説明

ネットワーク試験装置、ネットワーク試験方法およびそのプログラム

【課題】ネットワークの試験の手間を軽減する。
【解決手段】ネットワークサービスごとに、このネットワークサービスに用いられるネットワーク装置4の識別情報を示した装置テーブル341と、このネットワーク装置4に実行させる試験項目を示した試験項目テーブル342とを記憶する記憶部34、ネットワークサービスのIDの入力を受け付ける入力部31と、装置テーブル341を参照して、このネットワークサービスに用いられるネットワーク装置4を特定する対象装置特定部321と、試験項目テーブル342から前記特定したネットワーク装置4に実行させる試験項目を決定する試験項目決定部322と、この決定した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、ネットワーク装置4へ送信する試験命令出力部332と、試験実行コマンドの実行結果を受信する試験結果受信部333とを備えるネットワーク試験装置3とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク試験技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IP(Internet Protocol)ネットワークにおいて、障害が発生すると、この原因特定するため、ネットワークの保守者が、ネットワーク装置に対し様々な試験を行っていた。
【0003】
例えば、IPネットワークの保守者が、ユーザからIP電話サービスの障害発生の連絡を受け取ると、この障害が発生したIP電話サービスの電話番号から、この電話番号のIP電話サービスに用いられているネットワーク装置(ルータやSIP(Session Initiation Protocol)サーバ等)を特定する。そして、IPネットワークの保守者が、この特定したネットワーク装置に対し、リンクアップ/ダウン等のレイヤ2の試験や、ping等のIPレイヤの試験や、当該電話番号の登録情報の有無の確認等、様々な試験を行い、障害の原因を特定していた。以下の特許文献1には、電話交換機の障害発生時のログを管理する技術が開示されている。
【特許文献1】特許3055507号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、障害の発生したネットワークサービスに用いられるネットワーク装置を特定するためには、この障害の発生したネットワークサービスに関するサービス情報を確認しなければならない。また、特定したネットワーク装置に実施する試験項目の選択は、各保守者の勘や経験に頼るところが大きかった。このため、保守者が障害原因特定のための試験項目を迅速に選択できないこともあり、障害の原因特定に時間がかかることもあった。特に、ネットワークサービスが音声データや映像データを扱う場合、用いられるネットワーク装置も試験項目も多種多様であり、試験項目の選択および試験の実行は手間のかかる作業であった。そこで、本発明は、前記した問題を解決し、ネットワーク装置の試験の手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ネットワークサービスを提供するネットワーク装置に試験を実行させるネットワーク試験装置であって、前記ネットワークサービスのIDごとに、このネットワークサービスに用いられる前記ネットワーク装置の識別情報を示した装置テーブルと、前記ネットワーク装置の識別情報ごとに、このネットワーク装置に実行させる試験項目を示した試験項目テーブルとを記憶する記憶部と、前記ネットワークサービスのIDの入力を受け付ける入力部と、前記入力されたネットワークサービスのIDをキーとして、前記装置テーブルから前記ネットワークサービスに用いられるネットワーク装置の識別情報を特定する対象装置特定部と、前記特定したネットワーク装置の識別情報をキーとして、前記試験項目テーブルから前記特定したネットワーク装置に実行させる試験項目を決定する試験項目決定部と、前記決定した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、前記特定した各ネットワーク装置で実行可能な試験実行コマンドに変換する試験命令変換部と、前記変換した試験実行コマンドを、ネットワーク経由で、前記特定したネットワーク装置へ送信する試験命令出力部と、前記各ネットワーク装置から、前記送信した試験実行コマンドの応答を受信する試験結果受信部と、を備えることを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0006】
請求項9に記載の発明は、ネットワークサービスのIDごとに、このネットワークサービスに用いられるネットワーク装置の識別情報を示した装置テーブルと、前記ネットワーク装置の識別情報ごとに、このネットワーク装置に実行させる試験項目を示した試験項目テーブルとを記憶する記憶部を備えるネットワーク試験装置が、前記ネットワークサービスのIDの入力を受け付けるステップと、前記入力されたネットワークサービスのIDをキーとして、前記装置テーブルから、前記ネットワークサービスに用いられるネットワーク装置の識別情報を特定するステップと、前記特定したネットワーク装置の識別情報をキーとして、前記試験項目テーブルから前記特定したネットワーク装置に実行させる試験項目を決定するステップと、前記決定した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、前記特定したネットワーク装置に用いられる試験実行コマンドに変換するステップと、前記変換した試験実行コマンドを、ネットワーク経由で、前記特定したネットワーク装置へ送信するステップと、前記各ネットワーク装置から、前記送信した試験実行コマンドの応答を受信するステップと、を実行することを特徴とするネットワーク試験方法とした。
【0007】
このようにすることで、ネットワーク試験装置は、当該ネットワークサービスの障害要因特定等をするためには、どのネットワーク装置にどのような試験項目を行えばよいかを迅速に特定できる。そして、ネットワーク試験装置は、この特定したネットワーク装置に対し、試験項目に示される試験内容を実行させるので、ネットワーク装置の試験の手間を軽減することができる。また、どのネットワーク装置に障害が発生しているのかをすぐに把握できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のネットワーク試験装置において、前記決定した試験項目が、ネットワーク疎通確認試験であるとき、前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記ネットワーク疎通確認試験の対象であるネットワーク装置それぞれへ、当該ネットワーク装置間で前記ネットワーク疎通確認のためのパケットを送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0009】
