説明

ヌクレオシドホスホリラーゼおよびヌクレオシダーゼ阻害剤の製造方法

本発明は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、プリンホスホリボシルトランスフェラーゼ(PPRT)、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)、5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼ(MTAN)および/またはヌクレオシドヒドロラーゼ(NH)の阻害剤である一般式(I)の化合物の新規な製造方法に関する。本発明は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、プリンホスホリボシルトランスフェラーゼ(PPRT)、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)、5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼ(MTAN)および/またはヌクレオシドヒドロラーゼ(NH)の阻害剤である一般式(I)の化合物の新規な製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のヌクレオシド類似体の製造方法に関する。詳細には、本発明は、メチレン結合環状アミンデアザプリンを得るための、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物と、環状アミンおよび複素環式芳香族化合物との反応を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)およびプリンホスホリボシルトランスフェラーゼ(PPRT)の強力な阻害剤であるヌクレオシド類似体は、寄生虫感染症、T細胞性悪性腫瘍、自己免疫疾患および炎症性障害を治療する際に有用である(例えば、V.L.Schramm,Biochimica et Biophysica Acta,1587(2002)107−117を参照されたい)。これらの類似体は、臓器移植における免疫抑制のためにも有用である。
【0003】
5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)および5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼ(MTAN)の強力な阻害剤である関連ヌクレオシド類似体は
(a)抗菌化合物として、およびクオラムセンシング経路の生成を減少させることによって細菌感染症の毒性を低下させ;
(b)赤血球に感染するマラリアなどの寄生虫感染症を治療するための薬剤として(例えば、G.A.Kicskaら、J.Biol.Chem.,277(2002)3226−3231を参照されたい);および
(c)抗腫瘍薬として、場合によってはメトトレキセートまたはアザセリンとの併用療法において、
有用である。
【0004】
本出願人らは、アザ−糖部分に直接的に共有結合したデアザプリンに基づいて、イミュシリンと呼ばれるクラスのこのような酵素の強力な阻害剤を以前に開示している(米国特許第5,985,848号および第6,066,722号、「Inhibitors of Nucleoside Metabolism(ヌクレオシド代謝の阻害剤)」;および国際公開公報第02/19371号、「Nucleoside Metabolism Inhibitors(ヌクレオシド代謝阻害剤)」)。
【0005】
上記のヌクレオシドホスホリラーゼおよびヌクレオシダーゼの強力な阻害剤である新規および改良されたヌクレオシド類似体を探索して、本出願人らはさらにまたこれらのヌクレオシドホスホリラーゼおよびヒドロラーゼの強力な阻害剤である新規クラスの化合物もまた見いだした(国際特許出願第PCT/NZ03/00186号、「Inhibitors of Nucleoside Phosphorylases and Nucleosidases(ヌクレオシドホスホリラーゼ及びヌクレオシダーゼの阻害剤)」)。
【0006】
そのようなヌクレオシド類似体の製造は、多段階式化学合成によって行われる。その結果、各合成に必要とされる時間および費用は相当なものになり得る。このため、この新規クラスの化合物を製造する、より効率的かつ費用において効果的な方法が必要である。
【0007】
マンニッヒ(Mannich)反応は、3種の構成要素、つまりアミン、ホルムアルデヒドおよび例えばインドールなどの複素環式芳香族化合物などの活性水素原子を備える化合物間の縮合反応である(B.S.Furniss,A.J.Hannaford,V.Rogers,P.W.G.SmithおよびA.R.Tatchellによって改訂された「Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry,第4版」、812−814頁、Longmans,ロンドン、1978年)。
【0008】
マンニッヒ反応は、メチレン基を介して脂肪族アミンおよび脂環式アミンへ結合された9−デアザプリン成分を組み込んでいる化合物を組み立てるために使用されている(G.A.Modnikovaら、「Pyrrolo[3,2−d]pyrimidines.III.7−Aminomethyl−substituted pyrrolo[3,2−d]pyrimidines」、 Khim.−farm.Zh.,1983,352−356(英訳版))。メチレン基を介して環状2級アミンへ結合されたピリミジン成分を組み込んでいる化合物もまたマンニッヒ反応を用いて組み立てられている。[V.V.Filichev and E.B.Pedersen、「Synthesis of 1’−aza−C−nucleosides from (3R,4R)−4−(hydroxymethyl)pyrrolidin−3−ol」、 Tetrahedron,57(2001)9163−9168]。
【0009】
本出願人らは、現在ではマンニッヒ反応を使用するとメチレン基を介して環状2級アミンへ結合した9−デアザプリンまたは8−アザ−9−デアザプリン成分(またはそれらの2−アザ−類似体)を組み込んでいる化合物を製造できることを見いだした。これらの化合物は、国際特許出願第PCT/NZ03/00186号には、ヌクレオシドホスホリラーゼおよびヌクレオシダーゼの強力な阻害剤、または潜在的に強力な阻害剤であると記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため本発明の目的は、これらの化合物を製造する方法を提供すること、または少なくとも有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明は式(I)
【化1】

(式中、
Vは、CHおよびNHから選択され、かつWはNRである;または
VはNRであり、かつWはCHおよびNHから選択される;
XはCHおよびRまたはS立体配置のCHOHから選択されるが、WがNHおよびNRから選択される場合は、XはCHである;
Yは水素、ハロゲンおよびヒドロキシから選択されるが、VがNHおよびNRから選択される場合は、Yは水素である;
Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、スルホネート脱離基、SQ、OQおよびQから選択され、このときQは置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;および
は式(II)
【化2】

(式中、
AはN、CHおよびCRから選択され、このときRはハロゲン、置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール、OH、NH、NHR、NRおよびSRから選択され、このときR、RおよびRはそれぞれ置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;
BはOH、NH、NHR、SH、水素およびハロゲンから選択され、このときRは置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;
DはOH、NH、NHR、水素、ハロゲンおよびSCHから選択され、このときRは置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;および
EはNおよびCHから選択される)
のラジカルである)
の化合物を製造方法であって;
式(III)
【化3】

(式中、
VはCHおよびNHから選択され、かつWはNHである;または
VはNHであり、かつWはCHおよびNHから選択される;
XはCHおよびRまたはS立体配置のCHOHから選択されるが、WがNHである場合は、XはCHである;
Yは水素、ハロゲンおよびヒドロキシから選択されるが、VがNHである場合は、Yは水素である;および
Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、スルホネート脱離基、SQ、OQおよびQから選択され、このときQは置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である)の化合物と;
式(IV)
【化4】

