにより、組成物の重合した材料を含む生成物を得ることができる。生成物は、任意の硬い剛構造、または、一般にポリマー、プラスチック、接着剤等に関連した屈曲可能な柔構造であてもよい。
【0078】
一実施形態において、生成物は、接着剤、粘着剤、ハードコーティング、シーラント、歯科用組成物、硬質プラスチック、フォーム、メモリフォーム、エラストマー、プラストマー等であってもよい。
【0079】
さらに、ナノ粒子は、架橋または硬化反応を生じるように構成される反応性部分を含んでもよい。したがって、架橋または硬化は、架橋または硬化体積収縮を阻害または防止するような重合と同様の様式で、ナノ粒子を用いて行うことができる。例えば、いくつかの場合において、反応基を有するナノ粒子は、それ自身と架橋し得る。別の例において、ナノ粒子は、ポリマー等の他の物質と架橋し得る。架橋反応は、反応基を有するナノ粒子および架橋試薬を含み得る。
【0080】
定義
「ラジカル重合プロセス」という用語は、本明細書において使用される場合、ポリマー鎖の反応中心がラジカルからなる重合反応の種類を示す。
【0081】
「イオン重合プロセス」という用語は、本明細書において使用される場合、動的連鎖伝達体がイオンまたはイオン対である連鎖重合反応の種類を示す。
【0082】
本明細書において使用される場合、「アルキル」または「脂肪族」という用語は、骨格内に20個以下の炭素を有する、直線もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和、および/または置換または非置換であってもよい炭化水素基等のヒドロカルビル部分を示し得る。脂肪族基は、線形、分岐状、環式および/またはヘテロ環式の部分を含んでもよく、エーテル、ケトン、アルデヒド、カルボキシレート等の官能基を含有してもよい。例示的な脂肪族基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、より高い炭素数のアルキル基等、および2−メチルプロピル、2−メチル−4−エチルブチル、2,4−ジエチルプロピル、3−プロピルブチル、2,8−ジブチルデシル、6,6−ジメチルオクチル、6−プロピル−6−ブチルオクチル、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル等の置換および/または非置換基を含むが、これらに限定されない。脂肪族またはアルキルという用語はまた、アルケニル基、例えばビニル、アリル、アラルキルおよびアルキニル基を包含する。
【0083】
アルキルまたは脂肪族基内の置換は、ハロゲン、硫黄、チオール、チオエーテル、チオエステル、アミン(1級、2級、または3級)、アミド、エーテル、エステル、アルコール、酸素等を含むがこれらに限定されない、脂肪族部分において許容され得る任意の原子または基を含み得る。脂肪族基はまた、例えば、アゾ基、ケト基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ、ニトロソまたはニトリル基、イミダゾール等のヘテロ環、ヒドラジノまたはヒドロキシルアミノ基、イソシアネートまたはシアネート基、ならびにスルホキシド、スルホン、スルフィドおよびジスルフィド等の硫黄含有基等の修飾を含んでもよい。さらに、置換基は、関連する場合、または可能な場合、単結合、二重結合または三重結合を介してもよい。
【0084】
さらに、脂肪族基はまた、例えば窒素、酸素、リンまたは硫黄等のヘテロ原子による炭素原子の置換であるヘテロ置換を含有してもよい。したがって、置換脂肪族を含む連結基は、炭素、窒素、酸素、硫黄、リンおよび/または同様のものを含む骨格を有し得る。ヘテロ環置換は、1個または複数のヘテロ原子を有するアルキル環を示す。ヘテロ環部分の例は、モルホリノ、イミダゾール、テトラヒドロフランおよびピロリジノを含むが、これらに限定されない。
【0085】
「アルキレン」は、線形または分岐状の飽和二価炭化水素基を示す。アルキレン基の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等を含むが、これらに限定されない。
【0086】
「ヘテロアルキレン」は、それぞれの場合において、1個または複数のC原子が酸素、硫黄および窒素(NH)を含む群から互いに独立して選択されるヘテロ原子により置換された、上述のようなアルキレン鎖を示す。ヘテロアルキレン基は、鎖員原子として、酸素、硫黄および窒素(NH)を含む群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子、特に1個のヘテロ原子を有し得る。ヘテロアルキレン基は、2員から20員、または2員から12員、具体的には2員から6員、より具体的には2員または3員であってもよい。任意のアルキレンが、ヘテロアルキレンであってもよい。
【0087】
「アルキレンオキシ」は、式−(アルキレン)−O−で表される二価基を示し、例えば、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ジメチレンジオキシ等を含む。連結基は、アルキレンオキシを含み得る。
【0088】
「アルキレンジオキシ」は、式−O−(アルキレン)−O−で表される二価基を示し、例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、ジメチレンジオキシ等を含む。連結基は、アルキレンジオキシを含み得る。
【0089】
本明細書において使用される場合、「アリール」または「芳香族」という用語は、分子が、互いに交互に単結合および二重結合した原子の円形もしくは環式配置を電子が自由に周回する分子であることを示すように意図される。より適切には、これらの結合は、単結合および二重結合の混合であり、環内の各結合が1つおきに同一であるとみなすことができる。存在し得る芳香族化合物の例は、ベンゼン、ベンジル、トルエン、キシレン等を含む。芳香族化合物は、ピリジン、フラン等のヘテロ芳香族となるようにヘテロ原子を含んでもよい。また、芳香族は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、多環式芳香族炭化水素、インドール、キノリン、イソキノリン等の多環式芳香族であってもよい。本明細書における任意のアリールが、ヘテロアリールまたはポリアリールであってもよい。
