ネジ締め締結構造
【課題】ネジ締結具が装着されるネジ装着部にネジ緩み防止機能を有するネジ締め締結構造を提供する。
【解決手段】第1締結用挿通孔7aを有する第1プレート部7と、第1プレート部7に隙間を介して重なるように配置され、第2締結用挿通孔9aを有する第2プレート部9と、第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aより離間した位置に配置され、第1プレート部7と第2プレート部9間の隙間寸法を保持する折り曲げ部8及び突き当て部10とがネジ装着部6に設けられ、第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aに通したボルト30とナット31で第1プレート部7及び第2プレート部9と共に接続端子40を締め付けて接続端子40が固定された。
【解決手段】第1締結用挿通孔7aを有する第1プレート部7と、第1プレート部7に隙間を介して重なるように配置され、第2締結用挿通孔9aを有する第2プレート部9と、第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aより離間した位置に配置され、第1プレート部7と第2プレート部9間の隙間寸法を保持する折り曲げ部8及び突き当て部10とがネジ装着部6に設けられ、第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aに通したボルト30とナット31で第1プレート部7及び第2プレート部9と共に接続端子40を締め付けて接続端子40が固定された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ締め力によって被締結部材を固定するネジ締め締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ締め締結構造は従来より種々の部品に適用されており、例えば車両搭載のヒュージブルリンクの端子固定箇所にも適用されている(特許文献1参照)。従来のネジ締め締結構造が適用されたヒュージブルリングが図11〜図14に示されている。
【0003】
図11〜図14において、ヒュージブルリンク100は、導電材のバスバー101と、このバスバー101を内部部品としてインサート成形することによって形成された絶縁樹脂部110とを備えている。バスバー101には、2つの接続用孔102,103が設けられていると共に2つの接続用孔102,103間に介在される可溶部104(図14(a)、(b)に示す)が設けられている。一方の接続用孔102を用いてバッテリ接続端子(図示せず)が固定され、バッテリ接続端子を介してバッテリポスト(図示せず)に直付けされる。他方の接続用孔103には、ボルト105が挿入されている。ボルト105の頭部105aは、絶縁樹脂部110によって回転阻止され、且つ、接続用孔103に対し抜け止めされている。ボルト105を利用して負荷側の接続端子(図示せず)がネジ締め締結されている。
【0004】
このネジ締め締結は、ボルト105のネジ部105bに負荷側の接続端子(図示せず)を挿入し、負荷側の接続端子を挿入したネジ部105bにナット(図示せず)を螺入する。ボルト105とナットによってバスバー101と負荷側の接続端子を締め付ける。これによって、負荷側の接続端子がヒュージブルリンク100に固定されている。ここで、ナットは、一般的にスプリング機能付きのものが使用され、ナットのスプリング反力によって車両振動等によるネジ緩みが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−56992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来のネジ締め締結構造では、ネジ締結具であるナット側にネジ緩み防止対策が施されているが、ネジ装着部側であるヒュージブルリンク100にはネジ緩み防止対策が施されていない。そのため、締め付けトルクを高く設定しているが、ネジ締結具側のネジ緩み防止対策のみでは不十分な場合もあり、ネジ装着部側にネジ緩み防止対策を施したものが要望されている。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ネジ締結具が装着されるネジ装着部にネジ緩み防止機能を有するネジ締め締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、第1締結用挿通孔を有する第1プレート部と、前記第1プレート部に隙間を介して重なるように配置され、第2締結用挿通孔を有する第2プレート部と、前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔より離間した位置に配置され、前記第1プレート部と前記第2プレート部間の隙間寸法を保持する隙間保持部とがネジ装着部に設けられ、前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔に通したネジ締結具を用いて前記第1プレート部及び前記第2プレート部と共に被締結部材を締め付けることによって前記被締結部材が固定されたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のネジ締め締結構造であって、前記ネジ装着部は、一体部材によって形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2記載のネジ締め締結構造であって、前記ネジ装着部は、ヒュージブルリンクのバスバーの一部として構成され、前記バスバーは、可溶部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ネジ締結具の締結力によって第1プレート部と第2プレート部が近づく方向に撓み変形し、この撓み変形の復帰力がネジ締結具に常時作用するため、ネジ締結具のネジ緩みが防止される。以上より、ネジ装着部側にネジ緩み防止対策を有するネジ締め締結構造を提供できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ネジ装着部を最小の部品点数で作製できる。
