説明

ネクロトーシスのヘテロ環式抑制剤

本発明は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)誘発ネクロトーシスを抑制する一連のヘテロ環式誘導体を特徴としている。本発明のヘテロ環式化合物は式(I)及び(Ia)〜(Ie)により記載され、ヒト Jurkat T細胞のFADD欠乏変異体におけるTNF−α誘発ネクロトーシスを抑制することが示される。本発明は更に、本発明の化合物が主成分である医薬組成物を特徴としている。本発明の化合物及び組成物はまた、ネクロトーシスが実質的な役割を果たすと思われる障害を治療するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援研究についての声明
この研究は国立衛生研究所からの助成金により支援された(助成金番号 GM-64703 及び助成金番号 U01 NS050560)。合衆国政府はこの発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、ヘテロ環式化合物、細胞死、特に壊死及びネクロトーシス(necroptosis)による細胞死、並びにヘテロ環式化合物によるその調節に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの疾患において、細胞死はアポトーシス及び/又は壊死の経路により仲介される。アポトーシスを制御する作用の機構については多くが知られているが、壊死の制御は十分には理解されていない。細胞における壊死及びアポトーシスの両方を調節する機構の理解は、神経変性疾患、脳卒中−冠動脈性心疾患、腎疾患及び肝疾患などの症状を治療できるために不可欠である。また、壊死及びアポトーシスの細胞死経路を十分に理解することは、エイズ及びエイズ関連症状、例えば網膜壊死の治療にとって極めて重要である。
【0004】
細胞死は、伝統的に、形態学的特徴に基づいてアポトーシス性又は壊死性の何れかとして分類されてきた(Wyllie et al., Int. Rev. Cytol. 68: 251 (1980))。また、細胞死のこれら二つの様式は、最初は、それぞれ調節性(カスパーゼ依存性)及び非調節性の過程を経て生じると考えられた。しかしながら、より最近の研究は、これら二つの表現型をもたらす根元的な細胞死機構ははるかに複雑であり、ある状況下では相互に関係があることを示している。更に、壊死に導く症状は、調節性カスパーゼ非依存性又は非調節性の過程の何れによっても生じうる。
【0005】
壊死に類似する形態学的特徴を有する一つの調節性カスパーゼ非依存性細胞死経路、ネクロトーシスと呼ばれる細胞死経路が、最近記載された(Degterev et al., Nat. Chem. Biol. 1:112 (2005))。細胞死のこの方法は種々の刺激(例えば、TNF−α及びFasリガンド)により、また多くの細胞型(例えば、単球、線維芽細胞、リンパ球、マクロファージ、上皮細胞及びニューロン)において開始されうる。ネクロトーシスは、高度にエネルギー依存性のアポトーシス過程が機能ない場合に、過剰な細胞ストレス、急速なエネルギー損失及び大量の酸化性種の発生を伴う病的状態の下では、細胞死の重要な一因を表すことがあり、そして場合によっては細胞死の主な様式を表すことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ネクロトーシスを抑制できる低分子量の分子を同定及び最適化することは、疾患の病態生理におけるその役割の解明に役立つであろうし、また抗ネクロトーシス治療のための化合物(すなわち、ネクロスタチン類)を提供できるだろう。カスパーゼ非依存性細胞死(例えば、壊死又はネクロトーシス)を防止する化合物の発見もまた、壊死が生じる症状を治療又は予防するために有用な治療剤を提供するだろう。これらの化合物及び方法は、神経変性疾患、虚血性脳及び心臓傷害、並びに頭部外傷の治療のために特に有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様において、本発明は、式(I)による構造を有する化合物
【化1】

【0008】
〔式中、
及びXは、独立して、N又はCRであり;
は、O、S、NR又は−(CRから選択され;
Yは、C(O)又はCHから選択され;そして
Zは、(CRであり、
は、H、ハロゲン、任意に置換されていてよいC1−6低級アルキル又は任意に置換されていてよいC1−6シクロアルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;
は、任意に置換されていてよいアリールであり;
それぞれのRは、H、ハロゲン、カルボキサミド、ニトロ、シアノ、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
は、H、ハロゲン、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
それぞれのR及びRは、独立して、H、任意に置換されていてよいアリール又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;そして
nは、0、1、2又は3であり;
ここで、
及びXがNであり、XがSであり、YがC(O)であり、ZがCHであり、RがHであり、そしてRが2−クロロ−6−フルオロ−フェニルである場合には、Rはメチルではない〕;
又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体を特徴としている。
【0009】
幾つかの実施形態において、X及びXは両方ともNであるか、又はX及びXは両方ともCRであり、ここで、X及びXがNである場合には、XはNRでない。
【0010】
幾つかの実施形態において、X及びXはNであり、そしてXはSである。
【0011】
幾つかの実施形態において、X及びXはCRであり、そしてXはNRである。
【0012】
幾つかの実施形態において、RはC1−6シクロアルキル又は分枝状C1−6低級アルキルである。
【0013】
幾つかの実施形態において、RはHである。
【0014】
幾つかの実施形態において、Rは、下記の構造を有する置換フェニル基
【化2】

【0015】
〔式中、
それぞれのR、R、R10、R11及びR12は、H、低級C1−6アルキル、ハロゲン、アミノ、カルボキサミド、アルコキシ、ニトロ及びシアノから独立して選択され、そしてR、R、R10、R11及びR12の少なくとも一つは水素ではない〕である。
【0016】
幾つかの実施形態において、R及びR12は、独立して、ハロゲンである。他の実施形態において、R及びR12は、独立して、フッ素又は塩素である。一定の実施形態において、Rはフッ素であり、そしてR12は塩素である。
【0017】
幾つかの実施形態において、R、R10及びR11は水素である。
【0018】
幾つかの実施形態において、Rは、C1−6シクロアルキル又は分枝状C1−6低級アルキルであり、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0019】
他の実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-a)による構造
【化3】

【0020】
〔式中、R、R、R、R及びRは、式(I)のために定義されるとおりである〕を有するか、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0021】
幾つかの実施形態において、Rは、下記の構造を有する置換フェニル基
【化4】

【0022】
〔式中、それぞれのR、R、R10、R11及びR12は、独立して、H、低級C1−6アルキル、ハロゲン、アミノ、カルボキサミド、アルコキシ、ニトロ及びシアノから独立して選択され、そしてR、R、R10、R11及びR12の少なくとも一つは水素ではない〕である。
【0023】
幾つかの実施形態において、R及びR12は、独立して、ハロゲンである。他の実施形態において、R及びR12は、独立して、フッ素又は塩素である。一定の実施形態において、Rはフッ素であり、そしてR12は塩素である。
【0024】
幾つかの実施形態において、R、R10及びR11は水素であり、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0025】
幾つかの実施形態において、Rは、C1−6シクロアルキル又は分枝状C1−6低級アルキルであり、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。一定の実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル又はイソプロピルである。
【0026】
幾つかの実施形態において、RはHであり、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0027】
幾つかの実施形態において、R及びRは両方とも水素であり、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0028】
幾つかの実施形態において、Rは水素であり、そしてRは低級C1−6アルキルであり、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。一定の実施形態において、R及びRを持つ炭素は、(S)立体配置を有する。
【0029】
他の実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-b)による構造
【化5】

【0030】
〔式中、Y及びZは式(I)のために定義されるとおりであり、そしてRは水素、ハロゲン、アジド、シアノ、ニトロ、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボン酸基、ケトン、カルボネート、エステル、カルボキサミド又はカルバメートから選択される〕を有するか、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0031】
幾つかの実施形態において、YはC(O)である。他の実施形態において、YはCHである。
【0032】
幾つかの実施形態において、Rはハロゲンである。一定の実施形態において、Rは塩素であり、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0033】
幾つかの実施形態において、ZはCHである。他の実施形態において、ZはCHRであり、ここで、RはC1−6低級アルキルである。一定の実施形態において、Rを持つ炭素はS立体配置を有する。
【0034】
幾つかの実施形態において、(I-b)による構造を有する化合物は、
【化6】