(式中、A、B、D、およびEは先に定義したとおりである)
の化合物と
ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物と
を反応させるステップを含む方法を提供する。
【0012】
好ましくは、Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、SQまたはOQであり、このときQは置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である。さらにAはCHであることが好ましい。さらにまたYはHであることが好ましい。
【0013】
好ましくは、WはNRであり、VはCHであり、およびXはCHである。さらに、Rは、AはCHであり、かつEはNである請求項1で定義した式(II)のラジカルであることが好ましい。
【0014】
さらにまたDはHまたはNHであることが好ましい。さらに、BはNH、OHまたはClであることが好ましい。
【0015】
本発明の好ましい方法には、式(I)の化合物中のZがメタンスルホネート、p−トルエンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネートである方法が含まれる。最も好ましくは、Zはメタンスルホネートである。
【0016】
本発明の好ましい方法には、さらにまた式(III)および(IV)の化合物がホルムアルデヒドと反応する方法が含まれる。あるいは、式(III)および(IV)の化合物がパラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド等価物と反応するのが好ましい。
【0017】
本発明のより好ましい方法には、式(I)の化合物が:
(3R,4R)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(ベンジルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(4−クロロフェニルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(6−クロロ−9−デアザプリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メタンスルホニル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(エチルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(ブチルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−(4−フルオロフェニルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−ピリジルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メトキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−4−(ベンジルオキシメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(ブチルチオメチル)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−6−クロロ−プリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン;または
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン、である方法が含まれる。
【0018】
本発明はさらに、請求項1による方法によって製造された式(I)の化合物も提供する。
【0019】
1つの実施形態では、本発明は請求項1で定義した式(I)の化合物を製造する方法であって:
(i)請求項1で定義した式(III)の化合物と請求項1で定義した式(IV)の化合物およびホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物とを反応させるステップであって、このとき式(III)の化合物のX、W、X、YおよびZのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護されるステップと;
(ii)式(I)の化合物を得るためにこの1つ以上の保護基を除去するステップと、
を含む方法を提供する。
【0020】
また別の実施形態では、本発明は請求項1で定義した式(I)の化合物を製造する方法であって:
(i)請求項1で定義した式(III)の化合物と請求項1で定義した式(IV)の化合物およびホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物とを反応させるステップであって、このとき式(IV)の化合物のA、B、DおよびEのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護されるステップと;
(ii)式(I)の化合物を得るためにこの1つ以上の保護基を除去するステップと、
を含む方法を提供する。
【0021】
さらにまた別の実施形態では、本発明は請求項1で定義した式(I)の化合物を製造する方法であって:
(i)請求項1で定義した式(III)の化合物と請求項1で定義した式(IV)の化合物およびホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物とを反応させるステップであって、このとき式(III)の化合物のV、W、X、YおよびZのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護され、および式(IV)の化合物のA、B、DおよびEのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護されるステップと;
(ii)式(I)の化合物を得るためにこの1つ以上の保護基を除去するステップと、
を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、PNP、PPRT、MTAN、MTAPおよび/またはヌクレオシドヒドロラーゼ(NH)の強力な阻害剤である化合物への有用な合成経路を提供する。そのような化合物は、寄生虫感染症、T細胞性悪性腫瘍、自己免疫疾患および炎症性障害の治療に利用することができる。これらの化合物は、さらにまた抗菌剤として、抗腫瘍薬として、または寄生虫感染症を治療するための薬剤としても使用できる。
【0023】
式(I)の化合物へのこれまでの合成経路は、長時間を要し、多額の費用がかかっていた。これとは対照的に、本発明の合成はこの有用なクラスの化合物への容易な経路である。この合成方法は、マンニッヒ反応を用いて9−デアザプリンまたは8−アザ−9−デアザプリン成分(またはそれらの2−アザ−類似体)を環状2級アミンへ結合させるステップを含んでいる。
【0024】
本出願人らはこのため、式(I)の所望の化合物が有益にも一ステップ合成法により良好な収率で製造されることを見いだした。
【0025】
Bおよび/またはDがヒドロキシ基である式(I)の化合物の表示は対応するアミドのエノール型の互変異性形であり、これは、ほとんどがアミド形で存在することは理解される。エノール型の互変異性の表示を使用すると、より少数の構造式で本発明の化合物を表すことが容易に可能になる。
【0026】
同様に、Bおよび/またはDがチオール基である式(I)の化合物の表示は対応するチオアミドのチオエノール型の互変異性形であり、ほとんどがチオアミド形で存在することは理解される。チオエノール型の互変異性の表示を使用すると、より少数の構造式で本発明の化合物を表すことが容易に可能になる。
【0027】
本明細書で使用する用語「スルホネート脱離基」は、メタンスルホネートまたはベンゼンスルホネートなどのアルキルスルホネートまたはアリールスルホネート、またはブロモベンゼンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネートまたはp−トルエンスルホネートなどのそれらの置換形を意味する。
【0028】
本明細書で使用する用語「保護基」は、有機官能基を選択的に保護する基であって、この官能基の化学的性質を一時的に遮蔽し、この官能基に影響を及ぼさずにこの分子内の他の部位を操作することを可能にする基を意味する。適切な保護基は当業者には既知であり、例えばProtective Groups in Organic Synthesis(3rd Ed.),T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons Inc(1999)に記載されている。
【0029】
上記で定義した式(III)の化合物は、国際特許出願第PCT/NZ03/00186号およびその中で言及された参考文献に記載されたような既知の方法によって製造できる。選択した式(III)の化合物の製造方法は、本明細書に記載されている。
【0030】
上記で定義した式(IV)の化合物は、既知の方法によって製造できる。特に、下記に示す化合物1および2である化合物3H,5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(9−デアザヒポキサンチン)および2−アミノ−3H,5H−ピロロ[3,2d]ピリミジン−4−オン(9−デアザグアニン)を製造方法は、国際特許出願第PCT/NZ00/00048号、「Process for Preparing Inhibitors of Nucleoside Metabolism and Substrates(ヌクレオシド代謝及び基質の阻害剤の製造方法)」およびR.H.Furneaux and P.C.Tyler,J.Org.Chem.,64(1999)8411−8412に記載されている。さらに、9−デアザアデニン(3)は、9−デアザヒポキサンチン(1)をPOClで処理し、次にエタノール性アンモニアで処理することにより製造できる。
【0031】
【化5】

【0032】
本出願人の新規方法の1つの長所は、アミン成分も複素環成分もどちらも、反応化学に直接的には関与していない官能基上に保護基を有する必要がない点である。それでもなお、時には式(III)および/または式(IV)の化合物の保護形をこの反応における構成要素として利用するのが有益な場合がある。
【0033】
式(III)の化合物の適切な保護形は、米国特許第5,985,848号および第6,066,722号、「Inhibitors of Nucleoside Metabolism(ヌクレオシド代謝の阻害剤)」ならびに国際公開公報第02/19371号、「Nucleoside Metabolism Inhibitors(ヌクレオシド代謝阻害剤)」に記載されている。式(IV)の化合物の適切な保護形は9−デアザプリンまたは8−アザ−9−デアザプリン成分(またはそれらの2−アザ−類似体)の第9位でプロトンを有することが不可欠である。
【0034】
式(IV)の化合物の適切な保護形は国際特許出願第PCT/NZ03/00186号、「Inhibitors of Nucleoside Phosphorylases and Nucleosidases(ヌクレオシドホスホリラーゼおよびヌクレオシダーゼの阻害剤)」に記載されている。式(III)の化合物の保護形が非保護環式アミノ基を有することが不可欠である。
【実施例】
【0035】
以下の実施例では本発明を詳細に例示する。本発明がこれらの実施例に限定されないことを理解されたい。
【0036】
(実施例1) マンニッヒ反応−一般的方法
【化6】

