説明

ネットワーク中継装置及びその制御方法

【課題】 マスタ側スイッチに障害が発生した場合に、ネットワーク内にループが発生したり、ネットワーク内のデータの通信が停止したりすることなく、正常な通信を継続することができるようにする。
【解決手段】 バックアップである上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、動作状態がバックアップである場合において、ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、ポートに接続されている何れかの回線を介して、マスタである上流スイッチSW1から送信された部分障害メッセージを受信したら、上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ネットワークにおいては、回線や装置での障害発生により、ネットワーク全体の機能が停止しないようにするために、冗長構成が採られている。
【0003】
一方、OSI参照モデルにおける第2層(データリンク層)と第3層(ネットワーク層)には、ネットワーク特性上、次のような違いがある。すなわち、第3層として、例えば、代表的なインターネット・プロトコル(IP:Internet Protocol)の場合、装置間に回線を接続しても、装置にIPアドレスが設定されていないと、その装置間でデータの通信はできないのに対し、第2層として、例えば、代表的なイーサネット(Ethernet)(登録商標)の場合、装置間を回線で接続すれば、その装置間でデータの通信が可能となる。
【0004】
従って、例えば、第2層(L2:Layer 2)対応のネットワーク中継装置として、L2スイッチを用いる場合、L2スイッチ間で回線を2本以上接続したり、冗長構成を複数のL2スイッチで構築したりすると、ネットワーク内にループが発生してしまう。
【0005】
ネットワーク内に、このようなループが発生すると、次のような問題が発生し得る。例えば、イーサネット(登録商標)を用いてパケットの送受信を行う場合、パケットの宛先(MACアドレス)が不明であると、L2スイッチは、受信回線以外のすべての回線に送信する。L2スイッチは、一度送信したパケットを記憶しないため、ネットワーク内に上記のようなループがあると、ループ内をいつまでも回り続け、L2スイッチのパケット転送処理に大きな負荷がかかると共に、他のネットワークへも波及して、回線容量を占有してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、ループを構成している複数の回線及び複数のL2スイッチを、運用系と待機系とに分け、待機系のL2スイッチにおいてパケット転送をブロックして、待機系の回線を論理的切断状態にして、運用系のL2スイッチ及び回線だけでデータの通信を行うことにより、結果的に、ネットワーク内にループが発生しないようにしていた。
【0007】
なお、バーチャルLAN(VLAN)の場合、運用系,待機系の設定は、単一もしくは複数のバーチャルLANをまとめたグループ毎に行う。従って、或るグループでは、運用系であるL2スイッチや回線が、別のグループでは、待機系となる場合もあり、その逆の場合もあり得る。
【0008】
また、従来においては、障害が発生した場合に、運用系から待機系にスムーズに切り換えるようにするために、互いに連動してマスタ(Master)/バックアップ(Backup)の切り換えを行い得る1対のL2スイッチを用いる場合があった。
【0009】
このような対となったL2スイッチを用いる場合、一方のL2スイッチをマスタ側スイッチに設定して、運用系として用い、他方のL2スイッチをバックアップ側スイッチに設定して、待機系として用いる。そして、マスタ側スイッチではポートをオープンにして、物理的に接続されている回線を論理的接続状態としてデータの通信を可能とし、バックアップ側スイッチではポートをブロックして、物理的に接続されている回線を論理的切断状態にしている。運用中は、マスタ側スイッチとバックアップ側スイッチとの間で、両者をつなぐ直結回線(direct-link:以下、ダイレクトリンクという)を介して、定期的に制御メッセージのやりとりを行い、互いの生存を確認している。そして、マスタ側スイッチ自体またはマスタ側スイッチに接続されている回線に、障害が発生した場合には、バックアップ側スイッチがそれを検知して、自らマスタに切り換わり、ブロックしていたポートをオープンして、物理的に接続されている回線を論理的接続状態としてデータの通信を可能にする。これより、ネットワーク自体も運用系から待機系に切り換わる。
【0010】
なお、以上のようなネットワーク技術に関連するものとしては、例えば、下記の特許文献1に記載のものが挙げられる。
【0011】
【特許文献1】米国特許5,473,599号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来においては、上記したとおり、マスタ側スイッチとバックアップ側スイッチとの間で、ダイレクトリンクを介して定期的に制御メッセージのやりとりを行い、互いの生存を確認している。しかしながら、少なくともダイレクトリンクに障害が発生した場合、バックアップ側スイッチでは、ダイレクトリンクに障害が発生していること自体は検知することができるが、マスタ側スイッチにおいて完全障害が発生しているのか、マスタ側スイッチにおいて部分障害が発生しているのか、を正しく判定することが困難であるという問題があった。ここで、完全障害とは、マスタ側スイッチ自体が障害により完全に機能しなくなった状態や、マスタ側スイッチに接続される全ての回線に障害が発生した状態などをいう。また、部分障害とは、少なくともダイレクトリンクに障害が発生しており、マスタ側スイッチに接続されるダイレクトリンク以外の回線の少なくとも1つに障害が発生していない状態をいう。すなわち、完全障害では、マスタ側スイッチに接続される全ての回線においてデータの通信が不可能な状態にあるが、部分障害では、マスタ側スイッチに接続される少なくとも1つの回線(ダイレクトリンクを除く)においてデータの通信が可能な状態にある。
【0013】
そのため、例えば、マスタ側スイッチに部分障害が発生した場合、バックアップ側スイッチが、仮に、ダイレクトリンク障害の発生を検知したことにより、直ちに、自らマスタに切り換わってしまうと、マスタ側スイッチに接続される少なくとも1つの回線(ダイレクトリンクを除く)ではデータの通信が可能であるにも関わらず、バックアップ側スイッチは、ブロックしていたポートをオープンして、物理的に接続されている回線を論理的接続状態としてデータの通信を可能にしてしまうため、対となったL2スイッチが両者ともマスタとなる、いわゆるダブルマスタ状態となり、これら対となったL2スイッチの各々を介してデータの通信が行われ、ネットワーク内にはループが発生してしまうという問題があった。
【0014】
また、例えば、マスタ側スイッチに完全障害が発生した場合、バックアップ側スイッチが、仮に、ダイレクトリンク障害の発生を検知しても、マスタに切り換わらず、バックアップを継続してしまうと、マスタ側スイッチに接続される全ての回線ではデータの通信が不可能な状態にあるにも関わらず、バックアップ側スイッチは、ポートをブロックし、物理的に接続されている回線を論理的切断状態にしたままとなるため、対となったL2スイッチでは、両者とも、データの通信が行われなくなり、ネットワーク内のデータの通信が停止してしまうという問題があった。
【0015】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、マスタ側スイッチに障害が発生した場合に、ネットワーク内にループが発生したり、ネットワーク内のデータの通信が停止したりすることなく、正常な通信を継続することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の第1のネットワーク中継装置は、少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている何れかの回線を介して、前記特定ネットワーク装置から送信されたメッセージであって、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを受信したら、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生しているものと判定することを要旨とする。
【0017】
このように、第1のネットワーク中継装置では、動作状態がバックアップである場合において、ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、制御部が、ポートに接続されている何れかの回線を介して、特定ネットワーク装置から送信された部分障害メッセージを受信することによって、特定ネットワーク装置において発生している障害が部分障害であることを正しく判定することができる。従って、その場合には、第1のネットワーク中継装置において、直ちに動作状態をマスタに切り換えることを控えることにより、特定ネットワーク装置の動作状態がマスタであっても、いわゆるダブルマスタ状態となることなく、ネットワーク内でのループの発生を回避することができる。
【0018】
本発明の第1のネットワーク中継装置において、前記制御部は、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生しているものと判定した場合に、前記動作状態をバックアップのまま継続するようにしてもよい。
【0019】
例えば、特定ネットワーク装置の動作状態がマスタである場合、特定ネットワーク装置で発生している障害は部分障害であるので、特定ネットワーク装置は、障害による影響を受けていない回線を介して、データの送受信を行うことは可能である。従って、このように、第1のネットワーク中継装置において、動作状態をバックアップのまま継続することにより、いわゆるダブルマスタ状態になることなく、データの通信を維持することができる。
【0020】