【0035】
又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0036】
他の実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-c)による構造
【化7】

【0037】
〔式中、
、R及びRは、式(I)のために定義されるとおりであり;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、カルボキサミド、ニトロ及びシアノから独立して選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルであり;
、R、R10、11及びR12のそれぞれは、H、低級C1−6アルキル、ハロゲン、アミノ、アミド、アルコキシ、ニトロ及びシアノから独立して選択され、そしてR、R、R10、R11及びR12の少なくとも一つは水素ではない〕を有し;
又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0038】
幾つかの実施形態において、RはHである。
【0039】
幾つかの実施形態において、RはHである。
【0040】
幾つかの実施形態において、R4AはHであり、そしてR4BはCNである。他の実施形態において、R4AはCNであり、そしてR4BはHである。
【0041】
幾つかの実施形態において、Rは非置換のC1−6低級アルキルである。
【0042】
幾つかの実施形態において、RはC1−6低級アルキルである。他の実施形態において、Rを持つ炭素はS立体配置を有する。
【0043】
幾つかの実施形態において、R及びR12はそれぞれ独立して、ハロゲンである。
【0044】
幾つかの実施形態において、R、R10及びR11は水素である。
【0045】
他の実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-d)による構造
【化8】

【0046】
〔式中、R4B、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、式(I-c)のために定義されるとおりである〕を有し、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0047】
幾つかの実施形態において、R4BはCNである。
【0048】
幾つかの実施形態において、Rは非置換のC1−6低級アルキルである。
【0049】
幾つかの実施形態において、RはC1−6低級アルキルである。一定の実施形態において、Rを持つ炭素はS立体配置を有する。
【0050】
幾つかの実施形態において、R及びR12はそれぞれ独立して、ハロゲンである。
【0051】
幾つかの実施形態において、R、R10及びR11は水素である。
【0052】
他の実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-e)による構造
【化9】

【0053】
〔式中、R、R、R4A、R4B、R及びRは、式(I−c)のために定義されるとおりである〕を有し、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0054】
幾つかの実施形態において、RはH又は非置換のC1−6低級アルキルである。
【0055】
幾つかの実施形態において、RはHである。
【0056】
幾つかの実施形態において、R4AはHであり、そしてR4BはCNである。
【0057】
幾つかの実施形態において、R4AはCNであり、そしてR4BはHである。
【0058】
幾つかの実施形態において、Rは水素である。
【0059】
幾つかの実施形態において、RはC1−6低級アルキルである。一定の実施形態において、Rを持つ炭素はS立体配置を有し、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体である。
【0060】
幾つかの実施形態において、式(I-e)の化合物は下記のものである。
【化10】

【0061】
幾つかの実施形態において、式(I)の化合物は、下記のもの:
【化11】



【0062】
又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体からなる群から選択される。
【0063】
式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)又は(I-e)の化合物はまた、それらの任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はそれらの立体異性体を包含する。
【0064】
第二の態様において、本発明は、医薬上許容される賦形剤、及び式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)若しくは(I-e)の何れかの化合物又は式:
【化12】

【0065】
を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体を含む医薬組成物を特徴としている。
【0066】
第三の態様において、本発明は、被験者の症状を治療する方法であって、該方法が、式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)若しくは(I-e)の何れかの化合物、又は式:
【化13】

【0067】
を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体を、該被験者にネクロトーシスを減少させるのに十分な投与量で投与する段階を含む方法を特徴としている。幾つかの実施形態において、症状は神経変性疾患であるか、又は細胞増殖、分化若しくは細胞内情報伝達の変化に起因する。
【0068】
第四の態様において、本発明は、細胞を、式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)若しくは(I-e)の何れかの化合物、又は式:
【化14】

【0069】
を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体と接触させる段階を含む、ネクロトーシスを減少させる方法を特徴としている。幾つかの実施形態において、症状は神経変性疾患であるか、又は細胞増殖、分化若しくは細胞内情報伝達の変化に起因する。幾つかの実施形態において、細胞増殖、分化又は細胞内情報伝達の変化に起因する症状は、癌又は感染症(例えば、ウイルスによるもの(例えば、急性、潜在性及び持続性)、細菌、真菌又は他の微生物によるもの)である。幾つかの実施形態において、ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)5、ヒトヘルペスウイルス(HHV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)5、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、麻疹ウイルス、パポバウイルス(JC及びBK)、肝炎ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス及びヒトパピローマウイルスである。他の実施形態において、症状は、神経変性疾患、すなわち、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮側索硬化症、HIV関連認知症、脳虚血、アミオトロピック(amyotropic)側索硬化症、多発性硬化症、レヴィー小体病、メンケス病、ウィルソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ファール病、又は筋ジストロフィー若しくは関連疾患(例えば、ベッカー型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋硬直性ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、ランドゥジー・デジュリン筋ジストロフィー、顔面・肩甲・上腕筋ジストロフィー(シュタイネルト病)、先天性筋硬直症、トムセン病及びポンペ病)である。幾つかの実施形態において、神経変性疾患は筋肉疲労である。他の実施形態において、筋肉疲労は、癌、エイズ、うっ血性心不全、慢性閉塞性肺疾患及び集中治療の壊死性筋疾患に関連する。
【0070】
第五の態様において、本発明は、ネクロトーシスの抑制剤を同定するための化合物のスクリーニング方法であって、下記の段階:
(a) ネクロトーシスが抑制される第一の細胞を用意する段階;
(b) (a)の細胞を、ネクロトーシスを抑制する化合物と接触させる段階;
(c) (b)で観測されたネクロトーシスの抑制を、細胞と式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)若しくは(I-e)の何れかの化合物、又は式:
【化15】

【0071】
を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体との接触により観測される抑制と比較し、(b)で観測されたネクロトーシスの抑制が、式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)若しくは(I-e)の何れかの化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体によるネクロトーシスの抑制を超える場合にネクロトーシスの抑制剤が同定される段階
を含む上記方法を特徴としている。
【0072】
第六の態様において、本発明は、
(a) 式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)若しくは(I-e)の何れかの化合物、又は式:
【化16】

