説明

ネットワーク装置

【課題】省電力モードからの復帰回数を削減することができるネットワーク装置を提供することを課題とする。
【解決手段】SNMP応答部142は、通常モードで確認要求パケットを受信したときに状態情報40の保存時間が第1設定時間より短ければ、記憶部141に保存された状態情報40を用いて応答する。一方、保存時間が第1設定時間より長い場合、SNMP応答部142は、制御部11が新たに作成した状態情報40を用いて応答する。また、省電力モードで確認要求パケットを受信したときに、省電力モードに移行後の時間が第2設定時間より長ければ、デジタル複合機1は、通常モードに復帰して、状態情報40を新たに作成する。SNMP応答部142は、新規に作成された状態情報40を用いて応答する。一方、省電力モードに移行後の時間が第2設定時間より短い場合、SNMP応答部142は、記憶部141に保存された状態情報40を用いて応答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モード動作可能なネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省電力モードで動作可能なデジタル複合機がある。デジタル複合機は、一定時間、ユーザにより操作が行われなかった場合などに省電力モードに移行する。省電力モードでは、デジタル複合機のメインの制御部に電力が供給されないため、消費電力が低下する。このため、ユーザにとって運用コストを軽減できるというメリットがある。また、消費電力を低下させることで、省エネルギー対策及び環境対策に貢献できるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−357415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SNMP(Simple Network Management Protocol)に対応したデジタル複合機及びプリンタなどがある。ユーザは、PC(Personal Computer)を操作して、デジタル複合機及びプリンタの動作状態を遠隔で確認することができる。
【0005】
上記特許文献1において、SNMPに対応するネットワーク管理プログラムが開示されている。ネットワーク管理プログラムは、PCなどにインストールされ、動作確認要求に対するプリンタの応答を、キャッシュファイルとして保持する。ネットワーク管理プログラムは、プリンタの動作確認がPCのユーザにより指示されたときに、キャッシュファイルの保存時間を確認する。キャッシュファイルの保存時間が一定時間内であれば、ネットワーク管理プログラムはキャッシュファイルを用いてプリンタの動作状態を通知する。これにより、プリンタの負荷の低減、及びPCとデジタル複合機との間の通信トラフィックの削減が可能となる。
【0006】
一方、ネットワーク管理プログラムは、キャッシュファイルの保存時間が一定時間より長い場合、プリンタに動作確認要求を送信する。プリンタは、省電力モードの状態で動作確認要求を受信したときは、通常モードに復帰する必要がある。通常モードへ復帰するときのプリンタの消費電力は、プリンタエンジンなどのウォームアップに伴って、通常モード時の消費電力より大きくなる。したがって、省電力モードで動作可能なデジタル複合機及びプリンタが動作状態の確認を要求されるたびに通常モードへの復帰を繰り返した場合、消費電力が増加するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、省電力モードからの復帰回数を削減することができるネットワーク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、通常モードのときに電力が供給され、前記通常モードより消費電力の低い省電力モードのときに電力が供給されない本体処理部と、前記通常モード及び前記省電力モードのときに電力が供給され、ネットワークを介した通信を制御するネットワークコントローラと、を備え、前記ネットワークコントローラは、前記本体処理部が作成した情報であって自装置の動作状態を示す状態情報を保存する記憶部と、前記記憶部に保存された前記状態情報を更新する更新部と、前記通常モードで自装置の動作状態の確認要求を受信したときに前記状態情報の保存時間が第1所定時間を超えていなければ、保存されていた前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答し、保存時間が前記第1所定時間を超えていれば、前記更新部に前記状態情報を更新させ、更新された前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答する第1応答部と、省電力モードで前記確認要求を受信した場合、保存されている前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答する第2応答部と、を含み、前記更新部は、通常モードから省電力モードに移行するときに前記状態情報を更新することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のネットワーク装置において、前記ネットワークコントローラは、省電力モードで前記確認要求を受信したときに保存時間が第2所定時間を超えている場合、前記本体処理部を通常モードに復帰させる電力制御部、を含み、前記更新部は、通常モードに復帰した後に前記状態情報を更新し、前記第2応答部は、前記状態情報が更新された場合、更新された前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答し、前記第2所定時間は、前記第1所定時間より長いことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のネットワーク装置において、前記電力制御部は、前記更新部が前記状態情報を更新した後に、前記本体処理部への電力の供給を停止することにより省電力モードに移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るネットワーク装置は、省電力モードに移行するときに、記憶部に保存されている状態情報を更新する。ネットワークコントローラは、省電力モードのときに確認要求を受信した場合、省電力モードに移行する直前に更新した状態情報を用いて、確認要求に対して応答する。これにより、ネットワーク装置は、省電力モードのときに確認要求を受信しても通常モードに復帰する必要がないため、省電力モードからの復帰回数を削減することができる。したがって、ネットワーク装置の消費電力を削減することができる。
【0012】
通常モードで確認要求を受信した場合において、ネットワークコントローラは、記憶部に保存されている状態情報の保存時間が第1所定時間を超えていなければ、記憶部に保存されている状態情報を用いて応答する。これにより、ネットワークコントローラは、確認要求に対して迅速に応答することができる。また、ネットワークコントローラが確認要求を受信するたびに本体処理部から状態情報を取得しなくてもよいため、本体処理部及びネットワークコントローラのデータ入出力回数を削減することができる。状態情報の作成頻度が減少するため、本体処理部の負荷を抑制することができる。このように、確認要求を受信したときの応答処理を簡略化することができるため、ネットワーク装置の消費電力をさらに削減することができる。
【0013】
本発明に係るネットワーク装置において、状態情報の保存時間が第1所定時間を超えていれば、ネットワークコントローラは、記憶部に保存されている状態情報を更新する。これにより、ネットワークコントローラは、ネットワーク装置の動作状態の変化しても、動作状態の変化に応じた状態情報を確実に取得することができる。
【0014】
また、本発明に係るネットワーク装置は、省電力モードの状態で確認要求を受信したときに、状態情報の保存時間が第2所定時間を超えているか否かを確認する。保存時間が第2所定時間を超えていた場合、ネットワーク装置は、通常モードに復帰し、記憶部に記憶されている状態情報を更新する。そして、更新された状態情報に基づいて、確認要求に対する応答が行われる。これにより、ネットワーク装置は、省電力モードのときに自装置の動作状態が変化しても、動作状態の変化に応じた応答が可能となる。
【0015】
また、本発明に係るネットワーク装置は、省電力モードから通常モードに復帰して記憶部に記憶されている状態情報を更新した後に、再び省電力モードに移行する。これにより、ネットワーク装置は、通常モードで動作する時間が短くなるため、消費電力をさらに削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタル複合機1を含むネットワークシステムを示すブロック図である。
【図2】応答テーブルの内容を示す図である。
【図3】省電力モードへ移行する時のデジタル複合機のフローチャートである。
【図4】SNMPパケット受信時のデジタル複合機のフローチャートである。
【図5】応答情報送信処理を実行するネットワークコントローラのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
{デジタル複合機の構成とネットワークシステムの全体構成}
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るデジタル複合機1を含むネットワークシステムを示すブロック図である。
【0018】
デジタル複合機1は、LAN(Local Area Network)3に接続されている。LAN3には、PC2,2が接続されている。
【0019】
デジタル複合機1は、コピー機能、ファックス機能、スキャナ機能及びプリンタ機能などを備えた多機能装置である。ユーザは、PC2からLAN3経由でデジタル複合機1に印刷指示を送ることにより、デジタル複合機1のプリンタ機能を利用することができる。また、ユーザは、デジタル複合機1の操作パネル(図示省略)を操作して、デジタル複合機1のコピー機能及びファックス機能などを利用することができる。