【0013】
請求項3の発明によれば、ヒュージブルリンクの第1プレート部及び第2プレート部が通電経路となって通電経路質量が増大するため、発熱による温度上昇を低減できると共に許容電流値を大きくできる。又、第1プレート部及び第2プレート部の温度上昇の低減によって、第1プレート部及び第2プレート部の箇所と可溶部の箇所の温度差が拡大するため、溶断特性をクイックブロー化できる。更に、第1プレート部及び第2プレート部の温度上昇の低減によって、第1プレート部及び第2プレート部の箇所と可溶部との間の距離を小さくできるため、ヒュージブルリンクを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示し、ヒュージブルリンクの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、ヒュージブルリンクの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、(a)はバスバーの斜視図、(b)は(a)とは異なる方向から見たバスバーの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、バスバーの正面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、バスバーの下面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、バスバーの側面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、バスバーに接続端子を締結した状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】変形例に係るバスバーの斜視図である。
【図10】図9とは異なる方向から見た変形例に係るバスバーの斜視図である。
【図11】従来例を示し、ヒュージブルリンクの斜視図である。
【図12】従来例を示し、ヒュージブルリンクの正面図である。
【図13】従来例を示し、図12のB−B線断面図である。
【図14】従来例を示し、(a)はバスバーの斜視図、(b)はバスバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態)
図1〜図8は本発明のネジ締め締結構造をヒュージブルリンクに適用した一実施形態を示す。図1はヒュージブルリンク1の斜視図、図2はヒュージブルリンク1の正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4(a)はバスバー2の斜視図、図4(b)は図4(a)とは異なる方向から見たバスバー2の斜視図、図5はバスバー2の正面図、図6はバスバー2の下面図、図7はバスバー2の側面図、図8はバスバー2に接続端子40を締結した状態を示す要部拡大断面図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、ヒュージブルリンク1は、導電材のバスバー2と、このバスバー2を内部部品としてインサート成形することによって形成された絶縁樹脂部20と、絶縁樹脂部20に着脱自在に設けられた可溶部カバー21とを備えている。
【0018】
バスバー2は、図4〜図7に詳しく示すように、第1バスバー部3とこの第1バスバー部3に対し直交方向に折曲された第2バスバー部4とから構成されている。第1バスバー部3には接続用孔3aが設けられている。この接続用孔3aの周囲は、絶縁樹脂部20より露出されている。この接続用孔3aを用いてバッテリ接続端子(図示せず)が固定され、バッテリ接続端子を介してバッテリポスト(図示せず)に直付けされる。
【0019】
第2バスバー部4には、可溶部5とこれに連続してネジ装着部6が設けられている。ネジ装着部6は、可溶部5に連続して同一平面状に配置された第1プレート部7と、第1プレート部7の一側端より折り曲げられた折り曲げ部8と、この折り曲げ部8を介して連結され、第1プレート部7に隙間寸法dを隔てて重なるように配置された第2プレート部9と、第2プレート部9に切り込みを入れ、切り込み箇所を第1プレート部7側に折り曲げ、先端面が第1プレート部7に当接された突き当て部10と、第2プレート部9より延設され、第1プレート部7の縁端部に折り込まれたプレート開き阻止爪部11とを備えている。ネジ装着部6は、折曲加工によって一体部材より形成されている。第1プレート部7と第2プレート部9には、同一位置に第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aが設けられている。折り曲げ部8及び突き当て部10は、第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aより離間した位置、具体的には、ボルト30の頭部30aが当接される範囲よりも外側位置に配置され、第1プレート部7と第2プレート部9の隙間寸法dが狭まらないよう保持する隙間保持部として構成されている。プレート開き阻止爪部11は、第1プレート部7と第2プレート部9の隙間寸法dが広がらないように保持している。