【0073】
を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体を含む医薬上許容される組成物;及び
(b) (a)の医薬組成物を使用して被験者の症状を治療するための指示
を含むキットを特徴としている。
【0074】
別の態様において、式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)又は(I-e)の化合物は、患者の免疫系を高めるために使用される。幾つかの実施形態において、患者は免疫障害性症状を有する。別の実施形態において、患者は免疫障害性症状を持たない。
【0075】
「アルコキシ」とは、−O(低級C1−6アルキル)の構造を有する基を意味し、ここで、低級C1−6アルキルは分枝状、線状又は環状であってよい。低級C1−6アルキルはまた、置換されていてよく、又は非置換であっててもよい。
【0076】
「アミノ」とは、次の構造:−NH、−NH(低級C1−6アルキル)、−N(低級C1−6アルキル)、−NH(アリール)、−N(低級C1−6アルキル)(アリール)及び−N(アリール)を有する基を意味する。それぞれの低級C1−6アルキル及びアリールは独立して、非置換であってよく、又は置換されていてもよい。それぞれの低級C1−6アルキルは独立して、分枝状、線状又は環状であってよい。
【0077】
「アリール」とは、共役において[4n+2]個のπ電子を有する任意に置換されていてよいC6−14環状基を意味し、ここで、nは1、2又は3である。アレーンの非限定的な例は、ヘテロアリール、並びにベンゼン、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンである。アリールは非置換であってよく、又は置換されていてもよい。置換されたアリールは、環の任意の位置で、任意により1、2、3、4、5又は6個の置換基で置換されていてよい。
【0078】
「アリールオキシ」とは、−O(アリール)の構造を有する基を意味する。アリールは非置換であってよく、又は置換されていてもよい。
【0079】
「アジド」とは、−Nの構造を有する基を意味する。
【0080】
「カルバメート」とは、−OCONH、-OCONH(低級C1−6アルキル)、−OCON(低級C1−6アルキル)、−OCON(低級C1−6アルキル)(アリール)、−OCONH(アリール)又は−OCON(アリール)の構造を有する基を意味する。それぞれの低級C1−6アルキル及びアリールは独立して、非置換であってよく、又は置換されていてもよい。それぞれの低級C1−6アルキルは独立して、分枝状、線状又は環状であってよい。
【0081】
「カルボネート」とは、−OCO(低級C1−6アルキル)又は−OCO(アリール)の構造を有する基を意味する。それぞれの低級C1−6アルキル及びアリールは非置換であってよく、又は置換されていてもよい。
【0082】
「カルボキサミド」とは、−CONH、-CON(低級C1−6アルキル)、−CON(低級C1−6アルキル)、−CON(低級C1−6アルキル)(アリールl)、−CONH(アリール)又は−CON(アリール)の構造を有する基を意味する。それぞれの低級C1−6アルキル及びアリールは独立して、非置換であってよく、又は置換されていてもよい。それぞれの低級C1−6アルキルは独立して、分枝状、線状又は環状であってよい。
【0083】
「カルボン酸基」とは、次の構造:−COH、−CO(低級C1−6アルキル)及び−CO(アリール)から選択される基を意味する。それぞれの低級C1−6アルキル及びアリールは非置換であってよく、又は置換されていてもよい。それぞれの低級C1−6アルキルは独立して、分枝状、線状又は環状であってよい。
【0084】
「シアノ」とは、−CNの構造を有する基を意味する。
【0085】
本明細書で用いられる、物質の「有効量」又は「治療有効量」とは、有益な又は望ましい結果、例えば臨床結果をもたらすのに十分な量を意味し、そしてそれ自体では、有効量はそれが適用される状況に依存する。例えば、ネクロトーシスの抑制剤である物質を投与する状況では、ある物質の有効量は、例えば、その物質を投与しないで得られる反応と比べてネクロトーシスの減少を達成するのに十分な量である。
【0086】
「エステル」とは、−OCO(低級C1−6アルキル)又は−OCO(アリール)から選択される構造を有する基を意味する。それぞれの低級C1−6アルキル及びアリールは非置換であってよく、又は置換されていてもよい。それぞれの低級C1−6アルキルは独立して、分枝状、線状又は環状であってよい。
【0087】
「ハロゲン」又は「ハロ」とは、フッ素(−F)、塩素(−Cl)、臭素(−Br)又はヨウ素(−I)を意味する。
【0088】
「ヘテロアリール」とは、環状骨格に1、2又は3個のヘテロ原子を有するアリール基を意味する。典型的なヘテロアリールは、フラン、チオフェン、ピロール、チアジアゾール(例えば、1,2,3−チアジアゾール又は1,2,4−チアジアゾール)、オキサジアゾール(例えば、1,2,3−オキサジアゾール又は1,2,5−オキサアジアゾール)、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール(例えば、1,2,4−トリアゾール又は1,2,3−トリアゾール)、ベンゾトリアゾール、ピリジン類、ピリミジン類、ピラジン類、キノリン、イソキノリン、プリン、ピラジン、プテリジン、トリアジン(例えば、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン又は1,3,5−トリアジン)、インドール類、1,2,4,5−テトラジン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン及びベンゾイミダゾールを包含するが、それらに限定されない。ヘテロアリールは非置換であってよく、又は1、2、3、4、5若しくは6個の置換基で置換されていてもよい。
【0089】
「ケトン」とは、−CO(低級C1−6アルキル)又は−CO(アリール)の構造を有する基を意味する。それぞれの低級C1−6アルキル及びアリールは非置換であってよく、又は置換されていてもよい。それぞれの低級C1−6アルキルは独立して、分枝状、線状又は環状であってよい。
【0090】
「低級アルキル」又は「低級C1−6アルキル」とは、1〜6個の炭素原子の炭化水素鎖を意味する。低級アルキルは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含むことができる。低級C1−6アルキルは線状、分枝状又は環状(「シクロアルキル」)であってよい。線状低級アルキル基の例は:メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルを包含するが、それらに限定されない。分枝状低級アルキル基の例は:イソプロピル、s−、i−及びt−ブチル、並びにイソアミルを包含するが、それらに限定されない。環状低級アルキル基の例は:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロブチルメチルを包含するが、それらに限定されない。望ましくは、低級C1−6アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル又はシクロプロピルである。低級アルキルは非置換であってよく、又は置換されていてもよい。置換された低級アルキルは、任意により、低級アルキルの任意の炭素原子に位置する1、2、3、4、5又は6個の置換基で置換されていてよい。
【0091】
「ニトロ」とは、−NOの構造を有する基を意味する。
【0092】
本明細書で用いられる「医薬上許容される賦形剤」とは、本明細書に記載される化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁又は溶解できるビヒクル)であり、そして患者において無毒性かつ非炎症性であるという性質を有するものである。賦形剤は、例えば:粘着防止剤、酸化防止剤、結合剤、被覆剤、圧縮補助剤、崩壊剤、染料(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤若しくは被覆剤、矯味矯臭剤、芳香剤、流動促進剤(流動向上剤)、潤滑剤、保存剤、印刷インキ、吸着剤、懸濁剤若しくは分散剤、甘味料又は水和物水を包含することができる。典型的な賦形剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、前ゼラチン化澱粉、プロピルパラベン、レチニルパルミテート、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム澱粉、ソルビトール、澱粉(トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリン酸、蔗糖、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC及びキシリトールを包含するが、それらに限定されない。
【0093】
本明細書で用いられる「医薬上許容される塩」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒト及び動物の組織と接触させる使用に適しており、そして合理的なベネフィット/リスク比にふさわしい塩を示す。医薬上許容される塩は当技術分野でよく知られている。例えば、S. M. Berge et al は、医薬上許容される塩を J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66:1-19 に詳細に記載している。塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び精製中にその場で、又は遊離塩基の基と適切な有機酸との反応により別々に製造することができる。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、酪酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、スレアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、バレリアン酸塩などを包含する。代表的なアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの塩を包含し、並びに塩は無毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム及びアミン陽イオンの塩、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどの塩を包含するが、それらに限定されない。
【0094】
本明細書で用いられる「医薬上許容される溶媒和物」という用語は、固体状態において残留溶剤分子と非共有結合性会合を保持している化合物を指す。例えば、溶媒和物は、有機溶剤、水又はそれらの混合物を含む溶液から結晶化、再結晶又は沈殿により製造することができる。溶媒和物は、再結晶後に結晶格子に溶剤分子を含む化合物を包含するが、それらに限定されない。溶媒和の分子化学量論は、例えば1:1の溶剤:化合物から10:1の溶剤:化合物まで変化できる。これらの比は会合した溶剤分子の混合物を含むこともある。典型的には、本発明の化合物と溶媒和物を形成できる溶剤の非限定的な例は、水(例えば一、二及び三水和物)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEU)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−(1H)−ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ベンジルアルコール、2−ピロリドン、安息香酸ベンジル、又はそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0095】
「医薬上許容される組成物」という用語は、医薬上許容される賦形剤と共に製剤され、そして哺乳動物における疾患を治療するための治療計画の一部として政府規制当局の承認を受けて製造又は販売される、本発明の化合物を含有する組成物を意味する。DMSOから構成される賦形剤は明確に除外される。医薬組成物は、例えば、経口投与のためには単位投与量形態で(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ジェルキャップ又はシロップ);局所投与のために(例えば、クリーム、ゲル、ローション又は軟膏として);静脈内注射のために(例えば微粒子状塞栓物を含まず、そして静脈内使用に適する溶剤系中の滅菌溶液);又は本明細書に記載される他の任意の製剤のために製剤することができる。
【0096】
「立体異性体」とは、化合物のジアステレオマー、エナンチオマー又はエピマーを意味する。化合物のキラル中心は、S立体配置又はR立体配置を有することができる。化合物のジアステレオマーは、キラル中心の幾つか(しかし全部ではない)が反対の立体配置を有する立体異性体、並びに置換基が空間的に別様に配向している化合物(例えば、トランス対シス)を包含する。
【0097】
ある基が置換されている場合、その基は1、2、3、4、5又は6個の置換基で置換されていてよい。任意による置換基は:ハロゲン、アジド、シアノ、ニトロ、低級C1−6アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボン酸基、ケトン、カルボネート、エステル、カルボキサミド又はカルバメートを包含するが、それらに限定されない。置換基は、ここで定義される1、2、3、4、5又は6個の置換基で更に置換されていてよい。例えば、低級C1−6アルキル又はアリール基(例えば、ヘテロアリール、フェニル又はナフチル)は、1、2、3、4、5又は6個の置換基で更に置換されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、ネクロスタチンの細胞型特異的活性を示す。FADD欠乏 Jurkat、L929及びマウス成体肺線維芽細胞を、示されるとおりの10ng/mLのヒトTNF−α及び/又は100μMのzVAD.fmk と共に、30μMのネクロスタチン1、2又は55の存在下に24時間処理した。市販の細胞生存能力キットを用いて細胞生存能力を測定した。値を、ネクロトーシス刺激の非存在下にネクロスタチンで処理した細胞(これらを100%細胞生存能力と定めた)に対して正規化した。エラーバーは標準偏差値(N=2)を反映する。
【発明を実施するための形態】
【0099】
発明の詳細な説明
我々は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)誘発ネクロトーシスを抑制する一連のヘテロ環式誘導体を発見した。本発明のヘテロ環式化合物は、式(I)及び(Ia)〜(Ie)で記載され、そしてヒト Jurkat T細胞のFADD欠乏変異体においてTNF−α誘発ネクロトーシスを抑制するために示される。本発明の化合物を含む医薬組成物も記載される。本発明はまた、本発明の化合物及び組成物を特色とするキット及び治療方法を特徴としている。
【0100】
本発明の化合物は、一般に式(I):
【化17】

