説明

ナビゲーション装置及び操作支援方法

【課題】 車両乗員に与える不快感を抑制したうえで車両走行中における操作性を向上させることが可能なナビゲーション装置及び操作支援方法を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1は、車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきか否かを判断する操作要求判断部21を備えている。また、ナビゲーション装置1は、操作要求判断部21により操作を要求すべきと判断された場合、操作部10をシート側に移動させる移動機構30を有している。このような構成により、ナビゲーション装置1は、車両乗員に操作部10を操作させるタイミングで、操作部10を車両乗員に近づけて、操作性を向上させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及び操作支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置は、タッチパネルなどの操作部を有し、操作部に操作入力されることで所定の動作を実行する構成となっている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−157135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のナビゲーション装置は、操作部がインストルメントパネル中央部などに設置されており、車両乗員が腕を伸ばさないと操作入力できない構成となっている。ここで、車両乗員はシートベルトの着用等によって自由に身体を動かすことができなくなっている。このため、車両走行中において車両乗員は、車両停車時ほど操作入力を容易に行うことができなくなってしまう。
【0004】
一方、操作性を考慮して操作部をシートの近くに設けたとすると、メータなどの設置スペースを狭めたりシート周辺の車内空間を狭めたりすることとなり、車両乗員に不快感を与える可能性がある。特に、タッチパネル方式のナビゲーション装置にあっては、操作部と表示部とが一体となっているため、操作部をインストルメントパネル中央部以外の他の位置に設けると、表示部も他の位置に設けることとなり、表示部の表示内容を視認することが難くなる可能性がある。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、車両乗員に与える不快感を抑制したうえで車両走行中における操作性を向上させることが可能なナビゲーション装置及び操作支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーション装置は、表示部による情報表示によって自車両を目的地まで誘導すると共に、車両乗員からの操作入力を受け付ける操作部を有し、操作要求判断手段と、移動手段とを備えている。操作要求判断手段は、車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきか否かを判断するものである。移動手段は、操作要求判断手段により車両乗員からの操作を要求すべきと判断された場合に、シートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきか否かを判断し、操作を要求すべきと判断したときには、操作部をシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動させることとしている。このため、車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきときに操作部がシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動してくることとなり、シートベルトなどによって身体を動かし難い状況にある車両乗員にとって操作は容易となる。また、操作を要求すべきでないときには操作部は移動してこないため、常時操作部をシートに近い箇所に設けている場合に比べて、車両乗員に与える不快感は少ない。
【0008】
従って、車両乗員に与える不快感を抑制したうえで車両走行中における操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成図である。同図に示すナビゲーション装置1は、自車両を目的地まで誘導するものであって、車両乗員からの操作入力を受け付けて操作に基づく所定の処理を実行するものである。このナビゲーション装置1は、概略的に説明すると、操作部10と、制御部20と、移動機構(移動手段)30と、表示部40とからなっている。
【0011】
操作部10は、インストルメントパネル中央部に設けられ、車両乗員からの操作を受け付けるものであって、例えば目的地の情報や優先的に走行したい道路の情報などの入力操作が可能とされている。制御部20は、ナビゲーション装置1の全体を制御するものであり、車両乗員が入力した目的地までの誘導経路の算出、自車位置の特定及び車両乗員に提示すべき情報の生成などが行われるようになっている。この制御部20は、操作要求判断部(操作要求判断手段)21と移動指示部22とを有している。
【0012】
操作要求判断部21は、車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきか否かを判断するものである。例えば操作要求判断部21は、自車両が目的地周辺に到達した場合、車両乗員からの操作を要求すべきと判断するようになっている。また、操作要求判断部21は、自車両が目的地までの誘導経路から外れた場合、及び混雑しているとして予め登録された渋滞状況よりも混雑度合いの高い渋滞(通行止めも含む)が自車両の誘導道路上で発生した場合に、車両乗員からの操作を要求すべきと判断するようになっている。さらに、操作要求判断部21は、予め観光地として登録されている場所を自車両が走行している場合に、車両乗員からの操作を要求すべきと判断するようになっている。
【0013】
移動指示部22は、操作要求判断部21により車両乗員からの操作を要求すべきと判断された場合に、操作部10をシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動させるように、移動機構30を制御する構成となっている。
【0014】