【0037】
スキーム1に示したマンニッヒ反応を用いて式(3)の化合物を製造するための一般的方法
式(1)の塩酸ピロリジン(1.0モル当量;他に規定していない限り表1に「アミン反応物」として列挙されている)および酢酸ナトリウム(1.0モル当量)を水および1,4−ジオキサン(4:1 v/v、1mmol当たり2mL)中に溶解させ、この溶液にホルムアルデヒド水溶液(1.0−1.5モル当量)および式(2)の置換9−デアザプリン(0.8−1.5モル当量)を添加した。この反応液を式1に示した温度および時間で攪拌した。シリカゲル(1を1mmol当たり1.0g)を添加し、この混合液を乾燥するまで蒸発させた。溶離液としてCHCl:MeOH:NHOH(95:5:1→80:20:1 v/v/v)を用いる勾配溶離を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによる精製は、遊離塩基または部分酢酸塩として表1に記載した式(3)の化合物を生成した。この化合物を過剰な濃塩酸の添加および蒸発によって塩酸塩に変換させた[Evans,G.B.;Furneaux,R.H.;Tyler,P.C.;Schramm,V.L.Org.Lett.2003,5,3639−3640]。式(1)の塩酸ピロリジンの製造方法は製造例に例示した。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例1.01
(3R,4R)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン(4)
9−デアザヒポキサンチン(Furneaux and Tyler,J.Org.Chem.,1999,64,8411−8412)および(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン塩酸塩(5)(Evansら、J.Med.Chem.,2003,46,5271−5276)から開始して、マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがうと、酢酸塩として化合物4が得られた。塩酸塩への変換ならびにHおよび13C NMRスペクトル解析後に、この化合物は以前に報告された化合物(Evansら、J.Med.Chem.2003,46,5271−5276)とあらゆる点に関して同一であることが見いだされた。
【0040】
実施例1.02
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン(6)
9−デアザ−アデニン(製造例3.01)および(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン(5)から開始して、マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって酢酸塩として化合物6を得た。
1H NMR (d4-MeOH) δ 8.20 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 4.27 (s, 1H), 4.22 (quintet, J = 3.0 Hz, 1H), 3.59 (m, 2H), 3.46 (dd, J = 11.1, 8.3 Hz, 1H), 3.26 (dd, J = 11.4, 5.7 Hz, 1H), 3.11 (dd, J = 11.4, 3.0 Hz, 1H), 2.95 (dd, J = 11.2, 6.8 Hz, 1H), 2.37 (brs, 1H), 1.82 (s, 3H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.9, 151.9, 147.1, 132.0, 115.8, 108.2, 73.6, 63.1, 61.9, 56.0, 50.8, 49.5, 23.7. HRMS (MH+) 計算値 C12H18N5O2: 264.1461. 測定値 264.1457.
【0041】
実施例1.03
(3R,4S)−4−(ベンジルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(7)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがうと、酢酸塩として化合物7が得られた。この酢酸塩をイオン交換クロマトグラフィーによって遊離塩基へ変換した。
1H NMR (d4-MeOH) 8.17 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.26-7.16 (m, 5H), 3.93-3.90 (m, 1H), 3.83-3.74 (m, 2H), 3.68 (s, 2H), 3.03-2.97 (m, 1H), 2.80 (dd, J= 10.2, 6.4 Hz, 1H), 2.66-2.58 (m, 2H), 2.38 (dd, J = 12.5, 8.9 Hz, 1H), 2.30 (dd, J = 9.5, 7.2 Hz, 1H), 2.20-2.14 (m, 1H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.5, 151.4, 147.4, 140.4, 130.4, 130.4, 129.8, 115.5, 112.9, 77.3, 62.7, 59.2, 49.3, 48.6, 37.5, 35.6. HRMS (MH+) 計算値 C19H24N5OS: 370.1702. 測定値 370.1694.
【0042】
実施例1.04
(3R,4S)−4−(4−クロロフェニルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(8)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって酢酸塩として化合物8を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.25 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.35-7.23 (m, 5H), 4.54 (s, 2H), 4.30 (m, 1H), 3.74 (dd, J = 11.9, 7.9 Hz, 1H), 3.59 (dd, J = 12.2, 5.6 Hz, 1H), 3.40-3.15 (m, 4H), 2.89 (dd, J = 13.5, 9.1 Hz, 1H), 2.47 (brs, 1H), 1.98 (s, 3H). 13C NMR (d4-MeOH) 153.0, 151.8, 146.1, 135.7, 134.0, 133.2, 132.2, 130.7, 115.7, 105.5, 74.6, 60.4, 57.3, 49.2, 47.7, 36.1, 23.0. HRMS (MH+) 計算値 C18H21ClN5OS: 390.1155. 測定値 390.1264.
【0043】
実施例1.05
(3R,4R)−1−[(6−クロロ−9−デアザプリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン(9)
6−クロロ−9−デアザプリン(K.Imai,Chem.Pharm.Bull.,1964,12,1030)および(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジンから開始して、マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって酢酸塩として化合物9を得た。
1H NMR (D2O) 8.34 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 4.48 (s, 2H), 4.31 (m, 1H), 3.68 (dd, J = 12.1, 8.3 Hz, 1H), 3.53 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 3.45 (dd, J = 12.6, 5.5 Hz, 1H), 3.32 (dd, J = 12.6, 2.5 Hz, 1H), 3.13 (dd, J = 12.0, 7.4 Hz, 1H), 2.40 (brs, 1H), 1.82 (s, 3H). 13C NMR (d4-MeOH) 149.7, 148.6, 143.4, 137.6, 124.8, 104.5, 71.3, 60.7, 59.8, 54.4, 48.0, 47.8, 23.5. HRMS (MH+) 計算値 C12H16ClN4O2: 283.0962. 測定値 283.0973.
【0044】
実施例1.06
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メタンスルホニル)−ピロリジン(10)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物10を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.17 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 4.30-3.82 (m, 5H), 3.10-3.00 (m, 1H), 3.06 (s, 3H), 2.94 (dd, J = 10.3, 6.3 Hz, 1H), 2.71 (dd, J = 10.3, 4.1 Hz, 1H), 2.53 (dd, J = 10.1, 6.7 Hz, 1H), 2.43-2.34 (m, 1H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.6, 151.5, 147.2, 130.7, 115.6, 112.0, 73.8, 71.8, 62.4, 56.0, 49.4, 49.1, 37.5.
【0045】
実施例1.07
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン(11)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって酢酸塩として化合物11を得た。塩酸塩への変換ならびにHおよび13C NMRスペクトル解析後に、この化合物は既に報告された化合物(Evansら、J.Med.Chem.2003,46,5271−5276)とあらゆる点に関して同一であることが見いだされた。
【0046】
実施例1.08
(3R,4S)−4−(エチルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(12)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物12を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.16 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 4.00-3.82 (m, 3H), 3.12 (dd, J = 9.9, 7.9 Hz, 1H), 2.92 (dd, J = 10.5, 6.3 Hz, 1H), 2.76-2.68 (m, 2H), 2.55-2.41 (m, 4H), 2.25-2.15 (m, 1H), 1.21 (t, J = 7.4 Hz, 3H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.5, 151.5, 147.3, 130.7, 115.6, 112.1, 77.0, 62.4, 59.1, 49.4, 48.8, 35.5, 27.2, 15.5. HRMS (MH+) 計算値 C14H22N5OS: 308.1540. 測定値 308.1535.
【0047】
実施例1.09
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン(13)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物13を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.17 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 4.00-3.79 (m, 3H), 3.08 (dd, J = 9.8, 7.9 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 10.3, 6.4 Hz, 1H), 2.72-2.62 (m, 2H), 2.50-2.38 (m, 4H), 2.22-2.12 (m, 1H), 1.55 (sextet, J = 7.3 Hz, 2H), 0.95 (t, J = 7.3 Hz, 3H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.5, 151.4, 147.4, 130.5, 115.6, 112.7, 77.2, 62.6, 59.2, 49.4, 49.0, 36.1, 35.6, 24.3, 14.1. HRMS (MH+) 計算値 C15H24N5OS: 322.1696. 測定値 322.1709.
【0048】
実施例1.10
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン(14)
溶媒として20%の1,4−ジオキサン水溶液および0.9モル当量の9−デアザアデニンを用いてマンニッヒ反応の一般的方法(上記)の変法を使用すると、CHCl:MeOH:NHOH(8:1.8:0.2)を用いて溶離させるシリカカラムクロマトグラフィー後に粗標題化合物14(386mg、80%)が得られた。CHCl:NH(7N)のMeOH溶液を用いて溶離させるシリカカラムクロマトグラフィーによって残留不純物を除去すると、標題化合物14(183mg、38%)を得ることができた。
1H NMR (MeOH-d4): δ ppm: 8.16 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 3.99-3.94 (m, 1H), 3.82 (dd, J = 18.7, 13.4 Hz, 1H), 3.04 (dd, J = 9.7, 7.9 Hz, 1H), 2.95-2.82 (m, 2H), 2.75 (dd, J = 12.5, 6.0 Hz, 1H), 2.66 (dd, J = 10.3, 4.2 Hz, 1H), 2.50 (dd, J = 12.5, 9.1 Hz, 1H), 2.38 (dd, J = 9.7, 7.1 Hz, 1H), 2.21-2.10 (m, 1H), 1.23, 1.22 (2s, 3H each). 13C NMR (MeOH-d4): δ ppm: 152.48, 151.38, 147.40, 130.45, 115.54, 112.90, 77.29, 62.66, 59.26, 49.32, 49.09, 36.49, 34.66, 24.19.
【0049】
実施例1.11
(3R,4S)−4−(ブチルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(15)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物15を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.16 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 3.99-3.79 (m, 3H), 3.08 (dd, J = 9.7, 7.9 Hz, 1H), 2.87 (dd, J = 10.3, 6.4 Hz, 1H), 2.75-2.69 (m, 2H), 2.51-2.38 (m, 4H), 2.22-2.12 (m, 1H), 1.55-1.32 (m, 4H), 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 3H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.5, 151.4, 147.4, 130.5, 115.6, 112.6, 77.1, 62.6, 59.2, 49.4, 49.0, 36.1, 33.3, 33.2, 23.3, 14.4. HRMS (MH+) 計算値 C16H26N5OS: 336.1853. 測定値 336.1850.
【0050】
実施例1.12
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン(16)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物16を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.22 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.33-7.15 (m, 2H), 4.43 (s, 2H), 4.26 (m, 1H), 3.62 (dd, J = 11.7, 7.9 Hz,, 2H), 3.48 (dd, J = 12.0, 5.6 Hz, 1H), 3.25 (t, dd, J = 12.0, 3.3 Hz, 1H), 3.15 (m, 2H), 2.85 (dd, J = 13.5, 9.1 Hz, 1H), 2.43 (m, 1H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.9, 152.1, 146.8, 136.8, 132.7, 131.4, 130.6, 128.1, 115.8, 106.3, 74.9, 60.6, 57.4, 49.7, 47.7, 36.3. HRMS (MH+) 計算値 C18H25N5OS: 356.1545. 測定値 356.1542.
【0051】
実施例1.13
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−(4−フルオロフェニルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン(17)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物17を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.16 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.40-7.30 (m, 2H), 7.00-6.90 (m, 2H), 4.02-3.97 (m, 1H), 3.86-3.75 (m, 2H), 3.11 (dd, J = 12.9, 5.9 Hz, 1H), 3.00 (t, J = 8.7 Hz, 1H), 2.90-2.75 (m, 2H), 2.65-2.59 (m, 1H), 2.41-2.32 (m, 1H), 2.20-2.10 (m, 1H). 13C NMR (d4-MeOH) 165.5, 162.0, 152.5, 151.4, 147.4, 134.1, 134.0, 133.1, 130.4, 117.4, 117.1, 115.5, 112.9, 77.2, 62.7, 59.0, 49.3, 48.8, 39.1. HRMS (MH+) 計算値 C18H21N5OFS: 374.1445. 測定値 374.1438.
【0052】
実施例1.14
(3R,4S)−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(18)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物18を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.16 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.25-7.05 (m, 4H), 4.01-3.97 (m, 1H), 3.87-3.76 (m, 2H), 3.18 (dd, J = 12.9, 5.9 Hz, 1H), 2.99 (dd, J = 9.8, 7.9 Hz, 1H), 2.94-2.86 (m, 2H), 2.64 (dd, J = 10.2, 4.3 1H), 2.41 (dd, J = 9.9, 7.0 Hz, 1H), 2.26-2.15 (m, 1H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.5, 151.4, 147.4, 140.7, 136.1, 131.6, 130.4, 129.8, 128.6, 127.4, 115.5, 112.8, 77.1, 62.6, 58.9, 49.3, 48.7, 37.4. HRMS (MH+) 計算値 C18H21N5OClS: 390.1150. 測定値 390.1142.
【0053】
実施例1.15
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシルチオメチル)−ピロリジン(19)
溶媒として20%の1,4−ジオキサン水溶液および0.9モル当量の9−デアザアデニンを用いてマンニッヒ反応の一般的方法(上記)の変法を使用すると、CHCl:MeOH:NHOH(8:1.8:0.2 v/v/v)を用いて溶離させるシリカカラムクロマトグラフィー後に粗標題化合物19(333mg、79%)が得られた。CHCl:NH(7N)のMeOH溶液(9:1 v/v)を用いて溶離させるシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって残留不純物を除去すると、標題化合物19(144mg、34%)を得ることができた。
1H NMR (MeOH-d4): δ ppm: 8.15 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 3.97-3.92 (m, 1H), 3.82 (dd, J = 19.1, 13.4 Hz, 2H), 3.06-3.00 (m, 1H), 2.84 (dd, J = 10.3, 6.4 Hz, 1H), 2.75 (dd, J = 12.5, 5.9 Hz, 1H), 2.67-2.58 (m, 2H), 2.48 (dd, J = 12.5, 9.3 Hz, 1H), 2.37 (dd, J = 9.8, 7.2 Hz, 1H), 2.20-2.08 (m, 1H), 1.94-1.92 (m, 2H), 1.74-1.72 (m, 2H), 1.60-1.58 (m, 1H), 1.36-1.19 (m, 5H). 13C NMR (MeOH-d4): δ ppm: 152.48, 151.35, 147.32, 130.50, 115.48, 112.74, 77.21, 62.62, 59.18, 49.38, 49.26, 45.10, 35.27, 35.20, 34.18, 27.48, 27.39.
【0054】
実施例1.16
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−ピリジルチオメチル)−ピロリジン(20)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物20を得た。
1H NMR (D2O) 8.43 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.77 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.52-4.47 (m, 1H), 3.94 (dd, J= 12.1, 8.0 Hz, 1H), 3.67 (dd, J= 12.6, 5.7 Hz, 1H), 3.50-3.15 (m, 4H), 2.78-2.64 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 163.9, 150.2, 144.6, 139.5, 135.4, 122.8, 113.2, 102.7, 73.0, 59.0, 55.9, 48.1, 44.4, 31.5. HRMS (MH+) 計算値 C17H21N6OS: 357.1492. 測定値 357.1509.
【0055】
実施例1.17
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メトキシメチル)−ピロリジン(21)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物21を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.19 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 4.18-4.05 (m, 3H), 3.40-2.28 (m, 3H), 3.30 (s, 3H), 3.10 (dd, J = 11.0, 5.7 Hz, 1H), 2.95 (dd, J = 11.0, 3.3 Hz, 1H), 2.77 (dd, J = 10.8, 6.7 Hz, 1H), 2.41-2.29 (m, 1H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.7, 151.8, 147.2, 131.6, 115.7, 109.5, 74.3, 74.1, 62.2, 59.6, 56.5, 49.4, 49.0. HRMS (MH+) 計算値 C13H20N5O2: 278.1612. 測定値 278.1626.
【0056】
実施例1.18
(3R,4R)−4−(ベンジルオキシメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(22)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物22を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 8.17 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.30-7.20 (m, 5H), 4.46 (bs, 2H), 4.10-4.00 (m, 3H), 3.55-3.38 (m, 2H), 3.23-3.18 (m, 1H), 2.98 (dd, J = 10.7, 5.8 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 10.7, 3.4 Hz, 1H), 2.68 (dd, J = 10.4, 6.9 Hz, 1H), 2.38-2.30 (m, 1H). 13C NMR (d4-MeOH) 152.6, 151.7, 147.2, 139.9, 131.3, 129.8, 129.3, 129.1, 115.6, 110.4, 74.5, 74.3, 71.9, 62.3, 56.6, 49.4, 49.0.
【0057】
実施例1.19
(3R,4R)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン(23)
(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン塩酸塩(5)(154mg、1.0mmol)および酢酸ナトリウム(82mg、1.0mmol)を水(2mL)に溶解させ、この溶液にホルムアルデヒド水溶液(82μL、1.0mmol)および9−デアザグアニン(Furneaux and Tyler,J.Org.Chem.,1999,64,8411−8412)(120mg、0.8mmol)を添加した。この反応液を95℃で12時間攪拌した。シリカゲル(1.0g)を添加し、この混合液を乾燥するまで蒸発させた。溶離剤としてCHCl:MeOH:NHOH(5:4:1 v/v/v)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによる精製で酢酸塩として化合物23が得られた。塩酸塩への変換ならびにHおよび13C NMRスペクトル解析後に、この化合物は既に報告された化合物(Evansら、J.Med.Chem.2003,46,5271−5276)とあらゆる点に関して同一であることが見いだされた。
【0058】
実施例1.20
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン(24)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物24を得た。
1H NMR (d4-MeOH/D2O) 7.99 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 4.06-3.98 (m, 1H), 3.92-3.80 (m, 2H), 3.06 (dd, J = 9.8, 8.0 Hz, 1H), 2.90 (dd, J = 10.5, 6.5 Hz, 1H), 2.79-2.65 (m, 2H), 2.52-2.38 (m, 4H), 2.22-2.15 (m, 1H), 1.57 (sextet, J= 7.3 Hz, 2H), 0.95 (t, J = 7.3 Hz, 3H). 13C NMR (d4-MeOH) 145.7, 143.7, 131.0, 113.6, 77.0, 62.1, 58.6, 48.9, 48.5, 35.9, 35.6, 24.2, 14.2.
【0059】
実施例1.21
(3R,4S)−4−(ブチルチオメチル)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(25)
マンニッヒ反応の一般的方法(上記)にしたがって化合物25を得た。
1H NMR (d4-MeOH/CDCl3) 7.86 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 4.00-3.92 (m, 1H), 3.82-3.75 (m, 2H), 3.07 (dd, J = 9.8, 8.0 Hz, 1H), 2.85-2.70 (m, 3H), 2.55-2.42 (m, 3H), 2.37-2.15 (m, 2H), 1.60-1.32 (m, 4H), 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 3H). 13C NMR (d4-MeOH/D2O) 156.6, 145.6, 142.9, 129.9, 119.6, 114.7, 77.4, 63.0, 59.6, 49.4, 49.1, 36.6, 33.6, 33.3, 23.5, 14.9. HRMS (MH+) 計算値 C16H25N4O2S: 337.1693. 測定値 337.1684.
【0060】
実施例1.22
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−6−クロロ−プリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)−ピロリジン(26)
0.9モル当量の6−クロロ−9−デアザプリン(K.Imai,Chem.Pharm.Bull.,1964,12,1030)を用いてマンニッヒ反応の一般的方法(上記)の変法を使用すると標題化合物26が得られた(スキーム2)。標準方法と比較して、反応混合物は溶液を形成せずに褐色スラリーを形成した。このスラリーをシリカゲル上に予備吸収させる前に1,4−ジオキサンを用いて希釈した。CHCl:MeOH(4:1 v/v)、次にCHCl:MeOH:NHOH(5:4.5:0.5 v/v/v)を用いて溶離させるカラムクロマトグラフィーによって26が収率38%で得られた。
1H NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 8.71 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.17 (s, 5H), 4.55 (s, 1H), 4.18 (m, 1H), 3.56 (m, 2H), 3.31 (m, 1H), 3.04 (dd, J = 11.6, 7.7 Hz, 1H), 2.64 (m, 2H), 2.21 (m, 1H), 1.87 (m, 1H), 1.61 (m, 1H). 13C NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 151.62, 151.35, 145.02, 142.99, 138.11, 129.84, 129.82, 127.46, 126.81, 107.73, 75.68, 61.00, 58.48, 49.51, 47.56, 35.26, 34.88.
【0061】
【化7】

