説明

ナフチル(エチル)アセトアミド

本発明は、アゴメラチンの有益な活性を有し、そしてまたその他の利益、例えば、低減された代謝障害とともに低減された副作用を有し得る化合物を提供することを目的とする。本開示は、新規なメラトニンアナログまたはナフチル(エチル)アセトアミド、その誘導体、その薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物に関する。本開示はまた、本開示の化合物を含む組成物、および二元的なメラトニン作動性アゴニストおよびセロトニン作動性アンタゴニストを投与することにより有益に処置される疾患および症状を処置する方法におけるそのような組成物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法第119条の下、2007年5月1日に出願された米国仮出願番号第60/915,148号、および2007年5月21日に出願された同第60/639,110号に基づく優先権の利益を主張しており、その内容は全て、本明細書中で参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本開示は、新規なメラトニンアナログまたはナフチル(エチル)アセトアミド、その誘導体、その薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物に関する。本開示はまた、本開示の化合物を含む組成物、および二元的なメラトニン作動性アゴニストおよびセロトニン作動性アンタゴニストを投与することにより有益に処置される疾患および症状を処置する方法におけるそのような組成物の使用を提供する。
【0003】
化学名N−[2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチル]アセトアミドによって知られるアゴメラチンは、MT1レセプターおよびMT2レセプターを刺激することにより、そして5−HT2Bレセプターおよび5−HT2Cレセプターをブロックすることにより作用する。
【0004】
アゴメラチンは、現在、大うつ病性障害に対するフェーズIII臨床試験中にあり(http://clinicaltrials.gov/ct/show/NCT00411099)、そして双極性障害、睡眠障害、および不安の処置で有用であるとして示されている(特許文献1;および特許文献2)。
【0005】
アゴメラチンの活性代謝産物は以下を含む:
【0006】
【化1】

アゴメラチンは、偽薬に類似の副作用プロフィールを有することが見出されている(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO2005002562号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO2005077887号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Loo、Hら、Int J Neuropsychopharmacol、2002、5(補遺1):アブスト第3頁、E.033
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
その明らかな効き目にもかかわらず、その薬理学的有効寿命をさらに延ばすため、患者コンプライアンスを増大するため、そして可能には、集団薬物動力学的変動性を低減するため、そして/または危険な薬物−薬物相互作用のその可能性を低減するために、アゴメラチンの有益な活性を有し、そしてまたその他の利益、例えば、低減された代謝障害とともに低減された副作用を有し得る化合物を提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(詳細な説明)
(定義)
用語「改善する」および「処置する」は交換可能に用いられ、そして治療的および/または予防的処置を含む。両用語は、疾患(例えば、本明細書中に記述される疾患または障害)の発症または進行を低減、抑制、減衰、消滅、制止、または安定化することを意味する。
【0011】
「疾患」は、細胞、組織または器官の正常機能を損なうか、または妨害する任意の症状または障害を意味する。
【0012】
合成で用いられる化学物質の起源に依存して合成された化合物において、天然の同位体の量におけるいくらかの変動が生じることが認識される。従って、アゴメラチンの調製は、小量の重水素化され、そして/または13C含有同位体族(isotopologue)を固有に含む。天然に豊富な安定な水素同位体および炭素同位体の濃度は、この変動にかかわらず、本開示の化合物の安定な同位体置換の程度と比較したとき、小さくそして重要でない。例えば、Wada Eら、Seikagaku 1994、66:15;Ganes LZら、Comp Biochem Physiol Mol Intergr Physiol、1998、119:725を参照のこと。本開示の化合物において、特定の位置が重水素を有するとして指定されるとき、その位置における重水素の豊富さが、0.015%である天然の豊富さより実質的に大きいことが理解される。重水素を有するとして指定された位置は、指定された各原子において、この化合物中の重水素として、代表的には、少なくとも3000の最小同位体富化係数(45%の重水素取込み)を有する。
【0013】
本明細書中で用いられるとき、用語「同位体富化係数」は、その同位体の豊富さと、特定の同位体の天然の豊富さとの間の比を意味する。
【0014】
その他の実施形態では、本開示の化合物は、各指定された重水素原子について、少なくとも3500(各指定された重水素原子で52.5%の重水素取込み)、少なくとも4000(60.0%の重水素取込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取込み)、少なくとも5000(75%の重水素取込み)、少なくと5500(82.5%の重水素取込み)、少なくとも6000(90%の重水素取込み)、少なくと6333.3(95%の重水素取込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素取込み)、少なくと6600(99%の重水素取込み)、または少なくとも6633.3(99.5%の重水素取込み)の同位体富化係数を有する。
【0015】
本開示の化合物において、特定の同位体として特定して指定されない任意の原子は、その原子の任意の安定な同位体を表すことが意味される。そうでないことが陳述されなければ、位置が特定して「H」または「水素」として指定されるとき、その位置は、その天然の豊富さの同位体組成で水素を有することが理解される。
【0016】
用語「同位体族(isotopologue)」は、1つ以上の位置での同位体組成、例えば、H対Dを除いて、本発明の特定化合物と同じ化学構造および化学式を有する種をいう。従って、同位体族は、本発明の特定化合物とは、その同位体組成において異なる。
【0017】
用語「化合物」は、本明細書中で用いられるとき、任意の塩、その溶媒和物または水和物を含むことがまた意図される。
【0018】
本開示の化合物の塩は、酸と、その化合物の塩基性基(例えば、アミノ官能基)の間、または、塩基とその化合物の酸性基(例えば、カルボキシ官能基)との間で形成される。別の実施形態によれば、上記化合物は、薬学的に受容可能な酸付加塩である。
【0019】
本明細書中で用いられるとき、用語「薬学的に受容可能な」は、健全な医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなくしてヒトおよびその他の哺乳動物の組織と接触する使用に適切であり、そして合理的な利益/リスク比と釣り合う成分をいう。「薬学的に受容可能な塩」は、レシピエントへの投与に際し、直接的または間接的に、本開示の化合物を提供し得る任意の非毒性の塩を意味する。「薬学的に受容可能な対イオン」は、レシピエントへの投与に際し、上記塩から放出されるとき、毒性でない塩のイオン部分である。
【0020】
薬学的に受容可能な塩を形成するために共通して採用される酸は、二硫化水素、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸のような無機酸、ならびにパラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、重酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸(besylic acid)、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、乳酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルフォン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸のような有機酸、ならびに関連の無機酸および有機酸を含む。このような薬学的に受容可能な塩は、それ故、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリレート、アクリレート、ギ酸塩、イソブチレート、カプレート、ヘプタノエート、プロピオレート、シュウ酸塩、マロネート、スクシネート、スベレート、セバケート、フマレート、マレエート、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、ベンゾエート、クロロベンゾエート、メチルベンゾエート、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタレート、テトラフタレート、スルフォネート、キシレンスルフォネート、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、シトレート、ラクテート、β−ヒドロキシブチレート、グリコレート、マレート、タートレート、メタンスルホネート、プロパンスルホネート、ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレン−2−スルホネート、マンデルレートおよびその他の塩を含む。1つの実施形態では、薬学的に受容可能な酸付加塩は、塩化水素酸および塩化臭素酸のような鉱酸と形成される塩、そして特にマレイン酸のような有機酸と形成される塩を含む。
【0021】
本明細書で用いられるとき、用語「水和物」は、非共有結合的な分子間力によって結合される化学量論的または非化学量論的量の水をさらに含む化合物を意味する。
【0022】
本明細書で用いられるとき、用語「溶媒和物」は、水、アセトン、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、2−プロパノールなどのような、非共有結合的な分子間力によって結合される化学量論的または非化学量論的量の溶媒をさらに含む化合物を意味する。
【0023】
本開示の化合物(例えば、式Aまたは式Iの化合物)は、例えば、重水素置換またはその他の結果として、不斉炭素原子を含み得る。従って、本開示の化合物は、個々のエナンチオマー、または2つのエナンチオマーの混合物いずれかとして存在し得る。従って、本開示の化合物は、ラセミ混合物、そしてまた別の可能な立体異性体が実質的にない個々のそれぞれの立体異性体の両方を含み得る。本明細書で用いられるとき、用語「その他の立体異性体が実質的にない」は、その他の立体異性体が25%より少ないこと、好ましくはその他の立体異性体が10%より少ないこと、より好ましくはその他の立体異性体が5%より少ないこと、そして最も好ましくはその他の立体異性体が2%より少ないこと、または「X」%より少ない(ここでXは、0と100とを含んで0と100との間の数である)その他の立体異性体が存在することを意味する。所定の化合物の個々のエナンチオマーを得るか、または合成する方法は、当該技術分野では周知であり、そして最終化合物に、または出発物質に、または中間体に実施可能であるとして適用され得る。
【0024】
本明細書中で用いられるとき、用語「安定化合物」は、それらの製造を可能にするのに十分な安定性を有し、そして本明細書中で詳述される目的のために有用であるに十分な期間(例えば、治療剤に応答する疾患または症状を処置する、治療的化合物、単離可能または貯蔵可能な中間化合物の生産における使用のための治療的産物、中間体中への処方)化合物の一体性を維持するに十分な安定性を所有する化合物をいう。
【0025】
「D」は、重水素をいう。
【0026】
「立体異性体」は、エナンチオマーおよびジアステレオマーの両方をいう。
【0027】
「Tert」、「」、および「t−」は、各々、第三をいう。
【0028】
「US」は、米国をいう。
【0029】
「FDA」は、食品医薬品局をいう。
【0030】
「NDA」は、新薬承認申請をいう。
【0031】
本明細書全体で、可変物は、一般に言及され得るか(例えば、「各R」)、または特定して言及され得る(例えば、R、R、R、など)。そうでないことが示されなければ、置換基が一般に言及されるとき、その特定の可変物のすべての特定の実施形態を含むことが意味される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(治療的化合物)
本開示は、式A:
【0033】
【化2】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を提供し、ここで:
は、H、CH、CHD、CHDおよびCDから選択され;
は、OH、H、DおよびFから選択され;
3a、R3b、R4a、およびR4bの各々は、HおよびDから独立に選択され;
そしてRは、CH、CHD、CHDおよびCDから選択され;そして
少なくとも1つのRは、重水素原子を含む。
【0034】
式Aの特定の実施形態では:
a)Rは、CH、CDおよびHから選択され;
b)Rは、HおよびDから選択され;
c)各Rは同じであり;
d)各Rは同じであり;または
e)Rは、CHおよびCDから選択される。
【0035】
より詳細な実施形態では、式Aの化合物は、上記のa)〜e)の2つ以上で呈示された性質を有する。
【0036】
別の詳細な実施形態では、R3a、R3b、R4a、およびR4bの各々は同じである。なおより詳細な実施形態では、R3a、R3b、R4a、およびR4bの各々は同じであり、そして上記化合物は、上記a)、b)およびe)の1つ以上で呈示された性質を有する。別の詳細な実施形態では、R3a、R3b、R4a、およびR4bの各々はHである。なお別のより詳細な実施形態では、R3a、R3b、R4a、およびR4bの各々はHであり、そして上記化合物は、上記a)、b)およびe)の1つ以上で呈示された性質を有する。
【0037】
なおより詳細な実施形態では、R3a、R3b、R4a、およびR4bの各々はHであり;そしてRはCHであり、上記化合物は式I:
【0038】
【化3】