【0101】
〔式中、
及びXは、独立して、N又はCRであり;
は、O、S、NR又は−(CRから選択され;
Yは、C(O)又はCHから選択され;そして
Zは、(CRであり、
は、H、ハロゲン、任意に置換されていてよいC1−6低級アルキル又は任意に置換されていてよいC1−6シクロアルキルから選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;
は、任意に置換されていてよいアリールであり;
それぞれのRは、H、ハロゲン、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
は、H、ハロゲン、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
それぞれのR及びRは、独立して、H、任意に置換されていてよいアリール又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;そして
nは、0、1、2又は3であり;ここで、
及びXがNであり、XがSであり、YがC(O)であり、ZがCHであり、RがHであり、そしてRが2−クロロ−6−フルオロ−フェニルである場合には、Rはメチルではない〕;
又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体により記載される。
【0102】
一つの実施形態において、本発明の化合物は、式(I-a):
【化18】

【0103】
〔式中、Rは、H、ハロゲン、任意に置換されていてよいC1−6低級アルキル、任意に置換されていてよいC1−6シクロアルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;
は、任意に置換されていてよいアリールであり;
及びRは、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから独立して選択され;そして
及びRの少なくとも一つは、水素である〕
を有する。
【0104】
式(I-a)を有する本発明の化合物は、下記のものを包含する:
【化19】


【0105】
本発明の化合物はまた、式(I-b):
【化20】

【0106】
〔式中、Y及びZは、式(I)のために定義されるとおりであり、そしてRは:水素、ハロゲン、アジド、シアノ、ニトロ、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボン酸基、ケトン、カルボネート、エステル、カルボキサミド又はカルバメートから選択することができる置換基である。
【0107】
式(I-b)を有する本発明の化合物は、下記のものを包含する:
【化21】

【0108】
本発明の化合物はまた、式(I-c)による構造:
【化22】

【0109】
〔式中、
は、H、ハロゲン、任意に置換されていてよいC1−6低級アルキル、任意に置換されていてよいC1−6シクロアルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、カルボキサミド、ニトロ及びシアノから独立して選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルであり;
は、水素又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルであり;
、R、R10、11及びR12のそれぞれは、H、低級C1−6アルキル、ハロゲン、アミノ、アミド、アルコキシ、ニトロ及びシアノから独立して選択され;そして
、R、R10、R11及びR12の少なくとも一つは水素ではない〕
を有する。
【0110】
式(I-c)を有する化合物の例は、式(I-d):
【化23】

【0111】
〔式中、R4B、R、R、R、R、R10、R11及びR12は式(I-c)で定義されるとおりである〕を有する化合物を包含する。
【0112】
式(I-c)を有する化合物の追加の例は、式(I-e):
【化24】

【0113】
〔式中、R、R、R4A、R4B、R及びRは、式(I-c)で定義されるとおりである〕を有する化合物を包含する。
【0114】
式(I-e)を有する本発明の典型的な化合物は、表1に示される化合物を包含する:
【表1】

【0115】

【0116】

【0117】
を持つ炭素がキラル中心である本発明の化合物は、ラセミ体、立体化学的混合物として、又は鏡像異性的に純粋な形態で使用することができる。一つの実施形態において、Rを持つ炭素がキラル中心である化合物は、(S)立体配置を有する。別の実施形態において、Rを持つ炭素がキラル中心である化合物は、(R)立体配置を有する。
【0118】
本発明の化合物は当技術分野で公知の方法によるか、又は下記の実施例に与えられる方法により合成することができる。例えば、本発明の化合物(例えば、式(I-b)の化合物)は、スキーム1で説明され、そして実施例1に示される方法により製造することができる。
【化25】