【0062】
実施例1.23
(3R,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン(27)
0.9モル当量の9−デアザアデニンを用いてマンニッヒ反応の一般的方法(上記)の変法を使用すると、CHCl:MeOH:NHOH(8:1.8:0.2 v/v/v)を用いて溶離させるシリカカラムクロマトグラフィー後に粗標題化合物27(136mg、73%)を得た。MeOH:NHOH(4:1 v/v)を用いて溶離させるシリカカラムクロマトグラフィーによって残留不純物を除去すると、27を収率31%で得ることができた。
NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 8.18 (s,1H), 7.51 (s,1H), 3.91-3.85 (m, 3H), 3.10 (dd, J = 9.6, 8.0 Hz, 1H), 2.82-2.72 (m, 2H), 2.22 (dd, J = 9.6, 8.0 Hz, 1H), 2.04-1.95 (m, 1H), 1.56-1.44 (m, 1H), 1.39-1.21 (m, 3H), 0.92- 0.87 (m, 3H). 13C NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 152.52, 151.45, 147.37, 130.59, 115.55, 112.50, 77.94, 62.63, 59.94, 49.55, 48.59, 36.89, 22.67, 14.91.
【0063】
実施例1.24
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン(28)
0.9モル当量の9−デアザヒポキサンチンを用いてマンニッヒ反応の一般的方法(上記)の変法を使用すると、CHCl:MeOH:NHOH(5:4.5:0.5 v/v/v)を用いて溶離させるシリカカラムクロマトグラフィー後に粗標題化合物28(90mg、61%)が得られた。CHCl:MeOH:NHOH(8:1.8:0.2 v/v/v)を用いて溶離させるシリカカラムクロマトグラフィーによって残留不純物(9−デアザヒポキサンチン)を除去すると、28を収率36%で得ることができた。
NMR (300 MHz, MeOH-d4, 約30% CDCl3): δ ppm: 7.86 (s,1H), 7.39 (s, 1H), 3.89-3.76 (m, 3H), 3.09 (dd, J = 9.5, 7.9 Hz, 1H), 2.79-2.69 (m, 2H), 2.18-2.12 (m, 1H), 2.05-1.96 (m, 1H), 1.55-1.46 (m, 1H), 1.41-1.23 (m, 3H), 0.94-0.89 (m, 3H). 13C NMR (300 MHz, MeOH-d4, 約30% CDCl3): δ ppm: 145.59, 142.99, 129.93, 114.50, 78.14, 62.95, 60.24, 49.78, 48.94, 37.07, 22.80, 15.29.
【0064】
製造例1
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(アルキル−、アラルキル−、およびアリール−チオメチル)ピロリジンの合成方法
一般的予備方法。4−置換−4−チオピロリジンは、各製造例について記載した改変および適切なチオール酸ナトリウムを用いること以外は、化合物32についての製造例1.01に詳述した方法に実質的にしたがって製造した。チオール酸ナトリウムを直接入手できない場合は、0℃でNaH(2.85mmol)のDMF攪拌混合液(5mL)を適切なチオール(2.85mmol)で処理することによって予備生成した。この混合液を10分間攪拌した後、メシレート溶液(450mg、1.53mmol)をDMF溶液(5mL)として添加した後、この混合液をTLCによってメシレートの完全消費が観察されるまで(0.5−4時間)室温で攪拌した。
【0065】
製造例1.01
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン(32)、スキーム3。
メタンスルホニルクロリド(0.950mL、12.3mmol)を(3R,4R)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン(29)(Evansら、J.Med.Chem.,2003,46,5271−5276)(2.16g、9.94mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.65mL、15.0mmol)のDCM溶液(40mL)に添加し、5分間にわたり−78℃へ冷却した。−78℃で40分間攪拌した後、2M塩酸水溶液を添加し、有機相を分離した。DCM(x2)を用いて水相を抽出した。あわせた有機抽出物はNaHCO水溶液および次に食塩液を用いて洗浄し、乾燥した(MgSO)。通常のプロセシングおよびクロマトグラフィーによって無色ガラスとしてメシレート30(1.99g、6.74mmol、68%)が得られた。C1121NOSNaに対するHRMS(MH)計算値:318.0982。実測値:318.0979。メシレート30(450mg、1.53mmol)のDMF溶液(5mL)をナトリウムチオメトキシド(200mg、2.85mmol)のDMF攪拌溶液(3mL)に添加し、この混合液を1時間にわたり攪拌した。トルエン(50mL)およびHO(50mL)を添加して振とうし、相を分離させ、有機相を乾燥し(MgSO)、および溶媒を減圧下で除去した。10−50% EtOAc/石油エーテルを用いて溶離するシリカクロマトグラフィーによって粗生成物を精製すると中間体31(210mg、0.849mmol、55%)が得られた。この物質のメタノール溶液(3mL)を、濃塩酸(1mL)を用いて処理した。1時間後、この溶液を濃縮して乾燥させると、固体残留物として化合物32(0.830mmol、98%)が得られた。固体残留物をHO(10mL)またはDO(NMRサンプルに対して)中に溶解させ、溶媒を除去した(x3)。
1H NMR (D2O) 4.40 (q, J = 3.1 Hz, 1H), 3.67 (dd, J = 12.0, 6.6 Hz, 1H), 3.50 (dd, J = 12.8, 5.1 Hz, 1H), 3.28 (dd, J = 12.8, 3.0 Hz, 1H), 3.22 (dd, J = 8.7, 3.4 Hz, 1H), 2.73-2.66 (m, 1H), 2.58-2.50 (m, 2H), 2.40-2.30 (m, 2H) 2.13 (s, 3H). 13C NMR (D2O) 73.5, 51.5, 48.6, 45.2, 34.3, 14.9.
【0066】
【化8】

