説明

ネットワークを通じてロケーションベースサービスを提供するためのシステムおよび方法

ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供する方法において、複数の各ローカルエリアに対応する複数のGPS基準データセットが、それぞれのGPS基準データセットが連続的に更新されるように、定期的に取得される。複数の支援データセットが各GPSデータセットに基づいて定期的に生成され、これにより、それぞれの支援データセットが連続的に更新される。生成された支援データセットは、データ格納ネットワークサーバに定期的に格納され、これにより、データ格納ネットワークサーバとの通信を介した要求側のエンティティによるアクセスに対して、更新された支援データセットが連続的に利用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本明細書は、「ネットワークを通じてロケーションベースサービスを提供するためのシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR PROVIDING LOCATION BASED SERVICES OVER A NETWORK)」と題された、米国特許非仮出願第11/089,455号(2005年3月24日出願)に基づく優先権を主張するものである。その出願は、「支援型測位通信システム(Aided Location Communication System)」と題された、米国特許出願第10/885,507号(2004年7月3日出願)の一部継続出願である。米国特許出願第10/885,507号は、「ワイヤレスネットワークと共に使用されるマルチモード全地球測位システムにおいて探索領域を減少させる周波数伝達(Search Domain Reducing Frequency Transfer in a Multi−mode Global Positioning System Used With Wireless Networks)」と題された、国際特許出願第PCT/US03/16308号(2003年5月22日出願)の一部継続出願である。その出願は、「ワイヤレスネットワークと共に使用されるマルチモード全地球測位システムにおいて探索領域を減少させる周波数伝達(Search Domain Reducing Frequency Transfer in a Multi−mode Global Positioning System Used With Wireless Networks)」と題された、現在は米国特許第6,684,158号である、米国特許出願第10/155,614号(2002年5月22日出願)の一部継続出願である。その出願は、「ワイヤレスネットワークと共に使用されるマルチモード全地球測位システムにおける情報伝達(Information Transfer in a Multi−mode Global Positioning System Used with Wireless Networks)」と題された、現在は米国特許第6,427,120号である、米国特許出願第09/795,871号(2001年2月28日出願)の一部継続出願である。その出願は、米国特許仮出願第60/225,076号(2000年8月14日出願)に基づいて、米国特許法第119条(e)の優先権を主張している。これらはすべて、参照により本明細書に援用されている。
【0002】
米国特許出願第10/885,507号は、「ワイヤレスネットワークと共に使用されるマルチモードGPSにおける情報伝達(Information Transfer in a Multi−mode GPS Used with Wireless Networks)」と題された、米国特許出願第10/385,198号(2003年3月10日出願)の一部継続出願でもある。その出願は、「ワイヤレスネットワークと共に使用されるマルチモードGPSにおける情報伝達(Information Transfer in a Multi−mode GPS Used with Wireless Networks)」と題された、現在は米国特許第6,542,823号である、米国特許出願第10/127,229号(2002年4月19日出願)の継続出願である。その出願は、「ワイヤレスネットワークと共に使用されるマルチモード全地球測位システムにおける情報伝達(Information Transfer in a Multi−mode Global Positioning System Used with Wireless Networks)」と題された、現在は米国特許第6,427,120号である、米国特許出願第09/795,871号(2001年2月28日出願)の継続出願である。その出願は、米国特許仮出願第60/225,076号(2000年8月14日出願)に基づいて、米国特許法第119条(e)の優先権を主張している。これらはすべて、参照により本明細書に援用されている。
【0003】
米国特許出願第10/885,507号明細書は、「ワイヤレスネットワークと共に使用するためのマルチモードGPS(Multi−mode GPS For Use with Wireless Networks)」と題された、米国特許出願第10/194,627号(2002年7月12日出願)の一部継続出願でもある。その出願は、「ワイヤレスネットワークと共に使用するためのマルチモード全地球測位システム(Multi−mode Global Positioning System For Use with Wireless Networks)」と題された、現在は米国特許第6,519,466号である、米国特許出願第10/068,751号(2002年7月12日出願)の継続出願である。その出願は、「ワイヤレスネットワークと共に使用するためのマルチモード全地球測位システム(Multi−mode Global Positioning System For Use with Wireless Networks)」と題された、現在は米国特許第6,389,291号である、米国特許出願第09/781,068号(2001年2月8日出願)の継続出願である。その出願は、米国特許仮出願第60/225,076号(2000年8月14日出願)に基づいて、米国特許法第119条(e)の優先権を主張している。これらはすべて、参照により本明細書に援用されている。
【0004】
(技術分野)
本発明は、概して、携帯電話機などの移動局(MS)の測位情報を含む、ロケーションベースサービスを提供することに関する。より詳細には、本発明は、ネットワーク、特にインターネットやウェブサービスなどのTCP/IPプロトコルを利用したネットワークを通じて、ロケーションベースサービスを配布することに関する。
【背景技術】
【0005】
ロケーションベースサービス(LBS)またはロケーション依存サービスは、一般に、ある場所、たとえば移動局の現在の位置に依存したワイヤレスサービスを提供する概念を示している。移動局とは、通常、携帯電話機であるが、携帯情報端末(PDA)またはネットワークとインターフェースすることが可能な他のいくつかの種類のモバイルデバイス、移動局、またはユーザ端末でもあり得る。LBSを提供するシステムにより、移動局のユーザまたは他のいくつかのネットワーク要素またはエンティティ(たとえば、アプリケーションサーバ)が、移動局の測位、またはそれに加えて移動局の位置に依存したサービスまたはアプリケーションを要求することが可能となる。その要求は、移動局のユーザによって始動される一回限りの要求であり得る。たとえば、移動局は、その現在の場所を示す地図、現在の場所から所望の行先までの運転指示、現在の場所の近くの、ある種のビジネス(たとえば、レストラン、病院、ガソリンスタンドなど)の存在および/または場所に関する情報などを要求することがある。その要求はまた、所定の時間間隔でまたはある事象の発生に応じて起動されることがある。たとえば、アプリケーションサーバが、追跡目的または緊急目的で、あるいは近くにあるビジネスに関係する広告またはクーポンなどのロケーションベース情報を提供するよう、移動局が1つの地理的エリアから別のエリアへと通過することに応じて、移動局の測位を要求することがある。したがって、移動局の位置が特定されると、ロケーションベース情報が要求側の当事者に提供されることがある。この情報は、(コンテンツ提供者が所有し、加入者がアクセス可能とされている)データベースからアクセス可能であり、特有のアプリケーション(たとえば、地図、走行指示、ビジネス関連コンテンツ)に従って特有のフォーマットで提供され、要求側の当事者の位置により、ユーザによりまたはユーザのために設定された個人的な好みにより、および/または他の所定の規則に従って、フィルタがかけられることがある。一般に、移動局の位置は、ワイヤレスネットワーク、および/または衛星測位システム、特に全地球測位システム(GPS)などの好適な測位サービスから得られる。