を有する。
【0039】
式Iの1つの実施形態では、Rは、CH、CHDおよびCDから選択される。より詳細な実施形態では、Rは、CHおよびCDから選択される。
【0040】
式Iの別の実施形態によれば、Rは、HおよびDから選択される。
【0041】
式Iの1つの詳細な実施形態では、Rは、H、CHおよびCDから選択され;そしてRは、HおよびDから選択される。
【0042】
式Iの別の実施形態では、Rは、FおよびOHから選択される。
【0043】
より詳細な実施形態では、式Aの化合物は、表1(以下)で呈示される化合物(Cmpd)の任意の1つから選択される。
【0044】
【表1】

なおより詳細な実施形態では、式Aの化合物は:
【0045】
【化4】

【0046】
【化5】

から選択される。
【0047】
別の実施形態では、上記で呈示される任意の実施形態で重水素として指定されない任意の原子は、その天然の同位体の豊富さで存在する。
【0048】
別のセットの実施形態では、式Aまたは式Iの化合物は単離または精製され、例えば、式Aまたは式Iの化合物は、それぞれ、存在する式Aまたは式Iの同位体族の総量の、少なくとも50重量%(例えば、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%または99.9%)の純度で存在する。それ故、いくつかの実施形態では、式Aまたは式Iの化合物を含む組成物は、同位体族の少なくとも50重量%が記載された化合物であるという条件で、この化合物の同位体族の分布を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、Dを有するとして指定された式Aまたは式Iの化合物における任意の位置は、式Aおよび式Iの化合物の指定された位置(単数または複数)で、少なくとも45%(例えば、少なくとも52.5%、少なくとも60%、少なくとも67.5%、少なくとも75%、少なくとも82.5%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%)の最小の重水素取込を有する。それ故、いくつかの実施形態では、式Aまたは式Iの化合物を含む組成物は、同位体族の少なくとも45%が指定された位置(単数または複数)でDを含むという条件で、この化合物の同位体族の分布を含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、式Aまたは式Iの化合物は、この化合物のその他の同位体族が「実質的になく」、例えば、50%より少なく、25%より少なく、10%より少なく、5%より少なく、2%より少なく、1%より少なく、または0.5%より少ないその他の同位体族が存在する。
【0051】
式Aおよび式Iの化合物の合成は、合成化学の当業者によって容易に達成され得る。関連する手順および中間体は、例えば、欧州特許出願第1564202号;米国特許第5,318,994号;Descamps−Francois、Cら、J Med Chem 2003、46(7):1127−1129.Chu、G−Hら、Synth Comm 2001、31(4):621−629;Adam、Gら、J Pharm Belg 1992、47(4):374−80;Yous、Sら、J Med Chem 1992、35(8):1484−6;およびDepreux、Pら、J Med Chem 1994、37(20):3231に開示されている。
【0052】
このような方法は、本明細書中に描写される化合物を合成するために、対応する重水素化、そして必要に応じて、その他の同位体含有試薬および/または中間体を利用して、または化学構造に同位体原子を導入するための当該技術分野で公知の標準的な合成プロトコールを呼び出して実施され得る。
【0053】
(例示の合成)
本開示の化合物を合成するための便利な方法は、スキームI〜IIIに描写される。
【0054】
【化6】

適切に重水素化されたアルデヒドXXXは、スチレン誘導体XXXIに変換される。所望のアルキンとのSonogashiraカップリングは、化合物XXXIIを提供し、これは環化されて所望の中間体複素環XXXIIIを生じる。化合物XXXIIIは脱保護されてアミンXXXIVを生じ、これは次に改変されて式Aまたは式Iの化合物を生じ、ここでRは重水素メチルであり、そしてRはフッ素である。この合成ルートの一般的手順は:Xu、Jら、Org Lett、2006、8(12):2555〜2558;Dunetz、JRら、J Am Chem Soc、2005、127(16):5776〜5777;およびSuzuki、Iら、Tet Lett、2004、45(9):1955〜1959に見出される。
【0055】
【化7】

P−アニスアルデヒド(X)は、スチレン−誘導体XIに変換される。所望の保護されたアルキンとのSonogashiraカップリングは化合物XIIを提供し、これは次に所望の置換された中間ナフタレンXIIIに環化される。この中間体(XIII)は、次に三臭化ホウ素で処理されてBocおよびメチルエーテル基を同時に除去し、XIVを与える。XIVのアセチル化は、式Aおよび式Iの化合物を与え、ここでRはHである。この合成ルートの一般的手順は、Xu、Jら、Org Lett、2006、8(12):2555〜2558;Dunetz、JRら、J Am Chem Soc、2005、127(16):5776〜5777;Suzuki、Iら、Tet Lett、2004、45(9):1955〜1959;Hayford、Aら、Org Lett 2005、7(13):2671〜2673;Felix、AM、J Org Chem 1974、39:1427;およびVickey、EHら、J Org Chem 1979、44:4444に見出される。
【0056】
あるいは、化合物XIIIは、4N HCl/ジオキサンで処理され得、Bocを除去し、その一方、メチルエーテルを保持する。得られる産物のアセチル化は、式Aまたは式Iの化合物を生じ、ここでRはメチルであり、そしてRはDである。
【0057】
【化8】