【0119】
医薬組成物
本発明の化合物(例えば、式(I)及び(I-a)〜(I-e))は、インビボ投与に適する生物学的に適合する形態でヒト被験者に投与するための医薬組成物に製剤することができる。従って、別の態様において、本発明は、本発明の化合物を医薬上許容される賦形剤と混合して含む医薬組成物を提供する。適切な製剤の選択及び製造のための従来の手順及び成分は、例えば Remington's Pharmaceutical Sciences (2003 - 20th edition) 及び米国薬局方:The National Formulary (USP 24 NF19)、1999年刊行に記載されている。
【0120】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で、塩、溶媒和物の形態で、及びプロドラッグとして使用することができる。全ての形態は本発明の範囲内にある。本発明の方法によれば、記載される化合物又はその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグは、当業者により理解されるように、選択される投与経路に応じて種々の形態で患者に投与することができる。本発明の化合物は、例えば経口、非経口、口腔内、舌下、鼻腔内、直腸内、パッチ、ポンプ又は経皮投与により投与することができ、それに応じて医薬組成物を製剤することができる。非経口投与は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、鼻腔内、肺内、髄腔内、直腸内及び局所の投与方式を包含する。非経口投与は、選択される時間にわたる持続注入によることができる。
【0121】
(医薬上許容される賦形剤)
医薬上許容される賦形剤は、例えば:粘着防止剤、酸化防止剤、結合剤、被覆剤、圧縮補助剤、崩壊剤、染料(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤若しくは被覆剤、矯味矯臭剤、香料、流動促進剤(流動向上剤)、潤滑剤、保存剤、印刷インキ、吸着剤、懸濁剤若しくは分散剤、甘味料又は水和物水を包含する。典型的な賦形剤は:ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、前ゼラチン化澱粉、プロピルパラベン、レチニルパルミテート、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム澱粉、ソルビトール、澱粉(トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリン酸、蔗糖、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC及びキシリトールを包含するが、それらに限定されない。
【0122】
(経口投与)
本発明の化合物は、例えば不活性希釈剤若しくは吸収可能な食用担体と一緒に経口投与することができ、又は硬質若しくは軟質殻ゼラチンカプセルに入れることができ、又は圧縮して錠剤にすることができ、又はダイエット食品と直接に一緒にすることができる。経口治療投与のために、本発明の化合物は賦形剤と一緒にすることができ、そして摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの形態で使用することができる。
【0123】
(非経口投与)
本発明の化合物はまた、非経口投与することもできる。注射用途に適する医薬形態は、滅菌水溶液又は懸濁液及び滅菌注射溶液又は分散液の即時調製用の滅菌粉末を包含する。全ての場合に、形態は滅菌されている必要があり、そして注射器で容易に投与できる程度まで液体である必要がある。
【0124】
(鼻腔内投与)
鼻腔内投与のための組成物は、エアゾール、滴剤、ゲル及び粉末として好都合に製剤さすことができる。エアゾール製剤は典型的には、生理学的に許容される水性又は非水性溶剤中の活性物質の溶液又は微細懸濁液を包含し、そして普通はシール容器に入れた滅菌形態で単回投与量又は多数回投与量で提供され、該容器は噴霧装置と共に使用するためのカートリッジ又は詰め替え品の形をとることができる。その代わりに、シール容器は一体化使い捨て装置、例えば、使用後に廃棄することが意図される、計量バルブが備えられた鼻吸入器又はエアゾールディスペンサーであってよい。投与形態がエアゾールディスペンサーを含む場合には、それは圧縮ガス、例えば圧縮空気又は有機噴射剤、例えばフルオロクロロ炭化水素であってよい噴射剤を含有するだろう。エアゾール投与形態はポンプ噴霧器の形態をとってもよい。
【0125】
(口腔内又は舌下投与)
口腔内又は舌下投与に適する組成物は、活性成分が担体、例えば砂糖、アカシア、トラガカント又はゼラチン及びグリセリンと共に製剤されている錠剤、薬用キャンディー及びトローチを包含する。直腸投与のための組成物は、従来の坐剤基剤、例えばカカオ脂を含有する坐剤の形態が好都合である。
【0126】
本発明の化合物は動物に、単独で又は上記の医薬上許容される担体と組み合わせて投与することができ、その比率は化合物の溶解度及び化学的性質、選択される投与経路、並びに標準的な薬務により定められる。
【0127】
(投与量)
本発明の組成物中の活性成分の量は変動し得る。当業者は、正確なそれぞれの投与量を多少とも種々の要因に応じて判断できることを理解するだろうが、これらの要因は、投与されるタンパク質、投与時期、投与経路、製剤の性質、排泄速度、被験者の症状の性質、並びに患者の年齢、体重、健康状態及び性別を包含する。一般に、1日当たり0.1μg/kg〜100mg/kg体重の投与量レベルが、単回投与量として又は複数回投与量に分割して投与される。望ましくは、一般的な投与量の範囲は、1日当たり250μg/kg〜5.0mg/kg体重である。種々の投与経路の効率が異なることから見て、必要な投与量の幅広い変化が予想される。例えば、経口投与は静脈内注射による投与よりも高い投与量レベルを必要とすることが予想されるだろう。これらの投与量レベルの変動は、当技術分野でよく知られている最適化のための標準的な経験的ルーティンを用いて調節することができる。一般に、正確な治療有効投与量は、担当医により上記に示される要因を考慮して決められるだろう。
【0128】
治療的使用及びスクリーニング方法
本明細書に開示される化合物は、ネクロトーシスが実質的な役割を果たすと思われる障害(例えば、脳虚血、外傷性脳損傷及び本明細書に記載される他の障害)を治療するために使用することができる。本発明の化合物はまた、ネクロトーシスの標的の同定及びネクロトーシスの更なる抑制剤の同定のために、並びにアッセイの開発において使用することができる。
【0129】
本明細書に開示される化合物は、それらの薬理学的特性について疾患の動物モデルにおいて評価することができる。壊死若しくはネクロトーシスを減少させると同定される化合物を構造的に変化させ、次いで壊死若しくはネクロトーシスを減少させるため、又は壊死若しくはネクロトーシスが生じている症状を有する被験者を治療するために使用することができる。壊死又はネクロトーシスを減少させる小さい分子の構造誘導体を作り出すために使用される方法は、有機化学及び医学の当業者に容易に分かる。
【0130】
本発明に係る治療は、単独で又は別の治療と組み合わせて、例えばアポトーシス抑制剤と組み合わせて行うことができ、そして自宅、医院、診療所、病院の外来部又は病因で提供することができる。治療は一般に、医師が治療効果を綿密に観察でき、そして必要とされる任意の調節を行うことができるように、病院で開始される。治療期間は、患者の年齢及び症状、並びに患者が治療に対してどのように反応するかに依存する。更に、症状発症の高い危険性を有する人は、疾患の兆候を抑制又は遅延するための予防的治療を受けることができる。
【0131】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物及び方法は、ネクロトーシスが実質的な役割を果たすと思われる以下の何れの障害をも治療するために使用することができる:中枢又は末梢神経系の神経変性疾患、網膜神経細胞死の結果、心筋の細胞死の結果、免疫系の細胞の細胞死の結果;脳卒中、肝疾患、膵疾患、腎不全に関連する細胞死の結果;心臓、腸間膜、網膜、肝臓又は脳の虚血性傷害、臓器の貯蔵中の虚血性傷害、頭部外傷、敗血性ショック、冠動脈性心疾患、心筋症、無血管性骨壊死、鎌状赤血球病、筋肉疲労、胃腸病、結核、糖尿病、血管の変化、筋ジストロフィー、移植片対宿主病、ウイルス感染症、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、及び細胞増殖、分化又は細胞内情報伝達の変化が原因要素である任意の症状。
【0132】
(細胞増殖、分化又は細胞内情報伝達の変化に起因する症状)
細胞増殖、分化又は細胞内情報伝達の変化が原因要素である症状は、癌及び感染症、例えば、ウイルスによるもの(例えば、急性、潜在性及び持続性)、細菌、真菌又は他の微生物によるものを包含する。典型的なウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)5、ヒトヘルペスウイルス(HHV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)5、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、麻疹ウイルス、パポバウイルス(JC及びBK)、肝炎ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス及びヒトパピローマウイルスである。
【0133】
(神経変性疾患)
典型的な神経変性疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮側索硬化症、HIV関連認知症、脳虚血、アミオトロピック(amyotropic)側索硬化症、多発性硬化症、レヴィー小体病、メンケス病、ウィルソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病及びファール病である。典型的な筋ジストロフィー又は関連疾患は、ベッカー型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋硬直性ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、ランドゥジー・デジュリン筋ジストロフィー、顔面・肩甲・上腕筋ジストロフィー(シュタイネルト病)、先天性筋硬直症、トムセン病及びポンペ病である。筋肉疲労は、癌、エイズ、うっ血性心不全及び慢性閉塞性肺疾患に関連することがあり、並びに集中治療の筋疾患を包含することがある。
【0134】
本発明の化合物及び方法は更に、治療される患者が免疫障害性症状を有するかどうかにかかわらず、免疫系を高めるために使用することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、免疫系の強化方法において免疫を付与する間に、例えばアジュバントとして機能することにより、又はアジュバントと組み合わせることにより、使用することができる。
【0135】
キット
本発明の化合物又は医薬組成物の何れのも、一組の指示、すなわちキットを形成するための指示と一緒に使用することができる。キットは、本発明の化合物を、本明細書に記載されるスクリーニング方法に又は治療剤として使用するための指示を含むことができる。
【0136】
(実施例)
下記の非限定的な実施例により本発明を説明する。
【実施例1】
【0137】
式(I-a)の[1,2,3]チアジアゾール誘導体の製造
[1,2,3]チアジアゾール誘導体は、スキーム1で概説される方法により製造される。Meldrum の酸を、ピリジンの存在下にアシルクロリドで処理してβ−ケトエステルを与えた(段階(a);Oikawa et al., J. Org. Chem. 43: 2087 (1978))。これらのエステルを、触媒量のp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)の存在下にモノ−Boc−ヒドラジンと反応させて対応するイミンを与えた(段階(b);Thomas et al., J. Med. Chem. 28: 442(1985))。塩化チオニルの存在下での環化は、[1,2,3]チアジアゾールエステルを与えた(段階(c))。このエステルの塩基加水分解は、酸を与えた(段階(d))。これらの物質を種々のアミンと、HBTU(方法A)、対応するアシルクロリド(方法B)を用いるか、又はEDCI(方法C)の使用により、カップリングさせて式(I-b)の化合物を与えた。
【実施例2】
【0138】
化合物(13)及び(16)の製造
【化26】