【0020】
ネジ締結具の一方であるボルト30は、そのネジ部30bが第2プレート部9側より第2締結用挿通孔9a及び第1締結用挿通孔7aに挿入されている。ボルト30の頭部30aは、絶縁樹脂部20によって回転阻止され、且つ、締結用挿通孔7a,9aに対し抜け止めされている。ボルト30のネジ部30bの先端側は、第1バスバー部3より突出されている。
【0021】
ネジ締結具は、図1及び図4(a)に示すように、ヒュージブルリンク1に固定されたボルト30とこのボルト30に螺入されるナット31であり、ボルト30とナット31を用いて被締結部材である負荷側の接続端子40が固定される。ナット31は、スプリングワッシャ部31aが一体に設けられたものである。
【0022】
次に、負荷側の接続端子40の固定作業を説明する。バスバー2より突出されたボルト30のネジ部30bに負荷側の接続端子40を挿入し、その後、ナット31をボルト30のネジ部30bを螺入すれば完了する。すると、図8にて仮想線で示すように、所定の隙間寸法dを隔てて平行配置されていた第1プレート部7と第2プレート部9間は、ボルト30とナット31の締結力によって、図8にて実線で示すように、第1プレート部7と第2プレート部9間が互いに近づく方向に撓み変形する。詳細には、第1プレート部7と第2プレート部9間は、折り曲げ部8と突き当て部10によって隙間保持されているため、第1プレート部7の第1締結用挿通孔7aの周辺箇所と第2プレート部9の第2締結用挿通孔9aの周辺箇所の間が近づく方向に撓み変形する。この撓み復帰力がボルト30とナット31に常時作用するため、ボルト30とナット31のネジ緩みが防止される。従って、ヒュージブルリンク1にネジ緩み防止機能を有するネジ締め締結構造を提供できる。又、ナット31はスプリングワッシャ部31aを有するので、このスプリングワッシャ部31aのスプリング反力がボルト30とナット31に常時作用するため、これによってもボルト30とナット31のネジ緩みが防止される。つまり、ネジ装着部側とネジ締結具側の双方にネジ緩み防止対策が施されるため、強力なネジ緩み防止効果が得られる。
【0023】
ネジ装着部6は、一体部材によって形成されているので、最小の部品点数で作製できる。
【0024】
ネジ装着部6は、ヒュージブルリンク1のバスバー2の一部として構成され、バスバー2は可溶部5を有する。従って、ヒュージブルリンク1の第1プレート部7及び第2プレート部9が通電経路となって通電経路の質量が増大するため、発熱による温度上昇を低減できると共に許容電流値を大きくできる。又、第1プレート部7及び第2プレート部9の温度上昇の低減によって、第1プレート部7及び第2プレート部9の箇所と可溶部5の箇所の温度差が拡大するため、溶断特性をクイックブロー化できる。更に、第1プレート部7及び第2プレート部9の温度上昇の低減によって、第1プレート部7及び第2プレート部9の箇所と可溶部5との間の距離Lを小さくできるため、ヒュージブルリンク1を小型化できる。
【0025】
この実施形態では、ネジ締結具はボルト30とナット31であるが、ネジ単体であっても良い。
【0026】
この実施形態では、ナット31はスプリング機能付きのものを使用したが、スプリング機能なしのものを使用してもネジ締結具のネジ緩みを防止できる。
【0027】
(バスバーの変形例)
図9及び図10は前記実施形態のバスバー2Aの変形例を示し、図9は変形例のバスバー2Aの斜視図、図10は図9とは異なる方向から見た変形例のバスバー2Aの斜視図である。
【0028】
図12及び図13において、変形例のバスバー2Aは、前記実施形態のものと比較するに、折り曲げ部8の位置が相違し、これに伴って突き当て部10及びプレート開き阻止爪部11の位置が変更されている。つまり、前記実施形態では、折り曲げ部8が第1プレート部7の側端に設けられ、変形例では折り曲げ部8が第1プレート部7の下端に設けられている。
【0029】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
この変形例のバスバー2Aを用いたヒュージブルリンクによっても前記実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【符号の説明】
【0031】
1 ヒュージブルリンク
2 バスバー
5 可溶部
6 ネジ装着部
7 第1プレート部
7a 第1締結用挿通孔
8 折り曲げ部(隙間保持部)
9 第2プレート部
9a 第2締結用挿通孔
10 突き当て部(隙間保持部)
30 ボルト(ネジ締結具)
31 ナット(ネジ締結具)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ締め力によって被締結部材を固定するネジ締め締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ締め締結構造は従来より種々の部品に適用されており、例えば車両搭載のヒュージブルリンクの端子固定箇所にも適用されている(特許文献1参照)。従来のネジ締め締結構造が適用されたヒュージブルリングが図11〜図14に示されている。