このような構成によれば、ネットワーク試験装置は、当該ネットワークサービスの障害要因特定等をするため、どのネットワーク装置間でネットワーク疎通確認試験(例えば、ping等)を行えばよいかを迅速に特定できる。そして、ネットワーク試験装置は、この特定したネットワーク装置にネットワーク疎通確認試験を実行させるので、ネットワーク疎通確認試験の手間を軽減することができる。また、どのネットワーク装置間(区間)で障害が発生しているのかをすぐに把握できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のネットワーク試験装置において、前記決定した試験項目が、RTCP(RTP Control Protocol)パケットによる通信品質確認試験であるとき、前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記通信品質確認試験の対象であるネットワーク装置へ、このネットワーク装置で送信しているRTCPパケットのうち、前記入力されたネットワークサービスのIDに対応するRTCPパケットをコピーして、前記ネットワーク試験装置宛に送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0011】
このような構成によれば、ネットワーク試験装置は、当該ネットワークサービスの障害要因特定等をするため、どのネットワーク装置に通信品質の確認をすればよいかを迅速に特定できる。そして、ネットワーク試験装置は、この特定したネットワーク装置に、当該装置に流れるRTCPパケットをコピーして送信させるので、通信品質確認試験の手間を軽減することができる。また、どのネットワーク装置で通信品質の劣化が発生しているのかをすぐに把握できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のネットワーク試験装置において、前記決定した試験項目が、RTP(Real-time Transport Protocol)パケットのモニタリング試験であるとき、前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記RTPパケットのモニタリング試験を行うネットワーク装置へ、このネットワーク装置で送信しているRTPパケットのうち、前記入力されたネットワークサービスのIDに対応するRTPパケットをコピーして、前記ネットワーク試験装置宛に送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0013】
このような構成によれば、ネットワーク試験装置は、当該ネットワークサービスの障害要因特定等をするため、どのネットワーク装置でRTPパケットのモニタリング試験をすればよいかを特定できる。そして、ネットワーク試験装置は、この特定したネットワーク装置に、当該装置に流れるRTPパケットをコピーして送信させる。このようにすることで、例えば、ネットワークサービスが音声または映像の送信サービス(例えば、IP電話サービスやIPTV電話サービス、音声や映像の配信サービス)であるとき、ネットワーク試験装置は、実際にこのネットワーク装置で送信しているデータを取得することができる。つまり、どのネットワーク装置で通信品質の劣化等がしているかをネットワークの保守者が実際に目で見たり、耳で聞いたりして把握できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置において、前記決定した試験項目が、セッション制御サーバにおける、当該ネットワークサービスのIDに対応する登録情報の有無の確認および当該ネットワークサービスのIDに関する通信ログの少なくとも一方を取得する試験であるとき、前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記試験を行うネットワーク装置であるセッション制御サーバへ、このセッション制御サーバが記憶している当該ネットワークサービスのIDに対応する登録情報および当該ネットワークサービスのIDに関する通信ログの少なくとも一方を前記ネットワーク試験装置宛に送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0015】
このような構成によれば、ネットワークサービスが、セッション制御サーバを用いたサービス(例えば、前記したIP電話サービスやIPTV電話サービス)であるとき、当該ネットワークサービスの障害要因特定等をするため、ネットワーク試験装置は、どのセッション制御サーバにおいて、当該ネットワークサービスのユーザの情報が登録されているか否かを確認したり、通信ログを確認したりすればよいかを迅速に特定できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置において、前記ネットワークサービスは、IP電話サービスであり、前記ネットワークサービスのIDは、前記IP電話サービスに用いられる電話番号であることを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0017】
このような構成によれば、ネットワークサービスが、IP電話サービスであるとき、ネットワーク試験装置は、このサービスに割当てられている電話番号をキーとして、当該ネットワークサービスの障害発生時にどのネットワーク装置にどのような試験項目を行えばよいかを把握できる。つまり、ネットワーク試験装置は、障害が発生している電話番号をキーとして試験対象装置および試験項目を決定できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置において、前記試験項目テーブルは、前記試験項目ごとに、この試験項目の属するレイヤの情報をさらに含み、前記入力部は、前記ネットワークサービスの試験の対象とするレイヤの入力を受け付けたとき、前記試験項目特定部は、前記特定した試験項目のうち、前記レイヤに属する試験項目を選択することを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0019】