【0006】
(米国においてはGPS NAVSTARとして公知の)GPS測位技術が、当業者には周知であり、したがって、本明細書において必ずしも詳細に記述する必要はない。簡単に言えば、GPSは、24の衛星からなる既存の衛星群と、5つのモニタリングステーションとが、それらの衛星が地球の周りでスペクトラム拡散信号を放送可能となるように配置されていることに基づいている。これらのGPS信号は、移動局の位置を特定する際の基準として利用されることがある。GPSに加えて、利用されることのある別の測位技術は、ロシアのシステムGLONASS(全地球航法衛星システム)、または同様の方法で動作する、現在はガリレオシステムとして知られている将来のヨーロッパのシステムである。GPSにおいて、衛星は、12時間の周回軌道を有し、それぞれの軌道面に名目上4つの衛星を有する6つの軌道面内に位置している。それらの軌道面は、等しく60度の間隔が空けられ、赤道面に対して55度傾斜している。衛星は、L帯、すなわちL1(1.575.42MHz)およびL2(1.227.60MHz)の2つの周波数で搬送波信号を伝送する。携帯電話または他のモバイルデバイス内に組み込まれたGPS受信機を動作させて、そのGPS受信機の位置を正確に示すのに十分な数の衛星を捕捉することによって、位置が特定される。通常、GPS受信機に対する衛星の位置で三辺測量できるように、最小で3つの衛星が捕捉されなければならない。しかし、高度の情報を得るため、かつGPS受信機内のクロックが衛星内のより精密な原子時計と同期することを確実にするためには、衛星は4つであることが好ましい。一般に、GPS受信機の位置は、宇宙にある衛星の公知の位置(即ち、軌道および時間が公知である)およびGPS受信機からの衛星の公知の距離(即ち、無線信号の伝播速度は公知であるので、衛星からGPS受信機までの無線信号の走時が特定される)を使用して、かつ任意の遅延およびエフェメリス誤差などの誤差を補正または補償して、計算される。衛星からGPS受信機までの距離を測定できるようにするために、衛星は、正確な時間間隔で疑似雑音符号(PRC)を伝送する。PRCは、タイミング信号を伝えるビットストリームである。PRCは衛星のアドレスも含んでおり、したがって、それぞれの衛星が一意のPRCを有し、それによってGPS受信機は異なる衛星の信号を識別することができる。C/A(Coarse Acquisition)符号として知られる、L1搬送周波数上で伝えられるPRCは、民間用途に指定されている。
【0007】
GPS受信機は、最初、自身の位置を認識していないので、その位置を特定するのに必要な測定を行うために、衛星信号を探索しなければならない。探索は、コールドスタートから開始すると、約12分かかり得るが、これは、移動局のユーザには長すぎる時間であると思われる。衛星データを取得するための時間は、基本的に、エフェメリス、クロック、および衛星位置データに加えて、衛星軌道の長期モデルを記述するアルマナックデータを提供することによって短縮されることがある。アルマナックデータは、ワイヤレスネットワーク上で提供され、新しいデータが衛星から受信されることで定期的に更新される。アルマナックデータは、衛星がいつGPS受信機の頭上に来て見えるようになるかをGPS受信機に知らせることによって、GPS受信機が特定の衛星を探すことを可能とし、これにより探索時間が減少する。
【0008】
GPSベースの通信システムの性能を向上させるために、高度な測位方法が開発されてきた。このような1つの方法として、アシスト型GPS(A−GPS)技術が公知である。これは、一般に、GPS受信機が距離の測定や位置解の提供などを行うのに必要なタスクを遂行する際に、アシストサーバおよび基準ネットワークなどの外部ソースが、そのGPS受信機を援助するシステムである。A−GPSは、ワイヤレスネットワークを使用して、GPS受信機、特に携帯電話機などの移動局に統合されたGPS受信機に、援助または支援データを配布するための、費用対効果および時間対効果の高い方法であると期待されているものである。A−GPSの従来の実装形態が、当業者には周知であり、したがって、本明細書において必ずしも詳細に記述する必要はない。簡単に言えば、A−GPSの実装形態においては、ワイヤレスネットワークに組み込まれたGPS受信機を利用することにより、かつ移動局の場所(たとえば、移動局が位置するセルまたはセクタ)を推定することにより、移動局が受信するであろうGPS信号が予測され、この情報を移動局に伝送することができる。このような援助を使用することにより、探索空間のサイズが大きく減少し、初期測位時間(TTFF)が2〜3秒、場合によっては1秒未満まで短縮する。しかも、移動局内のA−GPS受信機は、従来のGPS受信機に必要な信号よりも一桁弱い信号を検出し、復調することができる。その上、移動局には完全なA−GPS受信機のすべての機能を有するチップを搭載することもできるが、A−GPS対応の移動局であれば部分的なA−GPS受信機しか必要とされない。後者の場合、衛星データが、モバイルネットワークを通じてダウンロードされ、移動局内のGPS受信機は、データが必要とされる度ごとに位置を計算するのに必要なデータを受信する。業界において考えられるA−GPSシステムに代表的なアーキテクチャにおいては、システムは、その位置が探索され、かつ部分的なGPS受信機が搭載された移動局と、移動局と同じ衛星を捕捉し得る基準GPS受信機が搭載されたA−GPSサーバと、セルラ基地局と移動(電話)交換センターとを含むワイヤレスネットワークインフラストラクチャとを含む。A−GPSサーバは、移動(電話)交換センターから(たとえば、セルおよびセクタのレベルでの)移動局の推定位置を得て、移動局から見ることのできるGPS衛星からの信号を監視し、移動局から個別の測定値を収集し、測位結果を収集し、その結果を移動局に伝達する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
精度の向上、位置解を得るまでの時間の短縮、および費用の低下などの、A−GPSによって提供される利点および従来のGPS技術からの改良によって提供される利点により、これらの改良された測位技術は、ロケーションベースサービスとともに使用することが魅力的なものとなる。理想的には、ロケーションベースサービスを提供し配布することを可能にするシステムは、コストがかかる追加のネットワークインフラストラクチャの構築を必要とせず、また既存のインフラストラクチャに負担をかけずに、多数の地理的エリアを通じて多数の移動局を管理し得るべきであろう。GPS技術をワイヤレスネットワークに統合するために現在開発されている手法においては、移動局の測位の要求が行われると、GPSデータの取得および改良、および移動局の最終的な位置解を計算をするのに必要な任意の援助または支援データの生成が開始される。このようなシステムにおいては、多くのユーザによる多数の測位要求により、関与するネットワークがかなり酷使される可能性があり、したがって、用いられる測位技術によって可能となる利点が生かされないことになることが認識されるであろう。