【0020】
まず、デジタル複合機1の構成について説明する。デジタル複合機1は、制御部11と、プリンタ部12と、電力制御部13と、ネットワークコントローラ14とを備える。なお、図1において、デジタル複合機1が有するスキャナ機能及びファックス機能などに関する処理部は省略している。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、デジタル複合機1の全体制御を行う。
【0022】
プリンタ部12は、PC2から送信された印刷データを記録用紙などの印刷媒体に印刷する。あるいは、プリンタ部12は、ファックス部(図示省略)が受信したファックスデータなどを印刷媒体に印刷する。
【0023】
電力制御部13は、デジタル複合機1の各構成要素への供給電力を、通常モード及び省電力モードに応じて制御する。通常モード及び省電力モードについては後述する。
【0024】
ネットワークコントローラ14は、LAN3に接続されており、LAN3を経由した通信を制御する。ネットワークコントローラ14は、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に基づいて、通信を制御する。
【0025】
ネットワークコントローラ14は、記憶部141と、SNMP応答部142と、状態情報更新部143とを備える。
【0026】
記憶部141は、状態情報40と、応答テーブル50とを格納する。状態情報40は、デジタル複合機1の動作状態及びプリンタ部12の動作状態などを示す情報である。記憶部141において、状態情報40は、状態情報40が保存された時刻を示すタイムスタンプと対応付けて保存される。応答テーブル50は、デジタル複合機1の動作状態と、動作確認を要求するSNMPパケット(以下、「動作確認パケット」という)60に対する応答内容とを対応付けたテーブルである。
【0027】
SNMP応答部142は、PC2から受信したSNMPパケットに対して応答する。たとえば、SNMP応答部142は、動作確認パケット60に対する応答処理を、記憶部141に保存された状態情報40と対応テーブル50とに基づいて実行する。
【0028】
状態情報更新部143は、制御部11が作成した状態情報40を取得して、記憶部141に保存されている状態情報40を更新する。状態情報更新部143が状態情報40を更新するタイミングについては、後述する。
【0029】
{通常モード及び省電力モード}
デジタル複合機1は、ユーザの使用状況に応じて、消費電力がそれぞれ異なる通常モード及び省電力モードのいずれかのモードで動作する。
【0030】
通常モードは、デジタル複合機1全体に電力を供給するモードである。デジタル複合機1は、電力を供給する構成単位として、本体処理部と、ネットワークコントローラ14とに分けられる。本体処理部は、制御部11、プリンタ部12及び操作パネル(図示省略)などを含む。通常モードにおいて、電力制御部13は、本体処理部及びネットワークコントローラ14に電力を供給する。
【0031】
省電力モードでは、本体処理部及びネットワークコントローラのうちネットワークコントローラ14だけに電力が供給される。本体処理部には、電力が供給されない。
【0032】
たとえば、デジタル複合機1は、一定期間、待機状態が継続することにより、通常モードから省電力モードに移行する。そして、ユーザが省電力モードの解除ボタンを押下した場合などに、デジタル複合機1は、通常モードに復帰する。待機状態とは、実行すべき処理が存在せず、操作パネルからの操作及びPC2からの遠隔操作を待ち受けている状態をいう。
【0033】
ネットワークコントローラ14は、省電力モードでも電力が供給されるため、PC2が送信したSNMPパケットに対して応答することができる。ネットワークコントローラ14が省電力モード及び通常モードに関係なくSNMPエージェントとして動作することにより、デジタル複合機1は、省電力モードから復帰する回数を低減することができる。
【0034】
{応答テーブル}
図2は、応答テーブル50の内容を示す図である。応答テーブル50の一列目には、デジタル複合機1及びプリンタ部12の動作状態が設定されている。通常モード及び省電力モードは、上述したようにデジタル複合機1の動作状態を示す。警告モード及びエラーモードは、プリンタ部12の動作状態を示す。
【0035】
警告モードは、プリンタ部12は動作可能であるが、プリンタ部12のメンテナンス作業が必要な時期が近いことを示す。エラーモードは、プリンタ部12に物理的な障害等が発生することにより、プリンタ部12が動作できない状態を示す。
【0036】
警告モードまたはエラーモードは、通常モード及び省電力モードと併存することがある。たとえば、デジタル複合機1が通常モードのときにプリンタ部12で紙詰まりが発生することにより、通常モードとエラーモードとが併存する。そして、紙詰まりが解消されないままデジタル複合機1の待機時間が一定時間経過した場合、デジタル複合機1は、エラーモードが継続した状態で、省電力モードに移行する。この結果、省電力モードとエラーモードとが併存することになる。
