説明

ナビゲーション装置

【課題】経路案内情報を出力するために中断したテレビやラジオなどの放送内容またはCDやDVDなどの再生内容を、経路案内情報の出力終了後に中断した箇所から確実に視聴できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】書き込みおよび読み出しが可能な第1の情報を記憶する第1の記憶手段13と、書き込みおよび読み出しが可能な第2の情報を記憶する第2の記憶手段18と、第1の記憶手段13または第2の記憶手段18のいずれかを選択し、選択した側の記憶手段から情報の読み出し中は他の記憶手段から情報の読み出しを中断する情報切換制御手段19と、読み出した情報を出力する出力手段20とを備えることにより、いずれか一方の記憶手段13または18からの情報の読み出し中は、他方の記憶手段18または13からの情報の出力を中断し、中断後は中断箇所から出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像の視聴や音声を再生する機能を有するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などに搭載されるナビゲーション装置は、経路案内情報を映像および音声により使用者に提供する手段を備えている。さらに近年では、テレビ放送やラジオ放送などの放送電波を受信したり、CDやDVDなどの蓄積媒体に保存された映像および音楽を再生する機能を備えたものが増えてきている。
【0003】
従来、この種のナビゲーション装置にあっては、CDやDVDなどの蓄積媒体に保存された映像および音声の再生中に経路案内情報の出力を行なう場合には、映像および音声の再生を中断して経路案内情報を出力し、経路案内情報の出力が終了すると、中断した箇所からまたは中断した箇所より少し前の箇所から再生を開始することにより、使用者へ提供する映像および音声の内容が欠落しないようにしていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−230596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のナビゲーション装置では、CDやDVDなどの蓄積媒体に保存された映像や音楽の再生中の場合には、経路案内情報の出力のために中断した箇所からまたは中断した箇所より少し前の箇所から再生を開始することができるが、テレビ放送やラジオ放送などの放送系の場合は、経路案内情報の出力のために中断した部分の放送内容を視聴することができないという課題を有していた。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたもので、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生視聴中のいずれの場合であっても、経路案内情報の出力が割り込んだ場合に、中断された放送内容や再生内容が中断箇所から確実に使用者が視聴できるナビゲーション装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーション装置は、第1の書き込みおよび読み出しが可能な第1の情報を記憶する第1の記憶手段と、第2の書き込みおよび読み出しが可能な第2の情報を記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段または前記第2の記憶手段のいずれかを選択し、選択した側の前記記憶手段から情報の読み出し中は、他方の側の前記記憶手段は、情報の書き込みは継続しつつ情報の読み出しを中断する情報切換制御手段と、前記読み出した情報を出力する出力手段とを備えた構成を有する。
【0007】
この構成により、一方の記憶手段に記憶された情報を読み出して出力手段から出力中に、他方の記憶手段に記憶された情報の出力の割り込みが発生して一方の記憶手段の情報の出力が中断されても、割り込み終了後は中断した箇所から一方の記憶手段に記憶された情報の読み出しを再開し、一方の記憶手段に記憶された情報を欠落なく、確実に使用者に提供することができる。
【0008】
また、本発明のナビゲーション装置は、情報切換制御手段は、いずれか一方の記憶手段に記憶された情報の優先度に基いて第1の記憶手段または第2の記憶手段の選択を行なう
構成を有する。
【0009】
この構成により、いずれか一方の記憶手段に優先度の低い情報が記憶された場合には、情報切換制御手段の判定により優先度の低い情報の読み出しを無効とし、他方の記憶手段に記憶された情報の出力を中断しない機能を実現できる。
【0010】
また、本発明のナビゲーション装置は、第1の情報は映像情報または音声情報からなり、第1の情報を生成する映像音声情報生成手段を備えた構成を有する。
【0011】