【0003】
図11〜図14において、ヒュージブルリンク100は、導電材のバスバー101と、このバスバー101を内部部品としてインサート成形することによって形成された絶縁樹脂部110とを備えている。バスバー101には、2つの接続用孔102,103が設けられていると共に2つの接続用孔102,103間に介在される可溶部104(図14(a)、(b)に示す)が設けられている。一方の接続用孔102を用いてバッテリ接続端子(図示せず)が固定され、バッテリ接続端子を介してバッテリポスト(図示せず)に直付けされる。他方の接続用孔103には、ボルト105が挿入されている。ボルト105の頭部105aは、絶縁樹脂部110によって回転阻止され、且つ、接続用孔103に対し抜け止めされている。ボルト105を利用して負荷側の接続端子(図示せず)がネジ締め締結されている。
【0004】
このネジ締め締結は、ボルト105のネジ部105bに負荷側の接続端子(図示せず)を挿入し、負荷側の接続端子を挿入したネジ部105bにナット(図示せず)を螺入する。ボルト105とナットによってバスバー101と負荷側の接続端子を締め付ける。これによって、負荷側の接続端子がヒュージブルリンク100に固定されている。ここで、ナットは、一般的にスプリング機能付きのものが使用され、ナットのスプリング反力によって車両振動等によるネジ緩みが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−56992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来のネジ締め締結構造では、ネジ締結具であるナット側にネジ緩み防止対策が施されているが、ネジ装着部側であるヒュージブルリンク100にはネジ緩み防止対策が施されていない。そのため、締め付けトルクを高く設定しているが、ネジ締結具側のネジ緩み防止対策のみでは不十分な場合もあり、ネジ装着部側にネジ緩み防止対策を施したものが要望されている。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ネジ締結具が装着されるネジ装着部にネジ緩み防止機能を有するネジ締め締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、第1締結用挿通孔を有する第1プレート部と、前記第1プレート部に隙間を介して重なるように配置され、第2締結用挿通孔を有する第2プレート部と、前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔より離間した位置に配置され、前記第1プレート部と前記第2プレート部間の隙間寸法を保持する隙間保持部とがネジ装着部に設けられ、前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔に通したネジ締結具を用いて前記第1プレート部及び前記第2プレート部と共に被締結部材を締め付けることによって前記被締結部材が固定されたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のネジ締め締結構造であって、前記ネジ装着部は、一体部材によって形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2記載のネジ締め締結構造であって、前記ネジ装着部は、ヒュージブルリンクのバスバーの一部として構成され、前記バスバーは、可溶部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ネジ締結具の締結力によって第1プレート部と第2プレート部が近づく方向に撓み変形し、この撓み変形の復帰力がネジ締結具に常時作用するため、ネジ締結具のネジ緩みが防止される。以上より、ネジ装着部側にネジ緩み防止対策を有するネジ締め締結構造を提供できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ネジ装着部を最小の部品点数で作製できる。
【0013】
請求項3の発明によれば、ヒュージブルリンクの第1プレート部及び第2プレート部が通電経路となって通電経路質量が増大するため、発熱による温度上昇を低減できると共に許容電流値を大きくできる。又、第1プレート部及び第2プレート部の温度上昇の低減によって、第1プレート部及び第2プレート部の箇所と可溶部の箇所の温度差が拡大するため、溶断特性をクイックブロー化できる。更に、第1プレート部及び第2プレート部の温度上昇の低減によって、第1プレート部及び第2プレート部の箇所と可溶部との間の距離を小さくできるため、ヒュージブルリンクを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示し、ヒュージブルリンクの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、ヒュージブルリンクの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、(a)はバスバーの斜視図、(b)は(a)とは異なる方向から見たバスバーの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、バスバーの正面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、バスバーの下面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、バスバーの側面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示し、バスバーに接続端子を締結した状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】変形例に係るバスバーの斜視図である。
