説明

ナビゲーション装置

【課題】効果的な経路誘導を行うことを課題とする。
【解決手段】ナビゲーションシステム1は、所定区間(例えば、誘導方向を表すキーワード、もしくは音声ガイダンスに含まれる喚起音などの区間)の音声区間情報をもとに、所定区間の音声出力を誘導方向に定位制御する「音像方向指定信号」を生成するナビゲーションユニット2と、この「音像方向指定信号」をもとに、スピーカSP1〜SP4で出力強度を調節して音声ガイダンスを出力する音処理部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設定された予定経路情報および自車両の位置情報をもとに、誘導方向への車両操作を促す音声ガイダンスを出力して経路誘導を行うナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車両の予定経路を登録し、音声によって経路誘導を行うナビゲーション装置が実現されている。このナビゲーション装置では、自車両が右左折する交差点を予定経路と地図情報、現在位置をもとに特定し、事前に運転者に通知することで設定した経路通りに走行させるものである。
【0003】
この時、運転者への通知には、画面表示と音声出力とが併用されるが、車両の運転時にディスプレイを注視させることは好ましくないので、音声による通知が非常に有用である。そこで、ナビゲーション装置においては、いかに音声出力における情報量を増加させ、運転者による車両操作に負担をかけることなく効果的な経路誘導を実現するかが重要な課題であった。
【0004】
そのため、例えば特許文献1では、ナビゲーション装置の案内音声が運転者に対して相対角度方向から聴取されるように制御することで、音声の方向を情報として活用している。同様に、特許文献2においても、道路案内の方向に音像を定位させて音声データを出力する技術が開示されており、特許文献3においても経路の状況に応じて告知音の定位方向を変化させて経路案内を行う技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−57190号公報
【特許文献2】特開平6−176296号公報
【特許文献3】特開平8−110237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記における従来技術は、音声ガイダンス全体を制御対象として画一的に方向感制御(すなわち、誘導方向への方向感を付与する音声出力制御)を行うものに過ぎないため、ユーザ(運転者)に誘導方向を伝達することができるとは限らず、効果的な音声誘導を行うには自ずから限界があるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題(問題点)を解消するためになされたものであり、誘導方向が強調された方向感制御を実現し、もって効果的な音声誘導を行うことができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1の発明に係るナビゲーション装置は、予め設定された予定経路情報および自車両の位置情報をもとに、誘導方向への車両操作を促す音声ガイダンスを出力して経路誘導を行うナビゲーション装置であって、前記音声ガイダンスのうち所定区間の音声出力を前記誘導方向に定位制御する音声出力制御手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明に係るナビゲーション装置は、請求項1の発明において、前記音声出力制御手段は、前記誘導方向を表すキーワードの音声出力を該誘導方向に定位制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明に係るナビゲーション装置は、請求項1または2の発明において、前記音声出力制御手段は、前記音声ガイダンスに含まれる喚起音の音声出力を前記誘導方向に定位制御することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明に係るナビゲーション装置は、請求項3の発明において、前記音声出力制御手段は、前記音声ガイダンスに含まれる喚起音を通常の喚起音に比較して長くし、該長くされた喚起音の音声出力を前記誘導方向に定位制御することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明に係るナビゲーション装置は、請求項1〜4のいずれか一つの発明において、前記音声出力制御手段は、前記所定区間の音声出力レベルを他の区間の音声出力レベルに比較して大きくするとともに、当該区間の音声出力を前記誘導方向に定位制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、音声ガイダンスのうち所定区間の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、誘導方向が強調された方向感制御を実現することができ、効果的な音声誘導を行うことが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明によれば、誘導方向を表すキーワードの音声出力を該誘導方向に定位制御することとしたので