この構成により、第1の記憶手段に記憶された映像または音声の出力中に、第2の記憶手段に記憶された第2の情報の出力が割り込んで映像または音声の出力が中断されても、第2の情報の出力が終了した後に、中断した箇所から映像または音声を再開し、第1の記憶手段に記憶された映像または音声を欠落なく、確実に使用者に提供することができる。
【0012】
また、本発明のナビゲーション装置は、映像音声情報生成手段は、放送電波の受信手段または蓄積媒体の再生手段で構成されている。
【0013】
この構成により、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生視聴中に、第2の情報の出力が割り込んで放送内容または再生内容の出力が中断されても、第2の情報の出力が終了した後に、中断した箇所からテレビ放送やラジオ放送などの放送内容またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生内容を欠落なく、確実に使用者に提供することができる。
【0014】
また、本発明のナビゲーション装置は、受信手段または再生手段は、放送電波の受信状態または蓄積媒体の再生状態が変化したことを情報切換制御手段へ通知し、情報切換制御手段は通知に基いて第1の記憶手段に記憶された第1の情報の読み出しを無効にする構成を有する。
【0015】
この構成により、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中にチャンネル変更または停止などが行われた時、または、CDやDVDなどの蓄積媒体の再生中に選曲変更または停止などが行われた時に、第1の記憶手段に記憶されている残情報を消去するなどの方法で無効化することができ、テレビ放送やラジオ放送などの受信状態の変化またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生状態の変化と、実際の出力との連動がスムーズに行なえる。
【0016】
また、本発明のナビゲーション装置は、現在地を測位する測位手段と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段と、使用者が操作入力を行なう入力手段と、測位手段により測位された現在地と入力手段より入力された目的地と地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基いて探索された経路または現在地に関する案内情報を生成する案内情報生成手段をさらに有し、第2の記憶手段は案内情報生成手段で生成した案内情報を記憶する構成を有する。
【0017】
この構成により、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生中に、経路案内情報の出力が割り込んで放送内容や再生内容が中断されても、経路案内情報の出力が終了した後に、中断した箇所からテレビ放送やラジオ放送などの放送内容またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生内容を欠落なく、確実に使用者に提供することができる。
【0018】
また、本発明のナビゲーション装置は、第1の記憶手段に第1の情報を記憶した時刻と、第1の記憶手段から第1の情報を読み出した時刻との差を検出する時間差検出手段をさらに有し、情報切換制御手段は、時間差検出手段の検出結果に基いて第1の記憶手段から
の読み出し速度を変化させる構成を有する。
【0019】
この構成により、第1の記憶手段から第1の情報の出力中に、経路案内情報の出力が割り込んで第1の情報の出力が中断されても、中断から割り込み終了後の再開までの都度に発生する時間差を検知し、その値に応じて第1の記憶手段からの読み出し速度を変化させることができる。
【0020】
また、本発明のナビゲーション装置は、情報切換制御手段は、時間差検出手段の検出結果が所定の値を超えた場合は、第1の記憶手段への第1の情報の書き込み速度よりも第1の記憶手段から第1の情報の読み出し速度を速くする構成を有する。
【0021】
この構成により、第1の記憶手段から第1の情報の読み出しが中断され、次に再開されるまでの時間差が所定の値以下になるまでの期間は通常より第1の情報の読み出し速度を速くし、時間差が所定の値以下になり次第、読み出し速度を通常に戻すよう制御することができ、時間差の累積を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のナビゲーション装置は、第1の書き込みおよび読み出しが可能な第1の情報を記憶する第1の記憶手段と、第2の書き込みおよび読み出しが可能な第2の情報を記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段または前記第2の記憶手段のいずれかを選択し、選択した側の前記記憶手段から情報の読み出し中は、他方の側の前記記憶手段は、情報の書き込みは継続しつつ情報の読み出しを中断する情報切換制御手段と、前記読み出した情報を出力する出力手段とを備えているため、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生中に、経路案内情報の出力が割り込んで映像および音声の出力が一時的に中断されても、経路案内情報の出力が終了した後に、テレビ放送やラジオ放送などの放送内容またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生内容を中断した箇所から確実に提供することができるので使用者は放送内容または再生内容を欠落することなく視聴することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置を示すブロック図である。