【0010】
したがって、上述した不利益およびこれまでに経験された不利益を克服する分散型GPS処理システム、特にロケーションベースサービスを実施する分散型GPS処理システムが必要とされる。これにより、特に、現在のA−GPS技術で用いられているような、ポイントツーポイントおよびセルブロードキャストの測位手法のための複雑なインフラストラクチャを必要とせずに、同じロケーションエリア内のすべてのA−GPSユーザに、1組のみの支援データを配布するシステムが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供する方法が記述されている。この方法においては、複数の各ローカルエリアに対応する複数のGPS基準データセットが、それぞれのGPS基準データセットが連続的に更新されるように、定期的に取得される。複数の支援データセットが各GPSデータセットに基いて定期的に生成され、これにより、それぞれの支援データセットが連続的に更新される。生成された支援データセットは、データ格納ネットワークサーバに定期的に格納され、これにより、データ格納ネットワークサーバとの通信を介した要求側のエンティティによるアクセスに対して、更新された支援データセットが連続的に利用可能となる。
【0012】
開示されている主題の別の態様に従って、ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供する方法が記述されている。この方法においては、複数の各ローカルエリアに対応する複数のGPS基準データセットが、それぞれのGPS基準データセットが連続的に更新されるように、定期的に取得される。複数の支援データセットが各GPSデータセットに基づいて定期的に生成され、これにより、それぞれの支援データセットが連続的に更新される。生成された支援データセットは、データ格納ネットワークサーバに定期的に格納され、これにより、更新された支援データセットが連続的に利用可能となる。ローカルエリアのうちの1つの中に位置する移動局の測位の要求に応じて、移動局が位置するローカルエリアに基づいて格納された支援データセットが選択され、その選択された支援データセットが移動局の位置を示す最終的な測位結果を計算するのに利用される。
【0013】
開示されている実施形態に従って、ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供するシステムが記述されている。システムは、A−GPSサーバと、A−GPSサーバと通信するデータ格納ネットワークサーバと、データ格納ネットワークサーバと通信するLBSアプリケーションセンターとを備えている。A−GPSサーバは、複数のローカルエリアに対応するGPS支援データセットを生成するよう、かつローカルエリアのうちの1つに位置する移動局についての最終的な測位結果を計算するよう適応される。データ格納ネットワークサーバは、A−GPSサーバから支援データセットを受信するよう、かつその支援データセットを格納するよう適応される。LBSアプリケーションセンターは、選択された支援データセットを移動局に伝達するよう、かつA−GPSサーバによる最終的な測位結果の計算で使用するために測位結果を移動局からデータ格納ネットワークサーバに伝達するよう適応される。場合によっては、移動局の最終的な測位結果は、移動局の内部で計算され、A−GPSサーバがその測位結果を改良することなく、LBSアプリケーションセンターに伝達されて直接利用されてもよい。
【0014】
添付の図面および以下の記述を詳しく検討することにより、本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点が、当業者には明らかとなろう。このようなすべてのさらなるシステム、方法、特徴、および利点は、以下の記述に含まれており、本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲によって保護されているものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の記述では、添付の図面について言及がなされている。それらの図面は、本願の一部を形成し、本発明が実施される1つまたはそれ以上の詳細で例示的な実施形態が例として示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態も利用可能であること、および構造上の変更が行われ得ることを理解されたい。
【0016】
一態様に従って開示されている主題は、業界において現在用いられ開発されてきたポイントツーポイントおよびセルブロードキャストの測位サービスを超えてA−GPS測位に拡張するシステムアーキテクチャおよび方法を提供する。ここで、図1および図2を参照しながら、主題の実施形態の一例について記述する。これらの図は、(たとえば、インターネット、ワールドワイドウェブといった)TCP/IPネットワークなどのネットワークを通じて、ロケーションベースサービス(LBS)システムを提供するシステム100を示す概略図である。
【0017】
システム100は、1つまたはそれ以上のロケーションベースサービス(LBSサービス)エリア110を含む。LBSサービスエリア110は、たとえば、エンタープライズアプリケーション(Enterprise application)、WASPネットワーク、仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)などのためのエリアを構成することがある。図2に例示されているように、それぞれのLBSサービスエリア110は、複数のローカルエリアGPS基準データセンター212を含むことがある。それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、たとえばRS232データリンクなどの、適切な通信リンク216を通じて、ローカルGPS基準受信機214と通信する。それぞれのローカルGPS基準受信機214は、それ自身のGPSアンテナ218を利用して、複数の可視GPS衛星120から無線による伝送を介して、GPSデータを連続的に受信する。便宜上、3つのGPS衛星120しか例示されていないが、例示されているGPS衛星120は、より大きなGPS衛星群の一部であってよいことが理解されよう。それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、これに対応するローカルGPS基準受信機214によって取得されたGPSデータを収集する。それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、必要に応じて、これに対応するローカルGPS基準受信機214とインターフェースし、かつこの機能を実施するための、電子回路、コンピュータソフトウェア、および/またはハードウェアを含むことがあることが、当業者には理解されるであろう。収集されるGPSデータは、エフェメリス、アルマナック、GPS時刻、毎秒50ビットの航法メッセージ、DGPS補正、およびA−GPS測位に使用される他の種類のGPSデータを含むことがあるが、これらに限定されるものではない。所与のLBSサービスエリア110内のローカルエリアGPS基準データセンター212の数は、カバーされる特定のLBSサービスエリア110によって変わり得る。通常、ローカルエリアGPS基準データセンター212は、略直径が約30〜50kmの地理的サービスエリアをカバーする。他の例示的実施形態においては、サービスエリアは、約300〜500kmもの大きさであってもよい。
【0018】
それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、TCP/IP FTPサイトまたは他の基準ネットワークを含む、適切なデータリンク132を介してグローバルGPS基準ネットワーク130と通信することができる。グローバルGPS基準ネットワーク130は、全地球的な範囲でGPSデータをサポートする、任意のネットワークであってよい。好適なグローバルGPS基準ネットワーク130の一例は、既存のJPL基準ネットワークであるが、本発明の主題は、このネットワークの使用に限定されるものではない。グローバルGPS基準ネットワーク130は、適切なデータリンク136を介して二次基準データセンター134と通信することがあり、これにより、二次基準データセンター134が、グローバルGPS基準ネットワーク130からGPSデータを収集することが可能となる。収集されるGPSデータは、エフェメリス、アルマナック、GPS時刻、毎秒50ビットの航法メッセージ、DGPS補正、およびA−GPS測位に使用される他の種類のGPSデータを含み得るが、これらに限定されるものではない。以下にさらに記述するように、二次GPS基準データセンター134は、ハードウェア故障、ソフトウェア故障、リンク故障などにより、ローカルエリアGPS基準データセンター212がGPSデータをサポートしない場合に、GPS基準データをサポートするためのバックアップシステムとして利用されることがある。
【0019】
それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212はまた、TCP/IPリンクなどの適切な通信リンク142を通じて、A−GPSサーバ140と通信することがある。したがって、A−GPSサーバ140は、ローカルエリアGPS基準データセンター212から、ローカルGPS基準データ(たとえば、エフェメリス、アルマナック、GPS時刻、毎秒50ビットの航法メッセージ、DGPS補正、およびA−GPS測位に使用される他の種類のGPSデータ)を受信することがある。A−GPSサーバ140は、グローバルGPS基準データ(たとえば、エフェメリス、アルマナック、GPS時刻、毎秒50ビットの航法メッセージ、DGPS補正、およびA−GPS測位に使用される他の種類のGPSデータ)を受信するよう、TCP/IPリンクなどの適切な通信リンク144を介して、二次基準データセンター134と通信することがある。その上、A−GPSサーバ140は、以下に記述するように、これら2つのネットワーク要素の間のデータ転送を可能にするための、TCP/IPリンクなどの適切な通信リンク152を介して、たとえば保護されているインターネットサーバ(たとえば、FTPサーバまたはウェブサーバ)などの、データ格納ネットワークサーバ150と通信することがある。A−GPSサーバ140は、いくつかの機能を遂行する。これらの機能は、ローカルエリアGPS基準データセンター212および/または二次基準データセンター134から収集されたGPS基準データを管理することと、このようなGPSデータを検証することと、データ格納ネットワークサーバ150に格納するためにGPS支援データを生成しフォーマット化することと、A−GPS対応のターゲット移動局160によって出力された測位結果に基づいてその移動局160の最終的な測位結果を計算することと、最終的な測位結果をデータ格納ネットワークサーバ150に提供することとを含む。以下、これらの機能の多くについてさらに記述する。データ格納ネットワークサーバ150は、A−GPSサーバ140によって提供されたA−GPSデータ、測位結果などを含む、多様なロケーションベースデータの格納を管理する。その上、データ格納ネットワークサーバ150は、アプリケーションサイト情報、ユーザ情報などの格納を管理するのに用いられ得る。さらにまた、データ格納ネットワークサーバ150は、データファイルへのユーザアクセスを制御し、データにアクセスするユーザの数、特定のユーザがデータにアクセスした回数、課金プロセスなどを追跡するのに用いられ得る。
【0020】
移動局160は、非アシストモードおよびアシストモードを含む多くのオペレーションモードが可能であり、少なくとも1つのモードが手動または自動で選択可能であり、本明細書に記述されている実施形態との互換性を保つためにA−GPSに対応している。移動局160は、たとえば、(ワイヤレスハンドセット、セルホン、移動電話、またはモバイルホンとしても公知の)携帯電話などのワイヤレスデバイス、または携帯情報端末(「PDA」)、ページャ、コンピュータ、双方向無線、基幹無線、特殊化移動体無線(「SMR」)、または場所情報を特定することが望ましい他の任意のデバイスを含むが、これらに限定されるものではない、他の任意の種類のモバイルデバイスの形態をとることがある。携帯電話の場合には、移動局160が、CDMA、CDMA−2000、W−CDMA、TDMA、FDMA、GSM、UMTS、AMPS、ブルートゥース、Wi−Fi、および/またはこれらの伝送方式または同様の方式の任意の組合せまたは拡張を含むが、これらに限定されるものではない、任意の伝送方式を利用して任意の無線周波数(「RF」)帯域で動作する、通信区域内のセルラトランシーバを利用することがある。移動局160は、本願の出願人に譲渡された、「支援型測位通信システム(Aided Location Communication System)」と題された、同時係属中の米国特許出願第10/885,507号(2004年7月3日出願)に開示されている、支援型測位通信デバイス(「ALCD」)であり得る。
【0021】
ロケーションベースサービス(LBS)アプリケーションセンターまたはサーバ170は、2つのネットワーク要素の間のデータ転送を可能にするための、TCP/IPリンクなどの適切な通信リンク172を介して、データ格納ネットワークサーバ150と通信する。LBSアプリケーションセンター170は、いくつかのネットワーク要素との通信を管理するために設けられる。LBSアプリケーションセンター170は、LBSアプリケーションセンター170とターゲット移動局160との間のA−GPSデータおよびアプリケーションデータ転送を可能にするための、図1に例示されているターゲット移動局160を含む、ワイヤレスネットワークに関与している任意の数の移動局160と通信する。ワイヤレスネットワークは、たとえば、図1に例示されているセルラ基地局174で表されている複数のセルラ基地局174を含む、セルラ電話ネットワークであり得る。セルラ基地局174は、無線によるインターネットまたはWAP IP接続などの好適なインターフェース176を介して、LBSアプリケーションセンター170にデータを配布することがある。LBSアプリケーションセンター170は、移動局160のためにデータ格納ネットワークサーバ150に格納されているA−GPSデータのアクセスを管理する。その上、LBSアプリケーションセンター170は、TCP/IPリンクまたは他の種類のインターネット接続などの、それぞれ適切な通信リンク182および192を使用して、1つまたはそれ以上のGISサーバ180および/または他のアプリケーションサーバ190などの、1つまたはそれ以上のロケーションベースアプリケーションサーバまたはセンターと通信することがある。GISサーバ180は、地図データ、経路情報、POI(point−of−interest)情報などを用いて、LBSアプリケーションセンター170をサポートする。インターネットアプリケーションサーバなどのネットワークアプリケーションサーバであることが好ましい、アプリケーションサーバ190は、ビジネス関連情報、マーケティング関連情報、データベース情報などの、位置データが要求されたターゲット移動局160の計算された場所に基づく他の種類の情報を用いて、LBSアプリケーションセンター170をサポートする。このようなロケーションベース情報の例には、ターゲット移動局160の付近のビジネスやイベントの広告、クーポン、チケット、カタログなどが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。一つの選択肢として、適切な状況においては、LBSアプリケーションセンター170は、アプリケーションサーバ190に、図1に例示されている通信リンク194で表されているように、データ格納ネットワークサーバ150から直接的にターゲット移動局160についての場所情報にアクセスする許可を与えることがある。