本発明の第1のネットワーク中継装置において、前記制御部は、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生しているものと判定した場合に、前記部分障害メッセージを受信した前記ポートに接続されている回線を介して、前記特定ネットワーク装置に対し、マスタからバックアップへの動作状態の切り換えを促すメッセージを送信し、その後、前記特定ネットワーク装置から、返信のメッセージを受信したら、前記動作状態をバックアップからマスタに切り換えるようにしてもよい。
【0021】
例えば、特定ネットワーク装置の動作状態がマスタである場合、このような手順で、特定ネットワーク装置において、マスタからバックアップへの動作状態の切り換えを行い、そして、第1のネットワーク中継装置において、バックアップからマスタへの動作状態の切り換えを行うことにより、いわゆるダブルマスタ状態になることなく、第1のネットワーク中継装置を新たなマスタとして、データの通信を行うことができる。
【0022】
本発明の第2のネットワーク中継装置は、少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
把握した前記第2の種類のネットワーク装置の台数が0である場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている回線を介して、把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記第1の種類のネットワーク装置から、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信したら、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定することを要旨とする。
【0023】
このように、第2のネットワーク中継装置では、動作状態がバックアップである場合において、特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握する。そして、把握した第2の種類のネットワーク装置の台数が0である場合、第2のネットワーク中継装置は、ポートに回線を介して接続されている全てのネットワーク装置が、第1の種類のネットワーク装置であることを認識する。さらに、ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、制御部が、ポートに接続されている回線を介して、把握した第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、第1の種類のネットワーク装置から、特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信する。これにより、第2のネットワーク中継装置は、ポートに回線を介して接続されている全てのネットワーク装置から、特定ネットワーク装置において障害が発生したと報知されたことを認識する。このように、ポートに回線を介して接続されている全てのネットワーク装置が、特定ネットワーク装置における障害の発生を検出しているという事実に基づき、第2のネットワーク中継装置では、特定ネットワーク装置において発生している障害が完全障害であることを正しく判定することができる。従って、その場合には、第2のネットワーク中継装置において、動作状態をバックアップからマスタに切り換えることにより、ネットワーク内のデータの通信を停止することなく継続させることができる。
【0024】
本発明の第3のネットワーク中継装置は、少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数が0である場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、前記ポートに接続されている何れの回線を介しても、何らメッセージを受信しなかったなら、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定することを要旨とする。
【0025】
このように、第3のネットワーク中継装置では、動作状態がバックアップである場合において、特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握する。そして、把握した第1の種類のネットワーク装置の台数が0である場合、第3のネットワーク中継装置は、ポートに回線を介して接続されている全てのネットワーク装置が、第2の種類のネットワーク装置であることを認識する。さらに、ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、制御部が、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、ポートに接続されている何れの回線を介しても、何らメッセージを受信しないとすると、第2のネットワーク中継装置は、特定ネットワーク装置からこれらネットワーク装置を介して何らメッセージが送信されていないことを認識する。このように、特定ネットワーク装置から何らメッセージが送信されていないという事実に基づき、第2のネットワーク中継装置では、特定ネットワーク装置において発生している障害が完全障害であることを正しく判定することができる。従って、その場合には、第2のネットワーク中継装置において、動作状態をバックアップからマスタに切り換えることにより、ネットワーク内のデータの通信を停止することなく継続させることができる。
【0026】
本発明の第4のネットワーク中継装置は、少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合であって、前記ポートに接続されている回線のうち、前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線を介して、把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記第1の種類のネットワーク装置から、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信し、かつ、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線以外の回線を介しては、何らメッセージを受信しなかった場合に、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定することを要旨とする。
【0027】
このように、第4のネットワーク中継装置では、動作状態がバックアップである場合において、特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握する。そして、ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、制御部が、ポートに接続されている回線を介して、把握した第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、第1の種類のネットワーク装置から、特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信する。これにより、第2のネットワーク中継装置は、ポートに回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、特定機能を有する全てのネットワーク装置から、特定ネットワーク装置において障害が発生したと報知されたことを認識する。また、制御部が、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線以外の回線を介しては、何らメッセージを受信しないとすると、第2のネットワーク中継装置は、特定ネットワーク装置から特定機能を有しない何れのネットワーク装置を介しても何らメッセージが送信されていないことを認識する。このように、ポートに回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、特定機能を有する全てのネットワーク装置が、特定ネットワーク装置における障害の発生を検出しているという事実と、特定ネットワーク装置から何らメッセージが送信されていないという事実に基づき、第4のネットワーク中継装置では、特定ネットワーク装置において発生している障害が完全障害であることを正しく判定することができる。従って、その場合には、第2のネットワーク中継装置において、動作状態をバックアップからマスタに切り換えることにより、ネットワーク内のデータの通信を停止することなく継続させることができる。
【0028】
本発明の第2ないし第4のネットワーク中継装置において、前記制御部は、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定した場合に、前記動作状態をバックアップからマスタに切り換えることが好ましい。
【0029】
例えば、特定ネットワーク装置の動作状態がマスタである場合に、このように、特定ネットワーク装置における完全障害の発生に基づき、動作状態をバックアップからマスタに切り換えることにより、本発明のネットワーク中継装置において、データの通信が行われるようになり、ネットワーク内でのデータ通信が停止してしまうことを回避することができる。
【0030】
本発明の第5のネットワーク中継装置は、少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートをオープンにして、前記ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートをブロックして、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がマスタである場合において、少なくとも前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている回線を介して、自身に部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを前記特定ネットワーク装置に宛てて送信することを要旨とする。
【0031】