【0025】
図1において、本実施の形態のナビゲーション装置は、テレビ放送やラジオ放送などの放送電波を受信する受信手段10およびCDやDVDなどの蓄積媒体を再生する再生手段11を有する映像音声情報生成手段12と、映像音声情報生成手段12で連続して生成される映像情報および音声情報を記憶し、書き込み順に読み出すことができる第1の記憶手段13と、GPS衛星からの電波を受信する受信部や自律航行センサ部などから構成される自車位置を測位する測位手段14と、道路データおよび道路周辺データなどの情報を有する地図情報記憶手段15と、リモコンやタッチパネルなどから構成され、現在地や目的地などを操作者が入力する入力手段16と、測位手段14、地図情報記憶手段15および入力手段16よりの情報に基いて経路案内情報を生成する案内情報生成手段17と、経路案内情報発生時に断続的に生成される映像情報や音声情報を記憶する第2の記憶手段18と、第1の記憶手段13に記憶された映像情報や音声情報を連続して読み出し中に、第2の記憶手段18に記憶された映像情報や音声情報の出力が割り込んだ場合、第1の記憶手段13に記憶された第1の情報の読み出しを中断し、第2の記憶手段18に記憶された第2の情報の読み出しを行なうように情報の読み出しを切換制御する情報切換制御手段19と、情報切換制御手段19で選択された情報を出力するディスプレイやスピーカなどの出
力手段20とを備えている。
【0026】
以上のように構成されたナビゲーション装置について、図2、図3および図4のフローチャートを用いてその動作を説明する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の経路案内動作を示すフローチャートである。
【0028】
図1および図2において、まずナビゲーション装置の表示部(図示せず)に測位手段14により測位された自車位置の測位情報が表示される(S20)。次に、入力手段16からの操作入力の有無が判定される(S21)。操作入力がある場合(S21のYES)は、入力手段16により目的地住所や目的地電話番号を入力したリ、地図上の地点選択などの一般的な手法で目的地の入力が行われる(S28)。
【0029】
次に入力された目的地を表示部(図示せず)に表示して、その目的地が正しいかを操作者が確認して、入力の確定を行なう(S29)。
【0030】
目的地の入力が確定された場合(S29のYES)には、既に測位手段14により得ている測位情報と、入力手段16により入力した目的地情報と、地図情報記憶手段15に記憶されている地図情報とを用いて、案内情報生成手段17にて現在位置から目的地までの経路の作成を行ない(S30)、再度、現在位置を測位して測位情報表示に戻る(S20)。
【0031】
また、目的地の入力が確定されなかった場合(S29のNO)は、目的地を再確認してから再度目的地の入力を行う(S28)。
【0032】
次に、目的地までの経路作成が行なわれ、且つ目的地の操作入力がない場合(S21のNO)は、自車の走行にともなって刻々と変化する自車位置の測位情報を案内情報生成手段17へ出力し、目的地までの案内情報が必要に応じて適宜生成される(S22)。
【0033】
次に、案内情報生成手段17で経路案内情報が生成されたことが確認され、経路案内画面の更新が必要か否かを判定する(S23)。経路案内画面の更新が必要な場合(S23のYES)は、更新された経路案内情報の画像を第2の記憶手段18へ記憶出力する(S24)。また、経路案内画面の更新が必要でない場合(S23のNO)は、画像を記憶せずに次へ進む。
【0034】
次に、更新された経路案内情報の音声の出力が必要か否かを判定する(S25)。音声の出力が必要な場合(S25のYES)は、その音声を第2の記憶手段18へ記憶出力する(S26)。また、その音声の出力が必要でない場合(S25のNO)は、音声を記憶せずに次へ進む。
【0035】
なお、S24またはS26で画像または音声を第2の記憶手段18に格納する際には、これらを出力することがどれだけ優先度の高いものかの情報も、すなわち必ず出力しなければいけないものか、出力しなくてもよいものなのかなどの情報も併せて格納する。
【0036】