【0139】
化合物13を、スキーム2で概説される手順により製造した。エステルを水素化ホウ素ナトリウムで還元し(段階(a))、生成物アルコールを、Dess-Martin 試薬を用いて対応するアルデヒドに変換した(段階(b))。このアルデヒドを、無水硫酸マグネシウムの存在下に2−クロロ−6−フルオロベンジルアミンと縮合させてイミンを与え、続いてこれを水素化ホウ素トリアセトキシナトリウムで還元して第二級アミン13を与えた(段階(c))。また、イミド誘導体16をカルボン酸から出発して製造し、これを最初に対応する酸クロリドに変換した(段階(d))。次いでこの物質を、水素化ナトリウムを用いて2−クロロ−6−フルオロベンズアミドの陰イオンと反応させてイミド16を34%の収率で与えた(段階(e))。
【実施例3】
【0140】
α−置換(±)−2−クロロ−6−フルオロベンジルアミンの製造
【化27】

【0141】
α−置換(±)−2−クロロ−6−フルオロベンジルアミンを、スキーム3により製造した(Polniaszek et al., J. Org. Chem., 55: 215(1990))。2−クロロ−6−フルオロフェニルケトンを、ボラン−テトラヒドロフラン錯体で還元して第二級アルコールを与えた(段階(a))。このアルコールを Mitsonobu 反応により対応するフタルイミドに変換した(段階(b))。ヒドラジン一水和物で処理した後、ベンジルアミンを単離した(段階(c))。(S)−1−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチルアミンは、ベンゾニトリル出発物質を塩化メチルマグネシウムで処理した後、無水酢酸で処理してα−エナミドを与えることにより製造した(段階(d))。キラル触媒(S,S)−Me−BPE−Phの存在下の不斉水素化は、対応するアミドを与えた(段階(e);Burk et al., J. Am. Chem. Soc. 118: 5142(1996))。このアミドの酸加水分解は光学的に純粋なアミンを与え(段階(f))、塩酸塩として単離した。
【実施例4】
【0142】
3−アルキルピロール誘導体(化合物(81)、(82)及び(83))の合成
【化28】

【0143】
3−アルキルピロール誘導体は、スキーム1で概説される手順により製造した。グリシンエチルエステル5を、p−トルエンスルホニルクロリド(Ts−Cl)で処理して6を与え、これをt−BuOKの存在下に4−ジエチルアミノブタン−2−オンで処理して7を与えた。POClによる脱水は、ジヒドロピロール誘導体8を生成した。ナトリウムエトキシドの存在下の脱離反応は、ピロール誘導体9を生じた。ピロール窒素を水素化ナトリウムで脱保護し、アルキル化して10を与えた。このエステルをMeOH中でKOHで加水分解し、次いで対応する酸11を、EDCIを用いてアミド(81)、(82)及び(83)に変換した。
【実施例5】
【0144】
1−アルキルピロール誘導体の合成
【化29】

【0145】
1−アルキルピロール誘導体は、スキーム2で概説される手順により製造した。2−ピロールカルボン酸メチル100を、水素化ナトリウムを用いて脱保護し、次いでアルキル化して101を与えた。このエステルを加水分解して酸102を与え、これをEDCIを用いて2−クロロ−6−フルオロベンジルアミンに結合してアミド103を与えた。NBSを用いる位置選択的臭素化は、104を与えた。最後に、このアリールブロミドのニトリルへの変換を、シアン化亜鉛とのパラジウム媒介カップリングを用いて行って、105を優れた収率で与えた。
【実施例6】
【0146】
シアノ−及びハロ−置換ピロール誘導体の合成
【化30】

【0147】
シアノ−及びハロ−置換ピロール誘導体は、スキーム3で概説される手順により製造した。1−アルキルピロール101をクロロスルホニルイソシアネートと反応させて、容易に分離できる二つの位置異性体シアノピロール誘導体106及び107(1:4)を与えた。それぞれを対応する酸に変換し、次いで2−クロロ−6−フルオロベンジルアミンとカップリングさせて、それぞれ108及び109を与えた。また、2−ピロールカルボン酸メチル100を、次亜塩素酸t−ブチルで位置選択的に塩素化して110を与えた。N−アルキル化は111を与え、それに続くエステル加水分解は112を生成し、これを2−クロロ−6−フルオロベンジルアミンとカップリングさせて化合物(78)を与えた。
【実施例7】
【0148】
チアジアゾール類によるネクロトーシス抑制活性の評価
ネクロトーシス抑制活性の評価を、以前に記載されたようにTNF−αで処理したヒト Jurkat T細胞のFADD欠乏変異体を用いて行った(Degterev et al., Nat. Chem. Biol. 1:112 (2005) 及び Jagtap et al., J. Med. Chem. 50: 1886 (2007))。これらの条件を用いて、細胞は効果的にネクロトーシスを行い、これは1によって完全に又は選択的に抑制された(スキーム7参照;EC50=0.050μM)。EC50値を測定するために、細胞を、増加する濃度の試験化合物の存在下に10ng/mLのヒトTNF−αで24時間処理し、次いでATPベースの生存能力を評価した。
【0149】
ATPベースの生存能力評価:簡単に述べると、ネクロトーシス活性を、TNF−αで処理したヒト Jurkat T細胞のFADD欠乏変異体を用いて行わせた。EC50値を測定するために、細胞(500,000細胞/mL、96ウェルプレートにおける1ウェル当たり100μL)を、増加する濃度の試験化合物の存在下に10ng/mLのヒトTNF−αを用いて、5%のCOを含む加湿インキューベーター中で37℃で24時間処理し、次いでATPベースの生存能力を評価した。DMSO中のストック溶液(30mM)を最初に製造し、次いでDMSOで希釈して試験溶液を与え、これらを各試験ウェルに加えた。最終DMSO濃度は0.5%であった。11の化合物試験濃度(0.30〜100μM)を用いた。各濃度を二重に試験した。
【0150】
細胞生存能力の評価は、市販の発光ATPベースのアッセイキット(CellTiter-Glo, Promega, Madison, WI)を用い、製造業者の指示に従って行った。簡単に述べると、40μLの細胞溶解/ATP検出試薬を各ウェルに加えた。プレートをロッキングプラットフォーム上で室温で10分間インキュベートし、Wallac Victor 3 プレート−リーダー (Perkin Elmer, Wellesley, MA) を用いて発光を測定した。細胞生存能力は、TNF−α及び化合物で処理したウェルのシグナルと化合物単独で処理したウェルのシグナルとの比として表した。これを行って非特異的毒性を説明し、これは殆どの場合に<10%であった。生存能力値に対するlog[I]のプロットからのS字状用量反応(勾配変化のある法面)曲線の非線形回帰分析を用いて、EC50値を計算した。
【0151】
表2に、TNF−αで処理したFADD欠乏 Jurkat T細胞における式(I-a)を有する本発明の化合物によるネクロトーシス抑制のEC50測定値を示す。標準偏差は<10%である。
【表2】