【図10】図9とは異なる方向から見た変形例に係るバスバーの斜視図である。
【図11】従来例を示し、ヒュージブルリンクの斜視図である。
【図12】従来例を示し、ヒュージブルリンクの正面図である。
【図13】従来例を示し、図12のB−B線断面図である。
【図14】従来例を示し、(a)はバスバーの斜視図、(b)はバスバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態)
図1〜図8は本発明のネジ締め締結構造をヒュージブルリンクに適用した一実施形態を示す。図1はヒュージブルリンク1の斜視図、図2はヒュージブルリンク1の正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4(a)はバスバー2の斜視図、図4(b)は図4(a)とは異なる方向から見たバスバー2の斜視図、図5はバスバー2の正面図、図6はバスバー2の下面図、図7はバスバー2の側面図、図8はバスバー2に接続端子40を締結した状態を示す要部拡大断面図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、ヒュージブルリンク1は、導電材のバスバー2と、このバスバー2を内部部品としてインサート成形することによって形成された絶縁樹脂部20と、絶縁樹脂部20に着脱自在に設けられた可溶部カバー21とを備えている。
【0018】
バスバー2は、図4〜図7に詳しく示すように、第1バスバー部3とこの第1バスバー部3に対し直交方向に折曲された第2バスバー部4とから構成されている。第1バスバー部3には接続用孔3aが設けられている。この接続用孔3aの周囲は、絶縁樹脂部20より露出されている。この接続用孔3aを用いてバッテリ接続端子(図示せず)が固定され、バッテリ接続端子を介してバッテリポスト(図示せず)に直付けされる。
【0019】
第2バスバー部4には、可溶部5とこれに連続してネジ装着部6が設けられている。ネジ装着部6は、可溶部5に連続して同一平面状に配置された第1プレート部7と、第1プレート部7の一側端より折り曲げられた折り曲げ部8と、この折り曲げ部8を介して連結され、第1プレート部7に隙間寸法dを隔てて重なるように配置された第2プレート部9と、第2プレート部9に切り込みを入れ、切り込み箇所を第1プレート部7側に折り曲げ、先端面が第1プレート部7に当接された突き当て部10と、第2プレート部9より延設され、第1プレート部7の縁端部に折り込まれたプレート開き阻止爪部11とを備えている。ネジ装着部6は、折曲加工によって一体部材より形成されている。第1プレート部7と第2プレート部9には、同一位置に第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aが設けられている。折り曲げ部8及び突き当て部10は、第1締結用挿通孔7a及び第2締結用挿通孔9aより離間した位置、具体的には、ボルト30の頭部30aが当接される範囲よりも外側位置に配置され、第1プレート部7と第2プレート部9の隙間寸法dが狭まらないよう保持する隙間保持部として構成されている。プレート開き阻止爪部11は、第1プレート部7と第2プレート部9の隙間寸法dが広がらないように保持している。
【0020】
ネジ締結具の一方であるボルト30は、そのネジ部30bが第2プレート部9側より第2締結用挿通孔9a及び第1締結用挿通孔7aに挿入されている。ボルト30の頭部30aは、絶縁樹脂部20によって回転阻止され、且つ、締結用挿通孔7a,9aに対し抜け止めされている。ボルト30のネジ部30bの先端側は、第1バスバー部3より突出されている。
【0021】
ネジ締結具は、図1及び図4(a)に示すように、ヒュージブルリンク1に固定されたボルト30とこのボルト30に螺入されるナット31であり、ボルト30とナット31を用いて被締結部材である負荷側の接続端子40が固定される。ナット31は、スプリングワッシャ部31aが一体に設けられたものである。
【0022】
次に、負荷側の接続端子40の固定作業を説明する。バスバー2より突出されたボルト30のネジ部30bに負荷側の接続端子40を挿入し、その後、ナット31をボルト30のネジ部30bを螺入すれば完了する。すると、図8にて仮想線で示すように、所定の隙間寸法dを隔てて平行配置されていた第1プレート部7と第2プレート部9間は、ボルト30とナット31の締結力によって、図8にて実線で示すように、第1プレート部7と第2プレート部9間が互いに近づく方向に撓み変形する。詳細には、第1プレート部7と第2プレート部9間は、折り曲げ部8と突き当て部10によって隙間保持されているため、第1プレート部7の第1締結用挿通孔7aの周辺箇所と第2プレート部9の第2締結用挿通孔9aの周辺箇所の間が近づく方向に撓み変形する。この撓み復帰力がボルト30とナット31に常時作用するため、ボルト30とナット31のネジ緩みが防止される。従って、ヒュージブルリンク1にネジ緩み防止機能を有するネジ締め締結構造を提供できる。又、ナット31はスプリングワッシャ部31aを有するので、このスプリングワッシャ部31aのスプリング反力がボルト30とナット31に常時作用するため、これによってもボルト30とナット31のネジ緩みが防止される。つまり、ネジ装着部側とネジ締結具側の双方にネジ緩み防止対策が施されるため、強力なネジ緩み防止効果が得られる。