この優先度は、例えば、入力手段16によって操作者が入力することも可能であるし、本来の案内情報に付加されているものを利用することも可能である。例えば、速度情報、交差点情報は優先度は“高”と設定し、単なる注意喚起情報は“低”と設定することができる。
【0037】
次に、第2の記憶手段18に画像または音声の案内情報の書込み出力があったかどうかを判定する(S27)。画像も音声もいずれも案内情報の書込みが出力されなかった場合(S27のNO)は、現在位置を測位して測位情報表示に戻る(S20)が、第2の記憶手段18に案内情報生成手段17で生成された画像または音声の経路案内情報が記憶されると(S27のYES)、情報切換制御手段19によって出力情報選択切換の制御が行なわれ、第2の記憶手段18から経路案内情報が読み出される(S31)。
【0038】
読み出す際には、記憶時に付加した画像または音声の優先度も同時に読み出すが、第1の記憶手段13に情報が何ら記憶されていない場合は、判断材料とはせず全ての経路案内情報を読み出す。この判断の詳細については後述する。
【0039】
第2の記憶手段18から読み出された映像や音声の情報はディスプレイやスピーカなどの出力手段20から出力される(S32)。
【0040】
その後、走行の結果、目的地に到着したか否かを判断する(S33)し、目的地に到着していれば(S33のYES)経路案内動作は終了する。目的地に到着していなければ(S33のNO)、再び、現在地の測位情報の表示に戻る(S20)。
【0041】
図3は本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の放送受信動作を示すフローチャートである。
【0042】
まず、目的地の入力が行なわれてなく、且つ経路案内機能が停止している場合の放送受信信号の出力動作について説明する。
【0043】
図1および図3において、映像音声情報生成手段12は受信手段10によりテレビ放送やラジオ放送などの放送電波を受信し、受信した映像情報や音声情報を第1の記憶手段13に格納できるようデジタルデータに変換する(S34)。
【0044】
次に、デジタルデータ化され生成された映像情報や音声情報は第1の記憶手段13に書き込まれる(S35)。
【0045】
次に、第1の記憶手段13に映像情報や音声情報が書き込み記憶されると同時にされると、情報切換制御手段19によって第1の記憶手段13から情報の読出しが開始されるが読み出される(S36)。読み出す際には、記憶時の書き込み順に読み出す。
【0046】
次に、第1の記憶手段13から読み出された映像情報や音声情報はディスプレイやスピーカなどの出力手段20から出力される(S37)。
【0047】
映像音声情報生成手段12から映像情報や音声情報が生成される間は、以上のようなフローで第1の記憶手段13に記憶された映像情報や音声情報を出力し続ける。
【0048】
通常、第1の記憶手段13への情報の書き込みと読み出しは、連続的に並行して同時に実行されるが、経路案内機能が動作中で第2の記憶手段18から経路案内情報が出力されている場合は、第1の記憶手段13からの情報の読み出しは不連続となる。これについては後ほど詳細を説明する。
【0049】
なお、上記の説明ではテレビ放送やラジオ放送などの映像情報や音声情報の、第1の記憶手段13への書き込みと読み出し、さらに出力について説明したが、CDやDVDなどの蓄積媒体を再生手段11によって再生する場合についても同様である。
【0050】
図4は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の放送受信動作中の情報切替制御動作を示すフローチャートである。
【0051】
まず、映像音声情報生成手段12で生成された映像情報や音声情報を第1の記憶手段13に書き込む処理と経路案内情報を第2の記憶手段18に書き込む処理に関しては前述と同様のため省略する。ここでは、情報切換制御手段19によって、第1の記憶手段13または第2の記憶手段18から情報を読み出す処理について説明する。
【0052】
図1および図4において、情報切換制御手段19は、第2の記憶手段18内の経路案内情報の有無を判定し、経路案内情報が有る場合は書き込み時に付与した第2の情報の優先度により、その第2の情報を出力するか否かを判定する(S40)。
【0053】
第2の記憶手段18に経路案内情報が有り、且つその経路案内情報が第1の記憶手段13に記憶されている第1の情報の出力を中断してでも出力すべき優先度を有すると、経路案内情報に付与された優先度によって判定した場合(S40のYES)は、第2の記憶手段18から経路案内情報を読み出して(S42)、出力手段20で出力を行なう(S43)。
【0054】
第2の記憶手段18に経路案内情報がない場合、若しくは経路案内情報はあるが第1の情報の出力を中断してでも出力すべき優先度ではないと、経路案内情報に付与された優先度によって判定した場合(S40のNO)は、第1の記憶手段13から情報を読み出して(S41)、出力手段20で出力を行なう(S43)。このように、優先度の判定により経路案内情報が読み出されなかった場合は、第2の記憶手段18内の情報は無効化(読み出した上で破棄、または読み出さずに消去)される。