化合物XVは、臭化銅I;DMF;およびベンジルアルコールの存在下、還流条件下でナトリウムベンジルアルコキシド(XVI)と反応され、ベンジルエーテルXVIIを生じる。化合物XVIIは、次に、還流アセトン中、ヨウ化メチルおよび炭酸カリウムと反応され、化合物XVIIIを与える。シアノ化合物XVIIIは次に水素化トリエトキシアルミニウムナトリウムと反応されてアルデヒドXIXを生じ、これは次に、メタノール中、水素化ホウ素ナトリウムとの反応を経由してベンジリックアルコールXXに引き続き還元される。化合物XXは、次に、DMF中、トリフェニルホスフィンおよび四臭化炭素との反応により臭化ベンジル中間体XXIに変換される。化合物XXIは、次いで、DMF中、シアン化カリウム;触媒量のヨウ化ナトリウムでの処理によりシアノ化合物XXIIに転換される。化合物XXIIの、エーテル中の水素化リチウムアルミニウム/三塩化アルミニウムの1:1複合体との反応は、シアノ化合物XXIIのアミノ化合物XXIIIへの還元を生じる。化合物XXIIIの、ピリジン中の塩化アセチルとの反応によるアセチル化は、化合物XXIVを生じる。化合物XXIVの、エタノール中Pd/C触媒の存在下での水素ガスでの処理は、アゴメラチン代謝産物IIを生じる。化合物XVの調製のための合成手順は、Mewshaw、REら、J.Med.Chem.2005 48(12)3953〜3979の公開された手順に従う。同公開物からの手順はまた、化合物XVIIを生成するために用いられた。スキームIIIに示される反応条件はまた、以下の参考文献から適合された:MacKenzie、ARら、Tetrahedron 1986、42;3249;Hudlicky、M、Reductions in Organic Chemistry、John Wiley and Sons、New York、New York 1984、173〜174;Hesse、Gら、Ann Chem 1957;およびNystrom、RB、J Am Chem Soc 1955、77:2544。
【0058】
上記に示される詳細なアプローチおよび化合物は、制限的であることは意図されない。本明細書におけるスキーム中の化学構造は、同じ可変物名(すなわち、R、R、Rなど)で識別されるか否かにかかわらず、本明細書中の化合物の式における対応する位置の化学基定義(部分、原子など)と相応して本明細書によって規定される可変物を描写する。別の化合物の合成における使用のための化合物中の化学基の適合性は、当業者の知識内である。
【0059】
本明細書中のスキームに明示して示されない経路内のものを含む式Aまたは式Iの化合物、およびそれらの合成前駆体を合成するさらなる方法は、当業者である化学者の手段内にある。適用可能な化合物を合成することにおいて有用な合成化学変換および保護基方法論(保護および脱保護)は、当該技術分野で公知であり、そして、例えば、Larock R、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers(1989);Greene TWら、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons(1999);Fieser Lら、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1994);およびPaquette L編、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1995)およびその引き続く版に記載されたものを含む。
【0060】
本開示によって想定される置換物および可変物の組み合わせは、安定化合物の形成を生じるもののみである。
【0061】
(組成物)
本開示はまた、有効量の(例えば、本明細書中の任意の式を含む)式Aまたは式Iの化合物、この化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、または水和物;および受容可能なキャリアを含む発熱物質のない組成物を提供する。好ましくは、本開示の組成物は、薬学的使用のために処方され(「薬学的組成物」)、ここで、このキャリアは、薬学的に受容可能なキャリアである。このキャリア(単数または複数)は、処方物のその他の成分と適合性である意味で「受容可能」であり、そして薬学的に受容可能なキャリアの事例では、医薬中で用いられる量でそのレシピエントに有害でない。
【0062】
本開示の薬学的組成物中で用いられ得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルは、制限されないで、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、ホスフェートのような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースを基礎にする物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含む。
【0063】
必要であれば、薬学的組成物中の本開示の化合物の溶解度および生物学的利用能は、当該技術分野で周知の方法によって増大され得る。1つの方法は、処方物中の脂質賦形剤の使用を含む。「Oral Lipid−Based Formulations:Enhancing the Bioavailability of Poorly Water−Soluble Drugs(Drugs and the Pharmaceutical Sciences)」David J.Hauss編、Informa Healthcare、2007;および「Role of Lipid Excipients in Modifying Oral and Parenteral Drug Delivery:Basic Principles and Biological Examples,」Kishor M.Wasan編、Wiley−Interscience、2006を参照のこと。
【0064】
生物学的利用能を増大する別の公知の方法は、必要に応じてLUTROLTMおよびPLURONICTM(BASF Corporation)のようなポロキサマー、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーと処方される本開示の化合物のアモルファス形態の使用である。米国特許第7,014,866号;および米国特許公開第20060094744号および同第20060079502号を参照のこと。
【0065】
本開示の薬学的組成物は、経口、直腸、鼻、局所(頬および舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内)投与に適切な組成物を含む。特定の実施形態では、本明細書における処方物の化合物は、(例えば、経皮パッチまたはイオン導入技法を用いて)経皮的に投与される。その他の処方物は、便利には、単位投薬量形態、例えば、錠剤、徐放性カプセル、およびリポソーム中で呈示され、そして薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Philadelphia、PA(第17版、1985)を参照のこと。
【0066】
このような調製方法は、1つ以上のアクセサリー成分を構成するキャリアのような投与されるべき成分である分子と会合させる工程を含む。一般に、上記組成物は、活性成分を液体キャリア、リポソームまたは微細に分割された固体キャリア、または両方との会合に均一にかつ緊密にもたらすことにより調製され、そして次に、必要であれば、産物を形状化する。
【0067】
特定の実施形態では、上記化合物は、経口的に投与される。経口投与に適切な本開示の組成物は、カプセル、サシュ、または錠剤のような、各々が活性成分の所定量を含む別個に単位;粉末または顆粒;水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁物;水中油液体エマルジョン;油中水液体エマルジョン;リポソーム中にパックされる;として、またはボーラスとして呈示され得る。ソフトゼラチンカプセルは、このような懸濁物を含むために有用であり得、これは有益なことに化合物吸収の速度を増加し得る。
【0068】
経口使用のための錠剤事例では、共通して用いられるキャリアは、ラクトースおよびコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤がまた、代表的には添加される。カプセル形態にある経口投与には、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥されたコーンスターチを含む。水性懸濁物が経口的に投与されるとき、上記活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望であれば、特定の甘味剤および/またはフレーバー剤および/または着色剤が添加され得る。
【0069】
経口投与に適切な組成物は、通常、シュークロースおよびアカシアまたはトラガカントであるフレーバー基剤中に上記成分を含むロゼンジ;およびゼラチンおよびグリセリン、またはシュークロースおよびアカシアのような不活性基剤中に活性成分を含む錠剤を含む。
【0070】
非経口投与に適切な組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静細菌剤および溶質(処方物を意図されるレシピエントの血液と等張性にする)を含み得る水性および非水性滅菌注射溶液;ならびに懸濁剤および肥厚剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁物を含む。これら処方物は、単位用量または複数用量容器、例えば、シールされたアンプルおよびバイアル中に存在し得、そしてフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵され得、使用直前に注入のために滅菌液体キャリア、例えば、注射用水の添加のみを必要とする。即座の注入溶液および懸濁物は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0071】