このような構成によれば、ネットワーク試験装置は、ネットワークサービスの試験をレイヤ(例えば、レイヤ2、レイヤ3、アプリケーションレイヤ等)ごとに行うことができる。例えば、ネットワーク試験装置は、障害が発生したネットワークサービスについて、ネットワークの管理者が所望するレイヤ(例えば、レイヤ2)の試験を実行させることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置において、前記試験項目テーブルは、前記試験項目ごとに、この試験項目のレベル値を示した情報をさらに含み、前記入力部は、前記ネットワークサービスの試験におけるレベル値の入力を受け付けたとき、前記試験項目決定部は、前記特定した試験項目のうち、前記入力されたレベル値に相当する試験項目を選択し、前記試験命令変換部は、前記選択した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、前記特定したネットワーク装置に用いられるプロトコルに変換することを特徴とするネットワーク試験装置とした。
【0021】
このような構成によれば、ネットワーク試験装置は、ネットワークサービスの試験をレベル(例えば、低、中、高)に分けて行うことができる。例えば、ネットワーク試験装置は、障害が発生したネットワークサービスについて、ネットワークの管理者が所望するレベルの試験(例えば、セッション制御サーバの登録情報の送信)を実行させることができる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のネットワーク試験方法を、コンピュータであるネットワーク試験装置に実行させることを特徴とするネットワーク試験プログラムとした。
【0023】
このようなプログラムによれば、一般的なコンピュータに請求項9に記載のネットワーク試験方法を実行させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ネットワーク装置の試験の手間を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態のネットワーク試験装置を含むシステムの全体構成を例示した図である。
【0027】
図1に示すように、システムは、ネットワークサービスを提供するネットワーク装置4(4A,4B,…,4N)と、このネットワーク装置4それぞれに対し試験を実行させるネットワーク試験装置3とを含む。このネットワーク装置4とネットワーク試験装置3とは図示しないネットワークにより接続される。
【0028】
このネットワーク装置4は、例えば、SIPサーバ等のセッション制御サーバや、映像データや音声データを送信するサーバ、ルータ、L(レイヤ)2スイッチ、ホームゲートウェイやISP(Internet Services Provider)接続ゲートウェイ等である。このホームゲートウェイは、各ユーザのLAN(Local Area Network)とネットワークとを接続するためのゲートウェイであり、ISP接続ゲートウェイは、ISPへ接続するためのゲートウェイである。このゲートウェイは、ルータの他、コンピュータ等により実現される。
【0029】
ネットワーク試験装置3は、ネットワークサービスのID(例えば、ネットワークサービスがIP電話サービスの場合、電話番号)の入力を受け付けると、このネットワークサービスに用いられるネットワーク装置4それぞれに対し試験実行命令(試験実行コマンド)を送信する。そして、このネットワーク装置4それぞれから、当該ネットワーク装置4における試験実行結果を受信する。これにより、例えばネットワークサービスに障害が発生したとき、そのネットワークサービスを提供するネットワーク装置4のうち、どの装置(どの区間)でどのような障害が発生しているか否かを把握できる。このネットワーク試験装置3は、入出力インタフェース、ネットワークインタフェース、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を備えるコンピュータにより実現される。
【0030】
このようなネットワーク試験装置3は、入力部31と、試験対象特定部32と、試験要求部33と、記憶部34と、ネットワークインタフェース部35と、出力部36とを含んで構成される。このネットワーク試験装置3には、このネットワーク試験装置3に、ネットワークサービスのIDや各種情報の入力を行うための入力装置1や、このネットワーク試験装置3が受信した試験結果を出力するための出力装置2が接続されていてもよい。この入力装置1は、例えば、キーボードやマウス等であり、出力装置2は、例えば、液晶モニタ等である。
【0031】
入力部31は、入力装置1等、外部から試験対象のネットワークサービスのIDの入力を受け付け、このネットワークサービスのIDを試験対象特定部32へ出力する。この入力部31は、例えば、前記した入出力インタフェースにより実現される。なお、このネットワークサービスのIDは、このネットワークサービスを契約しているユーザのユーザIDでもよいし、このユーザが契約しているサービスごとにユニークに割り当てられたIDでもよい。また、このネットワークサービスがIP電話サービスであるときは、このIP電話サービスに割り当てられた電話番号でもよい。
【0032】
試験対象特定部32は、入力部31経由で入力されたネットワークサービスのIDをキーとして、試験対象のネットワーク装置4を特定し、このネットワーク装置4に実行させる試験項目を決定する。このような試験対象特定部32は、対象装置特定部321と、試験項目決定部322とを含んで構成される。
【0033】
対象装置特定部321は、入力部31経由で入力されたネットワークサービスのIDをキーとして、記憶部34の装置テーブル341(詳細は後記)から、このネットワークサービスに用いられるネットワーク装置4を検索する。つまり、このネットワーク試験装置3の試験対象のネットワーク装置4を特定する。
【0034】
試験項目決定部322は、対象装置特定部321で特定した試験対象のネットワーク装置4の種別(またはネットワーク装置4の識別情報)をキーとして、記憶部34の試験項目テーブル342(詳細は後記)から、このネットワーク装置4に実行させる試験項目を決定する。
【0035】
試験要求部33は、試験対象特定部32で決定した試験項目を、試験対象装置であるネットワーク装置4へ実行させる。このような試験要求部33は、試験命令変換部331と、試験命令出力部332と、試験結果受信部333とを含んで構成される。