【0067】
製造例1.02
(3R,4S)−3−(エチルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン(33)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(260mg、0.880mmol)を処理して標題化合物33(100mg、0.506mmol、58%)を得た。
1H NMR (D2O) 4.30-4.24 (m, 1H), 3.53 (dd, J = 12.3, 7.2 Hz, 1H), 3.37 (dd, J = 12.8, 5.2 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 12.8, 3.1 Hz, 1H), 3.07 (dd, J = 12.2, 5.7 Hz, 1H), 2.65-2.55 (m, 1H), 2.46 (q, J = 7.4 Hz, 2H), 2.40-2.30 (m, 2H) 1.09 (t, J = 7.4 Hz, 3H). 13C NMR (D2O) 73.6, 51.5, 48.6, 45.6, 31.7, 26.0, 14.4. HRMS (MH+) 計算値 C7H16NOS: 162.0947. 測定値 162.0952.
【0068】
製造例1.03
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン(34)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(264mg、0.894mmol)を処理して34(139mg、0.656mmol、73%)を得た。
1H NMR (D2O) 4.41-4.37 (m, 1H), 3.67 (dd, J = 12.3, 7.2 Hz, 1H), 3.50 (dd, J = 12.8, 5.2 Hz, 1H), 3.27 (dd, J = 12.8, 3.1 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 12.2, 5.6 Hz, 1H), 2.76-2.71 (m, 1H), 2.61-2.50 (m, 4H), 1.59 (sextet, J= 7.3 Hz), 0.95 (t, J = 7.3 Hz, 3H). 13C NMR (D2O) 73.6, 51.5, 48.6, 45.7, 34.1, 32.1, 22.7, 13.1. HRMS (MH+) 計算値 C8H18NOS: 176.1104. 測定値 176.1106.
【0069】
製造例1.04
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン塩酸塩(35)
2−プロパンチオール(0.36mL、3.9mmol)のDMF(10mL)溶液に0℃で60% NaH(145mg、3.6mmol)を添加した。10分間攪拌した後、メシレート30(565mg、1.91mmol)のDMF攪拌溶液(10mL)を添加した。この反応が室温に達するようにしながら攪拌を持続した。完了後、NaHCO水溶液を用いてこの反応を停止し、トルエンを添加し、この反応液を通常とおりに処理すると粗中間体が得られた。これを石油エーテル:EtOAc(4:1→1:1 v/v)を用いて溶離させるシリカクロマトグラフィーにかけると無色シロップ(490mg、97%)として透明な中間体(3R,4S)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジンが得られた。
NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm: 4.18-4.11 (m, 1H), 3.72-3.60 (m, 2H), 3.28-3.18 (m, 1H), 3.13 (dd, J = 11.1, 6.7 Hz, 1H), 2.95 (sept., J = 6.7 Hz, 1H), 2.69-2.50 (m, 2H), 2.33-2.22 (m, 1H), 1.46 (s, 9H), 1.29, 1.27 (s, 3H each). 13C NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm:(回転異性体の遅い変換により、ピークによっては二重になっていることに注意)154.93, 79.97, (75.48, 74.64), (52.81, 52.55), (49.69, 49.42), (46.13, 45.35), 35.71, 32.32, 28.87, 23.73, 23.69.
この物質のMeOH溶液(10mL)を、12N濃塩酸(4mL)を用いて40℃で30分間処理すると粗標題化合物35が得られ、これをマンニッヒ型の反応に直接使用した。
【0070】
製造例1.05
(3R,4S)−4−(ブチルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン(36)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(438mg、1.48mmol)を処理して36(284mg、1.25mmol、84%)を得た。
1H NMR (D2O) 4.40-4.36 (m, 1H), 3.66 (dd, J = 12.3, 7.2 Hz, 1H), 3.48 (dd, J = 12.8, 5.2 Hz, 1H), 3.26 (dd, J = 12.8, 3.1 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 12.2, 5.6 Hz, 1H), 2.76-2.70 (m, 1H), 2.62-2.50 (m, 4H), 1.61-1.51 (m, 2H), 1.40-1.33 (m, 2H), 0.86 (t, J = 7.3 Hz, 3H). 13C NMR (D2O) 73.5, 51.5, 48.6, 45.7, 32.2, 31.7, 31.3, 21.7, 13.3. HRMS (MH+) 計算値 C9H20NOS: 190.1260. 測定値 190.1257.
【0071】
製造例1.06
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン(37)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(300mg、1.00mmol)を処理して37(692mg、0.69mmol)を得た。
1H NMR (D2O) 7.51-7.24 (m, 5H), 4.38-4.34 (m, 1H), 3.56 (dd, J = 12.2, 7.7 Hz, 1H), 3.45 (dd, J = 12.6, 5.2 Hz, 1H), 3.26-3.00 (m, 3H), 2.88 (dd, J= 13.7, 8.3 Hz, 1H), 2.48-2.37 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 134.5, 130.5, 129.9, 127.6, 73.4, 51.5, 48.4, 45.5, 34.3.
【0072】
製造例1.07
(3R,4S)−(4−フルオロフェニルチオメチル)−3−ヒドロキシ−4−ピロリジン(38)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(281mg、0.951mmol)を処理して38(160mg、0.607mmol、64%)を得た。
1H NMR (D2O) 7.49-7.42 (m, 2H), 7.19-7.06 (m, 2H), 4.41-4.36 (m, 1H), 3.60 (dd, J= 12.3, 7.7 Hz, 1H), 3.48 (dd, J= 12.8, 5.2 Hz, 1H), 3.27-3.16 (m, 2H), 3.07 (dd, J = 13.8, 6.9 Hz, 1H), 2.88 (dd, J = 13.8, 8.3 Hz, 1H), 2.45-2.38 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 164.2, 160.9, 133.7, 133.6, 129.4, 116.9, 116.6, 73.3, 51.5, 48.4, 45.5, 35.5. HRMS (MH+) 計算値 C11H15NOSF: 228.0853. 測定値 228.0856.
【0073】
製造例1.08
(3R,4S)−(4−クロロフェニルチオメチル)−3−ヒドロキシ−4−ピロリジン(39)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(245mg、0.83mmol)を処理して39(212mg、0.76mmol、91%)を得た。
1H NMR (d4-MeOH) 7.51-7.39 (m, 2H), 7.35-7.31 (m, 2H), 4.38-4.33 (m, 1H), 3.59 (dd, J= 12.0, 7.6 Hz, 1H), 3.47 (dd, J= 12.4, 4.9 Hz, 1H), 3.28-3.18 (m, 3H), 2.93 (dd, J = 13.6, 9.0 Hz, 1H), 2.49-2.38 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 135.7, 134.1, 132.9, 130.8, 74.8, 52.9, 49.6, 47.5, 35.8.
【0074】
製造例1.09
(3R,4S)−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン(40)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(300mg、1.02mmol)を処理して40(192mg、0.685mmol、67%)を得た。
1H NMR (D2O) 7.33-7.15 (m, 4H), 4.39-4.35 (m, 1H), 3.59 (dd, J = 12.2, 7.7 Hz, 1H), 3.47 (dd, J = 12.7, 5.1 Hz, 1H), 3.28-3.04 (m, 3H), 2.89 (dd, J= 13.7, 8.3 Hz, 1H), 2.49-2.41 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 136.9, 134.7, 131.0, 129.3, 128.1, 127.2, 73.4, 51.5, 48.4, 45.3, 34.0. HRMS (MH+) 計算値 C11H15NOSCl: 244.0557(4). 測定値 244.0556(8).
【0075】
製造例1.10
(3R,4S)−4−(ベンジルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン(41)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(1.10g、3.7mmol)を処理して41(730mg、2.81mmol、76%)を得た。
1H NMR (D2O) 7.40-7.27 (m, 5H), 4.26-4.22 (m, 1H), 3.74 (s, 2H), 3.56 (dd, J = 12.4, 7.2 Hz, 1H), 3.37 (dd, J = 12.8, 5.2 Hz, 1H), 3.21 (dd, J= 12.8, 3.0 Hz, 3H), 2.07 (dd, J= 12.4, 5.5 Hz, 1H), 2.61-2.52 (m, 1H), 2.47-2.34 (m, 2H). 13C NMR (D2O) 138.7, 129.5, 129.3, 127.9, 73.5, 51.5, 48.5, 45.4, 35.9, 31.8. HRMS (MH+) 計算値 C12H18NOS: 224.1109. 測定値 224.1102.
【0076】
製造例1.11
(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−(メトキシメチル)−ピロリジン(42)、スキーム4
ジオール29をスキーム4によって操作すると42が得られた。
1H NMR (D2O) 4.30-4.26 (m, 1H), 3.52-3.28 (m, 4H), 3.22 (s, 3H), 3.15-3.00 (m, 2H), 2.48-2.37 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 72.1, 71.6, 58.8, 52.0, 46.7, 45.7. HRMS (MH+) 計算値 C6H14NO2: 132.1019. 測定値 132.1012.
【0077】
【化9】