【0152】
ハイスループットスクリーニング(HTS)の間に発見された最初の[1,2,3]チアジアゾールネクロトーシス抑制剤は、EC50=1μMを有する(25)であった(表2)。アミドNHを、例えば簡単なメチル化により変更すると(26対25、及び50対32)、結果的に活性の有意な損失が生じた。[1,2,3]チアジアゾールの4−位のアルキル基への分枝の導入は活性を増加させ、i−Pr(31)、c−Pr(32)及びc−Bu(33)は最良の結果を示した。しかしながら、この位置にt−Bu(36)又はフェニル(37)を導入すると、結果的に活性の損失が生じた。また、フェニル環の2−クロロ−6−フルオロ置換は強力な活性にとって必要であるように思われた。例えば、2−メチルフェニル(28)又は2−メトキシフェニル(29)を有する化合物は活性が低かった。加えて、2,6−ジクロロ(38)又は2,6−ジフルオロ(39)置換誘導体も、2−クロロ−6−フルオロ置換(32)と比べて活性が低かった。これらの知見と一致して、ハロゲンの一つを除去すること(40)、又はハロゲンの一つを小さい(41)若しくは大きい(42)電子供与基で置き換えることも、結果的に活性の低下を生じさせた。ハロゲンの一つを他の電子吸引基、例えばシアノ(43)又はCF3(44)で置き換えることは、活性を回復しなかった。2−クロロ−6−フルオロフェニルを1−ナフチル(45)、2−ピリジル(46)又は置換2−ピリジル(47)で置き換えることは、活性にとって不利であった。しかしながら、2−クロロ−6−フルオロフェニルの3−位へのハロゲンの付加(49)は、ネクロトーシス抑制活性を増加させ、EC50値は0.18μMであった。
【0153】
[1,2,3]チアジアゾールと2−クロロ−6−フルオロフェニルとの間のリンカーへの追加の変更を調べた。表3は、TNF−αで処理したFADD欠乏 Jurkat T細胞における、式(I-b)を有する化合物によるネクロトーシス抑制のEC50測定値を与える。32の対応する第二級アミン(13)及びイミド(16)誘導体は不活性であった。また、ベンジルアミドが必要であり、同族体フェネチルアミド(51)及び短縮型アニリド(52)は活性が有意に低かった。化合物52は、15を2,6−ジフルオロアニリンと、THF及びピリジン中で室温で反応させることにより、低収率(10%)で製造された。2−クロロ−6−フルオロアニリンとの反応は、恐らく立体障害のために成功しなかった。ベンジル位へのメチル基(53)の導入は、活性の僅かな増加を与えた。全く驚くべきことに、53の二つのエナンチオマーを調べたところ、全ネクロトーシス活性は(S)−エナンチオマー(55)に存在した。しかしながら、ベンジル置換基の立体的嵩がn−Bu(56)、フェニル(57)又はgem−ジメチル(58)に増加すると、結果的に活性の損失が生じた。
【表3】

【0154】
最後に、[1,2,3]チアジアゾールを調べた。表4は、TNF−αで処理したFADD欠乏 Jurkat T細胞における、式(I-f)を有する化合物を用いたネクロトーシス抑制のEC50測定値を示す。種々のチアゾール(59〜61)又はオキサゾール(62)で置き換えることは、活性にとって不利であった。同様に、[1,2,3]チアジアゾールの硫黄を−CH=CH−で置き換えようと試みたピリダジン(63)も不活性であった。しかしながら、中程度の活性は、エトキシ誘導体75及びスルホン誘導体76を除いて、種々のチオフェン誘導体(64〜74)で得ることができた。二つの場合(66及び74)、ネクロトーシス活性は、最も強力な[1,2,3]チアジアゾールについて見られた活性に近づいた。しかしながら、[1,2,3]チアジアゾールをフラン(77)で置き換えると、効果が低かった。
【表4】

【実施例8】
【0155】
ピロール化合物の評価
ネクロトーシス抑制活性についての化合物78〜99(表5)の評価も行った。EC50値測定のために、細胞を、増加する濃度の試験化合物の存在下に10ng/mLのヒトTNF−αで24時間処理し、次いでATPベースの生存能力を評価した。
【0156】
ミクロソーム安定性を、プールマウス肝臓ミクロソーム中で測定した。試験化合物(3μMの最終濃度)を0.5mg/mLのミクロソームタンパク質及び1mMのNADPHと一緒に、0、5、15、30及び60分間インキュベートした。NADPHの非存在下での試験化合物及びミクロソームのインキュベーションは、ネガティブ対照として役立った。サンプルをメタノールで停止し、2500rpmで20分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。サンプル上澄み液をLC/MSにより分析した(N=3)。lnピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)を時間に対してプロットし、線の傾斜を測定して消失速度定数[k=(−1)(傾斜)]を与えた。半減期(t1/2、分)、及びインビトロ固有クリアランス(CLint、μL/分/mgタンパク質)を下記の式により計算した。式中、V=インキュベーション量、μL/mgタンパク質:
【数1】

【0157】
これらの生物学的研究の結果は表5に示されている。
【表5】

【実施例9】
【0158】
「普遍的な」及び様々の細胞型/刺激に特異的なネクロトーシス抑制剤の決定
本明細書に記載される化合物は、広範囲のネクロトーシス細胞システムにおいて普遍的活性を示すことができるか、又は活性を特定の細胞型/刺激に制限することができる。本明細書に記載される化合物は、例えば、分子特異性が有益であり得る症状において、神経変性疾患のような慢性症状の治療などの利点を提供すると期待される。
【0159】
活性は、当業者に公知の手順を用いて示すことができる(例えば、Teng et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 15: 5039 (2005) 及び Jagtap et al., J. Med. Chem. 50: 1886(2007) 参照)。我々は、[1,2,3]チアジアゾール系列を用いて同様の分析を行った。化合物55は、ネクロトーシス刺激としてTNF−αを用いた Jurkat 又はL292細胞において、ネクロスタチン1及び2(構造についてはスキーム7参照)と同じ活性プロフィールを示した(図1)。加えて、55は、TNF−αとzVAD.fmk とを併用してネクロトーシスを行うように刺激されたマウス成体肺線維芽細胞において、完全に活性である。
【化31】

【0160】
本明細書に述べられる全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ独立した刊行物又は特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されているならば、それと同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0161】
本発明をその特定の実施形態に関連して記載してきたが、更なる変更ができること、そして本願は、一般に本発明の原理に従って、また本発明が関連する技術の範囲内で公知又は普通の慣例になるような本願の開示から外れることを含めて、本発明の全ての変異、使用又は適応を包含することを意図していること、そしてこれまでに述べられた本質的特徴に応用できること、そして請求項の範囲に従うことが、理解されるだろう。
【0162】
他の実施形態は請求項の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)による構造を有する化合物
【化1】