【0055】
なお、経路案内情報は予め情報の内容によって優先度を適切に入力手段16で設定することで、個々の経路案内情報を出力するか否か制御が可能となる。例えばテレビ放送やラジオ放送などの放送受信中、またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生中は、「この先を左折です」や「この先は工事中です」などの道路案内情報のような経路案内情報は優先度を高く設定することで、これらの経路案内情報は割り込んで出力するが、「長時間運転しているので休憩しては」などの注意喚起情報のような経路案内情報に直接関係しない情報は優先度を低く設定することで、出力しないように制御できる。
【0056】
次に、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中にチャンネル変更または停止などの受信状態の変化が行なわれたかを確認する(S44)。受信状態の変化がある場合(S44のYES)は、第1の記憶手段13内に残っている第1の情報を無効化(読み出した上で破棄、または読み出さずに消去)する(S45)。
【0057】
受信状態の変化がない場合(S44のNO)は、第2の記憶手段に経路案内情報が記憶されているか否かを判断し(S46)、第2の記憶手段に経路案内情報がなければ(S46のNO)情報切替制御の動作は終了し、図3に示す通常の放送受信動作に移る。第2の記憶手段に経路案内情報が有れば(S46のYES)、第2の情報の出力をするか否かの判断に戻る(S40)。
【0058】
なお、以上の説明ではテレビ放送やラジオ放送などの映像情報や音声情報を第1の記憶手段13への書き込みおよび読み出しを経て、出力手段20で出力を行なう場合について説明したが、CDやDVDなどの蓄積媒体内に蓄積されている映像情報や音声情報を再生する場合についても同様である。
【0059】
以上のように構成されたナビゲーション装置は、テレビ放送やラジオ放送などの放送視
聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生視聴中に、経路案内情報の出力が割り込んで発生した場合、テレビ放送やラジオ放送などの放送またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生を一時中断し、経路案内情報を画像や音声で出力することで使用者への経路案内情報の提供がタイミングよく実現される。
【0060】
また経路案内情報の出力中は、中断されていたテレビ放送やラジオ放送などの放送内容またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生内容が書き込み順に第1の記憶手段に蓄積されており、経路案内情報の出力が終了した後に、中断した箇所から放送内容または再生内容を書き込み順に読み出しが再開されることで、使用者は中断した直後の状態から放送内容または再生内容を欠落することなく視聴を継続することが可能となる。
【0061】
また経路案内情報は予め情報の内容によって優先度を適切に設定することで、個々の情報を出力するか否か制御が可能となり、またテレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生視聴中に経路案内情報の出力が割り込む回数を制御することができ、使用者の必要性に応じた経路案内情報の提供が実現される。
【0062】
また、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中にチャンネル変更または停止などの受信状態の変化、またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生中に選曲変更または停止などの再生状態の変化が行われた際には、蓄積されていた情報がすべて無効化されるので、その後に記憶される新しい情報を即座に出力することが出来る。
【0063】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置を示すブロック図であって、第1の実施の形態と同一の構成には同一の番号を付して説明は省略する。
【0064】
本実施の形態2のナビゲーション装置は実施の形態1に加えて、さらに第1の記憶手段13に第1の情報を記憶した時刻と第1の記憶手段13から第1の情報を読み出した時刻との差を検出する時間差検出手段21とを備えている。
【0065】
以上のように構成されたナビゲーション装置について、図6のフローチャートを用いてその動作を説明する。
【0066】
図6は本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の放送受信動作中の情報切替制御動作を示すフローチャートである。