移動機構30は、移動指示部22からの指示に従って、操作要求判断部21により車両乗員からの操作を要求すべきと判断された場合には操作部10をシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動させるものであり、モータなどを含んで構成されている。表示部40は、情報表示を行うものであって、例えば目的地までの誘導経路、走行道路周辺の店舗情報、及び交差店名の情報などを表示することができるようになっている。
【0015】
なお、本実施形態において、操作部10と表示部40とは、タッチパネル方式のもので構成されており、操作部10がシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動する際には表示部40も同様にシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動する構成となっている。
【0016】
図2は、図1に示した操作部10と表示部40との移動の様子を示す説明図であり、(a)は移動前の状態を示し、(b)は移動後の状態を示している。まず、図2(a)に示すように、操作部10と表示部40とはタッチパネル方式のもので構成され、インストルメントパネル中央などに設置されている。そして、この状態から移動機構30によって操作部10と表示部40とが移動させられると、図2(b)に示すように、両者10,40は前方(車両後方)に向けて突出する。ここで、操作部10と表示部40とは前方(車両後方)に向けて突出する構成に限らず、シートに着座する車両乗員に近づく方向へ横移動するようになっていてもよいし、シートに着座する車両乗員に近づく方向へ斜めに移動するようになっていてもよい。
【0017】
図3は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の操作状態を示す説明図であり、(a)は操作部10の移動前における車内の様子を示し、(b)は操作部10を移動させなかった場合における運転者の操作の様子を示し、(c)は操作部10を移動させた場合における運転者の操作の様子を示している。
【0018】
図3(a)に示すように、車両走行中において車両乗員はシートに着座し、シートベルトによってシートバックに押しつけられるように拘束されている。このため、図3(b)に示すように、操作部10の操作入力しようとしても、指先が操作部10にとどき難く、操作が困難となっている。ところが、図3(c)に示すように、操作要求判断部21が車両乗員からの操作を要求すべきと判断したときには、操作部10がシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動する。このため、車両乗員は、たとえシートベルトなどによって身体を動かし難い状況にあっても操作部10が近づくことから操作しやすくなる。
【0019】
図4は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の操作支援方法を示すフローチャートである。まず、車両走行中においてナビゲーション装置1は、車両を目的地に誘導すべく経路誘導に関する処理を行っている。そして、その経路誘導に関する処理と並行して、図4に示す処理が実行される。
【0020】
同図に示すように、まず、操作要求判断部21は、車両乗員に操作要求すべきか否かを判断する(ST1)。ここで、車両乗員に操作要求すべきでないと判断した場合(ST1:NO)、操作要求判断部21は、操作要求すべきと判断するまで、この処理を繰り返すこととなる。
【0021】
一方、上記したように自車両が目的地周辺に到達した場合などには、操作要求判断部21は操作を要求すべきと判断する(ST1:YES)。そして、移動指示部22は移動機構30に対し移動を指示し、移動機構30は操作部10及び表示部40を前方へ移動させる(ST2)。
【0022】
次に、制御部20は、表示部40の表示内容を変更する(ST3)。例えば、自車両が目的地周辺に到達した場合、制御部20は「目的地付近で駐車場を探しますか」などを表示部40に表示させることとなる。このとき、制御部20は、さらに「YES」及び「NO」という表示を行い、車両乗員に「YES」及び「NO」のいずれか一方を選択させる。これにより、ナビゲーション装置は、「YES」が選択された場合に駐車場を検索することとなる。
【0023】
次に、制御部20は、操作が終了したか否かを判断する(ST4)。ここで、「YES」又は「NO」のいずれもが選択されておらず、操作が終了していないと判断した場合(ST4:NO)、操作が終了したと判断されるまで、この処理が繰り返される。他方、「YES」又は「NO」のいずれかが選択され、操作が終了したと判断された場合(ST4:YES)、移動指示部22は移動機構30に対し元の位置に戻す指示を行い、移動機構30は操作部10及び表示部40を元の位置に復帰させる(ST5)。
【0024】
そして、制御部20は、表示部40の表示内容を元に戻す(ST6)。例えば、ステップST3において表示内容が変更されるまえに誘導経路が表示されていた場合、制御部20は誘導経路を表示させることとなる。次に、制御部20は、イグニッションスイッチがオフされたか否かを判断する(ST7)。イグニッションスイッチがオフされていないと判断した場合(ST7:NO)、処理はステップST1に戻る。一方、イグニッションスイッチがオフされたと判断した場合(ST7:YES)、図4に示す処理は終了することとなる。
【0025】
このようにして、本実施形態に係るナビゲーション装置1及びその操作支援方法によれば、車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきか否かを判断し、操作を要求すべきと判断したときには、操作部10をシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動させることとしている。このため、車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきときに操作部10がシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動してくることとなり、シートベルトなどによって身体を動かし難い状況にある車両乗員にとって操作は容易となる。また、操作を要求すべきでないときには操作部10は移動してこないため、常時操作部をシートに近い箇所に設けている場合に比べて、車両乗員に与える不快感は少ない。従って、車両乗員に与える不快感を抑制したうえで車両走行中における操作性を向上させることができる。