、誘導方向を表すキーワードと、このキーワードの意味に一致した方向感とをユーザ(運転者)に聴取させることができ、より一層効果的な経路誘導を行うことが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明によれば、音声ガイダンスに含まれる喚起音の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、ナビ音声(音声ガイダンス)への喚起を促すとともに、かかる喚起音で誘導方向を強調して伝達することができ、音声出力による情報伝達量を効果的に増加させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によれば、音声ガイダンスに含まれる喚起音を通常の喚起音に比較して長くし、該長くされた喚起音の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、ユーザ(運転手)による喚起音の聞き逃しを防止しつつ、音声出力による情報伝達量を効果的に増加させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明によれば、所定区間の音声出力レベルを他の区間の音声出力レベルに比較して大きくするとともに、当該区間の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、誘導方向がより強調された方向感制御を実現することができ、より効果的な音声誘導を行うことが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るナビゲーション装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るナビゲーションシステムの概要および特徴を説明した後に、本実施例1に係るナビゲーションシステムを説明し、最後に、他の実施例として種々の変形例(実施例2)を説明することとする。
【0019】
(概要および特徴)
まず最初に、本発明に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明する。図1は、本実施例1に係るナビゲーションシステム1の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、このナビゲーションシステム1は、予め設定された予定経路情報および自車両の位置情報をもとに、誘導方向への車両操作を促す音声ガイダンスを出力して経路誘導を行うものである。
【0020】
ここで、本発明に係るナビゲーションシステム1は、音声ガイダンスのうち所定区間の音声出力を誘導方向に定位制御する「音声出力制御処理」に主たる特徴があり、かかる「音声出力制御処理」によって、誘導方向が強調された方向感制御を実現し、もって効果的な音声誘導を行うことができるようにしている。
【0021】
この主たる特徴を具体的に説明すると、このナビゲーションシステム1では、音声ガイダンスのうち所定区間(例えば、誘導方向を表すキーワード、若しくは音声ガイダンスに含まれる喚起音などの区間)の音声出力を誘導方向に定位制御する。例えば、図2に示す音声ガイダンス100「この先、右方向です。」の例では、誘導方向を表すキーワード「右方向」の音声出力のみについて誘導方向(すなわち、右方向)に定位制御し、また、図3に示す音声ガイダンス110「ポーン。この先、右方向です。」の例では、音声ガイダンスに含まれる喚起音「ポーン」のみについて誘導方向(すなわち、右方向)に定位制御する。
【0022】
このように、音声ガイダンスのうち所定区間(例えば、誘導方向を表すキーワード、若しくは音声ガイダンスに含まれる喚起音などの区間)の音声出力を誘導方向に定位制御することで、誘導方向が強調された方向感制御を実現することができるようにしている。
【0023】
したがって、本発明に係るナビゲーションシステム1によれば、音声ガイダンスのうち所定区間の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、誘導方向が強調された方向感制御を実現することができ、音声ガイダンス全体を制御対象とした画一的な方向感制御が行われることに起因して誘導方向の伝達能力に限界が生じるというナビ音声で方向感制御を行う上でのボトルネックを解消し、上記した主たる特徴のように、効果的な音声誘導を行うことが可能になる。
【実施例1】
【0024】
次に、本実施例1に係るナビゲーションシステムについて説明する。なお、ここでは、本実施例1に係るナビゲーションシステムの構成について説明した後に、このナビゲーションシステムの各種処理の手順を説明することとする。
【0025】
(ナビゲーションシステムの構成)
図1は、本実施例1に係るナビゲーションシステム1の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、このナビゲーションシステム1は、ナビゲーションユニット2、オーディオユニット3、音処理部4およびスピーカSP1〜SP4を有する。
【0026】