【0078】
製造例1.12
(3R,4R)−4−(ベンジルオキシメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン(43)、スキーム4
ジオール29をスキーム4によって操作すると43が得られた。
1H NMR (D2O, 遊離塩基) 7.32-7.15 (m, 5H), 4.36 (s, 2H), 3.92-3.85 (m, 1H), 3.35 (dd, J = 9.8, 7.0 Hz, 1H), 3.24 (dd, J = 9.8, 7.8 Hz, 1H), 2.97 (dd, J = 11.8, 7.9 Hz, 1H), 2.75 (dd, J = 12.4, 5.5 Hz, 1H), 2.57 (dd, J = 12.4, 3.4 Hz, 1H), 2.36 (dd, J = 11.8, 5.7 Hz, 1H), 2.15-2.05 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 137.6, 129.0, 128.8, 128.6, 74.7, 73.1, 71.0, 53.2, 48.0, 47.6. HRMS (MH+) 計算値 C12H18NO2: 208.1332. 測定値 208.1329.
【0079】
製造例1.13
(3R,4S)−4−(シクロヘキシルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン塩酸塩(44)
シクロヘキシルメルカプタン(0.47mL、3.84mmol)のDMF溶液(10mL)に0℃で60% NaH(145mg、3.6mmol)を添加した。10分間攪拌した後、メシレート30(565mg、1.91mmol)のDMF攪拌溶液(10mL)を添加した。この反応が室温に達するようにしながら攪拌を持続した。完了後、NaHCO水溶液を用いてこの反応を停止し、トルエンを添加し、この反応液を通常とおりに処理すると粗中間体が得られた。これを石油エーテル:EtOAc(1:1 v/v)を用いて溶離させるシリカクロマトグラフィーにかけると無色シロップ(428mg、71%)として透明な中間体(3R,4S)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシルチオメチル)−ピロリジンが得られた。
NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm: 4.17-4.09 (m, 1H), 3.72-3.60 (m, 2H), 3.28-3.18 (m, 1H), 3.15-3.09 (m, 1H), 2.74-2.64 (m, 2H), 2.60-2.53 (m, 1H), 2.32-2.23 (m, 1H), 1.96 (m, 2H), 1.81-1.77 (m, 2H), 1.66-1.61 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.35-1.24 (m, 5H). 13C NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm: (回転異性体の遅い変換により、ピークによっては二重になっていることに注意) 154.91, 79.94, (75.57, 74.72), (52.80, 52.55), (49.70, 49.43), (46.24, 45.41), 44.26, 33.99, 33.93, 31.90, 28.87, 26.43, 26.12.
この物質のMeOH溶液(10mL)を、12N濃塩酸(4mL)を用いて40℃で30分間処理すると粗標題化合物44が得られ、これをマンニッヒ型の反応に直接使用した。
【0080】
製造例1.14
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(4−ピリジルチオメチル)−ピロリジン(45)
上述した一般的方法にしたがって、メシレート30(348mg、1.18mmol)を処理して45(105mg、0.426mmol、36%)を得た。
1H NMR (D2O) 8.42 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.82 (d, J= 7.2 Hz, 2H), 4.51-4.46 (m, 1H), 3.74 (dd, J = 12.4, 7.8 Hz, 1H), 3.57 (dd, J = 12.8, 5.5 Hz, 1H), 3.44 (dd, J = 13.6, 7.3 Hz, 1H) 3.34-3.22 (m, 3H), 2.78-2.60 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 164.1, 139.4, 122.9, 73.4, 51.4, 48.4, 44.3, 31.3. HRMS (MH+) 計算値 C10H15N2OS: 211.0900. 測定値 211.0908.
【0081】
製造例2.01
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)−ピロリジン塩酸塩(49)、スキーム5。
ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.75g、4.97mmol)の無水THF懸濁液(10mL)に0℃のアルゴン下で1.6M BuLiのTHF溶液(2.33mL、3.73mmol)を添加し、深紅の溶液を冷却せずに10分間攪拌した。0℃へ再冷却した後、アルデヒド46(335mg、1.56mmol)[G.B.Evans,R.H.Furneaux,A.Lewandowicz,V.L.Schramm,and P.C.Tyler,Second−Generation Transition State Analogues of Human Purine Nucleoside Phosphorylase,J.Med.Chem.,46(2003)5271−5276]のTHF溶液(5mL)を添加し、この混合液を室温で12時間にわたり攪拌した。この反応を水(1mL)で停止し、ジクロロメタン(100mL)を用いて抽出した。飽和NaHCO水溶液(15mL)、次に水(15mL)を用いて有機相を洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。残留物をクロマトグラフィーにかけるとシロップ(290mg、64%)として(3R,4S)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエテニル)−ピロリジン(47)の約1:3 cis/trans混合物が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm: trans: 7.28 (m, 5H), 6.49 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 6.03 (dd, J = 15.9, 8.1 Hz, 1H), 4.11 (m, 1H), 3.67 (m, 2H), 3.32 (m, 2H), 2.83 (m, 1H), 1.46 (s, 9H); cis: 7.27 (m, 5H), 6.58 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.43 (dd, J = 11.6 Hz, 10.0 Hz, 1H), 4.11 (m, 1H), 3.65 (m, 2H), 3.21 (m, 2H), 2.88 (m, 1H), 1.44 (s, 9H).
中間体47(290mg、1.00mmol)のエタノール溶液(20mL)に10% Pd/C(250mg)を添加し、この懸濁液を12時間にわたり水素雰囲気下で攪拌した。濾過後、溶媒を減圧留去するとシロップ(254mg、87%)として(3R,4S)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)−ピロリジン(48)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm: 7.10 (m, 5H), 4.00 (m, 1H), 3.47 (m, 2H), 3.07 (m, 2H), 2.67 (m, 2H), 2.04 (m, 1H), 1.83 (m, 1H), 1.54 (m, 1H), 1.45 (s, 9H). 13C NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm (回転異性体の遅い変換により、ピークによっては二重になっていることに注意): 155.17, 142.03, 128.83, 128.71, 126.37, 79.88, (74.94, 71.26), (53.17, 52.90), (49.90, 49.34), (46.11, 45.52), 34.41, 33.69, 28.91.
中間体48(254mg、0.87mmol)のメタノール溶液(10mL)に12N濃塩酸(4mL)を添加し、この溶液を40℃で30分間攪拌した。溶媒の減圧留去およびトルエンとの共沸後、粗標題化合物(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)ピロリジン塩酸塩49を固体(202mg、0.89mmol、102%)として入手した。
1H NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 7.14 (m, 5H), 4.22 (m, 1H), 3.52 (dd, J = 11.8, 7.4 Hz, 1H), 3.39 (dd, J = 12.3, 4.9 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 12.3, 2.8 Hz, 1H), 3.02 (dd, J = 11.8 Hz, 1H), 2.71 (m, 2H), 2.20 (m, 1H), 1.84 (m, 1H), 1.62 (m, 1H). 13C NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 142.94, 129.93, 129.89, 127.56, 75.56, 52.90, 48.55, 47.28, 35.18, 34.44.
【0082】
【化10】