【0037】
二列目は、状態情報40に設定されるパラメータを示す。「待機中」及び「印刷中」は、通常モードに対応する。「低電力」は、省電力モードに対応する。「トナー残量小」は、警告モードに対応する。「紙詰まり発生」、「用紙トレイオープン」、「用紙切れ」及び「トナー空」は、エラーモードに対応する。
【0038】
三列目は、動作確認パケット60に対する応答として送信するMIB(Management Information Base)を示し、SNMPで定義されたオブジェクトごとに設定される。「hrDeviceState(デバイス状態)」は、デジタル複合機1の動作状態の通知を要求するオブジェクトである。「hrPrinterState(プリンタ状態)」は、プリンタ部12の動作状態の通知を要求するオブジェクトである。「hrPrinterDetectErrorState(エラー状態)」は、プリンタ部12で発生した警告状態又はエラー状態の通知を要求するオブジェクトである。
【0039】
SNMP応答部142は、動作確認パケット60を受信した場合、状態情報40に設定されたパラメータに対応するMIBを応答情報70にセットして送信する。たとえば、デジタル複合機1がデバイス状態、プリンタ状態、及びエラー状態の3つのオブジェクトを有する確認パケット60を受信した場合を考える。このとき、状態情報40に「印刷中」が設定されていれば、SNMP応答部142は、各オブジェクトに対応する「runnning」、「printing」及び「no Error」をセットした応答情報70を、動作確認パケット60の送信元に送信する。
【0040】
また、オブジェクトとしてデバイス状態のみを有する動作確認パケット60を受信したときに状態情報40に「紙詰まり発生」が設定されていれば、SNMP応答部142は、「down」をセットした応答情報60を送信する。
【0041】
以下、デジタル複合機1の動作について、図3〜図4を用いて説明する。
【0042】
{省電力モード移行処理}
図3は、デジタル複合機1が通常モードから省電力モードに移行するときの、デジタル複合機1の動作を示すフローチャートである。
【0043】
電力制御部13は、一定の時間、通常モードでの待機状態が経過した場合(ステップS11でYes)、省電力モードへの移行を決定する。制御部11は、デジタル複合機1の動作状態に応じた状態情報40を新たに作成する(ステップS12)。
【0044】
状態情報更新部143は、記憶部141に保存されている状態情報40を、制御部11が新たに作成した状態情報40で上書き保存する(ステップS13)。状態情報40のタイムスタンプも、上書き保存時の時刻に更新される。そして、電力制御部13が本体処理部への電力供給を停止することで(ステップS14)、デジタル複合器1は、省電力モードに移行する。これにより、ネットワークコントローラ14は、省電力モードのときに動作確認パケット60を受信しても、省電力モードに移行する直前の状態情報40に基づいてデジタル複合機1及びプリンタ部12の動作状態を通知することができる。
【0045】
{SNMPパケット受信処理}
図4は、デジタル複合機1がSNMPパケットを受信したときの処理の流れを示すフローチャートである。図4に示す処理は、デジタル複合機1が通常モードであるか省電力モードであるかに関係なく、ネットワークコントローラ14がSNMPパケットを受信することにより開始される。
【0046】
SNMP応答部142は、動作確認パケット60でないSNMPパケットを受信した場合(ステップS21でNo)、受信したSNMPパケットに応じた応答処理を行う(ステップS22)。たとえば、受信したSNMPパケットが、デジタル複合機1の仕様情報を要求するパケットである場合などに、ステップS22の処理が行われる。
【0047】
一方、動作確認パケット60を受信した場合(ステップS21でYes)、記憶部141に保存されている状態情報40の保存時間を計算する(ステップS23)。状態情報40の保存時間は、状態情報40のタイムスタンプに設定された保存時刻と現在時刻とに基づいて算出される。すなわち、状態情報40の保存時間は、記憶部141に保存されている状態情報40の最終更新時刻から現在時刻までの時間を示す。状態情報更新部143は、デジタル複合機1が省電力モードである否かを確認する(ステップS24)。
【0048】
デジタル複合機1が通常モードである場合(ステップS24でNo)、状態情報更新部143は、保存時間が第1設定時間より長いか否かを確認する(ステップS25)。第1設定時間は、デジタル複合機1及びプリンタ部12の動作状態が変化することがないと推測される時間(1秒など)に設定される。
【0049】
たとえば、状態情報40のタイムスタンプに「13時45分52.045秒」が記録され、現在時刻が「13時45分53.368秒」であるケースを想定する。この場合、状態情報更新部143は、状態情報40の保存時間が第1設定時間より長いため(ステップS25でYes)、制御部11に状態情報40の作成を指示する。状態情報更新部143は、新たに作成された状態情報40を取得して、記憶部141に保存された状態情報40を更新する(ステップS26)。このとき、状態情報40のタイムスタンプも更新される。SNMP応答部142は、更新された状態情報40を用いて、動作確認パケット60に対する応答処理を実行する(ステップS31)。