【0036】
試験命令変換部331は、試験項目決定部322で決定した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、対象装置特定部321が特定したネットワーク装置4が実行可能なコマンドに変換する。例えば、試験対象のネットワーク装置4が、SIPサーバであるとき、試験項目決定部322で決定した試験項目の試験実行コマンドをこのSIPサーバで実行可能なコマンドに変換する。なお、図示を省略しているが、記憶部34には、このネットワーク装置4ごとに実行可能なコマンドが記憶されており、試験命令変換部331は、対象装置特定部321で特定されたネットワーク装置4の種別(またはネットワーク装置4の識別情報)をもとに、どの形式のコマンドに変換すればよいかを判断する。
【0037】
試験命令出力部332は、試験命令変換部331で変換された試験実行コマンドを、ネットワークインタフェース部35(後記)経由で、対象装置特定部321で特定したネットワーク装置4へ送信する。
【0038】
試験結果受信部333は、ネットワーク装置4において実行された試験実行結果を受信する。つまり、試験命令出力部332において出力された試験実行コマンドの応答を受信する。例えば、試験結果受信部333は、ネットワーク装置4Bで実行された「リンクアップ/ダウン」の試験結果をネットワークインタフェース部35経由で受信する。そして、試験結果受信部333は、この試験実行結果を出力部36経由で出力装置2へ出力する。これにより、ネットワーク装置4Bのリンクがダウンしているか否かを確認できる。
【0039】
なお、この試験対象特定部32および試験要求部33は、このネットワーク試験装置3のCPUが、記憶部34に記憶されたプログラム(ネットワーク試験プログラム)をRAM上に展開し実行することで実現される。
【0040】
記憶部34は、試験対象特定部32が試験対象装置および試験対象項目を特定するための各種情報を記憶する。このような記憶部34は、装置テーブル341と試験項目テーブル342とを備える。なお、この記憶部34は、RAM、ROM、HDD等の記憶媒体により実現される。
【0041】
この装置テーブル341は、ネットワークサービスのIDごとに、このネットワークサービスに用いられるネットワーク装置4の識別情報を示した情報である。この装置テーブル341は、対象装置特定部321が当該ネットワークサービスにおける試験対象装置であるネットワーク装置4を特定するときに参照される。この装置テーブル341の詳細は、図2(a)を用いて後記する。
【0042】
試験項目テーブル342は、ネットワーク装置4ごと(ネットワーク装置4の種別ごと)に、このネットワーク装置4で実施する試験項目を示した情報である。この試験項目テーブル342は、試験項目決定部322が当該ネットワークサービスにおける試験対象装置に実行させる試験項目を決定するときに参照される。この試験項目テーブル342の詳細は、図2(b)を用いて後記する。
【0043】
ネットワークインタフェース部35は、試験要求部33がネットワーク経由で外部装置(ここでは、ネットワーク装置4)との間で各種データの送受信を行う際のインタフェースである。
【0044】
出力部36は、試験要求部33から出力された試験結果を出力装置2へ出力する。この出力部36は、前記した入出力インタフェースにより実現される。
【0045】
ここで、図2(a)を用いて装置テーブル341を説明する。図2(a)は、図1の装置テーブルを例示した図である。ここでは、ネットワークサービスが、IP電話、TV電話(IPTV電話)およびISP接続サービスである場合を例に説明する。ネットワークサービスがIP電話やTV電話(IPTV電話)の場合、このネットワークサービスのIDとして電話番号やユーザIDを用いる。また、ISP接続サービスの場合、ネットワークサービスのIDとしてユーザIDを用いる。
【0046】
例えば、図2(a)に示す装置テーブル341において、電話番号「0311112222」のユーザの加入サービスは「IP電話」であり、SIPレイヤ、IPレイヤおよびL(レイヤ)2に属する装置のうち、収容SIPサーバは「SIP−A」であり、そのIPアドレス(識別情報)は「1.1.1.1」であることを示す。また、HGW(ホームゲートウェイ)は「HGW−A」であり、そのIPアドレスは「10.10.10.10」であることを示す。また、IPレイヤおよびL(レイヤ)2に属する装置のうち、収容ルータは「R−A」であり、そのIPアドレスは「2.2.2.1」であり、ISP接続GWはないことを示す。さらに、L2にのみ属する装置は「東京SW(スイッチ)1」であることを示す。
【0047】
なお、装置テーブル341は、図2(a)に例示したように、各ネットワーク装置4の属するレイヤ(SIPレイヤ、IPレイヤおよびL2と、IPレイヤおよびL2と、L2のみ)ごとに分けるようにしてもよい。また、図2(a)に例示するように、同じ電話番号に複数の加入サービス(IP電話と、TV電話)が割り当てられているとき、それぞれの加入サービスごとに、その加入サービスに用いられるネットワーク装置4の識別情報が示される。
【0048】
次に、図2(b)を用いて試験項目テーブル342を説明する。図2(b)は、図1の試験項目テーブルを例示した図である。ここでは、レイヤ(L2、IPレイヤ、SIPレイヤ)ごと、ネットワーク装置4ごとに、当該ネットワーク装置4で実行される試験項目を示している。例えば、「SIP−A」というネットワーク装置4におけるL2試験項目は「リンクアップ/ダウン(リンクがダウンしているか否か)」であり、IP(IPレイヤ)の試験項目は「ネットワーク疎通(ping等)」であることを示す。また、SIP(SIPレイヤ)の試験項目は「登録状態確認(SIPサーバに当該電話番号に関する情報の登録があるか否かの確認)」と、「SIPシーケンス表示(SIPサーバにおける当該電話番号に関する通話ログの表示)」であることを示す。なお、「SIPシーケンス表示(IP電話)」とは、当該ネットワークサービスがIP電話であるときのSIPシーケンス表示であり、「SIPシーケンス表示(TV電話)」とは、当該ネットワークサービスがTV電話であるときのSIPシーケンス表示を示す。
【0049】
次に、図1、図2を参照しつつ、図3を用いて、ネットワーク試験装置3の処理手順を説明する。図3は、図1のネットワーク試験装置の処理手順を示したフローチャートである。