【0022】
ここで、図1および図2に例示されているシステムの動作の一例について記述する。前述のように、それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、関連するローカルカバレージエリアから見えるGPS衛星120からの未加工のGPSデータの収集を管理する。好ましい実装形態においては、それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、これに対応するローカルGPS基準受信機214から、未加工のGPSデータを連続的に収集する。この場合、「連続的」という用語は、周期的にまたはある時間間隔で(たとえば、30秒毎に)を意味する。その上、それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、ローカルGPS基準受信機214の位置を取得する。代表的な実施形態においては、ローカルGPS基準受信機214の位置がこれに対応するローカルエリアGPS基準データセンター212の位置となるように、それぞれのローカルGPS基準受信機214は、これに対応するローカルエリアGPS基準データセンター212に設置されている。それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、収集された未加工のGPSデータをA−GPSサーバ140に送信する。好ましい実施形態においては、それぞれの組の未加工のGPSデータは、ローカルエリアGPS基準データセンター212で適宜取得され処理された直後に、A−GPSサーバ140に送信される。つまり、それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、その直近のGPSデータをA−GPSサーバ140に連続的に(たとえば、30秒毎に)提供し得る。その上、それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212は、その位置をA−GPSサーバ140に提供する。このようにして、A−GPSサーバ140は、各ローカルエリアGPS基準データセンター212によってカバーされるサービスエリア内に配置された移動局160のために、最新の測位支援データを生成し得る。好ましい実施形態においては、ローカルエリアGPS基準データセンター212からのローカルGPSデータおよび位置情報の伝送および連続的なこれらのデータの更新が、A−GPSサーバ140によって開始される。即ち、A−GPSサーバ140は、その特定のローカルエリアGPS基準データセンター212から見える衛星120からの最新のGPSデータを提供するよう、それぞれのローカルエリアGPS基準データセンター212に連続的に要求する。
【0023】
ローカルGPS基準受信機214がGPSデータを提供しない場合には、これに対応するローカルエリアGPS基準データセンター212は、好ましい実施形態において、GPSデータ収集をローカルGPS基準受信機214からグローバルGPS基準ネットワーク130に切り換える。グローバルGPS基準ネットワーク130から収集されたGPSデータには、ローカルエリアGPS基準データセンター212の位置に基づいてローカル可視衛星120のためにフィルタがかけられる。二次GPS基準データセンター134は、グローバルGPS基準ネットワーク130からグローバルGPSデータを収集し、A−GPSサーバ140による要求に応じて、データをA−GPSサーバ140に提供する。
【0024】
A−GPSサーバ140は、それぞれのローカルエリアについてのGPSデータのセットまたはパケットを記憶場所内に格納し、それぞれのローカルエリアに対応する支援データのセットまたはパケットを生成するようデータセットを処理する。支援データは、特定のローカルサービスエリア内に配置された移動端末160にのみ利用可能である。(移動局160などの)要求側のエンティティからの要求がなくても、支援データが生成される。何故なら、同じサービスエリア内のあらゆる移動局160が、そのサービスエリアに適応可能な支援データを使用し得るからである。A−GPSサーバ140は、支援データを当業界でサポートされている任意のプロトコルタイプにフォーマット化し得る。プロトコルおよび支援タイプの例には、以下の表1および表2に記載されているものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
移動局基準型(MS−Based)支援タイプについては、A−GPSデータを用いて、移動局160内で位置が計算され、A−GPSサーバ140に戻されることに留意されたい。移動局援助型(MS−Assisted)支援タイプについては、A−GPSデータを用いて、移動局160から戻されたGPS結果に基づいて、A−GPSサーバ140内で位置が計算される。所与の支援メッセージが、ローカルエリアGPS基準データセンター212の位置を示す測位支援データを含み得ることにさらに留意されたい。
【0026】
A−GPSサーバ140は、1組の支援データを支援プロトコルメッセージフォーマットに処理すると、その支援データをデータ格納ネットワークサーバ150に書き込む。このようにして、それぞれのローカルエリアについての最新の支援データは、データ格納ネットワークサーバ150にアクセスすることにより、常時取得することができる。したがって、システム100は、従来技術のシステムとは異なり、支援データを計算するために、ユーザが始動する測位要求を待つ必要がない。したがって、システム100のアーキテクチャおよびオペレーションがいくつかの利点を有することが分かる。移動局160の測位要求がなされた場合には、既存の現在の支援データが、その要求に応じて、データ格納ネットワークサーバ150から検索され得る。即ち、支援データを生成するのに、その要求自体は必要ではなく、したがって、ネットワークの待ち時間およびA−GPSデータを作るのに必要な時間が減少し、初期測位時間(TTFF)が向上し、さらにデータ転送に必要なネットワーク帯域幅が減少する。データ格納ネットワークサーバ150に書き込まれる支援データの構造は、以下の表3および表4に記載されている構造を含むことがあるが、これら限定されるものではない。
【0027】
A−GPSサーバ140によって生成された支援データは、ターゲット移動局160の測位の要求を満たすのに利用され得る。このような要求は、システム100と通信している、任意の適切な要求側のエンティティによって行われ得る。要求側のエンティティは、たとえば、ロケーションベースサービス(たとえば、地図情報、走行指示、追跡、宣伝情報)または緊急サービス(たとえば、E911サービス)を移動局160のユーザに提供するために移動局160の位置を利用する、アプリケーション、サイト、またはエンドユーザであり得る。要求側のエンティティはまた、ターゲット移動局160自体、またはターゲット移動局160の位置を探索する別の移動局であり得る。便宜上、図1および図2に例示されている例示的システム100の動作についての以降の記述においては、本明細書に包含されるシステム100および方法はこのシナリオに限定されるものではないという認識のもとで、要求側のエンティティは移動局160であることを想定している。
【0028】