【0023】
ネジ装着部6は、一体部材によって形成されているので、最小の部品点数で作製できる。
【0024】
ネジ装着部6は、ヒュージブルリンク1のバスバー2の一部として構成され、バスバー2は可溶部5を有する。従って、ヒュージブルリンク1の第1プレート部7及び第2プレート部9が通電経路となって通電経路の質量が増大するため、発熱による温度上昇を低減できると共に許容電流値を大きくできる。又、第1プレート部7及び第2プレート部9の温度上昇の低減によって、第1プレート部7及び第2プレート部9の箇所と可溶部5の箇所の温度差が拡大するため、溶断特性をクイックブロー化できる。更に、第1プレート部7及び第2プレート部9の温度上昇の低減によって、第1プレート部7及び第2プレート部9の箇所と可溶部5との間の距離Lを小さくできるため、ヒュージブルリンク1を小型化できる。
【0025】
この実施形態では、ネジ締結具はボルト30とナット31であるが、ネジ単体であっても良い。
【0026】
この実施形態では、ナット31はスプリング機能付きのものを使用したが、スプリング機能なしのものを使用してもネジ締結具のネジ緩みを防止できる。
【0027】
(バスバーの変形例)
図9及び図10は前記実施形態のバスバー2Aの変形例を示し、図9は変形例のバスバー2Aの斜視図、図10は図9とは異なる方向から見た変形例のバスバー2Aの斜視図である。
【0028】
図12及び図13において、変形例のバスバー2Aは、前記実施形態のものと比較するに、折り曲げ部8の位置が相違し、これに伴って突き当て部10及びプレート開き阻止爪部11の位置が変更されている。つまり、前記実施形態では、折り曲げ部8が第1プレート部7の側端に設けられ、変形例では折り曲げ部8が第1プレート部7の下端に設けられている。
【0029】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
この変形例のバスバー2Aを用いたヒュージブルリンクによっても前記実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【符号の説明】
【0031】
1 ヒュージブルリンク
2 バスバー
5 可溶部
6 ネジ装着部
7 第1プレート部
7a 第1締結用挿通孔
8 折り曲げ部(隙間保持部)
9 第2プレート部
9a 第2締結用挿通孔
10 突き当て部(隙間保持部)
30 ボルト(ネジ締結具)
31 ナット(ネジ締結具)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1締結用挿通孔を有する第1プレート部と、前記第1プレート部に隙間を介して重なるように配置され、第2締結用挿通孔を有する第2プレート部と、前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔より離間した位置に配置され、前記第1プレート部と前記第2プレート部間の隙間寸法を保持する隙間保持部とがネジ装着部に設けられ、
前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔に通したネジ締結具を用いて前記第1プレート部及び前記第2プレート部と共に被締結部材を締め付けることによって前記被締結部材が固定されたことを特徴とするネジ締め締結構造。
【請求項2】
請求項1記載のネジ締め締結構造であって、
前記ネジ装着部は、一体部材によって形成されたことを特徴とするネジ締め締結構造。
【請求項3】
請求項2記載のネジ締め締結構造であって、
前記ネジ装着部は、ヒュージブルリンクのバスバーの一部として構成され、前記バスバーは、可溶部を有することを特徴とするネジ締め締結構造。
【請求項1】
第1締結用挿通孔を有する第1プレート部と、前記第1プレート部に隙間を介して重なるように配置され、第2締結用挿通孔を有する第2プレート部と、前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔より離間した位置に配置され、前記第1プレート部と前記第2プレート部間の隙間寸法を保持する隙間保持部とがネジ装着部に設けられ、
前記第1締結用挿通孔及び前記第2締結用挿通孔に通したネジ締結具を用いて前記第1プレート部及び前記第2プレート部と共に被締結部材を締め付けることによって前記被締結部材が固定されたことを特徴とするネジ締め締結構造。
【請求項2】
請求項1記載のネジ締め締結構造であって、
前記ネジ装着部は、一体部材によって形成されたことを特徴とするネジ締め締結構造。
【請求項3】
請求項2記載のネジ締め締結構造であって、
前記ネジ装着部は、ヒュージブルリンクのバスバーの一部として構成され、前記バスバーは、可溶部を有することを特徴とするネジ締め締結構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−69439(P2011−69439A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221139(P2009−221139)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]