このうち、ナビゲーションユニット2は、その内部にGPS(Global Positioning System)受信部21、経路設定部22、ガイド内容作成部23、ガイド音声出力制御部24およびガイド表示制御部25を有する。ここで、GPS受信部21、経路設定部22、ガイド内容作成部23、ガイド音声出力制御部24およびガイド表示制御部25は、マイコンなどによって構成しても良いし、電子回路によって構成しても良い。また、本構成は各機能によって区分したものであり、物理的な構成については、全体若しくは一部を統合或いは分散したものとしても良い。
【0027】
GPS受信部21は、GPS人工衛星からの情報を受信して時刻情報の取得、自車両の位置情報の特定を行う。また、GPS受信部21は、特定した自車両の位置をガイド内容作成部23に出力する。
【0028】
経路設定部22は、ユーザ(例えば、運転者)からのユーザ入力を受け付けて自車両の予定経路を設定・記憶する処理部である。また、経路設定部22は、設定した経路や地図情報をガイド内容作成部23に出力する。
【0029】
ガイド内容作成部23は、GPS受信部21および経路設定部22の出力をもとに、自車両の運転者に通知する内容を作成する処理部である。具体的には、運転者に音声案内を行うべき場所に関する情報(すなわち、ガイドポイント情報)として、自車両の現在位置からその場所(ガイドポイント)までの距離情報、並びにその場所で自車両が取るべき方向を示す方向情報を記憶する。
【0030】
ここで、ガイドポイントとは、自車両の予定経路、現在位置および地図情報をもとに、運転者に対して音声ガイダンスを出力すべきと判断した場所を指し、例えば、自車両が現在位置から300m先の交差点で右折する場合、ガイドポイントは、300m先の交差点となる。なお、かかる判断手法、すなわち「どの場所で音声ガイダンスを出力すべきか」の判断手法については、従来技術と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0031】
そして、ガイド内容作成部23は、作成したガイドポイント情報に基づいて経路誘導の内容を決定する。さらに、経路誘導のうち、音声によって出力する内容(音声ガイダンス)については、ガイド音声出力制御部24に出力し、ディスプレイ33に表示する内容については、ガイド表示制御部25に出力する。
【0032】
このとき、音声ガイダンスは、自車両の現在位置からガイドポイントまでの距離情報、並びにガイドポイントで自車両が取るべき方向を示す方向情報をもとに作成されることとなるが、誘導方向が強調された方向感制御を実現するために、かかる音声ガイダンスの音声データとともに、音声ガイダンスのうち所定区間(例えば、誘導方向を表すキーワード、若しくは音声ガイダンスに含まれる喚起音などの区間)の音声区間情報についてもガイド音声出力制御部24に出力されることとなる。
【0033】
ここで、本発明では、誘導方向を表すキーワードのみに誘導方向への方向感を付加することによって誘導方向を強調する方向感制御、並びに音声ガイダンスに含まれる喚起音に誘導方向への方向感を付加することによってナビ音声(すなわち、音声ガイダンス)への喚起を促すとともに、かかる喚起音で誘導方向を強調して伝達する方向感制御を個別或いは組み合わせて実施することができるが、説明の便宜上、本実施例1では、これらの方向感制御が個別に行われた場合の実施例を並列的に説明することとする。
【0034】
例えば、誘導方向を表すキーワードのみに誘導方向への方向感を付加する方向感制御を行う場合には、図2に示す音声ガイダンス100「この先、右方向です。」のうち、誘導方向を表すキーワード「右方向」の音声区間情報(すなわち、時刻T1〜時刻T2という音声区間情報)がガイド音声出力制御部24に出力されることとなる。
【0035】
また、音声ガイダンスに含まれる喚起音に誘導方向への方向感を付加する方向感制御を行う場合には、図3に示す音声ガイダンス120「ポロポロローン。この先、右方向です。」のうち、音声ガイダンスに含まれる喚起音「ポロポロローン」の音声区間情報(すなわち、時刻T0〜時刻T1という音声区間情報)がガイド音声出力制御部24に出力されることとなる。なお、ここでは、既存の喚起音(例えば、音声ガイダンス110の喚起音「ポーン」)に比較して長い喚起音(例えば、音声ガイダンス120の喚起音「ポロポロローン」)に変更されているが、かかる喚起音の変更の趣旨については、ガイド音声出力制御部24において説明する。
【0036】
ガイド音声出力制御部24は、ガイド内容作成部23の出力をもとに、音声ガイダンスを運転者に対してどの方向から出力するかを決定して音処理部4に送信する処理部である。具体的には、ガイド内容作成部23によって入力された所定区間(例えば、誘導方向を表すキーワード、若しくは音声ガイダンスに含まれる喚起音などの区間)の音声区間情報をもとに、所定区間の音声出力を誘導方向に定位制御する「音像方向指定信号」を生成し、該生成された「音像方向指定信号」を音処理部4に送信する。
【0037】