このように、本発明の第5のネットワーク中継装置では、制御部は、動作状態がマスタである場合において、少なくともダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、ポートに接続されている回線を介して、部分障害メッセージを特定ネットワーク装置に宛てて送信するようにしている。
【0032】
こうすることにより、第5のネットワーク中継装置は、自身に部分障害が発生したことを確実に特定ネットワーク装置に伝えることができるため、例えば、特定ネットワーク装置の動作状態がバックアップである場合、特定ネットワーク中継装置では、直ちに動作状態をマスタに切り換えることを控えることができ、いわゆるダブルマスタ状態となることなく、ネットワーク内でのループの発生を回避することができる。
【0033】
本発明の第6のネットワーク中継装置は、対となった特定ネットワーク装置の各々に回線を介して接続され、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
対となった前記特定ネットワーク装置のうち、一方の特定ネットワーク装置において障害が発生したことを前記回線を介して検出した場合に、その特定ネットワーク装置での障害発生を示す障害発生メッセージを、他方の特定ネットワーク装置に前記回線を介して送信することを要旨とする。
【0034】
このように、第6のネットワーク中継装置では、一方の特定ネットワーク装置において障害が発生した場合に、その障害発生を他方の特定ネットワーク装置に伝えることができるため、例えば、一方の特定ネットワーク装置の動作状態がマスタであり、他方の特定ネットワーク装置の動作状態がバックアップである場合、そのバックアップである特定ネットワーク中継装置では、マスタである特定ネットワーク装置における障害発生を認識することができ、マスタである特定ネットワーク装置でおいて発生した障害が完全障害であるのか、部分障害であるのかを判定するための基礎とすることができる。
【0035】
本発明の第7のネットワーク中継装置は、少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置と制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記回線を介して接続されている装置の種類を識別する機能を有し、識別した前記種類に基づいて、前記動作状態の制御を行うことを要旨とする。
【0036】
なお、本発明は、上記したネットワーク中継装置などの装置発明の態様に限ることなく、ネットワーク中継装置の制御方法などの方法発明としての態様で実現することも可能である。さらには、それら方法や装置を構築するためのコンピュータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例の構成:
B.実施例の動作:
B−1:第1の形態:
B−2:第2の形態:
B−3:第3の形態:
C.変形例:
【0038】
A.実施例の構成:
図1は本発明の一実施例としてのL2スイッチの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例のL2スイッチ100は、主として、制御部110と、通信部120と、を備えている。このうち、制御部110は、CPU112及びメモリ114などを備えており、CPU112がメモリ114内に格納されたプログラムを実行することにより、装置全体の管理や制御パケット処理などを行うと共に、メッセージの送受信なども行う。また、通信部120は、ネットワークインタフェース122などを備えており、OSI参照モデルの第2層(データリンク層)でのパケットの中継処理などを行う。各ネットワークインタフェース122は、それぞれ、ポート(図示せず)を介して、イーサネット(登録商標)などの回線(ツイストペアケーブル,光ファイバなど)に接続されている。
【0039】
図2は図1に示すL2スイッチ100を用いたネットワークを示す説明図である。図2に示すように、このネットワークでは、L2スイッチSW1とL2スイッチSW2とが、対となっており、両者の間は直結回線(ダイレクトリンク)DLによって接続されている。また、これら対となったL2スイッチSW1及びSW2には、共に、他の3台のL2スイッチSW3〜SW5がそれぞれ回線L1〜L6を介して物理的に接続されている。こうして、L2スイッチSW1,SW2を、共に、3台のL2スイッチと接続することにより、ネットワークの冗長性を確保している。
なお、以下、これら対となったL2スイッチSW1,SW2を上流スイッチと呼び、他の3台のL2スイッチSW3〜SW5を下流スイッチと呼ぶ。
【0040】
一方、これらL2スイッチSW1〜SW5の構成は、図1において、L2スイッチ100として示したとおりであるが、上流スイッチSW1,SW2と、下流スイッチSW3〜SW5と、は機能的に異なっている。なお、以下、各L2スイッチSW1〜SW5の構成要素を互いに区別するために、各L2スイッチSW1〜SW5の制御部110を、それぞれ、制御部110−SW1〜110−SW5と、各L2スイッチSW1〜SW5の通信部120を、それぞれ、通信部120−SW1〜120−SW5と、称すことにする。
【0041】
上流スイッチSW1,SW2は、共に、制御部110−SW1,110−SW2が、ダイレクトリンクを介して制御メッセージをやりとりを行うと共に、マスタ(Master)またはバックアップ(Backup)に動作状態を切り換える機能を有しており、上流スイッチSW1,SW2は、それぞれ、その動作状態がマスタ/バックアップの何れかに成り得る。これに対し、下流スイッチSW3〜SW5は、制御部110−SW3〜110−SW5が、マスタ/バックアップの切り換えを行う機能を有しておらず、マスタ/バックアップの何れにも成り得ない。
【0042】
上流SW1,SW2の制御部110−SW1,110−SW2は、互いに連動してマスタ/バックアップの切り換えを行い、一方の上流スイッチはマスタとなって、運用系として用いられ、他方の上流スイッチはバックアップとなって、待機系として用いられる。
【0043】
2つの上流スイッチSW1,SW2のうち、何れの上流スイッチがマスタとなり、バックアップになるかは、有効ポート数や、優先順位や、MACアドレスなどによって決定される。このうち、有効ポート数は、通信可能なポートの数である。また、優先順位は、装置毎に予め設定されている。
【0044】
具体的には、有効ポート数の場合は、その数が多い方が、優先順位の場合は、その順位が高い方が、MACアドレスの場合は、そのアドレスの値が小さい方が、それぞれ、マスタとなる。通常は、有効ポート数,優先順位の何れを優先させるかを予め設定しておく。そして、例えば、有効ポート数を優先させる場合には、まず、両者の有効ポート数を比較し、その際、両者の有効ポート数が等しい場合に、さらに両者の優先順を比較し、そのとき、両者の優先順も等しい場合に、またさらに両者のMACアドレスを比較するようにする。一方、優先順位を優先させる場合には、まず、両者の優先順位を比較し、その際、両者の優先順位が等しい場合に、さらに両者の有効ポート数を比較し、そのとき、両者の有効ポート数も等しい場合に、またさらに両者のMACアドレスを比較するようにする。
【0045】
本実施例において、初期状態では、図2に示すように、上流スイッチSW1がマスタとなっており、上流スイッチSWがバックアップになっているものとする。
【0046】
従って、マスタである上流スイッチSW1は、通信部120−SW1が、制御部110−SW1による制御に基づき、下流スイッチSW3〜SW5に接続される各ポートをオープンにして、下流スイッチSW3〜SW5との間で物理的に接続されている回線L1〜L3を論理的接続状態とし、下流スイッチSW3〜SW5との間でのデータの送受信を可能にする。
【0047】
また、反対に、バックアップである上流スイッチSW2は、その通信部120−SW2が、制御部110−SW2による制御に基づき、下流スイッチSW3〜SW5に接続される各ポートをブロックして、下流スイッチSW3〜SW5との間で物理的に接続されている回線L4〜L6を論理的切断状態にして、所定メッセージの送受信は可能であるが、下流スイッチSW3〜SW5との間でのデータの送受信をできないようにしている。
【0048】
また、マスタである上流スイッチSW1は、自身に、ダイレクトリンク障害を含む部分障害が発生した場合、制御部110−SW1が、それを検知して、下流スイッチSW3〜SW5に接続される各ポートから、自身に部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを、他の上流スイッチに向けて送信する機能を有している。これにより、マスタである上流スイッチSW1は、部分障害が発生した場合に、ダイレクトリンク以外の通信経路を介して、バックアップである上流スイッチSW2に対して、部分障害の発生を伝えることができる。
なお、バックアップである上流スイッチSW2も、動作状態がマスタに切り換わった場合には、同様の機能を有することは言うまでもない。
【0049】
一方、下流スイッチとしては、上流スイッチ障害発生検出機能を有しているスイッチと、その機能を有していないスイッチの2種類がある。ここで、上流スイッチ障害発生検出機能とは、制御部が、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生していることを、上流スイッチSW1に接続される回線L1〜L3を介して検出した場合に、上流スイッチSW1での障害発生を示す障害発生メッセージを、バックアップである上流スイッチSW2に対して送信する機能である。
【0050】
この機能を有する下流スイッチは、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生した場合に、その発生をバックアップである上流スイッチSW2に対して伝えることができる。
【0051】
なお、以下、下流スイッチのうち、上流スイッチ障害発生検出機能を有しているスイッチを機能付きスイッチと称し、SW3,SW4,SW5と表す。そして、その機能を有していないスイッチを機能なしスイッチと称し、SW3',SW4',SW5'という具合にダッシュを付けて表し、両者を区別することとする。