一例示的実施形態において、LBSアプリケーションセンター170への測位要求がなされる。測位要求を受信すると、LBSアプリケーションセンター170は、たとえば、移動局160のID(たとえば、携帯電話番号、エンタープライズアプリケーション用のユーザタグなど)に、および移動局160のおおよその位置(たとえば、商業用アプリケーションについてのセル位置など)に基づいて、移動局160をサービスエリアにマップする。LBSアプリケーションセンター170はまた、移動局160のIDおよび/または他の種類の情報に基づいて、移動局160にどの支援プロトコルが使用されるかを判断し得る。適切な支援プロトコルが判断され、サービスエリアが識別されると、LBSアプリケーションセンター170は、データ格納ネットワークサーバ150に格納されているサービスエリアディレクトリにアクセスし、ターゲット移動局160が位置するエリアに関連する支援データを検索する。LBSアプリケーションセンター170は、データを復号化したり再フォーマットしたりせずに、データ格納ネットワークサーバ150から移動局160に支援データをデータパケットとして渡す。LBSアプリケーションセンター170はまた、サービスエリアIDを支援メッセージに追加するように選択し得る。サービスエリアIDは、移動局160によって戻された測位結果メッセージに添付され得る。LBSアプリケーションセンター170は、測位結果をデータ格納ネットワークサーバ150内の適切な行先に素早く伝送し得る。
【0029】
一例示的実施形態においては、移動局160はA−GPSに対応しており、したがって、図1にGPSアンテナ196で例示されているように、移動局160にA−GPSユニットが統合されている。任意の好適な移動局160が、システム100内で用いられ得る。例には、携帯電話、PDA、ページャ、ハンドヘルドデバイス、ポータブルコンピュータなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。支援データを受信した後、ターゲット移動局160は、従来のA−GPS測位方法に従って、支援データを復号し、次いで、その支援データを移動局160に関連付けられたA−GPSユニットに渡し得る。A−GPSユニットは、任意の従来のA−GPS測位方法に従って、支援データを使用して測位結果(たとえば、移動局基準型モードに対してはX、Y、Zでの位置、移動局援助型モードに対してはGPS結果)を計算し得る。内蔵されたA−GPSユニットを含む代わりに、ワイヤレスまたはワイヤードデータリンクを介して、ローカルA−GPSの付属品、即ち外付けA−GPSユニットを接続可能な移動局160も提供され得る。いずれの場合にも、移動局160について計算された測位結果が、任意の従来の方法に従って、好適なプロトコルメッセージに詰め込まれ、LBSアプリケーションセンター170に送信される。移動局160は、支援メッセージ内のサービスエリアIDを受信した場合、測位結果を有するサービスエリアIDを戻し得る。
【0030】
LBSアプリケーションセンター170は、移動局160から測位結果を受信すると、移動局160が存しているサービスエリアを判断する。次いで、LBSアプリケーションセンター170は、測位結果メッセージをデータ格納ネットワークサーバ150に先着順に送信する。例示的実施形態においては、LBSアプリケーションセンター170自体は、プロトコルメッセージ内の測位結果を復号したり符号化したりする必要がないことに留意されたい。その上、測位結果は、移動局基準型か移動局援助型かに関係なく、1つのプロトコルメッセージフォーマットで戻される。A−GPSサーバ140は、移動局160の位置を計算するために、位置決めモードの情報(移動局基準型または移動局援助型)を使用する必要がない。商業用アプリケーションについては、LBSアプリケーションセンター170は、たとえば、RRLP、RRC、IS−801などの、一つ以上のプロトコル内の測位結果を受信することがある。しかし、端末IDに基づいて、LBSアプリケーションセンター170は、測位結果メッセージ内でどのタイプのプロトコルが使用されているかを判断することができ、したがって、測位結果メッセージは、データ格納ネットワークサーバ150内のプロトコルベースのディレクトリ内に格納され得る。
【0031】
データ格納ネットワークサーバ150内に書き込まれた測位結果のデータ構造は、以下の表5および表6に記載されている構造を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0032】
一例示的実施形態においては、A−GPSサーバ140は、新しい測位結果メッセージのために、データ格納ネットワークサーバ150内の測位結果ディレクトリを連続的に走査する。任意のこのような測位結果データについて、A−GPSサーバ140は、A−GPSサーバ140内で動作するナビゲーションエンジンを使用して、移動局160のための最終的な測位結果を計算する。最終的な測位結果は、以下のパラメータ、即ち、経度、緯度、高度についての位置、位置誤差、測位時刻、速度、方位情報などを含み得るが、これらに限定されるものではない。最終的な測位結果を計算すると、A−GPSサーバ140は、最終的な測位結果をデータ格納ネットワークサーバ150に伝送し、ここで、この組のデータが、データ格納ネットワークサーバ150内の適切なディレクトリ内に格納される。データ格納ネットワークサーバ150内に格納されると、最終的な測位データは、最終的な測位情報、および/または最終的な測位情報に基づくアプリケーションまたはサービスを、要求側のエンティティ(たとえば、移動局、アプリケーション、サイト、エンドユーザなど)に提供する際に使用するための適切なネットワーク要素によってアクセスされ得る。データ格納ネットワークサーバ150内のディレクトリ構造の非制限的な例を、以下の表7に記載する。
【0033】
一例示的実装形態においては、LBSアプリケーションセンター170は、データ格納ネットワークサーバ150から最終的な測位情報を検索する。LBSアプリケーションセンター170は、最終的な測位情報およびターゲット移動局160のID(たとえば、携帯電話番号)を使用して、市街地図、POI、道路経路情報などを得るようGISサーバ180とインターフェースする、および/またはターゲット移動局160の特定された場所に関連するコンテンツ(たとえば、広告、クーポン、チケット、付近のビジネス、交通または天候情報など)を生成するようコンテンツまたはサービスプロバイダのアプリケーションサーバ190とインターフェースするなどにより、ターゲット移動局160のためのロケーションベースアプリケーションまたはサービスを生成し得る。当業者には、最終的な測位結果およびターゲット移動局160のIDがLBSアプリケーションセンター170で利用可能になることによって、多様な異なる種類の場所サービスおよびコンテンツアプリケーションが、要求側のエンティティへの提示を目的として、開発され得ることが認識されるであろう。
【0034】
ここで、図3を参照すると、ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供する方法の一例が例示されている。この方法は、ブロック300から開始し、ブロック305で、GPS基準データが取得される。そのデータは複数のセットまたは複数のパケットの中にあることを特徴としており、そのセットまたはパケットはそれぞれがあるエリア(たとえば、セル、セクタ、サブセクタ、ビームなど)に対応している。ブロック310で、取得されたそれぞれのセットのGPS基準データについて、これに対応するセットの支援データが生成される。ブロック320で、このように生成された支援データのセットが、測位を要求しているエンティティがデータにアクセスできるような場所におよび態様で格納される。次いで、この方法は、ブロック325で終了する。
【0035】