例えば、誘導方向を表すキーワードのみに誘導方向への方向感を付加する方向感制御を行う場合には、図2に示すように、音声ガイダンス100「この先、右方向です。」のうち、誘導方向を表すキーワード「右方向」の音声区間(すなわち、時刻T1〜時刻T2という音声区間)の音声出力レベルを他の区間(すなわち、「この先」、「です」などの区間)の音声出力レベルに比較して大きくなるように「経路誘導音声信号」を生成するとともに、誘導方向を表すキーワード「右方向」の音声区間(すなわち、時刻T1〜時刻T2という音声区間)の音声出力を誘導方向(すなわち、右方向)に定位制御する「音像方向指定信号」を生成する(図4−1および図4−2参照)。なお、かかる「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」は、「オーディオ出力ミュート信号」とともに、音処理部4に送信されることとなる。
【0038】
このように、誘導方向を表すキーワードの音声出力を該誘導方向に定位制御することで、誘導方向を表すキーワードと、このキーワードの意味に一致した方向感とをユーザ(運転者)に聴取させることができ、より一層効果的な経路誘導を行うことが可能になる。
【0039】
また、所定区間の音声出力レベルを他の区間の音声出力レベルに比較して大きくするとともに、当該区間の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、誘導方向がより強調された方向感制御を実現することができ、より効果的な音声誘導を行うことが可能になる。
【0040】
一方、音声ガイダンスに含まれる喚起音に誘導方向への方向感を付加する方向感制御を行う場合には、図3に示すように、音声ガイダンスに含まれる喚起音が既存の喚起音(例えば、音声ガイダンス110の喚起音「ポーン」)に比較して長い喚起音(例えば、音声ガイダンス120の喚起音「ポロポロローン」)に変更された「経路誘導音声信号」を生成するとともに、かかる音声ガイダンス120に含まれる喚起音「ポロポロローン」の音声区間(すなわち、時刻T0〜時刻T1という音声区間)の音声出力を誘導方向(すなわち、右方向)に定位制御する「音像方向指定信号」を生成する。なお、かかる「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」は、「オーディオ出力ミュート信号」とともに、音処理部4に送信されることとなる。
【0041】
このように、音声ガイダンスに含まれる喚起音の音声出力を誘導方向に定位制御することで、ナビ音声(音声ガイダンス)への喚起を促すとともに、かかる喚起音で誘導方向を強調して伝達することができ、音声出力による情報伝達量を効果的に増加させることが可能になる。
【0042】
また、音声ガイダンスに含まれる喚起音を通常の喚起音に比較して長くし、該長くされた喚起音の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたのは、既存の喚起音が短時間であることに起因してかかる喚起音を聞き逃してしまうおそれがあるためである。そのため、音声ガイダンスに含まれる喚起音を通常の喚起音に比較して長くすることで、ユーザ(運転手)による喚起音の聞き逃しを防止しつつ、音声出力による情報伝達量を効果的に増加させることが可能になる。
【0043】
ここで、ガイド音声出力制御部24によるナビ音声の「方向感制御」について説明する。かかる「方向感制御」は、ガイド音声出力制御部24から音処理部4に送信される「音像方向指定信号」によってスピーカSP1〜SP4の出力強度が制御されることによって実現される。例えば、この「音像方向指定信号」が音像の移動を伴わない制御信号である場合(図4−1参照)、音像GV1に示すように、音像作成範囲51において運転者50から相対して誘導方向(右方向)に存在する音像固定点51aに音像を定位することとなる。なお、この場合、音像固定点51aは、音像作成範囲51内に限定されるものではなく、運転者に対して誘導方向を示唆することが可能な位置であれば良い。
【0044】
また、この「音像方向指定信号」が音像の移動を伴う制御信号である場合(図4−2参照)、GV(音像)2に示すように、音像作成範囲52において移動開始位置52aに音像を定位し、音声出力とともに音像位置を移動させる。その後、音像の移動方向を方向変化位置52bから変化させることで、自車両がどちらの方向に進むべきかを音像の移動方向によって示す。なお、この場合、移動開始位置52aおよび方向変化位置52bは、音像作成範囲52内に限定されるものではなく、音像位置を移動することによって誘導方向を示唆することが可能な位置であれば良い。
【0045】
このように、「音像方向指定信号」は、音像の移動を伴わない制御信号であっても良いし、音像の移動を伴う制御信号であっても良く、所定区間の音声出力を誘導方向に定位制御するものであれば、本発明に同様に適用することができる。
【0046】
オーディオユニット3は、その内部に主制御部31、オーディオ出力制御部32およびディスプレイ33を有する。ここで、主制御部31およびオーディオ出力制御部32は、マイコンなどによって構成しても良いし、電子回路によって構成しても良い。また、本構成は各機能によって区分したものであり、物理的な構成については双方を統合したものとしても良い。
【0047】