【0052】
B.実施例の動作:
各スイッチの運用を開始する当たり、事前に、上流スイッチSW1,SW2の制御部110−SW1,110−SW2(具体的には、メモリ114)には、管理者によって、設定情報の一つとして、それら上流スイッチSW1,SW2の各ポートにそれぞれ回線を介して接続されている下流スイッチの種別(種類)がそれぞれ設定されている。ここで、種別とは、少なくとも、機能付きスイッチであるか、機能なしスイッチであるかを区別し得る種別である。従って、上流スイッチSW1,SW2の運用が開始されると、制御部110−SW1,110−SW2は、それら設定情報に基づいて、各ポートに回線を介して接続されている各下流スイッチの種類を識別して、各下流スイッチの種別と、種別毎の台数をそれぞれ把握することができる。
【0053】
また、ネットワークの構成としては、下流スイッチの種別に応じて、次の3つの形態のうち、何れかを採ることになる。すなわち、第1の形態は、下流スイッチの全てが機能付きスイッチである形態であり、第2の形態は、下流スイッチとして機能付きスイッチと機能なしスイッチが混在している形態であり、第3の形態は、下流スイッチの全てが機能なしスイッチである形態である。
【0054】
それでは、マスタである上流スイッチSW1において、ダイレクトリンク障害を含む障害が発生した場合の動作について説明する。なお、かかる動作は、ネットワーク構成の各形態ごとに異なっているため、以下では、各形態ごとに説明する。
【0055】
B−1:第1の形態:
第1の形態では、上述したとおり、下流スイッチが、全て、機能付きスイッチSW3〜SW5となっている。従って、上流スイッチSW1,SW2は、それぞれ、その運用が開始されると、制御部110−SW1,110−SW2が、設定情報を基にして、各ポートに回線を介して接続されている各下流スイッチの種類を識別し、各ポートには、下流スイッチとして、機能付きスイッチが3台接続されており、機能なしスイッチは1台も接続されていない(すなわち、機能なしスイッチの台数は0である。)ことを把握する。
【0056】
前述したとおり、運用中は、マスタである上流スイッチSW1とバックアップである上流スイッチSW2との間で、両者をつなぐダイレクトリンクDLを介して、定期的に制御メッセージのやりとりを行い、互いの生存を確認している。そして、マスタである上流スイッチSW1において、ダイレクトリンク障害を含む障害が発生した場合、バックアップである上流スイッチSW2では、制御部110−SW2が、ダイレクトリンクに障害が発生していることを検知して、図3に示す障害発生時対応処理を開始する。
【0057】
図3は、第1の形態である場合における、バックアップである上流スイッチの障害発生時対応処理を示すフローチャートである。
【0058】
そこでまず、マスタである上流スイッチSW1において、部分障害が発生している場合の動作について図4を用いて説明する。図4では、マスタである上流スイッチSW1において、ダイレクトリンク障害の他、下流スイッチSW4,SW5に接続されている各ポートにそれぞれ障害が発生しているが、上流スイッチSW1自体は機能しており、下流スイッチSW3に接続されるポートも正常に動作している。
【0059】
このように、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生すると、その上流スイッチSW1の制御部110−SW1は、その障害発生を検知して、正常に動作しているポート、すなわち、下流スイッチSW3に接続されるポートから、自身に部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを、他の上流スイッチ、具体的には、バックアップである上流スイッチSW2に宛てて送信する。こうして、上記ポートから送信された部分障害メッセージは、回線L1を介して下流スイッチSW3に至る。
【0060】
下流スイッチSW3では、その制御部110−SW3が、送られてきたメッセージが上流スイッチ宛のメッセージであることを検出すると、そのメッセージをそのまま通して、回線L4を介して、バックアップである上流スイッチSW2に送信する。
【0061】
また、上記したとおり、第1の形態では、各下流スイッチSW3〜SW5は、全て、機能付きスイッチであるため、スイッチSW1において、下流スイッチSW4,SW5に接続されている各ポートにそれぞれ障害が発生すると、下流スイッチSW4,SW5の制御部110−SW4,110−SW5は、その障害の発生を回線L2,L3を介して検出する。そして、それら制御部110−SW4,110−SW5は、それぞれ、上流スイッチSW1での障害発生を示す障害発生メッセージを、回線L5,L6を介して、バックアップである上流スイッチSW2に送信する。
【0062】
一方、バックアップである上流スイッチSW2では、図3に示す処理が開始されると、まず、制御部110−SW2が、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定する(ステップS102)。今回の場合、上述した通り、上流スイッチSW1から下流スイッチSW3を介して送信された部分障害メッセージを受信するので、制御部110−SW2は、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定する(ステップS112)。そして、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、動作状態をマスタに切り換えることなく、バックアップを継続させ(ステップS114)、一連の処理を終了する。
【0063】
次に、マスタである上流スイッチSW1において、完全障害が発生している場合の動作について図5を用いて説明する。図5では、上流スイッチSW1自体が障害により完全に機能しなくなっており、ダイレクトリンク障害の他、下流スイッチSW3〜SW5に接続される全てのポートに障害が発生している。
【0064】
このように、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生すると、上述したとおり、各下流スイッチSW3〜SW5は、全て、機能付きスイッチであるため、各制御部110−SW3〜110−SW5は、それぞれ、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生していることを回線L1〜L3を介して検出する。そして、それら制御部110−SW3〜110−SW5は、それぞれ、上流スイッチSW1での障害発生を示す障害発生メッセージを、回線L4〜L6を介して、バックアップである上流スイッチSW2に対して送信する。
【0065】
一方、バックアップである上流スイッチSW2では、図3に示す処理が開始されると、前述したとおり、まず、制御部110−SW2が、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定するが(ステップS102)、今回の場合、マスタである上流スイッチSW1から部分障害メッセージは送信されないため、処理はステップS104に進む。
【0066】
ステップS104では、制御部110−SW2が、下流スイッチから送信された、上流スイッチSW1での障害発生を示す障害発生メッセージを受信したか否かを判定する。判定の結果、まだ、障害発生メッセージを受信していない場合には、処理はステップS102に戻る。今回の場合、上述した通り、下流スイッチから障害発生メッセージが送信されるので、制御部110−SW2はそれらメッセージを受信することになり、処理はステップS106に進む。
【0067】
ステップS106では、制御部110−SW2が、下流スイッチから送信された障害発生メッセージを、把握した機能付きスイッチの台数分だけ、受信したか否かを判定する。すなわち、マスタである上流スイッチSW1の各ポートに接続されている全ての下流スイッチから、障害発生メッセージが送信されたかどうかを判定するのである。判定の結果、まだ、機能付きスイッチの台数分、メッセージを受信していない場合には、処理はステップS102に戻る。今回の場合、機能付きスイッチは3台であり、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、全ての下流スイッチSW3〜SW5からの障害発生メッセージをそれぞれ受信するため、3台分の障害発生メッセージを受信することになる。従って、制御部110−SW2は、マスタである上流スイッチSW1において完全障害が発生しているものと判定する(ステップS108)。そして、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、動作状態をバックアップからマスタに切り換え、通信部120−SW2は、ブロックしていたポートをオープンして、物理的に接続されている回線を論理的接続状態としてデータの通信を可能にする。こうして、一連の処理を終了する。
【0068】
以上説明したとおり、マスタである上流スイッチSW1に部分障害が発生した場合、その上流スイッチSW1が下流スイッチを介してバックアップである上流スイッチSW2に部分障害メッセージを送信するため、上流スイッチSW2は、それに基づいて上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定し、動作状態としてバックアップを継続するため、いわゆるダブルマスタ状態となることなく、ネットワーク内でのループの発生を回避することができる。
【0069】
また、マスタである上流スイッチSW1に完全障害が発生した場合は、全ての下流スイッチは、機能付きスイッチであるため、上流スイッチSW1での障害の発生を検出して、バックアップである上流スイッチSW2に障害発生メッセージを送信する。従って、上流スイッチSW2では、全ての下流スイッチからの障害発生メッセージが送信されたことを検出して、上流スイッチSW1において完全障害が発生しているものと判定し、動作状態をバックアップからマスタに切り換えるため、マスタとなった上流スイッチSW2において、データの通信が行われるようになり、ネットワーク内でのデータ通信が停止してしまうことを回避することができる。