【0050】
一方、状態情報40の保存時間が第1設定時間より短い場合(ステップS25でNo)、SNMP応答部142は、記憶部141に保存中の状態情報40を用いて応答情報送信処理を実行する(ステップS31)。
【0051】
ネットワークコントローラ14は、オブジェクトとしてデバイス状態が指定された動作確認パケット60と、プリンタ状態が指定された動作確認パケット60と、エラー状態が指定された動作確認パケット60とを連続して受信することがある。このような場合でも、ネットワークコントローラ14は、動作確認パケット60を受信するたびに制御部11から状態情報40を取得する必要がない。したがって、制御部11とネットワークコントローラ14とのデータ入出力回数を削減できるため、通常モードにおけるデジタル複合機1の消費電力を低減することができる。
【0052】
ステップS24の説明に戻る。デジタル複合機1が省電力モードである場合(ステップS24でYes)、状態情報更新部143は、状態情報40の保存時間が第2設定時間を超えているか否かを確認する(ステップS27)。つまり、デジタル複合機1は、省電力モードに移行してから第2設定時間を経過しているか否かを確認する。
【0053】
第2設定時間は、第1設定時間よりも長い時間(たとえば30分)が設定される。これは、省電力モードでは、デジタル複合機1及びプリンタ部12の動作状態が変化することが少ないと想定されるためである。
【0054】
状態情報40の保存時間が第2設定時間を超えていた場合(ステップS27でYes)、状態情報更新部143は、省電力モードの解除を電力制御部13に指示する。これにより、デジタル複合機1は、通常モードに復帰する(ステップS28)。状態情報更新部143は、制御部11が新たに作成した状態情報40を取得して、記憶部141に保存されている状態情報40を更新する(ステップS29)。状態情報40の更新に応じて、状態情報40のタイムスタンプも更新される。電力制御部13は、デジタル複合機1を通常モードから省電力モードに移行させる(ステップS30)。そして、SNMP応答部142は、更新された状態情報40に基づいて、動作確認パケット60に対する応答処理を実行する(ステップS31)。
【0055】
一方、状態情報40の保存時間が第2設定時間を超えていない場合(ステップS27でNo)、SNMP応答部142は、記憶部141に保存されている応答情報40を用いて、動作確認パケット60に対する応答処理を実行する(ステップS31)。
【0056】
このように、ネットワークコントローラ14は、省電力モードの状態で動作確認パケット60を受信した場合、状態情報40の保存時間が第2設定時間より長いか否かを確認する。状態情報40の保存時間が第2設定時間より長ければ、記憶部141に保存されている状態情報40は更新される。これにより、省電力モードのときにユーザが用紙トレイを引き出すなどしてプリンタ部12でエラーなどが発生したとしても、PC2のユーザは、デジタル複合機1及びプリンタ部12の動作状態を正確に把握することができる。
【0057】
{応答情報送信処理}
図5は、応答情報送信処理(ステップS31)を実行するネットワークコントローラ14のフローチャートである。
【0058】
まず、SNMP応答部142は、記憶部141に保存されている状態情報40を参照して、プリンタ部12の動作状態を確認する(ステップS311)。プリンタ部12がエラー状態にある場合(ステップS311でYes)、SNMP応答部142は、応答テーブル50に基づいて、プリンタ部12のエラー内容を示すMIBをセットした応答情報70を作成する(ステップS312)。
【0059】
プリンタ部12が警告状態にある場合(ステップS311でNo,ステップS313でYes)、SNMP応答部142は、警告内容を示すMIBをセットした応答情報70を作成する(ステップS314)。
【0060】
プリンタ部12がエラー状態及び警告状態のいずれでもない場合(ステップS311でNo,ステップS311でNo)、SNMP応答部142は、現在のデジタル複合機1の動作状態を示すMIBをセットした応答情報70を作成する(ステップS315)。
【0061】
そして、SNMP応答部142は、作成した応答情報70を動作確認パケット60の送信元に送信し(ステップS316)、応答情報送信処理(ステップS31)を終了する。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態に係るデジタル複合機1は、通常モードで動作確認パケット60を受信したときに状態情報40の保存時間が第1設定時間内であれば、記憶部141に保存されている状態情報40を用いて応答する。これにより、制御部11とネットワークコントローラ14との間の入出力処理の頻度が低下するため、通常モードにおけるデジタル複合機1の消費電力を削減することができる。