【0050】
まず、ネットワーク試験装置3の入力部31は、入力装置1から、試験対象のネットワークサービスのIDの入力を受け付ける(S31)。なお、以下、入力装置1から入力されたネットワークサービスのIDは、IP電話サービスに用いられる電話番号である場合を例に説明する。
【0051】
ネットワーク試験装置3の試験装置特定部321は、入力されたネットワークサービスのID(例えば、電話番号)をキーとして、装置テーブル341(図2(a)参照)を検索し、加入サービスと、その加入サービスにおける試験対象のネットワーク装置4を特定する(S32)。
【0052】
例えば、試験装置特定部321は、入力された電話番号「0311112222」をキーとして、装置テーブル341(図2(a)参照)を検索し、加入サービス「IP電話」と、そのサービスにおける試験対象装置である「SIP−A(1.1.1.1)」、「HGW−A(10.10.10.10)」、「R−A(2.2.2.1)」および「東京SW1」を特定する。
【0053】
次に、試験項目決定部322は、S32で特定された加入サービスと、その加入サービスにおける試験対象のネットワーク装置4をキーとして、試験項目テーブル342(図2(b)参照)を検索し、各試験対象装置に実行させる試験項目を決定する(S33)。
【0054】
例えば、試験項目決定部322は、S32で特定した加入サービス「IP電話」と試験対象装置「SIP−A」とをキーとして、L2レイヤの試験である「リンクアップ/ダウン」、IPレイヤの試験である「ネットワーク疎通」、SIPレイヤの試験である「登録状態確認」および「SIPシーケンス表示(IP電話)」を決定する。また、試験項目決定部322は、その他の試験対象装置「HGW−A(10.10.10.10)」、「R−A(2.2.2.1)」、「東京SW1」についても同様に試験項目を決定する。
【0055】
次に、試験命令変換部331は、S33で決定した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、この試験項目を実行するネットワーク装置4の実装に応じたコマンドに変換する(S34)。例えば、試験命令変換部331は、試験対象装置が「SIP−A」であるとき、「登録状態確認」および「SIPシーケンス表示(IP電話)」の試験実行コマンドを、この「SIP−A」で実行可能なコマンドに変換する。
【0056】
そして、試験命令出力部332は、S34で変換した試験実行コマンド(試験実行命令)を、ネットワークインタフェース部35経由で、各試験対象装置へ出力する(S35)。例えば、試験命令出力部332は、S34で変換した試験実行コマンドを、「SIP−A(1.1.1.1)」、「HGW−A(10.10.10.10)」、「R−A(2.2.2.1)」および「東京SW1」へ出力する。このようにすることで、ネットワークサービスに用いられる各ネットワーク装置4に、障害検出のための試験を実行させることができる。例えば、ネットワーク試験装置3は、IP電話サービスで障害の発生した電話番号「0311112222」の入力を受け付けると、この電話番号のIP電話サービスに用いられるネットワーク装置4(例えば、「SIP−A(1.1.1.1)」、「HGW−A(10.10.10.10)」、「R−A(2.2.2.1)」および「東京SW1」)を特定する。そして、ネットワーク試験装置3は、この特定したネットワーク装置4に対し、レイヤ(L2、IPレイヤおよびSIPレイヤ)ごとに必要な試験を実行させる。
【0057】
この後、試験結果受信部333は、ネットワーク試験装置3から試験実行コマンドによる試験実行結果を受信する(S36)。そして、試験結果受信部333はこの受信した試験実行結果を出力部36経由で、出力装置2へ出力する(S37)。このようにすることで、ネットワークの保守者は、ネットワークサービスを提供する各ネットワーク装置4の試験実行結果を確認することができる。
【0058】
ここで、ネットワーク試験装置3が各ネットワーク装置4へ実行させる試験内容を、具体例を用いて説明する。
【0059】
<リンクアップ/ダウン>
ネットワーク試験装置3は、「リンクアップ/ダウン」の試験対象装置であるネットワーク装置4に対して、以下の処理を行う。
【0060】
まず、試験命令変換部331は、この「リンクアップ/ダウン」の試験実行コマンドを、この試験の試験対象であるネットワーク装置4の実装に応じたコマンドに変換する(S34)。そして、試験命令出力部332は、この変換したコマンドを、この試験の試験対象であるネットワーク装置4へ出力する(S35)。この後、試験結果受信部333が、このネットワーク装置4から「リンクアップ/ダウン」の試験実行結果を受信すると(S36)、この試験実行結果を出力装置2へ出力する(S37)。このようにすることで、当該ネットワークサービスを提供する各ネットワーク装置4のリンクがダウンしているか否かを確認することができる。
【0061】
<ネットワーク疎通>
ネットワーク試験装置3は、「ネットワーク疎通(ネットワーク疎通確認)」の試験対象装置であるネットワーク装置4に対して、以下の処理を行う。
【0062】
例えば、図2(a)に示す装置テーブル341の電話番号「0311112222」のレコードに登録されるネットワーク装置4のうち、「SIP−A(1.1.1.1)」、「HGW−A(10.10.10.10)」および「R−A(2.2.2.1)」がこの「ネットワーク疎通」の試験対象装置であるとき、このネットワーク装置4同士を繋ぐ区間、すなわち「SIP−A(1.1.1.1)」と「HGW−A(10.10.10.10)」との間、「HGW−A(10.10.10.10)」と「R−A(2.2.2.1)」との間、「SIP−A(1.1.1.1)」と「R−A(2.2.2.1)」との間の「ネットワーク疎通」の試験(ping等)実行コマンドを、各ネットワーク装置4(「SIP−A(1.1.1.1)」、「HGW−A(10.10.10.10)」および「R−A(2.2.2.1)」)の実装に応じたコマンドに変換する(S34)。そして、試験命令出力部332は、この変換したコマンドをこの試験の試験対象である各ネットワーク装置4へ出力する(S35)。この後、試験結果受信部333が、各ネットワーク装置4から「ネットワーク疎通」の試験実行結果を受信すると(S36)、この試験実行結果を出力装置2へ出力する(S37)。このようにすることで、ネットワークサービスに用いられるネットワーク装置4同士の(区間ごとの)ネットワーク疎通を確認することができる。