【0026】
また、表示部40は操作部10と一体的に設けられている。このため、車両乗員からの操作が必要ない場合、表示部40はインストルメントパネル中央部などに位置し、車両乗員が表示部40を視認し難くなってしまうという事態が生じない。他方、一体に設けられているため、操作部10の移動時には表示部40も同様に移動してくることとなり、操作部10と表示部40とが離れてしまうことがなく、操作者は、表示部40の表示内容を視認しつつ操作部10に操作入力できることとなる。従って、運転時の視認性を確保しつつ、一層操作性を向上させることができる。
【0027】
また、操作要求判断部21は、自車両が目的地周辺に到達した場合、操作を要求すべきと判断している。一般的に目的地周辺では、運転者は駐車できる場所を探すために、運転への集中度合いが高くなり、ナビゲーション装置1への操作がより困難となる。このため、自車両が目的地周辺に到達した場合に操作を要求すべきと判断することで、操作部10を移動させて、より操作が困難となる状況において適切に操作性の向上を図ることができる。
【0028】
また、操作要求判断部21は、自車両が目的地までの誘導経路から外れた場合及び混雑しているとして予め登録された渋滞状況よりも混雑度合い高い渋滞が自車両の誘導道路上で発生した場合、操作を要求すべきと判断している。一般的に目的地までの誘導経路から外れた場合、運転者は、誘導経路に復帰しようとして運転に集中し、ナビゲーション装置1へ操作することが一層困難となる。また、誘導経路上に渋滞が存在する場合、運転者は、渋滞を避ける経路を探索しようとして経路の再検索を望むが、いつ渋滞により車間が詰まってくるか不明なため、通常時よりも運転に集中しており、ナビゲーション装置1への操作が困難となる傾向にある。このため、これらの場合に操作を要求すべきと判断することで、操作部10を移動させて、より操作が困難となる状況において適切に操作性の向上を図ることができる。
【0029】
また、操作要求判断部21は、予め観光地として登録されている場所を自車両が走行している場合、操作を要求すべきと判断している。ここで、観光地において運転者は適切に目的の観光スポットに移動したいと考えるが、観光地周辺の道路を熟知しておらず、熟知した道路を走行する場合に比べて運転に集中力を要する。このため、観光地を走行する場合、ナビゲーション装置1への操作が一層困難となる。よって、自車両が観光地を走行している場合に操作を要求すべきと判断することで、操作部10を移動させ、より操作が困難となる状況において適切に操作性の向上を図ることができる。
【0030】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態では、タッチパネル方式のように操作部10と表示部40とが一体的に設けられているものを例に説明したが、これに限らず、操作部10と表示部40とが別体となっているものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成図である。
【図2】図1に示した操作部と表示部との移動の様子を示す説明図であり、(a)は移動前の状態を示し、(b)は移動後の状態を示している。
【図3】本実施形態に係るナビゲーション装置の操作状態を示す説明図であり、(a)は操作部の移動前における車内の様子を示し、(b)は従来のナビゲーション装置についての運転者の操作の様子を示し、(c)は本実施形態に係るナビゲーション装置についての運転者の操作の様子を示している。
【図4】本実施形態に係るナビゲーション装置の操作支援方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1…ナビゲーション装置
10…操作部
20…制御部
21…操作要求判断部(操作要求判断手段)
22…移動指示部
30…移動機構(移動手段)
40…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部による情報表示によって自車両を目的地まで誘導すると共に、車両乗員からの操作入力を受け付ける操作部を有したナビゲーション装置であって、
車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきか否かを判断する操作要求判断手段と、
前記操作要求判断手段により車両乗員からの操作を要求すべきと判断された場合に、前記操作部をシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示部は前記操作部と一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記操作要求判断手段は、自車両が目的地周辺に到達した場合、車両乗員からの操作を要求すべきと判断することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記操作要求判断手段は、自車両が目的地までの誘導経路から外れた場合又は混雑しているとして予め登録された渋滞状況よりも混雑度合いの高い渋滞が自車両の誘導道路上で発生した場合、車両乗員からの操作を要求すべきと判断することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記操作要求判断手段は、予め観光地として登録されている場所を自車両が走行している場合、車両乗員からの操作を要求すべきと判断することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
自車両を目的地まで誘導すると共に、車両乗員からの操作入力を受け付ける操作部を有したナビゲーション装置の操作支援方法であって、
車両走行中に車両乗員からの操作を要求すべきか否かを判断する操作要求判断ステップと、
前記操作要求ステップにおいて車両乗員からの操作を要求すべきと判断した場合に、前記操作部をシートに着座する車両乗員に近づく方向へ移動させる移動ステップと、
を有することを特徴とするナビゲーション装置の操作支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−267064(P2006−267064A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89681(P2005−89681)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】