【0070】
B−2:第2の形態:
第2の形態では、上述したとおり、下流スイッチとして、機能付きスイッチSW3,SW5と機能なしスイッチSW4'が混在している。従って、上流スイッチSW1,SW2は、それぞれ、その運用が開始されると、制御部110−SW1,110−SW2が、設定情報を基にして、各ポートに回線を介して接続されている各下流スイッチの種類を識別し、各ポートには、下流スイッチとして、機能付きスイッチが2台、機能なしスイッチが1台接続されていることを把握する。
【0071】
運用中において、マスタである上流スイッチSW1に、ダイレクトリンク障害を含む障害が発生すると、バックアップである上流スイッチSW2では、制御部110−SW2が、ダイレクトリンクに障害が発生していることを検知して、図6に示す障害発生時対応処理を開始する。
【0072】
図6は、第2の形態である場合における、バックアップである上流スイッチの障害発生時対応処理を示すフローチャートである。
【0073】
そこでまず、マスタである上流スイッチSW1において、部分障害が発生している場合の動作について図7を用いて説明する。図7では、マスタである上流スイッチSW1において、ダイレクトリンク障害の他、下流スイッチSW3,SW5に接続されている各ポートにそれぞれ障害が発生しているが、上流スイッチSW1自体は機能しており、下流スイッチSW4'に接続されるポートも正常に動作している。
【0074】
このように、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生すると、その上流スイッチSW1の制御部110−SW1は、その障害発生を検知して、正常に動作しているポート、すなわち、下流スイッチSW4'に接続されるポートから、自身に部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを、他の上流スイッチ、すなわち、バックアップである上流スイッチSW2に宛てて送信する。こうして、上記ポートから送信された部分障害メッセージは、回線L2を介して下流スイッチSW4'に至る。下流スイッチSW4'では、その制御部110−SW4'が、送られてきたメッセージが上流スイッチ宛のメッセージであることを検出すると、そのメッセージをそのまま通して、回線L5を介して、バックアップである上流スイッチSW2に送信する。
【0075】
また、上記したとおり、第2の形態では、下流スイッチSW4'は機能なしスイッチであるが、下流スイッチSW3,SW5はそれぞれ機能付きスイッチであるため、スイッチSW1において、下流スイッチSW3,SW5に接続されている各ポートにそれぞれ障害が発生すると、下流スイッチSW3,SW5の制御部110−SW3,110−SW5は、その障害の発生を回線L1,L3を介して検出する。そして、それら制御部110−SW3,110−SW5は、それぞれ、上流スイッチSW1での障害発生を示す障害発生メッセージを、回線L4,L6を介して、バックアップである上流スイッチSW2に送信する。
【0076】
一方、バックアップである上流スイッチSW2では、図6に示す処理が開始されると、まず、制御部110−SW2が、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定する(ステップS202)。今回の場合、上述した通り、上流スイッチSW1から下流スイッチSW4'を介して送信された部分障害メッセージを受信するので、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定する(ステップS214)。そして、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、動作状態をマスタに切り換えることなく、バックアップを継続させ(ステップS216)、一連の処理を終了する。
【0077】
次に、マスタである上流スイッチSW1において、完全障害が発生している場合の動作について図8を用いて説明する。図8では、上流スイッチSW1自体が障害により完全に機能しなくなっており、ダイレクトリンク障害の他、下流スイッチSW3,SW4',SW5に接続される全てのポートに障害が発生している。
【0078】
このように、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生すると、下流スイッチのうち、上述したとおり、下流スイッチSW3,SW5は機能付きスイッチであるため、それらの制御部110−SW3,110−SW5は、それぞれ、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生していることを回線L1〜L3を介して検出する。そして、それら制御部110−SW3,110−SW5は、それぞれ、上流スイッチSW1での障害発生を示す障害発生メッセージを、回線L4〜L6を介して、バックアップである上流スイッチSW2に対して送信する。
【0079】
一方、下流スイッチのうち、上述したとおり、下流スイッチSW4'は機能なしスイッチであるため、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生しても、その発生を検知し、バックアップである上流スイッチSW2に伝えることができないため、下流スイッチSW4'から上流スイッチSW2へは、何らメッセージは送信されない。
【0080】
これに対し、バックアップである上流スイッチSW2では、図6に示す処理が開始されると、前述したとおり、まず、制御部110−SW2が、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定するが(ステップS202)、今回の場合、マスタである上流スイッチSW1から部分障害メッセージは送信されないため、処理はステップS204に進む。
【0081】
ステップS204では、制御部110−SW2が、下流スイッチから送信された、上流スイッチSW1での障害発生を示す障害発生メッセージを受信したか否かを判定する。判定の結果、まだ、障害発生メッセージを受信していない場合には、処理はステップS202に戻る。今回の場合、上述した通り、下流スイッチSW3,SW5から障害発生メッセージが送信されるので、制御部110−SW2はそれらメッセージを受信することになり、処理はステップS206に進む。
【0082】
ステップS206では、制御部110−SW2が、下流スイッチから送信された障害発生メッセージを、把握した機能付きスイッチの台数分だけ、受信したか否かを判定する。すなわち、マスタである上流スイッチSW1の各ポートに接続されている下流スイッチのうち、全ての機能付きスイッチから、障害発生メッセージが送信されたかどうかを判定するのである。判定の結果、まだ、機能付きスイッチの台数分、メッセージを受信していない場合には、処理はステップS202に戻る。今回の場合、機能付きスイッチは下流スイッチSW3,SW5の2台であり、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、下流スイッチSW3,SW5からの障害発生メッセージをそれぞれ受信するため、2台分の障害発生メッセージを受信することになり、処理はステップS208に進む。
【0083】
ステップS208では、制御部110−SW2が、図6に示す処理を開始してから、予め設定された一定時間を経過したか否かを判定する。処理開始からの経過時間は、図示せざるタイマを用いて測定する。判定の結果、一定時間経過していない場合には、処理はステップS202に戻り、再び、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定するのである。反対に、一定時間経過した場合には、制御部110−SW2は、マスタである上流スイッチSW1において完全障害が発生しているものと判定する(ステップS208)。すなわち、前述したとおり、下流スイッチSW4'は機能なしスイッチであり、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生した場合には、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、図7に示したとおり、下流スイッチSW4'から、上流スイッチSW1より発せられた部分障害メッセージを受信することもあるが、マスタである上流スイッチSW1において完全障害が発生した場合には、下流スイッチSW4'から、何らかのメッセージを受信することはあり得ない。従って、このように、予め一定時間を設定しておき、その時間を経過しても、機能なしスイッチからメッセージが受信されない場合には、マスタである上流スイッチSW1において完全障害が発生したものと判定するのである。
【0084】
そこで、その判定に基づき、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、動作状態をバックアップからマスタに切り換え、通信部120−SW2は、ブロックしていたポートをオープンして、物理的に接続されている回線を論理的接続状態としてデータの通信を可能にする。こうして、一連の処理を終了する。
【0085】
以上説明したとおり、マスタである上流スイッチSW1に部分障害が発生した場合、その上流スイッチSW1が下流スイッチを介してバックアップである上流スイッチSW2に部分障害メッセージを送信するため、上流スイッチSW2は、それに基づいて上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定し、動作状態としてバックアップを継続するため、いわゆるダブルマスタ状態となることなく、ネットワーク内でのループの発生を回避することができる。
【0086】
また、マスタである上流スイッチSW1に完全障害が発生した場合、下流スイッチのうち、機能付きスイッチは、上流スイッチSW1での障害の発生を検出して、バックアップである上流スイッチSW2に障害発生メッセージを送信するが、機能なしスイッチは何らメッセージを送信しない。従って、上流スイッチSW2では、全ての機能付きスイッチからの障害発生メッセージが送信されたことを検出すると共に、全ての機能なしスイッチから、一定時間経過しても、何らメッセージが送信されない場合には、上流スイッチSW1において完全障害が発生しているものと判定し、動作状態をバックアップからマスタに切り換えるため、マスタとなった上流スイッチSW2において、データの通信が行われるようになり、ネットワーク内でのデータ通信が停止してしまうことを回避することができる。