【0063】
<品質確認>
ネットワーク試験装置3は、「品質確認(RTCP)」の試験対象装置であるネットワーク装置4に対して、以下の処理を行う。なお、RTCP(RTP Control Protocol)とは、RTP(Real-time Transport Protocol、音声や映像のデータをリアルタイムに配送するためのデータ転送プロトコル)によるデータ送受信におけるセッション制御プロトコルである。このRTCPパケットは、RTPによりデータ送受信を行うサーバが実効帯域幅や遅延時間等の通信品質を確認するために用いられるパケットである。
【0064】
まず、試験命令変換部331は、この「品質確認(RTCP)」の試験実行コマンド(具体的には、RTCPパケットのコピー要求)を、この試験の試験対象であるネットワーク装置4の実装に応じたコマンドに変換する(S34)。
【0065】
なお、ここでの試験実行コマンドは、コピー対象のRTCPパケットの識別情報を含める。この識別情報は、ネットワーク試験装置3または同じネットワークサービスに用いられるSIPサーバ等がネットワークサービスのID(例えば、IP電話における電話番号)をもとに、特定するものとする。そして、試験命令出力部332は、この変換したコマンドをこの試験の試験対象であるネットワーク装置4へ出力する(S35)。この後、試験結果受信部333が、このネットワーク装置4から当該セッションにおける「品質確認(RTCP)」の試験実行結果として、当該ネットワークサービスに関するRTCPパケットを受信すると(S36)、この試験実行結果を出力装置2へ出力する(S37)。
【0066】
図4は、図1のネットワーク試験装置の動作例を示した図である。例えば、この「品質確認(RTCP)」の試験の対象装置が、ネットワーク装置4Aであるとき、ネットワーク試験装置3は、このネットワーク装置4Aに対し、試験実行コマンドとして、RTCPパケットのコピー要求を送信する。このRTCPパケットのコピー要求は、S31で受け付けたネットワークサービスのIDに対応するデータのRTCPパケットのコピーを要求するものである。そして、ネットワーク試験装置3が、このネットワーク装置4AからこのRTCPパケットのコピーを受信すると、このRTCPパケットに示される内容を出力装置2へ出力する。
【0067】
このようにすることで、ネットワークの保守者は、ネットワーク装置4の当該ネットワークサービスのトラヒックに関する実効帯域幅や遅延時間等の通信品質を確認できる。例えば、試験対象のネットワークサービスが電話番号「0311112222」のIP電話サービスであるとき、この電話番号のIP電話サービスの実効帯域幅や遅延時間等の通信品質を確認できる。
【0068】
なお、ネットワーク試験装置3の試験項目決定部322で決定した試験項目が「品質確認(RTP)」であるときも、ネットワーク試験装置3は、ほぼ同様の手順によりRTPパケットのコピーを取得する。すなわち、ネットワーク試験装置3の試験項目決定部322は、この「品質確認(RTP)」の試験の対象であるネットワーク装置4Aに対し、この「品質確認(RTP)」の試験実行コマンドとして、RTPパケットのコピー要求を送信する。このRTPパケットのコピー要求も、このネットワーク装置4Aにおいて送受信されているデータのうち、S31で受け付けたネットワークサービスのIDに対応するデータのRTPパケットのコピーを要求するものである。そして、ネットワーク試験装置3が、このネットワーク装置4Aから試験実行結果であるRTPパケットのコピーを受信すると、このRTPパケットを出力装置2へ出力する。
【0069】
このようにすることで、ネットワーク試験装置3は、ネットワーク装置4で送受信されるデータそのものを取得することになる。従って、ネットワークの保守者は、ネットワーク試験装置3から出力された音声や映像を、実際に聞いたり見たりして通信品質を確認できる。
【0070】
<登録状態確認>
ネットワーク試験装置3は、「登録状態確認」の試験対象装置であるネットワーク装置4に対して、以下の処理を行う。なお、ここでの登録状態確認とは、SIPサーバであるネットワーク装置4に、当該ネットワークサービスのID(例えば、IP電話サービスの電話番号)に対応する情報が登録されているか否かを確認することである。
【0071】
図5は、図1のネットワーク試験装置の動作例を示した図である。例えば、この「登録状態確認」の試験の対象装置が、ネットワーク装置4Bであるとき、ネットワーク試験装置3は、このネットワーク装置4Bに対し、試験実行コマンドとして、このネットワーク装置4Bに当該ネットワークサービスのIDに関する情報の登録状態確認要求を送信する。そして、ネットワーク試験装置3が、試験実行結果としてこのネットワーク装置4Bから、当該ネットワークサービスのIDの登録状態確認結果を受信すると、この内容を出力装置2へ出力する。このようにすることで、ネットワークの保守者は、当該ネットワークサービスを提供するSIPサーバ(ネットワーク装置4B)に、当該ネットワークサービスのIDの情報が登録されているか否かを確認することができる。
【0072】
また、「通信ログ確認」の試験についても、同様に、ネットワーク試験装置3は、SIPサーバであるネットワーク装置4Bに、試験実行コマンドとして当該ネットワークサービスのIDに対応する通信ログ確認要求(取得要求)を送信する。そして、ネットワーク試験装置3が、試験実行結果としてこのネットワーク装置4Bから、当該ネットワークサービスのIDに対応する通信ログを受信すると、この通信ログを出力装置2へ出力する。このようにすることで、ネットワークの保守者は、当該ネットワークサービスを提供するSIPサーバ(ネットワーク装置4B)における当該ネットワークサービスに関する通信ログを確認することができる。
【0073】
<SIPシーケンス表示>
なお、ここでは説明を省略したが、ネットワーク試験装置3は、「SIPシーケンス表示」の試験対象装置であるネットワーク装置4に対しても同様の処理を行う。すなわち、ネットワーク試験装置3は、SIPサーバであるネットワーク装置4に、試験実行コマンドとして当該ネットワークサービスのIDに対応するSIPシーケンスの取得要求を送信する。そして、ネットワーク試験装置3がSIPシーケンスを取得すると、このSIPシーケンスを出力装置2へ出力する。このようにすることで、ネットワークの保守者は、当該ネットワークサービスを提供するSIPサーバにおける当該ネットワークサービスに関するSIPシーケンスを確認することができる。