【0090】
本明細書において使用される場合、「アミン」という用語は、1個、2個、または3個の水素原子を、例えばアルキル基等の他の基で置き換えることにより、アンモニアから直接的または間接的に得ることができる部分を示すように意図される。1級アミンは、一般構造RNHを有し、2級アミンは、一般構造RNHを有し、式中、Rは、本明細書に記載の任意のR基であってもよい。アミンという用語は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、多環式アミン、ヘテロ原子置換アリールおよびアルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルシクロプロピルアミン、エチルシクロヘキシルアミン、メチルベンジルアミン、メチルシクロヘキシルメチルアミン、ブチルシクロヘキシルアミン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、ピペラジン、ならびにヘテロ原子置換アルキルまたはアリール2級アミンを含むが、これらに限定されない。
【0091】
本明細書において使用される場合、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0092】
本明細書において使用される場合、「ペプチド」という用語は、アミド(ペプチド)結合による2個以上のアミノ酸の連結によって形成される任意の化合物、通常は各アミノ酸残基(NH末端以外)のα−アミノ基が線形鎖内の次の残基のα−カルボキシル基に連結した、α−アミノ酸のポリマーを示すように意図される。「ペプチド」、「ポリペプチド」および「ポリ(アミノ酸)」という用語は、本明細書において、サイズに関して制限されずに、このクラスの化合物を示すように同義的に使用される。このクラスの最大の化合物はタンパク質と呼ばれ、そのいずれも連結基として使用され得る。
【0093】
本明細書において使用される場合、「ポリ(アミノ酸)」または「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸から形成されるポリアミドである。ポリ(アミノ酸)は、一般に、約200〜2,000分子量の範囲、もしくは約2,000分子量を超え、または分子量上限を有さず、通常は10,000,000未満、通例では約600,000ダルトン以下である。アミノ酸は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、共通アミノ酸、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、またはそれらの類似体もしくは誘導体であってもよい。連結基は、アミノ酸またはポリペプチドを含み得る。
【0094】
本明細書において使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはそれらの修飾形態およびそれらの類似体を示すように意図される。ヌクレオチドは、プリン、例えばアデニン、ヒポキサンチン、グアニン、ならびにそれらの誘導体および類似体だけでなく、ピリミジン、例えばシトシン、ウラシル、チミン、ならびにそれらの誘導体および類似体を含む種を含む。ヌクレオチドは、当技術分野において周知である。ヌクレオチド類似体は、5’位ピリミジン修飾、8’位プリン修飾、シトシン環外アミンでの修飾、5−ブロモ−ウラシルの置換、および2’位糖修飾(例えば2’修飾)を含むがこれらに限定されない、塩基、糖および/またはホスフェートの化学構造内の修飾を有するヌクレオチドを含む。そのような修飾は、2’−OHがH、OR、R、ハロ、SH、SR、NH、NHR、NR、またはCN(式中、Rは、アルキルまたは脂肪族部分である)等の基により置き換えられた、糖修飾リボヌクレオチドを含む。また、ヌクレオチド類似体は、塩基を有するヌクレオチド、例えばイノシン、キューオシン、キサンチン、2’−メチルリボース等の糖、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、およびペプチド等の非天然ホスホジエステル連結基を含むように意図される。連結基は、1種または複数種のヌクレオチドを含み得る。
【0095】
本明細書において使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド間連結を介して互いに連結したヌクレオチドのポリマーを示すように意図される。また、ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、DNA/RNA、規則的および/もしくは不規則的に交互するデオキシリボシル部分およびリボシル部分(すなわち、交互のヌクレオチド単位が、糖部分の2’位に−OH、次いで−H、次いで−OH、次いで−H等を有する)のポリヌクレオチド鎖を含むハイブリッド、ならびにこれらの種類のポリヌクレオチドの修飾を含む。また、ポリヌクレオチドは、様々な修飾を有する、または任意の位置でのヌクレオチド単位への様々な実体もしくは部分の結合を有するヌクレオチドを含む。連結基は、一本鎖または二本鎖核酸として、ポリヌクレオチドを含み得る。
【0096】
本開示は、本出願において記載される、様々な態様の例示として意図される特定の実施形態に関して制限されない。当業者に明らかであるように、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書において列挙された方法および装置に加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法および装置が、上記説明から当業者に明らかである。そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲の条件、およびそのような特許請求の範囲の対象となる均等物の全範囲によってのみ制限される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生体系に限定されず、当然ながら変動し得ることを理解されたい。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とし、限定を意図しないことを理解されたい。