【0063】
また、デジタル複合機1は、省電力モードで動作確認パケット60を受信したときに状態情報40の保存時間が第2設定時間内であれば、記憶部141に保存されている状態情報40を用いて応答する。これにより、動作確認パケット60を受信するたびに通常モードに復帰する必要がないため、デジタル複合機1の消費電力を効率よく削減することができる。
【0064】
なお、本実施の形態において、ネットワークコントローラ14は、状態情報40と応答テーブル50とを記憶部141に保存する例を説明したが、これに限られない。たとえば、ネットワークコントローラ14は、MIBを記憶部141に保存してもよい。
【0065】
また、本実施の形態において、デジタル複合機1が通常モード及び省電力モードで動作可能な例について説明したが、他の電力モードがあってもよい。たとえば、プリンタ部12を除く本体処理部に電力を供給せず、プリンタ部12及びネットワークコントローラ14に電力を供給する印刷モードがあってもよい。ネットワークコントローラ14は、印刷モードであっても、省電力モードと同様に動作すればよい。
【0066】
なお、図4に示す処理において、状態情報更新部143が記憶部141に保存されている状態情報40を更新した(ステップS29)後に、再び省電力モードに移行する(ステップS30)例について説明したが、これに限られない。つまり、ステップS29の処理の後に、デジタル複合機1は、通常モードを継続してもよい。
【0067】
また、本実施の形態において、本体処理部が、制御部11、プリンタ部12及び操作パネル(図示省略)などを含む例について説明したが、これに限られない。本体処理部は、少なくとも制御部11を含んでいればよい。つまり、通常モードでは、制御部11及びネットワークコントローラ14に電力が供給されていればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 デジタル複合機
11 制御部
12 プリンタ部
13 電力制御部
14 ネットワークコントローラ
40 状態情報
50 応答テーブル
141 記憶部
142 SNMP応答部
143 状態情報更新部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モードのときに電力が供給され、前記通常モードより消費電力の低い省電力モードのときに電力が供給されない本体処理部と、
前記通常モード及び前記省電力モードのときに電力が供給され、ネットワークを介した通信を制御するネットワークコントローラと、
を備え、
前記ネットワークコントローラは、
前記本体処理部が作成した情報であって自装置の動作状態を示す状態情報を保存する記憶部と、
前記記憶部に保存された前記状態情報を更新する更新部と、
前記通常モードで自装置の動作状態の確認要求を受信したときに前記状態情報の保存時間が第1所定時間を超えていなければ、保存されていた前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答し、保存時間が前記第1所定時間を超えていれば、前記更新部に前記状態情報を更新させ、更新された前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答する第1応答部と、
省電力モードで前記確認要求を受信した場合、保存されている前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答する第2応答部と、
を含み、
前記更新部は、
通常モードから省電力モードに移行するときに前記状態情報を更新することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
前記ネットワークコントローラは、
省電力モードで前記確認要求を受信したときに保存時間が第2所定時間を超えている場合、前記本体処理部を通常モードに復帰させる電力制御部、
を含み、
前記更新部は、通常モードに復帰した後に前記状態情報を更新し、
前記第2応答部は、前記状態情報が更新された場合、更新された前記状態情報を用いて前記確認要求に対して応答し、
前記第2所定時間は、前記第1所定時間より長いことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク装置において、
前記電力制御部は、前記更新部が前記状態情報を更新した後に、前記本体処理部への電力の供給を停止することにより省電力モードに移行することを特徴とするネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−28461(P2011−28461A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172654(P2009−172654)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】