【0087】
B−3:第3の形態:
第3の形態では、上述したとおり、下流スイッチが、全て、機能なしスイッチSW3'〜SW5'となっている。従って、上流スイッチSW1,SW2は、それぞれ、その運用が開始されると、制御部110−SW1,110−SW2が、設定情報を基にして、各ポートに回線を介して接続されている各下流スイッチの種類を識別し、各ポートには、下流スイッチとして、機能なしスイッチが3台接続されており、機能付きスイッチは1台も接続されていない(すなわち、機能付きスイッチの台数は0である。)ことを把握する。
【0088】
運用中において、マスタである上流スイッチSW1に、ダイレクトリンク障害を含む障害が発生すると、バックアップである上流スイッチSW2では、制御部110−SW2が、ダイレクトリンクに障害が発生していることを検知して、図9に示す障害発生時対応処理を開始する。
【0089】
図9は、第3の形態である場合における、バックアップである上流スイッチの障害発生時対応処理を示すフローチャートである。
【0090】
そこでまず、マスタである上流スイッチSW1において、部分障害が発生している場合の動作について図10を用いて説明する。図10では、マスタである上流スイッチSW1において、ダイレクトリンク障害の他、下流スイッチSW3',SW4'に接続されている各ポートにそれぞれ障害が発生しているが、上流スイッチSW1自体は機能しており、下流スイッチSW5'に接続されるポートも正常に動作している。
【0091】
このように、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生すると、その上流スイッチSW1の制御部110−SW1は、その障害発生を検知して、正常に動作しているポート、すなわち、下流スイッチSW5'に接続されるポートから、自身に部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを、他の上流スイッチ、すなわち、バックアップである上流スイッチSW2に宛てて送信する。こうして、上記ポートから送信された部分障害メッセージは、回線L3を介して下流スイッチSW5'に至る。下流スイッチSW5'では、その制御部110−SW5'が、送られてきたメッセージが上流スイッチ宛のメッセージであることを検出すると、そのメッセージをそのまま通して、回線L6を介して、バックアップである上流スイッチSW2に送信する。
【0092】
また、上記したとおり、第3の形態では、各下流スイッチSW3'〜SW5'は、全て、機能なしスイッチであるため、スイッチSW1において、下流スイッチSW3',SW4'に接続されている各ポートにそれぞれ障害が発生しても、その発生を検知し、バックアップである上流スイッチSW2に伝えることができないため、下流スイッチSW3',SW4'から上流スイッチSW2へは、何らメッセージは送信されない。
【0093】
一方、バックアップである上流スイッチSW2では、図9に示す処理が開始されると、まず、制御部110−SW2が、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定する(ステップS302)。今回の場合、上述した通り、上流スイッチSW1から下流スイッチSW5'を介して送信された部分障害メッセージを受信するので、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定する(ステップS310)。そして、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、動作状態をマスタに切り換えることなく、バックアップを継続させ(ステップS312)、一連の処理を終了する。
【0094】
次に、マスタである上流スイッチSW1において、完全障害が発生している場合の動作について図11を用いて説明する。図1では、上流スイッチSW1自体が障害により完全に機能しなくなっており、ダイレクトリンク障害の他、下流スイッチSW3'〜SW5'に接続される全てのポートに障害が発生している。
【0095】
このように、マスタである上流スイッチSW1に障害が発生しても、各下流スイッチSW3'〜SW5'は、全て、機能なしスイッチであるため、その発生を検知し、バックアップである上流スイッチSW2に伝えることができず、全ての下流スイッチSW3'〜SW5'から上流スイッチSW2へは、何らメッセージは送信されない。
【0096】
一方、バックアップである上流スイッチSW2では、図9に示す処理が開始されると、前述したとおり、まず、制御部110−SW2が、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定するが(ステップS302)、今回の場合、マスタである上流スイッチSW1から部分障害メッセージは送信されないため、処理はステップS304に進む。
【0097】
ステップS304では、制御部110−SW2が、図9に示す処理を開始してから、予め設定された一定時間を経過したか否かを判定する。判定の結果、一定時間経過していない場合には、処理はステップS302に戻り、再び、マスタである上流スイッチSW1からの部分障害メッセージを受信したか否かを判定する。反対に、一定時間経過した場合には、制御部110−SW2は、マスタである上流スイッチSW1において完全障害が発生しているものと判定する(ステップS306)。前述したとおり、全ての下流スイッチSW3'〜SW5'は機能なしスイッチであり、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生した場合には、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、図10に示したとおり、何れかの下流スイッチから、上流スイッチSW1より発せられた部分障害メッセージを受信することもあるが、マスタである上流スイッチSW1において完全障害が発生した場合には、何れの下流スイッチからも、何らかのメッセージを受信することはあり得ない。従って、このように、予め一定時間を設定しておき、その時間を経過しても、機能なしスイッチからメッセージが受信されない場合には、マスタである上流スイッチSW1において完全障害が発生したものと判定する。
【0098】
そこで、その判定に基づき、上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、動作状態をバックアップからマスタに切り換え、通信部120−SW2は、ブロックしていたポートをオープンして、物理的に接続されている回線を論理的接続状態としてデータの通信を可能にする。こうして、一連の処理を終了する。
【0099】
以上説明したとおり、マスタである上流スイッチSW1に部分障害が発生した場合、その上流スイッチSW1が下流スイッチを介してバックアップである上流スイッチSW2に部分障害メッセージを送信するため、上流スイッチSW2は、それに基づいて上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定し、動作状態としてバックアップを継続するため、いわゆるダブルマスタ状態となることなく、ネットワーク内でのループの発生を回避することができる。
【0100】
また、マスタである上流スイッチSW1に完全障害が発生した場合、全ての下流スイッチは、機能なしスイッチであるため、何らメッセージを送信しない。従って、上流スイッチSW2では、全ての下流スイッチから、一定時間経過しても、何らメッセージが送信されない場合には、上流スイッチSW1において完全障害が発生しているものと判定し、動作状態をバックアップからマスタに切り換えるため、マスタとなった上流スイッチSW2において、データの通信が行われるようになり、ネットワーク内でのデータ通信が停止してしまうことを回避することができる。
【0101】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0102】
上記した実施例では、バックアップである上流スイッチSW2が、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定した場合、上流スイッチSW2では、動作状態をマスタに切り換えることなく、バックアップを継続させるようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下のような手順を経ることにより、動作状態をバックアップからマスタに切り換えるようにしてもよい。
【0103】
(1)バックアップである上流スイッチSW2の制御部110−SW2は、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定した場合、部分障害メッセージを受信したポートから(上述した例では、第1の形態の場合、下流スイッチSW3に接続されるポートであり、第2の形態の場合は、下流スイッチSW4'に接続されるポートであり、第3の形態の場合は、下流スイッチSW5'に接続されるポートである。)、停止メッセージをマスタである上流スイッチSW1に宛てて送信する。下流スイッチでは、送られてきたメッセージが上流スイッチ宛のメッセージであることを検出すると、そのメッセージをそのまま通して、マスタである上流スイッチSW1に送信する。
【0104】
(2)マスタである上流スイッチSW1では、制御部110−SW1が停止メッセージを受信すると、動作状態をマスタからバックアップに切り換え、通信部120−SW1は、ポートをブロックして、物理的に接続されている回線を論理的切断状態にして、下流スイッチSW3〜SW5との間でのデータの送受信をできないようにする。すなわち、上流スイッチSW2から送信されてきた停止メッセージは、上流スイッチSW1に対して、マスタからバックアップへの動作状態の切り換えを促すメッセージと言える。