【0097】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0098】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(例えば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびC等の少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0099】
さらに、本開示の特徴または態様がマルクーシュ群に関して説明される場合、本開示がまたマルクーシュ群の任意の個々の要素または要素の部分集合に関しても説明されることが、当業者には理解されよう。
【0100】
当業者に理解されるように、ありとあらゆる目的において、例えば文章による説明の提供に関して、本明細書において開示された全ての範囲は、そのありとあらゆる可能な部分範囲および部分範囲の組合せをも包含する。任意の列挙された範囲は、少なくとも等価な2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分割された同じ範囲についても十分に説明するものであり有効であることが、容易に理解され得る。制限されない例として、本明細書において議論される各範囲は、下限側の3分の1、中間の3分の1、および上限側の3分の1等に容易に分割され得る。同じく当業者に理解されるように、「〜まで」、「少なくとも」等の用語は全て、挙げられた数を含み、後に上述のような部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、個々の要素のそれぞれを含む。したがって、例えば、1〜3個のセルを有する群は、1個、2個または3個のセルを有する群を指す。同様に、例えば、1〜5個のセルを有する群は、1個、2個、3個、4個または5個のセルを有する群を指す。
【0101】
上記から、本明細書において本開示の様々な実施形態が例示を目的として説明されていること、ならびに本開示の範囲および精神から逸脱せずに様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、本明細書において開示された様々な実施形態は、限定を意図せず、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲により示される。
【0102】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0103】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(例えば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、等)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」等の不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)、同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびC等の少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC等の少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0104】
さらに、本開示の特徴または態様がマルクーシュ群に関して説明される場合、本開示がまたマルクーシュ群の任意の個々の要素または要素の部分集合に関しても説明されることが、当業者には理解されよう。
【0105】
当業者に理解されるように、ありとあらゆる目的において、例えば文章による説明の提供に関して、本明細書において開示された全ての範囲は、そのありとあらゆる可能な部分範囲および部分範囲の組合せをも包含する。任意の列挙された範囲は、少なくとも等価な2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分割された同じ範囲についても十分に説明するものであり有効であることが、容易に理解され得る。制限されない例として、本明細書において議論される各範囲は、下限側の3分の1、中間の3分の1、および上限側の3分の1等に容易に分割され得る。同じく当業者に理解されるように、「〜まで」、「少なくとも」等の用語は全て、挙げられた数を含み、後に上述のような部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、個々の要素のそれぞれを含む。したがって、例えば、1〜3個のセルを有する群は、1個、2個または3個のセルを有する群を指す。同様に、例えば、1〜5個のセルを有する群は、1個、2個、3個、4個または5個のセルを有する群を指す。
【0106】
上記から、本明細書において本開示の様々な実施形態が例示を目的として説明されていること、ならびに本開示の範囲および精神から逸脱せずに様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、本明細書において開示された様々な実施形態は、限定を意図せず、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲により示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合、架橋または硬化反応中の体積収縮を防止するためのナノ粒子であって、
コアと、
コアに連結した1個または複数の重合性部分と
を備え、前記重合性部分は、重合、架橋または硬化反応を生じるように構成される、ナノ粒子。