【0074】
なお、前記した図2(b)に例示した試験項目テーブル342において、L2、IPレイヤ、SIPレイヤの試験項目を登録することとしたが、これ以外のレイヤの試験項目を含んでいてもよい。
【0075】
なお、前記した実施の形態において、ネットワーク試験装置3は、試験項目テーブル342に登録される試験項目にレベル値(例えば、高、中、低等)を付与し、所定のレベルの試験項目のみをネットワーク装置4に実行させるようにしてもよい。
【0076】
図6は、図2(b)の試験項目テーブルの変形例を示した図である。図6の試験項目テーブル342Aに示すように、試験項目をレイヤごとにいくつかのレベル値を付与しておく。例えば、レベル値として「高」や「低」を付与しておく。そして、ネットワーク試験装置3は、試験対象のネットワークサービスのIDを受け付けるとき、この試験のレベル値の入力も受け付ける。次に、試験項目決定部322は、試験項目テーブル342Aを参照して、「L2試験項目」、「IP試験項目」および「SIP試験項目」それぞれに設定された試験項目のうち、入力されたレベル値(例えば、「低」)の欄に記載された試験項目を選択する。
【0077】
例えば、試験対象装置が「SIP−A」であるとき、図6に示す試験項目テーブル342Aの「L2試験項目」の試験項目から、レベル「低」が設定された「リンクアップ/ダウン」を選択する。また、「IP試験項目」の試験項目から、レベル「低」が設定された「ネットワーク疎通」を選択する。さらに、「SIP試験項目」から、レベル「低」が設定された「登録状態確認」を選択する。
【0078】
一方、ネットワーク試験装置3が、レベル値「高」の入力を受け付けたとき、「SIP試験項目」のうち、レベル「高1」が設定された「SIPシーケンス表示(IP電話)」またはレベル「高2」が設定された「SIPシーケンス表示(TV電話)」を選択する。なお、「SIPシーケンス表示(IP電話)」と「SIPシーケンス表示(TV電話)」のうち、どちらの試験項目を実行させるかは、加入サービスが「IP電話」か「TV電話」かにより決まる。なお、試験項目テーブル342Aにおいて、このレベル「高」や「低」の横に付された数字は、当該試験項目のうち同じレベルに属する試験項目の識別番号である。例えば、「SIP試験項目」のレベル「高」の試験項目は「高1」と「高2」の2つあることを示す。
【0079】
このようにすることで、ネットワーク試験装置3は、複数ある試験項目のうち所定の試験項目のみを実行させることができる。つまり、ネットワークの保守者が所望するレベルの試験項目をネットワーク装置4に実行させることができる。なお、試験項目テーブル342A(図6参照)において各レベルに相当する試験項目は複数あってもよい。
【0080】
また、前記した実施の形態において、ネットワーク試験装置3は、試験項目テーブル342(342A)に登録された試験項目のうち、所定のレイヤの試験項目のみをネットワーク装置4に実行させるようにしてもよい。例えば、ネットワーク試験装置3は、試験対象のネットワークサービスのIDを受け付けるとき、試験を実行するレイヤの情報の入力も受け付ける。そして、試験項目決定部322は、試験項目テーブル342Aを参照して、「L2試験項目」、「IP試験項目」および「SIP試験項目」それぞれに設定された試験項目のうち、入力されたレイヤ(例えば、「L2」)の試験項目を選択する。
【0081】
このようにすることで、ネットワーク試験装置3は、複数のレイヤの試験項目のうち所定のレイヤの試験項目のみを実行させることができる。つまり、ネットワークの保守者が所望するレイヤの試験項目をネットワーク装置4に実行させることができる。
【0082】
なお、前記した実施の形態において、ネットワーク試験装置3はネットワークに障害が発生したとき、その原因を特定するために用いる場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、ネットワークサービスを開始する前に、ネットワーク装置に設定ミスや障害が発生していないかをチェックするために用いてもよい。
【0083】
本実施の形態に係るネットワーク試験装置3は、前記したような処理を実行させるネットワーク試験用プログラムによって実現することができ、そのプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記憶媒体(CD−ROM等)に記憶して提供することが可能である。また、そのプログラムを、インターネット等のネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施の形態のネットワーク試験装置を含むシステムの全体構成を例示した図である。
【図2】(a)は、図1の装置テーブルを例示した図であり、(b)は、図1の試験項目テーブルを例示した図である。
【図3】図1のネットワーク試験装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】図1のネットワーク試験装置の動作例を示した図である。
【図5】図1のネットワーク試験装置の動作例を示した図である。
【図6】図2(b)の試験項目テーブルの変形例を示した図である。
【符号の説明】
【0085】
1 入力装置
2 出力装置
3 ネットワーク試験装置
4(4A,4B,…,4N) ネットワーク装置
31 入力部
32 試験対象特定部
33 試験要求部
34 記憶部
35 ネットワークインタフェース部
36 出力部
321 対象装置特定部
322 試験項目決定部
331 試験命令変換部
332 試験命令出力部
333 試験結果受信部
341 装置テーブル
342,342A 試験項目テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークサービスを提供するネットワーク装置に試験を実行させるネットワーク試験装置であって、
前記ネットワークサービスのIDごとに、このネットワークサービスに用いられる前記ネットワーク装置の識別情報を示した装置テーブルと、前記ネットワーク装置の識別情報ごとに、このネットワーク装置に実行させる試験項目を示した試験項目テーブルとを記憶する記憶部と、
前記ネットワークサービスのIDの入力を受け付ける入力部と、
前記入力されたネットワークサービスのIDをキーとして、前記装置テーブルから前記ネットワークサービスに用いられるネットワーク装置の識別情報を特定する対象装置特定部と、