【0105】
(3)その後、バックアップとなった上流スイッチSW1の制御部110−SW1は、停止メッセージを受信したポートから、返信メッセージをバックアップである上流スイッチSW2に宛てて送信する。下流スイッチでは、送られてきたメッセージが上流スイッチ宛のメッセージであることを検出すると、そのメッセージをそのまま通して、バックアップである上流スイッチSW2に送信する。
【0106】
(4)バックアップである上流スイッチSW2では、制御部110−SW2が返信メッセージを受信すると、動作状態をバックアップからマスタに切り換え、通信部120−SW2は、ブロックしていたポートをオープンして、物理的に接続されている回線を論理的接続状態としてデータの通信を可能にする。従って、上流スイッチSW1から送信されてきた返信メッセージは、上流スイッチSW2に対して、バックアップからマスタへの動作状態の切り換えを促すメッセージと言える。
【0107】
このような手順を経ることにより、いわゆるダブルマスタ状態となることなく、上流スイッチSW1の動作状態をマスタからバックアップへ切り換え、上流スイッチSW2の動作状態をバックアップからマスタへ切り換えることが可能となる。
【0108】
なお、バックアップである上流スイッチSW2では、マスタである上流スイッチSW1において部分障害が発生しているものと判定した場合の処理として、動作状態をバックアップのまま継続させるか、それとも、バックアップからマスタへ切り換えるか、を予め指定できるようにしてもよい。
【0109】
上記した実施例では、上流スイッチSW1,SW2の各ポートに接続されている下流スイッチの種別は、事前に、管理者が上流スイッチSW1,SW2の制御部110−SW1,110−SW2にそれぞれ設定するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、運用開始後に、制御部110−SW1,110−SW2が、上流スイッチSW1,SW2の各ポートに接続されている下流スイッチの種別をそれぞれ検出して、それら下流スイッチの種別と種別毎の台数をそれぞれ把握するようにしてもよい。
【0110】
具体的には、各スイッチが、種別を含む自己の情報を周囲のスイッチに定期的に送信し、上流スイッチSW1,SW2の制御部110−SW1,110−SW2が、その情報を受信することにより、上流スイッチSW1,SW2の各ポートに接続されている下流スイッチの種別をそれぞれ検出してもよい。あるいは、上流スイッチSW1,SW2の制御部110−SW1,110−SW2が、上流スイッチSW1,SW2の各ポートに接続されている下流スイッチにそれぞれ問い合わせを行い、その応答結果に基づいて、それら下流スイッチの種別をそれぞれ検出するようにしてもよい。
【0111】
上記した実施例では、経過時間を測定する際、障害発生時対応処理開始からの経過時間を測定するようにしていたが、本発明ではこれに限定されるものではなく、他の基準タイミングからの経過時間であってもよい。
【0112】
本発明は、ネットワークにバーチャルLANが構築されている場合にも適用可能である。バーチャルLANが構築されている場合、対となった上流スイッチの制御部110同士は、制御メッセージのやりとりを行いながら、単一もしくは複数のバーチャルLANをまとめたグループ毎に、有効ポート数,優先順位などを比較して、マスタ/バックアップの切り換えを行う。また、通信部120も、グループ毎に、ポートのオープン/ブロックの制御を行う。従って、或るグループでは、上流スイッチSW1がマスタ、上流スイッチSW2がバックアップとなり、別のグループでは、反対に、上流スイッチSW1がバックアップ、上流スイッチSW2がマスタとなることもある。
【0113】
単一もしくは複数のバーチャルLANをまとめたグループ毎に、このような管理や制御を行うことにより、各グループにおいて、ダブルマスタ状態になることを回避することができ、各バーチャルLAN内にループが発生することがない。
【0114】
上記した実施例においては、本発明を、ネットワーク中継装置の1つであるL2スイッチに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、L3スイッチやルーターなどに適用してもよく、その他、動作状態としてマスタ/バックアップを取り得るネットワーク中継装置に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施例としてのL2スイッチの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すL2スイッチ100を用いたネットワークを示す説明図である。
【図3】第1の形態である場合における、バックアップである上流スイッチの障害発生時対応処理を示すフローチャートである。
【図4】第1の形態である場合において、マスタである上流スイッチSW1で部分障害が発生している場合の動作を説明するための説明図である。
【図5】第1の形態である場合において、マスタである上流スイッチSW1で完全障害が発生している場合の動作を説明するための説明図である。
【図6】第2の形態である場合における、バックアップである上流スイッチの障害発生時対応処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の形態である場合において、マスタである上流スイッチSW1で部分障害が発生している場合の動作を説明するための説明図である。
【図8】第2の形態である場合において、マスタである上流スイッチSW1で完全障害が発生している場合の動作を説明するための説明図である。
【図9】第3の形態である場合における、バックアップである上流スイッチの障害発生時対応処理を示すフローチャートである。
【図10】第3の形態である場合において、マスタである上流スイッチSW1で部分障害が発生している場合の動作を説明するための説明図である。
【図11】第3の形態である場合において、マスタである上流スイッチSW1で完全障害が発生している場合の動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0116】
110...制御部
112...CPU
114...メモリ
120...通信部
122...ネットワークインタフェース
DL...ダイレクトリンク
L1〜L6...回線
SW1,SW2...上流スイッチ
SW3〜SW5...下流スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている何れかの回線を介して、前記特定ネットワーク装置から送信されたメッセージであって、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを受信したら、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生しているものと判定することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク中継装置において、
前記制御部は、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生しているものと判定した場合に、前記動作状態をバックアップのまま継続することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワーク中継装置において、
前記制御部は、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生しているものと判定した場合に、前記部分障害メッセージを受信した前記ポートに接続されている回線を介して、前記特定ネットワーク装置に対し、マスタからバックアップへの動作状態の切り換えを促すメッセージを送信し、その後、前記特定ネットワーク装置から、返信のメッセージを受信したら、前記動作状態をバックアップからマスタに切り換えることを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項4】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
把握した前記第2の種類のネットワーク装置の台数が0である場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている回線を介して、把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記第1の種類のネットワーク装置から、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信したら、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項5】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数が0である場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、前記ポートに接続されている何れの回線を介しても、何らメッセージを受信しなかったなら、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項6】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合であって、前記ポートに接続されている回線のうち、前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線を介して、把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記第1の種類のネットワーク装置から、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信し、かつ、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線以外の回線を介しては、何らメッセージを受信しなかった場合に、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のうち、任意の1つに記載のネットワーク中継装置において、