たとえば、上述したように、支援データは、データ格納ネットワークサーバ150に格納されることがある。したがって、支援データは、測位要求が行われる時点で利用可能である。即ち、測位要求に応じて、ブロック300、310、および320に要約された動作を開始する必要がない。上述したように、ブロック300、310、および320に要約された動作を定期的な間隔で繰り返すことで、位置が探索された移動局160が位置する任意の場所について、アクセス可能な支援データが更新されることが好ましい。
【0036】
上述のシステム100およびその動作は、1つまたはそれ以上のネットワークを通じてロケーションベース情報を生成し配布するための先行技術による手法と比べて、いくつかの利点を有する。たとえば、ネットワーク全体に渡るA−GPSデータ転送に従来必要とされていた複雑なインフラストラクチャが不要となる。ネットワーク遅延およびA−GPSデータを作るのに必要な時間、およびデータ転送に必要なネットワーク帯域幅が減少する。初期測位時間が短縮される。エンタープライズアプリケーションおよび商業用アプリケーション用のLBSソリューションに容易に拡張可能である。しかも、システム100は、コンテントプロバイダに、ロケーションベースの収益を生むための経済的かつ容易な方法を提供する。システム100により、データ格納ネットワークサーバ150へのアクセス履歴を介してA−GPSトランザクションの追跡が容易となり、したがって、課金プロセスが容易となる。
【0037】
当業者には、図1および図2に関連して記述されている、1つまたはそれ以上のプロセス、サブプロセス、またはプロセスステップが、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって遂行されることが理解され、また認識されよう。プロセスがソフトウェアによって遂行される場合、そのソフトウェアは、可変変調ユニキャストシステム内のソフトウェアメモリ(図示せず)内に存在していることがある。ソフトウェアメモリ内のソフトウェアは、論理機能(即ち、ディジタル回路またはソースコードなどのディジタル形態、またはアナログ電気、サウンド、またはビデオ信号などのアナログ回路またはアナログソースなどのアナログ形態のいずれかで実施される「論理」)を実施するための実行可能な命令の順序付きリストを含み、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、或いは命令実行システム、装置、またはデバイスから命令を選択的にフェッチし、その命令を実行する他のシステムなどの、命令実行システム、装置、またはデバイスによりまたはこれと関連して使用するための、任意のコンピュータ読取可能(または信号担持)媒体内に選択的に具現化されることがある。本明細書において、「コンピュータ読取可能媒体」および/または「信号担持媒体」とは、命令実行システム、装置、またはデバイスによりまたはこれと関連して使用するためのプログラムを、含む、格納する、通信する、伝播する、または輸送する任意の手段である。コンピュータ読取可能媒体は、選択的に、たとえば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、デバイス、または伝播媒体であり得るが、これらに限定されるものではない。コンピュータ読取可能媒体の、より具体的な例であるが非網羅的なリストには、以下のものが含まれる。即ち、1つまたはそれ以上のワイヤーを有する電気接続(電子)、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、RAM(電子)、読取専用メモリ「ROM」(電子)、消去可能プログラム可能読取専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)(電子)、光ファイバ(光学)、およびポータブルコンパクトディスク読取専用メモリ「CDROM」(光学)である。コンピュータ読取可能媒体は、プログラムが印刷された紙または別の好適な媒体でもあり得ることに留意されたい。何故なら、プログラムは、たとえば紙または他の媒体の光学走査を介して電子的に捕獲され、次いでコンパイルされ、解釈され、或いは必要な場合には好適な方法で処理され、次いでコンピュータメモリ内に格納され得るからである。
【0038】
以上の記述は、GPSベースの通信システムの使用について言及しているが、本発明の主題は、このようなシステムに限定されるものではない。データ格納ネットワークサーバ150およびLBSアプリケーションセンター170などの、上述したネットワーク要素によって提供される機能から利益が得られる、任意の測位技術が、システム100において実施され得る。
【0039】
しかも、実施形態についての前述の記述は、例示および説明のために示されたものであることが理解されよう。これは、何ら網羅的なものではなく、また開示されている厳密な形態に特許請求の範囲に記載された発明を限定するものでもない。修正形態および変更形態が、上記の記述より可能となり、本発明を実践することによって取得されるであろう。特許請求の範囲およびそれらの均等によって、本発明の範囲が確定される。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明は、添付の図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。図中の構成要素は、必ずしも正しく拡大縮小したものではなく、本発明の原理を説明するために強調されている。図面全体を通じて、対応する部分には同様の参照符号が付されている。
【0048】
【図1】本発明の一実施形態における、ロケーションベースサービスを提供するシステムを示す概略図である。
【図2】図1に例示されているシステムの一部分を示す概略図であって、ネットワークの一部を形成するロケーションベースサービスエリアのアーキテクチャの詳細をさらに例示した図である。
【図3】本発明の一実施形態における、ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供する方法を例示するフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供する方法であって、
複数のGPS基準データセットを定期的に取得する工程と、
前記各GPS基準データセットに基づいて、複数の支援データセットを定期的に生成する工程と、
データ格納ネットワークサーバに、前記生成された支援データセットを定期的に格納する工程を備えており、
前記複数のGPS基準データセットが複数の各ローカルエリアに対応しており、
前記取得する工程によって、前記各GPS基準データセットが連続的に更新され、
前記生成する工程によって、前記各支援データセットが連続的に更新され、
前記格納する工程によって、前記データ格納ネットワークサーバとの通信を介した要求側のエンティティによるアクセスに対して、前記更新された支援データセットが連続的に利用可能となる方法。
【請求項2】
前記取得する工程が、前記各ローカルエリアのそれぞれに供する複数のローカルGPS基準データセンターからGPSデータを検索する工程を備える、請求項1の方法。
【請求項3】
前記複数のローカルGPS基準データセンターが、1つまたはそれ以上のGPS衛星からGPS信号を取得するよう適応された各ローカルGPS基準受信機と通信する、請求項2の方法。
【請求項4】
前記検索する工程が、前記ローカルGPS基準データセンターのそれぞれからのGPSデータを要求するようにA−GPSサーバを動作させる工程を備える、請求項2の方法。
【請求項5】
前記生成する工程が、A−GPSサーバを動作させる工程を備える、請求項1の方法。
【請求項6】
前記生成された支援データセットを前記A−GPSサーバから前記データ格納ネットワークサーバに送信する工程を備える、請求項5の方法。
【請求項7】
前記データ格納ネットワークサーバがウェブサーバを備える、請求項1の方法。