【0067】
図6を用いて経路案内動作と放送視聴動作を同時に行う場合について以下に情報切替動作を説明するが、映像音声情報生成手段12で生成された映像情報や音声情報を第1の記憶手段13に書き込む処理と、経路案内情報を第2の記憶手段18に書き込む処理に関しては実施の形態1と同様のため省略する。
【0068】
さらに、第1の記憶手段13に記憶された映像情報や音声情報を連続して読み出し中に、第2の記憶手段18に記憶された経路案内情報の出力が割り込んだ場合、第1の記憶手段13に記憶された情報の読み出しを中断し、割り込み終了後に中断した箇所から第1の情報を読み出す情報切換制御手段19による制御、および第2の記憶手段18内の経路案内情報の優先度に基づく情報切換制御手段19による出力制御に関しても実施の形態1と同様のため説明を省略する。
【0069】
ここでは情報切換制御手段19の第1の記憶手段13および第2の記憶手段18から情報を読み出す処理について説明する。
【0070】
図5および図6において、情報切換制御手段19は、第2の記憶手段18内の経路案内情報の有無を判定し、経路案内情報が有る場合は書き込み時に付与された第2の情報の優先度により、その第2の情報を出力するか否かを判定する(S60)。第2の記憶手段18に経路案内情報が有り、優先度が高く、経路案内情報を出力すべきと判定した場合(S60のYES)は、第2の記憶手段18から経路案内情報を読み出して(S65)、出力手段20で出力を行なう(S66)。
【0071】
第2の記憶手段18に経路案内情報がない場合、若しくは優先度が低くて経路案内情報を出力する必要がないと判定した場合(S60のNO)は、情報切換制御手段19は、第1の記憶手段13に情報を記憶した時の時刻と第1の記憶手段13から情報を読み出した時の時刻の差を常に計測している時間差検出手段21より時刻差情報を取得する(S61)。
【0072】
この時刻差は、経路案内情報が出力されたために第1の記憶手段13からの情報の読み出しが一時中断されたために生じた遅延であり、特に対策手段を設けない限り、第1の記憶手段13への情報の書き込み速度と読み出し速度が同じ場合には、この時刻差は経路案内情報が発生するたびに累積していく。
【0073】
時刻差検出の方法としては、第1の記憶手段13へ書き込む情報の中に書き込み時の時刻情報を含ませておき、読み出す際に現在時刻と比較する方法、または単に第1の記憶手段13に格納されている情報量より算出する方法などがある。
【0074】
次に、時刻差が所定の値を越えているかどうかを判定する(S62)。時刻差が所定の値を超えている(遅延が所定値よりも大きい)場合(S62のYES)は、通常より速い速度で第1の記憶手段13よりの情報の読み出しを行い(S64)、時刻差が所定の値以下の場合(S62のNO)は通常の速さで第1の記憶手段13よりの情報の読み出しを行なう(S63)。このように第1の記憶手段13からの情報の読み出し速度を時間差検出手段21が計測した時刻差に対応して変えることにより、累積した時刻差は自動的に解消されてゆく。
【0075】
以降、第1の記憶手段13より読み出した情報を、出力手段20で出力を行ない(S66)、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中にチャンネル変更または停止などの受信状態の変化が行われた場合の動作は実施の形態1と同様のため説明は省略する。
【0076】
以上のように構成されたナビゲーション装置は、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生視聴中に、経路案内情報の出力が割り込んで放送内容または再生内容の出力が中断されても、第2の情報の出力が終了した後に、放送内容または再生内容は中断した箇所より再開されるが、中断再開後から遅延がなくなるまでの期間は、通常より読み出し速度を速くし、遅延がなくなり次第、読み出し速度を通常に戻すよう制御することができ、使用者は中断した直後の状態からテレビ放送やラジオ放送などの放送内容またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生内容を欠落なく視聴することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のナビゲーション装置は、テレビ放送やラジオ放送などの放送視聴中またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生視聴中に、経路案内情報の出力が割り込んで映像および音声の出力が一時的に中断されても、経路案内情報の出力が終了した後に、テレビ放送やラジオ放送などの放送内容またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生内容を中断した箇所から確実に視聴できる効果を有しており、テレビ放送やラジオ放送などの受信機能またはCDやDVDなどの蓄積媒体の再生機能を有するナビゲーション装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の経路案内動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の放送受信動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の放送受信動作中の情報切替制御動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置のブロック図