主制御部31は、オーディオユニット3を全体制御する制御部であり、例えば、オーディオユニット3がDVDプレイヤーであるならば、DVDディスクに記憶された音楽情報などを読み出してオーディオ出力制御部32に出力するとともに、映像情報などを読み出してディスプレイ33に表示する。さらに、オーディオ出力制御部32は、主制御部31が出力した音楽情報を、音処理部4に送信する。なお、このオーディオユニット3は、DVDプレイヤーに限らず、コンパクトディスク、ハードディスク、ラジオ、テレビなどの機能を有するものであっても良い。
【0048】
ここで、ディスプレイ33は、ナビゲーションユニット2による経路誘導の画像表示と共用される。そこで、主制御部31は、ナビゲーションユニット2内部にガイド表示制御部25から受信した内容をディスプレイ33に表示させる機能を有する。すなわち、主制御部31は、各種媒体から情報の読出し、出力とともに、ディスプレイ33の統合管理を行うこととなる。
【0049】
音処理部4は、その内部にマイコン41、コーディック42、DSP(Digital Signal Processor)43およびアンプ44を有する。マイコン41、コーディック42およびDSP43は、マイコンなどによって構成しても良いし、電子回路によって構成しても良い。また、本構成は各機能によって区分したものであり、物理的な構成については双方を統合したものとしても良い。
【0050】
コーディック42は、その内部に有するA/D部42aによってナビゲーションユニット2内のガイド音声出力制御部24から受信した音声情報およびオーディオユニット3内部のオーディオ出力制御部32から受信した音楽情報をデジタル信号に変換し、音データとしてDSP43に出力する。
【0051】
また、マイコン41は、音処理部4を全体制御する制御部であり、具体的には、ナビゲーションユニット2からの音声出力と、オーディオユニット3からの音楽出力とを統合制御し、どのスピーカからどれだけの出力で音声再生および音楽再生を行うかを制御する。例えば、ナビゲーションユニット2から「オーディオ出力ミュート信号」を受信した場合には、音楽情報の再生を停止し、その後、「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」を受信したならば、「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」をもとに、スピーカSP1〜SP4で出力強度を調節して音声ガイダンスを出力する。
【0052】
DSP43は、マイコン41の出力をもとに、各スピーカからの出力内容を決定し、A/D部42aの出力についてデジタル信号処理を施し、コーディック42内部のD/Aコンバータ部(D/A部42b)に出力する。D/A部42bの出力は、アンプ44によって出力強度を調整され、スピーカSP1〜SP4から音声や音楽として再生される。
【0053】
スピーカSP1〜SP4は、車室内において、例えば、右フロントスピーカ、左フロントスピーカ、右リアスピーカ、左リアスピーカのように配置される。これらのスピーカは、それぞれの出力強度を制御することで、運転者に対して所望の方向から音声が聞こえるように音声の出力を行うことができる。
【0054】
次に、ナビゲーションユニット2と音処理部4との通信について説明する。ナビゲーションユニット2と音処理部4との通信は、車載LAN機能を用いて通信しても良いし、直接配線を行っても良い。なお、直接配線を行う場合には、ナビゲーションユニット2から「経路誘導音声信号」、「音像方向指定信号」、「オーディオ出力ミュート信号」のそれぞれに対応する配線を行う。
【0055】
このうち、「経路誘導音声信号」は、出力する音声の波形を示す信号であり、この信号は、アナログ信号を用いても良いし、デジタル信号を用いても良い。また、「音像方向指定信号」は、音像の作成位置や移動内容を示す信号であり、テキストデータやバイナリデータを利用することができる。さらに、「オーディオ出力ミュート信号」は、経路誘導の音声信号の出力要求、すなわち、オーディオユニット3などが出力する音楽情報の再生出力の低下、若しくは再生の停止を要求する信号であり、二値信号などを用いることができる。
【0056】
(各種処理の手順)
次に、本実施例1に係るナビゲーションシステムの各種処理の手順について説明する。なお、ここでは、誘導方向を表すキーワードを誘導方向に定位制御する音声出力制御処理を説明した後に、音声ガイダンスに含まれる喚起音を誘導方向に定位制御する音声出力制御処理を説明することとする。
【0057】
図5は、誘導方向を表すキーワードを誘導方向に定位制御する音声出力制御処理の手順を示すフローチャートである。図5に示した処理フローは、ナビゲーションユニット2の動作時に回帰的に実行される。なお、ここでは、図2に示す音声ガイダンス100を音声出力する場合の例について説明することとする。
【0058】
まず、ガイド内容作成部23は、自車両の位置および予定経路から、ガイドポイント情報を作成し(ステップS501)、自車両が経路誘導を要する地点に到達したか否かを判定する(ステップS502)。例えば、「自車両の近傍」、「自車両から300m以内」、「自車両から700m以内」が経路誘導を要する地点であるとしたならば、自車両の現在位置をもとにこれらの経路誘導を要する地点に到達したか否かを判定する。
【0059】