このような注入溶液は、例えば、滅菌注入可能な水性または油性懸濁物の形態であり得る。この懸濁物は、(例えば、Tween80のような)適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて当該技術分野で公知の技法に従って、処方され得る。この滅菌注入可能な調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に受容可能な希釈液または溶媒中の滅菌注入可能な溶液または懸濁物であり得る。採用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、マンニトール、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌、不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として慣習的に採用される。この目的のために、任意のブランドの不揮発性油が採用され得、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、特にそれらのポリオキシエチル化形にあるオリーブ油、ヒマシ油のような、天然の薬学的に受容可能な油として、注入可能物の調製で有用である。これらの油溶液または懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含み得る。
【0072】
本開示の薬学的組成物は、直腸投与のための座剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、本開示の化合物を、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、そしてそれ故、直腸中で溶けて活性成分を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製され得る。このような材料は、制限されないで、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールを含む。
【0073】
本開示の薬学的組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入により投与され得る。このような組成物は、薬学的処方の技術分野で周知の技法に従って調製され、そしてベンジルアルコールまたはその他の適切な保存剤、生物学的利用能を増大するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/またはその他の当該技術分野で公知の可溶化剤または分散剤を採用して生理食塩水中の溶液として調製され得る。例えば:Alexza Molecular Delivery Corporationに譲渡されたRabinowitz JDおよびZaffaroni AC、米国特許第6,803,031号を参照のこと。
【0074】
本開示の薬学的組成物の局所投与は、所望の処置が局所適用によって容易にアクセス可能な領域または器官を含むとき特に有用である。皮膚への局所的な局所適用には、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏とともに処方されるべきである。本開示の化合物の局所投与のためのキャリアは、制限されないで、鉱油、流動パラフィン、白色パラフィン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水を含む。あるいは、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリームとともに処方され得る。適切なキャリアは、制限されないで、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水を含む。本開示の薬学的組成物はまた、直腸座剤処方物によって、または適切な浣腸処方物で下部腸管に局所的に適用され得る。局所的経皮パッチおよびイオン導入投与もまた、本開示中に含まれる。
【0075】
主題の治療物の適用は、目的の部位で投与されるように局所的であり得る。目的の部位で、注入、カテーテル、トロカール、放射体、プルロニックゲル、ステント、薬物除放性ポリマーまたは内部アクセスを提供するその他のデバイスの使用のような種々の技法が、主題の組成物を提供するために用いられ得る。
【0076】
従って、なお別の実施形態によれば、本開示の化合物は、補綴具、人工弁、血管グラフト、ステント、またはカテーテルのような移植可能な医療用デバイスをコーティングするための組成物中に取り込まれ得る。コーティングされた移植可能なデバイスの適切なコーティングおよび一般的調製は当該技術分野で公知であり、そして米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に例示される。これらコーティングは、代表的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびそれらの混合物のような生体適合性ポリマー材料である。このコーティングは、必要に応じてフルオロシリコン、多糖、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組み合わせの適切な保護膜によってさらに覆われ得、組成物中で制御された放出特性を与える。侵襲的デバイスのコーティングは、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルの定義内に、これら用語が本明細書中で用いられるとき、含められる。
【0077】
別の実施形態によれば、本開示は、移植可能な医療用デバイスをコーティングする方法を提供し、このデバイスを上記に記載されたコーティング組成物と接触する工程を包含する。このデバイスのコーティングが、哺乳動物中への移植の前に起こることは当業者に自明である。
【0078】
別の実施形態によれば、本開示は、移植可能な薬物放出デバイスを含漬する方法を提供し、この薬物放出デバイスを本開示の化合物または組成物と接触する工程を包含する。移植可能な薬物放出デバイスは、制限されないで、生分解性ポリマーカプセルまたは薬包(bullet)、非分解性の拡散可能ポリマーカプセルおよび生分解性ポリマーウエハーを含む。
【0079】
別の実施形態によれば、本開示は、化合物または組成物でコーティングされた移植可能な医療用デバイスを提供し、本開示の化合物を、この化合物が治療的に活性であるように含む。
【0080】
別の実施形態によれば、本開示は、化合物または組成物で含浸されるか、または化合物または組成物を含む移植可能な薬物放出デバイスを提供し、このデバイスは、この化合物がこのデバイスから放出され、そして治療的に活性であるように、本開示の化合物を含む。
【0081】
器官または組織が、患者からの切除のためにアクセス可能である場合、このような器官または組織は、本開示の組成物を含む媒体中に浴され得、本開示の組成物は、この器官上にペイントされ得るか、または本開示の組成物は、任意のその他の便利な様式で適用され得る。
【0082】
別の実施形態では、本開示の組成物は、第2の治療剤をさらに含む。この第2の治療剤は、アゴメラチンと同じ作用の機構を有する化合物とともに投与されるとき、有利な性質を有することが知られているか、または示す任意の化合物または治療剤から選択され得る。このような薬剤は、アゴメラチンと組み合わせて有用であるとして示される薬剤を含み、制限されないで、国際公開第2007028904号および国際公開第2005002562号に記載される薬剤を含む。
【0083】
好ましくは、この第2の治療剤は、鬱病、不安、双極性障害、および睡眠障害から選択される疾患または症状の処置または予防で有用な薬剤である。
【0084】
1つの実施形態では、この第2の治療剤は、レボキセチンメシレート、シタロプラムヒドロブロミド、フルボキサミンマレエート、パロキセチン、フルオキセチンヒドロクロリド、エスシタロプラムオキサレート、およびセルトラリンヒドロクロリドから選択される。
【0085】
別の実施形態では、本開示は、本開示の化合物、および1つ以上の任意の上記に記載の第2の治療剤の別個の投薬量形態を提供し、ここで、この化合物および第2の治療剤は、互いと会合される。本明細書で用いられるき、用語「互いと会合」は、別個の投薬量形態が一緒にパッケージされるか、またはそうでなければ、別個の投薬量形態が一緒に販売され、そして(連続して互いの24時間未満内または同時に)投与されることが意図されることが容易に明らかであるように互いに添付されることを意味する。
【0086】
本開示の薬学的組成物中には、本開示の化合物が有効量で存在する。本明細書で用いられるとき、用語「有効量」は、適正な投薬養生法で投与されるとき、処置される障害の重篤度、持続期間または進行を低減するか、または改善するに十分であり、処置される障害の進行を防ぎ、処置される障害の退行を引き起こすか、または別の治療の予防効果または治療効果を増大または改善する量をいう。
【0087】
(身体表面の平方メートルあたりのミリグラムに基づく)動物およびヒトに対する投薬量の相互関係は、Freireichら(1966)Cancer Chemother.Rep 50:219に記載されている。身体表面積は、患者の身長および体重からほぼ決定され得る。例えば、Scientific Tables、Geigy Pharmaceuticals、Ardsley、N.Y.、1970、537を参照のこと。
【0088】
1つの実施形態では、本開示の化合物の有効量は、0.25mg/日〜500mg/日の範囲であり得る。より詳細な実施形態では、この範囲は、2.5mg/日〜250mg/日、または5mg/日〜100mg/日もしくは25mg/日〜50mg/日である。
【0089】
有効用量はまた、当業者によって認識されるように、処置される疾患、この疾患の重篤度、投与の経路、性、年齢および患者の一般健康状態、賦形剤使用、その他の薬剤の使用のようなその他の治療処置との同時使用の可能性ならびに処置する医師の判断に依存して変動する。例えば、有効用量を選択するためのガイダンスは、アゴメラチンの処方情報を参照して決定され得る。
【0090】
第2の治療剤を含む薬学的組成物について、この第2の治療剤の有効量は、まさにその薬剤を用いる単一治療で通常利用される投薬量の約20%〜100%の間である。好ましくは、有効量は、通常の単一治療用量の約70%〜100%の間である。これら第2の治療剤の通常の単一治療投薬量は、当該技術分野で周知である。例えば、その各々の参考文献が参考としてそれら全体が本明細書中に援用される、Wellsら、編、Pharmacotherapy Handbook、第2版、Appleton and Lange、Stamford、Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia、Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000、Deluxe Edition、Tarascon Publishing、Loma Linda、Calif.(2000)を参照のこと。
【0091】
上記で参照される第2の治療剤のいくつかは、本開示の化合物と相乗的に作用することが予期される。これが起こるとき、それは、この第2の治療剤および/または本開示の化合物の有効投薬量が、単一治療で必要な有効投薬量から低減されることを可能にする。これは、第2の治療剤または本開示の化合物いずれかの毒性副作用を最小にすること、効き目における相乗的改善、投与または使用の改善された容易さ、および/または化合物調製もしくは処方の低減された全体の出費の利点を有する。