【図6】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の放送受信動作中の情報切替制御動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0079】
10 受信手段
11 再生手段
12 映像音声情報生成手段
13 第1の記憶手段
14 測位手段
15 地図情報記憶手段
16 入力手段
17 案内情報生成手段
18 第2の記憶手段
19 情報切換制御手段
20 出力手段
21 時間差検出手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の書き込みおよび読み出しが可能な第1の情報を記憶する第1の記憶手段と、第2の書き込みおよび読み出しが可能な第2の情報を記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段または前記第2の記憶手段のいずれかを選択し、選択した側の前記記憶手段から情報の読み出し中は、他方の側の前記記憶手段は、情報の書き込みは継続しつつ情報の読み出しを中断する情報切換制御手段と、前記読み出した情報を出力する出力手段とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記情報切換制御手段は、いずれか一方の前記記憶手段に記憶された情報の優先度に基いて前記第1の記憶手段または前記第2の記憶手段の選択を行なうことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記第1の情報は映像情報または音声情報からなり、前記第1の情報を生成する映像音声情報生成手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記映像音声情報生成手段は、放送電波の受信手段または蓄積媒体の再生手段で構成されたことを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記受信手段または前記再生手段は、前記放送電波の受信状態または前記蓄積媒体の再生状態が変化したことを前記情報切換制御手段へ通知し、前記情報切換制御手段は前記通知に基いて前記第1の記憶手段に記憶された前記第1の情報の読み出しを無効にすることを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
現在地を測位する測位手段と、地図情報を記憶した地図情報記憶手段と、使用者が操作入力を行なう入力手段と、前記入力手段より入力された目的地と前記測位手段により測位された現在地と前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報とに基いて探索された経路または現在地に関する案内情報を生成する案内情報生成手段とをさらに有し、前記第2の記憶手段は前記案内情報生成手段で生成した前記案内情報を記憶することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記第1の記憶手段に前記第1の情報を記憶した時刻と、前記第1の記憶手段から前記第1の情報を読み出した時刻との差を検出する時間差検出手段をさらに有し、前記情報切換制御手段は、前記時間差検出手段の検出結果に基いて前記第1の記憶手段からの読み出し速度を変化させることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記情報切換制御手段は、前記時間差検出手段の検出結果が所定の値を超えた場合は、前記第1の記憶手段への前記第1の情報の書き込み速度よりも前記第1の記憶手段からの前記第1の情報の読み出し速度を速くすることを特徴とする請求項7記載のナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−47034(P2006−47034A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226510(P2004−226510)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】