【請求項8】
前記データ格納ネットワークサーバがFTPサーバを備える、請求項1の方法。
【請求項9】
前記要求側のエンティティから移動局の測位の要求を受信する工程と、
前記要求に応じて、前記移動局が位置する前記ローカルエリアに基づいて、前記複数の生成された支援データセットの中から支援データセットを選択する工程を備える、請求項1の方法。
【請求項10】
前記選択された支援データセットを前記データ格納ネットワークサーバから前記移動局に送信する工程を備える、請求項9の方法。
【請求項11】
前記要求側のエンティティが前記移動局を備える、請求項9の方法。
【請求項12】
前記要求側のエンティティがアプリケーションサーバを備える、請求項9の方法。
【請求項13】
前記選択する工程が、前記移動局と及び前記データ格納ネットワークサーバと通信するロケーションベースサービスアプリケーションセンターを動作させる工程を備える、請求項9の方法。
【請求項14】
前記選択された支援データセットに基づいて測位結果を計算する工程と、
前記データ格納ネットワークサーバに前記測位結果を格納する工程を備える、請求項9の方法。
【請求項15】
前記測位結果を計算する工程が、前記移動局に統合されたA−GPSユニットを動作させる工程を備える、請求項14の方法。
【請求項16】
前記測位結果を計算する工程が、前記移動局と通信する外付けのGPSユニットを動作させる工程を備える、請求項14の方法。
【請求項17】
以前に計算された前記測位結果に基づいて最終的な測位結果を計算する工程と、
前記データ格納ネットワークサーバに前記最終的な測位結果を格納する工程を備える、請求項14の方法。
【請求項18】
前記最終的な測位結果を計算する工程が、前記データ格納ネットワークサーバと通信するA−GPSサーバを動作させる工程を備える、請求項17の方法。
【請求項19】
前記データ格納ネットワークサーバに格納された新たな測位結果を求めて前記データ格納ネットワークサーバを連続的に走査する工程と、
発見された新たな測位結果のそれぞれに対応する最終的な測位結果を計算する工程と、
前記データ格納ネットワークサーバに前記最終的な測位結果を格納する工程を備える、請求項17の方法。
【請求項20】
前記走査する工程が、前記データ格納ネットワークサーバと通信するA−GPSサーバを動作させる工程を備える、請求項19の方法。
【請求項21】
前記計算された最終的な測位結果に基づいてロケーションベースサービス情報を生成する工程と、
前記ロケーションベースサービス情報を前記要求側のエンティティに送信する工程を備える、請求項17の方法。
【請求項22】
前記要求側のエンティティが前記移動局を備える、請求項21の方法。
【請求項23】
前記要求側のエンティティがアプリケーションサーバを備える、請求項21の方法。
【請求項24】
前記ロケーションベースサービス情報を生成する工程が、
データベースからロケーションベースサービスデータを検索する工程と、
前記計算された最終的な測位結果に基づいてロケーションベースサービスアプリケーションを生成する工程を備える、請求項21の方法。
【請求項25】
前記ロケーションベースサービスデータを検索する工程が、ロケーションベースサービスアプリケーションサーバにアクセスする工程を備える、請求項24の方法。
【請求項26】
前記ロケーションベースサービスアプリケーションサーバがGISサーバを備える、請求項25の方法。
【請求項27】
前記ロケーションベースサービスアプリケーションサーバがインターネットアプリケーションサーバを備える、請求項25の方法。
【請求項28】
前記ローカルエリアのうちの1つの中に位置する移動局の測位の要求に応じて、
前記移動局が位置する前記ローカルエリアに基づいて、格納された支援データセットを選択する工程と、
前記選択された支援データセットを使用して、前記移動局の前記位置を示す最終的な測位結果を計算する工程とをさらに備える、請求項1の方法。
【請求項29】
前記取得する工程が、前記各ローカルエリア内に位置する複数のGPS基準受信機によって受信されたGPS信号に基づいて、A−GPSサーバを動作させてGPSデータを検索する工程を備え、
前記生成する工程が、A−GPSサーバを動作させて前記検索されたGPSデータを処理する工程を備える、請求項28の方法。
【請求項30】
前記選択する工程が、前記移動局と及び前記データ格納ネットワークサーバと通信するロケーションベースサービスアプリケーションセンターを動作させる工程を備える、請求項28の方法。
【請求項31】
前記最終的な測位結果を計算する工程が、A−GPSサーバを動作させる工程を備える、請求項28の方法。
【請求項32】
前記A−GPSサーバを動作させて、前記データ格納ネットワークサーバに格納された新たな測位結果を求めて前記データ格納ネットワークサーバを連続的に走査し、発見された新たな測位結果に対応する最終的な測位結果を計算する工程を備える、請求項31の方法。
【請求項33】
前記最終的な測位結果を前記データ格納ネットワークサーバに伝送してそこに格納する工程を備える、請求項32の方法。
【請求項34】
前記データ格納ネットワークサーバにアクセスして選択された最終的な測位結果を取得する工程と、
前記選択された最終的な測位結果に基づいてロケーションベースサービス情報を生成する工程を備える、請求項33の方法。
【請求項35】
前記計算された最終的な測位結果に基づいて、ロケーションベースサービス情報を生成する工程を備える、請求項28の方法。
【請求項36】
ネットワークを通じてロケーションベース情報を提供するシステムであって、
A−GPSサーバと、
前記A−GPSサーバと通信するデータ格納ネットワークサーバと、
前記データ格納ネットワークサーバと通信するLBSアプリケーションサーバを備えており、
前記A−GPSサーバが、複数のローカルエリアに対応するGPS支援データセットを生成し、前記ローカルエリアのうちの1つの中に位置する移動局についての最終的な測位結果を計算し、
前記データ格納ネットワークサーバが、前記A−GPSサーバから前記支援データセットを受信し、前記支援データセットを格納し、
前記LBSアプリケーションセンターが、選択された支援データセットを移動局に送信し、A−GPSサーバによる前記最終的な測位結果の計算で使用するために測位結果を前記移動局から前記データ格納ネットワークサーバへ伝送するシステム。
【請求項37】
前記A−GPSサーバが前記各ローカルエリア内に配置された複数のGPS基準データセンターと通信する、請求項36のシステム。
【請求項38】
前記データ格納ネットワークサーバがウェブサーバを備える、請求項36のシステム。
【請求項39】
前記データ格納ネットワークサーバがFTPサーバを備える、請求項36のシステム。
【請求項40】
前記LBSアプリケーションセンターが複数の移動局に供するワイヤレスネットワークと通信する、請求項36のシステム。
【請求項41】
前記LBSアプリケーションセンターがネットワークアプリケーションサーバと通信する、請求項36のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−535314(P2008−535314A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503008(P2008−503008)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/007888
【国際公開番号】WO2006/104642
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(501382085)サーフ テクノロジー インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】