【0092】
(処置の方法)
別の実施形態では、本開示は、細胞において、MT1およびMT2レセプターを刺激し、そして5−HT2Bおよび5−HT2Cレセプターをブロックする方法を提供し、細胞を、本明細書中の式Aまたは式Iの1つ以上の化合物と接触する工程を包含する。
【0093】
別の実施形態によれば、本開示は、アゴメラチンによって有益に処置される疾患を患うか、または罹患しやすい被験体を処置する方法を提供し、この被験体に、有効量の本開示の化合物または組成物を投与する工程を包含する。このような疾患は当該技術分野で周知であり、そして制限されないで、以下の特許および公開された出願に開示されている:国際公開第WO2007028904号、同第WO2005002562号、同第WO2005077887号、同第WO2006111653号、同第WO2006096435号、および米国特許出願公開第2006199805号。このような疾患は、制限されないで、鬱病、不安、双極性障害、および睡眠障害を含む。
【0094】
1つの特定の実施形態では、本開示の方法は、鬱病および双極性障害から選択される疾患または症状を患うか、または罹患しやすい被験体を処置するために用いられる。
【0095】
本明細書中に描写される方法はまた、上記被験体が特定の定められた処置が必要であると識別される場合の方法を含む。このような処置が必要である被験体を識別することは、被験体または健康管理専門家の判断にあり得、そして主観的(例えば、意見)または客観的(例えば、試験または診断方法によって測定可能)であり得る。
【0096】
別の実施形態では、任意の上記の処置の方法は、上記患者に1つ以上の第2の治療剤を同時投与する工程をさらに包含する。第2の治療剤の選択は、アゴメラチンとの同時投与のために有用であることが知られる任意の第2の治療剤からなされ得る。第2の治療剤の選択はまた、処置される特定の疾患または症状に依存する。本開示の方法で採用され得る第2の治療剤の例は、本開示の化合物および第2の治療剤を含む組み合わせ組成物における使用のために上記で呈示されるものである。
【0097】
特に、本開示の組み合わせ治療は、以下の症状の処置のために、式Aまたは式Iの化合物および第2の治療剤を同時投与する工程を包含する:鬱病(レボキセチンメシレート);不安および鬱病(シタロプラムヒドロブロミド、フルボキサミンマレエート、パロキセチン、フルオキセチンヒドロクロリド、エスシタロプラムオキサレート、およびセルタリンヒドロクロリド)。
【0098】
本明細書で用いられるとき、用語「同時投与」は、第2の治療剤が、(上記に記載のような本開示の化合物および第2の治療剤を含む本開示の組成物のような)単一投薬量形態の一部として、または別個の複数投薬量形態として、本開示の化合物と一緒に投与され得ることを意味する。あるいは、さらなる薬剤は、本開示の化合物の投与の前、それと連続して、またはその後に投与され得る。このような組み合わせ治療では、本開示の化合物および第2の治療剤(単数または複数)は、従来方法によって投与される。本開示の化合物および第2の治療剤の両方を含む本開示の組成物の被験体への投与は、その同じ治療剤、処置の経過の間の別のときに上記被験体への本開示の任意のその他の第2の治療剤または任意の化合物の別個の投与を除外しない。
【0099】
これら第2の治療剤の有効量は当業者に周知であり、そして投薬量のガイダンスは、本明細書中で参照される特許および公開された特許出願、ならびにWellsら、編、Pharmacotherapy Handbook、第2版、Appleton and Lange、Stamford、Conn.(2000);PDR Pharmacopoeia、Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000、Delux Edition、Tarascon Publishing、Loma Linda、Calif.(2000)、およびその他の医学教科書中に見出され得る。しかし、この第2の治療剤の最適有効量範囲を決定することは十分に当業者の範囲内である。
【0100】
第2の治療剤が被験体に投与される本開示の1つの実施形態では、本開示の化合物の有効量は、この第2の治療剤が投与されない場合のその有効量より少ない。別の実施形態では、この第2の治療剤の有効量は、本開示の化合物が投与されない場合のその有効量より少ない。このようにして、いずれかの薬剤の高用量に付随する所望されない副作用が最小であり得る。その他の可能な利点は(制限なくして、改善された投薬量養生法および/または低減された薬物コストを含み)、当業者に明らかである。
【0101】
なお別の局面では、本開示は、式Aまたは式Iの化合物の、単独または上記に記載の第2の治療剤の1つ以上と一緒の、上記に呈示される疾患、障害または徴候の被験体における処置または予防のための、単一組成物または別個の投薬量形態いずれかの薬物の製造における使用を提供する。本開示の別の局面は、本明細書中に記載される疾患、障害または徴候の被験体における処置または予防に使用するための、式Aまたは式Iの化合物である。
【0102】
(診断方法およびキット)
本開示の化合物および組成物はまた、溶液または血漿のような生物学的サンプル中のアゴメラチンの濃度を決定し、アゴメラチンの代謝を調べるための方法およびその他の分析研究における試薬として有用である。
【0103】
1つの実施形態によれば、本開示は、アゴメラチンの溶液または生物学的サンプル中の濃度を決定する方法を提供し、以下の工程を包含する:
a)既知濃度の式Aまたは式Iの化合物を生物学的サンプルの溶液に添加する工程;
b)この溶液または生物学的サンプルを、式Aまたは式Iの化合物からアゴメラチンを区別する測定デバイスに供する工程;
c)式Aまたは式Iの化合物の検出された量を、上記生物学的サンプルまたは溶液に添加された式Aまたは式Iの化合物の既知濃度と相関するように上記測定デバイスを較正する工程;および
d)上記較正された測定デバイスで上記生物学的サンプル中のアゴメラチンの量を測定する工程;および
e)式Aまたは式Iの化合物について検出された量と得られた濃度との間の相関を用いてサンプルの溶液中のアゴメラチンの濃度を決定する工程。
【0104】
式Aまたは式Iの対応する化合物からアゴメラチンを区別し得る測定デバイスは、同位体の豊富さだけが互いに異なる2つの化合物間を区別し得る任意の測定デバイスを含む。例示の測定デバイスは、質量分析計、NMRスペクトロメーター、またはIRスペクトロメーターを含む。
【0105】
別の実施形態では、溶液または生物学的サンプル中のアゴメラチンの量を決定する方法が提供され:
a)既知量の式Aまたは式Iの化合物を溶液または生物学的サンプルに添加する工程;
b)式Aまたは式Iの化合物に対する少なくとも1つの信号およびアゴメラチンに対する少なくとも1つの信号を、これら2つの化合物を区別し得る測定デバイス中で検出する工程;
c)式Aまたは式Iの化合物に対して検出された少なくとも1つの信号を、上記溶液または生物学的サンプルに添加された式Aまたは式Iの化合物の既知量と相関させる工程;および
d)上記式Aまたは式Iの化合物の検出された少なくとも1つの信号と、式Aまたは式Iの化合物の上記溶液または生物学的サンプルに添加された量との間の相関を用いて、上記溶液または生物学的サンプル中のアゴメラチンの量を決定する工程を包含する。
【0106】
別の実施形態では、本開示は、式Aまたは式Iの化合物の代謝安定性を評価する方法を提供し、式Aまたは式Iの化合物を代謝する酵素源と一定期間接触する工程、およびその期間の後、式Aまたは式Iの化合物の量を、式Aまたは式Iの化合物の代謝産物を用いて比較する工程を包含する。
【0107】
関連する実施形態では、本開示は、式Aまたは式Iの化合物の投与の後、被験体における式Aまたは式Iの化合物の代謝安定性を評価する方法を提供する。この方法は、被験体への式Aまたは式Iの化合物の投与の後、一定期間でこの被験体から血清、血液、組織、尿または糞サンプルを得る工程;およびこの血清、血液、組織、尿または糞サンプル中の式Aまたは式Iの化合物の量を式Aまたは式Iの化合物の代謝産物を比較する工程を包含する。
【0108】
本開示はまた、鬱病および双極性障害を処置するために使用するキットを提供する。これらキットは、(a)式Aまたは式Iの化合物、その塩、水和物、また溶媒和物を含む薬学的組成物であって、容器中にある薬学的組成物;および(b)鬱病および双極性障害を処置するためにこの薬学的組成物を用いる方法を記載する指示書を含む。
【0109】
上記容器は、上記薬学的組成物を保持し得る任意の容器またはその他のシールされたか、またはシール可能な装置であり得る。例は、瓶、アンプル、各区分またはチャンバーが上記組成物の単一用量を含む区分または複数チャンバーのホルダー瓶、各区分が上記組成物の単一用量を含む区分されたホイルパケット、または上記組成物の単一用量を分配するディスペンサーを含む。上記容器は、薬学的に受容可能な材料、例えば、紙またはボール箱、ガラスまたはプラスチックの瓶またはジャー、再シール可能なバッグ(例えば、異なる容器中への配置のために錠剤の「詰め替え」を保持するため)、または治療スケジュールに従って包みから出すための個々の用量を備えたブリスター包装から作製される当該技術分野で公知のような任意の従来形状または形態であり得る。採用される容器は、含まれる正確な投薬量形態に依存し得、例えば、従来のボール箱は、一般に、液体懸濁物を保持するためには用いられない。1つ以上の容器が、単一投薬量形態を市場に出すために単一パッケージで一緒に用いられ得ることが実現可能である。例えば、錠剤が瓶に含まれ得、これは次いで箱に含まれる。1つの実施形態では、この容器は、ブリスター包装である。
【0110】
本開示のキットはまた、上記薬学的組成物の単位用量を投与または計り分けるためのデバイスを含み得る。このようなデバイスは、上記組成物が吸入可能な組成物である場合、吸入器;上記組成物が注入可能な組成物である場合、注射器および針;上記組成物が経口液体組成物である場合、容量マーキング有りまたは無しのシリンジ、スプーン、ポンプまたは容器、またはキット中に存在する組成物の投薬量処方物に適切な任意のその他の測定または送達デバイスを含み得る。
【0111】
特定の実施形態では、本開示のキットは、別個の容器のうつわの中に、本開示の化合物との同時投与のための使用のために上記に列挙されたものの1つのような第2の治療薬剤を含む薬学的組成物を含み得る。
【実施例】
【0112】
(実施例1.N−(2−(7−(メトキシ−d)−ナフタレン−1−イル)エチル)アセトアミドd(106)の合成)
化合物106は、以下のスキームIVに概説されるように調製された。この合成の詳細は、以下に呈示される。
スキームIV:N−(2−(7−(メトキシ−d)−ナフタレン−1−イル)エチル)アセトアミドd(106)の調製
【0113】
【化9】