〔式中、
及びXは、独立して、N又はCRであり;
は、O、S、NR又は−(CRから選択され;
Yは、C(O)又はCHから選択され;そして
Zは、(CRであり、
は、H、ハロゲン、任意に置換されていてよいC1−6低級アルキル又は任意に置換されていてよいC1−6シクロアルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;
は、任意に置換されていてよいアリールであり;
それぞれのRは、H、ハロゲン、カルボキサミド、ニトロ、シアノ、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
は、H、ハロゲン、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル又は任意に置換されていてよいアリールから選択され;
それぞれのR及びRは、独立して、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルから選択され;そして
nは、0、1、2又は3であり;
ここで、
及びXがNであり、XがSであり、YがC(O)であり、ZがCHであり、RがHであり、そしてRが2−クロロ−6−フルオロ−フェニルである場合には、Rはメチルではない〕;
又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項2】
及びXが両方ともNであるか、又はX及びXが両方ともCRであり、ここで、X及びXがNである場合には、XがNRでない、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項3】
及びXがNであり、そしてXがSである、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項4】
及びXがCRであり、そしてXがNRである、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項5】
がC1−6シクロアルキル又は分枝状C1−6低級アルキルである、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項6】
がHである、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項7】
が、下記の構造を有する置換フェニル基
【化2】

〔式中、それぞれのR、R、R10、R11及びR12が、H、低級C1−6アルキル、ハロゲン、アミノ、カルボキサミド、アルコキシ、ニトロ及びシアノから独立して選択され、ここで、R、R、R10、R11及びR12の少なくとも一つは水素ではない〕である、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項8】
及びR12が独立してハロゲンである、請求項7の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項9】
及びR12が独立してフッ素又は塩素である、請求項8の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項10】
がフッ素であり、そしてR12が塩素である、請求項9の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項11】
、R10及びR11が水素である、請求項8の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項12】
がC1−6シクロアルキル又は分枝状C1−6低級アルキルである、請求項11の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項13】
上記の化合物が、式(I-a)による構造
【化3】

〔式中、R、R、R、R及びRは、式(I)のために定義されるとおりである〕を有する、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項14】
が、下記の構造を有する置換フェニル基
【化4】

〔式中、それぞれのR、R、R10、R11及びR12は、独立して、H、低級C1−6アルキル、ハロゲン、アミノ、カルボキサミド、アルコキシ、ニトロ及びシアノから独立して選択され、ここで、R、R、R10、R11及びR12の少なくとも一つは水素ではない〕である、請求項13の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項15】
及びR12がハロゲンである、請求項14の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項16】
及びR12が独立してフッ素又は塩素である、請求項15の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項17】
がフッ素であり、そしてR12が塩素である、請求項16の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項18】
、R10及びR11が水素である、請求項15の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項19】
がC1−6シクロアルキル又は分枝状C1−6低級アルキルである、請求項13の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項20】
がシクロプロピル、シクロブチル又はイソプロピルである、請求項19の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項21】
がHである、請求項13の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項22】
及びRが両方とも水素である、請求項13の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項23】
が水素であり、そしてRが低級C1−6アルキルである、請求項13の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項24】
及びRを持つ炭素が(S)立体配置を有する、請求項23の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項25】
上記の化合物が、式(I-b)による構造
【化5】

〔式中、Y及びZは式(I)のために定義されるとおりであり、そしてRは水素、ハロゲン、アジド、シアノ、ニトロ、任意に置換されていてよい低級C1−6アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボン酸基、ケトン、カルボネート、エステル、カルボキサミド又はカルバメートから選択される〕を有する、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項26】
YがC(O)である、請求項25の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項27】
YがCHである、請求項25の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項28】
Rがハロゲンである、請求項25の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項29】
Rが塩素である、請求項28の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項30】
ZがCHである、請求項25の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項31】
ZがCHRであり、ここで、RがC1−6低級アルキルである、請求項25の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項32】
を持つ炭素がS立体配置を有する、請求項31の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項33】
上記の化合物が、下記のもの
【化6】

である、請求項1の化合物、
又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項34】
上記の化合物が、式(I-c)による構造
【化7】

〔式中、
、R及びRは、式(I)のために定義されるとおりであり;
4A及びR4Bは、水素、ハロゲン、カルボキサミド、ニトロ及びシアノから独立して選択され;
は、H又は任意に置換されていてよいC1−6低級アルキルであり;
、R、R10、11及びR12のそれぞれは、H、低級C1−6アルキル、ハロゲン、アミノ、アミド、アルコキシ、ニトロ及びシアノから独立して選択され、ここで、R、R、R10、R11及びR12の少なくとも一つは水素ではない〕を有する、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項35】
がHである、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項36】
がHである、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項37】
4AがHであり、そしてR4BはCNである、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項38】
4AがCNであり、そしてR4BはHである、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項39】
が非置換のC1−6低級アルキルである、請求項34の化合物。
【請求項40】
がC1−6低級アルキルである、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項41】
を持つ炭素がS立体配置を有する、請求項40の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項42】
及びR12がそれぞれ独立してハロゲンである、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項43】
、R10及びR11が水素である、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項44】
上記の化合物が、式(I-d)による構造
【化8】

〔式中、R4B、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、式(I-c)のために定義されるとおりである〕を有する、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項45】
4BがCNである、請求項44の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項46】
が非置換のC1−6低級アルキルである、請求項44の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項47】
がC1−6低級アルキルである、請求項44の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項48】
を持つ炭素がS立体配置を有する、請求項47の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項49】
及びR12がそれぞれ独立してハロゲンである、請求項44の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項50】
、R10及びR11が水素である、請求項44の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項51】
上記の化合物が、式(I-e)による構造
【化9】

〔式中、R、R、R4A、R4B、R及びRは、式(I-c)のために定義されるとおりである〕を有する、請求項34の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項52】
がH又は非置換のC1−6低級アルキルである、請求項51の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項53】
がHである、請求項51の化合物。
【請求項54】
4AがHであり、そしてR4BがCNである、請求項51の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項55】
4AがCNであり、そしてR4BがHである、請求項51の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項56】
が水素である、請求項51の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項57】
がC1−6低級アルキルである、請求項51の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項58】
を持つ炭素がS立体配置を有する、請求項57の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項59】
上記の化合物が、下記のもの
【化10】

である、請求項50の化合物。
【請求項60】
下記のもの:
【化11】



からなる群から選択される、請求項1の化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体。
【請求項61】
医薬上許容される賦形剤、及び請求項1〜60の何れかの化合物又は式:
【化12】

を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体を含む医薬組成物。
【請求項62】
被験者の症状を治療する方法であって、該方法が、請求項1〜60の何れかの化合物又は式:
【化13】

を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体を、該被験者にネクロトーシスを減少させるのに十分な投与量で投与する段階を含む方法。
【請求項63】
上記の症状が神経変性疾患であるか、又は細胞増殖、分化若しくは細胞内情報伝達の変化に起因する、請求項62の方法。
【請求項64】
細胞を、請求項1〜60の何れかの化合物又は式:
【化14】

を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体と接触させることを含む、ネクロトーシスを減少させる方法。
【請求項65】
(a) 請求項1〜60の何れかの化合物又は式:
【化15】

を有する化合物、又はその任意の医薬上許容される塩若しくは溶媒和物又はその立体異性体を含む医薬上許容される組成物;及び
(b) (a)の医薬組成物を使用して被験者の症状を治療するための指示
を含むキット。

【図1】
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【公表番号】特表2010−536761(P2010−536761A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521050(P2010−521050)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/009793
【国際公開番号】WO2009/023272
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(503146324)ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
【出願人】(595094600)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (37)
【出願人】(508053795)タフツ ユニバーシティ (3)
【Fターム(参考)】