【0083】
製造例2.02
(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン塩酸塩(52)
この化合物の合成は、スキーム5に記載したものと同一の一般的経路にしたがう(製造例2.01を参照)。エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(2.9g、6.93mmol)の無水THF懸濁液(15mL)に0℃のアルゴン下で1.6M BuLiのTHF溶液(4mL、6.40mmol)を添加し、深紅の溶液を冷却せずに10分間攪拌した。0℃へ再冷却した後、アルデヒド46(580mg、2.69mmol)のTHF溶液(10mL)を添加し、この混合液を12時間にわたり室温で攪拌した。水(1mL)を用いてこの反応を停止し、ジクロロメタン(100mL)を用いて抽出した。飽和NaHCO水溶液(15mL)、次に水(15mL)を用いて有機相を洗浄し、MgSOの上方で乾燥し、減圧濃縮した。残留物をクロマトグラフィーにかけると淡黄色シロップ(165mg、27%)として(3R,4S)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−4−プロペニル−ピロリジン(50)が得られた。中間体50(165mg、0.73mmol)のエタノール溶液(10mL)に10% Pd/C(60mg)を添加し、この懸濁液を3時間にわたり水素雰囲気下で攪拌した。濾過後、溶媒を減圧留去するとシロップ(172mg、1.02%)として(3R,4S)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン(51)が得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm: 3.98-3.96 (m, 1H), 3.61-3.57 (m, 3H), 3.22-3.18 (m, 1H), 3.10-3.01 (m, 1H), 2.03 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.41-1.31 (m, 2H), 1.24-1.12 (m, 1H), 0.94-0.89 (m, 3H). 13C NMR (300 MHz, CDCl3): δ ppm (回転異性体の遅い変換により、ピークによっては二重になっていることに注意): 155.20, 79.69, (75.53, 74.76), (53.10, 52.80), (49.94, 49.38), (46.19, 45.67), 34.04, 28.83, 21.27, 14.47.
中間体51(172mg、0.75mmol)のメタノール溶液(10mL)に12N濃塩酸(4mL)を添加し、この溶液を40℃で30分間攪拌した。溶媒の減圧留去およびトルエンとの共沸後、粗標題化合物(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン塩酸塩(52)がシロップ(138mg、0.83mmol、111%)として得られた。
1H NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 4.20-4.16 (m, 1H), 3.59-3.52 (m, 1H), 3.44-3.39 (m, 1H), 3.19-3.14 (m, 1H), 3.05-2.99 (m, 1H), 2.23-2.17 (m, 1H), 1.55-1.28 (m, 4H), 0.98-0.94 (m, 3H). 13C NMR (300 MHz, MeOH-d4): δ ppm: 75.65, 52.82, 50.30, 47.45, 34.69, 22.30, 14.78.
【0084】
製造例3.01
9−デアザ−アデニン
6−クロロ−9−デアザプリン(3g、19.5mmol)を、アンモニアのエタノール飽和溶液(30mL)に添加した。結果として生じた懸濁液を封管中で16時間、130℃で加熱した。均質な溶液を冷却し、フラッシュシリカゲルを添加し、懸濁液を減圧濃縮した。結果として生じた固体をシリカゲルカラムの上部に装填し、メタノール/CHCl(4:1 v/v)を用いて溶離させると、浅黄色固体(2.16g、80%)として9−デアザ−アデニンが得られた。
13C NMR (d4-MeOH) δ ppm: 153.1, 149.9, 145.2, 131.3, 113.8, 101.6.
【0085】
製造例4.01
(3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−メタンスルホニルオキシ−ピロリジン(53)
塩酸の1,4−ジオキサン溶液(4M、2mL)をメシレート30(169mg、0.572mmol)のメタノール攪拌溶液(3mL)に添加した。12時間にわたり室温で攪拌した後、溶媒を減圧留去すると残留物が得られ、これにメタノール(×2)、および次にDOを添加して蒸発させると標題化合物53(120mg、0.518mmol、91%)が得られた。
1H NMR (D2O) 4.55-4.35 (m, 3H), 3.74 (dd, J = 12.5, 8.4 Hz, 1H), 3.50 (dd, J = 12.7, 5.3 Hz, 1H), 3.35-3.20 (m, 2H), 3.25 (s, 3H), 2.82-2.67 (m, 1H). 13C NMR (D2O) 71.3, 69.2, 52.0, 46.0, 45.3, 36.9. HRMS (MH+) 計算値 C6H14NO4S: 196.0638. 測定値 196.0648.
【0086】
本発明を実施例によって記載してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく変更または修飾できることを理解されたい。さらに、特定の特徴に対して既知の等価物が存在する場合は、そのような等価物は本明細書において特別に言及したかのように組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、PNP、PPRT、MTAN、MTAPおよび/またはNHの強力な阻害剤である化合物にとって有用な合成経路を提供する。これらの化合物はPNP、PPRT、MTAN、MTAPおよび/またはNHの阻害が望ましい疾患の治療において有用な可能性がある。そのような疾患には、癌、細菌感染症、原虫感染症またはT細胞媒介性疾患が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
VがCHおよびNHから選択され、かつWがNRである;または
VがNRであり、かつWがCHおよびNHから選択される;
XがCHおよびRまたはS立体配置のCHOHから選択されるが、WがNHおよびNRから選択される場合は、XはCHである;
Yが水素、ハロゲンおよびヒドロキシから選択されるが、VがNHおよびNRから選択される場合は、Yは水素である;
Zが水素、ハロゲン、ヒドロキシ、スルホネート脱離基、SQ、OQおよびQから選択され、このときQが置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;および
が式(II)
【化2】