2−(7−ヒドロキシナフタレン−1−イル)アセトニトリル(11)の合成。−78℃で、DCM(20mL)中のニトリル10(0.500g、2.5mmol)の溶液に、BBr(0.337mL、6.3mmol、2.5eq)を撹拌して添加した。この反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで冷(0℃)CHOH(100mL)中に注いだ。得られる溶液を減圧下で濃縮し、次いで高減圧下で乾燥し、褐色の固体を得た。自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(90:10:1−CHCl:CHOH:NHOH)による精製により、中間体11を得た(218mg、収率48%)。
【0114】
2−(7−(メトキシ−d)ナフタレン−1−イル)アセトニトリル(12)の合成。DMF(20mL)中のアルコール11(0.218g、1.2mmol)の溶液に、撹拌しながら、KCO(0.197g、1.4mmol、1.2当量)およびCDI(0.164g、1.1mmol、0.95当量)を添加した。この混合物を室温でN下、一晩撹拌し、次いでHO(20mL)を添加し、そしてEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水溶液(30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、そして減圧して濃縮し、産物12を得た(206mg、86%収率、95%純度)。
【0115】
2−(7−(メトキシ−d)ナフタレン−1−イル)エタンアミン(13)の合成。THF(20mL)中の12(0.206g、1.0mmol)の溶液を0℃まで冷却した。この溶液に、THF(2.21mL、2.2mmol、2.2eq)中の1.0M BHを添加した。得られる混合物をNの雰囲気下、室温で1時間、次いで還流条件下、15時間撹拌した。この混合物を次いで0℃まで冷却し、そしてCHOHを添加し、そして反応をクエンチした。得られる混合物を還流条件下、1時間撹拌した。減圧下、この混合物の濃縮により13を得た(236mg、定量的収率)。
【0116】
N−(2−(7−(メトキシ−d)−ナフタレン−1−イルエチル)アセトアミド−d(106)の合成。 THF(20mL)中の上記アミン13(0.236g、1.2mmol)の溶液に、ピリジン(0.097mL、1.2mmol、1.0当量)、DMAP(0.141g、1.2mmol、1.0当量)、および無水酢酸−d(0.120mL、1.2mmol、1.0当量)を撹拌して添加した。この反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで減圧下濃縮し、そして逆相HPLCによって精製し、化合物106をギ酸塩として得た(32mg、95%純度)。
【0117】
【表2】