【請求項2】
0.1nmから1,000nmの平均直径を有する、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
コアが、ナノ粒子、ナノクラスタ、ナノ粉末、単結晶、ナノ結晶、ナノロッド、ナノ繊維、ナノカップ、コアシェル粒子、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項4】
コアが、金、銀、アルミニウム、白金、パラジウム、銅、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、ガドリニウム、モリブデン、シリカ、チタニア、酸化鉄、酸化コバルト、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe、NiFeCo、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項5】
重合性部分が、コアに会合した連結基を介してコアに連結した1個または複数の反応性部分を備える、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項6】
重合性部分の1個または複数が、プラズマ重合、逐次重合、連鎖重合、カチオン付加重合、アニオン付加重合、フリーラジカル重合、開環重合、放射線重合、化学開始剤重合、熱重合、チーグラーナッタ触媒重合、ペプチド合成、ヌクレオチド合成、またはタンパク質合成に関与することによって重合するように構成される、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項7】
重合性部分が、放射線重合性部分、ラジカル重合性部分またはイオン重合性部分である、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項8】
重合性部分が、
−L−X−Y
で表され、式中、Lは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アルキレンオキシド、−(CH−O−(CH−を表し、Xは、単結合、−O−、−O−(CH−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−T−または−O−T−C(=O)−を表し、Yは、−PまたはCH(3−n)を表し、Tは、アリーレンを表し、Pは、反応性部分を表し、lおよびmは、独立して1から20を表し、qは、1から10を表し、nは、1から3を表す、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項9】
Pが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、環式エーテル基、ビニルエーテル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基、またはこれらの組合せを表す、請求項8に記載のナノ粒子。
【請求項10】
1個から1,000個の重合性部分を有する、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項11】
請求項1に記載のナノ粒子を作製する方法であって、
コアを提供することと、
1個または複数の重合性部分をコアに連結させることと
を含む方法。
【請求項12】
重合、架橋または硬化反応用の組成物であって、
重合、架橋または硬化反応に関与することができるモノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーと、
請求項1に記載のナノ粒子と
を含み、ナノ粒子の重合性部分は、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの重合性、架橋性または硬化性官能基と反応することができるように選択される、組成物。
【請求項13】
重合性部分が、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの重合性、架橋性または硬化性官能基と同じ化学構造を含む、請求項12に記載の重合、架橋または硬化反応用の組成物。
【請求項14】
ナノ粒子が、モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーの総重量に対して50重量部以下の量で含まれる、請求項12に記載の重合、架橋または硬化反応用の組成物。
【請求項15】
請求項12に記載の組成物の重合、架橋または硬化した材料
を含む生成物。
【請求項16】
接着剤、粘着剤、ハードコーティング、シーラント、歯科用組成物、硬質プラスチック、フォーム、メモリフォーム、エラストマー、またはプラストマーである、請求項15に記載の生成物。
【請求項17】
請求項12に記載の組成物を重合、架橋または硬化させるための方法であって、
初期体積を有する請求項12に記載の組成物を提供することと、
モノマー、デンドリマー、オリゴマーまたはポリマーをナノ粒子と反応させて、最終体積を有する重合、架橋または硬化した材料を形成することと
を含み、最終体積は、初期体積と実質的に同じである方法。
【請求項18】
初期体積から最終体積への変化が、10%未満である、請求項17に記載の組成物を重合、架橋または硬化させるための方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−519783(P2013−519783A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553805(P2012−553805)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009126
【国際公開番号】WO2011/105690
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(510056353)コリア・ユニバーシティ・リサーチ・アンド・ビジネス・ファウンデーション (15)
【Fターム(参考)】