前記特定したネットワーク装置の識別情報をキーとして、前記試験項目テーブルから前記特定したネットワーク装置に実行させる試験項目を決定する試験項目決定部と、
前記決定した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、前記特定した各ネットワーク装置で実行可能な試験実行コマンドに変換する試験命令変換部と、
前記変換した試験実行コマンドを、ネットワーク経由で、前記特定したネットワーク装置へ送信する試験命令出力部と、
前記各ネットワーク装置から、前記送信した試験実行コマンドの応答を受信する試験結果受信部と、
を備えることを特徴とするネットワーク試験装置。
【請求項2】
前記決定した試験項目が、ネットワーク疎通確認試験であるとき、
前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記ネットワーク疎通確認試験の対象であるネットワーク装置それぞれへ、当該ネットワーク装置間で前記ネットワーク疎通確認のためのパケットを送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク試験装置。
【請求項3】
前記決定した試験項目が、RTCP(RTP Control Protocol)パケットによる通信品質確認試験であるとき、
前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記通信品質確認試験の対象であるネットワーク装置へ、このネットワーク装置で送信しているRTCPパケットのうち、前記入力されたネットワークサービスのIDに対応するRTCPパケットをコピーして、前記ネットワーク試験装置宛に送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のネットワーク試験装置。
【請求項4】
前記決定した試験項目が、RTP(Real-time Transport Protocol)パケットのモニタリング試験であるとき、
前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記RTPパケットのモニタリング試験を行うネットワーク装置へ、このネットワーク装置で送信しているRTPパケットのうち、前記入力されたネットワークサービスのIDに対応するRTPパケットをコピーして、前記ネットワーク試験装置宛に送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のネットワーク試験装置。
【請求項5】
前記決定した試験項目が、セッション制御サーバにおける、当該ネットワークサービスのIDに対応する登録情報の有無の確認および当該ネットワークサービスのIDに関する通信ログの少なくとも一方を取得する試験であるとき、
前記試験命令出力部は、前記特定したネットワーク装置のうち、前記試験を行うネットワーク装置であるセッション制御サーバへ、このセッション制御サーバが記憶している当該ネットワークサービスのIDに対応する登録情報および当該ネットワークサービスのIDに関する通信ログの少なくとも一方を前記ネットワーク試験装置宛に送信させる試験実行コマンドを送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置。
【請求項6】
前記ネットワークサービスは、IP電話サービスであり、
前記ネットワークサービスのIDは、前記IP電話サービスに用いられる電話番号であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置。
【請求項7】
前記試験項目テーブルは、前記試験項目ごとに、この試験項目の属するレイヤの情報をさらに含み、
前記入力部は、前記ネットワークサービスの試験の対象とするレイヤの入力を受け付けたとき、
前記試験項目特定部は、前記特定した試験項目のうち、前記レイヤに属する試験項目を選択することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置。
【請求項8】
前記試験項目テーブルは、前記試験項目ごとに、この試験項目のレベル値を示した情報をさらに含み、
前記入力部は、前記ネットワークサービスの試験におけるレベル値の入力を受け付けたとき、
前記試験項目決定部は、前記特定した試験項目のうち、前記入力されたレベル値に相当する試験項目を選択し、
前記試験命令変換部は、前記選択した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、前記特定したネットワーク装置に用いられるプロトコルに変換することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のネットワーク試験装置。
【請求項9】
ネットワークサービスのIDごとに、このネットワークサービスに用いられるネットワーク装置の識別情報を示した装置テーブルと、前記ネットワーク装置の識別情報ごとに、このネットワーク装置に実行させる試験項目を示した試験項目テーブルとを記憶する記憶部を備えるネットワーク試験装置が、
前記ネットワークサービスのIDの入力を受け付けるステップと、
前記入力されたネットワークサービスのIDをキーとして、前記装置テーブルから、前記ネットワークサービスに用いられるネットワーク装置の識別情報を特定するステップと、
前記特定したネットワーク装置の識別情報をキーとして、前記試験項目テーブルから前記特定したネットワーク装置に実行させる試験項目を決定するステップと、
前記決定した試験項目を実行させるための試験実行コマンドを、前記特定したネットワーク装置に用いられる試験実行コマンドに変換するステップと、
前記変換した試験実行コマンドを、ネットワーク経由で、前記特定したネットワーク装置へ送信するステップと、
前記各ネットワーク装置から、前記送信した試験実行コマンドの応答を受信するステップと、
を実行することを特徴とするネットワーク試験方法。
【請求項10】
請求項9に記載のネットワーク試験方法を、コンピュータであるネットワーク試験装置に実行させることを特徴とするネットワーク試験プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−94810(P2009−94810A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263618(P2007−263618)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】