(代謝安定性の評価)
特定のインビトロ肝臓代謝研究は、以下の参考文献で先に記載されており、それらの各々はそれらの全体が本明細書中に援用される:Obach、R.S.Drug Metab Disp 1999、27、1350頁;Houston、J.B.ら、Drug Metab Rev 1997、29、891;Houston、J.B.Biochem Pharmacol 1994、47、1469頁;Iwatsubo、Tら、Pharmacol Ther 1997、73、;およびLave、T.ら、Pharm Res 1997、14、152頁。
【0118】
(ミクロソームアッセイ:)式Aまたは式Iの化合物の代謝安定性を、プールされた肝臓ミクロソームインキュベーションを用いて試験する。完全走査LC−MS分析を次いで実施し、主要な代謝産物を検出する。プールされたヒト肝臓ミクロソームに曝された試験化合物のサンプルを、HPLC−MS(またはMS/MS)検出を用いて分析する。代謝安定性を決定するために、複数の反応モニタリング(MRM)を用いて試験化合物の消失を測定する。代謝産物検出には、Q1完全走査を調査走査として用い、主要代謝産物を検出する。
【0119】
(実験手順:)ヒト肝臓ミクロソームを商業供給源から得る(例えば、Absorption Systems L.P.(Exton、PA)、またはXeno Tech、LLC(Lenexa、KS))。インキュベーション混合物は以下のように調製される:
反応混合物組成物
肝臓ミクロソーム 0.5〜2.0mg/mL
NADPH 1mM
リン酸カリウム、pH7.4 100mM
塩化マグネシウム 10mM
試験化合物 0.1〜1μM
(試験化合物の肝臓ミクロソームとのインキュベーション:) 反応混合物、マイナスコファクターを調製する。反応混合物(コファクターなし)のアリコートを振盪水浴中37℃で3分間インキュベートする。反応混合物の別のアリコートをネガティブコントロールとして調製する。試験化合物をこの反応混合物およびネガティブコントロールの両方中に、1μMの最終濃度で添加する。反応混合物のアリコートを、普通の有機溶媒の添加(試験化合物は添加しない)によりブランクコントロールとして調製する。反応はコファクターの添加により開始し(ネガティブコントロールには添加しない)、そして次に振盪水浴中37℃でインキュベートする。アリコート(200μL)を複数の時点(例えば、0、15、30、60、および120分)で三重で引き抜き、そして800μLの氷冷50/50アセトニトリル/dHOと合わせ、反応を終了する。ポジティブコントロールである、テストステロンおよびプロプラノロール、ならびにアゴメラチンを各々、別個の反応中の試験化合物と同時に走らせる。
【0120】
すべてのサンプルは、LC−MS(またはMS/MS)を用いて分析する。LC−MRM−MS/MS法を代謝安定性のために用いる。また、Q1完全走査LC−MS法を、ブランクマトリックスおよび試験化合物インキュベーションサンプルに対して実施する。このQ1走査は、調査走査として供され、可能な代謝産物を表し得る任意のサンプル特有ピークを識別する。これら可能な代謝産物の質量は、このQ1走査から決定され得る。
【0121】
(SUPERSOMETMアッセイ。) 種々のヒトチトクロムP450特異的SUPERSOMESTMは、Gentest(Wobum、MA、USA)から購買される。100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に、2.5pmoleのSUPERSOMESTM、2.0mM NADPH、3.0mM MgCl、および1μMの式Aまたは式Iの化合物を含む1.0mLの反応混合物を、37℃で三重でインキュベートする。ポジティブコントロールは、式Aまたは式Iの化合物の代わりに1μMのアゴメラチンを含む。用いられたネガティブコントロールであるControl Insect Cell Cytosol(任意のヒト代謝酵素を欠く昆虫細胞クミロソーム)は、GenTest(Woburn、MA、USA)から購入される。アリコート(50μL)を、各サンプルから取り出し、そして種々の時点(例えば、0、2、5、7、12、20、および30分)でマルチウェルプレートのウェル中に置き、そして各アリコートに、内部標準としての3μMのハロペリドールとともに50μLの氷冷アセトニトリルを添加し、反応を停止する。
【0122】
取り出されたアリコートを含むプレートを、−20℃のフリーザーに15分間置き冷却する。冷却後、100μLの脱イオン水をプレート中のすべてのウェルに添加する。プレートを、次いで、3000rpmで10分間遠心分離機中で回転する。上清の一部(100μL)を、次いで、取り出し、新たなプレートに置き、そして質量分析計を用いて分析する。
【0123】
さらなる記載なくして、当業者は、先行する記載および例示の実施例を用いて、本開示の化合物を作製および利用し得、そして請求項に記載の方法を実施し得ると考えられる。先行する論議および実施例は、単に、特定の好ましい実施形態の詳細な説明を呈示することが理解されるべきである。種々の改変および等価物が、本開示の思想および範囲から逸脱することなくなされ得ることは当業者に明らかである。上記で論じ、または引用されるすべての特許、雑誌論文およびその他の文書は、本明細書中に参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Aの化合物:
【化10】

またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物であって、
は、H、CH、CHD、CHDおよびCDから選択され;
は、OH、H、DおよびFから選択され;
3a、R3b、R4a、およびR4bの各々は、HおよびDから独立に選択され;
は、CH、CHD、CHDおよびCDから選択され;そして
少なくとも1つのRは、重水素原子を含む、化合物。
【請求項2】
が、H、CH、およびCDから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、HおよびDから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
各Rが同じである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
各Rが同じである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
3a、R3b、R4a、およびR4bの各々が同じである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
3a、R3b、R4a、およびR4bの各々がHである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、CHおよびCDから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項9】
以下の表中のいずれか1つの化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【表3】

【請求項10】
前記化合物が:
【化11】

である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が:
【化12】

である、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が:
【化13】

である、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
重水素として指定されない任意の原子が、その天然の同位体の豊富さで存在する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1または2に記載の化合物;および受容可能なキャリアを含む、発熱物質を含まない組成物。
【請求項15】
前記組成物が薬学的投与に適切であり、そして前記キャリアが薬学的に受容可能なキャリアである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
第2の治療剤をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記第2の治療剤が、鬱病、不安、双極性障害、および睡眠障害から選択される疾患または症状の処置または予防で有用である薬剤である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記第2の治療剤が、レボキセチンメシレート、シタロプラムヒドロブロミド、フルボキサミンマレエート、パロキセチン、フルオキセチンヒドロクロリド、エスシタロプラムオキサレート、およびセルトラリンヒドロクロリドから選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
鬱病、不安、双極性障害、および睡眠障害から選択される疾患を患うか、または罹患しやすい被験体を処置する方法であって、その必要のある該被験体に、請求項14に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
前記疾患または症状が、鬱病、および双極性障害から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
その必要のある前記被験体に第2の治療剤を同時投与するさらなる工程を包含する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の治療剤が:
a.前記被験体が、鬱病を患うか、または罹患しやすいとき、レボキセチンメシレート;そして
b.該被験体が、不安および鬱病を患うか、または罹患しやすいとき、シタロプラムヒドロブロミド、フルボキサミンマレエート、パロキセチン、フルオキセチンヒドロクロリド、エスシタロプラムオキサレート、および/またはセルトラタリンヒドロクロリドから選択される、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2010−519319(P2010−519319A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551067(P2009−551067)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/062039
【国際公開番号】WO2008/137461
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509239071)コンサート ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】