前記制御部は、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定した場合に、前記動作状態をバックアップからマスタに切り換えることを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項8】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートをオープンにして、前記ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートをブロックして、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記動作状態がマスタである場合において、少なくとも前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている回線を介して、自身に部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを前記特定ネットワーク装置に宛てて送信することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項9】
対となった特定ネットワーク装置の各々に回線を介して接続され、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
対となった前記特定ネットワーク装置のうち、一方の特定ネットワーク装置において障害が発生したことを前記回線を介して検出した場合に、その特定ネットワーク装置での障害発生を示す障害発生メッセージを、他方の特定ネットワーク装置に前記回線を介して送信することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項10】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置であって、
前記特定ネットワーク装置と制御メッセージのやりとりを行うと共に、動作状態をマスタまたはバックアップに切り換えることが可能な制御部と、
前記制御部による制御に基づき、前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記回線を介して接続されている装置の種類を識別する機能を有し、識別した前記種類に基づいて、前記動作状態の制御を行うことを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項11】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置を制御するための制御方法であって、
(a)前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行う工程と、
(b)動作状態をマスタまたはバックアップに切り換える工程と、
(c)前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする工程と、
を備え、
前記工程(b)は、
(b−1)前記動作状態がバックアップである場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている何れかの回線を介して、前記特定ネットワーク装置から送信されたメッセージであって、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生したことを示す部分障害メッセージを受信したか否かを判定する工程と、
(b−2)前記メッセージを受信した場合に、前記特定ネットワーク装置において部分障害が発生しているものと判定する工程と、
を備えることを特徴とするネットワーク中継装置の制御方法。
【請求項12】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置を制御するための制御方法であって、
(a)前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行う工程と、
(b)動作状態をマスタまたはバックアップに切り換える工程と、
(c)前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする工程と、
を備え、
前記工程(b)は、
(b−1)前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握する工程と、
(b−2)把握した前記第2の種類のネットワーク装置の台数が0である場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、前記ポートに接続されている回線を介して、把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記第1の種類のネットワーク装置から、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信したか否かを判定する工程と、
(b−3)前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記メッセージを受信した場合に、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定する工程と、
を備えることを特徴とするネットワーク中継装置の制御方法。
【請求項13】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置を制御するための制御方法であって、
(a)前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行う工程と、
(b)動作状態をマスタまたはバックアップに切り換える工程と、
(c)前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする工程と、
を備え、
前記工程(b)は、
(b−1)前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
(b−2)把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数が0である場合において、前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合に、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、前記ポートに接続されている何れの回線を介しても、何らメッセージを受信しなかったか否かを判定する工程と、
(b−3)一定時間経過するまでの間に、何らメッセージを受信しなかった場合に、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定する工程と、
を備えることを特徴とするネットワーク中継装置の制御方法。
【請求項14】
少なくとも特定ネットワーク装置と対となって、ネットワーク内でのデータの中継を行うネットワーク中継装置を制御するための制御方法であって、
(a)前記特定ネットワーク装置との間でダイレクトリンクを介して制御メッセージのやりとりを行う工程と、
(b)動作状態をマスタまたはバックアップに切り換える工程と、
(c)前記動作状態がマスタである場合には、ポートに接続されている回線を論理的接続状態にして、前記データの送受信を可能とすると共に、前記動作状態がバックアップである場合には、前記ポートに接続されている前記回線を論理的切断状態にして、メッセージの送受信は可能であるが、前記データの送受信はできないようにする工程と、
を備え、
前記工程(b)は、
(b−1)前記動作状態がバックアップである場合において、前記ポートに前記回線を介して接続されているネットワーク装置のうち、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを検出する特定機能を有する第1の種類のネットワーク装置の台数と前記特定機能を有しない第2の種類のネットワーク装置の台数とを把握し、
(b−2)前記ダイレクトリンクに障害が発生したことを検知した場合であって、前記ポートに接続されている回線のうち、前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線を介して、把握した前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記第1の種類のネットワーク装置から、前記特定ネットワーク装置において障害が発生したことを示すメッセージを受信し、かつ、基準タイミングから一定時間経過するまでの間に、前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線以外の回線を介しては、何らメッセージを受信しなかったか否かを判定する工程と、
(b−3)前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線を介して、前記第1の種類のネットワーク装置の台数分だけ、前記メッセージを受信し、かつ、一定時間経過するまでの間に、前記第1の種類のネットワーク装置に接続されている回線以外の回線を介しては、何らメッセージを受信しなかった場合に、前記特定ネットワーク装置において完全障害が発生しているものと判定する工程と、
を備えることを特徴とするネットワーク中継装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−60184(P2007−60184A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242001(P2005−242001)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(504411166)アラクサラネットワークス株式会社 (315)
【Fターム(参考)】