ここで、自車両が経路誘導を要する地点に到達したならば(ステップS502肯定)、ガイド音声出力制御部24は、音声ガイダンス100「この先、右方向です。」のうち、誘導方向を表すキーワード「右方向」の音声区間(すなわち、時刻T1〜時刻T2という音声区間)の音声出力レベルを他の区間(すなわち、「この先」、「です」などの区間)の音声出力レベルに比較して大きくなるように「経路誘導音声信号」を生成する(ステップS503)。
【0060】
続いて、ガイド音声出力制御部24は、誘導方向を表すキーワード「右方向」の音声区間(すなわち、時刻T1〜時刻T2という音声区間)の音声出力を誘導方向(すなわち、右方向)に定位制御する「音像方向指定信号」を生成する(ステップS504)。
【0061】
そして、ガイド音声出力制御部24は、「オーディオ出力ミュート信号」を音処理部4に送信し(ステップS505)、この「オーディオ出力ミュート信号」を受信した音処理部4におけるマイコン41は、音楽情報の再生を一時停止する(ステップS506)。
【0062】
続いて、ガイド音声出力制御部24は、「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」を音処理部4に送信し(ステップS507)、音処理部4におけるマイコン41は、この「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」をもとに、スピーカSP1〜SP4で出力強度を調節して音声ガイダンス100を出力して(ステップS508)、処理を終了する。
【0063】
次に、誘導方向を表すキーワードを誘導方向に定位制御する音声出力制御処理について説明する。図6は、誘導方向を表すキーワードを誘導方向に定位制御する音声出力制御処理の手順を示すフローチャートである。図6に示した処理フローは、ナビゲーションユニット2の動作時に回帰的に実行される。なお、ここでは、図3に示す音声ガイダンス120を音声出力する場合の例について説明することとする。
【0064】
まず、ガイド内容作成部23は、自車両の位置および予定経路から、ガイドポイント情報を作成し(ステップS601)、自車両が経路誘導を要する地点に到達したか否かを判定する(ステップS602)。例えば、「自車両の近傍」、「自車両から300m以内」、「自車両から700m以内」が経路誘導を要する地点であるとしたならば、自車両の現在位置をもとにこれらの経路誘導を要する地点に到達したか否かを判定する。
【0065】
ここで、自車両が経路誘導を要する地点に到達したならば(ステップS602肯定)、ガイド音声出力制御部24は、音声ガイダンスに含まれる喚起音が既存の喚起音(例えば、音声ガイダンス110の喚起音「ポーン」)に比較して長い喚起音(例えば、音声ガイダンス120の喚起音「ポロポロローン」)に変更された「経路誘導音声信号」を生成する(ステップS603)。
【0066】
続いて、ガイド音声出力制御部24は、音声ガイダンス120に含まれる喚起音「ポロポロローン」の音声区間(すなわち、時刻T0〜時刻T1という音声区間)の音声出力を誘導方向(すなわち、右方向)に定位制御する「音像方向指定信号」を生成する(ステップS604)。
【0067】
そして、ガイド音声出力制御部24は、「オーディオ出力ミュート信号」を音処理部4に送信し(ステップS605)、この「オーディオ出力ミュート信号」を受信した音処理部4におけるマイコン41は、音楽情報の再生を一時停止する(ステップS606)。
【0068】
続いて、ガイド音声出力制御部24は、「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」を音処理部4に送信し(ステップS607)、音処理部4におけるマイコン41は、この「経路誘導音声信号」および「音像方向指定信号」をもとに、スピーカSP1〜SP4で出力強度を調節して音声ガイダンス120を出力して(ステップS608)、処理を終了する。
【0069】
上述してきたように、本実施例1に係るナビゲーションシステムによれば、音声ガイダンスのうち所定区間の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、誘導方向が強調された方向感制御を実現することができ、効果的な音声誘導を行うことが可能になる。
【0070】
また、本実施例1に係るナビゲーションシステムによれば、誘導方向を表すキーワードの音声出力を該誘導方向に定位制御することとしたので、誘導方向を表すキーワードと、このキーワードの意味に一致した方向感とをユーザ(運転者)に聴取させることができ、より一層効果的な経路誘導を行うことが可能になる。
【0071】
また、本実施例1に係るナビゲーションシステムによれば、音声ガイダンスに含まれる喚起音の音声出力を誘導方向に定位制御することとしたので、ナビ音声(音声ガイダンス)への喚起を促すとともに、かかる喚起音で誘導方向を強調して伝達することができ、音声出力による情報伝達量を効果的に増加させることが可能になる。
【実施例2】
【0072】
さて、これまで本発明の実施例1について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
【0073】