(式中、
AがN、CHおよびCRから選択され、このときRがハロゲン、置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール、OH、NH、NHR、NRおよびSRから選択され、このときR、RおよびRがそれぞれ置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;
BがOH、NH、NHR、SH、水素およびハロゲンから選択され、このときRが置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;
DがOH、NH、NHR、水素、ハロゲンおよびSCHから選択され、このときRが置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である;および
EがNおよびCHから選択される)
のラジカルである)
の化合物を製造方法であって、
式(III)
【化3】

(式中、
VがCHおよびNHから選択され、かつWがNHである;または
VがNHであり、かつWがCHおよびNHから選択される;
XがCHおよびRまたはS立体配置のCHOHから選択されるが、WがNHである場合は、XはCHである;
Yが水素、ハロゲンおよびヒドロキシから選択されるが、VがNHである場合は、Yは水素である;および
Zが水素、ハロゲン、ヒドロキシ、スルホネート脱離基、SQ、OQおよびQから選択され、このときQが置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である)
の化合物と;
式(IV)
【化4】

(式中、A、B、D、およびEが先に定義したとおりである)
の化合物と;
ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物と、
を反応させるステップを含む方法。
【請求項2】
Zが水素、ハロゲン、ヒドロキシ、SQまたはOQであり、このときQが置換されていてもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
AがCHである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
YがHである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
WがNRであり、VがCHであり、かつXがCHである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
が、AがCHであり、かつEがNである請求項1で定義した式(II)のラジカルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
DがHまたはNHである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
BがNH、OHまたはClである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Zがメタンスルホネート、p−トルエンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネートである、請求項1または3〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
Zがメタンスルホネートである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(III)および(IV)の化合物がホルムアルデヒドと反応する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式(III)および(IV)の化合物がパラホルムアルデヒドであるホルムアルデヒド等価物と反応する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
式(I)の化合物が:
(3R,4R)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(ベンジルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(4−クロロフェニルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(6−クロロ−9−デアザプリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メタンスルホニル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(エチルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(イソプロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(ブチルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(フェニルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−(4−フルオロフェニルチオメチル)−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(3−クロロフェニルチオメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−ピリジルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メトキシメチル)−ピロリジン;
(3R,4R)−4−(ベンジルオキシメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4R)−1−[(9−デアザグアニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)−3−ヒドロキシ−4−(プロピルチオメチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−4−(ブチルチオメチル)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザ−6−クロロ−プリン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−フェニルエチル)−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザアデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン;
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロピル−ピロリジン;または
(3R,4S)−1−[(9−デアザヒポキサンチン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(メチルチオメチル)−ピロリジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1による方法によって製造された式(I)の化合物。
【請求項15】
請求項1で定義した式(I)の化合物を製造する方法であって:
(i)請求項1で定義した式(III)の化合物と請求項1で定義した式(IV)の化合物およびホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物とを反応させるステップであって、このとき式(III)の化合物のV、W、X、YおよびZのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護されるステップと;
(ii)式(I)の化合物を得るためにこの1つ以上の保護基を除去するステップと
を含む方法。
【請求項16】
請求項1で定義した式(I)の化合物を製造する方法であって:
(i)請求項1で定義した式(III)の化合物と請求項1で定義した式(IV)の化合物およびホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物とを反応させるステップであって、このとき式(IV)の化合物のA、B、DおよびEのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護されるステップと;
(ii)式(I)の化合物を得るためにこの1つ以上の保護基を除去するステップと
を含む方法。
【請求項17】
請求項1で定義した式(I)の化合物を製造する方法であって:
(i)請求項1で定義した式(III)の化合物と請求項1で定義した式(IV)の化合物およびホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物とを反応させるステップであって、このとき式(III)の化合物のV、W、X、YおよびZのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護され、および式(IV)の化合物のA、B、DおよびEのいずれか1つ以上が適切な保護基を用いて保護されるステップと;
(ii)式(I)の化合物を得るためにこの1つ以上の保護基を除去するステップと
を含む方法。

【公表番号】特表2006−516615(P2006−516615A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502766(P2006−502766)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/NZ2004/000017
【国際公開番号】WO2004/069856
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(500084016)インダストリアル リサーチ リミテッド (8)
【出願人】(500379417)アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン オブ イエシバ ユニバーシティ (10)
【Fターム(参考)】