例えば、実施例1では、ナビゲーションユニット2、オーディオユニット3および音処理部4をそれぞれ独立した構成としたが、これらを一体に構成するようにしても良い。
【0074】
また、実施例1では、所定区間(例えば、誘導方向を表すキーワード、若しくは音声ガイダンスに含まれる喚起音などの区間)として単一の区間のみについて定位制御を行う実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定区間が複数である場合についても同様に適用することができる。例えば、誘導方向を表すキーワードを誘導方向に定位制御する方向感制御、並びに音声ガイダンスに含まれる喚起音を誘導方向に定位制御する方向感制御を組み合わせて実施することで、より一層効果的な経路誘導を行うことが可能になる。
【0075】
なお、実施例1では、誘導方向を表すキーワードとして、「右方向」というキーワードの音声出力を誘導方向に定位制御する実施例について説明したが、誘導方向を表すキーワードであれば、任意の語句数のキーワードを採用することができる。例えば、この場合、誘導方向を表すキーワードとして、「右」というキーワードの音声出力を誘導方向に定位制御したとしても実施例1と同様の効果を得られる。
【0076】
また、実施例1では、定位制御を行う誘導方向を「右方向」とした場合の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、「前方」、「右前方」、「左前方」、「左方向」、「右後方」、「左後方」、「後方」並びに「上方向」、「下方向」など誘導方向がいずれの方向であっても同様に適用することができる。
【0077】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0078】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明に係るナビゲーション装置は、音声による経路誘導に有用であり、特に、音声における情報量の増大と、誘導効果の向上に適している。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施例1に係るナビゲーションシステムの概要構成を示す概要構成図である。
【図2】誘導方向を表すキーワードに誘導方向への方向感を付加する方向感制御を説明するための説明図である。
【図3】音声ガイダンスに含まれる喚起音に誘導方向への方向感を付加する方向感制御を説明するための説明図である。
【図4−1】音像の移動を伴わない場合の定位制御を説明するための説明図である。
【図4−2】音像の移動を伴う場合の定位制御を説明するための説明図である。
【図5】誘導方向を表すキーワードに係る音声出力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】音声ガイダンスに含まれる喚起音に係る音声出力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーションユニット
3 オーディオユニット
4 音処理部
21 GPS
22 経路設定部
23 ガイド内容作成部
24 ガイド音声出力制御部
25 ガイド表示制御部
31 主制御部
32 オーディオ出力制御部
33 ディスプレイ
41 マイコン
42 コーディック
43 DSP
44 アンプ
GV1、GV2 音像
SP1〜SP4 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された予定経路情報および自車両の位置情報をもとに、誘導方向への車両操作を促す音声ガイダンスを出力して経路誘導を行うナビゲーション装置であって、
前記音声ガイダンスのうち所定区間の音声出力を前記誘導方向に定位制御する音声出力制御手段を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記音声出力制御手段は、前記誘導方向を表すキーワードの音声出力を該誘導方向に定位制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記音声出力制御手段は、前記音声ガイダンスに含まれる喚起音の音声出力を前記誘導方向に定位制御することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記音声出力制御手段は、前記音声ガイダンスに含まれる喚起音を通常の喚起音に比較して長くし、該長くされた喚起音の音声出力を前記誘導方向に定位制御することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記音声出力制御手段は、前記所定区間の音声出力レベルを他の区間の音声出力レベルに比較して大きくするとともに、当該区間の音声出力を前記誘導方向に定位制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−105876(P2006−105876A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295237(P2004−295237)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】